短編集

編集者:るるる
気まぐれで書いた作品をまとめています。 概要等はあらすじから。
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目次

    幽霊になりたかった。

    そっと教室のドアを開ける。 がらんがらんと鳴るその音の方へ誰も耳を貸さず、見られていない筈なのに、何故か視線とプレッシャーをぐいぐい感じる。 いつもの様に机に荷物を置き、いつもの様に授業の準備をして、いつもの様に机にハグを交わす。 いつもしていることなのに、今日はめっぽう特別に感じた。 何故なら今日は、"決心"がついたからだ。 誰にも邪魔されないし、邪魔する人はそもそもいない。 青い空の下は、いつもより明るく見えた。

    ララちゃん

    私には少し変わったトモダチがいた。 名前はララちゃん。 可愛くて、おしゃべりが大好きな女の子。 私は、その子のことが可愛らしいと思ったんだ。
    いつのまにか私は、彼女と話す時間も、会う機会もなくなってました。 と言うのも、彼女と会ったら、またあのツギハギだらけの話をずぅーっとされるかと思ってしまったから。 会うだけで緊張するようになってしまった。 会うだけでだるけがするようになってしまった。 …でも、自分の勝手な理由だけで切り離してあの子と無理に離れたことは良かったのでしょうか。 私は、一体どうすれば良かったのでしょうか。

    ガレキレガ

    「ハカセ、太陽とは何ですか?」 人工的な薄い光しか無い暗い実験室にて、実験机に前鏡に座って、メガネをかけた中年の薄毛の男にロボットは話しかけた。 部屋の床にはガラスの破片や、実験に失敗したのだろうか、液体が溢れたような形で変色しているところもあった。 ロボットにハカセと呼ばれた男は、ロボットの方を振り向きもせず、ただノートに何かを書きながら、ロボットに対し答えた。 「うんとまぶしくて、手には届かないほど高いところにあるモノだ。」 ボールペンで書いている音がしゃーしゃーと聞こえてくる。ロボットは返事をした。 「手には届かないと言うと、どこにあるモノですか?私がハカセより大きくなれば、届くモノなのですか?」 ロボットはまるで子供みたいに質問をした。 男はまたロボットに答える。 「お前が俺よりデカくなっても届かない。そもそも空よりも高いところにある。メラメラと燃えてるんだ、たとえ触れる機会があっても、すぐにスクラップになれる。」 淡々と話す男に、ロボットはまたもや質問をした。 「なぜですか?なぜ燃えているんですか?空の上は宇宙と聞いています。宇宙には酸素が無いはずです。そもそもこの地球も…」 ロボットが質問をしている最中に、男は呆れたようにため息をつき、こう言った。 「私はそこまではわからない。…お前は人に聞くんじゃなくて、自分で調べたりしたらどうだ?」 そう言われたロボットは、何も言わずに男の方から遠ざかっていった。 「そういや、ここに閉じ込められてもう数ヶ月ほどか…いつになったら、お天道様を拝められるのかね。」 男のノートは、もうすでにヨレヨレになって、ページも僅かとなっていた。 時間もわからないままここで暮らし、過ぎてゆく時に、男はただひとり恐怖を感じていた。
    「ハカセ…起きてください。」 「あー。もう朝か。」 「はい。現在時刻は7:00。天気、湿度の情報は、共に受信できませんでした。」 「了解。それじゃ、外へ出ようか。」 ガチャガチャ。 「ハカセ。私は階段を登れません。」 「ん、じゃ、持ち上げるか。」 ぼんやりとした光が差し込む階段をしばらく歩くと、次第に光は強くなっていった。 「ハカセ、この光が太陽ですか?」 「違う違う。太陽はまだだ。」 「ハカセ。そういえばスリープ中に突然電気の供給が停止されました。今までこの様な事態はなかったのですが。」 「停電かもな。たまにあるんだよ…と、ついたぞ。」 登り切った先には、砕けたガラスの様な世界に差し込んだ、たった一つの光が支配する世界が、広がっていた。 「ハカセ、これが。」 「あー。よかったな…」 … 「ハカセ。ありがとうございます。」 「私は、ハカセのロボットでいれて、嬉しかったです。」 「これが、太陽なんですね。ハカセ、下を向いていたら、太陽は見れませんよ。」 「ところで、知っていますか?太陽と言うのは、古くから…____。」

    花を、君に。

    自分には不思議な力があった。 「わーっ!きれーなコスモス!」 「ほかのお花もだせないの?」 「ううん、コスモスしか出せないよ。」 自分には、「手からコスモスを出す」ことができた。 「あとねー、つちにむかってだすとねー…」 手から出すだけでなく、コスモスを生やすこともできた。 昔はよく、手からコスモスを出して遊んだ。 自分もそれを、心から素晴らしいと思っていた。
    ある日、友人が「手からコスモスを出せる」と教えてくれた。 あの花、コスモスって言うのか。 すごい綺麗だった。 "友人"によく似て、とても綺麗だった。 俺以外に、知る奴はいないだろう。 俺にだけ、教えてくれた。 二人だけの秘密だ。 これは俺だけのものだ。 決して誰にも譲りたくはない。 せっかくのかわいいかわいいヤツを、手放してたまるものか。 俺はアイツが好きだ。 …なーんて、言ったらどう思うかな。 だけど、ずっと俺のそばにいてくれよ。 彼女なんて作ったら許さないからな。

    雨の日ってなかなか寝つけんくない?

    ざああ、と音を立てて、窓をせわしく打ちつけて、いじわるな雨が夜ふかしをしていた。 それがたまらなく怖くて、ぐちゃぐちゃ布団にうずくまって、前もまともに見えないほど目をくしゃっとつぶって、小さくなっていた。 あまりにも力をこめたせいで、手やら足やらがふるふる震えている。 この殻をやぶってしまえば、殺されてしまうとも考えて、必死で小さくなっていた。 もちろん、寝つこうども、なかなか寝つけない。 夢と現実の曖昧な狭間でチラチラと揺れ、ただ雨音にやられているだけであった。
    壁の外から聞こえる車の飛沫の音であってもうるさく感じてしまう。 雨の日の夜は何もかもが敵である。 それは自分も同じである。 ガチ頭痛いし寝れないんだよなぁ…

    無能と言われ勇者パーティから追放された俺は最強になって見返すことにしました。

    3年前…。 俺は王様から直属に選ばれ、俺は勇者パーティに専属された。 「聖剣に選ばれし者、勇者ベルクよ!其方には魔を討つ使命を与えられた。よって、この世を脅かす魔を討ち倒し、ここに戻りなさい。使命を果たすためならば、己が良き道に進むために、考えて行動することも忘れぬように。」 聖剣に選ばれし男…ベルク。 白くて気高い重厚な服を身にまとい、大層ご立派なマントを地面につけ、ひざまづいていた。 「では!ここに居る皆が無事帰すように!勇者御一行の出陣を讃えよ!」 一斉にトランペットやらの楽器が演奏されて、魔法の花吹雪が舞い降りた。 列を成して赤いカーペットの道の横を並んでいた鎧の傭兵も、その音を聴いた途端に、一斉にカーペットの方を向いた。 俺の名はレウザ。この国1番の僧侶だ。 …自分で言っていても、恥ずかしいが。 こうして、俺は勇者パーティの一員として、旅を始めたのだが… まさか、こうなってしまうとは、想像もつかなかった。
    なろう系では追放ものとかがよくありますよね。 でも大半やらかして終わりな気がする。