「あいつの告白が今年で最後らしい。」の略。
「あい白」です!いっぱい見て、読んでくれると嬉しいです!
続きを読む
読み方
1話ずつ表示します。
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
あいつからの告白が今年で最後らしい。
『お誕生日おめでとう。今年も好きでした。』
その一文を見た瞬間、渚は高校生最後の冬を思い出した。
あれは、卒業式を迎える何日か前のこと。
桜舞う体育館裏で、誰よりも早く朔は緊張していた。
「…渚!」
「ん、どーした?」
「俺、お前が好きだ!」
あの時、正直俺はどうすればいいかわからなかった。
朔のことは嫌いじゃない。むしろ、一緒にいて楽しかった。
だけどーーー。
「ごめん、朔とは付き合えない。」
そう答えた。
朔は少しだけ笑って「そっか」と言った。
そのまま俺たちは卒業式を迎え、それぞれの道に進んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、卒業してから一年後。
渚の誕生日に、一通の手紙が届いた。
そこには、たった一言
『今年も好きでした。誕生日おめでとう。』
匿名で書かれていた。
だけど、すぐに誰が書いたかわかった。
独特な字の書き方。
かすかに封筒から感じるアイツの匂い。
全部がなぜか久しぶりに感じた。
「.....朔のやつ、名前書けよ」
それから、毎年。
渚の誕生日には、必ず、一通の手紙が届いた。
『今年も好きでした。誕生日おめでとう。』
二年目も。
三年目も。
四年目も。
文章は少しずつ変わっていったけれど、必ず、「好きでした」と書かれていた。
最初の頃は届くたびに少し驚くだけだった。
けど、いつからだろうか。
誕生日が来るたび、朔の手紙を待つようになったのは。
「.....今年も来るかな」
そう呟いてしまった自分に、渚は小さく笑った。
そして、迎えた五年目の誕生日。
ーー手紙は届かなかった。
「.....あれ?」
何度ポストを覗いても、そこには何もない。
別に約束されていたわけじゃない。
それなのに。
胸の奥が、妙にざわついた。
朔の連絡先は、卒業してから一度も開いていない、
でも、今ならーー。
震える指で名前を検索する。
【朔】
だけど、連絡する勇気は出なかった。
「.....なんで、来ないんだよ」
そこで、初めて朔への気持ちに気づいた。
手紙が欲しかったんじゃない。
おめでとうが欲しかったのでもない。
ただ、朔に「好き」と言って欲しかっただけなんだ。
毎年、自分を好きでいてくれることを、どこかで期待していた。
「俺、朔のこと.....」
気づいた瞬間、居ても立ってもいられなくなった。
渚は上着を掴み、家を飛び出た。
朔が昔住んでいた場所。
よく通った公園。
二人の思い出の場所を巡り巡った。
最後にたどり着いたのはーー高校の体育館裏だった。
そこには、見覚えのある一人の男が立っていた。
「おーい!朔!」
立っていたのは朔だった。振り返った朔は目を丸くしていた。
「.....渚?」
いることを確認できた次の瞬間、無意識に朔のもとに走っていた。
渚は手紙をくれなかったこと。
久しぶりに会えてうれしいこと。
色々な感情を抱えて、複雑になっていた。
「…なんで、来たの?」
急に来た問いに息を整えて答える。
「…だって、手紙、くれなかったじゃん」
朔は胸の奥から、ため息をついた。
朔は意を決したように、震える足を一歩前へ踏み出した。
「め、迷惑かと思って。」
すごい理由があると思い、身構えた。
だが、意外と普通の理由に渚は少し安心した。
「迷惑なわけない!」
思わず、声が大きくなった。
その声に朔はさらに目を丸くする。
「.....え?」
「迷惑なわけないだろ!毎年、ちゃんと待ってたんだから!」
言ってから渚は自分で何を口にしたのか気づいた。
頬が熱くなる。
けど、もう一度開いた口は止められなかった。
「誕生日が来るたび、どんな手紙がくるか、楽しみにしてた。」
「…渚」
「けど、いつからか、来なくなるって考えると嫌になってた。」
朔は何も言わなかった。
ただ、渚を見つめている。
「それで、今年来なくて、少し寂しかった。」
「.....ごめん」
「謝らないでよ」
渚は顔を上げる。
「もとはといえば、俺が勝手に好きで勝手に手紙を送ってただけだから。」
「違う。そんなことない。」
朔へ一歩近づいた。
「俺も.....朔が好きだった。」
その言葉が静かな体育館裏にざわめきを与える。
朔はしばらく考え込んでいるようで何も言わなかった。
「.....だった?」
渚はその一言に少し緊張が解けたように微笑む。
「今もだよ」
少し考え込んでいた朔の緊張もほぐれる。
「高校生の時は、自分の気持ちがよくわからなかった。けど、手紙をもらうたびに朔のことを考えて.....」
渚は照れくさそうに笑う。
「気づいたら、ずっと待ってた」
朔は俯いて、震えるように息を吐いた。
「.....ずるいな」
「何が?」
「そんなこと言われたら…また好きになっちゃうじゃん。」
「.....今も、好きなんだろ?」
朔は照れながら「うん」とうなずく。
二人は顔を見合わせて笑う。
今度は、今度こそはーーちゃんと言うんだ。
「じゃあさ」
渚は朔の手をゆっくり取る。
「俺から言わせてよ。」
握られた手を見ていた朔が、今度は渚を見る。
「朔の事が好き」
高校生の時には言えなかった五年前の気持ち。
ずっと胸にしまっていた言葉。
それを今度こそ、渚はまっすぐ伝える。
朔はしばらく黙った後、渚の手を握りかえす。
「五年も待ったんだけど。」
「うん」
「…遅い」
「ごめんって」
淡々と続いていく会話に二人は顔を見合わせて笑う。
笑い声が止まったとたん、静寂が落ちた。
そんな、静寂に渚がとどめを刺す。
「朔、俺と一緒に帰ろう」
「…もう五年は待ってあげないよ」
「もちろん、待たせないよ」
二人はオレンジ色の光に包まれながら、学校の門をくぐった。
握った手は、もう離さずに。
どうでしたでしょうか!
五年越しにさくなぎが付き合いました…
付き合ったかわかりにくいですが、ようやくですよぉ.....
このまま、大人編を作りたい~!
いや、作ります!(多分!)
これからもよろしくお願いします!
by やがて。