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目次
曲パロ【ただ声一つ】
曲パロ!歌詞を全て入れている訳ではありません!
【プロローグ】
続く時間の欠片を 集めている。
もうどれだけ拾ったか分からない。
白紙のノートの余白に、それでも僕は問いかけ続ける。「答えは、いつ?」
君がいなくなって、季節がいくつも通り過ぎた。
それでも、忘れることなんてなかったんだ。
【第一章:伝えられなかったこと】
部屋の隅に、まだあの時の写真がある。
笑って、少し照れて、でも確かに“幸せだった”瞬間。
でも、言葉にしない優しさなんて、
君には届かないって、気づくのが遅すぎた。
君は言っていた。
「言えないことは 言えないで良いって思えたら 軽くなれるのかな」
そのとき僕は、何も言えなかった。
【第二章:声にならない声】
誰にも見せない涙を、僕は知っていた。
でも、見て見ぬふりをしていた。
君の声の震えも、指先のかすかな揺れも。
どうして、「大丈夫?」の一言を言えなかったんだろう。
「それだけでよかった」
その一言が、どれだけの傷を癒したのか。
夜、眠れない日は、君の声を思い出す。
あの優しさも、距離も、全部。
【第三章:声が響く場所】
駅前の道。通り過ぎる風に、ふと、誰かの鼻歌が混じった。
君がよく口ずさんでいたあのメロディだった。
それだけで、時間が巻き戻った気がした。
「ただ声一つ それだけでよかった」
そう願っていたのは、僕だけじゃなかったはずだ。
【エピローグ:再会ではなく、再出発】
君はもう隣にはいない。
でも、僕は前を向いて歩いていく。
あのとき言えなかった言葉を胸に。
いつかまた会えるとしたら、その時こそ、言えるだろうか。
ありがとう、ごめんね、そして—
「またね」 と
どうでした?やって欲しい曲があったらファンレターに書いて送ってください!
レオ
最初に会ったのは、まだ君の手が僕よりも小さかった頃。
ガラス越しに見上げた君の目が、少しだけ震えていたのを覚えている。
それでも僕の前にしゃがんで、震える手を伸ばしてくれた。
あのときの君の声が、僕にとってのはじまりだった。
「レオって名前、似合うでしょ?」
名前をもらったのは初めてだった。
それがどれだけ嬉しかったか、君にはわからないだろうけど。
君は僕に世界の全部を見せてくれた。
木漏れ日の下で走った日。
お腹を見せて笑った日。
大きな雷の夜、布団の中でそっと僕を抱き寄せたことも。
その全部が宝物だった。
だけどね、君が大きくなるにつれて、
部屋の中から聞こえる笑い声が、少しずつ僕の知らないものになっていった。
誰かの香りを纏って帰ってくるようになって、
声も、触れる時間も、どんどん減っていった。
わかってるよ。
君の世界は、僕の知らないところで広がってるって。
それでもね、待つことしかできないこの体では、
「おかえり」の一言が、どれだけの救いになるか――
名前を呼んでほしいって、思ってしまうんだ。
呼ばれるたび、僕は“君の犬”に戻れる気がするから。
やがて君が、知らない人と暮らすって言った日。
その夜、君は久しぶりに僕の毛を撫でてくれたね。
あの日と同じ優しい手だった。
でも、触れるその指先に、もう僕を預ける未来がないことを
僕は、感じ取ってしまった。
「ありがとう」って、言ったつもりだった。
君には聞こえなかったかもしれないけれど。
もうすぐ眠るんだと思う。
でも、怖くはないよ。
君がくれた時間は、全部僕の中で生きてるから。
だから、最後に一つだけお願い。
僕の名前を――もう一度、呼んで。
それだけで、ちゃんと笑って眠れるから
【曲パロ】秒針を噛む
あの夜、彼女は笑っていた。
夕食の途中、箸を置き、静かに泣いたあとだった。
「わかった。」
ただの言葉。
でも、その一言だけで、何かが決定的に終わってしまった。
俺はそれ以上、何も言わなかった。
謝ることも、抱きしめることもできなかった。
なぜかって?
俺も、本当はとっくに気づいていたからだ。
この生活が、偽物だってことに。
毎日同じ時間に起きて、同じ駅で降りて、同じコンビニでパンを買って。
家に帰れば、彼女がいて、テレビがついてて。
それなのに、何一つ“通じて”いなかった。
俺たちはただ、関係を演じていただけだ。
「私もそうだよ」
彼女がそう言った夜。
それは慰めなんかじゃなかった。
ただの“足し算”だった。
お互いの嘘を掛け合わせた、積み重ねの果て。
俺は逃げた。
灰のような感情に潜って、時間の音に耳を塞いで、
白昼夢の中で“本当”を探そうとした。
でも何一つ壊れない。止まらない。
時間は、俺を置いて行った。
何が「わかり合う」だ。
そんな○印、どこにもなかった。
謝られても、許される資格なんてないくせに。
それをわかってて、彼女は謝らなかった。
俺が投げた言葉たちは、形を持たないまま、床に落ちていった。
誰にも拾われず、踏みつぶされる。
「なんでも受け止める」って言ってたな、あの子。
だけど、ほんとはもう限界だったんだ。
俺のためじゃなかった。
それでも、彼女に守られていたことに、気づいてしまった。
遅すぎたんだ。
ある日、彼女の部屋に行った。
もう住んでいないその部屋は、空気さえも閉じていた。
窓もカーテンも開いていない。
俺の心と同じだった。
俺はそこに立ち尽くし、声を出さずに泣いた。
過呼吸みたいな静寂の中で。
「僕って、いるのかな?」
答えは返ってこない。
だけど、問いだけは何度も浮かぶ。
俺はまだ、誰かを信じたいと思ってしまっていた。
信じることでしか、自分の存在を確認できなかったから。
あの時、奪って、隠して、忘れたかった。
彼女の全部を。
けれど、本当は——
最後まで、彼女に話したかったんだ。
「疑うだけの僕を、どうして…」
それはきっと、俺自身への問いだった。
救いきれない俺の嘘に、誰かが頷いてくれると信じていた。
でも、もう遅い。
空は晴れていた。
まるで全部が終わったあとの、静かな朝のように。
``ハレタ レイラ’’
俺の知っている、最後の彼女の名前だった。
リクエストを頂きました!有難うございました!