閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
こんな日々が続けばいいのに。
[織田作side]
今日は朝から雨が降って居る。
その雨は先刻から更に強くなった様だ。
私が傘もささず雨の真ん中を走り抜けていると云うのに容赦無く降り続ける。
ん…何故雨の中傘もささず走っているのか?
理由は只一つ。「今日は自殺をするのに丁度良い日だね」と云いながら自宅とは反対方向へ歩いていったと安吾がもらしたからだ。
あいつならやりかねん、と思い近くの川を見て回っている。だが、何処にもいない。残るは、あと一つ。
---
…矢張り。
水面から足が二つ、伸びている。
入水自殺、と云うらしい。少し前太宰に熱弁されたのだ。正直よく分からぬが。
あぁ、其れより太宰を助け出さなければ。流石の太宰も死んでしまう。
駆け寄り、足を持って川から引っこ抜いた。
暫くうつ伏せで何かを呟いた後此方を見、
「あぁ、織田作か。」と太宰は云い、
「又死ねなかった」と肩を竦めて地面に生えた草を指に絡めて遊んでいる。まるで5歳か其処らの子供の様だ。
だが私にとって自殺より気にしていることは太宰の体が冷え切っている事だ。
「そんなことより太宰。風邪を引くぞ。俺のうちへ来い。体を暖めるぞ」
「えぇ〜めんどくさーい動きたくなーい織田作おぶってよーねぇ〜え〜」
再び子供の様な言い草でバタバタと手や足を打ちつけている。
「はぁ…分かった。分かったから立て。」
「やった〜!」
私はその姿に根負けし、太宰をおぶって歩き出した。
---
「おぉ〜!!此処が織田作の家か〜!…本ばかりだぁ〜…」
「良いから早く風呂へ入れ」
目を輝かせて家を走り回る太宰を風呂場へ突っ込んだ。
居間へ行き、読みかけていた本を少し読み進め、
「俺も着替えるか。」
そう思い立ち上がった時。
ガシャーン!
「っ…」
私は声にならない声をあげ先刻いた場所へ倒れ込んだ。
心なしか体は冷え切っているが頭は熱く、重い。
「凄い音がしたけど新しい自殺方法かい…って、織田作!?」
丁度風呂から出てきた太宰が此方へ駆け寄ってきた。
問いかけに対し受け答えする気力も残って居なかった。