編集者:一李媛
小説です。普通の。そしてAI小説です。
オリキャラ紹介のキャラ中心です。
こっちの、編集者名は一李媛(いりおん)でいかせてもらいます。
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目次
萩沙は何を見たのか
夕暮れの公園。少し肌寒くなってきたから、上着の袖をぎゅっと握って二人の後ろを歩いていた。
私の視界には、160cmの二人の背中。148cmの私から見れば、それは少しだけ高い壁みたいで。
「紺、あっちのベンチ座る?」
「ん、萩花が隣ならどこでもいいよ」
そんな、いつもの甘い会話。そこまでは良かった。
二人がベンチに腰を下ろして、ふっと空気が変わった瞬間、私は足を止めた。
紺ちゃんが、萩花ちゃんの頬を包み込む。
萩花ちゃんは、拒絶するどころか、とろんとした目でそれを受け入れている。
夕陽が二人の輪郭をオレンジ色に縁取って、まるで映画のワンシーンみたいに綺麗で……。
(……あ、待って。これ、見ていいやつ?)
そう思ったときには、もう遅かった。
吸い寄せられるように二人の距離がゼロになる。
重なった唇から、小さく「ちゅっ」て、甘くて、柔らかくて、心臓に直接響くような音がした。
「……っ!」
心臓が跳ねた。
情緒が、一気に崖から突き落とされる。
16歳。私より年下の二人が、あんなに迷いなく、お互いの体温を確かめ合ってる。
萩花ちゃんの作るお菓子より、ずっと、ずっと甘い匂いがそこから漂ってきそうで。
胸が苦しい。尊いのか、羨ましいのか、それとも中気したのか分からない。
視界がちかちかする。私は震える手で、ポケットから使い古したメモ帳をひり出した。
【メモ:17時14分。公園のベンチ。散歩とは、魂を混ぜ合わせる儀式だった。無理。】
「……はぁ、はぁ……。に、二人とも……まだ、終わらないの……?」
私は顔を真っ赤にして、メモ帳で顔を半分隠しながら、溶けそうな情緒を必死に繋ぎ止めていた。
奥一と夜空の某日
「……おい、そこ座ると汚れるぞ」
奥一が土のついた軍手で顔の汗を拭いながら、背後に声をかける。
そこには、農作業用のコンテナを勝手に椅子代わりにして、最新のファッション誌を広げている夜空がいた。
「大丈夫だよ、これ奥くんのジャージ借りてるし。汚れたら洗ってね?」
夜空は小さな体を丸め、ページをめくりながらケラケラと笑う。
奥一は「チッ、勝手に持ち出しやがって……」と毒づくが、彼女が自分のぶかぶかのジャージの袖を折って着ている姿を見て、それ以上は何も言えなくなる。
「それより見てよ奥くん。今年のトレンドは『ボタニカル』だって。ほら、このモデルさんが持ってる葉っぱ、奥くんがさっき引っこ抜いた雑草に似てない?」
「……一緒にするな。それはただのペンペン草だ。こっちは食用だ」
奥一は溜息をつきながら、収穫したばかりの完熟トマトをバケツの水でジャブジャブと洗う。
そして、一番形のいい、真っ赤な実を一つ、無造作に夜空の鼻先に突き出した。
「ほら。……食うだろ」
「えー、洗いたて? 冷たーい! ……ん、甘い! 奥くんのトマト、見た目は地味なのに味だけはいいよね」
「『だけ』は余計だ。……っていうか、お前、口の端に種ついてるぞ」
「取って」
夜空が当然のように顔を突き出すと、奥一は「……手、汚れてるから無理だ」と顔を背ける。
だが、結局は綺麗なタオルを持ってきて、ぶつぶつ文句を言いながらも、壊れ物を扱うような手つきで彼女の頬を拭ってやるのだった。
「奥くんってさ、口は悪いけど手は優しいよね。そういうとこ、嫌いじゃないよ?」
上目遣いで、確信犯的に笑みを浮かべる夜空。
奥一は耳を少し赤くして、逃げるように再び鍬を握り直した。
「……うるさい。雑誌読んでるなら黙ってろ」
「はーい。じゃあ次は、この服に合う野菜、収穫してきてね?」
「……分かったよ」