義理の双子の晴陽は、持病を持っているけれどとても明るい。
ある日、発作で晴陽が死んでしまう。
いろいろな“フリ”をして身を守っているが本当は暗い澄は、死も経てどう変わっていくのか…?
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空色太陽と灰色の私 〜1〜
最近書いてたお話なんですけど。
今スランプ気味で。面白くなかったら申し訳ありません。
しばらく書いてなくてすみませんでした〜。
「澄、今日からこの人がお母さんだよ。」
「お母さん?」
お父さんがある日、そう言った。
お母さん。__やっと、帰ってきたんだ!
今日から、この人が、という言葉に違和感を覚えながらも、私は、お母さんに飛びつこうとした。けど……
「あらあら」
そう言ってきたのは、私の知ってるお母さんじゃなかった。
「__お母、さん?」
どうして?お母さんじゃない。これは、私のお母さんじゃない。
「そう、お母さんだ」
「澄ちゃん。初めまして。いいお母さんになれるかわからないけど、頑張るわね。あと、澄ちゃん。この子、私の子なの……これからは姉妹よ。晴陽っていうの。仲良くしてあげてね」
よくわからなかったけど、もう、私のお母さんが“お母さん”じゃなくなるのはわかった。
「……はい。」
「澄、ちゃん。いい名前だね!えーと…私、はるひ。よろしくね!」
その子はとても綺麗な子だった。笑顔がとても可愛かった。
「__澄、だよ。……よろしく、晴陽。」
晴陽は顔を輝かせて、
「じゃあ、私も澄って呼ぶ!」
って笑った。
この時から、私たちは姉妹になった。5歳の時だった。
---
「澄〜、おはよう!」
「ん、む……晴陽?…おはよう。」
この人たちの家は朝が早いのか__いや、これから“私たちの家“になるのか。
「あら、澄ちゃんおはよう。」
「うー…んぐ…おぉ…澄__」
お父さんはまだ半寝だ。
すっかり、馴染んでるな__本当の家族に見える。
そう思って、はっとした。私は、馴染んでいるだろうか。
そのあと、お父さんの様子をよく見た。
本当の家族のように楽しそうにおしゃべりをしていた。その日、私にお父さんの意識が向いたのは朝と、寝る前だけだった。居心地悪く顔色を窺っているのは、私だけだった。
寂しかった。お母さんじゃなくなった”お母さん“に会いたいと願った。
せめて、お父さんと2人のいつもの時間が欲しいと願った。
けど、叶わない。
お父さんは基本仕事、お母さんは専業主婦、晴陽は私と同じ園だから一緒に帰る_
もう、戻ってこないんだ__2度と。
幼い中で、ただそう思った。声を殺して泣いた。
もう、”お母さん“になってしまったお母さんは戻ってこないんだ。
もう、お父さんとの時間も戻ってこないんだ。
もう__戻らないんだ。
だって、時間は止まってくれないし、戻ってもくれない。進むことしか、してくれないから。
---
もう、どうしようもないんだ。
私はそう知って、精一杯この環境に合わせた。
うまく自分を変形させる術を、私は気づけば6歳か7歳の頃には身につけていた。
お父さんに変に思われない程度に、でも深い、大切な芯を、ひたすらに変え続けた。
環境に合わせた。合わないと嘆くんじゃなく、私は合わせるんだ。この人たちのために。何も知らないこの人たちのために。それは、自尊心を守るための行動であり、小さな反抗だった。
ある日、晴陽が声をかけてきた。
「ねえ澄__大丈夫?無理してない?」
「無理してるって?どういうこと?」
「なんか__辛そうに見えたから。大丈夫なの?」
「……」
__うん、平気だよ。
そう答えたつもりだった。
「__ねえ、晴陽は、平気なの?」
「平気って?」
「お父さんは?」
「__はは、そうか…もともと、お父さん、いないんだよ、私。」
晴陽は困った笑いをしたあと、そう言った。
そうか、そうか。そうだったのか。それに、晴陽は人見知りもしないだろうし__そうか。
「__そう、だったんだ。」
「澄は、そうじゃなかったんだっけ?」
「……」
どうしてそんなことを聞くんだ、どうしてそんな顔でそんなことを聞くんだ__
唇を噛み締めた。
「__多分、死んじゃったんじゃないかな?私が周りのことがわかるようになってきた__3歳くらいかな?突然、いなくなったんだ。行方不明か、それか、死んじゃったか__私には、わかんないけど。」
__だって、お父さんが言わないんだもん。私に、知る術はない。知りたくもないし。
「__そっ、か。ごめんね。」
晴陽は、言った私以上に動揺していた。
__ひどいよ、お父さん。お母さんなのかわからないけど、…ちゃんと、伝えておいてよ。
---
家族と過ごす時間はどんどん増えていった。“私”がそうしたからだ。
疲れていった。けれど、もうやめることもできなかった。
自分が具合が悪いのか、具合悪がりたいのかもわからず、それを分かってくれる誰かが__お母さんか、前までのお父さんが欲しいと願った。
もちろん、叶わなかった。
晴陽は少し心配そうに私を見ているような気もしたけれど、私はずっとそういうものから目を背けていた。
*乖離性同一性障害、みたいな感じだ。まあ、それほど酷い目を受けていなかったし、それより悪いと私は思っていたけれど。はは、矛盾してるかな?私にはちゃんと常に意識があった。意識が朦朧としてる時があっても、それは確かに私だった。
転機が起こったのは、8歳の頃だった。
私は、何も知らなかった。
今日の文字数・2058文字。
切り方、すっごい迷ったんですよ…変でしたかね?
次回もお楽しみに〜!
*乖離性同一性障害…1人の人間の中に複数の人格が現れる病気。