オーバードーズで生きるしか、道はないの。
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目次
ハサミは用途を守って使用しよう
もう嫌だって、言いたいけど。
私は深く息を吸った。
「ハサミ・・・錆びてきちゃった」
そろそろ買い替えかな、と思いながら、ハサミの刃を、皮膚に押し当てた。
「なんで、苦しいんだろ・・・」
そう呟き、ハサミを手前に動かした。
プクリ、と球体のような形で血が出てくる。
「うわ、血が垂れてる・・・」
でも、決してやめない。
だって、
こんな痛み、他の痛みより何十倍もマシだから。
---
「ねぇ、橋田さんってさぁ・・・」
私の大嫌いなクラスメイト、相沢さんが話しかけて来た。
「・・・なに?」
「なんで夏に長袖なの?」
「・・・えっと・・・」
なんでこの人はいつもいつも友達でもなんでもないのにずいずい来るの・・・
「え~?もしかしてさ~、傷でも隠してんの~?w」
「そ・・・そんなわけなんじゃん・・・!」
「分かってるって!w」
当てないでよ・・・ほっといてよ・・・。
そんな私の気持ちも知らずに、相沢はその後も私に絡み続けた。
---
「ただいま・・・」
「お帰り!」
私の妹の真紀が、玄関まで迎えに来てくれた。
「真紀、部活は?」
「今日は中学生みんな部活ないんだ~」
「そっか。じゃあ、お姉ちゃんとゲームする?」
そう質問すると、真紀は笑って「うん!」と元気よく答えた。
ピコピコ・・・
バシュン!
「よし!あとちょっとで倒せる!」
「いけいけ!」
2人でテレビゲームをしている時だけが、私の心の安らぐ時間だった。
妹は私と違って運動も出来て、勉強も出来る。ルックスも、華奢な体つきで、可愛くて。
ガラッ、
自室の引き出しを開ける。
そこには《《愛用》》しているハサミ。
今日も己を傷つける。
自分の傷を癒やすために・・・。
傷つけ、癒す。