平凡すぎる中学2年生の私、楓(かえで)は、
朝起きると人気RPGゲーム『コロタ冒険日記』に入り込んでいた!!
え、めっっっっっちゃそのゲーム大好きなんですけど。
しかも、見た目が私が決めたアバター。
え?私、「コロタ村」の英雄?え、なんもできないのに?そんなの無理〜!!!
あ、それならいっそのこと逃げればいいんじゃない?!
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目次
①平凡ちゃんの毎日っ…!!
はい、ではこの漢字読めますか?読めますよね????」
先生はそう言って黒板の文字を棒でカツカツ叩く。
中学校の漢字…「嵐」。え、読めるかなあ…?
「訓読みは読めますよね?じゃあ、音読みは?」
え、知らないよそんなの。すると、秀才の子が手を挙げる。
「ラン です」
「おー。さすがですねえ、また“平凡さん”は解けなかったんですね?」
先生にそう言われて、みんなドッと笑う。私は、恥ずかしすぎて顔を赤くしまくった。
---
私・|楓《カエデ》は恋愛、勉強、スポーツ、運が全て平凡。
恋愛は、しない。
大体の人がわかる問題はわかるし、わからないものはわからない。
体力テストも記録は平均値とピッタリ。
運は、おみくじが大体小吉。
まじで、平凡を超えた平凡。
そのため、あだ名が……「平凡ちゃん」。
ついに憧れの国語の先生にもそう呼ばれるとは……。でも、平凡じゃないとこだってあるんだぞ。
私は……
---
宿題を人並みの時間で終わらせ、明日の準備も人並みに終わらせた後。
私はミニテンドンスイッチの電源を入れた。
「うふふ、これ、まだレベル67なんだよね〜…」
私が唯一平凡じゃないもの、それは…**ゲーム**だ!
3週間前、ダウンロードソフトを買ってもらったのだ!!
ゲームの名は、今大人気のRPGゲーム「コロタ冒険日記」。
アバターを決めて、コロタ村の散策やモンスターを倒すといったことができる!!
うおおおおお…最高かッッッッ!!!!
「やっぱりクオがエグいな〜!絵柄も好きだし、これにしてよかったッッッッ…!」
前に現れたモンスターに、Aボタンを連打してビーム攻撃しまくりながら私はつぶやいた。
モンスターが倒された時、スマホの通知音が鳴った。親からである。
<「今日夜勤だから1人で留守番しておいてね♡」
「おk」>
「おおおおお…!!今日はゲームし放題だぁ!」
私は大声で叫ぶ。明日は祝日だし、夜通しゲームすっぞ!!!
---
…は、流石に無理だった……。
深夜1時。睡魔が私をゴオゴオ…と襲ってきた。
(1時間前くらいから予兆はあったけど…まだ…やろう…)
すると、通知音が鳴ってきた。
<「起きてたら返信してね〜♪実は、仕事が長引いたから今日はおばあちゃんの家に泊まるね★」
「おk」>
おお…また帰ってくる時間が延びた。じゃあ、せっかくならまだゲームしよっ。
…と、思ったものの。眠くなってきた…。
無理は、禁物だ。じゃあ、寝よう。
私は眠りについた。
②転生!!!…え?
目を覚ますと、ベッドで寝転がっていた。
そうだ、昨日ミニテンドンやりまくって…楽しかった…。
まだ親は帰ってきていない。じゃあ、またやろうか…でも眠い…。
でも、昨日ミニテンドン電源切ったっけ?私は寝ぼけてよろよろ歩く。
何かにつまずき、ガッと転ぶ。頭に何か当たり、痛い振動が走りまくる。
(うわっ、これ頭打ってるパターンなんじゃないn)
頭ズキズキしまくりながら、意識が途切れた。
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目を覚ますと、そこはRPGゲームに出てきそうな世界にいた。
茶色っぽい屋根の家。看板が壁に吊るされている商店。石畳の道。前をみると奥の方に森がある。
私、これ見たことある!!!RPGゲーム『コロタ冒険日記』の世界観じゃないか!!
最近の天国にはこう言う世界もあるんだな〜。
私、きっとなにかすごいものに転んだ時頭ぶつけたから脳内出血で死ぬんだろうなあ。
**「お前の転生方法バカすぎじゃね?!」**
いきなり、後ろから叫ばれた。
後ろには、太陽の塔をそのままゆるくさせてちっちゃくしたようなキャラクターがいた。
こ、コイツは!!「たいよーのとー」じゃないか!!!
ゲームの中では「人間界からやってきた設定の主人公を案内する」役になっている。
「て、転生?」
「うん、君はミニテンドンに頭をぶつけたんだ!そしてそのまま転生したのだこの“コロタ冒険日記”という異世界にッッッッ」
たいよーのとーはくっそ早口でそう言うと、バタッと倒れた。
「……………」
たいよーのとーは任務を果たしたっぽい。
これからは、私だけで生きていくのだ。と思ったらむくりとたいよーのとーが起き上がった。
「君の住む場所教えてなかったね。あと、君は今日から“カエデ”だよ」
前とおんなじ名前。
でも、今日からってことは何か変わってるのかな、と思ったら容姿自体が変わっていた。
魔女のマントを着た、半ズボンの少女。
でも、ちゃんと「魔女」に見える。
あ、これ私のアバターだわ。
石畳に溜まった水たまりに目を落とす。
顔は美人になっていて(設定した自分に感謝!)、髪の毛も紺色のストレートロングヘア。
私は自分に見惚れたあと、家へ向かった。
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家のデザインは中世ヨーロッパ!周りの家に合わせて茶色屋根。
中には、自分が人間界で愛用していた道具が置いてあった。ただ。ミニテンドンスイッチがない。
「流石に生活は苦痛に思えちゃうかもだから君の世界の道具を置いておいたよ!」
そう言ってたいよーのとーは去っていった。
自分がどうなったのかとか、死んでないのかとか、そう言うのは気になるけど…
異世界(ゲーム内)ライフも、めちゃくちゃ気になる。
私は、これからの暮らしが楽しみに思えた。
…が、でもそれって、ゲーム内のようにモンスター討伐班として討伐して、英雄に…?!
しかも、私は一回「異世界への転生のススメ」というものをよんだとき
「魔力は人間界の時の自分の“強さ”を引き継いだもの」って書かれてたよな?
私は、平凡。だから、魔法も平凡になっちゃうんじゃない?!
**今すぐにでも逃げたいよ〜ッッッッ!**