___動物と人間には、大きな絆が生まれる___。
最近始動した配信者達の会社、『animal universe』。
そこに所属する30人のタレント達には、共通する秘密があり・・・。
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目次
壱
蓮「ちぃちゃーん!ただいまー!」
ちい「ワンワン!」
まじめにヤバシティのメンバーである|小野田蓮《おのだれん》(シャオロン)は、大学から帰るなり、飼っている犬・ちいに出迎えられた。
ちいは捨て犬で、拾ってきた時子犬だったため、ちいと呼ばれていた。
カバンを下ろして、ちいの餌皿に餌を補充。ちいは撒き散らすこともなく、綺麗に餌を食べ切った。
蓮「ほんまかわええなぁ、お前は」
蓮はちいの頭を撫でて呟いた。
蓮「あ、せや。撮影の準備せな・・・」
お気に入りのパソコンを開けて、蓮は先に入っていたメンバー達に話しかけた。
蓮「ショッピ〜?来たで〜」
ショッピ「お、シャオさん。今日はアニユニとのコラボやねんから、変なとこ見せられへんで」
蓮「わかっとるって。全員女の子やしなぁ」
アニユニとは、『animal universe』の略である。
最近発足したゲーム実況者達の会社で、いるメンバーは全員女性である。
シラトリ「社長のシラトリです。本日はよろしくお願いします」
鬱「一応まじヤバ代表の鬱です。こちらこそよろしくお願いします」
女性相手だからか、鬱先生のテンションはおかしいくらいに高い。
蓮(ほんまに女たらしやねんから)
まじヤバ所属の|紫雲翔《しうんしょう》(ショッピ)は、飼い猫のかすみを膝の上に乗せて、撮影に参加していた。
翔「あー!ちゃうって!・・・そこ!そっち行ったで!」
シャオロン「うわぁぁぁ⁉︎死んだんやけど⁉︎」
ネミー「シャオロンさん大丈夫⁉︎」
エーミール「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!落ちたああああ!」
シラトリ「あははははは!何これwwww!」
撮影はものすごく騒がしかったが、かすみはあくびをしながらのんびり座っていた。
翔(かすみにとってはうるさいはずやのに、おとなしいな・・・)
翔はかすみを撫でて、またゲームに集中した。
翔「あ!ダイヤありました!」
シラトリ「ナイスです!」
ふく「それでつるはし作ったら、黒曜石取れますよね」
ゾム「こっち火打石あるで〜」
相変わらずかすみは余裕そうな顔をしている。
翔(お前すごいな・・・)
かすみは喉をゴロゴロと鳴らしていた。
獣人
それは、世界のどこかにいる不思議な種族。
人間の姿と動物の姿を切り替えて、人間の世界で暮らす生物。
獣人は、動物に化けて人間界に紛れ込んでいる。
あなたのすぐそばにも、獣人はいるかもしれない・・・。
花鳥風月さんとは友達で、彼女の『ケダモノヒーローズ』にインスピレーションを受けました。
実況者バージョンも作りたいと思い、本人に許可を得て書きました。
パクリだなんだと叩くのはやめてほしいです。
by今やってるシリーズ終わってないのに新作作る馬鹿
弐
そして翌日。
翔と蓮は一緒に遊びに行こうと約束した。
誘ったのはお察しの通り、蓮の方だ。
蓮「ようショッピ」
翔「珍しいっすね、普段リアルで会うことないのに」
蓮「たまにはこういうのもええやろ?」
翔「まぁええけど・・・」
2人で出かけるのは、かなり久しぶりだった。
蓮「なかなか新鮮やなぁ、こうやって外出るの」
翔「でも、どこ行くん」
蓮「決めてない!」
翔「決めてないんすか⁉︎」
2人で笑いながらただ歩いていると、黒ずくめの男が立っていた。
翔「どうしたんやろ、あの人」
蓮「なんか怖いしほっとこ」
ところが、2人は男と目が合ってしまった。男はジャージのポケットから何かを取り出し、地面に投げつけた。
そして、その何かから巨大な怪物が現れたのだ!
2人「ぎゃああああああああ⁉︎」
2人は逃げ出した。怪物はすぐさま2人を飛び越え、前に立ち塞がる。
怪物にじりじりと追い詰められ、もう逃げ場はない。
2人が死を覚悟した、その時だった!
タタタタタタタタッ
?「はああああああああああ!」
ベージュ髪にポニーテールの少女が、怪物を思いっきり蹴った。
怪物「ギャアアアアアアアアア!」
?「うるさい。黙りなさい」
黒髪ロングの少女が後ろからやってきて、持っていた2本の刀で怪物を刺した。
蓮「・・・へ?」
翔「な、なんや?」
2人は嬉しそうに翔と蓮を見た。
?「蓮くーん!」
?「翔・・・!」
ベージュ髪の少女は満面の笑みで駆け寄り、黒髪の少女は翔に抱きついた。
蓮「あ、あの・・・君は?」
ちい「私、ちいだよ!ちなみに本名は|犬飼《いぬかい》ひかり!」
蓮「ちい⁉︎君が⁉︎」
翔「あんた誰です・・・?」
かすみ「ごめん、わかんないわよね。私はかすみ。本名は|猫宮里穂《ねこみやりほ》よ」
翔「かすみ、って・・・まさか飼い猫の⁉︎」
翔と蓮は顔を見合わせた。
2人「なんで動物が人間になってんの・・・?」
そしてアニユニでは。
社長である|白鳥奈緒《しらとりなお》(シラトリ)が他の社員達と話していると、社員の1人である|福山秋夜《ふくやまあきよ》(ふく)が外から帰ってきた。
秋夜「奈緒しゃちょー!ただいまー!」
奈緒「あら、秋夜。おかえり」
秋夜「舞音は?」
奈緒「彼ならそっちの部屋にいるわよ。お疲れみたいだし、行ってあげたら」
秋夜「はーい!ふんふーん♪」
舞音というのは、秋夜と付き合っている男性である。本名は|周防舞音《すおうまのん》といい、元々は我々だのメンバー・オスマンだった。この2人がくっついているのは社員全員が知っており、そのラブラブっぷりも知れ渡っていた。
秋夜「まのーん!」
舞音「ん?どした秋夜?」
秋夜「んふふ、大好き〜」
舞音「可愛いめぅねぇ」
秋夜「ねえ、ぎゅーしてぇ」
舞音「いいよ〜、はい」
秋夜「あったかーい」
舞音「はぁ・・・ほんまに幸せ、好き」
秋夜「ふぇ⁉︎す、好き・・・」
舞音「あっ、恥っず・・・」
秋夜「照れるから急にはやめてぇ・・・」
舞音「・・・」
チュ
秋夜「⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」
舞音「可愛い・・・」
秋夜「はひぃ・・・////」
奈緒(私は何を聞かされてるのかしら・・・)
こうして別室でイチャイチャすることも多く、もう隠す気ないだろと全員思っていた。
ひかり
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里穂
https://picrew.me/ja/image_maker/1497656/complete?cd=KSI7pxNAo1
参
ひかり視点
翔&蓮「獣人⁉︎」
ひかり「うん、そうだよ」
私と里穂は、自分達の正体を打ち明けた。
翔「獣人って、動物と人間どっちにもなれる、あれ?」
里穂「そうよ。私は猫の獣人で、ひかりは犬の獣人なのよ」
蓮「会ったことないや・・・。さっきの怪物は何なん?」
ひかり「犯罪組織『ドラゴンナイト』が開発した、遺伝子組み換えをして作られた生物兵器だよ。奴らは私達獣人を狙ってる」
里穂「私達獣人を捕まえて、見せ物にする気よ。あいつらは私達を金儲けに使う、典型的な悪者なのよね」
蓮「・・・マジか」
ひかり「あ、そうだ。他にも獣人いるんだよ。会ってみる?」
翔「そりゃ会ってみたいけど」
ひかり「里穂!GPS!」
里穂「わかったわ!」
里穂がスマホを取り出し、地図アプリを開いた。そこに表示されていた目的地は・・・。
翔&蓮「animal universe⁉︎」
里穂「そうよ。animal universeは、獣人が人間の生活に溶け込むため作った会社よ。社長であるシラトリさんは、白鳥奈緒といってハクチョウの獣人なの」
ひかり「前蓮くん達コラボしてたよね!」
蓮「知ってたんか⁉︎」
ひかり「うん!里穂に聞いてたからね」
里穂「行きましょう。あなたのよく知る人もいるはずよ」
奈緒視点
?「たのもー!」
奈緒「あら、絵斗に裕太。どうしたの?」
アニユニにやってきたのは、|天乃絵斗《あまのかいと》(ぺいんと)と|中村裕太《なかむらゆうた》(nakamu)。夫に用でもあるのかしら。
絵斗「今度実況者集めて人狼ゲーム企画してるんすよ!」
裕太「アニユニの皆さんにも参加していただきたいと思って!」
奈緒「ああ、コラボのお誘いだったのね。もちろんいいわよ。てっきりグルッペンに用事なんだと思ってたわ」
絵斗「マジすか!ありがとうございます!」
裕太「次の日曜日にやります!よろしくお願いします!」
奈緒「わかった。参加できるメンバーを募るわ」
2人は嵐のように去っていった。
奈緒「・・・何隠れてるのよ、グルッペン」
グルッペン「顔合わせるの、流石に気まずいだろう・・・」
奈緒「なんでそこで気まずいって言葉が出んのよ。2人とも喜ぶでしょうに」
まあここまで見せたから言うけど、私とグルッペンは夫婦。1年前に結婚したのよね。
年齢差はあるけど、グルッペンが3つ年上なだけだし私は気にしていない。
我々だの活動は続けてるけど、同時にこの会社の大株主でもあり、株が苦手な私は本当に助かっているわ。
肆
奈緒視点
?「シラトリさーん!」
奈緒「あら、揚羽に初夏じゃない。どうしたの?」
続けて社長室にやってきたのは、社員である|花咲揚羽《はなさきあげは》(アゲハ)、|天童初夏《てんどうういか》(ういな)だった。
揚羽「私達、これからいんくの皆さんとコラボ配信をするんです」
奈緒「あら、そうなの?」
初夏「よかったら見ててください!」
奈緒「いいわよ。でも、なんで言いに来たの?」
揚羽「由佳やみかげとも決めたことなんです。私達、獣人であることを打ち明けようと思うんです」
初夏「もちろん撮影後に言うから、世界中に流れることはないはずです」
奈緒「なるほどねぇ。私もあの人達は信頼しているから、言うのは構わないわよ。でもどうしていきなりそんなこと言い出したの?」
揚羽「私、いんくのしゅうとさんが好きなんです。前からずっと推してて・・・。けど、推しって言う感情も変わってきてる気がするんです。なので、はっきりさせるために正直に言いたいんです」
初夏「ずっと隠して接するより、ちゃんと言って嫌われた方がいいんだって。そう言うわけなんで」
奈緒「ふーん・・・わかったわ」
しゅうとくんへの気持ちがわからない・・・ねぇ。私も最初、グルッペンに対してそんな感じだったことがあったから、揚羽の思いはわかる。とは言え、グルッペンは私はが白鳥獣人であること知ってるし、いんくのみんなが嫌うはずないと思うけど。
奈緒「あ、そうだわ。nakamuくんとぺいんとくんが来たわよ。今度人狼ゲームでコラボやるんですって。参加できる?」
揚羽「できますよ」
初夏「私は無理かも・・・。すみません」
奈緒「わかったわ。他のみんなにも聞いてみるわね」
揚羽視点
ピロン
揚羽「こんにちは」
ふうはや「アゲハさん!初めまして、ふうはやです!」
揚羽「あ、アゲハです。よろしくお願いします」
私は花咲揚羽。今回のコラボを楽しみにしていた、しがない蝶獣人です。
だって、私の推しと話せるから。
私の推しはしゅうとさん。優しくて好きなものが私と同じで、年齢も割と近くて。
何より、声が亡くなった兄に似ていたの。
私には兄がいたんだけど、ドラゴンナイトの奴らに捕まって殺された。すっごく悲しくてよく泣いていたけど、いんくの動画を見て元気をもらえた。もういない兄を近くに感じられた。
でも・・・最近しゅうとさんへの思いに違和感を感じている。“推し”とは違うドキドキを感じる。
しゅうと「あの・・・どうかしたんですか?ずっと黙ってますけど」
揚羽「あ、いえ!しゅうとさんに会えて嬉しいなって!ずっと推してたんです」
ふうはや「そうなんですか!だってよ、しゅうと」
しゅうと「嬉しいです。今日はよろしくお願いします」
揚羽「こちらこそ」
今日は絶対秘密を明かすって決めたんだ。どうなってもいい。後悔はしたくないから。
伍
由佳視点
私は|兎山由佳《とやまゆか》。アニユニ所属のうさぎ獣人で、活動名は宇佐美。
今日はいんくの皆さんとコラボ配信をした。みかげも初夏も揚羽も楽しみにしていたらしい。
やったのは巨大な世界で初期リスバラバラマイクラ。揚羽は推しであるしゅうとくんと最初に合流できて、大はしゃぎしていた。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、配信は終了。カメラが止まったことを確認して、あのことを話す時が来た。
ふうはや「今日はありがとうございました。それじゃ・・・」
由佳「待って!」
抜けようとするいんく4人を引き留め、私は揚羽達に声をかけた。
由佳「アゲハ、カナ、ういな。あのこと」
アゲハ「うん」
カナ「わかってる」
ういな「これはアゲハ、あんたから言いなよ」
アゲハ「そのつもり」
いんくの4人は混乱しているのか、誰も喋らない。
沈黙の中、揚羽は口を開いた。
アゲハ「私達・・・私とういなとカナと宇佐美は、『獣人』なんです」
胡桃視点
あたしは|有栖川胡桃《ありすがわくるみ》。人より背が小さいのがコンプレックスのリス獣人。
胡桃「秋夜ちゃーん」
秋夜「なーに?」
胡桃「あたし、なんだか嫌な予感がする」
秋夜「嫌な予感?なんで?」
胡桃「友達のロボロさんが、昨日家の窓が割られてたらしいの。で、家のポストに『隠すなら関係者全員命はない』って手紙が入ってたんだって」
秋夜「何それ⁉︎やば⁉︎」
胡桃「隠すって、多分あたし達のことだよね・・・。ロボロさん達があたし達獣人のこと知ってると思ってるんだ」
秋夜「もしかして、ドラゴンナイトがすぐそこにいるのかな・・・?」
もしそうだとしたらまずい。獣人のことを知ってるのは、グルッペンさんのみ。多分これからいんくの4人も増えるだろうけど。
それでロボロさん達がもし襲撃されたら・・・⁉︎
胡桃「どうしよう、大変なことになっちゃう!」
秋夜「どうにかできないの⁉︎舞音が死ぬのは嫌だよ!」
胡桃「そんなこと言われたって、本当かどうかわかんないよ!」
奈緒「何騒いでるの?」
あたし達の声を聞いて、白鳥社長が来た。あたしは社長にロボロさんのことを話した。
奈緒「なるほど・・・。本当なら大変なことが起こるわね」
胡桃「どうしますか?あたし達の秘密バラしますか?」
奈緒「そうするしかないかもしれないわ。でも、メンバー達の中にドラゴンナイトの人間がいる可能性も捨てきれないわよ?慎重にならないといけないわね」
秋夜「どうするの?私は舞音が生きてるならそれでいいんだけど・・・」
奈緒「そうね。一旦様子見するしかないわ」
白鳥社長の言いたいこともわからなくはない。一抹の不安を捨てきれないまま、あたしは納得するしかなかった。
陸
奈緒視点
配信が無事に終わって一息ついた頃、ひかりと里穂が帰ってきた。
今まで一体どこにいたのやら・・・。
奈緒「2人ともどこにいたのよ?心配したんだから」
里穂「ドラゴンナイトの刺客に見つかって、逃げ回っていたら翔に拾われたの」
ひかり「同じく。ちなみに蓮くんと翔さん来てるよ」
奈緒「あら、そうなの?」
翔「あ、どうも。翔です」
蓮「蓮です」
奈緒「2人がひかりと里穂を助けてくれたのね。獣人のことは聞いてる?」
翔&蓮「はい」
奈緒「なるほどね。わかったわ。2人ともありがとう。翔くんに蓮くんって言ったかしら」
2人はうんうんと頷く。
奈緒「私が社長のシラトリよ。来週のコラボもよろしく頼むわね。ひかりと里穂は引き取らせてもらうわ」
翔「わかりました」
奈緒「匿ってくれてありがとう。このことは他の人には秘密よ」
蓮「もちろん、約束します」
みかげ視点
ふうはや「獣人って・・・。どう言うこと?」
揚羽「簡単に言えば、動物と人間の姿を切り替えられるんです。誰にもバレないように姿を切り替えて暮らしています」
りもこん「そんなの聞いたことないけど・・・?」
私・|戸塚《とづか》みかげ、現在修羅場です。
本当のこと言うって決めたはいいけど、気まずすぎます、はい。
みかげ(まぁこんなこと言われても、信じられるわけないか)
そうだよね。見てみなきゃ信じられないよね・・・。
初夏「詳しく知りたければ、明日アニユニに来て。シラトリさんに話つけとくから」
揚羽「私は覚悟を持ってこれを言ってるんです。気味悪がるならそれで構いません」
揚羽は全てを諦めたような口調。なんとなくそれを察したのか、ふうはやさんが口を開いた。
ふうはや「俺は信じますよ」
揚羽「ほんとですか⁉︎」
ふうはや「今回の撮影やってて、アゲハさんが嘘つくようには思えないなって思って」
揚羽「ありがとうございます。信じてくれて嬉しいです」
とりあえず一件落着・・・なのかな?
胡桃視点
やっぱり嫌な予感しかしない。
どこかにドラゴンナイトがいて、あたし達を狙ってるの?
どうしようもないので、らっだぁ運営のシェアハウスに行ってみるかな・・・。あそこには親友のみどりんがいるし。
そう思って、家の扉を叩いてみる。返事はない。
胡桃「みどりん?れうさん?みんなどうした、の・・・」
鍵が開いてる。なんで・・・?
なんとなく入った方がいい気がして、扉を開けて中を覗いて・・・あたしは言葉が出なかった。
胡桃「みんな・・・?」
あたしの目の前に広がっていた光景は・・・。
赤く染まった5人が、倒れている姿だった_________
漆
ひかり視点
胡桃から連絡が来た。
それを聞いた私は、いてもたってもいられなくなって、蓮くんの家に向かった。
蓮くんの家についた私は、扉の取っ手に手をかけた。・・・開いてる⁉︎
ひかり「蓮くん!」
リビングに着いた時、私の脳は理解を拒んだ。
蓮くんの首をがっちり掴んでいる手と、浮き上がっている足が視界に入った時、私はようやく状況を理解できた・・・。
ひかり「蓮くんっ⁉︎」
蓮くんは何者かに首を締め上げられていたんだ!
ひかり**「その手を離せっ!!」**
気がつくと、私はそいつを蹴倒して、馬乗りになっていた。
ひかり「あんた、私を助けてくれた大事な人に、手出したね」
自分でもびっくりするくらい低い声が出た。
ひかり「なんで蓮くんを狙ったの」
⁇「・・・」
ひかり**「答えろ!」**
⁇「ひいぃっ⁉︎獣人と関わりがある者は全員殺すか、計画に協力させろ・・・とボスに命令されました・・・!」
ひかり「そう。ありがと」
私はおさまらない怒りに身を任せ、ガムテープでそいつをぐるぐる巻きにしてやった。
ひかり「蓮くん!大丈夫⁉︎」
蓮「あ・・・ひ、ひかり・・・ちゃん?」
ひかり「蓮くんっ!」
よかった、蓮くん生きてる・・・!
安心してしまって、涙が溢れてきた。
蓮「ひかりちゃん⁉︎」
ひかり「うわあぁぁぁん・・・良かったよぉ・・・」
胡桃が「らっだぁ運営の人達が大怪我して倒れてる」って言ってくれなかったら、蓮くんはどうなってたんだろう・・・?想像したくもない。
梅視点
梅「これはひどい・・・。すぐ治すね」
秋夜の妹である私・|福山梅《ふくやまうめ》は、胡桃から貰った連絡を見て飛んできた。
かろうじて全員生きてはいるけど、もう虫の息だ・・・。
梅「『フグ特性・回復薬』」
私はフグ獣人・・・。毒を使える特性があり、応用すれば回復薬も作れる便利な特性。
胡桃「みどりん、れうくん!お願い・・・起きて!」
回復薬が効いたのか、体の傷は完全に塞がった。そして、どんどんみんな起き上がっていく。
胡桃「よかった・・・ほんとに心臓止まったかと思った」
レウクラウド「あれ・・・?」
らっだぁ「俺たち、あいつに切られたんじゃ・・・」
大丈夫みたいだ。無事に起きてくれたしピンピンしている。
梅「私、福山梅です。アニユニでは|梅花《ばいか》で活動しています。誰にやられたのかわかりますか?」
緑色「エート・・・クロズクメダツタヨ」
きょー「十字架のネックレスを持ってた。体格からして男かも」
コンタミ「それから、ちらっと見えた顔に傷がありました」
私は胡桃と顔を見合わせた。
黒ずくめで十字架のネックレス・・・ドラゴンナイトの特徴だ。
間違いない、らっだぁ運営を襲ったのはドラゴンナイトだ!
捌
梅視点
梅「ありがとう、胡桃。あんたがいなかったら、手遅れになるとこだったよ」
胡桃「焦った・・・。もう間に合わないかって思っちゃった」
とりあえず最初の襲撃は乗り切った。問題はここから・・・。
梅「次に襲撃があるかどうか、そこで対策を変えなきゃならないからね」
胡桃「ロボロさんの家、すっごい荒らされてたらしいよ。本人はアニユニに行ってたから無事だったみたいだけど」
梅「ひとまず、しばらく襲撃されることはないだろう。今度の人狼RPGコラボに向けて、準備をしないとね」
胡桃「そうだね」
実夏視点
私はイルカ獣人の|入鹿実夏《いるかみなつ》、アニユニではドールという名前で活動しています。
ある日人狼コラボ企画に誘われて、アニユニ代表で参加することにしたんだ。
参加メンバーは30人、めちゃくちゃ多いよね。開催者のぺいんとさん達もびっくりしてた。
ちなみに、アニユニ代表メンバーは、私・実夏、カワハギ獣人の|川崎萩《かわさきはぎ》、クリオネ獣人の|栗尾寧々《くりおねね》、カマキリ獣人の|鎌田桐乃《かまだきりの》、蝶獣人の花咲揚羽、イモリ獣人の|井森遥《いもりはるか》の6人。他にも予定空いてるメンバーはいたけど、6人しか参加できなかったからこうなった。
ぺいんと「それではこれより、人狼RPG特別編を開催します!」
ルールは簡単。今までの人狼RPGを5回戦やって優勝チームを決めるよ。
人狼は4人、狂人が1人、狼憑はなし。吸血鬼は2人だよ。
最初は村人がいいなぁ。
・・・と思ってるうちに、ゲームスタート!役職は村人だ。
人狼と吸血鬼を全員倒さなきゃいけないんだね!
実夏「よろしくお願いします!」
話しかけたら、たくさん返事が返ってきた。この中に人狼が・・・。
初日はやることもないし、色々世間話をして夜のターンへ。
無言でスケルトンを倒していたら、いつの間にか11個もエメラルドが溜まっていた。
占いを二つ買い、残りは食料に交換。誰を占おうかな?
私の推しだし、きんときさんにしよ!えーと、きんときさんは村人!
よかった・・・。推しと戦うなんて嫌だったからね。
とりあえず、朝のターンまで待ってよう。
・・・おっ、朝になった!
実夏「おはようございまーす」
めちゃくちゃ人がいるからか、音割れがすんごいことになってる。まずは占い結果を!
実夏「エメラルドがすっごい溜まったので、占い使いました!きんときさんは村人だそうです」
きんとき「じゃあ俺、今ドールさん占います、一個あるんで。・・・白です」
やった!私もきんときさんも白確だ!
もう一個占い残ってるけど、どうしようかな?
よし、次はトラゾーさん占お!