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目次
【タイトル未定】第一話
今日はくもがひとつもない、カラッと晴れたいい天気。
春ながらの暖かい風に当たりながら、今日は何をするか考えた。
「今日は少し、城下町まで散歩してみようかしら。」
そう呟いた私は、たまたま近くを通りかかった召使いに、
「少し散歩をしたいから着物を用意してちょうだい。」
と、声をかけた。
---
数分後、召使いが着物を持って帰ってきた。
私はそれを受け取り、早速着替えた。
召使いは、目立たない、庶民のような着物を持ってきてくれた。
確かに、普段の華やかな裳裾では目立ってしまうかも。
あくまで散歩なので、目立たないように準備をした。
床につくくらい長い髪も、後ろで緩く結ぶだけにした。
---
城門をくぐると、いつもの城下町の景色が広がる。
赤い提灯が軒先で揺れ、行き交う人々の笑い声や掛け声が柔らかく響いていた。
(うん、今日もみんな幸せそうね。)
街並みを眺めながらゆっくり歩いていると、ふと、声が聞こえた気がした。
よくよく耳を澄ませてもはっきりとは分からない。
だが、確かにうっすらと人の声が聞こえる。
(辿ってみよう)
立ち止まり、声のする方向へ歩みを進める。
曲がり角をひとつ、またひとつと越えていくと、次第にその声ははっきりとした形になった。
声がする場所には、古びた家があった。
もはや誰も住んでいないように見えるが、扉の奥から確かに声が漏れてくる。
私は息を呑んだ。
「何が行われているのかしら、、?」
思わず小さく呟く。
少し迷ったが、声の正体を確かめたくて、ゆっくりとその家の前に立った。
---
古い木の扉に手をかけると、軽く軋む音が響く。
呼吸を整え、扉を押し開くと、中からざわざわとした人々の声が広がった。
(ここ……一体、何が行われているの……?)
私は心の中でつぶやき、立ち止まる。
「すみません、ここって、どういった場所なのですか?」
近くにいた人に聞いてみた。すると、
「あれ、初めての方ですか?ここは闇オークション会場ですよ。」
(え………?)
「あ、、、ありがとうございます。」
「いえ!楽しんでいってくださいね!」
、、、どうやら、この場所が闇オークションの会場らしい。
人々のざわめきが、微かに、でも確かに私の胸を締め付ける。
服装が偶然庶民風だったおかげで、誰も私が傑物、、しかも当主だとは気づかないようだ。
警戒しながらも、私は会場の奥へ進んだ。
まだ、このとき私は知らなかった。
ここで目にする光景が、これからの私の運命を大きく変えることになるなんて――。
えー、、、名前募集中です☆
※一応傑物は一番上の階級です。
第2話
会場の奥へ進むと、薄暗い大広間が広がっていた。
人々のざわめき、かすかな笑い声、札を掲げる音。
まるで別世界に迷い込んだようだった。
心の奥がぎゅっと締め付けられる。
「……どうして、こんなことが行われているのかしら……」
私は小さく呟き、視線を巡らせた。
奥には、次々と鎖に繋がれた子どもたちが商品として並ばされていた。
小さな体を震わせ、怯えた目で周囲を見回す子。大声で泣き叫ぶ子。
そんな子達を巡って必死に札を競り合う人々。
ーーーあぁ、全てに胸が痛むなぁ
---
会場の中央で司会者が声を張り上げる。
「次の商品はこちら、12歳の男の子です!」
子どもが連れ出され、台の上に立たされる。
もはや立つ気力もなく、目は恐怖で泳いでいる。
会場は歓声と拍手でざわめき、札を上げる手が次々に挙がった。
私は息を詰め、手元の扇子を握りしめる。
この中の誰かを助けたい。
胸の奥が熱くなる。
私にできることは――そう、落札して幸せにしてあげることだけだ。
そう私が考えているうちに、あの少年は売れたみたいだ。
次に連れ出されたのは二人の少年。
小柄で、怯えた表情。
台に立たされると、体を小さく丸めて座り、俯いたまま動かない。
会場の光に照らされ、髪や肌の色が際立つ。
どちらもまだ名前もない、ただの“商品”だった。
司会者が声を張る。
「さあ、本日の目玉の少年二人セットです!入札開始!」
私はすっと息を吸い、心を決めた。
周囲の人々の札も声も、金額も気にしない。
ただ、この二人を、今この場から連れ出す。
それだけを考えた。
札が上がるたび、胸の奥が痛む。
子どもたちはただ、抵抗もできず、ただ台の上で震えている。
誰も助けてくれないこの場で、必死にもがくしかないのだ。
(絶対に落札してやる)
私は声を落ち着け、札を上げる。
それをみた周りの人々が、負けじと高値で交渉する。
、、、そんな額で私が諦めるわけないのに。
大きく息を吸って、凛とした声で私は言った。
「5000億。」
と___
---
私の出した高値より上に行く人はおらず、私は無事、二人を落札した。
台の上で俯いている少年たちはまだ警戒した目を向けていた。
少し動けば鎖同士が当たる音が響く。
今はまだ、ただの“商品”として扱われている少年たち。
(この子達を救うことはできるのかしら、、)
私は心の中で静かに呟いた。
(大丈夫よ。もう怖がらなくていい。)
その場のざわめきが少しずつ遠くなっていくように感じた。
二人の体の小さな震えを見ながら、私は決意を新たにした。
これから先、どうなるかはわからない。
でも、これからは、私の手で彼らを守るのだ___
第3話
会場のざわめきの中、私はそっと台に近づいた。
二人の少年はまだ硬い表情のまま、少し俯いている。
少し、ふわんそうな表情だった。
「大丈夫……もう怖くないよ。」
小さな声でそう呟きながら、私は手を差し伸べる。
二人の目がわずかにこちらを向く。
少し、驚いたような目をしていた。
無言のままだが、体が少しだけ緊張を緩めたように見えた。
司会者が周囲の札を確認しながら、「落札者は商品を持っていってください!」と声を張り上げる。
瞬間、会場のざわめきが少し収まった。
私は深く息を吸い、少年たちの手をそっと取り、静かに台から降ろした。
「……こ、ここから……出してくれるの、、?」
少年から発されたかすれた声に、私は驚きながらも小さく頷く。
「そうよ。もう、ここで怖い思いをする必要はないわ。」
---
会場を後にする道すがら、視界の片隅で他の子どもたちがまだ台の上で怯えているのが見えた。
何度も胸が締め付けられる。
だが、今は目の前の二人を守ることだけに集中するしかない。
通りを抜けると、城へ戻るための馬車が待っていた。
目立たないよう、幌の低い簡素な馬車だ。
、、、馬車な時点で目立つと思うのだけど、、、
私の隣にいた少年2人は驚いていた。
そりゃそうよね。馬車なんて、傑物の一族しか持っていないもの。
馬車のドアを開け、二人をそっと席に座らせ、私も席に着いた。
---
馬車が発進した。
外の景色がゆっくりと流れる。
城下町の喧騒も、遠ざかるにつれて静かになっていく。
そんなことを思いながら、2人に話しかけてみた。
「あなた達、名前は?」
「「、、、」」
「………ないのね、、」
私はそっと呟く。
二人の目を見ながら、まだ名前をつける段階ではないことを確認する。
ここで決める必要はない。
ただ、この馬車の中では、二人が少しでも安心できる空間にすることだけを考えた。
「あとで私が考えてあげるわね」
言葉を選びながら話すと、二人は少し肩の力を抜いたように見えた。
まだ警戒はしているが、少なくとも逃げ出したいという感情は和らいだようだ。
---
馬車が城に近づくにつれ、心臓の鼓動が速くなる。
無事に帰れたとしても、ここから先の生活はどうなるのか、まだわからない。
だけど、今はただ、二人を守るためにできることをするしかない。
「もう少しで、城に着くわよ。」
私は優しく声をかける。
二人の小さな手を握り、そっと背中をさすった。
二人の小さな体が少しずつ私に寄り添う。
身長の割に体が細い。
あまりご飯を食べさせてもらえなかったせいだろう。
この瞬間、私は決意した。
ここからが、本当の戦いの始まり――。
城が見えてくる。
馬車の窓越しに、かすかに高い城壁が見えた。
二人を守るための新しい日々が、もうすぐ始まる――。