親に捨てられ、一人で育ったミリン。
ミリンには呪いがかかっていて…
魔法世界×冒険の物語!
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目次
愛という名の呪い。 1話
新シリーズ始動。
「…あいつって呪われた子だっけ?」
「近づいたら4ぬんじゃね?w」
「不気味…」
「関わりたくないなぁ」
そんな言葉は今までも当たり前のように浴びてきた。
呪いって言っても、全然不自由でもないのに。
そもそもこの世の中は魔法も使えるっていうのになんで怖がるの?
全てが嫌になって…どうしようもなくなって…
「誰か、私の呪いを治してよ…」
俯いて、呟いた。
「助けを求めるの最適例なの?」
「え?」
顔を上げるとそこには黒髪ロングの少女…いや、同じ学年であろうやつが立っていた。
「だから、助けを求めるのが最適例なのかって聞いてるの。」
「…どうせあんたも自分で治せって言うんでしょ?そんなの目に見えてる。」
「その通り、自分で治したらいいんじゃない?」
「そんなの学校も退学しなきゃいけないからな…」
「でもあなたは魔法能力が高いでしょ?なんなら私も手伝いたいからね。」
「…なんでそれが分かった。」
「魔法能力が視えるからだよ。」
「その能力って…」
魔法能力が視えるのは私の家…美藤家以外で使えないはず。
「その能力は、私の家でしか使えない能力じゃないのか。」
「そうだね、流石『美藤アイヌ』は推理力も高いね、すごいよ。
…私は|清藤《きよふじ》ライヴ。呼び捨てで呼んでね。美藤本家の分家の娘!」
私の名前も|美藤《みふじ》アイヌで合ってる。
分家、か。苗字は違うんだな。
視てみると…ライヴも魔法能力が高いな。
「で?話は戻るけど、私のことを手伝って何する気?」
「聞き方が悪いよ。…私にも呪いがかかっている。
そのせいで本来の魔法能力を使えないんだ。一緒に治したくて…ダメ?」
「退学する程の覚悟はあるの?」
「…いつの間にか自分で治したいって思うようになったんだね。
家の親は放任主義だからきっと許してくれるよ。学校は嫌いなんだよね。」
「親がいるだけいいな。私は1歳になる前に親に捨てられて1人で生きてきた。」
「そんな…美藤家とはもう20年関わっていなかったから…
こんなことになっていたなんて知らなかったよ。
あ、でも私の家も私のことなんて子供だとも思ってくれないし、
その親は喧嘩ばっかりだから、別に羨ましくはないでしょ?」
「この話はもう詳しく話をしたくないんだ。明日またここで集合な?」
「分かった。」
「それと、退学届を提出すること。」
そうして私:美藤アイヌと清藤ライヴの旅は始まる。
次の日、昨日の場所へ行ってみるとライヴは先にいた。
私が歩き始めるとライヴも付いてきた。
旅が始まると察したんだろう。
「そんなに早く自分の呪いを治したかったのか。」
「いや、家を出るって言ったのに家にいるのが気まずかったんだよね。」
「許可は出たことだし、今日の目的地に行くか。」
「うん。でも目的地ってどこ?」
「私たちの先祖の墓だ。」
「お祈りでもしていくの?お墓より神社とかの方がいいんじゃないかな?」
「神社だと願い事を知らない神様に託すことになる。だから初詣以外で神社や寺に
行こうと思ったことはない。」
「自分たちの先祖を信じたいんだね。」
「そういう変な信教をするつもりはない。
で、その後は近くの森で魔法使って家建てて休む。」
「え?お墓の近くって村があったけど…そこら辺と交流するとかはないの?」
「私はそんなコミュ力も語彙力も高くないし、何なら器用じゃない方。」
「そうかな?」
「…でも、村に行くのもいいかもな。この2人だけだと呪いを解くに当たって
戦力とかいろいろ不便だから、仲間を集めるのもあり。」
「じゃあ、お墓言ったら、仲間集めに行こうか!」
村に行ってみると、同じ顔をした少女2人が気の強そうな集団にいじめられていた。
「お前らだけ強い魔法が使えるとかずるいぞ。俺らは血のにじむような努力を
してきたっていうのにな!お前らもそう思うだろ?」
「それなー」
「魔法能力高いのは認めるけど、あんたらがその才能あるっていうのがムカつく。」
私も、同じような言葉を浴びて生きてきた。
でも、同情が私の心を突き動かす。
「…同じような目に会っているあの2人を助けていいか。」
「まさかアイヌも同じ考えだったとはね。アイヌって思ってた何倍も優しいね。」
「褒められても何も出ないからな。ほら、早く行くぞ。」
「…アイヌ1人で行ってきた方がアイヌのためになるよ」
「どういうことだよ、それ」
「まあ、とりあえず1人で何とかしてきてほしいな」
「分かった分かった…」
あの子たち、魔法能力強いって言ってたよな。
いじめから助けて仲間にするのもありか。
「何だよその顔!何も整ってる要素なんてないし、誰にも告られないよねー」
「うわぁ、かわいそw」
「…私たちの事、責めないでよ…なんでそうやって理不尽に責めるの…」
「はぁ⁉理不尽でも何でもないし!魔法が強い時点で私らの方が理不尽だ!」
「怒っても魔法を打って来ないなんて…俺らの事そんなに好きか?」
「…そんなことして楽しいのか?」
私の言葉にいじめっ子たち、そして2人が私の方を見た。
…確かに視たところいじめっ子たちより2人の方が魔法能力が何倍も高いな。
「そんなことしたところでお前らは成長できるのか?」
「な、何だよお前。邪魔すんじゃねぇ。」
「そんなことしたところでお前らの魔法能力が高くなったりするのか?」
「…あんたら、行くぞ、ここから逃げるぞ」
「え、逃げるだって?私、魔法能力凄く高いんだぁ。逃げるなんて無理な話。
『|拘束の鎖《チェーン》』」
私がそう口に出した瞬間、いじめっ子たち全員の両手が拘束された。
「…お前ら、同じ学校か?w今すぐ先生に言ってやるよ。
学校名言わないと首も拘束する。そしたら4んじゃうよ。どうする?」
「くそ…」
「学校名言わないとやばいんじゃ…ないのか⁉」
「りゅ、流星学園、だ…」
流星学園は、普通よりも少しランクの上の学校だ。
「流星学園か…先生、『|召喚《カモン》』」
「もう俺ら終わりだ…」
「うわっ…!ここは…あぁ、あなたが勝手に召喚魔法を使ったんですか!」
「勝手にすみません。私が今拘束魔法で縛っている子たち、いじめをしてたんです。
…この2人がいじめられてて…2人を一時的に預からせてください。」
「いじめ…⁉あれだけ注意をしていてまた再発とは!あなたたち次は処分ですよ」
どうやらこのいじめっ子たちは過去にもいじめをしていたようだ。
「御協力ありがとうございます。あ、この2人の親御さんには連絡しておきますので
どうぞ預かってください。
本当にご協力ありがとうございます。」
「いいえ…君たち2人、こっちに来て。」
「は、はい…」
「分かりました…」
これだけ怒鳴っておけば怖がられて当然か。
「ライヴ、2人を助けて連れてきた。」
「私も見てたよ。まさかあんなに怒鳴るとはねw
…そういえば君たち、お名前を聞いてもいいかな?
ちなみに、私は清藤ライヴ。隣にいるのが、美藤アイヌだよ。」
「ふ、|双葉《ふたば》めありです。」
「めありの妹の|双葉《ふたば》えみりです。」
「双子か」
「はい…あの、私たちに何か用でもあるんですか?」
「私たちは、旅をしているの。といっても今日からだけどね。
めありちゃん、えみりちゃん…私たちの旅について来てくれたりする?」
「ライヴさんとアイヌさんは何で旅をしているんですか?理由が聞きたいです…」
「理由が分かればついて行こうとも考えます。」
「私は生まれてからずっと、呪われてきた。それを解くために旅をしている。
しかも、呪われてることでさんざん暴言を浴びて生きてきたんだ。
だから、めありたちが同じようなことをされていて、助けたくなった。」
「私も…何年か前に呪いをかけられて、使える魔法能力が制限されたの。
それを治すために旅に出ているわ。」
「…えみり、この人たちの事信じる…?」
「分からない。とりあえず家まで連れて行こう…?
すみません、お母さんたちに許可をもらいたいので、一緒に家まで来てください!」
「分かった。」
「まだ信じきれないのも分かるよ。私たち、そこまで短気でもないから安心してね。」
ライヴが2人に笑いかけると、2人も少し安心したような笑顔を見せた。
私たちの旅は、これから人数も2倍になってもっと楽しくなるのかもしれない。
…私、楽しさが無くてはならない物のように感じたのは初めてで…
ライヴたちにいい意味で変えられてしまったのかもしれない。
次話をお楽しみに!
3504文字です!
愛という名の呪い。 2話
新シリーズ第2話!
2人の家に着いて。
「お母さーん、お父さーん!」
玄関からめありが叫ぶと
「めあり、えみり!いじめられてたのって本当なの⁉」
2人のお母さんだと思われる人が慌てて表へ出てきた。
「うん。この人たちが助けてくれたの。で、この人たちは旅をしてて、
私とえみりのことを旅に一緒について来てくれる?って聞いてきたんだ。
どうしたらいいかな、お母さん。」
その時はまだ私たちが後ろにいることなんて気が付いていなかったみたいで、
私たちを見ると目が驚いたように開いた。
2人のお母さんは少し悩んだ後、こう言った。
「まずは、2人をいじめから助けてくれたこと、本当にありがとうございました。
で、めありとえみりを旅に連れて行く話は…」
「私たちの事、やっぱり信じられないんですよね。」
「せめてちゃんとした理由がある旅だと分かったら許すこともできるけれど…」
私説明力無いからな…よし、ライヴ、説明頼んだw
ライヴが説明をしてくれて、許可がもらえた。
「本当に良かったんですか?」
「えぇ、呪いを解くことに娘たちが力になれるなら、預かってもらいたいわ。」
「お母さん、私たちの事はどうでもいいの?」
「安心して、そういうことじゃないわ。いじめられていたのが本当なら、
学校は転校した方がいいでしょう?引っ越しにも時間はかかるし…
その間ただ不登校のニートになるよりも開放感のある旅に出た方がいいと判断したの。
私はめありとえみりを応援したいけれど…行くのは嫌?」
「ううん、許してくれてありがとう!」
「お母さんが私たちを捨てないって約束するなら、私はお母さんに従う!」
”捨てる”という言葉が私の中に残った。
それに気づいたライヴが、私の背中に手を添えてくれる。
「大丈夫だよ。つらかったよね、アイヌ。」
「ありがと。でも、私は大丈夫だし、もうそれは過去の事だから気にしない。」
家族愛ってやつを目の前で見たのは初めてだ。
めありとえみりは家の中へ入って、戻って来なくなった。
「めありとえみりのお母さん、名前は?」
「|双葉《ふたば》ゆずはって言います。」
「じゃあ…ゆずはさん、美藤、または清藤という苗字を聞いたことがありますか。」
「美藤…⁉美藤さんは12年ほど前に起こった村の大火災を水魔法で救ってくれた
2人の苗字じゃ…⁉あぁ、こんなこと言っても分からないわよね。
写真を持ってくるからちょっと待ってて!」
そう言ってこっちの反応も待たずにゆずはさんは写真を取りに家の中へ
戻っていった。
ゆずはさんが戻ってきて。
「この二人が火災を鎮めてくれました。」
「名前は?」
「この女性が|美藤《みふじ》アウラさんで、こっちの男性が|美藤《みふじ》トキワさんです。」
写真に写っていたのは、私に似た黒髪で赤みがかった目をした二人。
「これが、美藤家の今の当主のはずの…」
「…ゆずはさん、この二人、実は私の親なんだ。」
「あった時からどこかにているとは思っていたわ…
でも二人は子供がいるなんて話は全くしていなかったし…」
「二人は私を捨てたんです。だから、子供なんていないことになってるんです。」
「それは辛かったわね。じゃあ、アイヌさんとライヴさんはその親を捜すために
旅へ行くのかしら?」
「それは違います。私たちは小さい頃に何かの呪いを受けて、
能力が制限されたりして困っているんです。だから、ヒントになりそうな
アイヌの親を捜すことをとりあえずの目標としていて…終点は呪いを解くことです。」
「呪い、ねぇ…そういえば、この世界には生神(いきがみ)と呼ばれる
最強の魔法使いと、邪神(じゃしん)と呼ばれる最凶の魔法使いが存在するのよ。
その2人は呪いをかけられる。2人の受けているものが悪影響なら、
呪いをかけたのは邪神かもしれないわね…」
「生神と邪神…聞いたことなかったな。」
「そういえばもう暗くなってきたわね。あなたたち、家は近くにあるの?」
「旅してるのでもちろんないです。魔法で小さい小屋でも建てるつもりです。」
「建てるのは私だけどな…自分のことのように言うなよw」
「なら、私の友人の営む旅館にでも泊っていけばどうかしら?
お金はきっとタダにしてくれるはずよ、だって友人の関係者よ?」
「え、本当ですか!いろんなことも教えてくれて、宿泊先まで…」
「いいのよ。ほら、行きましょう?」
この人はどこまで優しいんだろうかってほど優しすぎてすごい。
カーテンから差し込むまぶしい日差しで目が覚める。
「うぅ…まぶしいなぁ…」
私が起き上がってみると、隣に寝ていたはずのライヴがいない…⁉
周りを見てみると、洗面所の電気がついていて…
「ライヴ?今洗面所にいるのか?」
「あ、アイヌ、起きたんだね。おはよう」
起きるの早いな。
顔を洗うために私も洗面所へ。
「いつから起きてたんだ?」
「10分前くらいかな?
あ、迷惑かけちゃうし朝ごはんは回復魔法使おう?」
「そうだな。出来るだけ早く出発したいし。」
家に着いて。
「おはよう。えみり、めあり、準備は出来たのー?」
「「はーい!」」
「あ、あとお父さんに相談して許可はもらったんだけれど…これだけは
守ってほしいっていうことがあって…いいかしら?」
「はい、もちろんです」
「絶対に二人の未来で不自由になるような大きなけがは負わせないことと、
死なせないこと。いいかしら?」
「絶対約束する。」
「誓います。」
「じゃあ、頼んだわよ。呪いが解けることを願っているわ。」
そう言ってゆずはさんは微笑んだ。
新メンバーの加わった旅は再始動する。
「「行ってきます!」」
2人が口をそろえて元気よくゆずはさんに言った。
とりあえず2時間くらいは移動して。(休憩もしながら)
めありやえみりの住んでいた所とは違う村に着いた。
「今日はどこに行くんですか?」
「敬語はいらないよ。年齢とか気にするだろうけど、仲間だから関係ないよ!」
「はーい。で、どこに行くの?」
「今日はピクニックにでも行くか。天気もいいし。」
「「ぴくにっく…?」」
「え、ピクニック知らないの⁉」
ピクニックを知らない子供なんているんだ…
「ピクニックっていうのは、自然を見て心を癒したり、ご飯を食べたりんするんだよ。」
「キャンプとはどう違うの?」
「キャンプは山の中で宿泊するって感じだけど、ピクニックは泊まらないし、
野原とか草原でやるんだよ。」
「へぇ…!ピクニック楽しみ!」
「楽しそうだね!」
「あっ、あそこの草原とかちょうどいいんじゃないか?」
「おー確かに。ナイスだね!」
少し先に見えた草原へ私たちは向かって、ピクニックを楽しんだ。
周りには木も少なくとも30本は生えていて、自然が豊かだった。
「あの人たち、楽しそう。僕のことも入れてくれたり…そんなこと無理か。
自分から話しかけるなんて、僕にはできないから。」
そう言って木に登って来た野生の猫やリスを撫で、
持っていた小さな竪琴の音を鳴らす。
木の枝の中から一人の少年が4人を見ていることは、誰も知らなかった。
仲間が2人追加!
最後に出てきた少年は一体何なのか…
次回、また出てくるかも。
愛という名の呪い。 3話
ピクニックはもう終わったことになってます!
(その部分飛ばしちゃってごめんなさい)
ピクニックが終わって、その場所に小屋を建てて今日は過ごすことにした。
「こんな能力があるなんて…!アイヌさんはすごいね!」
「さん付けはいらない。アイヌでいい。」
「あ、私もライヴって呼んでね。」
「うん、わかった。」
「そういえば2人は魔法能力が強いことでいじめられてたみたいだけど…
どんな能力を持ってるの?」
布団を敷きながらライヴが2人に聞いた。
「え、こんな家を建てるなんてことはできないよ⁉」
「そんなことはいいから…教えてほしいな!アイヌもそう思うでしょ?」
「あー…うん、そうだな。」
先にめありが喋り出した。
「えっと、私の特選能力は『|連鎌《れんがま》』っていう、敵に向けて
大きな鎌を振るうことができる能力なんだ。
攻撃が当たらなくても、その範囲は毒の粉が舞うんだ!」
特選能力っていうのは、その人の中で一番強い・一番得意な能力のことだ。
次にえみりが喋り出した。
「私の特選能力は『|連爆《れんばく》』っていうの。これを使うと
私から半径1.5m以内にいる人は吹っ飛んでいっちゃうんだ!
力のコントロールをすれば小さい爆発も起こせて、その方が威力は高いんだ!」
「え、二人とも普通に強すぎない⁉」
「それな。私たちはこんな能力を持っていない。」
「見た目で油断した人たちはばこーんってなっちゃう!」
そう言ってえみりはニコニコと笑った。
うん、普通に二人の能力が強すぎる。
これは…私たちが守るまでもないんじゃないのか?w
朝が来た。
「アイヌアイヌ、今日はどこに行くの?」
「えーっと、音楽が盛んな地域?街?が近くにあるから、そこに行ってみるか。」
「音楽…ってことは、歌⁉楽器⁉」
「そうそう。二人は音楽が好きなのか?」
「うん!小さい頃は3年間、二人ともピアノを習ってたんだ!」
「ピアノは辞めちゃったの?」
「うん…近くに住む人たちが、先生の家のピアノの音が近所迷惑だって言われて…
ピアノ教室が閉じちゃったんだ。」
「近所迷惑か…それは仕方ないね。」
「その話一回終わりにしていいか?
今日は歩かずに、電車を使っていこうと思う。」
「何で?」
「海を渡るから。景色がいいと有名な列車もあるみたいだし、乗ってみよう。」
「列車⁉楽しみだなぁ」
「アイヌ、あそこに見えるのが駅?」
「ん?ライヴ、能力使って見てるのか?」
「うん。距離が知りたいからね。ずっと歩くのって退屈でしょ?」
「無駄な魔法能力の消費はやめとけ。体力がもたなくなっても知らないけど。」
「魔法能力ならいっぱい温存してるからいいの。」
そんな会話を繰り返してると、駅に着いた。
「ここが駅かぁ!大きいね!」
「この辺りで一番大きな駅らしい。立派だな。」
「早く列車乗りたい!」
「はいはい。切符買ったら乗ろうな。」
電車の中から海の見える景色を楽しみ、列車を降り、駅の構内から出た。
「これが音楽の盛んな街?」
「へぇ、正式名称は”カンタービレシティ”っていうんだね。
カンタービレって歌うように、みたいな意味があったよね。この街にぴったり。」
「物知りだな。」
「さっきの列車の中で少し音楽用語を勉強してたんだ。」
街を歩いていると、人に声をかけられた。
「あなたたちは旅人ですか?」
「はい、そうですけど…何か私たちに用があるんですか?」
「今日はカンタービレシティの音楽祭をやっていまして。是非参加してほしくて。」
「音楽祭っていうのは何なの?」
「この街ができて200年経った記念の祭典です。いろんな人たちが
いろんな場所で音を奏でているんです。」
「へぇ、面白そう!ねぇ、アイヌ。行ってみようよ!」
「分かった分かった。行ってみるか。」
「「やったぁ!」」
カンタービレシティの中心地辺りに来てみると、さっきの人が言っていたように
音楽が至る所で流れていた。
「うわぁ、すごい!この楽器見たことない!」
「この楽器は、オーボエっていうんです。綺麗な音でしょう?」
めありやえみりも楽しんでいるようでよかった。
「アイヌもどこか見に行かないの?」
「あぁ。私はこういうところはうるさくて好きではないんだ。
音楽を聴くのは癒されるけれど、人々の会話には興味がない。
ライヴこそ、どこかに行かないのか?」
「私はアイヌと一緒にまわっていきたいんだ。
もっとアイヌと仲良くなりたいし、もっと知りたい。」
「なんでそう思うのかは全く分からない。でも、私もライヴのことを
分かりたいって今思った。」
「とりあえず、ベンチにでも座ろうか。」
「そうだな。立ったままだと足が疲れる。二人も一応幼稚園児ではないんだし
いろいろ分かってくれることを願おう。」
「うん。そういえばここって本当に色んな楽器を色んな人が演奏してるね。」
「あぁ…」
確かに、楽器はもちろん広い年代の人たちが演奏している。
フルートを吹くおばあさんに、トランペットとホルンでアンサンブルするおじさん達。
私たちと同じくらいの年だと思われる男の子も竪琴を奏でている。
それから少し話さない時間ができて、ライヴがまた話したのは10分も経った後。
「もうこんな時間なんだね。めありとえみりを探しておやつでも食べない?」
「そうしよう。確かこの街は音符の形をしたバタークッキーが有名だったはず。
さっき調べてたんだ。」
「へぇ、美味しそうだね。」
「早く探そう。」
「うん」
「あ、またあの人たちがいる。偶然だな。
僕のことには気づいてないんだろうなぁ…
いいこと思い付いた。あの人たちを追いかけてみよう。」
少年がこんなことを呟いていたことに、アイヌとライヴは気が付かなかった。
少年はどんな能力を持ってるのか気になる人いますかー!
次回はアイヌたちと直接話をする回がやってくるかもしれない(?)
2327文字でした!
愛という名の呪い。 4話
このシリーズ何故か他のシリーズよりも話の内容が思いつくんだよねw
カンタービレシティでの音楽祭を楽しんだ後。
近くにちょうどよさそうな野原があったから拠点についての話を始めた。
「今日はここら辺で小屋でも建てようか。」
「うん。じゃあ私はごはん用意しとくからアイヌには小屋を頼むね!」
「了解。えみり、めあり。手伝ってくれないか?」
「はーい!」
「ん?えみり、返事がないけど…大丈夫か?疲れたか?」
「え、何でもないよ。小屋つくるの手伝うね!」
えみりは少年が近くで自分たちのことを見ているのを見つけたが、
それをアイヌやライヴに知らせることはなかった。
次の日。
支度を済ませて小屋を崩し、出発しようとした時のことだった。
誰かが私たちのことを見ている気がした。
「ライヴ…さっきから人に見られている気がする。」
「アイヌも?私もえみりやめありとは違う人の気配を感じるんだよね。」
「でも、辺りを見たところ姿は見えないな。」
「透視の能力でも使おうか?」
「それはいらない。出発すれば気配はなくなるはず。
人じゃなくてただの動物かもしれないしな。」
「え、人が近くにいるって言った?」
ライヴと2人で小さな声で話していたつもりがえみりたちにも聞こえていたみたいだ。
「うん。えみり、どうかしたの?」
「私、昨日私たちのことを見ている男の子を見たよ!
多分…アイヌたちと同じくらいの年齢じゃないかな?」
「…あっ、あの時か?拠点をつくる時に反応が悪かった時。」
「そう!」
「何で早く相談しなかったんだよ…
相談してくれれば追い払うことだって出来たかもしれないのに。」
「あれ、まさかもう僕のことに気がついちゃうなんて。
ひっそりついて行こうと思ってたのに、気が付くのが早くて少し残念。」
気付けば私の隣に綺麗な茶色の瞳をした少年が立っていた。
「お前は…!音楽祭の時に竪琴を弾いていたやつだな。」
「そんなことまで覚えてるなんて記憶力いいね。羨ましいな…」
「え、アイヌ。まさかこの子知ってたり…⁉」
「知らない。…お前は誰だ。」
「|音瀬《おとせ》ラキ。」
「なんで私たちについてきてるんだよ。」
「え、暇すぎたのと、楽しそうだったから。
僕、親がいなくて学校も行ってないんだよね。行ける資格がないから。」
親がいないとか言われたら私にも傷がつくからそういうこと言うのはやめて欲しい。
「でも、ラキくん。無断でついて行くのはどうかと思うよ?」
「それは…ごめんなさい。」
「じゃあな。もうついてくるなよ。今日もここに居るつもりだったけど…
場所変えないとな。3人とも早く行こう。」
「え…うん。分かった」
そう言ってその場を離れようとしたとき。
「ねぇ…僕のことも連れて行ってくれないかな?」
「は?」
「いきなりでごめん。でも、僕は今まで自分の住んでいた村でも
仲間外れにされてきて一人で旅を続けてきた。思い出すだけで辛い。
…君たちとなら、僕は幸せになれると思うんだ。駄目かな?」
この旅はただ楽しむための旅じゃないのに。
「この旅には目的があるんだ。私とライヴってやつには呪いがかかっていて、
思うように力を出せなかったりする。楽しむための旅ではないんだ。」
「それなら尚更ついて行きたいね。僕は目的がある方が旅は楽しいと思ってる。
僕の特選能力だったらそれにぴったりだし。」
「ラキくんも仲間にしたい!」
「私もそう思う!ねぇ、アイヌ…駄目かな?」
「え、えぇぇぇ…」
結局音瀬ラキは仲間になってしまった。
私はそんなに嬉しくもないし、
ストーカーみたいなやつを仲間に入れるなんて反対だったのに。
「ラキくんラキくん!この楽器って何?」
「これは竪琴だよ。弾いてみると…こんな音がするんだ。」
「へぇ!私も弾いてみたい!弾いていい?」
「いいよ。」
めありとえみりはラキのことを気に入ってるみたいだけど…
まぁ、2人と一緒にいてくれるやつができてよかったと思うことにしよう。
「ねぇ、ラキくんってどんな能力を持ってるの?」
「あ、私も気になる。」
魔導書を読んでいたライヴも気になってそっちに行った。
確かに気になるし私もここから見てみるか。
「僕の特選能力は『|命令《めいれい》』っていうんだ。めあり、その手に抱えてる
うさぎの人形を貸してくれる?」
「うん、いいよ?」
「それじゃあいくよ。」
ラキが片目を手で押さえる様に閉じて、手を使ってまた目を開くと…
ラキの茶色い両目のうちの片目が、綺麗すぎる程の赤色に変わっていた。
「うさぎの人形さんに『|命令《めいれい》』。」
ラキがそう言うと、赤かったうさぎの人形の目が光のない黒目に変わった。
「うさぎの人形さん、踊ってね。『|命令《めいれい》』だよ。」
すると、うさぎの人形はバレリーナのように回転しながら美しく踊った。
「うわぁ、すごい!」
「でしょ?それじゃあ、うさぎの人形さん、『|命令《めいれい》』を解除するよ。」
そう言って赤かった片目を手で閉じると、次に目を開いた時には
ラキの目の色は普通に戻っていた。
「ラキくん、その能力って何人もに命令することは出来るの?」
「もちろんできるよ。やろうと思えば戦争に出ていく何万人もの兵隊に
命令で戦意喪失させることだってできる。」
チート能力じゃないか、それ…
さてと、ラキの能力も分かったことだし私は夜ごはんの用意でもしておくか。
次の日。
カンタービレシティを離れようと小屋を片付けていると…
「すみません、生神様についての情報は知っていませんか?」
白い装束を身に着けた5人の人が私たちに話しかけてきた。
「生神の情報を知るって…何か目的でもあるんですか?」
「あぁ、ごめんなさい。今の世界って生神様の消息が不明なんです。
俺らは生神様をこの世界中から見つけ出して、護衛になろうとしてるんです。
団体名は”ゴッドナイト”です。ご存じないですか?」
ゴッドナイトってことは…神の騎士か。
「ゴッドナイト…?名前聞いたことある!」
えみりが答えた。
「で、生神の情報が知りたいだって?私たちは知らない。
消息が不明だってことも今初めて知った。」
「…そうですか。ご協力ありがとうございます。」
そう言ってゴッドナイトの奴らはいなくなった。
「何だったんだろうね、ゴッドナイトの人達。」
「何か、嫌な予感がする。これからゴッドナイトの違う連中を見かけたら
みんな避けるようにしてくれないか?」
「え、うん…分かった。」
「「はーい」」
---
「ねぇ、さっき話しかけた5人組の1人…見た目が伝説での生神様の姿に
近くない?黒いサラサラの髪の毛に、赤みがかった瞳…」
「私もそれは思いました。あの5人組…いや、その疑いのある今の人は
生神様の疑いのある人物リストに入れて、これから少しずつ情報を探って
行きましょう。」
「え、じゃあ話しかけた僕が役に立ったってことじゃん!」
「はいはい。そんなのどうでもいいって。」
「少しは褒めてくれてもいいのにぃ」
白い装束の5人組の中にいた1人が、疑いリストにアイヌの特徴を書き始める。
白装束の団体”ゴッドナイト”はこれから重要なキャラクター達になります
(作者の予言だから多分当たるでしょ!w)
愛という名の呪い。 5話
前回初登場のゴッドナイトのキャラクターをイラスト付きで考えてたら
すごいいい感じになってきた可能性(?)
最終エンドまでどうやってそのストーリーを持っていくか考え中!
アイヌたちの旅メンはあと2人増える予定!
「今日は僕が案内してもいいかな?」
「もちろん!」
「じゃあ、ちょっとこっちに来て欲しいんだ。」
「分かった。どこに行くつもりなんだ?」
「内緒!」
ラキの言うことはまだ完全に信じられない感じがある。
「あれ、アイヌ。そんなに僕のことを疑ってる?
先に言っておくと、特選能力で降伏させることもできるって覚えておいてね!」
うわ、その特選能力めんどくさい…
「はいはい、信じるから早く進め。」
しばらくすると、道のりが少しずつ険しくなってきた。
「ラキくん、なんでこんなところを通るの?」
「さっき分かれ道もあった気がするよ?」
「あぁ、その分かれ道を進むと違う場所に着いちゃうよ。
ここを歩いて、着いたらきっと素敵な景色が広がってるはずだから!」
「あれ、今ラキくん景色って言った?」
「ん?ききききき聞き間違いじゃないかな?」
景色、か…いったいどんなのだろうか。
「もう少しで着くよ!」
「やっと⁉もう足が疲れちゃったよぉ…」
「おんぶしようか?」
「うん!ラキくんにおんぶしてもらう!」
「いいなぁ、私も私も!」
言葉では疲れたって言ってるのに声が疲れることを知らないのか、
えみりとめありはずっとはしゃいでいる。
「めありのことは私がおんぶするから。」
「ありがとう、アイヌ。流石に2人は無理だったから助かったよw」
「そうか。そういえばライヴ、元気がないけど…どうしたんだ?」
「昔、親の喧嘩を仲裁しようとして怪我をしたことがあって…
動きすぎると残った傷の痛みが…」
そう言ったライヴのこめかみには脂汗が滲んでいて、
本当にキツい状態だということが分かる。
「…ごめん、めあり。やっぱり下ろすけどいいか?ライヴの体が危ない…!」
「うん、分かった…ライヴ…大丈夫なの…?」
「大丈夫、だからね…!心配しないで…!」
「喋るな、早く背中に…!」
「うん…」
「なんでラキはこの道を徒歩で登ろうとしたんだ。」
「そりゃあ…空を飛ぶよりも達成感があるし、
ライヴにそんな傷があるなんて分からなかったじゃん…!」
「…それはそうか。
なら、今からでも私がこの5人をワープさせて目的地に送るのはアリか?」
「もちろん!みんなの安全が大事だから!」
「じゃあ、ワープ先を教えろ。」
「|空間移動《テレポート》を使うなら山頂って言えば一番近い山頂に着くから
山頂って言えばいいと思うよ。」
「了解。じゃあ…山頂へ『|空間移動《テレポート》』。」
ワープしたその瞬間。
眩しい光が私たちを包み込んだ。
慣れてきて、目を開けてみるとそこには…
空は夕方のオレンジとピンクのグラデーション、
雲は太陽の光が当たって空の色によく合う薄い水色をしていた。
「「わぁ…!綺麗…!」」
双子が口を揃えて言った。
「ここに連れてきたかったんだよ、僕は。」
「来てよかったな。ライヴ、起きてるか?」
「うん、起きてる。今まで見た中で一番綺麗な空だね…!」
「ここは夕方の空だけじゃなくて星空も綺麗に見える最高のスポットなんだ。
みんな、今日はここで過ごすのってどうかな?」
「ここに居たい!」
「分かった。じゃあ今から拠点を立てるから
後ろに下がっとけ。家を『|建築《クラフト》』。」
「じゃあ、早速荷物を中に入れよう。」
荷物を置くとすぐにラキ・めあり・えみりの3人はまた景色を見に外に
出て行ってしまった。
「ライヴ、体調はどうだ?」
「だいぶ良くなってきたよ。運んでくれて、ありがとね。」
「全然。ちなみに傷の痕って残ってるのか?」
「うん。」
そう言ってライヴは肩の付け根まで服の袖をまくった。
「…っ!」
想像していたよりも痕はくっきりと残っていた。
内出血の起こっているような赤紫色をしたその痕は、割れた窓ガラスのひびの
ように外に広がっていて、あと少しで肩の一番上まで届きそうなくらいだ。
「やっぱり初めて見ると驚いちゃうよね。」
「私は親にそんなことされたことが無かったから…
親って、居て嬉しいのか、分からなくなった。」
「私の親はこうでも、アイヌの親は違うかもしれないでしょ?
そんなに深く考えなくてもいいんじゃない?」
「そうか。とりあえず、今日はゆっくりしとけ。
私は少し外の空気を吸ってくる。」
「うん、分かった。」
私が外に出た後、ライヴは呟いた。
「アイヌ…初めて会った時と比べて、優しくなったね。
あぁ、この時間で旅の終わりへの時間が減っていく…
呪いが解けたら旅は終わっちゃうんだよね、二度と会えなくなるよね」
でもそれは、外に出ている4人には聞こえていなかった。
「ねぇ、起きて!10時だよ!」
少し寝て体を休めていると急にえみりとめありが起こして来た。
「え…?今って夜だよな?2人とも、早く寝ろ」
「夜だから起きるんだよ!星空見ようよ!」
「分かった分かった」
正直星空なんていつも見えるから興味ない…
でも、いざドアを開けてみると…!
「「うわぁ…!」」
「寒っ…!」
寒いけれども、綺麗な星空が夕方の時のように一面に広がっていた。
「えみり、夕方見た景色とは全然違うね!」
「めあり、家から見える景色とは大違いだね!綺麗!」
双子がはしゃいでいる。
そういえば、ライヴとラキが拠点の中にいなかったような…
「めありとえみりとアイヌも起きたんだね!こっちおいでよ!」
「焚火を焚いてるからあったかいよー!来て来て!」
2人に呼ばれて、焚火のある2人の方へ向かった。
「ライヴ!元気になったのか?」
「うん。ゆっくり休んだおかげでね。いつもの街で見る星空とは大違いだね!」
「元気になったならよかった。
ちなみに…この焚火は誰の能力で点けたんだ?」
「僕だよ。|着火《ファイア》!ってね」
「私も火を点けるところ見たかった!」
「それならもう少し早く起きればよかったねw」
「…今日は特別に、自分の寝たいときに寝るか。」
「そうだね。明日には別の場所に行くかもしれないんでしょ?」
そのとき、双子がやっぱり眠たかったのか、拠点に帰ってしまった。
「あぁ。明日は生神と邪神のことについて詳しい資料のある資料館に
行ってみたいと思ってるんだ。」
「私だけじゃなくてアイヌも呪いに生神と邪神が関わってるって思ったんだね。
明日、行ってみよう。アイヌの両親にも関係があるかもしれないよね!」
「アイヌ、ライヴ。生神と邪神って…相反する2人の神様の事だよね。
あのゴッドナイトとかいうやつも捜していた…」
「そう。私の呪いにはその生神と邪神が関わっている可能性があるんだ。」
「でも呪いをかけたのはアイヌの両親なんでしょ?」
「それは…分からない。」
「アイヌには親が居ないんだよね?なら呪いをかけてから姿を消したとしか
思えないんだ。」
「その可能性もあるし、違うかもしれない。何もかもが分からない。
だから手当たり次第に探していくんだ。」
「呪いが解けるように、私たちもアイヌのサポートをするね。
私も能力の制限を解きたい。」
「今日は息抜きしたってことで!明日もやりたいことがあるから、
明後日からまた再開かな!」
「え、なんで?」
「さっきワープしてきて通ってないところに珍しい生き物がいるらしいんだ。
どうせなら見つけていきたいなって!」
「めありとかえみりは虫とか苦手そうだけど…」
「大丈夫。ふわふわ系の生き物だから。ってことで僕は寝るね。おやすみ。」
「あ…うん、おやすみ。」
「ライヴ。まだラキと話したかったことでもあったのか?」
「なんでもないよ。」
「そっか。」
次の日。5人で生き物探しをし続けたけれど、
珍しい生き物なんて見つからなかった。
3146文字でした!
何話くらいになるか全然決めてないなぁ…
どうしよう(´・ω・`)
愛という名の呪い。 6話
山からまたワープしてカンタービレシティに繋がる駅に戻って来た。
(駅の詳細は3話参照)
そこからさらにもう1つ駅を戻って、資料館前駅に着いた。
駅を出るとすぐ近くに資料館があった。
入館料金を払って、早速資料を読み始めることにした。
「ここ、ゴッドナイトの人の出入りが多そう。警戒しておかなきゃね。」
「確かに。ここで生神のことを調べる奴らも多そうだ。
混んでいないからすぐに見つかるかもしれない。警戒しておこう。」
とりあえずで資料を見てみると、こんなことが書いてあった。
”生神とは人々に幸福をもたらし邪神の計画を止める光の神、
邪神とは人々の病みの気持ちを具現化させて世界を壊そうとする闇の神。
だがここ10年近くその2人の神の安否は分かっていない。
一部では2人の神は私たち人類の知らない間に戦って相討ちになって
この世から消えてしまったという仮説も立てられている。”
”今まで姿を変えてきた生神と邪神。
今までの生神と邪神の見た目の共通点は赤い目と、黒い髪。”
”私は子供の頃に生神と一緒におままごとをして遊びました。
証拠として今もその子が映ったロケットペンダントの写真があります。”
「へぇ、生神が普通の人と一緒に遊ぶってことはその頃の生神は
子供だったってことなのかな?」
「おままごと、小さい頃はよくやってたよね、えみり。」
「そうだね。私はよくお母さんの役をやってたよ!」
そう話していた時。
白い装束をした5人組が資料館に入って来た。
「あれってもしかして…!」
「そうみたいだ。」
「ゴッドナイト、だっけ。」
「あぁ。逃げよう。」
すぐに逃げたつもりおかげで、ゴッドナイトには見つからずに済んだ。
そのまま私たちは資料館を出た。
「え、ここは…商店街かな?」
資料館を出た先には商店街があった。
「夢街商店街って言うんだってさ。」
「アロマにミルクにベッド…睡眠を大切にしてるのかな?」
「名前は聞いたことある気がする。時間はあるし…色々見てみるか。」
「そうだね。」
それからみんなでいろんな店を見て回った。
その中でも行列ができていたお店があった。
「うわぁ…すごい行列だね!アイヌと私の住んでた地元の行列とは
桁が違う!あ、でも何だっけ、あのお店は同じぐらいの行列になってたよね…」
「なんだっけな…あれだ、飴屋だ。」
「それそれ!買ったことあるよ。」
地元にあった飴屋はとっても人気があったことを思い出した。
金太郎飴や金平糖、ぺろぺろキャンディーなどかわいい飴がいっぱいあって
女子学生に人気だったとか。
私は人が多い所は得意じゃないから行ったことはなかったけれど。
「で、ここは何屋なんだ…?」
会話を聞いていた店員が答えてくれた。
「ここは見たいと願った夢を見れるようになるおまじないの店、
”ドリームミスト”です!」
夢?霧?どういうことだろう。
「なんでこんなに人気なんですか?」
「魔法使いである店長と副店長に見たい夢を伝えると、
おまじないをかけてくれて、その日の夜にその夢を見ることが出来ます!
それがこの睡眠を大事にしている人々に人気なんです!
あなたたちもやってみませんか?」
「…どうする?アイヌ。」
「みんなやりたいのか?」
「もちろん。人気があるってことは店員さんの言っていることは
きっと嘘じゃないってことでしょ?試してみたらいいじゃん。」
「やってみたい!」
「私も気になる!お願い!」
「…はいはい、分かった。」
1時間くらい並んでやっと私たちの番がやって来た。
「次の方、どうぞ」
部屋の中の人に呼ばれて入った。
「こんなに大人数で来てくれるなんて…!ありがとうございます」
中には黒い髪、赤い瞳をした男性と女性がいた。
黒い髪と赤い目って…条件が生神、邪神と同じじゃないか!
まぁ、私とライヴもその2つの条件に当てはまってはいるけど…」
「では、お名前を1人ずつ伺っても?」
「清藤ライヴです。」
「双葉めありっていいます!」
「妹の双葉えみりです!」
「音瀬ラキです。」
「美藤アイヌ。」
私が名前を言った瞬間、男性と女性がはっとしたように顔を見合わせた。
「え、どうかしました?」
「いいえ、なんでも…」
「駄目。確認しなきゃ。もしかしたら私たちの…」
そこから先は聞こえなかった。
「…分かった。」
「あと少しで閉店なので、おまじないをかけ終わったら
そこの待合室で待っててくれませんか?確認したいことがあって。」
「は、はい。」
何がそんなに引っかかったんだろう。
「では早速おまじないを始めていきましょうか!音瀬ラキさんから、どうぞ」
「え、えっと。僕が見たい夢は僕の奏でる竪琴でみんなが元気になる夢。」
「いい夢ですね。では、模様の描かれたこの紙をじっと見つめてください。」
ラキの前に謎の模様の描かれた紙が差し出された。
ラキがそれをじっと見つめ始めた。
「じゃあ、僕から。『|騙り《ディシーブ》』。」
模様が赤く輝いた。
「『|夢の霧《ドリームミスト》。』」
赤い霧がこの部屋を包んだ。
「わ、なにこれ…!」
少し時間が経って。
「『|解除《ノーマル》』。」
「終わりです。これで今日の夜、あなたの願った夢が見れますよ。」
「ありがとうございます。」
「お姉さん、お兄さん!今のって特選能力?」
「僕らには特選能力が2つあるんだ。今のがそのうちの1つだよ。」
「特選能力が2つって…相当の魔法使いなんですね!」
「よく知ってるね、清藤ライヴさん。
でも私たちはこの店を受け継ぐという使命があるの。」
「使命…なんだかかっこいいな。」
「ありがとう。」
そうやって5人ともおまじないをかけてもらい、待合室へ行った。
そして30分ほどゆっくりしていると、女性が私に話しかけてきた。
「美藤アイヌさん。例の確認したいことです。来てください。」
「はい。」
確認って…本当に何なんだよ。
あなたはおまじないや占いを信じますか?
2443文字でした!
愛という名の呪い。 7話
物語が進みます(当たり前)
私が呼ばれて入ったのは、社長室?だった。
「ここに座ってください。」
「あ、はい。」
椅子に座ると、話が始まった。
「改めて、私はドリームミストの店長、美藤メイルです。」
「僕は副店長でメイルの弟、美藤サイム。」
…この2人。私と苗字が一緒だ。
「察したかもしれませんが…私とサイムとアイヌさんは髪も目も色が同じで、
苗字も同じ。何かの運命があるんじゃないかと思ったの。」
「それってもしかして…兄弟とか…?」
私が呟くと2人はゆっくりとうなずいた。
「きっと僕らは兄弟。僕らは親に捨てられた。
だから自分たちで店を作って働いて生計を立てているんだ。
君は両親たちと暮らしているのか?」
…親に、捨てられた?
「実は私も、親に捨てられて今まで1人で生きてきた。
だから両親の事なんて…全く知らない。
ただ一つ分かっているのは、私は両親に呪いをかけられて
魔法能力が制限されているってことくらい。」
「それなら境遇は同じだったって事ね。
それにしても、ここで私たち兄弟、出会えたことは奇跡ね。」
「え、ちょっと待って。呪いって言った…?
親がアイヌに呪いをかけた…?」
「そう。私の親は魔法能力が制限される何かの呪いを生まれたての
私にかけて消えていった。」
「私たちはそんなこと何もされていないのに…!
で、その呪いは解けていないの⁉」
「解けてないから旅をしてる。
そして呪いを解くためには両親に会うことが必須だと考えている。
きっとこの旅で、私たちの両親がどんな人間なのか、分かるはず。」
「呪いをかけられるってことは相当の魔法能力を持っているって事よね。
ってことは見つけるのも難しいんじゃ…?」
「あ、そうだメイル。こうするのはどう?」
「ん?どうしたの?」
またひそひそ話を始めた。
「それでいいじゃない!」
「え、どうしたのか?」
「旅のメンバーってまだ増えても大丈夫かしら?」
「まぁ…うん。多分。」
「それなら、私たちから入れて欲しい子がいるの。ちょっと待ってて。」
「はぁ…」
2人が急に部屋を出て行った。
またドアが開いて、メイル姉さん、サイム兄さんと共に1人の女の子がやってきた。
「メイルちゃん。この子は、誰?」
「この子は生き別れた私の妹のアイヌよ。
紹介するわ、|叶江《かなえ》ライア。
喋るのが少し不得意だけど魔法能力はとても強い。
家が無くて私たちの店に泊まり込みで学校に通っているの。」
「アイヌちゃん、だね。初めまして。」
「初めまして。」
「特選能力はライアの口から聞くといい。
で、アイヌ。この子を旅のメンバーに入れるのはありかな?」
「はぁ…だから、これはただ楽しむための旅じゃないって言ってるじゃん。」
「…ゴッドナイトっていう集団に姉がとらわれてるんだってさ。
呪いにかかわることなら何かしら知ってるんじゃないか?」
ゴッドナイト…それは最近私たちが警戒している集団の名前だった。
「ゴッドナイトが…?」
「あれ、知ってたのか?」
「生神の条件の赤い瞳に黒髪を持ってるからってつけられてるんだ。」
「私たちと同じね。ゴッドナイトは私たちの商売の邪魔よ。」
「で、わざわざゴッドナイトの組織内に首を突っ込めってこと?」
ゴッドナイトには関わりたくない。
「…それがね、ライアの姉は重要な情報を持っているらしいんだ。
ライア、それで合ってる?」
「うん。そうだよ。」
「お願い。この子の為にも私たちの商売の為にも、アイヌたちの旅の為にも
ライアを連れて行ってあげて欲しいわ。」
「…分かった。でも、仲間に話してみてからだな。」
「それでもいいよ。…早速、行ってきて。」
「じゃあ、行って来るね、メイルちゃん。」
「行ってらっしゃい。」
私はメイルを連れて待合室へと戻った。
「この人たちが旅の中間だ。」
「…そう、なんだ。」
「アイヌ、その子は誰?」
「叶江ライア。喋るのが苦手らしいから優しくしてあげて。
ライアの姉がゴッドナイトにとらわれてて、その姉が大事な情報を持ってるとか。」
「へぇ、で…どうするつもりなの?
紹介したってことはまたメンバーが増えるってこと?」
「そういうこと。」
「あんなにアイヌはメンバーが増えるのをめんどくさがってたのに…w」
「私が入るの、駄目、ですか。」
ライアがみんなの前で初めて喋った。
「私は賛成だよ!ね、めあり!」
「うん!賛成!」
「もちろんいいよ。」
「え、いいけど、ライアちゃんを入れるならゴッドナイトもどうにかしないと
いけないってことにならない⁉」
「まぁ、そういうことだな。ライアの姉を助けて情報を入手することは
私たちの旅にもつながるかもしれない。」
藁に縋ってでも私たちは呪いを解く。
方法は何だっていい。
「それなら私もいいと思うよ。よろしくね、ライアちゃん!」
「…はい!」
この時ライアは、多分心の底からの笑みを浮かべていたんじゃないかと思う。
それから改めて姉さんと兄さんに許可をもらって、正式にライアが
旅のメンバーに加わることが決まった。
「ライアにはいつでも私と連絡が取れるように通信の魔法を教えたわ。
だから、何かあったらすぐに教えて。」
「分かった。」
「アイヌ、それにみんな、気をつけてね。」
兄さんが私の肩をバンバンと叩く。
「必ず、ゴッドナイトの奴らをどうにかしてくるよ。」
「そんなの信じてる。だって私たちの妹だから。」
「…そろそろ行こっか。アイヌ。」
「あぁ。じゃあ、行ってきます。」
「「行ってらっしゃい、みんな。」」
姉さんと兄さんがいて、本当にうれしかった。
---
ここはとある研究所。
「マコト。そろそろ実技訓練の時間よ。休んでる暇なんてないわ。」
「…はい。」
叶江マコトはうんざりしながら言った。
「月影氏。マコトを分析した書類、読みますか。」
「あぁ、ありがとう。でも今はいらないわ。
次の実技訓練は私が直々に相手をしようと思うの。
前の訓練からどう成長したのかを確かめるには、体験しないと。」
「…承知しました。では今用意している魔獣はどうすれば。」
「檻に戻しなさい。」
「はい。」
マコトを強くすれば、恩で情報を吐いてくれないか。
マコトを強くすれば、組織の目的である神を見つけ出し、
”捕まえる”ことができるのではないか。
可能性があるものは時間の許す限り全て試す。
そうでもしないと、神を取り戻せないから。
最後に出てきた「叶江マコト」と「月影」はここから
どう話に繋がるのか楽しみにしててください!
2642文字でした!