これは、隆一怪一中学校で行われた百物語
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目次
一人目 トイレの麗子さん
「ねぇ、百物語って知ってる?」
始まりは、誰かのその一言だった。
隆一怪一中学校、一年A組、一年B組、一年C組、全99名の生徒は、百物語に参加した。
行われたのは2025年、7月25日9時00分。一学期の最終日。学校の体育館でだった。
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百物語のルール
一人一人が一つの物語を語る
語り終わった時、蝋燭を消す
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「隆一怪一中学校のA棟三階の四番目のトイレにはトイレの麗子さんがいるんだって。
麗子さんは昔、虐められててそこで首を吊ったんだって。
麗子さんを呼ぶには、ドアを四回叩いて、麗子さん、麗子さん、また虐めに来たよって言うの。
そうするとね、麗子さんが出て来て、呼んだ人の首を絞めて殺すの。」
あずさは淡々と告げると、静かに蝋燭を吹き消した。
二人目 さまよいの麗斗くん
「さまよいの麗斗くんとトイレの麗子さんは双子何だって。
麗斗くんは双子の麗子さんがいなくなったから、捜しているんだって。
毎日毎日。魂だけになっても。
そして、麗子さんを虐めた人間を捜しているんだ。
麗斗くんを呼ぶには、麗斗くん、麗斗くん、貴方の片割れを殺した人間ですって言うの。
そしたら、麗斗くんが呼び出した人を逆さ吊りにして殺すの。」
翔はあずさと同じく淡々と告げると、蝋燭の火を吹き消した。
三人目 謎の本
「隆一怪一中学校の図書室には謎の本があるんだって。
その本にはずらーっと名前が載っているんだ。
その数はちょうど99人×99なんだ。
あの本に載ってる人名はね、消えた人なんだ。」
少し気になる終わらせ方をした葵は、すぐに蝋燭の火を吹き消した。
四人目 油の人
「隆一怪一中学校の家庭科室で揚げ物をすると、油の人が出てくるんだって。
油の人はずっと熱いって叫んでるの。
そして、燃えながらこっちに手を伸ばしてきて、揚げてる人を道連れにしようとするんだ。」
裕はそれだけ言うと、蝋燭の火を吹き消した。
五人目 保健室のお人形
「保健室は時々お人形があるんだって。
そのお人形は喋れるの。
お人形は持ち主に捨てられたの。
だから、お人形は寂しがってるの。
でも、それに同情すると、一緒にお人形になるの。」
美沙は少し怯えながらも、蝋燭の火を吹き消した。
六人目 十三段目の階段
「深夜、13時00分にB棟の3階から2階へ下りる階段の段数を数えると十三段なんだって。
十三段目の階段は、昔、そこから落ちた人で、踏むと、死ぬんだ。
正確には道連れにされる。
その人は独りで逝くのは怖いから、一緒に逝く人を待ってるんだ。」
泰誠は「臆病だよね」と付け足すと、蝋燭の火を吹き消した。
七人目 沼
「隆一怪一中学校の池は、たまに沼になるんだって。
沼を覗き込むと、一斉に青白い腕が出て来て、覗き込んだ人を掴んで、沼に引きずり込むの。
沼は地獄に繋がっていて、青白い腕は地獄の罪人なんだ。」
優香は無表情で語り終えると、蝋燭の火を吹き消した。
八人目 生者取扱い注意
「隆一怪一中学校には、時々送った人が分からない荷物が届くんだって。
そこに、生者取扱い注意って書いてあるんだ。
それを開けると、開けた人が次の中身になるんだ。」
賢一は語り終えると、そっと蝋燭の火を吹き消した。
九人目 生物実験部
「隆一怪一中学校には、生物実験部っていうのがあるんだって。
生物実験部では、実験をしているんだ。
だから、理科室には時々血痕が残されているんだ。」
龍之介は語り終えると、蝋燭の火を吹き消した。
十人目 いるよ
「隆一怪一中学校には、時々電話がかかってくるんだって。
電話にでると、いるよとだけ言われるの。
で、どこに?って返すと、目の前にって返ってくるの。
そして、目の前には青白い手だけが浮かんでいて、電話にでた人の首を絞めて殺すの。」
雪香はおどおどしく言うと、蝋燭の火を吹き消した。
十一人目 善良な先生
「この学校には、”善良な先生”がいるんだって。
その先生が担任をしている一年D組の生徒はみんな笑顔で”善良な生徒”なんだ。
それはね、"善良な先生"が生徒を"善良な生徒”に改造したからなんだ。
でも、そのクラスで”善良”にしてないと”善良な先生"に殺されるんだ。」
勇次は語り終えると、蝋燭の火を吹き消した。
11:58 知ってる
いきなりぶっ飛んで最後の四人からスタート!
今まで、何人も話した。
後、四人。
話すとき、みんなに共通することがあった。
必ず、途中から体験したことがあるような口振りになること。
次は、俺と仲がいい高橋 瑞希(たかはし みずき)。
「なぁ、知ってるか?
隆一怪一中学校にはお祈りの時間ってのがあるんだ。
なににお祈りしているかは純平が教えてくれる。」
は?
俺?
次は、俺と仲がいい雪梨 幸正(ゆきなし ゆきまさ)。
「なぁ、知ってるか?
隆一怪一中学校の掲示板には、たまに犠牲者の名前が書いてあるんだ。
詳細は……百人目になったら《《解る》》さ。」
次は……俺の番か……。
「なぁ、知ってるか?
隆一怪一中学校には怪一様がいるんだ。
怪一様は遊びが大好きで、特に百物語が好きなんだ。
怪一様と遊んだ人は……百人目が教えてくれる。」
そうだ。
怪一様。
俺が、俺達が調べた怪異。
俺が火を吹き消すと、青い火が灯った蝋燭が残った。
打ち切りにするので、次で終わり!
百人目 7月25日0:00時 隆一怪一中学校体育館で起きた事件
「ねぇ、知ってる?
7月25日0:00時、隆一怪一中学校体育館で起きた隆一怪一中学校一年生99名失踪事件。
隆一怪一中学校一年生99名が神隠しにあったんだって。
神隠し直前に、百物語をしてたそうよ。」
誰かが言い終わると、0:00時を知らせる鐘が鳴った。
あぁ……この子は……
怪一様……。
「さようなら 楽しい遊びありがとう」
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きっかけは分からない。
とにかく、俺達は隆一怪一中学校の怪異検証をしたんだ。
そして、全員《《死んだ》》
それだけだったら、楽だったけどな……。
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「ねぇ、百物語って知ってる?」
始まりは、誰かのその一言だった。
隆一怪一中学校、一年A組、一年B組、一年C組、全99名の生徒は、百物語に参加した。
行われたのは2025年、7月25日9時00分。一学期の最終日。学校の体育館でだった。
この物語はオワラナイ
祝☆完結!(打ち切り)