空に浮いたら。の1話から蓮verまでを一気見できる!というか見てください
空に浮いたら。2↓
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空へとばそう。(蓮視点)
https://tanpen.net/novel/series/5de351c7-748a-40df-bc43-e523d9e185d6/
空に浮きたい。(彩花視点)
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目次
空に浮いたら。1
空に浮いてみたい。
それが僕の夢で、たった一つの願いだった。
暗い暗いこの心。今にも消えそうな灯火を、その願いだけが支えていた。
「お。いつもどおり美人だなぁ」
「流石だよな」
成績優秀文武両道。少し身体が弱いが運動神経抜群。可憐な学校一の美女。
それが僕の肩書だ。
今にも潰れそうなほどに、その肩書を名乗るのにはたくさんの努力が必要だった。
一日ずっと勉強して、流行を学んで、みんなと遊びに行ったりゲームもうまくなったり....
辛い毎日だったけど、もしかしたらその噂で手伝ってくれる人が現れるかも知れないと思って、ずっっっっと我慢してきた。
「あ、みんなおはよう!」
「お、おはようございます!彩花さん!」
「原口くん、昨日具合悪いって言ってたけど大丈夫?」
「だ、大丈夫です!」
彩花 日和という、不安と後悔とプレッシャーに押し潰されそうな人生。
それを君は____ 一瞬にして変えてくれた。
---
「ほら見ろよ彩花!こんなに広いんだよ。世界は!空は!」
「すごい....こんなに広い....こんなに綺麗なんだね....」
モノクロのアニメに色がついたかのように世界が輝き出す。
無色だった人生に色が付き始める。聞こえなかった音が、見えなかったものが見える、聞こえる。
「僕は....君を選んでよかった。」
「え?」
そしてその終わりに。絶望は待っている。
これはそんな物語。
これを。こんな未来を君の力で変えてみてよ。できるものなら。
これを。こんな未来を君の力で変えてみてよ。できるものなら。 皆さん目線が、映画を見ているような感覚でかけたらいいなと思ってます!
時々あるじゃないですか!投票でこっちが勝ったら展開が変わる...的なやつです。
しばらく立ったらその投票的なものできればなと思います!
空に浮いたら。2
昔々、あるところに、色鮮やかな美しい女の子がいました。
その女の子は、自分の願いを叶えてくれたものと一緒に消えると、その人と恋することができると、教えられていました。
その女の子はその事を信じ、勇気を出して実行しました。
そして幸せに暮らしました。
---
「お姉ちゃん!実行ってどういう意味?」
「すごいおはなし!」
僕、彩花日和は今日、保育園のボランティアに来ています。
絵本を読んであげたり、積み木で遊んだり、おままごとを一緒にしたり...
とっても楽しいです!
そして今日、偶然なことに新しく男の子が転入?してきたのです!
「えっと...今日この保育園に入ってきた子だよね?お姉さんも初めてだから、一緒に頑張ろう!」
子供は少し苦手だけど、学校で過ごすよりはよっぽどマシ。とても楽しい時間だ。
「おねえさんもはじめて...なの...?」
「うん!だから、一緒に少しずつ覚えていこうね!」
そのとき、蓮く〜んと、保育士さんの呼ぶ声がした。
「僕...呼ばれてるのかな」
この子の名前は蓮というのか。
「うん。行っておいで。」
少し不安そうにしながら駆け出していく姿を見ながら、私はふと、さっき見た絵本について思い出した。
「一緒に消えたら恋に落ちる...か」
信じられない。ありえない話なのだ。
「おねえさん!ぼくとほいくしさんのおはなしおわったから、一緒に遊ぼ?」
おっと。今はこっちに集中しなくては。
「うん!そうだね。何して遊ぼっか?」
「えっとね〜」
---
あっという間に時間は過ぎ、いつの間にか夕方になっていた。
ここは幼稚園ではなく保育園なので、まだ少しだけ子供たちが残っていた。
「おねえさん....ぼくのおむかえ、くるかな?」
蓮くんもお迎えがまだ来ていないようだ。
「大丈夫。もう少しで来るから、お姉さんと遊んでよっか。」
そこからしばらく時間が過ぎだが、蓮くんのお迎えが来ることはなく、もう少しで夜の九時半を回るところだった。
もう他の子供達は全員帰り、蓮くんと私、そして保育士さんだけがこの場所に残っていた。
さすがの私も心配になり始めた、そんなときだった。
「蓮!遅くなってごめん!」
玄関の方から男の声がした。
蓮くんのお迎えだろう。
「蓮くんよかったね!お迎え、来たよ!」
目をキラキラ輝かせ、バッグを持って駆け出していく蓮くん。よっぽど嬉しかったのだろう。
「みなさんもごめんなさい。遅くなってしまって...」
深々と頭を下げた男性は、それでは、失礼しますと言って、保育園から出ようとした。そのとき蓮くんが言った。
「おねえさんはかえらないの...?」
「え?」
「一緒に帰ろう?」
究極の選択に迫られ、少し間を開け私は言った。
「蓮くん、私はいいけど、蓮くんの保護者の方に迷惑がかかるでしょう?だから...」
「そんなことない!いいよね?龍兄ちゃん!」
お兄さん..だったのか。まあ若いとは思っていたが。何なら私と同い年と言ってもいいぐらいに若い男性だった。
「あのなぁ、蓮。こっちはいいけどお姉さんに迷惑がかかるから...」
「おねえさんは、こっちが良ければいいって言ったよ!!」
「「あ...」」
二人の声が重なった。
やってしまった...
心の声が今にも漏れそうだった。
今回はちょっと長めです!
空に浮いたら。3
「私はね、ずっっと君のこと、気になってたんだよ」
「は...?」
「だから、君に願いを叶えてもらおうと思ってね」
「今、叶ったじゃん?」
「いや、ここからが本当の願いなんだよ」
物語はすでに 始まっている
---
蓮くんのお兄さんと帰り道を歩き、たくさん話しをした。おなじ学校、最近引っ越してきた、などたくさん教えてくれた。
「じゃあ、また!」
それぞれ作ったような笑顔で別れを告げた。
まるで恋の絵本の出会い方のような、運命的な出会いだったと思っていた。
「あの人だったら」
僕を...
「あの方だったら」
俺と...
それぞれそんなことを呟いていたなんて、気づきもしないことだった。
---
夜が明け、太陽が見えてきた。
「あの日から、もう次の日になったのか。」
そう思いながら誰もいないリビングで家族と一緒に食事をとる
「ねぇそう思うでしょ?時間の流れって早いね」
「お母さん、お父さん。啓太、美奈、おばあちゃん、おじいちゃん。」
「「「「「「そうだね」」」」」」
そんな気がした。
---
「彩花さん、おはようっす!」
「おはよう。」
「日和おはよ〜」
「おはよ〜」
こんな毎日つまらない。
「では今日は、転校生を紹介します。」
教室から歓声が上がる。イケメン美少女どちらがくるかと。
「でもうちには彩花様がいるからなぁ」
彩花様。文武両道成績優秀。少し病弱だが運動神経抜群。僕のあだ名?だ。
重い。荷が重すぎる。今にも放り投げたい。
「紹介します。転校生の....」
「唐沢 麗王です。」
昨日会った蓮くんのお兄さんだ。まさか同じクラスとは...
「唐沢は...そうだな。彩花の隣に座れ。」
「はい。」
あったときはクラスメイトのフリをして接する。昨日決めた約束だ。
「よろしくね、唐沢くん。」
「こっちこそよろしく。」
二人して満面の笑み。
これは美少年が来た。彩花様といい絵になるという囁きが、クラス中から聞こえた。
---
「ここはこうなっているのでこうなり...」
学校の授業を受けながら、唐沢麗王について調べていた。動作、表情、体格...
少し見ただけで、優等生・美少年という文字が浮かび上がってくる。
これから上手くやっていけるだろうか。そんな不安はあったが、なぜか体も心もいつもより軽く感じた。
---
「彩花さんは、夢とかあるの?」
「?」
いきなり唐沢くんが聞いてきた。昼休み。少し荒れそうだ。
「日和の夢!?聞きたい!聞きたい!」
「俺も彩花様の夢気になる!!」
夢...か。
「これと言ってないかな〜唐沢くんはなにかあるの?」
嘘。言いたいのに言えない。空に浮いてみたい、なんて。唐沢くんなら聞いてくれる...?
「俺の夢は....空を飛んでみたい、かな。」
「空を...飛ぶ....」
何故か零れ落ちそうな涙をこらえながら、私は言った。
「私も、空に浮いてみたい、って思うかな。」
それが今の私にできる、唯一の叫びだった。
「じゃあ、一緒にやってみない?」
「え...?」
ここが夢の始まり。いい夢になる?それとも....
ナイトメア。
空に浮いたら。4
空に浮く。そんなことは科学的に不可能だ。飛行機・気球。それらは乗り物だ。
人間の体だけで浮くなど、不可能なのだ。
「それじゃあどうやったら空に浮くことができるか、考えよっか」
そのことを知っていながらも浮く方法を探している人物がここにいた。
唐沢麗王。彩花日和が諦めかけた夢、願いを叶えてくれる可能性があるのは、この人物だけだろう。
「浮く方法なんて...考えても思いつかないよ...」
美男美女が仲良く話している場面には誰も入り込むことはできない。話を聞かれるというデメリットはあるが、誰にも邪魔されないというメリットもある。隠れてコソコソ話すより、このように話したほうがいいと言う判断だろう。
「まず飛行機が空に浮いている理由とか...重力とかが..」
常人には理解できない言葉や界隈用語を交えながら、二人の話は進んでいく。彩花
や唐沢はなぜ界隈用語を知っているのか。
まず、唐沢はこの界隈の住人だ。界隈というより、空についての用語に詳しいだけ。次に彩花だが、恐るべきことに、彩花はすべての界隈用語・理科用語・算数用語を熟知している。気が合うだけと思わせて、すべての人と気が合うように設定されているロボットのようだ。
「人って、無能...なんだね」
彩花はぼそっと呟いた。まるで自分に言っているかのように。
唐沢は、気づいていないような素振りで言った。
「ん?彩花さんなんか言った?」
「いや、なんでもないよ」
(気づいてほしかった、な)
彩花の闇は、どんどん深くなっていった。
---
唐沢は夜、昼のつぶやきについて思い出していた。
(.....)
『人って、無能...なんだね』
(あの言い方...まるで自分に言っているかのような言い方だった。彩花日和...君はいったい...?)
「気づいてあげたほうが良かったのか?」
いまいち扱い方がわからない、とため息を付いた。
彼女がそのことで泣いているとは、知る由もなかった。
「唐沢くんなら、って思ったんだけど。」
(やっぱり無理、かな)
腕には見えないようにしている傷跡がある。
(早く、ここから僕を...)
そんな叫びが唐沢に届くはずがなかった。
---
「ねぇ彩花さん!ここにさ!書いてあるんだ!」
翌日の朝。学校に登校したばかりの彩花に、恐ろしいほどに目がキラキラと輝いてる涸沢が話しかけてきた。
「ここらへんの学校に、空に浮くことができる道具があるんだって!」
まるで夢物語だ。でも、彩花はそれは信じるしかなかった。
「え!?その話、本当!?ダメ元で試してみようよ!」
(....っ)
彩花は心のなかで、やめてくれ、と悲鳴を上げ続けた。
空に浮いたら。5
はるか昔。
弥生時代のころだろうか。そこには一人の女性と一人の男性がいた。とても身長が低いがとても美人な女性と、気難しいが美しい男性だったという。
それぞれが同じ願いを持っていた。しかしその願いを叶えることは、普通に考えて不可能だった。ある日、不思議な男がやってきた。生きている人間一人を使って、その願いを叶えることができる、と男は言った。そして女性はある決断をした。
男性のために材料になろう、と。そして夢は叶った。しかし女性は、まだ材料として願いを叶えた道具に眠り続けているという。
---
「えっとね。情報によると...」
いま彩花は麗王とともに学校を周っていた。二人の周りには様々な学校があったため、恐ろしいほどに時間がかかった。そして一応、と、通うはずもない小学校や中学校にまで訪れた。
「彩花さん....きゅう....けい....」
なんだかんだ言って、数時間以上走りっぱなしである。
「そうだね、少し休憩しよっか。」
「すごいね、彩花さんは。全然疲れてそうにないね。」
「そうかな?日頃からできるだけ身体は動かしているから、かも。」
だが彩花の顔にも汗がついていた。しかし息切れは全くしていない。
(彩花さん、汗はかいているのに息切れしてない...?まさか....?)
(身体は反応しているのに...息切れしないということは...)
そんなわけないか、と息をつくと、
「さて、彩花さんも頑張ってるんだったら僕も頑張らないと!」
と麗王は言った。
彩花は無言の笑顔で返した。
「っ....」
恐怖。不安。不信感。そしてもう一つの感情を、麗王は初めて味わった。
母親はずっと働き、家事はすべて自分で行い、育児などなど....忙しい麗王には味わうことのできなかった感情。ずっと鍵がかけられ、なぜか感じなかったもの。
『恋情』
みんながほっこりとなる笑顔に、何故か覚えた恐怖。なのにそれ以上に勝ってしまう。
だがそれを悟られないよう、麗王もにっこりと返し、言うのだ、
「じゃあ行こっか!」
この恋は実るのだろうか。実るわけがない。そう思っていた。だが、捨てたもんじゃないとわかるのは私達だけだ。
---
(なんだろうこのモヤモヤ....なんか唐沢くんを見てると暑い...?夏だから...?)
周りをよく見て気配りができる。勉強もスポーツもトップレベル。恋愛面でも大人っぽく、どんなことでも相談できる。そんなの周りが勝手に思い込んでいるだけ。周りのことは気を配っているし、勉強も運動も頑張っている。だが、恋愛面ではダメダメだった。ダメというより、経験したことがないのだ。恋愛を、好きになることを、惹かれることを、助け合うことも。何も知らないのだ。
(...?なんでだろう...すっごく笑顔が眩しい....言葉が出ない...口が動かない...)
無言の笑顔の真実。
しかし、この恋が実ることはない。たとえどんな事があっても。天と地がひっくり返っても、実ることはない。それが運命なんだから。
パッパラパー♪(テンションバグってる☆)
空に浮いたら。6
道具とは、便利なものである。そう考えて良いものなのだろうか?
道具は時には私達に牙を向くものなのかもしれない。
便利な道具も、使い方によれば武器になり、毒になる。
それは私達の意思がなくても、道具自身の意思があるのかもしれない
---
結局空に浮くことができるという道具は見つからなかった。
「無駄足だったね....」
そんな事を言う麗王に、日和は笑顔でそっと話しかけた。
「でも、楽しかったよ?」
その笑顔を見ると、誰もが喜び、ほっこりと温かい気持ちになる。しかし、麗王は例外だった。
(...)
恐怖。そんな感情を覚えてしまう。そんなこと、彼女に言えるわけもなく、感情を殺したまま会話は続く。
「それもそうだね!彩花さんと仲良くなれたから、いっか!」
麗王の笑顔を見ると、男女関係なくつい、頬を赤らめてしまう。しかし、日和だけは例外だった。
(...?)
彼女は知らない。恋という感情を。この気持は何なんだろう、と考えるが、彼女にその答えを出すことはできなかった。
そんなとき。クラスメイトが偶然通りかかった。
「あ、彩花さん!と...唐沢。」
「木村くん、だよね。ここ小学校だけど...どうしてこんなところに...?」
少し表情を作りながら尋ねる。
「は、はい!え、えぇっとですね。ここは、弟が通っている小学生でして...」
(.....)
「そう。弟さんが...てことはお迎えかしら?でもなんで迎えに?」
(彩花さん、やっぱりすごいな。でも弟って聞いた瞬間。一瞬だけ暗い顔をしていたような..?)
「あれ?彩花さん知らないんですか?連続殺人犯がここらへんで見つかったって。でも逃げれてまだ捕まってないそうです。」
((連続殺人犯...))
「そう。教えてくれてありがとう。」
「そ、そんな!とんでもありません。というか、彩花さんも一人なら僕らと一緒に...」
「いや、彩花さんは俺が送ってくよ。」
(....)
---
「彩花さんの親ってどんな感じなの?」
「親...?」
彩花の親。それは誰もが気になっている事であり、だれも知らないことでもある。
「俺の親は優しいんだ!仕事が忙しくて最近は家に帰ってきてないけど...」
(親...か。)
「彩花さんの親はどんな人?とっても優しくていい人なんだろうなって思うよ」
「....っ」
彩花は恐怖という感情で今にも消えそうだった。怖い、怖いと叫びたい。
「人の親を見たことがないのに決めつけるのはどうかと思うよ〜?」
からかうように、震えているのがバレないように、少しずつ足を早く動かす。早く麗王と別れたい、一人になりたいと。
(やめてやめてやめてやめて。親の話は嫌!)
「ここからは一人で帰れるよ。ありがとう。」
「え...」
別れの挨拶を言わず、彩花は速歩きで麗王のもとを去った。
---
「...ただいま。」
「お父さん、お母さん、みんな。寂しくなかった?」
お父さんは。お母さんは。みんなは、ずっと笑顔を崩さなかった。
友達が 趣味でダンスを踊ろうと言ってきました。踊る曲は難しいやつでした。
うっわめんどっ って、あの時言っとけばこんなことには...(´;ω;`)
あと悲しいからみんないっぱいファンレター書いてほしいです。
あと多分初投稿ってタグwアカウント変えただけだから初投稿ちゃうやん!ってね。
空に浮いたら。7
「俺の親は優しいんだ!仕事が忙しくて最近は家に帰ってきてないけど...」
「彩花さんの親はどんな人?とっても優しくていい人なんだろうなって思うよ」
---
(人のことも知らずに親自慢?)
(人の親のことなんにも知らないくせに)
(もう嫌だよ....)
(お父さん...お母さん...)
『『日和。お父さんとお母さんと一緒に楽しく生きよう。』』
(一緒に...?)
(ならもう...)
「私も生きなくていいよね?」
彩花は家から飛び出した。
---
(今日の彩花さん...少し変だったな。)
(家族の話のとき。すっごく辛そうだった。)
(俺...聞いちゃいけないこと聞いちゃったかな...)
(余計なこと聞いちゃったかも...)
(....眠れない...)
「....頭冷やすか。」
麗王は家から、そっと抜け出した。
---
深夜2:00。公園前。この公園は有名で、高い丘からの景色が絶景だ。しかし丘の斜面が急で、事故が多発している。亡くなった人もいるという。
(しょうがない...よね?)
そして今、新たな犠牲者が出ようとしていた。
公園にいるのはたった一人。誰もが二度見をするような美しい容姿の少女だった。
_
(頭冷やすとはいえ、こんなところまで来る必要なかったな...)
(...ん?)
一人の少年の視界に飛び込んできたのは
丘から落ちようとしている少女だった。
しかもその顔には見覚えがある。
「彩花...さん!?」
少年は彩花に向かって駆け出した。
「...っ!?」
(唐沢くん!?何でこんなところに...ダメだよ。止められちゃう。急いで、急いで。急いで...)
生きることを放棄しようと、この場所にやってきた。しかしいざとなると恐怖で足が動かない。
(でも...今ここで決めないと...!!!!)
「ごめん。唐沢くん。」
彩花の足が、空中に向かって踏み出される。
「彩花!!!!!!!!!!!!!!!」
麗王が手を伸ばす。
(名前...彩花って....名字呼び捨てで....ありがとう...でも...)
「絶対に死なせない!!!!」
それでも彩花は手を伸ばさなかった。
「掴んでくれないなら...こっちが捕まえる!」
「っ!?」
麗王は丘の柵から身を乗り出し、彩花を包み込むように手で捕まえた。
「....はぁ..っ」
(死ね...なかった...)
彩花は麗王を睨んだ。
「なんで!!!なんで助けたの!?どうして!!!!」
(もう....生きるのは..)
「うんざりなのよ!!!もういやだよ死なせてよ!!!!!」
「でもさ。しょうがないだろ?」
「は???」
「目の前で死のうとしてる人を見たらさ、」
「身体が勝手に動いてたんだ。」
「....っ」
「もう、死のうとなんかしないで。彩花さんが死んだら僕は悲しい。」
頬を少しだけ赤らめた彩花が言った。
「じゃあ条件」
「私のことを彩花さんじゃなくて。」
「彩花って言って。」
「っ!?」
「なに?ダメなの?」
「.....それで、いいなら...」
一見解決したように見えるこの一件。
しかしこれは始まりに過ぎなかったのである。
丘から落ちた相手を言葉を発言したあとに身を乗り出すだけで包み込むように捕まえられるだと.....!?
みなさんファンレターありがとう(´;ω;`)とっても嬉しいです!
誰でもどこでも簡単に読めるようにわかりやすく書きます!
あとプロではないですwどこにでもいるただの学生です。
これ見てる人わかるかな...?って思った部分は、完結後に解説入れます。
解説入れてほしいところ教えていただけると嬉しいです。
空に浮いたら。8
ねぇキミは知ってる?
この世界の人間って、死ぬ間際でも、好きな人に希望を抱いてしまうんだって。
たとえ自分から命を放置投げようとした、その瞬間でも。
好意を抱いている人に、希望を描いちゃう。
たとえその好意に、自分でさえ気づいていなくても。
---
「彩花様!おはようございます!」
「おはよう。」
(学校、行きたくない....)
彩花日和は絶望の淵に立っていた。
『なら私のこと彩花って呼んでよ。』
昨日、自分が行った言葉が再生される。
正直言ってやらかしてしまった。
(....何であんなこと言ったんだろ...?)
あそこでその場から立ち去って、覚悟を決めていたら消えることができたのに、と。
(あの事があってから、何故か身体が強張り、体温が上昇した。頬も赤くなったし、あのことを思い出すと何故か恥ずかしい.....なんで...?)
それは「恋」だと教えたい。
---
「彩花さ....じゃなかった彩花!」
ここは唐沢家の麗王の部屋である。
(うぅ...彩花さんって呼び方のほうがしっくりくるよ...)
麗王は彩花呼びを練習していた。麗王には経験したことがなかった。女子を呼び捨てで呼ぶということを。しかもその相手は学校一の美女、彩花日和である。
(なんであんなことしたの彩花さん...心配だよ...)
『なら私のこと彩花って呼んでよ。』
「っ////」
(やばいやばいやばい。あのときのこと思いだしただけでやばい....ほんとにっ!)
「...学校。憂鬱だなぁ...(泣)」
---
「彩花さ...じゃなくて!彩花、おはよ!」
「唐沢くん。おはよう〜」
(いやお前はくん付けなんかい!)
(いやいや、俺は何を期待してたんだ....)
他の人も不思議に思わなかった。その二人が仲がいいのは、誰でも知っていたから。今日もそのまま一日が過ぎていく。二人だけを除いて。
(な、なんで唐沢くんって言っちゃったの!?麗王って呼べば良かった...)
(彩花って呼ぶとき顔、大丈夫だった!?)
---
「日和ってさ〜」
「え〜そんなことないよ〜」
昼休み。二人はそれぞれを気にしながらも、他の友達と昼ごはんを食べていた。
「麗王!彩花様といつ仲良くなったんだよ〜」
話題は一緒だったが。不思議に思わない人が多いが、気になる人もいるらしい。
そんなこと質問に一つ一つ答えていった。
「だから〜彩花と俺はそんなこと....」
麗王はこっそり聞き耳を立て、彩花のグループの会話を聞いた。
「でさ、婚姻とかすんの〜〜??」
「しないって...w」
「親!親にはもう言った!?」
「日和の親、見たことないからさ〜」
「日和ちゃんの親!?気になる〜」
「どうせ美人でしょ。」
「お父さんもイケメンなんだろうな〜〜」
「ね、今何歳!?お母さんとお父さん!教えて教えて!」
(っ!!!!!!)
『親』その言葉が彩花の胸に突き刺さる。痛くて痛くて苦しい。
それでも質問はやまない。
「ちょっと彩花も困って...」
「うるさいよ!人の親を勝手に決めつけて!!確かに何も知らないからしょうがないかも知れないけど!!!なんで!何でそんな事言うの!?」
「え...日和...?」
その場が静まり返る。
「ご、ごめん。何があったか分からなくて、迷惑だった?」
「そうだよ迷惑だよ。私にだってプライベートはあるの。私も人間なんだから。私だって私だって私だって。親について語りたいよ!!!!でもわからないんだからしょうがないでしょう!!??」
「日和...?ご、ごめんって言って...」
「ごめんなさいで済むんだったら警察はいらないんだよ!」
「ひ、日和...?ご、めん...」
「っ!!」
(どうしようどうしようどうしようどうしよう。言っ...ちゃっ....た.....)
「あんなに言わなくても...」
「流石にひどくない...?」
少しずつ周りから声が聞こえ始める。悪口という名の声が。
(やだやだやだやだ。ここまで頑張って積み上げたのに。こんなことで消えるの....?)
「あ、彩花には!きっと事情があるんだよ!」
(っ!唐沢...くん...)
「みんなにもあるだろ?」
「.......唐沢くんがそう言うなら。」
その場は、収まった。
(でもこのまま唐沢くんが私の味方をしたら、唐沢くんも嫌われちゃう...?)
彩花がこの事に気づいていなければ、幸せな日々を送れていたのかも知れない。
ごめんなさいで済むんだったら警察はいらないんだよ!
みんな知ってる名言出ました〜
ちなみに麗王は、れおと読みます!
れおと打ったときに、一番上にこの字が出て来ました!
空に浮いたら。9
「.....先生。気持ち悪いので保健室に行ってきます。」
場が少しずついつもどおりに戻ってきた頃、彩花は自らこの場から離れた。
(気持ち...悪い....吐きそう....)
彩花は壁に手を添え、全体重をかけ、しゃがんだ。
『『日和。お父さんとお母さんと一緒に楽しく生きよう。』』
(お父さん.....お母さん....私は....)
「彩花!!!」
「...?」
「大丈夫!?すっごく苦しそう....俺...」
麗王はなにか言いたげな雰囲気で、まあいいか、と彩花に手を差し伸べた。
「立てる?彩花さ...彩花、いますっごく顔色悪いよ。」
「....ちょっときつい...かも.」
今にも死にそうな声をした彩花は、必死に立ち上がろうとするが、立ち上がった瞬間、力が抜けてよろけてしまう。
「はぁ...しょうがないなぁ」
「ごめん....もう唐沢くんは帰っても...」
その瞬間麗王は彩花を抱き上げた。まるでお姫様を抱えた騎士のように。
「...?ありがとう...?」
(これでもこの人はどうもならないのか!?これ結構勇気いるんですけど...)
「重いだろうからおろしてもらってもいいよ...?」
(あーーーもう!!!彩花さ....彩花じゃなかったらここに来てすらいないよ!)
「彩花すっごくきつそうだから。」
「そっ...か。ありがと....う」
コテッっと彩花は寝てしまった。寝たと言うより、辛すぎて気を失ったという方が正しいのか。
「はぁ。ほんとに手のかかる人だな....」
でも....
それ以上に、可愛い。
---
キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が鳴り響く。カーテンから西日が少しだけ漏れ出ている。
「...?」
彩花は目を開けた。
(保険室...?たしか唐沢くんと..そのあとどうなった...?)
周りを見渡したも誰も居ない。ただ、自分の荷物があるだけ。
風の音と時計のカチカチとした音だけが聞こえてきた。
「唐沢くんが運んでくれたのかな?」
(まだ...いるかな?)
彩花は少し考える。合うかどうかを。その瞬間に思い出してしまった。
(私と一緒に居たら唐沢くんも嫌われる)
「....」
「あ、彩花!具合はどう?」
「...運んでくれてありがとう。じゃあ。」
素っ気ない態度を取るしかない。
「あ、彩花?具合は...?」
「もう話しかけないで?」
(え?俺なんかした?嫌われてね?え?まじかよ。)
「あ、彩花....」
もう一度その名を口にしたときには、彩花の姿は見えなかった。
---
「みんな。ただいま。これでよかったよね?」
『いいんだよ』
聞こえてきた。きっと。
「....ちょっと熱あるよね...薬...」
引き出しを開けても、薬は何もなかった。
「買いに行く、か...」
---
「うぅ....彩花なんで...俺なんかした!?」
「おにいちゃん!おかあさんのずつーやく?がなくなってる!」
「買いに行く、か...」
---
(彩花...なんであんなに怒ったんだ...?)
(頭クラクラする....あそこの公園で一休みするか...)
ドサッとベンチに膝をかける。
「あれ...?おかしいな....」
視界が揺らぐ。少しずつ狭くなっていく。
バタンッ。崩れ落ち、
---
(熱あるしさすがにきつい...ここらへんに公園があったはずだし、そこで休憩するかぁ...)
少し足の動きを早めて、公園へと急ぐ。なんとなく嫌な予感がした。
公園についた。その視界に飛び込んできたのは_______
「麗王!!!!!!!!!!」
なんで彩花のほうが具合悪いのに麗王が倒れてんねーん!
お姫様抱っこの表現って難しいね。
感想カモン!
空に浮いたら。10
☆小説リクエスト募集中!
「麗王!!!!」
(彩花...?何でここに....)
「え。どうしようどうしようどうしようどうしよう。」
(病院....!は近くにないし....麗王の家は知らないし....)
「.....麗王。ごめん。」
麗王の意識はそこで途絶えてしまった。
---
次に目が覚めたのは、ベットの上だった。おしゃれな部屋で、広いベットに横たわっている自分が居た。壁には絵が、横にある小さな机には騎士の兜のような花があった。
カツカツという足音が段々近づいてくる。
「...!」
カツカツカツ.....
(誰...?ここの家の人...?)
その足音に恐怖しながら、身構えてしまう。
ガチャッ。
ドアが開いた。
「「あ」」
ドアを開けたのは____
見知らぬ女性だった。
「えっと....俺を運んでくれた...?」
「う、うん。えっと公園で倒れてて...君のこと知らなかったけど....でも病院近くにないでしょ?」
その少女が身長が低く、黒髪でとっても美人だった。その少女はその後たくさん話しをしてくれた。
ここは自分の家で、自分以外誰も居ないということ。自分は十六歳だということ。
「そうなんだ〜」
「でね、でね!」
麗王と少女はいつの間にかだいぶ前からいた友達のように親しくなっていた。
チクタクチクタク。盛り上がる話の中に少しだけ入り込んでくる時計の音が気になり、麗王はふと、時計を見た。
(まだ少し具合が悪いのかな...?ちょっと見にくいかも。)
時計が指している時間は____
4時45分。
きっと。
「お、俺帰らないと!流石に時間、やばいから。」
「そっかぁ。残念だなぁ。」
麗王は急いで荷物を取り、部屋から出た。玄関へ急ぎ、急いでドアを開けた。
「じゃあ、ありがとう!いつかまた会えたら。またね。」
「うん。また。」
麗王は駆け出した。
「麗王くん。またすぐに、会えるよ。」
---
麗王はその後すぐに家に帰ったが、蓮が静かに寝ているだけで、母親は帰ってきていなかった。
(母さん、仕事忙しいのかな。大丈夫...だよね。)
「...蓮...」
麗王にとっては蓮はたった一人の真の家族だった。母親は仕事の都合でしばらくあっていない。
(母さん、顔も思い出せないよ...)
麗王は少し休憩して、朝食を作り、学校へと向かった。
---
「唐沢、おは〜」
みんなから挨拶されるなか、麗王は彩花の元へと走っていった
『もう話しかけないで?』
(あの言葉...どういうこと...?)
「彩花、おはよう!」
「....」
彩花から返事が来ることはなかった。
「彩花...?」
「ねぇ唐沢くん。」
「話しかけないでって言ったよね?」
「え.....」
場が静まり返る。あんなに仲が良かったのに、と。
面倒くさがり屋の私にしては珍しく、空に浮いたら。は、考察要素満載の小説です!
〜ファンレターへのお返し〜
アドバイスありがとうございます!とっっっっっっても嬉しいです!
参考にさせていただきますm(_ _)m
これからも頑張っていきますので、よろしくおねがいします!
空に浮いたら。11
「私ちょっとトイレ行ってくるね。」
そう言い、彩花は席を立った。
場は静まったまま、しばらくして一人が言いだした。
「唐沢と彩花様って付き合ってなかったのか...!?」
「....」
麗王はその質問にも答えられないまま、下を見たまま固まっていた。
(俺....俺!なんかしたのか?なんでなんでなんで.....!!!!)
麗王は必死に泣くのを我慢した。
「ごめん。俺、具合悪いから保健室行ってくるね。」
---
(俺...何で泣きそうになってるんだ...?)
「....っ」
「なんで....」
俺は......
彩花のことが.....
---
(私、なんでこんなに胸が苦しんだろう....)
「唐沢くん....悲しそうな顔してた...?」
「でも私のことなんか....」
「.....っ」
私のこの感情は...
---
(私は唐沢くんを)
(俺は彩花を)
「「好き?」」
二人はそれぞれ走り出した。麗王は彩花を。彩花は麗王を見つけるために。
---麗王ver.
(彩花彩花彩花彩花...!もし俺が嫌われててもこの思いだけは....!)
「どこにいる...!?」
目を動かしながら校内を駆け回る。
『廊下を走っちゃいけません』そんなの関係ない。
今は。この思いは。そんなものでは止められない。この思いは毒であり病なのだから。薬はこの思いを言う。それだけ。
窓越しに彩花の姿が見える。
(彩花...!!)
その時の彩花の顔は_______
真っ青だった。
---彩花ver.
(なんだろう...体が勝手に動く....麗王を探したいって言ってる...!!!)
彩花は駆け出した。目は涙で赤く染まっていたし、髪もボサボサだった。そんな事関係ない。この衝動は止められない。麗王を探したいと、本能が告げているのだ。
(こんなこと初めてだよ....!!)
いつでも冷静。みんなの事ばっかり考えて。でも彩花は今、自分のために学校の校則と人への影響を無視して走っている。
「彩花!!!!」
(麗王!?)
振り向いた先にいたのは_______
家族だった。
(え)
「お父さん?お母さん?みんな?え?なんで?」
彩花の顔から色が消え失せていく。いつのまにか麗王のことなんか忘れていた。
「はぁ.....はぁっ....」
呼吸をするのが難しくなてくる。息がつまり、いまにも押し潰されそうだ。
「「日和。お父さんとお母さんと一緒に帰ろう。」」
(...っ!!!!)
ドクンドクンドクンドクン。どんどん心臓の鼓動が早くなっていく。
「れ....お.......」
言葉を発するのでさえ難しく、視界が暗くなる。何も考えられなくなって。
(助.....け.....て.......)
麗王________!!!!!!
---
この悲劇の内容を詳しく説明するのには、彩花の家族のことから説明する必要があるのかも知れない。
時は遡ること___________。
また視点がわかりにくいやつ書いちまった....アドバイスもらったのに.....
後半は力作✨
前半は書くの苦しかったw(どう書けばいいかわかんなかっただけ)
空に浮いたら。と、僕の教室は無限。を、同時進行します!ちょっと詰まるときもあるかもです。
空に浮いたら。12
「お父さん!お母さん!」
「日和〜走っちゃダメよ!」
今日は引っ越しの日。お父さんとお母さんはいつも優しく叱ってくれる。
とっても広いお家だったんだ!
「すっごいね!お庭もとっても広いよ!!」
「ここが日和の部屋だよ。」
「うわ〜!!!✨」
部屋はとても広くて、お姫様が使ってるみたいなベットがあったの!壁には絵が、ベットの横には小さな机。騎士様の甲みたいなお花があった。
「ありがとう!お父さん!お母さん!」
その引越からしばらく立って、留学していたお姉ちゃんとお兄ちゃんが帰ってきた。その後にお母さんが弟を新しく産んだんだ。その時にお母さんは
死んだ。
弟を産んだあとだった。あまり体調が良くないときに私の誕生日があったの。私の誕生日を祝おうとして無理して。そのまま死んじゃった。
「お母さん....?なんで?日和、今日で五歳になったよ!」
私が五歳になった夜。お母さんは息を引き取ったんだ。
そこからお父さんはずっと目の下に隈ある状態で、私達のために働き続けた。
「日和......」
3年後。ついにお金がなくなって。お父さんは保険金目当てに自殺した。私は自殺しようとしていることを知ってたから。止めようと思って追いかけたんだ。
そしたら私の目の前で__________。
「おと....うさ......ん?」
そこからだった。家族のことを思い出すと少し苦しくなるのは。
そのあとお姉ちゃんは事故にあって。弟の保育園のお迎えのときだったんだ。お姉ちゃんと弟は。
お兄ちゃんは私のことを嫌ってた。お母さんを殺したのはお前だって。でもその分心配してくれてもいた。
彩花様の過去のお話!暗すぎんか....?w PG12にしたほうがいいかな(´;ω;`)
諸事情により、よる連載できないので毎日投稿できないです
空に浮いたら。13
大昔、愛する人のために自分を道具と化した女性は、結婚してすぐだったという。少女のような見た目をしており、時には銭のために自身の漆黒の髪を売っていたという。
---
「「日和。こっちにおいで。」」
(私.....は......)
『母さんが死んだのはお前のせいなんだ!!』
兄から言われた言葉が蘇る。
「....っ!」
悲しくて、怖くて泣く。これは、そんなものでは無かった。
『恐怖』
それだけが彩花の中で渦巻いている。もっと昔のことも思い出してどんどん変わっていく。
「彩花!!!!やっと見つけた...」
麗王は彩花の腕を掴んだ。そして引き寄せた。
その頃には彩花は_________。
黒く髪を染め、いつの間にか少し縮んでいた。
「君は....あのときの.....?」
「......ごめんね。」
麗王の視覚、聴覚が鈍くなる。段々白く染まっていく。
「ごめんね。ワカ......ケ......」
「今なんて_______________」
優しく彩花は麗王の手を外す。その瞬間に麗王は。
『大昔』へと飛び去った。
---
「ここは...?」
麗王はいつの間にか真っ白な世界で横たわっていた。
真っ白な世界には、たくさんのドアがあった。
色、大きさ、形.....それぞれデザインが異なっていた。
その中に一つ、一際輝いているドアがあった。
「.....このドア....」
見覚えがある。麗王は思った。そして本能が告げた。ドアを開けて一歩を踏み出せ、と。
迷うも何もなかった。彩花のときと同じだ、体が勝手に動くのだ。
ガチャッ。
麗王の大昔を知る旅が、今。始まる。
---
一歩踏み出すと、そこは自然の中だった。チュンチュンと無く小鳥、池の中を泳ぐ魚。美しい緑を放つ木々たち。
「すごく綺麗だ.....」
ふと、池を見ると、服が変わっていた。着物と似ているが、少し違った。
(この服装は......)
小学生の時に習った。『古墳時代』の服装だ。
「こ、ここここ古墳時代!?」
(え。まじかよ。てかこれってどういうこと!?ただの森じゃなかったの!?俺古墳時代のコスプレさせられてんだよ.....)
麗王が混乱しているときだった。
「大王!こんなところにいらっしゃいましたか!!」
「ん?いま......俺のこと大王と言ったのか?」
「はい。申し上げました。というか大王、このあとすぐに予定が.....」
(お、大王ってあれだよな?あの古墳時代の......)
大和朝廷のトップ。大王。
「は!!!????」
「お、大王。どうかされましたか?」
(大王....俺が!!??)
なんでドアを開けてここに入ったのかと、今更後悔している。
「大王!それより浪速に古墳を作るという話し合いが.....」
(浪速...?え、浪速に古墳.....それってまさか。)
『大仙古墳』
(話し合い、行きたくねぇーーーー!!!!)
でもサボったらまずいか、と、いいだろうと行って大人しくついていった。
---
(話し合い長かった.....)
3時間後。
「タケル様!お疲れさまです!」
「....誰?俺忙しいんだけど....」
見知らぬ人にいきなり話しかけられたからなのか、反射的に睨みつけてしまう。
「日和です。タケル様。話し合いお疲れになったのでは?休まれたほうが.....」
(日和....それって。)
疲れている目を凝らし、話しかけてきた少女を見つめた。
少し低い身長、漆黒よりも黒く美しい髪。
その瞬間、麗王はすべてを悟った。
あのとき自分を助けてくれた少女は、この子だったのだと。
(日和って彩花の下の名前....)
「......っ!」
(まさか......)
あれ?これって歴史小説かな?というかここからは結構初期の方の話見てないとわからないものが出てきますw
空に浮いたら。14
⚠この話(14話)には、過去の話(1~13話)を見ないとわからない部分が多々あります。
(まさか彩花は....)
『昔の人間』。
考えられないことだった。
空へ浮くための道具探しをしたあの日。彩花は汗はかいているのに息切れはしていなかった。息切れが起こる原因は、筋肉用エネルギーが酸素で、その酸素を体を動かすとその酸素を大量に必要とするからだ。汗は体温の調整機能だ。つまり、彩花は筋肉がない、とうことなのか?
(嘘....だろ?でもまだそれが真実ということは.....)
「タケル様?どうしましたか?」
「い、いや。なんでもない.....」
(この子は彩花....なのか?)
「日和はタケル様が心配です.....お休みになってください....」
(...っ...)
髪色・背丈は違ったが、その笑顔、その顔は彩花そのものだった。
「タケル様〜!日和以外もかまってくださいよ〜〜日和はブスですし〜」
他の女性も話しかけてくる。
「..................あ?」
麗王は睨みつける。
(彩花が...?お前らに興味はないんだよ.....)
無言の圧。それに恐れ、人々はそこからあっという間に立ち去っていく。
「た、タケル様!ひ、日和のために怒ってくれたのですか...!?」
「はっ!?い、いや全然そんなのじゃ....」
普段は『かわいい』を見せない彩花とは真逆の、『かわいい』彩花に、麗王は頬を赤らめた。
「....じゃあ俺休むから...って。どこで休めば...?」
「タケル様!?ご自分のお部屋を忘れられたのですか!?」
「......うるさい」
彩花に部屋を案内してもらいながら、一生懸命伝えるのを我慢した。
この気持ちを。
このときに思いを伝えたら、どうなるのだろうか....
「タケル様。ゆっくりお休みになってくださいね。」
薄れていく意識の中、耳元で彩花が囁く。
「......ん...おやすみぃ...」
そこで麗王の意識は途切れた。
「タケル様......日和は....あなたのことが.....」
『身分の差』どの時代にもどうしようもないことである。
「叶わないけど.....あなたからの愛を求めてしまう日和は悪い子ですか...?」
『日和』は泣きながら、そう言った。
---
「タケル様!日和ではなく私を近くにおいてください!!!!!」
「................は?そんな事するわけ無いだろ?w」
「だって!日和ばっかりずるいです!!あんな豚が私よりタケル様の近くにいれるなんて...!!!!!!!!」
「..........................................帰れ。俺にとってはお前が豚だ。」
「タケル様.....日和はタケル様が心配です....他の貴族ですら3人以上のものを近くにおいているというのに....」
麗王の近くには日和しか居なかった。
麗王って古墳時代行ってから性格荒くなったね☆
僕の教室は無限。書くのが難しいです。(私の脳的に。)
頑張ります!!!!!!!!!
空に浮いたら。15
『空に浮いてみたい』。この時代に飛ばされても、麗王のその願いは健在である。
かつては子供っぽいとバカにされてきたこの願い。理解してくれた彩花の昔の姿...?の日和だったら理解してくれるかも知れない。
---
「日和...あのさ。」
「タケル様?どうしましたか?あ、まさか日和以外に人を置くことをお考えに...!」
「...いや違うよ。」
麗王は迷った。彩花は認めてくれた。でも.....日和は、認めてくれるだろうか。
自分がなぜこんなにも空に浮きたいのか。そんなのわからない。でも。それが生まれた使命のように、頭が強く思っている。こんな自分が怖い。
(なんで俺は........!!!!)
くだらない悩みだ。なんで自分は自分がやりたいかどうかわからないものを、やりたいと強く願っているのだろう。
「俺の....夢を聞いてほしいんだ。」
段々声が小さくなる。体が震えて、体が熱くなる。今にも零れ落ちそうな涙を、必死に堪える。
くだらない悩みに見えて、深刻な悩み。自分がわからないのだ。自分がなぜこんなことを思っているのか。怖くて怖くて仕方がない。
「.....日和は。日和はなぜ、タケル様がそんなに怯えているのかわからないです。」
(...そう、だよな。だから勇気を出さないと...)
「だから!!!!!!!!」
「っ!?」
日和の突然の大声に、麗王は肩を揺らす。
「日和の夢を、タケル様に教えてあげます!!!!」
「日和の夢は.............」
「空に、浮くことです。」
(あぁ、なるほど。)
麗王は理解する。自分がこんなにも空に浮くことを願っていた理由。
「俺も。」
「俺も同じ。空に浮きたい。」
思わず口を動かす。
「!!!本当ですか!?日和と一緒.....!」
麗王が空に浮きたいのは........
日和がそう、望んだからだ。
---
「空に浮くのにはロマンがあると思うんだ!」
「とっても広いあの空間に........」
麗王が一方的に、聞かれたとき用空に浮きたい理由ブックの中身を読み上げていた。
(助かった........誰かに聞かれたときのために言い訳考えといてよかった....)
日和は目をキラキラさせながら、
「そうですよね!?わかります!」
と、相槌を打っていた。
それが本心からのわかりますであることを、麗王はずっと願っていた。
「タケル様。お仕事がありますよ〜」
「あ、そっか。そんな時間か。じゃあ行ってくる。」
「............行ってらっしゃいませ!」
麗王は気づかなかった。日和の瞳が、震え、悲しい瞳だったことを。
---
「おい日和。適当に相槌打ってるだけで近くに入れるなんてwwよっぽど運がいいんだな。」
「お前みたいな豚が!タケル様のお気に入りなんてよ!wwwwww」
そこには掃除をしながら悪口を言われ、ごみをかけ続けられる日和の姿があった。
「てかタケル様の趣味がおかしいんじゃない!?ww」
「!!!!!!」
「タケル様はそんな人ではありません!!とっても優しい.....」
日和が言い終わる前に、周りの女の手が、日和に激突した。
「うるせえんだよ。お前の感性が普通じゃねえだけだっての!w」
(こいつら......私だけならまだしもタケル様まで........!!!)
日和の頭部からは微かに血がついていた。そして頬は、手形に赤く染まっていた。
スローペースすぎるww頑張って展開早くしようと思ってるんですけど...無理でした(´;ω;`)
ファンレターいっぱいください!
空に浮いたら。16
「.....今日もやること多すぎ....てか俺なんでこっちの世界で普通に仕事してんだよ....」
(何で戻りたいって思わないんだ...?)
ふぅ、とため息をつき、自分の部屋に戻った。
「.....ただいま........」
部屋の中には何かをしている日和が居た。
「..っ!?」
俺が戻ってきたと気づいた瞬間、日和は『なにか』を隠して言った。
「おかえりなさいませ、タケル様!今日もお疲れですね.....」
「.......」
麗王はその瞬間気づいた。
(.....は!?)
日和の頬に絆創膏らしきものがついてた。
「......なるほど。」
麗王は、自分に優遇されているからいじめられているのだろうと察してしまった。
「日和。今日は俺大丈夫だから。帰っていいよ。」
「は、はい....」
---
(俺は知らぬ間に日和を傷つけていたのか..?)
(きっと日和は俺のせいではないと言うんだろうな....)
(でも事実として俺のせいで日和は.......)
麗王はその夜考えた。
そして決意した。
---
「タケル様!おはようございます。昨晩は疲れを取ることができましたか?」
「.........」
「タケル様?」
(ごめん。これからも迷惑かけるな。)
「タケル様〜!!!朝ごはんーーー!!!!!」
「.....」
(日和.......ごめん。)
「タケルさ..........」
「お前うるさい。もういいから俺の前から消えてくんない?」
「え?」
日和の顔からすべての色が消え失せた。
「何その青ざめた顔。俺の地位奪いきだったの?」
「た、タケル様日和は.......」
「はぁ........もう言い訳とかいいから。消えろつってんだろ?」
「........................................................................」
「申し訳ありません。今までありがとうございました。失礼します。」
「あぁ。早くどっか行ってくれ」
(ごめん。でも俺は。お前のことが)
(タケル様.......日和はただあなたのことが)
((大好き))
日和はふと振り向いた。麗王の顔は..........
涙で水色。目元は赤く染まっていた。
(日和のために......!!!!!!!)
日和は音を出さないように泣いた。その日はずっと泣いていた。
---
『空に.........浮くことです。』
あの日の日和の言葉が繰り返される。
「彩花..........会いたい...」
日和のせいで忘れていた。日和は彩花で、彩花は日和。でも麗王が好きになったのは彩花だ。
(どうやったら戻れるんだ......??)
日和のおかげで忘れられていた不安と恐怖が蘇る。
(彩花を助けないと........でも戻り方分からねえ.......)
「.....っ」
---
『俺も同じ。空に浮きたい。』
(タケル様......日和と同じ夢......日和はあなたと一緒に居たいだけなのに.......)
昨日のあのことから、全くもって仕事に手が付かない。
そんなとき、すぐそこに見知らぬ男が居た。そのおとこはこんなことを言った。
「道具!道具はいりませんか!?空に浮くことができる、魔法の道具です!」
(空に浮くことができる.........道具........??)
「少しお高いが気になったあなた!!話だけでも!!聞きませんか!?」
少し気になってダメだと思いならも理性が押し潰されて話を聞きに行ってしまった。
「空に浮くことができる道具ってどういう意味ですか?高いってどのくらい...?」
見知らぬ男は不思議な雰囲気で、ニヤリと笑って言った。
「空に浮く。それだけですよ。お値段が高いっていうのは....」
(....)
日和はゴクリと息を呑む。
「お値段はあなたの命です。」
「...は?命?」
「そうですね。命です。誰かに送る、ギフトみたいなものです。」
「命を犠牲にしてそれをギフトに.....!?」
(こいつ.....バグってる.....命を犠牲にしたものをギフトなんて軽々と...!!!!)
「.....っ..」
「まあ自分は数週間ここにいる予定なんで。覚悟決まったら声かけてください〜」
(た、タケル様のお願い事.....でもタケル様は私が死んだら...)
麗王はなんで彩花のこと忘れてたんだ....?
みなさんお知らせ!病み期突入s(((殴
ファンレターたくさんちょうだい!!
空に浮いたら。17
『お値段はあなたの命です』
昨日の男のあの言葉を思い出す。自分の命を差し出せば麗王の願いは叶う。ここで命を差し出さなければ麗王の願いが叶う確率は低いが一緒に居られる。
それならば答えは決まっていた。
(でもどうやって呼び出せば...)
命を払って道具を手に入れたとしても、その道具をどのように渡すかが全く思いつかない。
あの男はギフトだと言っていたが、あの男が渡してくれるのだろうか.....
そんな事を考えていると、いつの間にか朝になっていた。
麗王の近くにいるからと、日和は一つ部屋を貸されていた
(タケル様.....)
麗王の近くに居なくなってすぐ、他の女たちからのいじめは全くもってなくなった。
「どうすれば..」
(あ)
「一つだけ方法がある...........か。」
この方法は麗王を突き落としてしまうかも知れない。でもそれは『日和を好きだった場合』、だ。
そんなことはありえない、と、日和はその可能性を考えていなかった。
---
「タケル様〜かまってくださいよぉ」
「黙ろっか?」
麗王は冷たい態度を取っている。
(日和......いや彩花に会いたい........)
「タケル様。日和から手紙が。」
「は?」
「あの豚....これ以上尊様の機嫌を悪くしようって...!!!!!!!!!!!!!」
(......)
麗王は黙って手紙を開いた。
『タケル様。私が何かをしたことはわかっておりますし、これ以上鑑賞するつもりは全くありません。しかし、言いたいことがあるのです。明日、この場所に来ていただいてよろしいでしょか......?』
「.......」
ちょっと書くのめんどくさかった!(汗)
しばらく投稿頻度が低くなるかも、知れません。
空に浮いたら。18
こんなに長いシリーズになるとは、書き始めた当初は全く思っていませんでした。
そして作者は言いました。恋愛経験ない私からしたらまるで夢物語だな!!と。
byにゃん!(=^・・^=)
『タケル様。私が何かをしたことはわかっておりますし、これ以上鑑賞するつもりは全くありません。しかし、言いたいことがあるのです。明日、この場所に来ていただいてよろしいでしょか......?』
昨日、日和からあんな手紙が送られてきた。日和とはもう縁を切ったつもりだった。これ以上関わるつもりはなかった。でも...........
(でも日和のこと...........彩花?)
『人って、無能...なんだね』
その彩花の口からこぼれた小言を思い出した瞬間、何かが頭の中に流れ込んできた。
「日和〜走っちゃダメよ!」
「お母さん....?なんで?日和、今日で五歳になったよ!」
「日和......」
「母さんが死んだのはお前のせいなんだ!!」
「おと....うさ......ん?」
「れ....お.......」
(助.....け.....て.......)
それは誰かの記憶。何も知らない人から見ればの話だ。
声、かすかに見える顔........『彩花の記憶』だった。
「は........?」
(これは彩花の記憶なのか?でもそれなら日和の時の記憶も.......てことは日和は彩花ではない?でもあの見た目......瓜二つだぞ..........)
(というか彩花はこんな過去を抱えて........)
『生きて、演じていたんだ。』
麗王の脳内にはその言葉が漂っていた。
---
麗王は日和との約束の場所に向かった。
日和は麗王に指定した場所に向かった。
「.............これで会えるのは最後ですね..」
日和だけ、悲しい目をしながら。
(日和は何で俺のことを呼び出した?まあそれは会ってからのお楽しみだな..)
麗王が約束の場所につくと、もうそこには日和が立っていた。
「日和......あの」
ごめん。麗王が言う前に日和が言った。
「タケル様。私はあなたの願いを叶えたいと思っています。でもそれをするにはこうするしか無かったんです。許してください。」
「..?何言ってる?日和?」
「タケル様。私はあなたのことが好きです。」
「.............は?」
「私はあなたのことが好き。だからこっちに来て。」
麗王は呆然としたまま、言われるままに彩花 日和に引っ張られていった。
「ここで、あなたの願いは叶う。」
「願いって..........空に浮く........とかそういう?」
「うん。」
「まじで...?」
「そうだよ。唐沢くん。いいや、麗王。」
「は?」
どういうことだと考える暇もなかった。自分の体がどんどん上に上がっていく。
空に、浮いたのだ。
「すげー.........じゃなかった!嬉しいけど俺の前の名前知ってる日和っぽいのって彩花しかいな.......」
そういったときにはもう、どこにも彩花 日和の姿は見当たらなかった。
あれ?もしかして私小説下手だったりする?
彩花と日和、麗王とタケル、そしてその他のモブキャラでもokなので生年月日、見た目、性格、体格など募集中です!(いままでそんなの考えてなかったので。)
あ、でも日和は黒髪ロング、身長低いは確定だw
空に浮いたら。19
「彩花........??」
「俺はまだお前に聞きたいことがたくさんあって...........」
「しっかり話したいし」
「まだ伝えていない...................」
麗王の『恋』。
こんな結末。予想できてただろうか。
(嘘だ。見えてないだけだろ?)
麗王は顔を青くしながら、周りを見回したり少し移動したりしながら彩花 日和を探した。
『麗王。』
うっすら見えた。彩花だ。
「彩花..........!!!!!!」
『良かったね。空、浮けたじゃん。』
「そうじゃなくて.....!!」
『ありがとう。ごめんね。バイバィ』
半透明に近かった彩花の体はどんどん薄くなっていく。
「待って...................まだ話したいことがたくさん..........」
麗王の言葉で透明になっていく体を止めることはできなかった。
『ご.................んね?』
そういった瞬間、彩花は透明になるとともに、遥か彼方、もっと上の方に飛び去った。
「.........は?」
「彩花...............................................?」
(うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ)
「ぉぃて......................................................行かなぃ..........で.............」
「あのさぁ。そんなで終わっていいの〜?龍にいちゃん」
「................だれ?」
このまま書くとめっちゃ長くなりそなので20話に詰めます。
このシリーズもうちょい長くなりそうですw
伏線張りすぎて伏線回収で忙しい(;・∀・)
空に浮いたら。20
ついに二十話突入!
まだまだ長い戦いになりそうです......
飽きがひどい私がここまで続けられたのはみなさまと、神様が飽きがないという奇跡を与えてくれたおかげです!(そこは皆様のおかげにしとけや)
「え!?まさか僕のこと忘れちゃったの!?」
「..............彩花は?」
「龍にーちゃん!おちつこー?」
「落ち着いていられるわけ無いだろ!?彩花は?日和は?どこに行ったんだよっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
麗王は冷静さを取り戻すこと無く、泣きながら大声で叫んだ。
「まあまあ。落ち着いて落ち着いて。僕は龍にーちゃんを助けに来たんだよ!?」
「.................は?」
麗王はその言葉につられ、初めてその少年の顔をしっかりと見た。
その少年の顔は___________________________
「........蓮っ!?」
弟の蓮。そっくりだった。
「そうだよ〜龍にーちゃんのために、可愛い弟、蓮くんが助けに来た〜」
麗王はゴクリと息を呑んだ。
「助けるって...........?」
蓮はにやりと笑うとこう言った。
「そのままの意味。日和は死んだがその運命共同体である彩花は死んでいない。」
「...............」
「つまり、彩花を助ければ日和もこっちの世界で生き返るし、彩花と龍にーちゃんは幸せに暮らせる。」
「だが彩花をどうやって..............というかここからどうしたら抜け出せるんだ?」
確かに魅力的な話だ。彩花を助ければどちらも助かる。しかし現状、麗王には彩花のもとに行くことすらかなわない。
「.............死ね。」
「は?」
「お前が死ねば、元の世界に戻れる。」
「..................................................嘘だろ?」
蓮は本当だ、と言った。麗王とワカタケルは、別々の人間ではない。麗王はワカタケルが生まれ変わった人間だ。だから麗王がワカタケルに戻ってしまったら、ワカタケルが自ら死ぬ、または死ぬまで待つかをして、麗王に生まれ変わらなければならない。
「おれは................」
「早く決めたほうがいいよ。今のままだと確実にあっちの世界の彩花は自殺を図る。龍にーちゃんが今ここで死んで麗王になった場合、麗王が赤子の頃から始まるから、またやり直せる。」
「やり直し.................」
「しかも今回は大サービス!記憶そのままで。」
大きな決断だった。たしかに今前にいるのは蓮とはいえ、信じがたいことが連続して頭の中に入ってきている。ワカタケルである自分が死ねば、麗王に戻れる。そうすればやり直せる......................この事実かどうかもわからないものに、麗王は決断を迫られているのだ。
「.......わかった。死ねば...........いいんだな?そしたら彩花は..............」
「...................死ぬってことでいいんだね?じゃあ行くよ〜」
えいっ!蓮がそう言うと、痛みとともに全ての感覚が失われていく。
「あとは、龍にーちゃんの努力次第。僕ができるのはここまで。麗王のときの僕は、今みたいな僕じゃないから。」
「ああ。ありがとう。蓮。」
麗王はそう言い、古墳時代から姿を消した。
そしていま、麗王の長い旅が再び始まろうとしていた。
やっと第一章完結..........?
さあみなさん!私の机の店を開けてみましょう!まあ何ということでしょう!?書きかけの小説が数十冊でできましたね\(^o^)/
...............そのまま打って投稿するか........(´;ω;`)
空に浮いたら。番外編1 蓮ver.
今回は蓮くんのおはなし!一部を描いたものなので、蓮くんの苦労はこれよりたくさんあります。
今回はその中で一番大変だったであろう話。
何で書いたかって?これ書かないと伏線回収が間に合わないからですよ。
伏線張りすぎたものの末路です。
僕は過去の記憶..........龍にーちゃんがワカタケルだった頃の記憶を持っていた。
龍にーちゃんに行くはずだった記憶が、僕の方に来ちゃったんだ。
だから少しでも手伝いをしたくて無理やり彩花 日和と一緒に帰らせたりした。
それでもやっぱり助けることはできなかった。そんなとき。
『お前は哀れな小僧だなぁ。兄を助けるためにここまでやってきたのに無駄になってしもうて。』
目の前に和服を着た女の人が出てきたんだ。
「............龍にーちゃんに尽くしたことは後悔してない!!!侮辱するな!!」
『おや?侮辱などしていないぞ?妾は手助けをしようと思いここに来たのじゃよ』
不思議な人だった。目の前に現れるなり暴言を吐き散らかし、その後に助けに来た、なんて。
『妾は前ある男に救われてな。その人に言われたんじゃよ。自分を少しでも強く見せろ。そして弱いものを救えと』
「救う.............」
『だから妾はお主を助けに来たのじゃ。』
助ける。そう言って手を差し伸べてきたんだ。
「名前、教えて。」
『名前か..........そうじゃな。ゼルラ。そう呼んでくれ』
「ゼルラ...............」
それが僕とゼルラの出会いだった。
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「助けるって具体的に何をしてくれるの?僕は何をすればいいの?」
『そうじゃな。お主には選択を迫ろうか。』
選択を、迫る?
僕は首を傾げた。
「........選択?何を?」
『記憶をこのままにして麗王を助け、麗王の記憶を自分が保有したままにするか。』
『それとも麗王を助けるところまで記憶を保持したままにして、麗王の転生時にお主の記憶を麗王に受け渡すか。』
「.........っ!!」
少し厳しい選択だった。彩花と龍にーちゃんにがここまで親しい仲になれたのも僕の手助けがあってこそだった。頭痛薬がないから買いに行かせ、龍にーちゃんに彩花の自殺を止めさせたのも僕。でもこのまま記憶を持ち続けてしまうとこれの繰り返しかも知れない。
『さあどうする?哀れの小僧よ。これからの人生を左右する決断ぞよ?』
でも彩花と龍にーちゃんを助けられるのは............
「後者。」
『..................そうか。』
先程の哀れみの目から一変、ゼルラは俺を抱きしめて言った。
『よく耐えたな。お主は........好きだったのだろう?』
「っ」
初めて見抜かれた。
『彩花でも日和でもない.............麗王のことが。』
よく耐えた、とゼルラは僕に向かって言い続けた。
僕はこの日初めて、大声で泣いた。
しばらく時間が立ち、どうやって龍にーちゃんを救えるのか、と僕は聞いた。
『.........龍の遺伝子。』
「龍の.........遺伝子?」
聞いたことのない言葉だ。
龍......神話上・伝説上の生き物だが、僕のように他のものの記憶があるものがいるから龍が存在してもおかしくないのか........?
『龍は窮地から抜け出す力を持っている。やつの遺伝子を食い込むと、願いが一つだけ叶う。麗王が彩花を助けたい......そう思ったときに遺伝子を食い込めばようのじゃが...........』
「なにか問題でも?」
そう僕が聞くと、少し焦ったような顔でゼルラは答えた。
『一度死なせないといかんのじゃ』
「は?」
『あ、絶対に現世に麗王として生まれ変わるのじゃ。しかし一度だけワカタケルのほうで死んでもらわないと.........』
焦ったような顔はこういう焦っただったのか...........
僕に龍にーちゃんを殺せるのか。それが一番の課題だろう。
でも............
「やってみせます。殺すというのは..........物理的に、ですか?」
『いや、違う。相手が同意の上なら、相手を殺すと自分が強く思い、相手に触れるだけで殺すことができる。』
相手が同意の上なら、か。つまり同意しない場合どうするかは僕次第.........
「...........わかりました。」
『あぁ。健闘を祈るぞよ。』
僕が今ここでできる、ゼルラへのお返し.............
「ねえゼルラ!」
『?』
「ありがとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
僕は大声でそう、叫んだ。
ゼルラはあぁ、と返すとどこかへ消えてしまった。
僕は今から、世界で一番大好きな人を殺しに行くんだ。
世界で一番嫌いな人と、世界で一番好きな人を救うために。
でも、君が。龍にーちゃんはきっと望んでいる。
ならそれを叶えるのが僕の役目。
バイバイ、ワカタケルの記憶。
バイバイ、ゼルラ。
バイバイ。
大好きな........................................................
「龍にーちゃんっ................」
僕は泣いてしまった。
ダメだと思っても涙がこぼれ落ちてくる。
あぁこれが、きっとそうなんだ。
『失恋』?
...............................................そんなのどうだっていいよ。
大好きな人が救われるのなら、それでいい。あ
あれ........?本編よりこっちのほうが深い?まさか.........ね。
感動系物語最高傑作!
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