六人の死にたがりの人が不思議な集会を開くお話
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
死にたがり
誰しも一度は“死にたい”と思ったことがあるのではないのだろうか。
日本には死にたいと願うだけではなく実際に命を絶ってしまう人も存在する
それは2万1881人。
一日に60人だ。
なんで彼らは死にたいのか、
死んでしまうのか、
そんな彼らの夜の集会を覗いてみませんか、、?
---
暗い部屋に一つだけ光るパソコン。
タイピングの音。
光に照らされながらタイピングをする。
これが早苗の毎日だった。
本当は22時に帰らなければならないのに、もう深夜の2時だった。
どれもこれも全てあのくそ上司のせいだ。
一人は自分の分まで仕事を押し付けてくるくそ女。
「相川さーん!ちょっといい?」
「はい」
「もうあたし帰るからこれ、お願いね」
「え、なんでですか」
「もう帰るから、っていったわよね?何回もいわせないでちょうだい」
「自分でやってから帰ったらどうですか?」
「はあ、あなた後輩でしょ。私が後輩のときは先輩の分もやったわよ?」
「え、、でも」
「よろしくね!!」
てな感じで今日も押し付けられた仕事をやっている。
そしてもうひとりは
「早苗ちゃーん」
「はい」
「今夜暇?お食事でもどう?」
「仕事が終わりそうにないので。ごめんなさい。」
「そっかぁ、じゃあお昼ごはんは?」
「まぁ。少しなら。」
「良かった、、」
最初はしつこく食事に誘う人だった。
でも最近は『アドバイス』をしにわざわざデスクまで来て太ももを触っていくから死んでほしい。
とまあこんなクソ上司の元で働いてるせいで精神的にも身体的にもきつくて自殺を考えている。
とにかくカフェインが入っているものを飲んで眠気をさまし仕事に戻る。
たまに休憩がてらTwitterを見る。
今日もTwitterで色々見ていると興味深いものを発見した。
「一緒に死んでくれる人募集中。渋谷です。死んでくれる人はDMください。場所と時間送ります」
---
とても興味がわいた。
今まで閲覧だけだったTwitterだが、初めていいねとフォローをした。
DMを送るとすぐ返信が来た。
「私も死にたいです」
「そうなんですね!同じです!時間と場所送りますね」
「渋谷マンション 222−222 時間 明日 23時 できるだけ見つからないように来てください」
「わかりました!」
そしてまた仕事を始めた
なんだかさっきよりも体が軽くなった気がした
明日の23時。
楽しみだ
死にたがり2
僕は昔から白雪王子と呼ばれていた。
雪のように白い肌、白雪姫と同じぐらい大きい目
小さい頃は可愛がられた。
でも小学高学年になると周りの目は変わっていった。
「男の子なのに女々しくて気持ち悪い」
「女のくせに男子トイレはいるなよ気持ち悪い」
「名前からして女だよな」
何度も何度も言われた。
中学生になると陰口から本格的ないじめになっていった。
机にはリップで「るなちゃん、偽男の子ww」「男子トイレ来んな男女www」と書かれていた
体育の時にジャージから制服に着替えようとすると制服のズボンの裾が切られていた
周りの男がニヤニヤしながら見ているのを僕は知っている
あと中学生活も半年。
でももう心は限界だった。
通りがかりに殴られたり、悪口言われたり。
つらいときはネットに逃げる
一日を思い出して泣きながらTwitterをスクロールする
布団の中で鼻をすすりながらスクロールしてると不思議な投稿を見つけた
---
「一緒に死んでくれる人募集中。渋谷です。死んでくれる人はDMください。場所と時間送ります」
こんなの詐欺かもしれないとわかっていても行きたくなってしまう。
もちろんDMをした。
「場所と時間聞きたいです」
返信をしばらく待ったけど返信は来なかった。
しばらくすると勝手に眠りについていた
朝、通知を確認すると返信がかえってきていた
「渋谷マンション 222−222 時間 明日 23時 できるだけ見つからないように来てください」
明日、、今日か、、。
今日、あのいじめっ子とおさらばなら好きなだけやってやろう。
決意を固めて僕はいつもなら重い玄関の扉を開けて学校へいった
死にたがり3
私より彼氏を好きな人はいないと思う
私と彼氏の涼は付き合ってまだ3年。
でも誰よりも愛し合っている
そこらへんのカップルなんか比じゃないぐらい。
でも困ったことが一つあって
彼氏を好きすぎてたまに彼氏の首を締めちゃうの
彼氏を家に保存したいって本能的に思っちゃうの
だから気持ちを落ち着けるために自分の手首切るようにしてるんだけど最近は手首だけじゃなくて足とか腕とか切り始めちゃって彼氏とか周りの友達を心配させてしまっている。
でも涼は優しいから手首切るとしばらくかまってくれるんだよね
だから一回死んでみようかなって。
涼悲しんでくれるかな−
とか考えてもう1年が経とうとしてる
「めいさ!何ぼーっとしてんのさ。」
友達の夕乃が聞いてくる
「いや、なんでも」
最近の定番の流れだ。
「あ、ぶっそーなこと考えてるんじゃないでしょうね!?!?!」
勘が働く菜乃葉に言われてびくっとなる
「いや、別に」
そう言うと話の続きが始まった
菜乃葉は私を疑った目で見てたけど。
涼には私がいない世界で私のことをずっと思っててほしいのだ
分かる人いないの?私が異常者なの?
自問自答を脳内で繰り返している
水筒にこっそり入れてきたピンモンを飲みながら頑張って伸ばした爪でスマホをスクロールした
最近ハマっているのはTwitterの自殺レポートだ
リアルな声がわかってやはり自殺は簡単じゃないとわかる
そんな中一つの投稿を見つけた
---
「一緒に死んでくれる人募集中。渋谷です。死んでくれる人はDMください。場所と時間送ります」
そんなわけないけど、どうせ失敗するけど。
「お願いします🥺」
一応送ってみた
返信きたら死のう。
とか思ってたらすぐ返信が来た
「渋谷マンション 222−222 時間 明日 23時 できるだけ見つからないように来てください」
涼には言わないでおこう
私が明日
死ねるってことは。
いつも通り涼が家まで送ってくれた
「じゃあ!また明日!」
「うん!明日ね!」
涼とばいばいした。
明日はほんとうの意味でばいばいになるね
私のことをずっと考えててね
死にたがり4
幼い頃から生きる意味が分からなかった。
不慮の事故でなくなる方を見ては「なんで俺じゃないんだ」と思ってきた
きっと、彼らは俺より生きたいはずなのに。
なんで俺が産まれてしまったのか、不思議だった。
中学、高校でなんとなく野球をしてそれなりに評価をもらってプロの道を進められたが「俺よりやりたいやつにやらせてあげてください」って断った
産まれて20年。生きてる意味が分からずにいた
このまま生きててもつらいことしかないから死ぬことにした
でも一人だとやっぱり怖かった
だからSNSで検索をかけた
集団自殺とか。
一緒、死
何度目かの検索でようやくひっかかった。
匿名さんという人の投稿だった。
「一緒に死んでくれる人募集中。渋谷です。死んでくれる人はDMください。場所と時間送ります」
人にメッセージなんて久しぶりだから緊張した。
「渋谷在住、高梨です。ぜひお供したいです」
一分もしないうちに返信がかえってきた
「渋谷マンション 222−222 時間 明日 23時 できるだけ見つからないように来てください」
渋谷マンション、、ここから10分もしないところにあるな
ようやく意味のない人生に終止符を打つことができることに喜びを感じ、眠った
死にたがり5
死ね、という言葉は私が人生で一番聞いた言葉だろう。
親から最後に名前を呼ばれたのは弟が生まれる前の四歳ぐらいのときだった。
弟は男の子なのに私より可愛くて父も母も弟にメロメロで私なんか見向きもされなくなった
「おい」と呼ばれたので行くと持っていたタバコを腕に押し付けてきた
「あっつい!」
と最初はあまりの熱さに涙を流した
でもいまは慣れてまたか、、とやられてから腕をさするぐらいになった
弟はちやほやされて私は腕にタバコを押し付けられたり殴られたりするだけ
もうこんな家いるぐらいなら死んだほうがマシ
11歳の誕生日におばあちゃんから買ってもらったスマートフォンの電源をつける
最近よくやっているTwitterを開くとおすすめに匿名というひとの投稿が流れてきた。
「一緒に死んでくれる人募集中。渋谷です。死んでくれる人はDMください。場所と時間送ります」
こんな夜の末みたいな投稿、普通だったら目にも留まらないのだろうな。
でも今の私にはぴったりの投稿だった。
病み垢友達との連絡が多いDMにはじめて友達ではない人とのDMが加わった
「よろしくお願いします、」
一言だけ送った
病み垢友達とのDMを楽しんでいると返信が来た
「渋谷マンション 222−222 時間 明日 23時 できるだけ見つからないように来てください」
現在地から指定された場所の距離を調べると徒歩13分ほどでつくところだった。
ようやく開放されるという喜びにひたるまもなくいつもの呼び出しがきた
いつもより軽やかな足取りで向かった