片想い相手の潔にゼロ距離で迫られて、理性と激重感情爆発させる玲王の話。
※潔が惚れ薬飲んでる
※♡多め
※千切と凪が出てくる(話すだけ)
※若干凪潔
※ 展開が雑&文章が下手
※r18では無い(多分)ですが、若干えっちな場面(洗体)がありますので、苦手な方は飛ばしてください
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目次
惚れ薬飲んじゃった潔に付き纏われる玲王の話 1
※潔が惚れ薬飲んでる
※♡多め
※千切と凪が出でくる(話すだけ)
※若干凪潔
※ 展開が雑&文章が下手
※キャプションの注意事項確認推奨
〜イングランド錬の朝食会場〜
玲王「凪、千切……おはよう…」
千切「おぉ、玲王おはよう
……え、それ何?」
凪「もしかして潔…?」
普段と様子の違う玲王の声に違和感を覚えつつ千切と凪が振り向くと、玲王の首に腕を巻き付け背中にぎゅっとしがみつき、千切と凪には目もくれず玲王の顔を一心に見つめる黒い双葉が1つ。
潔「玲王〜…♡千切と凪と話してないで俺の事見て♡余所見しないで♡」
玲王「………惚れ薬飲んだ潔だ」
千切「あ〜…どんまい」
凪「なにそれずるくない?」
甘々な猫撫で声に、眼にも語尾にも♡を浮かべては玲王の耳元で話しかける男こそ、
"青い監獄"の申し子こと、潔世一であった。
〜少し前〜
「起きて玲王♡朝だよ♡」
ゆさゆさと優しく布団を揺さぶられる。
心地良い揺れと声から、その主が潔であることが寝起きのボヤけた頭でもわかった。
「ん〜……潔…?もう朝か…?」
「早く起きてよ♡襲っちゃうよ?♡」
揺れが止んだと思ったら、今度は布団に何かが入ってきて、中でごそごそと動く。
潔に会うなんて久々だな〜
そもそもイングランド錬とドイツ錬離れてるから会うことないから………
………って
「……………潔!?!?」
「あ〜…♡起きた?♡おはよ♡玲王♡」
上半身を起こして布団をガバッと捲り上げると、布団の中で玲王のスウェットに手をかけた潔に見上げられる。
「な、何してるんだ!?ってか、なんで居るんだ!?!?」
「あははっ♡玲王焦ってんの?♡かぁわいい♡♡♡」
「!?!?」
潔は玲王に覆い被さるような体制で布団の中からもぞりと這い出て、玲王に寄りかかるようにぴっとり♡とくっつき、片手を玲王の頬に添え、熱を帯びとろん♡と蕩けた瞳で玲王の顔を見つめる。
「ん…♡玲王♡」
混乱し固まる玲王の顔に、頬を赤く染め瞳を潤ませ発情しきった潔の顔がどんどん近づき………
バンッ
「潔いるか!?」
「もー、急にいーひんようなるからびっくりするわぁ」
「「「「………………………………」」」」
「ごめん。邪魔した、邪魔した」
「ほな、ごゆっくり〜」
「んー♡♡♡」
「待て!!!黒名、氷織出てくな!!!!」
「安心しぃや、誰にも言わへんから」「黙秘、黙秘」と言い残し帰ろうとする黒名と氷織をなんとか止め、事情を聞いたところ、
昨夜潔が常備薬に紛れていた惚れ薬を誤って飲んでしまったが、特に身体に異常が出なかった為放置し、
朝急に姿を消した為、同室組で探し回っていたそうだ。
その最中、早朝にイングランド棟への移動の申請がされたことを知り、追ってイングランド棟に来たところ、今に至るということらしい。
一応飲んですぐに絵心さんに連絡をし、調べた結果、24時間程で代謝されるから効果は出ても精々1日程度だそうだが………
「はい♡玲王♡あーん♡♡♡」
潔が施設で用意された艶のある炊きたてのご飯を箸で掴み、玲王の口元へと近づける。
「じ、自分で食べるからいい…!!」
「なんで?♡食べてくれないの?♡」
ずいっと元々近い潔の顔がさらに近づき、逃げるように顔を逸らす。
潔はニコニコと笑い「何が駄目なのかわからない」といった様子であるが、
現状、潔は玲王の膝の上に乗り、ぴたっ♡と身体を密着させ、表情は寝起きから変わらず赤く、甘く蕩けている。
そしてここはイングランド棟の選手が集まる朝食会場。
当然ながら、朝食を食べにくる選手のほとんどに好奇な視線を向けられる。
「付き合いたてのラブラブ♡カップル」のようなスキンシップをされ、それをチームメイトに見られるのだ。
素面の健全な男子高校生が、恥ずかしくないはずが無い
「だめ?♡」
「ぅぐっ………」
潔にしゅんとした表情で見つめられ、玲王は言葉に詰まる。
恥ずかしさこそあれど、潔から恋愛感情を向けられ、ベタベタされることが嫌なわけでは無い。
むしろ、玲王は潔のことが恋愛感情として、ずっと前から好きである。
だからこそ問題なのだ。
「あーん♡」
「むぐっ!」
結局押し負けて、潔のあーんを受けるのであった。
惚れ薬飲んじゃった潔に付き纏われる玲王の話 2
※潔が惚れ薬飲んでる
※♡多め
※千切と凪が出でくる(話すだけ)
※若干凪潔
※ 展開が雑&文章が下手
惚れ薬を飲んだという狂った状態とはいえ、今青い監獄は最終選考・新英雄大戦の真っ最中。
限られた時間の中、丸1日無駄に過ごす訳にはいかない。
身体的に問題が無い以上は練習に参加すべきである。
当然潔もそれを理解しており、練習には参加したがるものの、
「………やだ、玲王と一緒にいたい♡」
薬の作用故か、玲王の服をぎゅぅぅ♡っと強く引いて離れようとしない。
青い監獄の申し子として名を馳せた潔と言えど、そう簡単にわがままが通じる訳は無いのだが、今回ばかりは薬の影響で仕方ないとして、特別にイングランド棟での練習に参加することとなった。
ミニゲームだといつものエゴ潔になり、連携しつつもゴールを奪い合うが、
それ以外の個人での練習等はずっと玲王につきっきりで、「玲王♡玲王♡♡」と甘い雰囲気で♡を飛ばしまくっては、隙あらば腕やら首やらにするり♡と腕を回しきゅっ♡と抱きついてくる。
「ちょ、近い!」と躱そうとしつつ、玲王もまんざらでもないのか全く躱せていなかった。
✾✾✾
「あ、ドリンク………」
休憩時間になり、いつものようにドリンクを飲もうとした潔だったが、自身の分が無いことに気づく。
そんな潔の呟きを拾ったのか、突然ヴンッと絵心からの通信が入った。
「突然の予定変更でドリンク等細かいものの用意が間に合わなかった。
後で追加分を出すから、今のところはそっちでなんとかしろ。」
「あー、なるほど。」
「どうすっかなぁ…」と頭を悩ませる潔の元に、凪が近づいてくる。
「潔、俺ので良かったらあげるよ」
「俺と間接キスになっちゃうけど」と、凪が潔にボトルを差し出した。
「いいの?ありがと!」
潔がぱぁっと表情を明るくし、凪からボトルを受け取ろうと手を伸ばす。
「!っ、潔!俺の飲めよ!!!」
「玲王!♡ありがと♡♡♡」
玲王が声をかけた瞬間、潔は凪に向けていた視線を早急に玲王に移し、嬉しそうに玲王からボトルを受け取った。
「あ〜玲王横取りだ〜」
「………うるさいぞ」
凪が不満そうな顔で玲王に言う。
普段なら凪に譲ったりしそうな玲王だが、潔に調子を乱されまくっている今、そんな余裕は無い。
コクコクと喉を動かしてドリンクを飲む潔を横目に、玲王はぶっきらぼうに返した。
「えへへへへ♡」
「?」
ぷはっとホルダーから口を離したかと思うと、潔はボトルを見つめ、ふにゃぁ♡とほんのり赤く染まった頬を緩める。
「玲王と間接キスしちったぁ♡」
「はぁッッッ!?!?」
少し恥ずかしそうにしつつも、悪戯が成功した子供のようににやぁ♡と口角を上げ、目尻を下げて幸せそうに笑う。
一度意識してしまうと潔の口元、ボトルの突起でふにっ♡と潰れる水分でぷるぷる♡に潤った桜色の唇に、思わず視線が吸い寄せられ、目が離せない。
「おーい!次メンバー変えて一試合すんぞー!」
「あ、はーい!」
チームメイトからの声掛けに一瞬だけ玲王から目を離して返事をし、その後またすぐに玲王の方へと向き直った。
潔の顔がまたずいっと近づき、目前でぷるぷる♡の唇がゆっくりと動く。
「ドリンク、ありがとね♡玲王♡」
真っ赤になって固まる玲王に押しつけるようにボトルを返し、潔はコートへと戻る。
ボトルを受け取った玲王は、そのままズルズルとその場にしゃがみ込んだ。
「〜〜〜〜〜〜〜ッッ!あ〜…
あんなのずるすぎだろ……………」
その後の練習でも、潔の唇が頭から離れなかった。
惚れ薬飲んじゃった潔に付き纏われる玲王の話 3
※潔が惚れ薬飲んでる
※♡多め
※千切と凪が出でくる(話すだけ)
※若干凪潔
※ 展開が雑&文章が下手
※r18では無い(多分)ですが、若干えっちな場面(洗体)がある
その後も移動や昼食時はもちろん、
トイレやお風呂にもずっとくっついてきて、
風呂では服を纏わない全裸の状態でも、変わらず玲王にぴっとり♡とくっついて、
「髪洗うよ♡」「背中流すよ♡」
「てか身体洗わせて♡♡♡」
と流れるように言うや否や、ボディーソープを自身の身体にかけ、にゅるにゅる♡泡立てるように背中にぴっとり♡とくっつけた身体を上下させる。
ピンッ♡と勃った乳首が玲王の背中で押し潰されながらこりゅこりゅ♡擦り付けつつ、耳の後ろで「んっ♡ぁっ♡れぉっ…♡」と小さく甘い声を漏らす。
もっと下のふにふに♡としたモノも、背中でずりずり♡と擦られて…………………
「はぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「その、お前も大変だな…」
「襲っちまえばいいのにー」
「………………できる訳無いだろ。薬のせいなんだから。」
「以外と奥手何だな。玲王」
「うっさい………」
人目も憚らず、玲王にどんどんアプローチし続ける潔の様子を見て、イングランド棟の面々は、玲王に同情したり揶揄ったりと様々な反応をする。
当の玲王は深い溜息をつき、青い監獄に来てから1番と言っても過言では無い程に頭を悩ませていた。
好きな相手にそんなことされて何も思わない男などいない。
しかし好きな相手だからこそ、大切にしたい。
「薬に流されてるだけだから」と、絶え間なく続く潔からの過激なアプローチにイライラするちんこを必死で収めた。
いや、実際は無理だったので、千切や凪に協力してもらい、潔をなんとか引き剥がしてもらっている間に抜くというのを数回やった。
惚れ薬飲んじゃった潔に付き纏われる玲王の話 4
※潔が惚れ薬飲んでる
※♡多め
※千切と凪が出でくる(話すだけ)
※若干凪潔
※ 展開が雑&文章が下手
寝るときも当然のように、潔は一緒のベッドに潜り込んできた。
「えへへ♡玲王と寝れるの嬉しい♡♡♡」
無邪気に笑いつつ、布団の中で玲王の背中にぴっとり♡とくっつき、するり♡と玲王の脚に己の脚を絡ませて、「寝ている間も離れないように」と言わんばかりに密着する。
「おやすみ♡玲王♡」
「………おやすみ、潔」
起きる頃には惚れ薬の効果が抜け、普段の潔に戻ってる、はず。
そう思うとほっとする気持ちと、それを少し残念に思う気持ちが混ざり、モヤモヤして中々寝付けなかった。
………
「なぁ、潔、俺のこと好きって言って」
嘘でもいいから。
潔にも辛うじて聞こえるかどうかの、一人言のような小声で玲王はぽつりと呟く。
「んぅ………?玲王?♡」
眠りかけだったのか、目を擦りながらふにゃふにゃの声で潔が応える。
「?ずっと言ってんじゃん♡
玲王のこと大好き♡1番好き♡
世界で1番、誰よりも、大大だぁーいすき♡♡♡」
恋人に愛を囁くよう、玲王にだけ聞こえるくらいの大きさで、熱の籠った甘い声でぽそぽそと愛の言葉を紡いでいく。
「俺も」と口から出そうになる言葉をぐっと飲み込む。
だってこれは潔の本当の意思じゃない。
薬による紛い物。
「だから、俺のことだけ見て♡」
他の奴の方ばかり見ているのは潔の方だ。
俺はこんなにも潔のことしか見ていないのに。
「俺のことだけ考えて♡」
嫉妬なんて何度もしてきた。
凪に、凛に、黒名に、カイザーに、
他にももっと。
潔はすぐに、人を惹きつけてしまうから。
「俺だけのものになって♡♡♡」
諦めるのは簡単な話だ。
だって簡単なものはすぐに手に入る。だから唯一無二な宝物が欲しかった。
俺は御曹司で
みんなと違う
簡単なものはすぐに手に入るけど潔だけは薬の力を借りないで自分で手に入れたい。
「大好きだよ、玲王♡
青い監獄ここで玲王に逢えて、本当に良かった。俺にとって玲王が唯一無二の存在だよ♡」
それなのに、
今の潔は俺のことだけ見て、考えて、
俺にだけ笑いかけて、
俺の欲しい言葉をくれる。
ずっと俺の側にいてくれる。
「………もう、大丈夫だ。」
「?おう♡こんなんで良いなら、いつでも言えよ♡
俺、玲王のこと大好きだから♡♡♡」
「ん、サンキューな潔。おやすみ。」
「ん♡おやすみ♡♡♡」
少しすると、すぅすぅと規則正しい寝息が聞こえてきた。
明日薬が切れて、目が覚めたら、きっと簡単に俺から離れていってしまう。
今日のことを覚えていても覚えていなくても、みんなに向けるのと同じ笑顔で「悪かったな」って、なんてことないように。
きっと、「別にいいぞ」って、潔が気にしなくていいように、笑って、ちょっと戯けて、いつも通りにするのが正しいのだろう。
頭では十分わかってる。
今まで何度もそうしてきた。
なのに、
……………嫌だ。
「こんなの知ったら、もう諦められないだろ………」
狭苦しいベッドの上で独り、消え入りそうな声で呟いた。
潔の方を向き、寝ている潔の髪を優しく撫でる。
すると潔は眠ったまま、気持ちよさそうにふにゃりと笑った。
いい夢でも見ているのだろうか。
どんな夢?
なにしてる?
誰といる?
…………そこに、俺はいるのか?
惚れ薬飲んじゃった潔に付き纏われる玲王の話 5
※潔が惚れ薬飲んでる
※♡多め
※千切と凪が出でくる(話すだけ)
※若干凪潔
※ 展開が雑&文章が下手
「おはよ、潔」
「んー…はよ、玲王。
玲王ってやっぱり起きるの早いんだn…………
………って、玲王!?」
潔が目を開けると、同じく寝た状態で至近距離で自分を見つめる玲王と目が合い、驚いて飛び起きる。
そんな潔の様子を見て、玲王は一瞬少し寂しそうな表情を浮かべるが、すぐにいつもの笑顔に変わった。
「………はは!やっと起きたな!
寝ぼけてる潔にはぁ、お仕置きだ!!!」
「うおっ!」
続いて身体を起こした玲王が勢いよく飛びつき、覆い被さるようにして再びベッドへと潔を押し倒す。
「そぉれ!こちょこちょ〜〜〜!!!」
「ふぁッ!?
ちょっ、んふふっ、玲王ッ、やめッ、
あははははははは〜〜〜〜!!!!!!!」
いつもの潔が帰ってきた。
***
「で、なんで玲王が俺のベッドにいるんだよ?」
くすぐりから解放され、はーっはーっと呼吸を整えながら潔が問う。
「………覚えてないみたいだな?昨日のこと。
あと、ここ俺のベッドだ。イングランド棟の。」
「え"!?」
潔に掻い摘んで、ことの経緯を説明した。
「まじ!?全然覚えてねぇ………
ごめん玲王!迷惑かけたよな………?」
潔は正座のまま、ぱんっと手を合わせて頭を下げ、謝罪の体制を取る。
「………いいぞ別に!『玲王と一緒じゃなきゃやだやだー』って泣きついてる潔かわいかったからな!」
「泣きっ!?え、嘘だろ!?恥っず………」
「嘘だけどな」
「おまっ、揶揄うの止めろ!」
「ははっ!!」
やっぱ、潔といるのは楽しいな。
俺が欲張らなければ、
きっとこの楽しさを失わずにいられる。
大丈夫。今だってちゃんと笑って、いつも通りにできてるから。
………できてた、よな?
惚れ薬飲んじゃった潔に付き纏われる玲王の話 6
※潔が惚れ薬飲んでる
※♡多め
※ 展開が雑&文章が下手
〜数日後〜
潔が元に戻りドイツ棟へと帰っていった後、玲王は潔のことを避けていた。
潔を好きな気持ちが、もう隠せそうにないことに気づいたからだ。
嘘がつけない訳じゃない。
今までだって散々騙してきた。
相手潔も、自分俺も。
今後も、今までと同じように「潔世一の友達」として振る舞えば、「友達」としてずっと潔のそばにいられるのだろう。
でも、それはもう、俺が耐えられない。
好きな人を想う
潔の熱帯びた視線、
蕩けた表情、
惜しげなくくっつけられる柔らかな肌。
一度でもあの潔を知ってしまったら、
「潔に想われたい」気持ちがどんどん大きくなって、重くなって、
今までのように隠そうとしても、
その重さで俺が潰されてしまう。
潔とずっと一緒にいたい。
ずっと一緒に、2人で笑い合いたい。
そのためにも、今の俺じゃ一緒にはいられない。
ふとした時にこの気持ちが溢れて、潔に知られてしまったら、
きっと潔を困らせる。
潔の邪魔になる。
そうしたら、もう、潔の「友達」ではいられなくなる。
そんなの絶対に嫌だ。
惚れ薬飲んじゃった潔に付き纏われる玲王の話 7
※潔が惚れ薬飲んでる
※♡多め
※ 展開が雑&文章が下手
「玲王、今、いいか?」
「ごめんな!この後ちょっと用事あって、また今度………」
今日も潔がイングランド棟に訪ねてきた。
またいつものように、できるだけ自然な笑顔を貼り付け、断ろうとする。
が、それを遮るように潔が声を上げた。
「すぐ!終わらせるから、
ほんの少しだけ付き合ってほしいんだけど………
………やっぱダメ、か?」
潔が眉を下げて笑う。
無理してるときの笑い方だ。
嫌だな。そんな顔、させたくないな。
「………いや!ちょっとなら大丈夫だ
どうしたんだ?潔。」
結局潔を突き放すことなどできず、招き入れた。
しばらく潔は視線を彷徨わせ「えっと、あー…」と悩ましげな声を上げていたが、
腹を括ったのか、玲王の顔を真っ直ぐに見つめ、話を切り出す。
「気のせいかも、だけどさ。
………玲王、俺のこと避けてる、よな?」
「っ!………」
自然を装っていたが、数回も続くとやっぱばれるか………
少し表情を固くし視線を逸らす玲王を見て、肯定と受け取ったのか、潔は続けた。
「多分、前、惚れ薬飲んだ時のことでだよな。
………悪かった。惚れ薬のせいとはいえ迷惑かけて。」
「えっ……………」
なんで、潔が謝ってんの?
玲王がバッと潔の方に視線を戻すと、
潔は唇を噛み締め、辛そうに、崩れた笑みを浮かべていた。
「男にベタベタされて嫌だったよな。き、気持ちわりぃよな。
………本当にごめんッ」
「やっ、ちがっ………」
潔の表情がどんどん曇ってゆき、声が震えていく。
違う、潔が謝ることなんて無い、
だって、俺は、
「もう玲王には絶対迷惑かけないようにするからさ、
だから、
……………避けるのは、やめて、ほしい」
途端に潔の表情がぐしゃりと歪み、大きな瞳から、大粒の涙がぼろりと溢れた。
「ごめッ、ごめん………ッ!」
堰を切ったように、ぼろぼろととめどなく涙が頬を伝い、落ちて、床を濡らし、水溜まりとなっていく。
違う、俺は、潔を傷つけたくなくて、
………潔に嫌われたくなくて、
違う違う違う違う違う違う違う
「ッ、違う!!!!!!!!」
「ッ!?」
急に声を荒げた玲王に、潔はビクッと大きく身体を跳ねた。
「迷惑なんかじゃなかった!
むしろ逆だ、
だって、俺ッ………
………潔のことが好き、だから。」
ああ、言ってしまった。
胸のつっかえが取れるように、一瞬だけ、心がスッと軽くなり、
落ちてきた錘を受け止めるように、ズンと急にまた重くなる。
「1番に俺のとこに来てくれて、嬉しかった。
俺のことだけ見て、
俺の側にいてくれて、
………………潔が俺のものになったみたいで、
すっげぇ幸せだった。」
ずっと心の底にあった潔への想いを伝える度、罪悪感と不安で心が棘で刺されるように痛み、どんどん重くなる。
でも、もう止めることなど出来ない。
「好きだ、潔。
好き、大好き。
ずっとずっと前から、
誰よりも1番、
潔のことが好きだ。
……………好きになってごめんな」
ポロポロと言葉と涙が溢れる。
こんな自分勝手な好意が、潔を傷つけてしまった。
俺が上手く諦められなかったから。
この想いを捨てられなかったから。
こんな状況でもとめどなく溢れてくる『好き』を、1つ1つ丁寧に消すように、
閉まって、潰して、
二度と出さないことを誓うように、
「ごめん」を紡ぐ。
「玲王………」
「ごめん、潔、
俺のせいで
ほんとごめ………ッ」
「っ聞けって!!!」
胸ぐらを掴まれ、ぐいっと力強く引っ張られる。
玲王のアメジストの眼に、潔の透き通った青が広がっていきーーーーー
ちゅっ
ふにゅっと柔らかい潔の唇が、玲王の唇を塞いだ。
「!?」
驚いて身を引こうとする玲王に、潔は掴んだ服をさらに強く自身の方へと引き寄せ、唇がより一層深く重なる。
2つの体温が混ざり、溶け合わさって1つになったよう錯覚してしまう頃、
ゆっくりと唇が離れた。
「しょっぱッ!涙、口に入っちった」
少しの間の沈黙を破ったのは潔だった。
余韻に呆けていた玲王は潔の声でハッとし、
唇を押さえ、顔を真っ赤に染め上げ、震える声で潔に詰め寄る。
「潔!?な、なんで!?!?!?」
「なんでって、
………俺も、玲王のことが好き、だから」
「うそだ………」
「嘘なんかつかねぇって、こんなことキス、まで、して………」
途端にぼぼっと顔を玲王以上に赤らめ、言葉が尻すぼみに小さくなっていく。
キメる時は最高にカッコいいのに、最後までキメ切れない感じが潔らしく、思わず「ふはっ!」と笑みが溢れる。
「な、笑うな!!!
………いや、やっぱ笑ってろ。
笑ってる方が好きだ。」
「!潔もなっ!」
玲王が潔の頬を上にぐにっと持ち上げ無理矢理笑わせる。
「ちょ、やーめーろー!」
「ははっ!!」
気づけば2人とも涙は止まっていて、
久々に、いつもの様に戯れ合う。
なんて事のないふざけ合いの心地良さに、2人で心から笑い合った。
***
「ところで、惚れ薬飲んでる間、本当に俺に何もされなかったのか?」
少し気まずそうに潔が尋ねた。
「?されて無いし、して無い。まぁ一日中くっついてきてたりとかはあったけど………
………キスも、さっきのが初めてだ。」
「ほんとに?
………身体で迫ったり、もされて無い?」
「??ん?ああ?」
「あ〜〜〜〜、良かった……………」
潔がホッと胸を撫で下ろす。
やらかしてることへの心配、と言うより、まるで俺が潔に向けていた様な、
潔を取られることを不安に思っていた時の感じ、みたいな………
………!
「もしかして、惚れ薬飲んだ潔自分自身に嫉妬してる、とか?」
「……………………悪いかよ」
気まずそうに目を逸らす潔の姿を見て、まさかの正解に驚く。
潔も嫉妬とかするんだ!?
しかも自分自身に………
か、かっわいい〜〜〜〜〜〜〜
にやにや笑う玲王に、潔は恥ずかしそうにほんのり頬を染め、「だ、だって!」と弁解するように声をあげる。
「惚れ薬飲んだ自分でも、取られたくねぇじゃん。
……玲王との記憶は全部俺がいい。」
ふはっ!
潔らしいエゴい発言に、思わず吹き出してしまう。
「さすが俺の潔、エッッッゴ」
潔は少し拗ねたようにそっぽを向き、柔い唇を尖らせていたが、
吹っ切れたのか、玲王の方に向き直り、ずいっと顔を近づけた。
玲王の手に自身の手を絡ませ、恋人繋ぎでぎゅっと強く握り込んで向かい合う。
「手に入れたからには一生離してやらねーからな!玲王!」
潔がニッと歯を見せて笑う。
普段は可愛いのにたまにかっこよくなる。ほんとにずるい奴だ。お前は。
負けたままじゃいらんないよな
玲王も笑顔で、
潔の瞳を真っ直ぐに見つめ、
手を負けじと強く握り返す。
「こっちの台詞だっての!潔!」