この世には、鬼が存在する。
また、大昔から現在に至るまで、形を変えず、残り続けている家系が二つある。
一つは、八神家
一つは、八鬼家
八鬼家を中心とする鬼は一般人に危害を加え、
八神家は鬼を討伐する。
そんな正反対の家系に生まれた
二人の行く末とは___。
※本作品について
本作品は、「ノベルケイク」の「せな⚡️」が執筆した作品を引き継いでいます。
随時、情報を更新します。
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目次
【海であい、泡沫に】壱
「 」セリフ
( )心情
( 効果音
--- ・・・ ---
叶「 __、__様!朝様、起きてください! 」
朝「 ぅぅん、、、うるさっ 」
清々しい朝とは言えない目覚め。
声の主の方を見ると、従者として共に暮らす叶が居た。時計に目をやると起きるには少し早い時間だ。
朝「 起こすの早くない? 」
叶「 鬼が出ました。 それも“上ニ”です。 」
朝「 、あら 」
この世には鬼が存在する。
鬼は人間を喰べる事を目的とし加害を加える。一般の人間には“鬼”の存在は知られておらず、“清めの里”という鬼を討伐する為の組合のみその存在を知っている。
天変地異、死など人間に計り知れない物事は穢れと言われてきた習わしで、鬼は“穢れ”と呼ばれる事が多い。
鬼にはランクがあり“下一”→“上十”になるにつれ、強い鬼となる。最近では、中々“上”以上は見かけない。久しぶりのご対面だけど、俺が必要なのかと疑ってしまう。
朝「 俺じゃないと ダメなの、それ? 」
叶「 上からの 命令です。 」
朝「 断ったら...? 」
叶「 お兄様に**即**連絡ですね☆ 」
そう言いながら、携帯を取り出し兄へ電話を掛けようとしている。まだ断るとは言っていないのに...兄さんは、俺が討伐の任務を飛ばすとめちゃくちゃ怒って怖いんだよなぁ。
朝「 ちょっ、ストップゞ!!やるから! 」
叶「 良かったですニコ 急ぎましょうか♪ 」
朝「 はぁ、、ルンルンだね... 」
ため息混じりの返しを無視する叶を追いかけるように布団から降りる。適当に身支度を済ませて家を出発する。
さぁ、今回はどんな鬼と出会うのだろうか。
--- *** ---
朝「 さっむ、 」
着いたのは、家からかなり離れたか森の奥。
季節は春だけれど、まだまだ寒い時期。一向に鬼の姿は見つからないが、先程から鬼と交戦している人達の気配がする。
近づいているのは確かだ。
叶「 ...あ、居ましたね。 」
朝「 おぉ、これまた大変そうだね笑 」
叶「 思ってませんよね... 」
叶がジト目でこちらを見てくる。
“上ニ”は世間一般から見たら強い方だけど、俺からしたらそんなね。コイツの討伐は赤子の手をひねると何ら変わりもない。
朝「 術式【 留探 】 」
と留の在り処を探す術式を唱える。
この鬼には“留”言わば鬼の“心臓”が複数あるパターンのようだ。正味、面倒くさい心は勝つが、これも仕事みたいなものなので、放り出す事も出来ない。
朝「 さっさと終わらせるか( ボソッ 」
鈴( チリンッ
今日も耳が腐る程聞いた鈴の音を聞いて討伐を始める。普段耳にピアスの形て鈴型の物がついている。そして、必要とした時のみ 形が変形し俺の討伐用の武器の刀となる。先程、交戦されていた方々には、一旦退いてもらった。
朝「 これで1on1だね笑 」
鬼「 ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!! 」
朝「 、よっと! 」
軽々と宙返りをし攻撃を避ける。
知性の無い鬼だと、叫び散らかすから五月蝿くてしょうがない。それに、考えも無しに突っ込んで来るから攻撃も単純。留が複数あるとしても本物は一つしかない。まぁ運か、、、
と心の中で呟きながら、自分の運の無さを思い出す。ついてない。
朝「 まずは 一つ目ッ ( グサ 」
鬼「 うぅあぁぁ...( ボロボロ 」
朝「 お、ラッキー ♪ 」
運良く本命の留を突いたらしく、鬼特有の死に方を無様に晒している。詳しく説明すると、鬼はガラスが割れた様にボロボロと崩れる様に死んでいく。それぞれで個性(?)があり、討伐の一つの楽しみとなっている。末期かもしれない笑
戦士「 あ、あの! 」
「 ありがとうございました( ペコリ 」
朝「 いえ、頭上げてください( 汗 」
「 それでは、お先に失礼しますね。 」
叶「 失礼します。 」
一通り挨拶を終え、時間も惜しいし俺は嫌われ者のため足早にその場を後にする。
今日は、高校2年生の始業式。初日から遅刻はあり得ない、もってのほか。焦りつつ叶と帰路に着いた。
叶「 今回も素晴らしかったです。 」
朝「 ...あ そう、、、 」
叶「 ふっ、昔から変わりませんね笑 」
朝「 うっさい!!( 逃 」
いつになっても褒められるのには慣れない。
--- ・・・ ---
記念すべき第一話です✨
このお話に何日かけたか...気が遠くなります笑
でも、小説は書くも読むも大好きなので!
次話もお楽しみに^ ^
【海であい、泡沫に】弐
「 」セリフ
( )心情
( 効果音
--- ・・・ ---
家に帰った後、学校へ行く支度を始めた。
やはり急がなければ遅刻しそうな為、朝食は食べずにサッと家を出た。自然と歩調が早まっているのが自分でも分かる。
時間の無いなか、寄り道して学校へ行った事を心底後悔する羽目になる事を知る由もなかった
そして、全てがここから始まる事になる事も__
--- *** ---
朝「 風、強っ 」
ここ、家から徒歩2分にある“|山沙《やまさ》浜”へ来たのは、いつぶりだろうか。最近は、色々と忙しくて来る暇が無かったからな。
と考え事をしながら、砂浜を歩いていた。
緩やかな波が砂浜に来ては引いてを繰り返している。落ち着いた空間。
朝「 、!っと... 誰? 」
そんな静寂な空間を打ち破る様に、俺の前に現れた、、いや寝転んでいたのは、同い年くらいの男子だった。
この時期に砂浜で寝るなんて、相当なタフさだなと感心しつつも心配が勝つ。足元の方が水にかかっているみたいだし、少し移動させるか。
朝「 よいしょっと 」
そこら辺にあった木のベンチまでその男子を運び、優しく寝かしておいた。動揺しない様に起きるまで待っとくか。ていうか、意外と体がガッチリしてたなぁ。運動部とかか?
なんて振り返っていると相手が目を覚ました。
朝「 あ、足元の方が濡れてたんで、勝手に運んでしまいました。 」
?「 すみません!ありがとうございます 」
?「 、ん? 」
朝「 どうしましたか? 」
突然、その男子は俺の方をジーっと見つめてきた。どこかおかしい所があるのだろうか。
?「 貴方の制服『八白学園』ですよね? 」
「 時間は大丈夫ですか? 」
朝「 あ...( ポカン 」
やばい、やばい、やばい、やばい、やばい!!
すっかり学校の事忘れてたわ!!!
もう朝礼、始まってるし、遅刻確定だ...
朝「 やばいッッ! 」
「 すみません!さよならッッ( 走 」
?「 あ、ああ。... 」
その人をおいて学校へと駆けて行った。
--- *** ---
チャイム(キーンコーンカーンコーン
『初日から遅刻』という要らなすぎる名誉を獲得した俺に追い打ちをかける様に、響く予鈴。
先生には初日という事もあり、多めに見てもらい軽い注意で済んだ。
|檸檬《れもん》「 おっは〜! 」
「 初日から遅刻とか度胸すげぇな笑 」
朝「 遅刻したくてした訳じゃないんだけど、、、( 睨 」
これからは気を付けよう、と決心していた中、仲の良い“|川瀬檸檬《かわせれもん》”が茶化してきた。
落ち着いた金色で頭を染めており、身長は俺より少し高め。勉強はそこそこだが、所属しているバスケ部では期待のエースらしい。
1年生の時にクラスが同じになってそこからって感じで、今では冗談を言い合えるくらいだ。
檸檬「 まぁ、元気出せって! 」
「 なんたって今日は、転校生が来るらしいぜッ☆ 」
朝 「 この時期に?珍しいね。 」
檸檬「 はぁぁ?それだけかよ!? 」
「 フツー、もっと興味深々だろ!? 」
朝 「 いや、別に... 」
先生「 はーい、みんな席着け〜 」
「 転校生紹介するぞ。 」
雑談をしていると先生が教室に入ってきた。次に転校生が入ってくるのか教室の扉を開けたまま。普段あんなに閉めろと言うのに…
どうせ、その転校生とも関わる事なんて殆ど無いんだろうと正直思う。
先生「 はい、入って来ていいぞー 」
扉(ガラガラガラ
夜「 ◯×学校から来ました。“|海夜《うみよる》”です。 」
「 これからよろしくお願いしますニコ 」
クラスメイト女「 めちゃくちゃイケメン~! 」
クラスメイト男「 あいつかっけ〜、 」
締めには屈託の無い笑顔を見せ、好印象的な挨拶を終えた転校生。この学校には居ないであろう白髪の頭をしており一瞬驚いた。
あと苗字が同じ事にも。俺の本当の苗字は「八神」だけれど、外でその名前を使うと色々と不都合があり「海」という事になっている。
クラスメイトからの印象は良さげ。横目で流しつつそんな感想を抱いていると、
先生「 じゃあ、夜の席は朝の後ろな。 」
「 朝、手挙げて場所示して〜 」
朝 「 はい( 手挙 」
夜 「 あ!今朝、山沙浜で会った人! 」
「 同じ学校だったんだね笑 」
こちらに近づいて来た転校生は、俺の顔を見た途端駆け足になって、突然そう言ってきた。
真剣に相手を見ると、今朝出会った人と似ていなくも無い。だから制服が何処の高校か知ってたのか、、、
朝「 あー、砂浜で寝てたバカね... 」
夜「 バカ!?バカは酷くない!? 」
「 俺ら、ほぼ初対面だよね!? 」
先生「 なんだ、お前ら仲良いのか。 」
「 じゃ、朝は夜にこの学校の案内してやってくれ!頼んだ👍 」
朝 「 ...分かりました。 」
その後、今日の日直が俺だとか 挙げ句の果てには苗字が同じだからと言う、よく分からない理由を付けられて学校案内をする事になった。
--- ・・・ ---
ここまで読んで頂きありがとうございます!
次話もお楽しみに^ ^
【海であい、泡沫に】参
「 」セリフ
( )心情
( 効果音
--- ・・・ ---
昼休み___。
朝「 学校案内するから着いてきてね。 」
夜「 よろしくお願いします! 」
朝( 元気な人だな... )
先生に学校案内を頼まれた為、学校案内をし始めた。学校内を隅から隅まで練り歩きながら、教室の説明などをしていく。たまに世間話。しながら順調に進めていく。そんな中、後ろを歩く夜くんに気づかれないように視線を向けた。
新しい物を見るかのように目を輝かせて校内を見渡している彼。身長は俺より少し高い、身軽そうな体、顔は整ってる、性格も良さげ。至ってどこにでもいる普通の高校生だ。
しかし一つ気になる事がある。それは、、、((
夜「 朝くん!この大きい木は何? 」
朝「 あぁ、それは学校建設祝いに植えられた桜の木だよ。 」
「 |百舞桜《ももまいざくら》っていう名前。 」
夜「 へぇ〜!なんか感慨深いね。 」
朝( 感受性豊かな人だな...(デジャヴ )
彼について新たな事ばかりを発見していく。
クラスメイトな訳だしそれなりにこれから仲良くなるんだろうな。そんな事を考えていると、一拍おいて声をかけられた。
夜「 ...ねぇ。朝くんってさ、 」
檸檬「 おーい、お前ら〜!!( 遠くから 」
「 あ、お取込み中だった? 」
夜「 いや、俺は大丈夫だよニコ 」
朝( 何か話したそうだったけど... )
取り敢えず夜くんは良さそうだったので、了承の意を込めて首を縦に振る。俺らを見て檸檬は安心した様な顔をして話し始めた。
檸檬「 俺と学習会のペア組んでくんね? 」
--- *** ---
数日後___。
始業式の日から何かと慌ただしい日々が過ぎ去っていき、一息付いた頃に学習会が訪れた。
この学校でいう学習会とは、一学期の中間に行われる成績にフルボッコ(?)に響く大きなテストに向けて学習をするというもの。学習会では3人1組になって勉強し 実施日とメンバーを紙に書いて提出するという謎ルールが設けられている。あまりにも日数が少ないと、それもまた成績に響くとかなんとか...まぁ面倒臭いこと。
檸檬「 いやー。まじでありがとう! 」
「 組む人決まってなかったらヤバかったんだよね。 」
夜「 俺も全然知らなかったから、逆にこっちが感謝しないとかも笑 」
朝「 ま、俺も決まってなかったし... 」
そんな会話をしながら黙々と勉強を進めていく。時折、分からない点があると、あーだこーだ言いながらお互い教えたり教えあったりしなが時間を過ごした。
2時間ほどぶっ通しでやり、流石に疲れたという意見のもと一旦休憩を取る事にした。
檸檬「 そういえばさ〜 」
「 授業参観誰が来る? 」
朝「 どこの小学生の会話だよ... 」
檸檬「 なんでも良いだろっ笑! 」
「 で、二人は?ちな俺は母さん。 」
夜「 俺は多分じいちゃんかなぁ。多分ね 」
朝「 俺は...いとこかな。 」
檸檬「 なるほど、なるほど... 」
朝「 で、この質問に意図とかあんの? 」
檸檬「 ん?全くないけど...? 」
夜「 ないんかい笑笑 」
ここ数日で夜と檸檬は仲良くなったらしい。今も楽しそうに話しているみたいだし。
檸檬「 そういえばさ〜 」
朝「 2回目だな笑 」
檸檬「 俺、朝の両親見たことないかも? 」
「 学校行事でも見た記憶ないし。 」
夜「 仕事が忙しいとか? 」
朝「 あーそれね... 」
俺は一瞬言葉を続ける事を躊躇した。
しかし、隠すことでも無いかと思いなんて事ないという顔をして打ち明けた。
朝「 両親小さい時に亡くなってんだよ。 」
言った途端に過去の記憶が断片的に蘇ってくる
体が傷だらけで、
こちらに駆けてくる必死の形相な父さん
俺を力一杯抱きしめて守っている母さん
そして、母さんと父さんの間にいる“鬼”
目を閉じて耳に届いたのは肉が千切れる音
その次には、血飛沫と耳をつん裂くような悲鳴
目を開ければ母さんも父さんも居ない
目の前に居るのは“鬼”だけ
朝「 、、、っ( 俯 」
檸檬「 ごめん。 」
「 もしかして嫌な事思い出した? 」
朝「 ...いや、なんでもないから。 」
檸檬「 や、本当にすまん... 」
夜「 、、、 」
朝「 いーから。さっさと勉強するぞ。 」
檸檬/夜「 はーい 」
なるべく普段と変わらない声色を意識してお通夜みたいな雰囲気を終わらせる。
さっきから小刻みに震えている左手は机の下に隠して、中々集中できない頭を無理矢理動かした。
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ここまで読んで頂きありがとうございます!
次話もお楽しみに^ ^