東方projectと異変解決!のキャラクターが色々する感じです。世界観はどうなってるの?という説明はやめましょう。
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目次
迷路とレミリア
「あら、迷路。来たの」
レミリアはそういった。
「何が悪い」
迷路とレミリアは親しい仲である。今日も迷路は、管理神たちに頼み込んで幻想郷へと来たのだ。
「あっ!迷路お姉ちゃん!」
「フランちゃん!久しぶり」
「紅茶、いれますね」
「あ、ありがとう」
迷路はフランにすっかり懐かれていた。能力を用いてクマのぬいぐるみをあげると大喜びで、かわいい。それに咲夜がいれたコーヒーとクッキーも絶品で、迷路は幸せだった。
すると、迷路は思い出したように咲夜にたずねた。
「咲夜、パチュリーと美鈴、小悪魔はどこか知ってる?」
「何故?」
「読みたい本があって」
「魔導書?」
レミリアがたずねた。
「幻想郷などのことを知りたいと思っていて。神だから」
「あんたももう少し気を緩めればいいのに」
レミリアが紅茶を飲みながら言う。ついでにクッキーもつまむ。
「義務的にはしてないよ。好奇心だけ。神だから、っていうのは言い訳さ」
「ふふっ」
「ねーねー、今度はウサギのぬいぐるみがいい!」
「いいわよ」
迷路はにっこりと微笑む。そしてぬいぐるみを生み出した。
「これでどう?」
「わぁー!かわいい!ありがとう!」
にっこにこのフランを見て、レミリアは
「ありがとね」
と言った。
---
「パチュリー」
「その声は…迷路ね?」
「あったりー」
パチュリーの静かな返事が図書館内に響いた。
「今度は何借りてくの?魔理沙よりは迷惑じゃないけど」
「あれ、チルノとか大妖精、ルーミアは借りないの?」
はー、とパチュリーはため息を付いた。
「借りるわけないじゃない。さ、早く本を選んで」
「えー、冷たいなあ」
すると小悪魔が飛び出してきた。
「あっ、迷路さん!何読みます?」
「うーん…幻想郷について書かれてる魔導書かな」
「魔導書は結構揃えてるんですよ!」
小悪魔はぶ厚めの魔導書を迷路にわたした。
---
「えー!もう帰っちゃうのー?」
「また来るからさ?」
アフタヌーンティーも終盤、というところ。
「今日は目当てのものも借りれたしね。俺も一応、これでも神なんだ。普通に働かなきゃだしね」
「やーだーやーだーー!!」
「じゃあ、わんちゃんのぬいぐるみでどう?これ、持ってきたんだ」
「…はぁい」
迷路は犬のぬいぐるみをあげると、フランに渡した。そして、去っていった。
無朝迷路異変ノ章 壱
「ったく暗いわね..」
極闇異変の時よりも暗い。暗い、というか夜中のような。
「…由有さぁん」
「闇。貴方、ではないよね?暗いよりも夜だもの。ムーンなの?」
「聞いたんですよ、ムーンさんに。違うって言ったんです…」
闇がたずねると、ううむと考えつつ紅が来た。
「なあ…」
「紅?あんたは関係ないでしょ」
「ここまでの道、単純だよね?」
は?と呆れる。
「迷路みたいに入り組んでたんだ…。迷路と言ったら奴しかないよな?」
「…夜ノ、迷路」
迷路…
「誰ですか、迷路って…」
「堕神よ。前のリーシュは堕天使だったでしょ?あれの神様版。
ゲンソウキョウっていうやつ?にしょっちゅう侵入してるのよ。ゲンソウキョウはよく思ってるけど、こっちは管理がずさんになった。だから永久追放されたの」
「…はえ、そのゲンソウキョウってとこに迷路さん、て人がいるんですか」
「そう」
新入りの闇は知らなくてもしょうがないよね。
「前は普通に|ここ《空想世界》の管理神をつとめてたんだけど、なんかゲンソウキョウ?を発見して。そこのれみりあ?とかいう人と仲良くなった。行き来をしていたら、仕事が放置されて永久追放」
「…そ、そうなんですか」
まあ難しいよね、当たり前だもん。
「さ、行くわよ。闇、紅」
「え、わたしも!?」
「そうよ。あんたがいないと真っ暗だもの」
目指すは管理神たちがいる、各世界の扉がある管理世界。
無朝迷路異変ノ章 中編
「こんにちは、何でも屋さんと魔法使いさんと新入りさん」
にっこりと、偽りの微笑みを浮かべた彼女。
彼女は神野信。管理世界の手前にある神界の門番だ。そして、大前神社の巫女もつとめている。
「なんの用ですか?まあ、こんな神聖なところに来る関係ないやつは速攻ぶちのめすに限りますがね」
「皆さんに頼ってばかりじゃいられません!闇符『魔界漆黒』」
「きゃっ!」
信を闇がぶちのめした後、わたしたちは門をこじ開けた。
天空にそびえる神界は、地面がふわりとしている。
「ったく、強引ね。それにしても、なんの用?」
「この異変を解決するためよ。道中は苦労したわ…」
信が追いかけてきた。
「朝が来なくて、迷路になってしまう『無朝迷路異変』を解決するのよ。あんたのとこの奥にある世界・管理世界のとこに向かうところ。その向こうのゲンソウキョウにいる夜ノ迷路が怪しいと睨んで」
「そういうことだったんですか!早く言ってくださいよ。案内しますね、ここは神聖なる場所なので異変なんて影響なしですから」
今までより簡単な道順で管理世界へとつく。
「到着です!あとは香子さんに聞いて下さい。わたしは神を信じれば信じるほど力が増すのですが、まだ信じたほうがよさそうでしたね」
「とっとと行くぞ」
さっきよりも大きな扉を開ける。
---
そこは大小、色様々なモヤがおびただしい数ふわふわ浮いていた。
その真ん中に、女性が座っていた。
「誰?」
「若野香子よね?」
1億歳を超える彼女の能力は位置を操る程度の能力。世界の位置すら分かっていて、別世界に行くには彼女を経由しなければいけないのだ。夢は別だけれど。
「配達の依頼?」
「違う。別世界への依頼」
「そう。まあ来なさいな」
ふわりと、わたしたちの位置が操られる。
香子は体力が落ちてから配達員を始めていたっけ。
事情を話す。
「ふぅん。幻想郷世界ね?えーっと…ここね。迷路しか出入りしてなかった世界。さ、行きなさいな。危険になったらすぐ貴方たちの位置を操ってよびもどすから」
「はい、いくよ」
紅の声ひとつで向かう。
そこを抜けると___
無朝迷路異変ノ章 後編
「あんた、誰?」
「…えーと」
黒髪に赤色のリボンを身に着けた少女。
「れみりあさん?って知ってる?」
「レミリア?ああ、レミリア・スカーレットね。案内するわ」
れみりあさんを知っているんだ。聞いた感じ、顔も広そう。
湖を超えて、立派なお屋敷につく。
「はい、ここがレミリアの住む紅魔館。美鈴は無視していいからね、さ、いってらっしゃい」
「えっ!?」
「めんどくさいから」
赤髪にチャイナ服っぽい少女を指さして、わたしたちを押す。
「誰?」
「きゃあっ!??」
突如、銀髪のメイドっぽい人があらわれた。そして、ナイフを装備していた。
紅がしゃべった。
「迷路の知り合いだよ」
「迷路、さん?あ、お知り合い?」
「そうです。わたしたちは別世界から来ました。わたしたちの世界に異変が起きて、その元凶が迷路だと思うんです」
「そっちの世界にも異変はあるのね」
メイドはナイフをおろした。そう思ったら、迷路とともにいた。
「迷路さん、あなたがこの異変の元凶ですかっ!?」
闇がたずねた。
「……そうさ。…………レミリアたちを、空想世界につれていきたかった。でも、あの環境では生きにくい。だから、レミリアたちに適した環境をつくった」
「…へぇ。じゃ、サニーにでも頼みなさいよ」
「え?」
れみりあが誰かなんて知らないけど…
「香子にサニーのいる位置を操ってよんでもらう。サニーに曇りの天気にしてもらう。そしてれみりあを連れてくる。これでどう?」
「いい。なんだ、俺が異変を起こさなくてもよかったんだぁ〜。レミリアに頼まれたんだよ☆」
はあ……
---
そのあと、レミリアという人が来た。結構良さげな|人《吸血鬼》だった。
また、幻想郷に行って、あの人に感謝を伝えなくちゃな。
レミリアとムーン①
「ごめんね、レミリア!用事があるから、とりあえずふらついてて!」
迷路に招待されたレミリアと咲夜、そしてフランはぽつんと立っていた。
「どうすればいいか分かる、咲夜?」
「とりあえずその辺を歩いてみましょうか」
---
歩いていると、一軒家を見つけた。
|わたし《レミリア》は、さっそく中に入ってみた。
すると、1人の人がいた。
「誰ですか?」
「誰って…永遠に幼き紅き月・レミリア・スカーレットよ!」
「…?」
ふふ、決まったわ!
「…お嬢様。永遠に紅い幼き月でございます」
「…え?」
「やーいかりちゅまー」
「うるさいわねフラン!!」
くそっ…カリスマであるわたしがっ…
「ああ、あの異変の元凶の友人様ですか。ならいいですよ。ここにはスター・サファイア・ムーン様が住んでおります。わたしはその妹様であるレイン・クラウ・サニーにスカウトされたメイドです。空踏星羅と申します」
星羅…なかなかいい名前じゃない。面白い運命もありそうだし。
「スター・サファイアって…あの妖精?」
「全くの別人よ、フラン」
「只今、お嬢様は散歩に出かけております。なんでも、妹様と会うらしいです。もうじき、帰られると思います。どうぞ、お茶でもしていってください」
星羅は紅茶を出してくれた。結構良い香りがする。
「今日、来ると聞いてました。レミリア様のために天気をくもりにするよう、迷路様が妹様に頼んでおりましたから。さて…レミリア様は聞いておりましたが、まさかメイド様と妹様が来るとは思いませんでした。クッキーでも焼きましょうか」
「ならわたしが。わたしの能力は時間を操る程度の能力。クッキーの準備時間を一瞬にしましょう。わたしがやっておきます」
さすが咲夜ね。
「クッキー、焼けましたよ」
「ありがとう」
紅茶とともに、クッキーを食べる。
「星羅、帰ってきたわよ〜。サニーもいるわ」
知らない声が聞こえた。
レミリアとムーン②
「あ、お嬢様、おかえりなさいませ」
蒼いドレスを身にまとったムーンが来た。隣には姫の家系とは思えないラフな格好__まあ姫を拒み吟遊詩人となったので当たり前なのだが___の妹・サニーがいた。
「レミリア、久しぶり!元気にしてた?」
「ええ、そうよ」
「何お土産に持ってく?」
「お土産って…話が早いわね」
月1くらいで会うわたしたちの関係は結構良好だ。この前は彼女の能力でミニプラネタリウムをもらった。本当の星空の輝きが美しく、パチェも気に入ってる。
「じゃあさ、姉さん。この前わたしがいなかったから、ウェザーボールはどう?」
「え、スペル?あ、間違えた、秘技の?」
わたしたちの世界のスペルカードは、彼女らの世界の秘技にあたるという。
「そんなわけないよ。ウェザーボールを応用して、天気のアクセサリーを作るの。ウェザーアクセサリーの方がいいかな?」
「そうなのね、素敵だわ。フラン、もらう?」
「もらう!」
話を聞くと、どんな天気でも専用のガラス玉に閉じ込めることができ、いつでもその中の天気を取り出すことができる。
フランとわたしは、曇りのウェザーアクセサリーをお願いした。日光も流水も苦手だし。
わたしはネックレスを、フランはブレスレットを作ってもらった。銀色のビーズとともに、白銀に輝く曇り空がガラス玉に閉じ込められている。そのガラス玉をひとつ、あとはいろんなビーズを魔法テグスに通して、できあがりらしい。
作れると思ったけど、相当な技術が必要らしかった。
「わたしからのお土産はどうする?」
「じゃあ、今度はお姉様がブレスレット、わたしがネックレスがいい」
「わかったわ」
久しぶりに会うサニーに、フランは喜んでいた。同じ妹同士、気が合うのだろう。
---
「星羅さん」
「あ、えーと…レミリアさんのメイドの咲夜さんですよね」
|わたし《空踏星羅》は、いきなり咲夜さんに話しかけられた。
「ここのお掃除とか、家事とか、大変ですか?」
「そんなにですね。普通の家を、お嬢様が勝手にお屋敷って呼んでいるだけなので。紅魔館さんの方こそ、すっごく広くて豪華だから、大変じゃないですか?」
「まあ、妖精メイドがいるとはいえ、大変よ。このあたりでメイドになりそうな人はいるかしら」
うーん、そうだなあ…
由有さんところはお金をチラつかせたらやりそうだけど…
アスメル姉妹さんは?あ、でもメロさんがちょっと怖いな…でも、普通に力仕事はできると思う。
「メロ・アスメルさんと、メル・アスメルさんがいいと思います。メロさんは手足を自由に動かせるので、力仕事がおすすめです。メルさんは器用なので家事とかもできると思います。あと、高額な給料を払えば何でも屋のところの由有さんも短期メイドになれると思います。
アスメルさんたちは森にいます。はなねクリニックというところで森の管理をしているので、行けば呼んでもらえると思います。もしいなければ草花さんとかに話しかければいいかな、彼女は森育ちだから」
「ありがとうございます」
アスメルさんたちも、退屈だーとか言ってそうだしね。
鏡狐異変ノ章 前編
「…あぁ、眠い眠い」
ヘアセットしなくちゃ、一応店を営業してるんだし…
「ああっ!?」
いやいや、おかしい。
なんで鏡を見たら狐がいんのよ!?これじゃろくに接客もできないじゃない。
…もう面倒だしわたし1人でいくか。
---
「さぁてと…目指すはあいつね。もう分かってんのになんでこんな異変を起こすのかしらねえ」
あいつ、とは真鏡名真季那のことだ。彼女の能力は鏡を使って逃げやすくする程度の能力、きっと鏡に狐を出現させてさらに逃げやすくしてるんだろう。
あいつ自身、妖狐の亜種なんだし…
「あー、由有!」
「え?あ、夜姫」
茨木夜叉鬼姫は、最近わたしの異変解決に協力してくれるようになった鬼と人間のハーフ。鬼といっても、みつみたいに攻撃力が高いわけでない。
「この異変、真季那が怪しいと睨んでんの」
「へぇ…んじゃ、どうすんの?相手は鏡から逃げるよ?」
「まあ、仕留めちゃえば楽よ。まず、あんたの夢符で操らせちゃう。そしたらあとはばんばんぴゅーよ」
「ばんばんぴゅーって…」
彼女の秘技・夢符『催眠人形』は相手を操るので結構強い。まあ、体力の消費がすごいらしいけど。
「というか、依頼料は?」
「最近は依頼も減ったからね。バイトで稼いだお金をムーンから搾り取るのも可愛そうだから、元凶から搾り取ることにした」
「搾り取るって…」
「これでも商売なんだから」
依頼なんて、ゆめの極光異変から全然ない。
---
「あ、李子」
飛んでいるところを降り立つと、李子がいた。彼女は座敷わらしで、なんやかんや手伝ってくれる。
「ねえ、いま、真季那を探してんだけど、知らない?」
「西の方に行ったと思う。多分。幸福を祈るわ」
今日はヒント控えめだった。
---
「いた!」
真季那…だと思う。でも、狐の尻尾生やしてるみたことない妖怪だから、多分真季那。
「さあ、逃さないわ!夢符『催眠人形』!」
鏡を出現させる前にとっ捕まえたのはデカい。
「飛符『天駆ける一撃』」
普通に攻撃するだけで、真季那は倒れていった。
「ふぅ…疲れた。ちょっと手強かった」
「わたしがいなければ逃げられてたのにねぇ」
「やかましいなあ…」
といっても、真季那は何をしたかったんだろ。
「あーあ…こうしたら、香子様に目をつけられて、ゲンソウキョウに追い出されたのになあ」
「ゲンソウキョウ?なにそれ、由有知ってる?」
「あー、あそこねぇ。少々厄介なのよね、セキュリティ。まあ、突破できないことはないから行こ」
幻想郷__無朝迷路異変の時に行ったところだ。まだ黒髪少女に御礼も言えてないし、チャンスか。
「さ、行こ!」
頑張って2人を連れて空を飛ぶ。
重すぎる。
雪炎異変ノ章 前編
「ったく、どうしたんだよ」
あたしの友達である由有が、珍しく風邪になった。
由有の家に行ってみると、布団がしいてあった。
「知らないわ、そんなの。強いて言えば、雪が降り始めたから、とかかしらねえ?」
「まあ、確かになぁ…3月に降ってるとか、ありえないもんな。サニーと狐雨にも当たってみたんだけど、違うってさ。花音呼んどいた」
「はあー!?何勝手なことしてくれてんの!?寝てば治るものに、なんで金をつぎ込むの!?」
「はあ!?人が心配してんのに、素直に受け入れられないのかよ!?」
「もういい!好きにしなさいよ!異変を解決しても、そのままにしても、いいわよ!ただ、ひとつだけ言うわ。金は出さない!!」
「ああ、いいよ。世の中金が全てじゃないってこと、教えてやんよ!!」
バタンッ、と、シャッターがしまった。そして、鼻水をすすりながら、由有は『本日休業中』という張り紙をはった。
---
「って言ってもなあ…あいつがどうやって情報収集してんだか」
ちょっと地上に降り立ってみる。
「あ、紅」
「おっ、李子じゃんか。久しぶりだな。この異変について、何か知らないか?」
「うーん…個人的に、他の世界が関係してるんだと思う。この世界の者の感じがしないな。地霊殿のとこが関係している…のかなぁ?」
「ジレイデン?なんだそりゃ」
「幻想郷にあるところ。紅魔館にも行ったでしょ。あそこがある世界にある建物。地下だからわかりにくいけど…」
「また、あそこへ行かなきゃいけないのか」
めんどくさいなあ…
信だって、そろそろ鬱陶しいと思うところだろう。
「あそこへ簡単に行ける方法はないのか?」
「うーん…強いて言えば、わたしの友人…知り合いかな。にいるよ」
「え!?誰だ」
「ふぅん、知りたいの」
頷くに決まっている。
「じゃあ、わたしも行かせてね。一回、行ってみたかったから」
「いいよ、人手はいるほうがいい」
「瞬間移動ができる程度の能力を持つ、地名伊代。彼女は世界の境界を無視して移動できるの」
「じゃあ、早速行こう!」
「わかった、呼んでくるね」
雪炎異変ノ章 後編
「久しぶりじゃの、李子。なぜ呼んでくれなかったんじゃ」
いつの間にか、女性が来ていた。
「え…」
「紹介するね、こいつが地名伊代」
「ふぅん…よろしく」
見るからに胡散臭いやつだ。
「こちらこそ。それで、今日はどこへ行くのじゃ?」
「地霊殿。博麗大結界を超えなきゃいけないけど、いける?」
「かなり強い結界じゃが、乗り越えられるじゃろ」
偉そうな態度が気に食わない。まあ、これで異変が解決するなら。
---
「こんにちは」
ピンク髪で、ふわふわした目が浮いている。
「あっ!?ここが、ジレイデン?」
伊代に問いかけても、フッと笑うだけ。
「わたしは古明地さとりです。何か要件を」
「雪町翠って知らないか」
「雪町翠…はい、わたしの地霊殿で働く幽霊です」
確信した。
「そいつが、異変を起こしてるんだ。こっちの世界で、寒い異変が起こってる」
「そうなんですか…。なるほど」
何がなるほどなのか、あたしにはわからない。
「あとで言っときますね。たぶん、気まぐれでしょうね。しっかり言っときますから」
「じゃあ助かる。お願いだ」
「はい」
礼儀正しそうな人だった。
---
すっかり暖かくなった。由有の風邪も普通に治った。
「ね、だから言ったでしょ?ぼったくられなくてもいいって」
「はいはい。分かったよ。それより、また行こうよ、地霊殿。そこの幽霊の幽以ってやつが、由有のこと知ってたらしい。今日来るってさ」
「はあ?準備できてないから」
翠が、「由有さんってすごい人って噂!」と言っていた。たぶん、どこかで幻想郷に行った時の噂だろう。
「よしと、迎えに行きますかね」
「もう行くのか?」
「まあ、つまらなかったからね」
布団から身を起こした由有は、微かに笑っていた。その微笑みは、間違いなく、誰かにもとめてもらっているという意識からだった。
東方霊魂墓1
※原作と違う描写がありますが、温かい目で見守ってください。
「ひっ!?」
お墓のところから、ふらふらと人の住むところに出てみると、そこにはゾンビみたいになった奴らがいた。
「闇!大丈夫?」
「あ、空さん。わたしは大丈夫なんですが…この人たちって」
「…ただならぬ空気が感じられるわね。これは、この世界だけで起こっていることじゃない。絶対に、他の世界にも影響を及ぼしている。行くわよ」
「えっ、行くって」
「九十九心晴さまのところへ」
九十九心晴、と思わずびっくりした。全然知らない人だし、「さま」ってつけてるから、神様かなにかなのかな。
---
「ここが偉い神様たちがいる場所。神界、とでも言うのかしらね。そのトップたちが、『管理神』といって、この世界、あるいは他の世界を管理している神様なの。九十九心晴さまは、その1人」
信さんの許可をもらい、わたしたちは管理世界へと行った。
「九十九心晴さま、こんにちは」
狐の面をつけた神様。やっぱり、この世界は個性的な人?ばかりだ。
「妾の名は九十九 心晴と申す。包神という種族なの。よろしくなのじゃ」
「わたしは、極光闇です。種族は幽霊です」
「わたしは斎藤空です。種族はともに幽霊です。今回来たのは、この異変のことについてです」
空さんは慣れた口調で話す。
「人里にて、人間がゾンビのように、魂を抜き取られている異変をご存知でしょうか。その異変を解決すべく____」
「わたしはやってきました」
「どうした?」
え、と声を漏らしそうになる。隣に、わたしが座っている。
「えっ__」
「なんで、わたしが__」
見ると、わたしは空さんの身体にすり替わっている。いや、魂がすり替わったのかも知れない。
「魂が___」
「なんで。これも、異変?」
嘘でしょ、どんだけすごい能力の持ち主なの。
「魂がすり替わっています。たぶん、これも異変のひとつでしょう。この異変には外の世界、他の世界の者が関与していると考えられます」
「そうか…何処に行ったらいいか」
「香子様なら知っていることでしょう。香子様のところへ、案内していただけませんか」
「わかった」
わたしの身体になった空さん。でも、冷静に、淡々と話している。かっこいいなあと思いながら、わたしは空さんについていく。
---
「あら、また来たの」
「この間の世界が怪しいと睨みまして」
こんな偉い神様に2回も会うなんて。香子さんは相変わらず膨大な量のモヤを管理しているみたいだった。
「そうねぇ。あそこは何かと不思議なところだし。じゃあ、行きなさいな」
「ありがとうございます」
東方霊魂墓2
「うわっ!?」
ここの世界でも、ゾンビ化した人間がいた。
しゅっ、と、紫の空間に瞬時に吸い込まれた。
---
森で、わたしたちは飛び出した。そこには、金髪の女性がいた。
「あなたたち、一体何処から来たの?」
「えーっと…巷で起きている異変について来ました。まあ、別の世界です。神様に頼んで、つなげてもらいました。今、わたしと闇は入れ替わっています。本当は私自身の身体が闇で、こっちの身体がわたしです。これと、ゾンビ化した人間が、異変だと睨みました」
「ふぅん」
説明がややこしかったけど、空さんはすべてを説明してくれた。
「わたしは八雲紫。境界を操る程度の能力を持つ妖怪よ。霊夢たちも、今、多分頼れない状態だわ。あの子達も人間だから」
「その、霊夢っていう人は、ゾンビ化は?」
「多分大丈夫よ。人里にいる人が危ないから。でも、他の人と入れ替わっている可能性はあるわね」
紫さんは、他にも色んな人のことを知っているみたいだった。
「魂、といえば死神ね。でも、こちらの世界の死神は…多分、違うわね。あと知っているのは___そうね、四季映姫様と犬猿の仲のあの人かしらね」
「誰ですか」
「墓守霊佳。彼女、妖怪みたいなの。でも、能力は魂を操るだし、彼女なんじゃないかしら。もし彼女だとすれば、地霊殿に行ってみたら。わたしがスキマで送ってあげるから。もし困ったり、わからなかったりしたら何時でも読んで」
「本当ですか。ありがとうございます」
また、紫のものが出て吸い込まれた。
---
「んー?あ、来客だっ!」
大きな館。だだっ広い館に、わたしたちは送られてきた。真っ先に会ったのは、赤髪で猫耳の子。
「こんにちはー!あたいは火焔猫燐。お燐って呼んでね!で、地霊殿になんの用?さとり様からなんにも聞いてないけど」
「えっと…」
「巷で流行っている異変よ」
また、空さんが説明してくれた。
「ってわけ」
「あ〜、なるほど。取り敢えず、さとり様に会ってみたら?こいし様は全然、あたいでも会わないからね、まずはさとり様に聞いてみよ!」
そう言って、彼女はさとりさん、という人がいる部屋まで案内してくれた。
東方霊魂墓3
「どうぞ、お入りください」
緊張しているのが自分でもわかる。ピンク色の髪を持つ彼女は、暗めの印象。わたしたちと気が合うのかなあ、なんて思う。
「斎藤空さんと、極光闇さんですね。わたしは古明地さとりです。なんで名前を、ですか。わたしはこころを読む程度の能力を持つ、さとりと呼ばれる妖怪です。この第三の目で、あなたたちの心を読みます。先程、お燐が案内をしてくれたようですね。要件もわかっています。話が省けていいでしょう?そうですよね」
怖いなぁ、と思う。この人に隠し事は一切できないのだ。
「はい。包み隠さず、わたしは全てを知ることができます。それは素晴らしいことでもあり、残酷なことでもあるのですよ。そうですね、話がそれました。異変のことでしたね。
奇妙な異変は、霊佳という妖怪のせいだというね…なるほど。何故かわからない様子ですね。わたしはあまり関わったことはないのですが、こいしは関わったことがたくさんあるみたいです。こいしとは誰、ですね。わたしの妹です。こいしは第三の目を閉じて、心を閉ざしてしまいました。無意識を操る程度の能力で、今は誰からも認知していません。ですが、霊佳さん、という人は知っているみたいですね。彼女はこいしの魂を認知しているから、関わりがあるみたいです。そこで、姉であるわたしのもとへ訪ねた、ということですか…。
残念ながら、姉であるわたしすらも認知できない存在なのです。申し訳ありません、お役に立てなくて。どうしましょうか」
彼女は心を読み取り、一瞬の隙もなく話す。
「こんにちは」
「あ、こんにちは」
知らない人が、さとりさんに話しかける。いつから来ているのか、わからない。
「失礼しましたわ。わたしは幻夢。幻を操る程度の能力を持つ、妖怪以上神以下…といったところですわ。どうぞ、よろしく」
「あ、こんにちは…」
近づきがたい雰囲気を持つ彼女は、さとりさんと合いそうだった。
「さとりさんの話は聞きました。妹のこいしさんは、幻そのもの。わたしが手伝って差し上げましょうか。わたしすらも、幻そのものですしね」
「本当ですか。ありがとうございます」
ふふふ、と優雅に、上品に笑う幻夢さん。
「あの…こいしさんはどうなるの」
「空さん、でしたわね。そうですね…幻と同じこいしさんを、呼び寄せてみましょう。そして、一時的に幻じゃなくします。話をいろいろと聞いてみませんか」
「そうですね、ありがとうございます」
へえ、という声を心の中でもらす。これで、こいしさんを助け、この異変に終止符を打つのだ。
東方霊魂墓4
「では、どうしましょうか。勿論、わたしが操ることも可能です。ですが、こいしさんが何処にいるか、ある程度の目処をつけなければなりません」
「まあ、地霊殿の中にはいることでしょう」
「そうですか、分かりましたわ。時間がかかりますので、しばらくお待ちくださいませ」
そう言って幻夢さんは出ていった。
「それで、空さん、闇さん。そちらの世界は、如何なのでしょうか。スペルカードルールや弾幕ごっこに似たものがあると、吸血鬼から聞きました」
さとりさんは、心が読めるはずだ。なのに、わざわざ聞いてくる。そして、スイートポテトを出してくれた。
「あります。秘技勝負という感じです。各々に習得した秘技があって、それで勝負します」
「そうなんですね。良ければ、勝負したいですね」
わたしがスイートポテトを食べるのに躊躇っていると、
「どうしましたか?スイートポテトは苦手ですか」
「いえ…」
手を伸ばし、ひとくち放り込む。はちみつとさつまいもの甘い香りがした。
---
「準備が整いました。ここに、こいしさんを呼び出します。もしかしたら、霊佳さんも呼べるかも知れませんわ」
「本当ですか!何時ぶりでしょう、こいしと出会えるのは…」
そして、幻夢さんは「幻符『幻の存在』」と唱えた。
ふわふわと、黒い帽子をかぶった、緑っぽい髪を持つ子があらわれた。さとりさんと同じ、第三の目を持っている。でも、その目は閉じていた。この子が、こいしさん?
「あ…お姉ちゃん。今、霊佳と遊んでたんだけど」
「霊佳さんって、今、何処にいるのっ」
「え?えーとね。地霊殿の、一つとなりの部屋」
「行きましょう!」
ステンドグラスがはめられた部屋を出て、隣の部屋に駆け込む。
「貴方たち、一体何故わたしが見えるの?」
白っぽくて透き通るような肌。隣には、ふわふわと骸骨が浮かんでいた。
「わたしは墓守 霊佳、死に損ないの幽霊だよ。この子は清霞、仲良くしてあげてね」
にこ、と霊佳さんは微笑む。骸骨の名前は、清霞らしい。
「霊佳、貴方はなぜ異変を起こしたのっ?」
空さん(正確には、わたしの身体の空さん)が言う。
「だって暇だったんだもん」
「暇だったからって___」
「そっちが暇にしてるんでしょ。わたしのことをみーんな嫌うじゃん。復讐、って言ったほうがよかった?いい?清霞とこいし以外、存在価値なんてないの。あなたもわたしも、そうだよ。幻の存在だから。幽霊だって、神様だって、一歩出ればただの幻。存在そのものが消えちゃうから。こいしと清霞には魂が宿ってるから」
そう冷たく言い放つ霊佳さん。わたしには、どうすることもできなかった。
東方霊魂墓5
「さあ、どうするの?」
「霊佳っ」
本気で怒っているような霊佳さんに、こいしさんが言った。
「それなら、わたしとやろう?もう、みんなに迷惑をかけたくないよ。清霞だって、そう思ってるよっ」
「こいし___」
さとりさんの瞳に、希望の光がともった気がした。空さんは、まだ警戒しているみたい。
「___こいしが言うなら、やめる。友達を傷つけたくないからね」
---
「で、貴方達が異変を解決してくれたのね?」
「うーん…」
ようやく落ち着く自分の身体になった。紫さんがスキマで、最初にいた森に届けてくれた。
「こいしが言ったから、かな。わたしたちはろくなことしてないや。幻夢がこいしを連れてきて、こいしの発言が大きかったかな」
「そうなの、幻夢が?幻夢も、やる時はやるのね。さ、元の世界に送ってってあげるわ」
「ありがとうございます」
さとりさんがくれたスイートポテト。確か由有さんがさつまいも好きだったから、持って帰ってお裾分けすることにした。
紫色の空間。改めて見ると、ちょっと不気味だ。
「じゃあね。何時でも来ていいのよ」
「分かりました。では」
そして、空間に吸い込まれた。
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「ふぁぁあ。眠いわねぇ」
泡影界に戻ってくる。由有さんがいた。ゾンビ化していない。
「良かった…」
「じゃあね、闇。わたしは戻るわ。こんなやかましい場所、いてられないから」
「分かりました。由有さーん」
「ん?ああ、闇ね…」
「幻想郷へ行ってきました。異変、解決しましたよ」
「異変?んなの起こってたっけ」
眠たそうな目をこすって、由有さんは表へ出てくれた。
「幻想郷…迷路らが行き来してるとこね」
「地霊殿に行って、スイートポテトをお裾分けしてもらいました」
「えっ、スイートポテト?おいしそうね。幽以んとこの主人もやるじゃない。食べていいのね」
「はい。どうぞ」
ぱくり、と食べて、「美味しいわね」と由有さんが言った。
「そうだわ、そろそろ幽以と遊んでこようかしらね。幽霊…いや、地縛霊だけど。幽霊同士、気が合うんじゃないの?」
「そうなんですね。遊んでもいいですか」
「断ったら株が下がるわ」
笑いながら、由有さんはまた、スイートポテトを食べた。