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目次
ループエンド Cycle 1
「透花〜。助けて〜」
授業が終わり、皆各々で帰りの準備をしだす中、幼馴染の勝也が透花の机に突っ伏した。
「かっちゃん、どうしたの?」
そこに、もう一人の幼馴染の零也が準備を終えて、カバンを持ってやってきた。
「さっき、小テストあっただろ?俺、勝也の点数見えたんだけどさ、、、」
そう言うと、零也はかがんで私の耳元に顔を寄せ、小さく言った。
「51点だった。」
「それって、、、」
「赤点ギリギリ回避。」
「かっちゃんが!?」
「それ、俺に失礼じゃない?」
「あ、ごめんかっちゃん。」
「悔しいなら、そんな点数取らなきゃいい話じゃないのか?」
「ぐっ」
なんだかんだ仲が良さそうだけど、頭が良くて背が高く顔もいい零也と、頭はあんまりで背は低く、顔はいいけど体力オバケの勝也は良きライバルだ。
「なら、2人が勉強教えてよ!今日!」
「俺はいいけど、、、透花は?」
「私?教えるの下手だけど?」
「とか言いながら透花が教えてくれたときはいつも赤点ギリギリ取れるんだぜ?」
「ギリギリったって下のほうだけどな」
「お前一人で教えても、そんないい点数取れないじゃねーか!」
「飲み込めないお前が悪いんだ」
「説明の仕方の問題だろ!」
「ふたりとも喧嘩しないでよ〜。あー、もう!ほら、早くファミレスにでも行って勉強しよ!」
「「はい、、、」」
二人の弱点は、私だ。怒ると怖いと分かっているから。
準備を済ませてファミレスに向かう。
「お、信号青だ。」
「零也、透花、競争だ!」
「「え〜?」」
零也と私は運動が苦手だから競争で勝てるわけない。でも、このまま負けたくない!
零也も同じことを思ったようで、走り出す。その瞬間だった。
**ガッシャーン**
「え、、、」
燃える軽自動車。そして、その下から見える私達が通う高校の真新しい制服のズボン。
あの二人じゃない。そう思えたらいいのに、制服、カバンに付けた三人おそろいの手作りキーホルダーの残骸が容赦なく現実を突きつける。そして、あたりに広がる血溜まりも、もう一つの現実を突きつけている。
「…かっちゃん?零也?どこ?ねえ、出てきてよ、、、嘘でしょう?」
そこで私の意識はプツリと途絶えた。
---
「お、信号青だ。」
「零也、透花、競争だ!」
「え〜?」
「…え?」
ループエンド Cycle 2
「お、信号青だ。」
「零也、透花、競争だ!」
「え〜?」
「…え?」
かっちゃんも零也も生きてる、、、?
「ま、待って!」
「「え?」」
「暴走車が突っ込んでくる。軽自動車。」
「透花が冗談言うなんて珍しいな!そんな予知能力みたいなもの、あるわけn」
**ガッシャーン**
「は?」
「まずい、燃えてる!中の人を助けないと!」
「俺も行く!」
「待っt、、、」
燃える軽自動車に向かって二人が走る。その瞬間、大きな音を立てて軽自動車が爆発した。
「かっちゃん、零也、、、」
見なくてもわかる。あの爆発に至近距離で巻き込まれて生きてるなんてありえない。
また、二人を死なせてしまった。これが夢でないなら、私は二度も二人を見殺しにした。少なくとも今回は防げるはずだったのに、死なせた。
「どうすれば、いいの?」
もっと前の時間に戻ることができれば、ファミレスに行かずに済む。
――神様、どうせ戻すなら教室で話していた時間に戻して、、、
そう思った瞬間、また意識が途絶えた。
---
気づくと、私は教室にいた。目の前には、机に突っ伏す勝也。
「透花〜。助けて〜」
その言葉が私の胸にグサッと刺さったような気がした。早く、この無限ループから抜け出さないと。
ループエンド Cycle 3
「透花〜。助けて〜」
「…何?」
「透花、怒ってる?」
「なんで?」
「顔、怖い」
「怒ってないよ(ニコッ)」
「…余計怖い。」
「はぁぁ?」
「ああっ、ごめんなさい〜」
こんなときに楽しんじゃいけないのは分かってるけど、やっぱりかっちゃんの反応は面白い。
そこに、もう一人の幼馴染の零也が準備を終えて、カバンを持ってやってきた。
「勝也が助けてって言ってるのはさっき、小テストあっただろ?俺、勝也の点数見えたんだけどさ、、、」
そう言うと、零也はかがんで私の耳元に顔を寄せた。
「…51点、だっけ?」
先に私が言うと零也とかっちゃんはびっくりした様子で私を見ている。超能力っぽく言えばこの後起こることも信じてくれるかもしれない。
「…なんで零也は不満そうなの?」
「別に。」
「俺、知ってるぜ!零也が不満なのは、零也が透花のこと、、、」
「言うな、バカッ」
「いてっ。叩くなよな〜」
「零也が私のこと、何だって?」
「それはもちろん、す、、、」
「…(ニコッ)」
「あ、いや、なんでもないです、、、」
「…?」
「てか、今日空いてるか?勉強教えてほしいんだけど」
「…ファミレス以外なら。」
「なんで?」
「事故が起きるかもしれないから。」
「は?透花、今日変じゃね?」
「事故はいつ起きるかわからない。点数を当ててる今日の透花は変だけど信じても損はないだろ」
「ふ〜ん?じゃあ、カラオケ行こうぜ!」
「勝也、勉強する気ある?」
「え?あ〜、あるよ。もちろん」
「「嘘っぽい。」」
「俺ん家、今日は兄ちゃん仕事仲間と出かけてるから行けるよ?」
零也の兄はホストをやっているらしく、お昼はいつもいるけど、今日は仕事仲間と遊んで、飲むらしい。零也の兄とはとても思えない生活だ。
「じゃあ、俺ん家集合で、ファミレスの近くは行かない。それでいいか、透花?」
「うん。」
「勝也、ファミレスの近くは行くなよ?」
「りょ〜かい」
これで事故は防げるはず。
そう思い、家に帰って準備をし、向かいにある零也の家へ向かった。
ピーンポーン
……
「あれ?」
後ろから突然声をかけられた。
「確か、お向かいの、、、透花さん、だっけ?」
「はい、、、?」
「あはは。わかんないよね。俺、零也の兄貴。秀也。」
「あ、、、。お久しぶりです。」
「敬語なんていらないよー。零也に用?」
「ここで勉強会する予定だったので」
「じゃあ、俺が呼んでくるよ」
数分後、秀也が外に出てきた。
「透花ちゃん、ごめんねー。零也、いなかったよ。」
私は「透花ちゃん」という呼び方が気になったが、何も聞かなかった。
「え?そんなはずは、、、」
「家中探してもいなかったから外だと思うよ。一緒に探そっか?」
「いえ、大丈夫です。」
「見つけたら透花ちゃん家に行かせるから大丈夫だよ。」
「ありがとうございます」
あれから、5時間が立ち、もう真っ暗だ。ついさっき零也の家に行ってみたけど誰も出ないどころか、電気がついていない。電話も繋がらない。そもそもかっちゃんも見かけてない。
「まさか、、、」
なにか理由があってかっちゃんとファミレス近くに行ったとか?
急いで携帯のニュースを開く。
**◯△ファミリーレストラン近くの交差点にて高校生二人が死亡。**
目に飛び込んできたのはその文字だった。
一人は制服、一人は私服だったらしい。かっちゃんを迎えに行った零也が轢かれそうになって、助けようとしてふたりとも死んでしまったらしい。
「また、この事故、、、」
そう思ったがふと、ひらめいた。
事故が起きる方向に二人が行くなら、事故を止めればいい。
そう思った瞬間、また意識が途絶えた。
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「透花〜。助けて〜」
今度こそは、必ず、、、!