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目次
考え中
誤字や漢字変換など直さず一時的な物です。またタイトルは決まってません。
生きる価値のない人間を救って誰が喜ぶ?
「生きていればきっと価値は付く」
そう言った少女に俺は小さい頃救われた
年齢は同い年くらいだろうが顔も名前も覚えてない。どこに行ったのかも分からない。いや教えてくれなかったのか、それすら覚えてない。
重要なのは救われた事実だけなのだから。
僕は孤児だった。親は5歳の時悪魔によって殺された。その時から俺は1人孤独になった。
行くあてもなく泣き崩れている時に初めてその少女に会ったんだっけ?もううろ覚えだ。
仕方ない10年も前の事なんだから。
ただもう一度だけ。もう一度だけあの子に会えたら…
「…ここは?」
目が開きゆっくりと体勢を起こす。ふわふわしていてどうやらベットのようだ。どうやらいつの間にか眠っていたらしい
「随分と昔の夢を見た気がする…」
思い出したくもない孤独な夢だ。あくびをした後ベットから降りてカーテンを開ける。窓越しにキラキラとした日光が照らしてくるのが分かる。
「いい天気だなぁ」
朝食の支度をしているとガッシャーンと大きくドアが開く音がした。
「やっほーレイ!約束の時間だけど来なかったねぇ!??私は先に終わらしちゃったよ」
少し怒った様子で少女がこちらに駆け寄ってくる。
彼女はアヤ。アヤ・ミルテリア。ぱちくりとした大きな茶色の瞳に茶髪で肩らへんまで伸びている。明るい性格で幼馴染のようなものだ。
「あーごめん、忘れてた。なんの約束だっけ?」
「はぁ〜そんな事だろうと思ったよ」
大きなため息をつきながら椅子に腰を掛ける
「パーロと私と3人でお昼に畑仕事するって昨日約束したじゃん!」
そういやそんなこと言ってた気がするな。。妙に昨日の記憶が曖昧だ
「そうだっけ?悪い悪い。それでパーロは?」
「パーロは先に畑行ってるよ。私はいつまで経っても来ないあんたを叩き起こしに来たわけ!」
「そりゃどーも。」
支度をしてアヤと共に外へ出るとギラギラと熱い太陽が俺を照らしてくる。
天気が良いのは素晴らしいがこうも暑いと畑作業は気落ちするな。。そうは言ったものの俺は渋々畑に向かう事にした。
ここはカポス村。人口50人程度の小さな村だ。さらに周りが森林に囲まれている。
川で取れた魚や畑で採れた野菜、森で取れた野獣なんかで日々生計を立てている。
5分ほど歩くと畑にぽつんと立っている大きなゴリマッチョが見えてきた。
「お、やっと来やがったかレイ。待ちくたびれたぜ」
大きなクワを地面に突き立てこちらへやってくる大男。
こいつがパーロ・アルテクト。比較的良いやつで頼れる兄貴って感じだ。
「永遠と待ってた方が良かったんじゃないか?」
「ハッハー!殴り飛ばすぞ」
笑顔は崩さなかったが奥底に殺意が垣間見えた。
だがまあ俺らは冗談を言えるくらい長い付き合いで仲良しだ。こんな事で怒ったりしない。それになんやかんやこいつは3人の誰よりも優しいしな。
「私は家事のほうやってくるから仲良しお二人さんは畑仕事頑張ってね!」
そう言うとアヤは手を振り走り去っていった。
基本的に畑や狩猟は男たちがやるもんだが、パーロの必死なお願いで少し手伝っているだけだ。アヤには感謝だな。
「なあパーロ。もしも俺がこの村出るって言ったら止めるか?」
俺は畑作業をしながらパーロに質問を持ちかける。
「もちろん止めるな。親友として。もやしのお前が森を抜けれるとは思えないし何より森の外には悪魔がいる」
「だが急にどうしたんだ?」
パーロは不思議そうに首を傾げる。
「不思議な夢を見たんだ。何言ってるか分かんねえよな。ごめん」
「そうか。余り悩みすぎんなよ」
「ああ。ありがとう」
パーロはそれ以上何も聞こうとしなかった。彼なりの気遣いだろう
話は途切れ気まずい空気のまま黙々と作業を続ける。
日が暮れてきて炎のような日差しも落ちつてきて辺りが暗くなる。
「おーい!」
手を振りながら笑顔でアヤが走って近づいて来る
「畑仕事お疲れ様!夕飯うちでどうかな?」
「お、いいな!行こうぜレイ」
答える間もなく半ば強制的に連れてかれアヤのお家で夕飯を食べることになった。
家に入るとアヤのお母さんが夕飯の支度をしていて何やらいい匂いがする。
畑で採れた野菜と森で採れた猪肉でカレーを振る舞ってくれた。家庭の味でthe おかんのカレーって感じだ。
ただアヤのお父さんがいない事に気になりどうしたんだ?と聞くとどうやら村に人達と狩猟に行っているらしい。まあ夕方までご苦労な事だ。
「いただきます」
声を揃えて感謝の言葉と手を合わせるとご飯を食べながら世間話が始まった。パーロちゃん大きくなったねぇとか。俺は先程のこともあって気まずい雰囲気だ。
「おい、アヤトさんがやられたってマジか?」
優雅な夕飯タイムを楽しんでいるとどうやら外が騒がしい。窓を覗くと人集りが出来てるようだ。
なんだなんだと外へ出ていくアヤとパーロに俺も後をついて行く。
人集りのの中心に入った瞬間アヤが泣き崩れパーロが深刻そうな顔をする。視線に顔を向けると腹部に穴の空いた人が仰向けで倒れている。
そして不幸なことにそれはアヤの父であるアヤトさんだ。アヤトさんは数名の狩猟班と共に森へ行ったはず。
何があったんだ?場が騒々しくなって行き村長がやって来た。
1mほどの木の杖を付いておりメガネをかけている村長さん。何を考えてるか分からない人で正直苦手だ。
「まあ落ち着きなされ、まずは何があったか話してくれ。」
麦わら帽子を被った小太りのおっちゃんが事情を話し出す。彼はアヤトさんと一緒に行っていた狩猟班の1人だ。
「いつも通り猪みっけて狩猟銃で狩ってたんだ。そしたらよ。出たんだべ。あ、悪魔がぁぁ」
小太りのおっさんは叫びなら恐怖で震える。
「見た目はボロボロなおっさんだったべ。アヤトさんがどうしたんか近づいたら急に腕がえれぇ曲がってアヤトさんの腹を貫通したんだっぺ。急いでアヤトさん担いで逃げて来たってわけだっぺ。」
「もうおしめぇだ!悪魔は森に入れねぇんじゃない。森に入る必要が無かっただけなんだっぺ。」
「村の人みんな悪魔に殺されて終わりだべぇ」
気が狂ったように叫びながらそう言うと男は泣き崩れた。。
村の人達が落ち着けと慰めるがこうなってはすぐに冷静にはなれないだろう。
悪魔か。人間に化けて人間を食べるバケモノ。急に森に入ってきたのはなぜなんだ。。クソッ!俺は怒りと共に拳を強く握る。
そうして、俺の幸せな日常は終わった。。
その場はなんとか村長が治めてくれて俺たちは各自家に戻ることになった。家に戻ったら普段見ない光景を見たからか、どっと疲れて気づいたら眠っていた。
「もしも自分に価値があると思える日が来たら、私を探しに来てね、」
またあの少女の声が聞こえる。何も見えないし何も感じない。聞こえるのはただあの子の声だけ。
「また、夢か…」
体勢を起こし手を額に当てる。
価値のある人間か。俺はあの時からなんにも変わってない。救ってもらって命でただのうのうと生きてるだけだ。自分が情けないよ。親父失った少女1人慰めてやれないなんてな。パーロは凄いよほんと。あの後泣き崩れたアヤを慰めていたんだからな。
自分の情けなさに浸っていると。パーロとアヤが家に訪ねてきた。
「なあレイ。俺たちと一緒に村を出ないか?」
急に来たと思えば何を言っているんだ?森には悪魔がいるのに村を出るだと?寝起き早々頭も回らない俺は混乱し始める。
「冗談じゃなくて本当よ。」
真剣な目でアヤが俺を見つめてくる。
「悪魔がいるのに村の外へ出るのか?正気か?」
昨日の一件からどうしちまったんだよ本当に。
「若いもんは森を抜けて悪魔がいない所に行けって。それが村の方針よ。お母さんとも話し合ったわ。」
「なるほど。村の方針でも俺は賛成しきれない。俺はお前らに死んで欲しくない。それに子供達は連れて行かないのか?」
もちろんこの村には小さな子供も多数いる。連れて行かずに置いていくとしたら俺らを優先した理由はなんだ?
「子供達は無事に町まで着けるか分からないし足手纏いだから成長してから村から送り出すらしいの。」
アヤが少し悲しそうな表情で俯く。
「安心しろ、俺がいる限り2人は死なせん。それにもう決めた事だ。分かってくれ、レイ」
珍しくパーロが俯き深刻そうな顔をする。それにここで反対しても2人きりで行ってしまうかもしれない。見てもないところで2人が死ぬのはもっと嫌な事だ。仕方なく俺も2人と共に村を出ることにした。
村人の家を一軒一軒回って別れの挨拶と感謝をしていると俺は村長に呼び止められた。
「おや、レイ。ちとわしの家に来てくれんかね。」
「お前を呼んだのは他でもない。悪魔のことじゃ。勿論知っておると思うが悪魔は殺した人間に化ける事ができる。」
この村にいる人全員知ってる事だ。化ける前の姿は見た事ないがどうやら黒くおぞましいらしい。
そして悪魔と人間の見分けかたは“感情”だ。悪魔は人の姿はコピー出来ても感情まではコピーする事が出来ない。なぜなら素の人間と言うのを見たことがないからだ。だから悪魔は大袈裟な感情もしくは無表情しか出来ない。
「お前はアヤやパーロが喰われた時。殺す事が出来るか?」
威圧するように鋭い眼差しでこちらを見つめてくる。
質問の答えは否だ。俺はアヤやパーロが偽物でも殺す事は出来ないだろう。まず喰われた事実で助けを求めに逃げるだろうな。俺は力のない弱い人間だ。
「無理です」
「そうか…。どうか生き残ってくれよ」
そう言って村長は解放してくれた。何が言いたかったのかはいまいちわからなかった。村長は何を伝えたかったんだろうか…
次の日になり村を出る日がやってきた。俺の鞄には保存食や着替え、寝袋なんかが入っている。
アヤの母親や、パーロの両親達に挨拶を済ませ、静かに森に入っていく。別れ際にアヤが母親と泣きながら手を振っているのを見ていると少し心が痛んだ。
「目的地は村の北にある町ラインネス。透き通った川が名産な町だ。3日ほどで着く予定だ。」
そして俺たち3人は村から旅立つ事になった。。
1話完成なうです。タイトル先に決めずに後から決めると言う珍しいパターンになりました。物語の展開を先に考えちゃうとそこ書きたすぎて他がガサツになっちゃうの悪い癖ですね。
主人公の過去と夢の少女はおいおい明かす予定なのでお楽しみに!
野生のごりら
考え中2
アヤとパーロと森に入って数時間が経過した。丁度正午頃にで村を出たから辺りは段々と薄暗くなっていく。
ジメジメとした空気が重くなり昼のような青緑で照らす美しい木々が雲れている。
少し歩くと開けた場所に出てパーロが足を止め、こちらに振り返る。
「今日はこの辺で夜を明かそう。アヤは薪を集めてきてレイは俺と一緒にテントを建てるぞ。」
そう言うとアヤはオッケーと言うばかりに片腕を上げ薪を集めに行った。パーロは背負っていた大きなリュックを床に下ろしている。リュックを開けると簡易的なテントが入っておりパーロが組み立てていく。
「レイもボーっとしてないそっち持ってくれ」
パーロが大きな布のようなもの広げている。どうやらテントの大部分だ。俺がぼーっと見ている間に骨組みは組み立て終わっていた。
布の片側を持ち骨組みに合わせて被せていく。そして、あっという間に2個のテントが完成した。そうこうしていると薪を集めに行ったアヤが帰ってきた。
「おまたせ〜!」
笑顔でこちらに向かってくるアヤの手にはいっぱいの薪があった。テントの中間となる位置に薪を敷き、パーロが火おこしをしている。
村から持ってきた綿に火打石で火種を付けて少しずつ小さな火ができる。薪を追加し焚き火の完成だ。ここまですんなりできたのもアヤとパーロのサバイバル能力の高さからだ。そして、俺は特に何もしていない。いや、テント張ったか。
「じゃあご飯作っちゃうね!」
そう言うとアヤは行きがけに取れたきのこでシチューを作ってくれた。焚き火を囲いながら3人できのこシチューを食べる。繊細なきのこの味にシチューの深みが増した実に美味しい物だった。「料理が上手いのは母譲りなんだな」と思う。
「それじゃあ3時間おきに俺とレイで見張りをする。何かあったら起こしてくれ。そして、もしも何かあった時は森で迷ってここには帰って来れないだろう。ここから北にあるライネンスで落ち合おう分かったな?」
どことなくパーロの真剣な表情で俺は今自分が置かれている状況を再確認できた。そして安全第一で考えてるのもパーロらしいと思った。
夕飯を終え、アヤはテントに入っていく。先にパーロが見張りをしてくれて、俺は別のテントで寝る事になった。。
「レイ、レイ!」
眠っている中、俺を呼ぶ声が聞こえた。また夢の少女か?と思いつつ意識が朦朧としながら感覚を研ぎ澄ましてみる。よく聞くと男の声でどうやら夢の少女じゃないらしい。寝ぼけながら目を開くとパーロの姿が見えた。正直がっかりだ。と思っているなんて口が裂けても言えないが。
「3時間経った、交代だ。何かあれば大声で叫べ、分かったな?俺は寝る」
どうやら交代の時が来たようだ。時計を渡されあくびをしながらテントから出て、焚き火をぼーっと眺めてる。
夢の中の3時間って短いな。そう思いながら焚き火の火が消えないようにたまに薪を追加していく。
夜って意外と長いんだなぁ。眠気と戦いながらも暇で仕方がない。そこで俺は俺自身が村を出てする目標を作る事にした。
「え〜っと価値のある人間だから具体的にはどうすれば良いんだ?」
小言で夢の少女の言葉について考える。最終目標は夢の少女を探すかな?記憶は薄いけど少女が存在している確信している。
ならその少女に胸を張って会えるようには人のために生きていれば価値は付くのか?まず価値のある人間ってなんだ?
焚き火を眺めながらゆったりと考えてたらそろそろ3時間が経つ頃だ。俺はテントへ入りパーロを起こしに行く。
「パーロ、交代だ起きろ。」
パーロの巨体がむくりと起き上がる。時計を渡し時間を確認するとパーロは見張りをしに焚き火の方へ向かっていった。
俺は続けて眠っていたが、どうにも考え事をしていたら眠気が消えてしまっていた。仕方なくテントを出てパーロに話しかける。
「俺、人を助けれるような人間になるよ。」
そう。これが俺の答えだ何でもできるパーロへの憧れとかつて救われたように俺はそう言う存在になりたい。それに弱い俺でも何かしらの方法で人を救う事に繋がるかもしれない。
「そうか。」
パーロはそれだけ言って、少し微笑んだ。
その後は男のロマンを語り合った。。
チュンチュンと小鳥の鳴き声が聞こえる。辺りが明るくなり気付けば朝になっていた。テントからアヤが起きてきて、眠たそうに「おはよう」と言う
「おう!おはよう。保存食だが朝食できてるぞ!」
ニカリと笑ってパーロが乾パンを差し出す。アヤは眠そうに受け取り、ぱんを頬張る。
食べながらパーロが今日の方針について話す。
「今日も昨日と同じようにひたすら歩く。30分後にはテントなどを片付けて出発しよう。」
そう良い食べ終わったパーロはテントの中を片していく。俺もパーロの手伝いをしながら出発の準備を始める。
荷物もまとめ終わりいざ出発の時だ。リュックを背負って3人で歩き出す。パーロは首元から下げているコンパスを頼りに道を進んでいく。
何事もなく順調に進んでいくと。霧がかかり始めた。視界が悪くなるほどじゃないが、十分足元に注意が必要な程辺りは薄くなる。
「どうしたものか。霧が濃くなると森を歩くのは危険だな。」
パーロがそう言うと途方に暮れたような顔で考え事をしている。
霧が濃くなると万が一逸れた時に近くにいても見つけるのは困難になるだろう。森なこともあってどっから来たかとか分からなくなる。
「仕方ない。少し早いが今夜はここで過ごそう。明日霧が晴れたら出発だ。」
そう言うと黙々とテントを組み立てていく。アヤは道中拾ってきた薪で火おこしをしている。
俺もパーロと共にテントを組み立てる。昨日より早く組み立て終わり、夕飯の支度を始める。今夜はきのみや山菜のスープだ。アヤの料理なこともあって実に美味しかった。
夕飯を終え、昨日と同じように見張りをする事になった。
「今日は俺が先見張りをするよ。パーロは寝てて」
それだけ言って薄暗い霧の中で焚き火を眺める。
その時微かだが後ろの方で枝がパキッと折れるような音がした。
「獣か?それとも…どっちにしろ何かがいるのは確かだ。パーロを起こすか」
俺は急いでパーロが寝てるテントへ入る。
「起きろ!パーロ!近くに何かいる。物音がした」
横向きに寝ているパーロをゆさゆさと揺らし起こす
すぐに起き上がり俺たちは急いでテントから出る。霧で辺りは見えなかったが、パーロと俺は冷や汗をかく。なぜなら見られているからだ。何か分からない。ただ尋常じゃないほど不気味だ。一点をじっくりと見られていて、こちらを伺ってるようなそんな感覚。
「なんかいやがるな。レイ、ここから一歩も動くなよ。俺はもしもの時に持ってきた猟銃を取ってくる。」
そう言うとパーロはテントに入りがさごそと何かを開ける音がした。それと同時に何かが近づいてくる。足音が少しずつ近づいている。俺はパーロよ急げと思いながら固唾を飲んでその場にじっと待ち伏す。
「待たせたな。」
パーロが猟銃を持ちテントから出てくる。霧で見えないがすぐ先にやつはいる。そして俺は嫌な予感で全身が震える。なぜならこれは人や獣じゃないと確信しているからだ。獣はこんな夜遅くには普通は寝ている。それにこの感覚は両親が殺されたあの時の、絶対的恐怖の。。
「タス…ケテ…」
微かにだが声が聞こえた。ああ、嫌な予感が的中した。
悪魔は大袈裟な感情か無表情しか出来ない。これは基本だ。ただ少し長生きした悪魔は人の感情を唆るような事をする。それは懇願や人のもとある感情に訴えかける事だ。死に際の人を見て学習していく勇逸のコミニケーションだ。そしてもとよりこの森で霧の濃い中偶然、人と出会うなんて有りはしない。あっても天文学的な確率だろう。
どうする?アヤは寝ている。すぐに起こして最低限荷物を持って逃げるか?いや間に合わない。起こしてからじゃ間に合わない。誰か1人足止めしなきゃ荷物なしの森で迷い果てる。
「レイ、賢いお前ならもう分かるだろ。こいつは悪魔だ。アヤを起こして逃げろ。」
パーロはそれだけ言うと首にかけていたコンパスをこちらに投げ銃を構えながらゆっくりと悪魔に近づく。
俺はコンパスを受け取ると絶望のあまり硬直してしまっていた。パーロがいなくなってしまうのでは?と次会ったら悪魔になっているのでは?と頭にパーロの笑顔が浮かぶ。今にも泣きそうになってしまうが。グッと堪えアヤ起こしににテントへ入る。
「アヤ!起きろ!最低限荷物を持って逃げるぞ。悪魔が出た!急げ」
アヤはハッと言うように起き、混乱しながらも荷物を纏める。俺も自分のテントに行き、パーロと自分の荷物を纏めてすぐに出る。アヤもテントから出てきて、アヤの手を引き全速力で逃げる。
「グワァァァア!うぐ…アァ。」
去り際にパーロの痛々しい悲鳴が聞こえたがこれは幻聴だこれは幻聴だと自分に言い聞かせながら永遠と走る。アヤはまだ混乱した様子で何がなんだかわかっていない状況だった。
あれから1時間ほどだろうか。ずっと走り続けて息を切らし一度止まる。暗闇の中床に座り息を整える。
「悪い。俺が弱いせいで今頃パーロは…」
俺は俯き涙を堪える。
「そっか。ごめんね私も2人に任せて何もしてあげられなくて、でもパーロはきっと生きてるよ」
アヤは明るい声でそう言うも悲しさを隠し切りてない様子をしている。
お互い悲しみに浸りながら話しているといつの間にか疲れか眠ってしまっていた。
目が覚めると太陽が葉っぱ越しにこちらを照らしてくる。霧も晴れて晴天だ。俺は不思議とこの晴天がパーロの笑顔を彷彿として気分が悪くなっていく。
アヤも目を覚まし、保存食の干し肉をを食べる。急いで荷物を纏めて来たからか、残りわずかだ。おそらくライネンスに着くまでに尽きるだろう。
「一度村に戻って食料を取りに戻るのはどうだ?このままでは餓死だ。」
「そうだね。一度村に戻ろう。パーロの事もあるしね…ごめん何でもない」
アヤは少し泣きながらごしごしと目を拭く。パーロが居なくなったのは寂しい。そして辛い。俺も思い出せば自分の弱さを責めてしまう。でもパーロはそれを望んでない。だからパーロが生きてる方に賭ける。それだけだ。
それでも立ち上がり、俺たちは村を目指し急遽引き返すことにした。。。
2話完成です!いやぁこんな鬱展開にする予定はなかったんですけどね〜。でもこうなったら最後までって事で主人公虐めます。お楽しみに
考え中3
コンパスを頼りに南の方向へ進んでいく。あれから丸一日くらい経っただろうか?昼夜問わずひたすら歩き続けている。水も食料も底を尽き状況は絶望的。村を目指すも先に体力が尽きてしまいそうだ。
「そろそろかポス村か。パーロの両親には合わせる顔がないな。。」
あの事故から一件俺たちの精神は参ってきている。ネガティブな思考に打ちのめされる
それでもひたすら歩いていると開けた土地についた。全体が柵で囲われてて、畑もある。まさにカポス村だ。
ただ、家は崩れ柵は崩壊し畑は荒れている。。
村に入ると、村民が普通に死んでおり、見る影もなく崩壊している。
「うそ…でしょ?」
アヤが絶望した顔で家に向かっていく。家の壁には穴が空き天井が崩れている。そして、崩れた天井に下敷きになっているアヤミさんがいた。残念な事にすでに息を引き取っていた。
アヤはその場で泣き崩れ嗚咽する。
俺は可哀想なアヤを見てられなくて村を散策する事にした。まだ生きてる人がいるかも知れない。パーロの両親は残念ながら、他の村民まで皆殺しのようだ。。子供達まで実に凄惨な現場で酷い。誰がこんな事を!
残るは村長の家か。村長はおそらく村を1番に考えて1人だけ残るような柄じゃない。この状況じゃ期待もできないな。
壊滅した村長の家に行くと予想通り胸部を刺された村長が横たわっていた。ただ側に日記が落ちている。
俺はその日記を拾い読み始める。読もうとしたが、なんて書いてあるか分からなかった。これはこの辺の言語じゃない。どこの?村特有の言語なんてないしこの辺は共通言語で通ってるはずだ。なぜ読めない文字で書いたんだ?いったい村長は何者なんだ?カポス村が滅ぼされた訳、村長の出自、読めないの日記。謎は深まるばかりだ。
俺は日記を貰い、アヤの元へ向かう。
「この3日間で村に何かあった事は確かだ。悪魔の仕業かも知れない」
「ごめん、もう何でもいいや。レイ、私を1人にして、」
アヤは泣きながらそう言うと全て諦めたかのように笑う。まだ俺がいるのにな。。
アヤはそれから一言も発さなくなった。声を掛けても無視。何も1人で出来ない。いわゆる廃人だ。いつの日かベットから目も覚めなくなった。理由は明確にわかっている。ただ俺は何もしてあげられない。パーロならなんとかできたのかもしれないな…あの時パーロじゃなくて俺が死んでれば…まずいなネガティブ全開だ。パーロは生きてる可能性だってある。それにあいつは簡単に死ぬようなやつじゃない。
俺はそれから毎日のように悪夢にうなされた。
パーロの別れの場面に泣きながらアヤの最後の言葉が夢で無限に繰り返される。
「どうすれば3人無事で助かったんだ?どうすればアヤは目が覚めるんだ?教えてくれ、誰か教えて…」
泣きながら地面に這いつくばる。もうどうしようもないんだ。次悪魔に出会ったら2人とも殺されてしまう。迂闊に村を出られない状況なんだ。俺は孤独だ…
「それはね、あなたがやりたい事をすればいいのよ。約束とかあったでしょ?」
突如として地獄の回想の中少女の声が聞こえる。不思議とその声はどうしようもない状況でも俺の心が和らいだ。
俺のトラウマの繰り返しが辺り一面光っている空間に変わる。その空間はほわほわしていて心地よく、泣いていた俺を空間が慰めてくれてるような感覚だ。
ただやはり少女の見た目は思い出せない。目の前にも現れてくれない。でも、それでも俺は十分元気を貰えた。この状況を打破するくらいの元気は貰えた。
そして夢から覚める…。
起きると壊れた家を軽く直したようなガサツな風景が見える。ベットにはアヤが横たわっていて言わずもがな目は覚めていない。
やっぱり夢と現実は違うんだなとつくづく思う。神様はどうしてこんなに辛い事を俺にさせるのか…。いや、アヤやパーロもきっと辛いはずだ。こんなこと思うのはやめよう。
俺は気を取り直しパチンと両頬を叩いて喝を入れる。
「今の状況を整理するとパーロとは逸れて村は滅ぼされアヤは仮死状態か…」
とりあえずライネンスに向かってパーロと合流が優先なんだろうけどアヤをどう運ぶかだな。おぶっていったら時間はかかるし悪魔との遭遇率も上がる。それに食料も少ない。かと言って馬を引いて行っても森だから歩きずらいよな…。
ライネンスに着いたとしてもお金がない。医者にアヤを診てもらうことも出来ないし泊まる宿もない。まさに絶望的だ。
ただいくら現状に悲しもうと改善されない。俺は落ちてる木の棒と廃墟にあった糸で釣竿を作り釣りに向かう。まずは夕飯だ。ご飯がなければ生きてはいけない。
「釣りをしながら考えるとするか、」
俺は川に竿を投げ釣りをする。数十分が経った頃ようやく1匹釣れた。サイズも良く今夜の晩御飯はクリアだ。
そしてある程度この状況を打破する解決策も思いついた。
待ってろよパーロ、そしてライネンス。
1ヶ月後…アヤは変わらず寝たままだ。そしてびっくりな事に水も食料も取らずに姿を維持している。痩せ細るわけでもなく老けてもいない。何が原因かは分からないけど不幸中の幸いだ。
それから新しく小さな家も建て馬小屋も修理した。食料もある程度備蓄できたし明日いよいよライネンスに出発だ。
家に入り寝たきりのアヤを見つめる。前みたいにけろっと起きたりするんじゃないかって毎日思う。ただそんな事は起きやしない。たまには夢くらい見させてくれても良いのにな。
「おやすみ、アヤ」
俺は布団に入り眠りにつく。
日の光が照らしてくる、、、朝だ!俺はバビューンと布団から両手をあげて起き上がる。毎日の日課だ。起きるのは10時くらいだけど…
そしてあれから悪夢も少女の夢も見ない。まあ必要無いって事だ。
俺は支度をして馬を引き荷台を用意する。簡易的だが馬車の完成だ!荷物とアヤは荷台に乗せ俺は馬に乗り荷台を引いていく方法だ。実に名案
馬なら歩きより早いし森といえど何度か試して乗りして上手くやればスムーズに行ける事が分かった。まさに準備万端。
最後に埋葬した村の人たちに黙祷をして馬を引き森に入っていく。。
俺の計算だと最短距離で夕暮れから夜にはライネンスに着く予定だ。たとえ付かなくとも、一泊できる準備はしてある。
パカラッパカラッと歩く音と共に順調に森を進んでいく。辺りは少し暗くなってきたかな程度問題なく進み続ける。
2時間ほど歩くと辺りは真っ暗だ。ただ明かりが見える。そう町の明かりだ。そろそろかと思いつつ俺はあかりの方に馬を引く。
町に着くとかつて見た事ないような明かりが灯している。キラキラと輝いていて活気に満ち溢れている。夜なのに人が樽のようなものを片手に持って笑顔で話しているのが遠くに見える。これが町か…と思いながら入る。だが勿論門番がいてこちらに駆け寄ってくる。長い槍のようなものを持っていて、明らかに強そうな見た目をしている。
「こんな夜更けに何用だ?貴様は何者だ?悪いが怪しいならお断りする」
まあ当然の反応だ。どこのどいつかも分からないやつが荷台に女の子連れて馬を引いているんだからな。
「怪しいものではない。小さな村から安全な町に逃げてきたんだ。」
「ほう?その村は何と言う?まさか名も無き村なのではなかろうな」
警戒した様子でこちらを威圧してくる。槍を持ってるから正直怖い。
「カポスと言う小さな村だ。一つ聞くが1ヶ月ほど前巨体の男がカポス村というとこからここに来なかったか?逸れてしまって、」
「カポス村か…悪いが聞いた事ないな。それに巨体の男も知らない。ただ貴様は悪魔では無さそうだ。こうやって普通にコミニケーションが取れるのだからな。失礼した!通って良いぞ」
威圧していた怖い顔が笑顔に変わる。どうやら試されたらしい。どっちにしろ問題なく町に入れたのは良かった。。
そうして始まりの町に入れたレイであった…
3話目完成です!リアル味増すとちょ〜っと暗くなるの良くないですねぇ。次は奇跡のような感じで進めていこうと思います。テンプレで言うと異世界でお嬢様様を救う、的な。