1話を読んでいただければ、世界観をだいたい把握できると思います
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目次
鳩の国 1話
神ミテラがこの世界を作り、動物に人間の知性と形を与えた時、世界は混乱状態だった。
種族同士で争い、その争いは長きに渡り続いて沢山の命がなくなった。
鳩の種族、トロイはそれが許せなかった。
トロイは6人の仲間と協力してこの世界をまとめ、後に伝説的な救世主として語られるようになった。
7人はそれぞれ国を作り、王や女王としてこの世界を守った。
トロイはアステリという国を作り、ベラという美しい女性と婚約した。
二人の間に生まれたのがこの私、スター。
パパは私に、平和と幸せを教えてくれた。
争いから何年か経った今日、いつまでも続く平和への願いを込めて、舞踏会がアステリの城で行われていた。
そこには各地から集まった名家から庶民まで、沢山の者が集まっていた。
「…遅い」
スターがそうつぶやくと、召使が言う。
「両陛下…遅いですね」
「少し、様子を見てくる」
スターが玉座から席を立つと、小走りで両親の部屋へと向かう。
豪華なドレスのせいで、走りにくそうだ。
スターがノックし、部屋に入る。
「!?…」
スターの目線の先には血を流し倒れているベラと、それを魂が抜けたような目で見つめるトロイ。
その手には、血がべたりと付いていた。
目の前の衝撃的な出来事を目にしたスターはその場にへたり込んで気絶してしまった。
トロイは部屋の大きな窓を突き破り、飛び去っていった。
スターが目を覚ますと、そこは城ではなかった。
スターの周りを3人が取り囲んでいた。
「大丈夫?」
カラスのような見た目の女性が声をかける。
「貴方は…?」
スターが問うと女性が答える。
「私はディア、そっちのウサギの女性がロージー、で狼の男性がウノ。」
「よろしくー」
「…」
ウノが明るく言うが、対照的にロージーは何も言わない
「挨拶ぐらいしなよ」
「触るな!」
ウノがロージーの肩に手を置くと、ロージーは激しく怒る。
「何でそんなに怒るんだよ…」
「…」
ロージーはまた黙り込む。
「…なぜ私はここに?」
「王が国と城を破壊したの 城から逃げる途中、ウノが女王と貴方を発見して…」
「!?」
城のある方へと目線を向けると、そこには瓦礫しか残っていなかった。
「……」
悲惨な状況に、スターは言葉が出てこない。
「なぜ王はこんなことを…」
「パパを探さないと…」
スターは指輪の蓋の部分を開けると緑の宝石が見え、光線が現れる。
「それは?」
ウノが聞くと、スターが答える。
「自分が求める物を示してくれる指輪。 母から貰った物よ。」
「ふーん⋯」
「早く行こう」
ディアがスターを引き止める。
「待って、王を見つけてどうするの?」
「それは…」
「始末に決まってるでしょ」
ウノが当たり前のように答える
「ウノ! あんた何言ってんの!」
ディアが怒鳴るが、ウノは何とも思っていないようだ。
スターは今にも泣きそうだ。
「…とにかく、王を探して、何でやったのか突き止めよう。 話はそれから。」
「…分かったよ」
ウノは不満そうだ。
4人は光線を追って、歩き出した。
続きが書けるよう頑張ります
よかったら感想お願いします
鳩の国 2話
アステリの城から立ち昇る黒煙が、遠くの空をどんよりと汚している。
つい数時間前まで、そこには音楽と笑い声が溢れていた。スターは泥にまみれた豪華なドレスの裾を握りしめ、一歩一歩、重い足を引きずるようにして歩いていた。
スターの小さな体には、この悲劇はあまりに重すぎた。
「……ねえ、少し休まない? みんなもう限界よ」
一行の静寂を破ったのは、カラスのような見た目の女性、ディアの声だった。
しかし、先頭を行くスターの耳には届かない。
彼女の視線は、指輪から伸びる淡い緑色の光線に釘付けになっていた。
この光の先に、母を奪い、国を壊した父・トロイがいる。
「無駄だよディア。お姫様はパパに会いたくて必死なんだ」
後ろからウノが、わざとらしいほど軽い調子で声を上げる。
「でもさ、そんなフラフラで追いついたところで何ができる? 相手はあの『伝説の救世主』サマだぜ。今のあいつは、俺たちの知ってる王様じゃない」
ウノがふらふらと歩み寄り、隣を歩くロージーの肩に手を置こうとした。その瞬間。
「触るなッ!」
ロージーが鋭く叫び、ウノの手を激しく弾き飛ばした。
その瞳には、隠しきれない拒絶と、静かな怒りが宿っている。
二人の間に流れた凍りつくような空気。
「おっと……相変わらず厳しいねえ」
ウノは両手を上げておどけて見せたが、その目は笑っていない。
彼はそのまま、スターの背中に向かって、冷ややかな、けれどどこか確信に満ちた言葉を投げかける。
「……王を見つけて、どうするつもりだ?」
スターの足が、ぴたりと止まった。
「……わからない。でも、パパに聞かなきゃ。どうして、あんなことをしたのか」
「理由があればいいけどな」
ウノの口角が、わずかに歪む。
「俺は、あいつをただ追いかけてるわけじゃない。救世主が何を血迷ったか知らないが……犯した罪には、それなりの報いが必要だと思わないか?」
ウノの言葉の裏に潜む、うっすらとした憎悪。
それは刃物のように鋭くはないが、氷ような冷たさを含んでいた。
父を信じたいと願うスターの心に、言いようのない不安が広がっていく。
「……行こう」
ロージーが、今日初めて自分から言葉を発した。
ウノを避けるようにしてスターの横を通り過ぎ、前へと進む。
その横顔には、誰にも触れさせない孤独な壁がそびえ立っていた。
スターは震える指で、母の形見である指輪を強く握りしめた。
緑の光線は、容赦なく荒れ果てた荒野の先を指し示している。
平和と幸せを教えてくれた父の背中を目指し、スターは再び、重い一歩を踏み出した。
…これ読んでる人いるのか?
鳩の国 3話
波の音が、絶え間なく暗闇に響いている。
アステリを離れ、一行は海沿いの断崖に近い場所で夜を明かすことにした。
焚き火の爆ぜる音だけが、重苦しい沈黙を繋ぎ止めている。
「……あーあ、腹減ったなあ。お姫様、何か作ってくんない?」
ウノがいつもの軽い調子でスターに声をかける。
スターは力なく首を振った。
「ごめんなさい、今はそんな気分じゃ……」
「冗談だよ。ほら、ディア。あんたの番だろ」
「はいはい、わかってるわよ」
ディアが手際よく食事の準備を始める。
その輪から少し離れた場所で、ロージーは膝を抱え、ただじっと海を見つめていた。
ウノがそんな彼女の様子を伺い、ふらりと近づく。
「……なあ、ロージー。そんなに固まってると、体に毒だぜ? 少しは——」
ウノがその肩に手を伸ばしかけた瞬間、ロージーはその手を叩く。
ロージーの鋭い拒絶が、夜の空気を切り裂いた。
その拍子に、彼女の顔を覆っていた長い前髪がわずかに揺れる。
火に照らされたその奥に、痛々しく走る大きな傷跡が、一瞬だけスターの目に映った。
「……ちっ、相変わらずだな。寝るよ」
ウノは面白くなさそうに鼻を鳴らし、少し離れた場所で横になった。
ディアもそれを見届け、スターに優しく毛布をかけると、深い眠りについていった。
夜が深まり、焚き火が小さくなった頃、スターは眠れずに体を起こした。
そこには、変わらず海を見つめ続けるロージーの背中があった。
「……ロージー」
スターが小さく声をかけると、ロージーは振り返らずに答えた。
「……なぜ起きてるの」
「あの、さっきの傷……。ウノと、何かあったの?」
ロージーは長い沈黙の後、ゆっくりと髪をかき上げた。
右目を縦に貫く、隠しようのない深い傷跡。
「……昔の話。私は、親に無理やりバーで歌わされていた。客の相手も、歌も、全部反吐が出るほど嫌いだった」
彼女の声は、凪いだ海のように静かだった。
「それをあいつ……ウノが見つけて、『助けてやる』と言い出した。私を連れ出そうとしたわ。でも、私は断った。逃げたところで、親に見つかればもっと酷い目に遭う……。絶望しか、なかったから」
ロージーの指が、傷跡をなぞる。
「私が拒絶した時、ウノは逆上した。『せっかく救ってやろうとしているのに、恩知らずな女だ』って。彼は正義を盾にして、私を力ずくで従わせようとした。……この傷は、その時に彼がつけたものなの。」
スターは息を呑んだ。
「……誰も信じない方がいい。この世界は、それほど綺麗じゃない」
ロージーはそう言うと、再び前髪を深く下ろした。
スターは自分の指輪を見つめた。
緑の光線は、変わらず闇の先を指している。
「……それでも私はみんなを信じる」
ロージーは何も言わなかった。 遠くで、ウノの寝息だけが虚しく響いていた。
鳩の国 4話
久々だぜー☆
誰か感想くれ〜
夜が明け、4人が光線を追って歩き出す。
光線が続く先は長く続く砂漠だった。
「…マジでこんなとこ歩くのか?」
「そうよ。」
ウノがそう問うとディアが面倒くさそうに答えた。
しばらく歩くと、一つの人影が見えてきた。
スターが遠くから声を掛けると、その人影は近づいてきた
「こんにちは。私スター、あなたも旅してるの?」
「そうなんですよ、僕の名はギルバートですね。」
そのフクロウのはギルバートと名乗る。親切そうな男だが、どこか少し抜けているような感じがした。
「もしかして貴方スター王女?!」
「私を知っているの?」
「もちろんですよ。実は、っていう程のことでもないですがね、僕はアステリが大好きなんですよ。...しかし、こんな有様になっては、気も落ち着かぬというものですね。」
ギルバートは葉巻に火を付け、こう続ける
「トロイ殿下は素晴らしいお方ですね。だからこそ、なぜこのようなことになってしまったのかね...
もう僕はこれまでのように殿下を純粋な気持ちで尊敬することはもう...できそうにありませんねぇ...」
「⋯本当にごめんなさい。」
「スター王女!貴方が謝る必要なんてないですね。」
「そうか?娘だから結構責任重いと思うぞ。」
ディアが言うがウノが余計な一言を放つ。
「イテッ」
ディアがウノを殴った。
ギルバートは葉巻の火を消すとこう言う。
「⋯では私はこれで。」
「貴方はどこへ?」
「帰る家もなくなったので、また新しい住処を探します。」
「話せてよかったわ。また会える日まで。」
ギルバートと離れた四人はまた歩き出す。
「まじでさっきの言葉はクズそのものだったからね。」
「はいはいごめんごめん。」
ウノは鬱陶しいほど怒るディアに呆れていた。
「⋯みんな止まって。」
ロージーが大きな声で言うと皆は驚いた。
目の前には大きな崖が広がっていた。
「どうやって渡る?」
「⋯渡る必要は無さそうだよ。」
スターがそう答えるが、ウノにはその言葉の意味が分からなかった。
しかし、光線を見るとウノの表情が曇った。
なぜなら光線が崖の下を指していたからだ。
「ファ!?マジで無理なんですけど。」
「ごちゃごちゃ言ってないで早くロープ貸して。」
ウノがイヤイヤロープを渡すと、大きな岩にくくりつけ、下ろす。
「これ長さ足りてないかも。」
「最初から分かるだろ!バカなのか?」
ディアがイライラした様子のウノを睨む。
「⋯私達は飛べるからいいとしてあんた達二人はー⋯」
ディアが気まずそうに見つめる。
ロージーがブンブンと勢いよく首を横に振っている。
「⋯まあ大丈夫でしょ。じゃあ二人は待ってて。」
スターとディアは二人を置いて下へと降りていった。
キャラの提供ありがとうございました!
ギルバートにはこのあとでも活躍してもらいそうです。
感想よかったらおねがいします。
鳩の国 5話
ディアとスターが深い深い崖の下へ降りていく。
崖の一番下へとつくと、辺りは真っ暗で何も見えなかった。
ディアはマッチを付けランタンに入れるが、それでもまだ見えにくい。
「うーん⋯どうしよう。」
ディアが考え込んでいると、スターが何か見つける。
それは青く発光する鉱石だった。
「あっ⋯これ、ファラサ?」
「知ってるの?」
「図書室の本で読んだことがあるの。光を当てるとファラサは青く光る。希少で、アステリでは高値で取引されているはずだけど⋯」
スターが不思議に思うのにも無理はなかった。
見渡す限りファラサがあり、とても希少には思えなかった。
二人は光線が続く先まで、ファラサに光を当てながら進んでいった。
一方その頃、地上では⋯
「なぁ、なんでそんなに俺を避けるんだ?」
「アンタは私を殺しかけた。この傷跡、覚えてない?!」
そう言ってロージーは目の傷を見せつける。
「覚えてるに決まってんだろ。 あの後俺謝っただろ? もうてっきり許したと思ってた。」
ウノがそう言うと、次の瞬間ロージーはウノに飛びかかる。
「この傷のせいで私は捨てられた! 私の生きる意味は⋯歌うことしかなかったのに!」
「歌うことが生きる意味?お前は歌うのを嫌っていただろ!」
「私は⋯! ⋯歌うことが嫌いだったわけじゃない⋯!」
「⋯じゃあ何であんなつらそうな顔をしてたんだ!?」
「⋯ただ⋯愛されたかったの!⋯私の両親は⋯!⋯私の歌以外に興味はなかった⋯!」
ロージーが泣きながら言う。
するとウノが口を開く。
「……俺も、気持ちはわかるよ」
ぽつりと、自分に言い聞かせるような低い声だった。
「俺には兄がいてさ。両親の目は、いつもあいつだけを追ってた。……俺が何をしても、どんなに声を上げても、あいつらには俺の姿なんて見えてなかったんだ」
ウノは自嘲気味に口角を上げたが、その瞳は笑っていなかった。
「⋯俺達ちょっと似てるな。」
「あんたと似てるなんて言われたくない。」
「ハハ⋯相変わらずだな。」
二人は少し仲が良くなったようだった。
一方、崖の下では二人は壁画を見つけたようだった。
「⋯古代文字だわ。 ⋯?⋯」
古代文字と一緒に絵が描かれていた。
「これは⋯鳥が二人に、兎⋯狼、イタチ⋯⋯?⋯」
一人がなぜかぐちゃぐちゃと黒で塗りつぶされていた。
すると足音が聞こえてくる。
「見て、誰か居るよ。」
「⋯あれは⋯」
スターがそう言うとディアが少し顔をしかめた。
目の前に現れたのは背の高い狐だった。
「やあやあディア、久しぶりだねぇ。」
「⋯アヴァリティア。」
「知り合いなの?」
「⋯私の兄よ。」
スターは疑問に思った。
カラスと狐が兄妹であるのはありえないことだったからだ。
「⋯?お隣に居るのはアステリのお姫様かな?」
「近づかないで!」
アヴァリティアがスターに近づこうとすると、ディアが阻止する。
「フフッ、ちょっと挨拶しようとしただけじゃないか⋯ひどいなぁ。」
「⋯何が目的?」
ディアがそう問うとアヴァリティアは少し微笑みながら言う。
「何のことかな?私はただ、たまたまここに旅しに来ただけだよ。」
「とぼけないで!」
するとアヴァリティアの表情が怖くなる。
「ハァ⋯バレているようだな⋯まぁいい。直接話そう。」
次の瞬間、ディアとアヴァリティアが一瞬にして消える。
スターは一瞬の出来事に脳の処理が追いつかなかった。
しかしディアがすぐ目の前に戻ってくる。
ディアは息を切らし、苦しそうな表情をしていた。
その腕からは血がポタポタと流れていた。
「大丈夫?!今⋯何が起こったの?!あなたたち消えたわよ?!」
「⋯何のこと?⋯ハァ⋯ハァ⋯私は転んだだけよ⋯ハァ⋯ハァ⋯」
「⋯⋯何を言ってるの?」
「⋯⋯きっとガスで幻覚を見たのね⋯ハァ⋯ハァ⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
スターには到底幻覚とは思えなかった。
二人は怪我の応急処置をするため、上へと戻ることにした。
上へ戻ると、以外にもウノとロージーは大人しく待っていた。
「どうしたんだ?大怪我してるように見えるぞ。」
「⋯ハァ⋯ハァ⋯転んじゃったの⋯」
「転んでこんな大惨事になるかよ⋯」
「⋯⋯⋯」
スターは黙ったままだった。
下で見たことは言うべきではないと思ったからだ。
応急処置をしてもらっている間ふと光線を見ると、さっきと違い、地平線の彼方へと続いていた。
「あれ⋯何で⋯」
「今日はもう行動できそうにないからここでキャンプするぞ。」
四人はここで夜を明かすことにした。
読んでいただきありがとうございます
深夜更新でごめんなさい
よかったら感想お願いします!
鳩の国 6話
誰か⋯感想ください⋯
「⋯ここは⋯教会?」
ウノが目を覚ますとそこは見慣れた場所だった。
すると後ろから声を掛けられる。
「子猫ちゃん、久しぶり。」
「⋯兄さん⋯その呼び方やめてよ⋯」
「だってその通りだろ?ちっこいし、やるときも⋯」
「ちょちょちょ何で知ってんだよ?!⋯⋯てか、なんで兄さんと話せてるわけ?」
「ハハッ何わけわかんないこと言ってんだよ?」
「⋯⋯ハァ⋯これ現実じゃない⋯こんなことがあるわけない⋯」
「分かった、本当のこと話すよ。これは夢で、俺はお前の中の幻覚、旅が疲れすぎて出てきた。」
「ハァー⋯やっぱり⋯、俺はもう起きるよ。」
「ちょっと待て、なんか心残りがあるんじゃないか?」
「⋯何で分かるんだよ。」
「俺はお前の幻覚だぞ?お前のことなら何でも知ってる。」
「⋯じゃあ今考えてることも分かるだろ⋯」
「それは口に出さないと意味ない⋯言ってみろ、兄の姿のこの俺に。」
「⋯⋯」
ウノが重い口を開く。
「⋯⋯じゃあ言うけど、なんで兄さんしか愛さなかったの?俺が他とは違ったから? ⋯ただ⋯少しでも愛してくれたら⋯俺はそれでよかったんだ⋯」
「⋯なんか両親に言いたいことみたいに聞こえるけど⋯?」
「⋯⋯じゃあ兄さん⋯ なんで僕を置いて一人で死んだの?」
幻覚は煙のように消えていった
その場には何も残らず、ただ温かな日差しが教会の床を照らしていた。
「⋯あー⋯嫌な夢見た⋯」
「おはようウノ、ご飯できてるよ。」
スターが優しく声を掛ける。
スープの良い匂いが漂ってくる。
「あんたいつも早起きなくせに、今日はめずらしく寝坊したのね。」
「うるさいな、たまにはいいだろ、たまには。」
「⋯傷⋯治ったんだ。⋯でもどうして?」
ロージが聞くとディアが答える。
「あぁー⋯カラスは傷の治り速いんだー⋯」
「ふーん」
食事を終えると4人は歩き出した
光線がずっと先まで続いていることに苛立ちを隠せないウノが言った。
「なぁ、ちょっと寄り道しないか?」
「それもそうね⋯歩きすぎて疲れたわ⋯」
「近くに行きたいところがあるんだ。」
4人は近くの小さな町に立ち寄り、繁盛している酒屋に入った。
「ねぇなんで酒屋にしたの?わたしたちはいいけど、スターはお酒飲めないよ?」
「お酒が目当てじゃないよ、ここの”ショー”を見に来たんだ。」
4人が席に付き、スター以外が酒を注文する。
しばらく待っているとステージの幕が上がり、美しい女性が出てくる。
観客たちは歓声をあげる
「ねぇあの人だれ?」
スターがウノに問うとこう答える。
「セイレーン・ターナーだよ、あいつの姉ちゃん。」
ウノが視線を向けた先には気まずそうに顔を隠しながら、ウノを睨むロージーが居た。
「お前マジで⋯後で覚えておけよ⋯」
セイレーンが歌うと皆が釘付けになった。
しかし相変わらずロージーは顔を隠していた。
歌い終わるとウノはセイレーンの元へ駆けつける。
「あら久しぶり、ウノ。」
「やあセイレーン、あの件の報告に来たけど、ちょっと問題があって⋯」
「⋯?」
「⋯本人も一緒に来ちゃったんだ⋯」
そう言ってウノはロージーを指す。
「⋯ハーイロージー、お姉ちゃんに挨拶もないの?」
「⋯⋯」
ロージーは黙ったままだった。
表情は何か言いたげだった。
「何か言いたいことがあるんじゃない?」
「⋯言いたいことだらけよ!あなたが『世界に飛び立つ』なんてバカなこと言わなきゃ私は今頃両親と仲良く暮らせたはずなのに。それなのにあなたはこんな小さな酒場で歌ってるのよ?おかげで私は両親に金儲けの商品としか見られなくなったわ!」
「⋯⋯」
セイレーンは何も言えなかった。
するとウノが言う。
「実は俺がロージーを助けるように言ったのはお姉さんなんだ、⋯だからお姉さんを責めないであげてほしい。」
「ハァ?!責めるな?私はあんたらの”助け”とやらで死にかけたのよ?私が怒る権利はないの!?」
「ハァ?あんた妹に怪我させたの?!」
「そのことも報告しようと思ってたんだけど⋯」
「もういい。出てく。」
そう言ってロージーは出ていってしまった。
すんごい話長くなりそう
よかったら感想お願いします
鳩の国 7話
「あなたが怪我させたせいで、あの子の人生が台無しよ!」
「はぁ?!そもそもお前が俺に『妹を助けてくれ〜』なんて頼んでこなけりゃ、こんなことにはならなかったはずだ!」
「二人とも、喧嘩はやめて!まずはロージーを探しに行かないと!」
「…はぁ」
4人は酒場を出て、ロージーを探しに行く。
スターが指輪を見ると、光線は近くの森を指していた。
「早く行こう」
ウノとセイレーンが森でロージーを探していると、どこからか歌が聞こえてきた。
その歌声は、誰もが美しいと感じる声だった。
「⋯やっと見つけた⋯」
「!?⋯⋯驚かせないでよ⋯」
「⋯お前、そんな綺麗な声だったんだな。」
「ロージーが歌ってるの、聞いたことなかったの?」
「いや⋯バーで歌ってるときは普通の声だったから⋯なんでわざわざ下手に歌ってたんだ?⋯その歌声だったらもっと活躍できたはずだろ?」
「私が歌がうまいってバレたらどうなると思う?私は子供の頃からさんざん嫌な目に遭ってきた!⋯これ以上『価値』があるなんて知られたら⋯」
「⋯⋯」
「あっロージー居たのね!」
後からスターとディアが合流した。
「⋯どうかしたの?」
「⋯別に⋯」
5人は再び酒屋に戻る。
「私達また旅に戻らなきゃ、奢ってくれてありがとう。」
「ううん、これくらいのことは当然だわ⋯」
セイレーンはスターにそう言うが、彼女はロージーをずっと見つめていた。
ロージーと一瞬目が合うが、ロージーはすぐに目をそらした。
4人は再び光線を追って歩き出す。
しばらして、4人は足を止める。
光線は深い霧の中を指し示していた。
「⋯どうする?」
「⋯まとまって進もう。」
そう言って4人はまた歩き出したが、途中でウノは全員とはぐれてしまった。
「あぁクソッ⋯マジでどうすんだよ⋯」
「⋯おーい」
どこからか声がした。
「⋯?」
「⋯おーいウノ」
「⋯まさか⋯」
「久しぶりウノ、会いたかったよ」
目の前に現れたのは毛の長い猫の男性だった。
「アンジー⋯火事で死んだはずじゃ⋯」
「あの時、僕は運よく逃げ出せたんだ。君を探したんだけど、見つからなくて⋯」
「⋯⋯」
「⋯あれ、泣いてるの?」
「あぁ⋯ごめん⋯まさか君が生きてるなんて思わなくて⋯」
「⋯心配するのも当然だよ。ちょっと歩いて話さない?あの火事の後のこととか」
「⋯うん」
一方その頃、3人ははぐれたウノを探していた。
「マジであいつ⋯どこ行ったのよ⋯」
「⋯⋯ママ?」
スターの目線の先には亡くなったはずのベラが立っていた。
スターはベラの元へ駆け出した。
「あっ⋯待ってスター⋯!」
そんなロージーの声も届かず、スターは2人の元を去ってしまった。
「ママ⋯⋯」
走ってベラを追いかけたが、いくら走っても追いつかず逆にどんどん離れていった。
「危ないよ。」
誰かがスターを止めた。
止めた女性は、原始的な服を着た鷹だった。
「!?」
目の前には崖が広がっていた。
「貴方、歓迎されていないみたいだね。」
「⋯どういうこと?」
「この森は、気に入らない人がいると幻覚を見せて崖に落としちゃうの。あ、私はジェーン。森の守護者よ、よろしくね。」
「私はスター、よろしく⋯⋯仲間が危ないかも⋯ねぇ⋯助けてくれない?」
一方その頃⋯
「ねぇアンジー⋯」
「⋯うん?」
「あの日からさ……。お前、俺がいなくなってからどうしてたんだよ。……寂しくて、泣き言とか言ってなかったか?」
「あぁ……。最初は戸惑ったけどさ。一人になってみると、案外……悪くなかったんだよ。誰にも縛られず、自分のペースで生きて。……なんて言うか、これまでの人生で一番、自由で満たされてた気がするんだ。」
「……」
「待ってウノ!」
「⋯あぁスター。今知り合いに会って⋯あれ?」
「⋯⋯多分それは⋯幻覚よ。」
「⋯⋯そう。」
ウノは悲しそうな表情を浮かべた。
スターとウノはジェーンに連れられ、森を抜けた。
そこでは、ロージーとディアが待っていた。
「⋯大丈夫だった?急に走り出すもんだから、びっくりしちゃったよ。」
「ごめんディア、心配かけちゃって⋯あっこちらはジェーン、彼女が助けてくれたの。」
「二人を助けてくれてありがとう。」
「いいのよ。よくここで迷う人がいるから案内は得意なの。」
「そろそろ行かないと、お元気で!」
「うん、じゃあね。」
そう言って4人はまた歩き出した。
まさかの1800文字⋯
読むの大変でごめんなさい
よかったら感想お願いします
鳩の国 8話
森を抜けて数時間、目の前に立ちはだかったのは雲を突くような巨大な石壁だった。門を守る二人の兵士は、抜き身の刀を構え、氷のような視線を向けてくる。
「止まれ。何者だ」
「アステリ王国の第一王女、スターよ。ここを通らせて」
兵士たちは一瞬顔を見合わせたが、すぐに道を開けた。
「……女王の元へ案内する。」
重い扉が開いた先には、別世界が広がっていた。極彩色に彩られた繁華街。華やかな着物を纏った女たちが、男たちの腕にすがり、香の匂いと喧騒の中を歩いている。だがその賑わいは、街の先に立ち込める深い霧に吸い込まれていた。霧の向こう、桜が狂い咲く険しい山の頂に、白と藍色が鮮やかな城がそびえ立っている。
兵士に導かれ、城の最上階にある庭園へと案内された。そこには、桜の吹雪が舞う中、静かに杯を傾ける者がいた。頭部に立派な枝角を持つ鹿の女王の桜嵐だった。
「……あら、トロイの娘じゃない。会うのは貴方が六つの時以来かしら」
「桜嵐女王、お久しぶりです。またお目にかかれて光栄です」
スターが深々と頭を下げると、女王は細い目をさらに細めて問いかけた。
「で、亡国の王女が何の用かしら?」
「ご存知かもしれませんが、父が母を殺害し、アステリを破滅させました。私は父を追っています。この光線が貴国の先を指しているのです。どうか、通り抜けさせてはいただけないでしょうか」
「……ならば、相応の対価を支払ってもらおうかしら」
「ハァ? 国を通るだけで金がかかんのかよ、ケチくせぇな」
ウノの軽口が飛んだ瞬間、ディアが即座にウノの頭を殴りつける。
「いっ、てぇ……!」
「口を慎みなさい、狼。」
桜嵐は不快げに眉をひそめることもなく、ただ退屈そうに笑みを浮かべた。
「払ってもらうのは、金貨などという卑しいものではないわ。……我が国とアステリとの、永続的な独占貿易権を許可しなさい。我が国の商人が、貴国の領土を自由に、優先的に行き来できる権利よ。」
「失礼ですが……今の我が国には、貴国と対等に渡り合えるだけの資源も、守るべき法もありません。そんな約束、取引にはなりませんわ。」
スターの拒絶に、桜嵐はふっと鼻で笑った。
「ハァ……。正直に言っていいかしら。貴方、根本的に方向性を間違えているわよ。私たちが守るべきは自国の民、自国の腹。貴方はお父さんを追うことに必死だけど、その間、残された貴方の国の民はどうしているの? 飢え、凍え、他国に蹂躙されるのを待つだけかしら。」
女王は杯を置き、鋭い角を月光に光らせた。
「父親探しを優先し、王女としての責務を捨てて逃げている。そんな者に、我が国の道を通す価値があると思う? 復興の誓いすら立てられぬ者に、未来を語る資格はないわ。」
「⋯⋯っ」
スターは黙りこくってしまった。ディアやウノ、ロージーも何も言い返せなかった。
スターは静かに許可証にサインをした。
桜嵐女王⋯10代の少女に、母親亡くしてすぐなのに王女の責務だとか、未来を語る資格はないだとか、厳しすぎじゃありませんか?!
嫌な奴なのに言ってることは正論だなんて⋯(自分で書いといて何だけど笑)
ここで豆知識
桜嵐女王の角は亡くなった夫の物で、女王の威厳を表すために着けているそうですよ。
鳩の国 9話
城を出た4人はこんな話をする。
「おい、スター……本当によかったのかよ。あんな無茶苦茶な条件……」
「だって仕方ないじゃない!あんただったら⋯断れるわけ?!」
スターが珍しく怒鳴り声を上げる姿に、三人は言葉が出てこない。
彼女は自分の責任に押し潰されそうになっているようだ。
しばらくの沈黙が続くが、突然一人の少年がスターにぶつかる。
「!?」
指輪が少年に盗まれてしまったようだ。
4人は急いでそのイタチを追いかける。
「待ちなさい泥棒!」
「ほんとごめん!」
謝罪をするイタチだが、逃走を続ける。
ようやくディアがそのイタチの腕を掴み、指輪を奪い取る。
「警察に突き出してやる!」
「待ってディア、彼も何か事情があったのかもしれないし…」
「本当にごめん…僕は今一人で生きていかなきゃいけなくて、今日を生きるのにも必死だったんだ…」
「…わかったよ。許す。でも今度また同じようなことしたら…」
ディアが拳を握りしめる。
「あぁ、十分わかったよ…本当にごめん…」
そう言ってイタチは去って行った。
4人が光線を追って再び歩き出す。
光線の先は、高くそびえ立つ山だった。
「…この山登っていくわけ?俺はもう女王に会っただけで疲れたよ…」
「仕方ないでしょ?ほら行くよ!」
人一人通らないような険しい山道を登っていく。
ウノはもうヘトヘトだったが、対照的にロージーは軽々と登っていた。
疲れたウノが小川を見つけ、休もうとすると、あるものを発見した。
「なあ…みんな…?」
「これって…」
川は真っ赤に染まっていた。
川の上流へ急いで走ると、そこには倒れているトロイの姿があった。
「パパ…?」
「……」
王は自身の剣で自ら命を絶ったようだった。
スターはその事実が受け入れられないようだった。
「……」
「どういうこと?これからどうするの?」
「分からない!ママがいなくなって次はパパも…私はどうしたらいいの?!」
「…ねぇ…大丈夫なのウノ?」
「…ハハッ」
ロージーが心配をするが、ウノは虚な目でただ笑っていた。
すると次の瞬間、ウノがスターの顔を引っ掻く。
スターの顔からは血が出てくる。
「…っ!」
「なにしてるのウノ!?」
「……」
「…ゲホッッ」
ウノは何も言わず、スターの首を締め続ける。
スターの口から唾液がダラダラと出てくる。
ディアやロージーが必死で引き剥がそうとするが、無意味だった。
「離れろッ!」
そう言ってウノを殴ったのはさっきのイタチだった。
イタチはウノの喉に噛み付く。
するとウノはスターから離れ、走り去って行った。
スターはその場で倒れてしまった。
「……」
しばらくの沈黙が続く。
「…とりあえず、僕の家に彼女を運ぼう。」
そう言って4人は山の奥へと歩き出した。
R15にするべきだったかなぁー⋯
あと9話 鳩の国シリーズに入ってなくてごめんなさい!
豆知識
この世界のほんの一部の人は、神から与えられた魔法の力を持っているんだって
鳩の国 10話
「ハァ⋯ハァ⋯」
ウノは自分のやったことが信じられなかった。
あの時の感覚を鮮明に思い出す。
その場に座り込むと、どこからか声が聞こえてきた。
「ウノ⋯大丈夫?なにか悩んでるみたいだけど⋯」
「⋯あんた誰?」
「君のもう一人の自分⋯と言ったところかしらねぇ⋯」
「⋯⋯」
「復讐したい相手が死んだ、ならその娘を殺そうとするのは当然だわ。なにも悩むことなんてないの。」
「⋯でも」
「シーッ、⋯⋯私にその体を貸してくれないかしら。そしたら苦しむことも泣くこともないわ、あの時みたいに⋯」
数年前
ウノがいたのは、とある教会だった。
両親は信者に導きをするのに必死で、ウノのことなど気にかけていないようだった。
周りをボーッっと見渡すと、ある少年が目に入った。
その少年は小柄で腕に包帯を巻いていた。
「ねぇ、君の名前は?」
「僕?僕はアンジェロス。君は?」
「俺はウノ、よろしく。」
「教祖様の息子?!話したことがバレたら父親に殺される⋯」
「大丈夫バレなきゃ良いんだから。ねぇアンジェロス、アンジーって呼んでも良い?」
「もちろんいいよ。」
「ねえ、教会にはよく来るの?」
「ううん、両親に無理矢理連れてこられない限りは来ないよ。」
「じゃあ明日来てくれない?また話そうよ。」
「うん、いいよ。」
それから二人は何度か会ううちに、お互いの悩みや秘密を話すほど仲良くなっていった。
しばらくして、毎日来ていたはずのアンジーが来なくなった。
心配になったウノは彼の家を訪ねた。
すると彼の母親が出てきた。
「ウノ様!?何故ここに⋯」
「アンジェロスはどこですか?教会に来ていなくて⋯」
「実はそれが⋯」
アンジーは病院に居た。
「アンジー⋯」
「⋯ウノ」
ウノがアンジーを叩いた。
「⋯なんで一人で抱え込もうとするんだよ!一生一緒にいるって決めただろ!」
「⋯⋯ごめん」
「⋯傷、また増えてるし⋯」
「⋯殴って」
「⋯え?」
「こんな僕を罰してよ!⋯君を置いていくなんてバカな考えするんじゃなかった⋯」
「⋯⋯」
ウノはしばらく悩んだ末、アンジーを力強く殴った。
「⋯ありがとう。」
「⋯⋯」
アンジーが退院してしばらくすると、二人は共に家を出ていった。
二人は貯めたお金で街の小さな家を買った。
その街は強い動物が多く暮らす街だった。
「ねぇウノ⋯またお願いできる?」
「⋯⋯いいよ」
アンジーが自分で自分を傷つけることはなくなった。
代わりに、その役割をウノが担うことになった。
ウノは最初は拒んでいたものの、今は慣れてしまった。
この行為に正義感すら抱いていた。
ある日、ウノがバーでウイスキーを飲んでいると、外がやけに騒がしかった。
出てみると、街全体が燃えていた。
上空を見ると、火炎瓶を落とす鳩とその仲間の姿があった。
急いで家に帰ると、自分の家も激しく燃えていた。
炎の中へアンジーを探すが、炎が激しすぎて結局諦めることになってしまった。
数日後、無惨な姿になった家を探すがやはりアンジーは見つからなかった。
見つかったのは彼の指輪だけだった。
ウノは指輪をしばらく見つめた後、その場に捨てた。
「あの鳩が全てを壊した⋯何もかも⋯」
「⋯どう?貸してくれるかしら?」
「⋯⋯いいよ」
ウノの身体が闇に飲み込まれていった。
一瞬力が抜けるとすぐに立ち、身体の埃を払って乱れた服装を直した。
そしてどこかへ歩き出していった。
自分で書いてて辛すぎる⋯
R15か悩んだけどPG12にしました
豆知識
ウノの家系ってとある国では有名らしいよ