こどおにっ!
編集者:読書が好き🍵
連載小説『孤独な私と臆病鬼は、今日も光を探してる。』の日常編です。
リクエスト箱にてシチュエーションや希望を受け付けておりますので、是非応募してください。
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目次
孤独な私と臆病鬼は、今日も光を探してる。〜人物紹介〜
連載小説「孤独な私と臆病鬼は、今日も光を探してる。」のキャラ紹介です。
物語が進むにつれて内容も変わっていくので、たまに確認しといてください。
__今書かれている情報が真実とは限らない…かも?__
---
名前 :|神月《こうづき》 |沙雪《さゆき》
性別 :女
種族 :人間
年齢 :16歳
誕生日:1月19日
身長 :156cm
見た目:目の色・・・黒
髪の毛・・・銀髪、セミロング、直毛
服装 ・・・白と水色の着物
装飾品・・・特になし
その他・・・右腕と左足に矢で射抜かれたあとアリ
能力 :ない
---
名前 :|天舞《てんま》
性別 :男
種族 :大天狗
年齢 :219歳
誕生日:6月18日
身長 :162cm
見た目:目の色・・・黒
髪の毛・・・黄土色、癖っ毛、外ハネ
服装 ・・・赤の結袈裟、黒の着物
装飾品・・・黒い頭襟、腰に羽団扇、高さがある下駄
その他・・・背中に大きな切り傷アリ
能力 :空中浮遊、羽団扇でいろいろ
---
名前 :|竜翔《りゅうと》
性別 :男
種族 :緑龍
年齢 :148歳
誕生日:4月9日
身長 :人間・・・122cm
竜 ・・・15m
見た目:目の色・・・茶
髪の毛・・・茶髪、ちょい癖っ毛
服装 ・・・深緑の着物、白色の帯
装飾品・・・腰に黄色い小さなお守り
その他・・・手にまだらに鱗、頭に枝のようなツノ、背中に尾アリ
能力 :人間・・・動物を癒したり植物を育てる力
竜 ・・・空中浮遊、火を吹く
---
名前 :|火影《ほかげ》
性別 :男
種族 :天狐(元人間)
年齢 :1187歳
誕生日:11月7日
身長 :184cm
見た目:目の色・・・黄
髪の毛・・・黒髪、ちょい癖っ毛
服装 ・・・濃い紫の着物、黒の帯
装飾品・・・袖部分に一つずつ鈴
その他・・・黄色の狐耳、背中に九尾、尾に青い火、左腕に黒い波紋アリ
能力 :神通力、千里眼による思考の読み取り、変身、不老長寿
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名前 :|灯和《ひなぎ》
性別 :男
種族 :酒呑童子
年齢 :1453歳
誕生日:12月1日
身長 :191cm
見た目:目の色・・・青
髪の毛・・・白髪、肩くらいまで、一つくくり
服装 ・・・瑠璃色の着物、黒の羽織、松葉色の首巻き
装飾品・・・金のタッセルイヤリング
その他・・・頭に大きな白い角が二本、右肩に矢で射抜かれた跡あり
能力 :金棒の呼び出し、驚異的な運動神経
---
名前 :|猫葉《ねこは》
性別 :女
種族 :猫又
年齢 :98歳
誕生日:2月14日
身長 :147cm
見た目:目の色・・・深緑
髪の毛・・・黒髪、セミロング、先が外ハネ
服装 ・・・緑の着物、薄黄土の袴
装飾品・・・腰に小さめのダガーナイフ
その他・・・少し鋭い爪、頭に猫耳、二つに分かれた尻尾アリ
能力 :変化、軽い呪い、強力な脚力
---
名前 :|華竜《かりん》
性別 :女
種族 :雪龍
年齢 :139歳
誕生日:3月28日
身長 :人間・・・128cm
竜 ・・・15m
見た目:目の色・・・青
髪の毛・・・白髪、少し長めのポニテ、直毛
服装 ・・・白と水色の着物
装飾品・・・特になし
その他・・・頭に枝のようなツノ、背中に尾アリ
能力 :雪と氷の召喚・操作
書き加えて欲しい情報等があれば是非教えてくださいね。
その時に、できればユーザー名も教えてください。
ファンレターをお送りしたいので。
読書が好き🍵
【記念作品】火影と沙雪と動物と + キャラデザ
【キャラデザ(アルパカGET)】
⚠️下手くそな上にセンス皆無⚠️
⚠️見るなら覚悟して挑むべし⚠️
⚠️それでもいいならどうぞ!⚠️
沙雪:https://firealpaca.com/get/8jgMZt1C
猫葉:https://firealpaca.com/get/8QYW99y2
灯和:https://firealpaca.com/get/qzXFLWF9
《引用先》
沙雪・猫葉:Picrew 鳥卵 様の『ちみころめーかー』
灯和 :Picrew yunomoto 様の『妖男子メーカー』
↓この下、番外日常編あり↓
--- 〜とある昼過ぎのこと〜 ---
沙雪「……初めて一人で森の中来たけど…すごく綺麗だなぁ……」
見渡す限り緑で、葉が擦れる音が絶えず聞こえる。
葉の隙間から漏れ出る光が地面を美しく照らしている。
沙雪「………ん?動物の声がする……」
森を歩いているといろんな動物の声がする。
しかし、私が進んでいる方角から、やけに多くの鳴き声が聞こえる。
どうやら動物達が一ヶ所に集まっているようだ。
沙雪(木の実がたくさん落ちてるとか…?それとも池があるとか…?)
私は気になって、その方角に歩いた。
しばらくすると、光がさす綺麗な泉が見えた。
そこで、動物達が何かを囲むように集まっていた。
沙雪「…?岩かな…?」
__タタッ……__
そこで、私は衝撃の事実を目の当たりにした。
**沙雪「ほ、火影さんっ…!!?」**
火影「…沙雪か。」
なんと、動物に囲まれていたのは、火影さんだったのだ…
---
沙雪「あの…なんでこんなことに…?」
火影「ここで本を読んでいたら、こうなってた。」
私は改めて火影さんの姿を見る。
頭にはリス、肩には兎、膝には狸、足元には小鹿…
そして尻尾にはたくさんの小鳥がとまっていた。
みんなそれぞれ、遊んだり、寝たり、尻尾に木の実を隠したり……
まるで絵本のような光景に、私は目が点になっていた。
沙雪「……なんだか童話のお姫様みたいですね…?特にあの…りんごを食べる…」
火影「ああ、白雪姫というやつだろう?」
沙雪「知ってるんですか?」
火影「…昔、ある少女に教えてもらった。」
沙雪「そうなんですね……」
(……あれ…?火影さんって昔人間と話したことあるんだ………)
ゴソゴソ…
沙雪「ん…?尻尾が動いてる…?」
私はそっと火影さんの尻尾の裏を覗いた。
すると、またもや目を疑うものをみたのだ。
**沙雪「え…!?猫葉ちゃん!!?」**
猫葉「……ん…おお、さゆきかぁ……」
なんとそこには、スヤスヤと眠っている猫葉がいたのだ。
猫葉はこちらを一瞥すると、伸びをしながら火影さんの尻尾をふみふみし出した。
沙雪「な、なんで火影さんの尻尾の中にいるの…!?」
猫葉「……こいつの尻尾…暖かくてふわふわで気持ちいいんじゃあ……」
沙雪「……そうなの…?」
猫葉「にゃあぁ〜…沙雪も寝てみろ……」
そう言って猫葉は私に手招きをする。
これが本当の『招き猫』か。
いやいや、そんなことを考えている場合ではない。
いいのか…?火影さんの尻尾に寝たりして……!
怒られたり嫌がられたりしないだろうか……
火影「……沙雪、私は別にいいぞ?」
沙雪「え!?いいんですか…?」
火影「……(コクッ)」
そう言われてしまったら、どうしようもない。
私は素直に、火影さんの尻尾に寝転がってみた。
沙雪「………!?」
ふわっふわだった。
サラサラの毛に、丁度よく温かい体温。
まるで大きな犬に埋もれているような感覚だった。
沙雪「………猫葉ちゃん……これだめだ…動けない……」
猫葉「…じゃろぉ…?」
沙雪「……ままぁ…」
火影「誰がママだ。」
そう言いつつも、火影さんは嫌がるそぶりも見せずに寝かせてくれた。
__沙雪(……ああ…これ…寝ちゃう…………)__
私はそのまま、夢の世界へと落ちていってしまった。
---
沙雪「………んぅ…?」
火影「起きたか。」
一瞬、自分が何をしていたのかわからなくなった。
そして横で寝ている猫葉をみて全てを思い出して飛び上がった。
沙雪「わ、私寝てましたか…!?」
火影「思いっきり寝てたぞ。」
沙雪「あのっ!私何分くらい寝てましたかっ…!?」
火影「そうだな…大体1時間ほどだな。」
まさかの時間に、私はまた飛び上がる。
**沙雪「ご、ごごごめんなさいぃっっ!!!!」**
火影「そんなに焦るな…別にいい。」
落ち着いた私は、ゆっくりと隣に腰掛ける。
相変わらず火影さんは本を読んでいて、周りの動物達は戯れている。
すると、一羽の小鳥が私の肩に乗った。
沙雪「ひゃっ…!?」
火影「大丈夫だ。沙雪のことが気に入っているみたいだ。」
その小鳥は、私の肩の上でうとうとし始めた。
可愛らしい小鳥の姿に、私は心を奪われた。
森はさっきと変わらず、風が抜けて、草木が揺れている。
光が反射する泉では、動物達が思い思いに楽しく過ごしている。
沙雪「………火影さん…」
火影「なんだ?」
沙雪「…すごく、綺麗ですね……」
火影「……ああ。」
火影さんは本を膝の上に置いて、泉を見た。
しばらく、そんな時間が続いた。
__ゴソッ…__
猫葉「にゃあ〜…っと!」
沙雪「あ、猫葉ちゃん…!おきたの?」
猫葉「ん。腹が減った。」
火影「確かに、もう日も落ち始める時間だな。」
沙雪「じゃあ、帰りますか…?」
猫葉「うぬ!帰るぞ〜!!」
そう言って猫葉は走り始めた。
火影「…あいつ本当に寝起きか?」
沙雪「ふふっ…じゃあ私たちも行きましょうか…?」
火影「そうだな。夕飯を作らないといけないからな。」
そう言って立ち上がると、動物達が寂しそうに火影さんを見つめていた。
火影「また来るからな。」
火影さんはそう言って、動物一匹一匹を撫で始めた。
その姿が、とても優しくて、私は自然と笑みをこぼした。
火影「……よし、じゃあ帰るか。」
沙雪「はい。じゃあみんな、またね…っ!」
私は動物達に手を振って、来た道を歩き出した。
……この森は今日も、平和です。
---
番外編 〜完〜
こんにちは、読書が好き🍵です。
初めて日常系作った気がします…これで合ってるんでしょうか……?
もし間違っていたらごめんなさい。
あと、こういう系は全然書けるので、
「こういう話みたい!」などのリクエストがあれば是非言ってくださいね。
個人的には風邪ひかせたりした(((知るか黙れ
なんでも書くので、本当にご気軽に言ってくださいね!
それともう一つ、キャラデザ、ごめんなさい。絶対下手くそな自信があります。
あれが私の本気です。許してください。
それではまたどこかで……
【こどおにっ!】灯和が風邪!?《1》
--- とある冬の夜のこと… ---
__ピピッピピッ…__
火影「……38.6度…なぜ言わなかった……」
__灯和「………んぇ……?」__
竜翔「たっか!?嘘でしょ!!?」
沙雪「えぇ…!?」
あまりの高熱に私は驚く。
天舞「うわーやっばー…」
竜翔「でもなんで急に……?」
猫葉「灯和、おぬしさっき川に落ちたのが原因じゃないのか…?」
沙雪「あー…」
---
灯和「お魚いっぱい釣れたね。」
沙雪「そうだね。猫葉ちゃんよかったね…!」
猫葉「今日の晩飯は最高じゃ〜!!」
灯和「だね!夜ご飯何にしよ
__ツルッ…__
灯和「……?」
沙雪「え」
猫葉「え」
**バッシャーーーン!!!**
---
竜翔「絶対それじゃんっ!!」
__灯和「…………あれはごめん………」__
天舞「真冬の山の川に落ちたらそら風邪ひくわ。」
竜翔「それより、どうする?今ちょうど薬切らしてるし、もう夜だよ?」
火影「…2~3時間かかるが、街まで行けば夜もあいてる薬屋があったはずだぞ。」
猫葉「!街っ!?(キラキラ)」
竜翔「ほんと?じゃあボク行ってくる!」
天舞「俺も行く!!」
猫葉「ワシも行くっ!!」
竜翔「え…」
火影「………竜翔、頼んでいいか…?」
竜翔「………………わかったよ……」
火影「沙雪は残って看病を手伝ってくれ。」
沙雪「はい!」
---
竜翔「じゃあ行ってくるね…」
天舞「行ってきまーす。」
沙雪「気をつけてね…!」
竜翔「よいしょっと…!!二人とも捕まっててね…?」
ぼわんっ!
沙雪「……行っちゃった…」
(………今日はやけに冷えるな…早く帰ろ……)
---
ガララ…
沙雪「帰りました〜!」
火影「ああ、おかえり。」
沙雪「灯和は…?」
火影「さっき寝た。あの様子だとだいぶ我慢してたな。」
横を見ると、顔が赤くなっている灯和が寝ていた。
いつもと違ってかなり呼吸が荒い。
しばらくして、火影さんが音を立てないようゆっくりと立ち上がった。
火影「私は川に水を汲みに行くから、しばらく灯和を見ててくれ。」
沙雪「は、はいっ!」
私が返事をすると、火影さんは部屋を出ていった。
すると横からか細い声が聞こえてくる。
__灯和「………ごめんねぇ……」__
沙雪「謝らないで。風邪なんて誰にでもあり得ることだから…ね?」
__灯和「………………そっか………」__
沙雪「何か欲しいものとかある?」
__灯和「……………冷たい手拭い………」__
目が潤んでいて、どれだけしんどいか伝わってくる。
見てるとこちらまで辛くなってくる。
沙雪「……とってくるから、少し待っててね…!」
灯和「…………(コクン)」
灯和は頷くと、また眠り始めた。
私はしばらくその寝顔を見つめて、水と手拭いを取りに部屋を出た。
---
てくてく…
沙雪「……………?」
台所に入ろうとして、中からの物音に気づく。
私はそっと襖を開けた。
するとそこには何やらゴソゴソと動く人影が見えた。
沙雪(火影さんがいるのかな…?)
私はその人影にそっと近づく。
しかし、その人影はこちらに全く気づかない。
私は違和感を感じ、声をかけた。
沙雪「あの…火影…さん?」
すると人影はピタリと動くのをやめた。
そして、ゆっくりとこちらを振り返った。
その瞬間、私は異変に気づく。
沙雪(……!?火影さんじゃない…!!?)
`??`「…………ア゛…?」
沙雪「…!!」
私は思わず腰が抜けそうになる。
それは、明らかに尋常じゃない空気を纏っていたから。
ボサボサの髪。
とても長い髭。
異様に大きい頭。
焦点の合わない大きな目。
人間ではあり得ないほど長い手足。
涎が滴る口から見える大きく鋭い牙。
2mを超えている身長。
……昔、本で見たことがある。彼は…`土蜘蛛`だ。
沙雪「……っ!!」
***`蜘蛛`「……ア゛ァア゛ア゛ァアアア゛!!!!」***
**バッッ!!**
瞬きする間に土蜘蛛は私に飛びかかってきた。
沙雪「!!!」
私は咄嗟に襖から出て横に避けた。
その直後に土蜘蛛が飛び出してきた。
**ガッシャーーーン!!!**
襖が壊れ、食器が割れる音がした。
しかし、そんなことを気にしている場合ではなかった。
沙雪「……灯和を守らなきゃ……っ!!」
---
__…ザッ…ザッ…ザッ……__
??「ゆ〜きやこんこん♪あられやこんこん♪」
「この山はいつも寒いなぁ〜…」
「……あ、もう少しで《《兄さま》》のお屋敷に着く!」
「楽しみだなぁ…!」
こんにちは、読書が好き🍵です。
さて、今回から連載小説『孤独な私と臆病鬼は、今日も光を探してる。』の
日常編『こどおにっ!』が始まりました。
前回も書いた通り、日常編のシチュはリクエスト箱にて募集中なので、
是非じゃんじゃん応募してくださいね。
日常編と言っていますが、今回の後半のようにシリアス展開でも全然いいですよ。
では、またどこかで……
【こどおにっ!】灯和が風邪!?《2》
〜火影 side〜
***`蜘蛛`「ア゛ァ゛アアァ゛アア゛!!!!」***
火影「……っ!!」
*バッッ!!*
火影(なぜ突然土蜘蛛が大量に…!?一匹でも厄介なのに…!!)
目の前には、高さ5mを上回るような土蜘蛛が何十匹もいる。
明らかに異常な光景に、戸惑いを隠せない。
***`蜘蛛`「ヴア゛ア゛ァァアア゛!!!」***
(さっき一匹屋敷の方へ行ってしまった…ここで立ち往生してる暇はない…!)
*「…!`|陰陽神刀舞《いんようしんとうまい》`!」*
__シャン!__
幽月魄がなった瞬間、月光によって生まれた影から黒狐が現れた。
黒狐たちは土蜘蛛に走っていき、飛びつく。
その瞬間、黒狐に飛びつかれた土蜘蛛たちの体から血が噴き出た。
***`蜘蛛`「ギャア゛ア゛ァアァア゛!!!!?」***
しかし、どれだけ対峙しても、また後ろから土蜘蛛たちが襲いかかってくる。
この数を一人で捌き切るのは難しい。
火影(……灯和…沙雪…無事でいてくれっ…!!)
---
〜沙雪 side〜
ピシャッ!
沙雪「灯和…!?」
__灯和「……はぁ……はぁ………」__
さっきよりも息苦しそうだ。
確か土蜘蛛は不幸を撒き散らしながら人間を襲う妖怪のはず。
いくら冬の川とはいえ、急にあんな高熱になったりはしないはずだ。
あの異様なほどの熱の高さも、きっと関係あるのだろう。
*ガタンッ!!*
**`蜘蛛`「アア゛ァ゛ァア゛!!!!」**
**沙雪「きゃああぁぁ!!!」**
私は灯和を抱えて横に飛び退く。
その瞬間、私がさっきまでいた場所に土蜘蛛が現れた。
沙雪(……!!!)
土蜘蛛は既に先ほどまでの人間の姿ではなくなっていた。
そこにいたのは、私の背丈を上回るほど大きな蜘蛛だった。
ぎょろぎょろとした目と鋭い牙は、確実に私たちに向けられていた。
沙雪(…逃げなきゃ…灯和を守らなきゃ…!!!)
私は瞬間的にそう思い、灯和と逆方向…縁側の方に立つ。
すると案の定土蜘蛛は私に向かって飛びついてきた。
**`蜘蛛`「アア゛ア゛ァァ゛!!!」**
沙雪「……えいっ!!」
私は土蜘蛛にぶつかる直前にしゃがんだ。
***ガターーーン!!!!***
土蜘蛛はそのまま外に飛び出してひっくり返った。
私はその隙に灯和を抱えて外へ逃げ出した。
裸足の足に石が刺さって雪が染みる。
それでも、止まることは許されなかった。
私たちは後ろから聞こえる雄叫びを背に、雪の降る森の中へと走った。
---
〜火影 side〜
火影「………くそっ…次から次に湧いてくる…!」
目の前に、恐らくこの土蜘蛛たちの親分であろう土蜘蛛がいる。
他の土蜘蛛とは違う空気を纏い、体も大きい。
《《私や灯和の力が大幅に下がっている》》のもこの親分のせいだろう。
恐らく、こいつを対峙するまではこいつらはずっと湧いて出てくるだろう。
しかし、退治しようとするたびに手下に邪魔されて攻撃できない。
もう何匹対峙したのかもわからなくなってきた。
そろそろ体力も魔力も限界だ。
火影(……《《アレ》》を使うしかないのか…?)
私は左腕を押さえる。
左腕の痣がそれに反応する。
__……ザッ…ザッ………__
火影「……?」
(…足音…?…それと…歌声…?)
左腕から手を離し、そっと耳を傾けた。
すると、聞き覚えのある声が耳に入った。
__??「きったかぜ〜♪こっぞう〜のか〜んたろ〜♪」__
火影「…!?」
??「あれ?火影お兄ちゃんっ!!……と、土蜘蛛?」
その声を聞いて正体が分かった。
久しぶりに会って早々頼るのは少し申し訳ないが、仕方がない。
火影「頼む!助けてくれ!灯和と沙雪が危ないんだ!!」
??「あーなるほど?いいよー!」
するとその人影はこっちに走ってきた。
土蜘蛛たちはそちらに方向を変え、咆哮する。
***`蜘蛛`「ア゛ア゛アア゛ァァ゛ァァア゛!!!!!」***
*??「ん〜!`フローズンガスト`〜!!」*
**バキバキバキッ!!**
彼女がそう唱えて手を振った瞬間、私と彼女の周りが一気に凍った。
土蜘蛛たちは急に動けなくなって焦っている。
??「ばいば〜い!」
パチンッ!
***ガラガラガラガラ……***
そう言って指を鳴らした瞬間、土蜘蛛たちは一気に凍り、崩れ落ちた。
いつ見ても華奢な見た目に合わない、強力な技だ。
あっという間に手下たちが視界から消えて、親分だけが映る。
私はその一瞬を見逃さなかった。
私は白焔を後ろに下げ、足に全力で力を込め、思い切り幽月魄を振った。
__シャリンッ!__
*火影「……`|幽焔ノ儀《ゆうえんのぎ》・|魂喰《たまぐらい》`」*
**ジャキンッ!!**
***`蜘蛛`「ア゛ア゛ァァァ゛……!!!?」***
次の瞬間には、土蜘蛛は二つに分かれていた。
土蜘蛛はその場に崩れ落ちて、そのまま灰になり消えて行った。
その時、体に力が返ってくるのが分かった。
しかし、その感覚を感じるも束の間、急に力が抜けて、私はその場に崩れ落ちる。
ドサッ…
??「わぁっ!大丈夫?火影お兄ちゃん?」
火影「……大丈夫だ…ありがとう……`|華竜《かりん》`………」
華竜「いいのいいの!兄さまの家族だしね!」
火影「………はやく……灯和と…沙雪のところに………」
華竜「それなら大丈夫じゃない?」
火影「……?」
華竜「だって力はもう戻ったわけでしょ?」
「火影お兄ちゃん、灯和お兄ちゃんの強さ忘れたの?」
火影「……………それも……そうか…………」
視界がぼんやりしていく。
寒い中ずっと動き続けて、さらに雪の中で倒れたのだ。
意識が朦朧とするのも無理はない。
今の力を振り絞って、私は白焔に火を灯らせる。
火影「………灯和を頼む……私は…後から行く……」
華竜「は〜い!」
ぼわんっ!
そう返事をすると、彼女は白い龍に姿を変えた。
たてがみの代わりに氷のようなものが光っている。
その姿は雪の精のようで美しかった。
その雪の精は、ゆっくりと空を泳ぎながら灯和たちの方へ向かって行った。
火影「………《《竜翔》》の家族たちは…やはり強いな…………」
私は華竜を見送った後、吐き出すように呟いた。
__火影「……………あぁ……疲れた………」__
私はゆっくりと体を起こす。
私は少しの間そこに座り込み、立ち上がった。
その足で、私は灯和と沙雪の元へと歩いて行った。
---
〜沙雪 side〜
沙雪「はぁっ…はぁっ……!!」
いつまで走ればいいのだろうか…
灯和はずっと起きない。
私の体力ももう限界に近い。
__ガッ__
沙雪「あっ」
ズシャッ!
突然視界が真っ白になる。
そう、私はつまづいて転んでしまったのだ。
きっと捻挫したのだろう。足が痛くて立ち上がれなかった。
***`蜘蛛`「ア゛ア゛アアァ゛ァァ……」***
沙雪「ひっ……」
私は足を引き摺りながら灯和の元まで行った。
後ろからジリジリと土蜘蛛が迫ってくる。
私は地面に倒れている灯和の上に被さった。
無意味だということはわかっていた。
それでも、守りたかった。
***`蜘蛛`「ア゛ァ゛ァァア゛ア゛アァ゛ア゛ア゛!!!!!」***
沙雪「……!!」
(…助けて……!!!)
__ピクッ__
*灯和「…`|酩酊破砕《めいていはさい》・|轟雷舞《ごうらいぶ》`」*
***ゴォォンッッ!!!***
**ドシャアアァァァ………**
沙雪「…!?」
何が起きているのか理解できなかった。
目の前が青色で覆われていた。
顔を横にずらすと、原型も残らない土蜘蛛が灰になっていた。
その時、ようやく理解できた。
私は灯和の胸の中にいたのだ。
*灯和「………沙雪ちゃんに…触るな……!!」*
【報告】ネタ切れです⭐︎これを見た方、時間があればリクエストしてください…!!
【こどおにっ!】灯和が風邪!?《3》 & キャラデザ(華竜)
灯和「……沙雪ちゃんに…触るな…!!」
沙雪「………!灯和……」
灯和は上半身を起こして私を抱き寄せる形で金棒を構えていた。
灯和の目は、しっかりと土蜘蛛を捉えていた。
しかし、その目はいつも私たちに向ける温かい目ではなかった。
その目はまるで、獲物を狙う猛獣のような、恐ろしく圧のある目だった…
*__グラッ…__*
**ドサッ…**
沙雪「きゃあ…!?」
突然灯和の体が傾き、私たちは雪の中に倒れる。
灯和は腕を顔に乗せて、大きく息を吐いた。
__灯和「……………はぁー………」__
沙雪「……!!灯和大丈夫!?」
__灯和「………づがれだ…」__
灯和の声色は、先ほどまでの圧など感じさせない、いつもの優しい声だった。
しかし、かなり息を切らして、疲れ切っていた。
沙雪「……ごめんなさい…私足手纏いで………」
__灯和「………そんなことない………」__
沙雪「…?」
__灯和「……沙雪ちゃんがいなかったら…僕は動けてないから……」__
息を整えながら、灯和は少しずつ話してくれた。
私は静かにそれを聞く。
__灯和「………沙雪ちゃんも多分…気づいてただろうけど…土蜘蛛たちは…僕らの力を沢山奪ってた……」__
__ 「…沙雪ちゃんが逃げてくれなかったら……僕は死んでた…と思う…………」__
沙雪「……!!」
__灯和「……僕を助けてくれて…ありがとう……」__
灯和はそう言って、私に小さく微笑んだ。
救われたのは私なのに、逆に感謝されてしまって、なんだかむず痒い。
私も小さく微笑み返した。
しばらく、二人だけの時間が過ぎて行った。
すると、私たちの上に大きな影が現れた。
私たちは上を見上げる。
沙雪「………わぁ…!!」
そこには、巨大な竜の姿があった。
しかし、竜翔ではなかった。
体は雪のように白く、たてがみは柱状の氷のようだったから。
その竜はゆっくりと、私たちの目の前に降り立った。
ぼわんっ!
??「はいっ!着陸成功〜!!」
沙雪「…?だ、だれ…?」
??「ん〜?だれ〜?」
やけに冷たい煙と共に目の前に現れたのは、小さな少女だった。
---
その少女は、雪のように白い髪が美しい子だった。
右のもみあげだけが水色で可愛らしい。
目は淡い水色で、白い髪によく映えていた。
着物は私と良く似た、白と水色のグラデーションだった。
所々に入っている雪の結晶の模様がキラキラしていて美しい。
その後ろからは、竜翔とよく似た、大きな尻尾が見えていた。
頭にはまっすぐな茶色の角が二本生えていた。
しかし、こんな竜は見たことがない。
この子は一体……
---
??「…あ!灯和お兄ちゃん!大丈夫そ?」
__灯和「…んー…しんどい…かな……」__
??「そっかー。じゃあ後で運ぶね!」
__灯和「……ありがと…」__
??「………ん?」
その少女はこっちに目を向けた。
その瞬間、彼女の目が輝く。
??「わぁ〜!!ねぇ、お姉ちゃんってもしかして沙雪お姉ちゃん!!?」
沙雪「え、えぇ!?なんで知ってるの…!?」
??「兄さまからお話聞いてるよ!!私の着物ちゃんと着てくれてる〜♪」
沙雪「え?この着物あなたが作ってくれたの…!?」
??「うん!そーだよ!!」
沙雪「そうなんだ…ありがとう…!あの、お名前は…?」
??「私はねー、華竜って言うんだ〜!よろしくね〜♪」
華竜と名乗る少女は、私の手を取りながらぴょんぴょんと飛び跳ねている。
私はそれを見ていたら、突然視界が傾いた。
パタッ…
沙雪「……?」
私は雪の中に倒れ込んでいた。
疲労や怪我のせいだろう。頭がくらくらする。
多分、この状態で歩くのは無理だろう。
華竜「うわぁ!?お姉ちゃん大丈夫!?」
沙雪「……多分大丈夫じゃない…かな……」
華竜「ん〜、じゃあ寝てていいよっ!私が家まで運んであげるから!!」
沙雪「………ありがとう……」
その言葉を最後に、私はゆっくりと目を閉じた。
---
竜翔「もう少しで屋敷に着くからね…!」
天舞「おー、結構早かったなー。」
猫葉「む〜、つまらんの〜…」
竜翔「遊びに行ったわけじゃないんだから……って…ん?」
天舞「ここら辺、なんか荒れてないか?」
猫葉「……いや、木が倒れとる。明らかに何かあったな。」
竜翔「……ん?あれ…なんか人影が見える……」
天舞「ん?どこだ?」
**竜翔「………え!?あれ火影じゃない!!?」**
**天舞「はぁ!!?」**
猫葉「本気でゆうておるのか?」
ぼわんっ!
火影「……………」
**天舞「起きろこのクソ狐っ!!!」**
*ゲジッ!!*
火影「………?……ああ、天舞か……」
竜翔「いやいやそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!」
天舞「反応的に重症だな。なんでこんなところで座り込んでんだよ?」
猫葉「おぬし頭から流血してるのは自覚しておるのか?」
火影「……あ?」
__スッ…__
ベタァ……
火影「……本当だな…気づかなかった…」
天舞「お前マジでバカじゃねぇの!!?」
竜翔「ほらこれで抑えて早くっ!!」
火影「ん……」
竜翔「とりあえずボクの能力で応急処置はするから大丈夫だろうけど……」
猫葉「何があったんじゃ?」
火影「………土蜘蛛が…大量に襲ってきた………」
天舞「土蜘蛛ぉ!?」
猫葉「沙雪たちはどうしたんじゃ?」
火影「……華竜が対処してくれたはずだ……」
竜翔「え!?華竜来てるのっ!!?」
火影「ああ…さっき…来てい……た…………」
ぐらり…
天舞「うおぉ!!?」
猫葉「急に限界がきたな…」
竜翔「とりあえず屋敷まで運ぶよっ!話はその後で聞く!二人とも捕まって!」
天舞「おう!」
猫葉「捕まったぞ!」
ぼわんっ!
---
--- 屋敷にて… ---
竜翔「………なるほど…?つまり灯和の熱は土蜘蛛のせいってこと…?」
火影「そう言うことになるな。」
天舞「でもまさか、沙雪も怪我するなんてな〜……」
__猫葉「土蜘蛛許さん次会ったら粉微塵にしてくれるわクソ虫が……(ブツブツブツ)」__
竜翔「猫葉も落ち着いて…でも華竜はどこ行ったんだろ……」
__ガラガラ……__
華竜「……あ!兄さま〜♡」
竜翔「あ、華竜っ!!久しぶり〜!」
ぎゅ〜!
華竜「…あ!天舞お兄ちゃん!猫葉お姉ちゃん!久しぶり〜!!」
猫葉「お〜!久しぶりじゃの〜華竜!!」
ぎゅっ!
天舞「でも急にどうしたんだよ?用事があったのか?」
華竜「通りかかっただけだよ〜?だから明日には帰るよ!」
火影「随分と早いな。」
華竜「ん〜、動物たちも世話しないとだしね!」
竜翔「そっか〜…とりあえず、お茶でも入れようか?」
華竜「うん!あ、私も入れるの手伝う〜!!」
天舞「俺もお菓子取る!」
猫葉「ワシも!!」
竜翔「ちょっ、全員で来ないでよ〜!!」
__たたっ…__
火影「…………」
__ちらっ__
__灯和「………すぅ……すぅ……」__
__沙雪「…………ん……」__
火影(………二人ともゆっくり寝てるな……よかった………)
「…私も寝るか……疲れた………」
__ゴロン…__
そして部屋には、三人の静かな寝息だけが残りましたとさ。
---
完
読書が好き🍵です。
マジで意味不な終わり方で申し訳ない…気力が持ちませんでした…
その代わり!リクエストをいただいたのでそれを頑張ります!!
あと、新キャラ『華竜』のキャラデザも発表します。
本文とは違う姿なので、そこは温かい目で…(は?)
それではまたどこかで……
華竜キャラデザ:https://firealpaca.com/get/AhZ0i0NH
【こどおにっ!】甘えんぼ猫葉
--- ~とある昼過ぎのこと~ ---
沙雪「~~♪」
__ダダダダダ……__
**猫葉「沙雪ーー!!!」**
沙雪「きゃあ!って猫葉ちゃん?どうかしたの?」
猫葉「ワシを撫でろっ!!」
そう言って猫葉は私に頭を押し付けてくる。
かなりの力で思わずよろける。
グリグリ…
沙雪「いててて…わかったからやめて〜!」
猫葉「むふんっ!」
沙雪「じゃあお膝の上座ってくれる?」
猫葉「わかった!!」
__ごろ〜ん…__
沙雪「よし…!」
なでなでなで……
猫葉「んなぁ〜♡これじゃこれ〜♡♡」
沙雪「相変わらず首好きだね〜。」
猫葉「ん〜…」
沙雪(……他の場所も試してみるか……)
__スッ…(頭に手を置く)__
なでなで……
猫葉「!なんじゃ…!?」
沙雪「ど、どう…?」
猫葉「…………これはこれでありじゃあ〜……♡」
沙雪「そうなんだ…?じゃあ……」
__スッ…(背中に手を置く)__
なでなで……
猫葉「…………」
沙雪「…?どうしたの…?」
猫葉「……ん〜…気持ちいいんじゃが…頭に比べるとそんなにじゃの。」
沙雪「そっか…それなら……」
__スッ…(尻尾に手を置く)__
なで…
**猫葉「っ!!やめろっ!!!」**
沙雪「わぁっ!?ご、ごめんね…!!」
猫葉「尻尾は神経が詰まっておるから敏感なんじゃっ!!気をつけろ!」
沙雪「わかった!……ならこことか…?」
(…確かここは気持ちいいって聞いたことある……)
__スッ…(尻尾の付け根に手を置く)__
ぽんぽん……
**猫葉「にゃああぁぁ!!!?!?うわわわっっ!!?」**
沙雪「え、えぇ!?だ、大丈夫!!?」
猫葉「はぁ…はぁ…わからん……すごく何かが刺激された………」
沙雪「ごめんね……」
猫葉「……平気じゃあ…」
沙雪「………じゃあやっぱり…」
__スッ…(顎下に手を置く)__
なでなでなでなで……
沙雪「…ここ?」
猫葉「……やはりここじゃのぉ…♡」
沙雪「やっぱり?」
猫葉「ん〜…♡最高じゃあ〜…♡♡」
沙雪「ふふっ…猫葉ちゃんは可愛いね。」
(………………)
私は一度やってみたかったことをしてみることにした。
私は猫葉の頭に焦点を合わせる。
猫葉「……ん?どうしたんじゃ?」
沙雪「………猫葉ちゃん…ちょっと失礼します…!」
**ぽふんっ!**
すんすん…
**猫葉「にゃっ!?急に何してるんじゃ!?」**
沙雪「……お日様の匂いがする……」
猫葉「まさかおぬし…匂いを嗅いでおるのか…?」
沙雪「うん…気持ちいい……」
「………ねぇ…このまま寝ていい…?」
__もぞもぞ…__
猫葉「……別に良いが…おぬしも変わってるのぉ………」
「……ふわああぁぁぁ……ワシも眠たくなってたの…………」
沙雪「ふふ…おやすみ………」
__うと…うと……__
---
竜翔「沙雪ちゃーん!猫葉ー!お茶入れるからおいでー!」
灯和「……ん?あれって……」
竜翔「…あれれ…?」
__たたっ…__
__沙雪「………………」__
__猫葉「……ん〜………むにゃむにゃ………」__
灯和「あらら…これは完全に寝ちゃってるね……」
竜翔「…お茶は後にしよっか。とりあえず今は寝かしといてあげよ?」
灯和「うん、そうだね。……あ、そうだ!」
__ふわっ……__
灯和「……一応冷えるかもだからね。」
竜翔「…でも今日は、本当に気持ちいい小春日和だね〜。」
灯和「だね〜…」
---
完
絶賛ネタ切れ中です(*^^(((🤛
【こどおにっ!】王様げぇむ?をしてみよう!《1》
**猫葉「王様げぇむ?をするぞっ!!」**
猫葉が唐突にそう言い出した。
私たちは、特に私以外はきょとんとする。
灯和「え…?何それ…?」
竜翔「知らない遊びだね……」
火影「急にどうしたんだ?」
天舞「あー、この前の街で見かけたやつだな。」
猫葉「そうじゃ!!楽しそうだったからワシらもするぞ!!」
沙雪「ルールはわかるの?」
猫葉「……………」
沙雪「……私が説明するね!」
---
**ー 王様ゲームの用意 ー**
①人数分の棒を用意する
②一つには『王』の印をつけ、それ以外には順番に番号を書く
③それが見えないように箱や筒に入れたら完成
**ー 王様ゲームのルール ー**
①全員で「王様だーれだっ!」と言い、一斉に棒を引く
②王になった人が番号でしてほしいことを指示する(例:2番と4番が変顔 etc…)
③棒を元に戻し、①~②を繰り返す
---
沙雪「………よしっ!準備できたよ!」
竜翔「沙雪ちゃん、この箱でいいかな?」
沙雪「うん!これを入れたら……できた!」
灯和「楽しそう…!」
天舞「じゃあ早速するか!」
火影(……すごく嫌な予感がする……)
沙雪「じゃあ…」
**猫葉「王様ゲーム、スタートじゃっ!!」**
---
**全員「王様だーれだっ!!」**
王様:竜翔
1番:沙雪
2番:火影
3番:灯和
4番:天舞
5番:猫葉
竜翔「あ、ボクだ!」
火影(ふぅ…)
沙雪「どうする?」
竜翔「じゃあ〜…3番が5秒間逆立ち!!」
猫葉「おーきつそうじゃのー。ワシは違うぞ?」
灯和「あ…僕だ……」
天舞「お前逆立ちできんのか?」
灯和「一応できるよ…よいしょっ…と!」
ひょいっ…
猫葉「うおっ…!?」
竜翔「やっぱり灯和って運動神経いいよね…」
灯和「種族が種族だからね…」
火影「…すごいな。」
灯和「照れるからやめて…////」
とんっ…
灯和「……はい!やったよ!」
竜翔「はーい!じゃあ次行ってみよー!!」
---
**全員「王様だーれだっ!!」**
王様:天舞
1番:灯和
2番:猫葉
3番:沙雪
4番:竜翔
5番:火影
天舞「っしゃあっっ!!!俺だっ!!」
竜翔「あ…」
灯和「嫌な予感……」
火影「………」
天舞「ん〜、じゃあ3番が4番をおんぶしろっ!!」
竜翔「え…?ボク4番だけど……」
沙雪「…私3番………」
沙雪「……////」
竜翔「………っ!!/////」
火影「姉弟だな。」
灯和「姉弟だね。」
猫葉「おぬしらお似合いじゃのぉ〜!!!」
竜翔「……猫葉は許さない…!!////」
猫葉「おーこわいこわい。」
天舞「おし!じゃあ次行くかっ!!」
---
**全員「王様だーれだっ!!」**
王様:灯和
1番:天舞
2番:火影
3番:猫葉
4番:竜翔
5番:沙雪
灯和「あ、僕だ。」
天舞「一番安心感あるな。」
沙雪「ね。」
灯和「じゃあ…1番と2番は10秒手を繋いで!」
天舞「俺一番だぞ?」
火影「…2番だ。」
天舞「………は…?」
沙雪「あ。」
天舞「屈辱だ…なんで俺がこいつと…!!」
火影「…………」
猫葉「にゃはははっ!!!おぬしら何しとるんじゃっ!!」
灯和「……8…9…10…!!もういいよ!」
**天舞「だあ゛あ゛あ゛ああああ!!!!」**
**ブゥンッ!!**
竜翔「そんなに嫌なの?」
天舞「嫌に決まってんだろっ!!」
灯和「次行こっ!」
---
**全員「王様だーれだっ!!」**
王様:沙雪
1番:天舞
2番:竜翔
3番:猫葉
4番:灯和
5番:火影
沙雪「あ…私だ…!」
猫葉「どうするんじゃあ?」
天舞「ヤバいのはやめろよ…?」
沙雪「そうだなぁ…じゃあ4番が3番をよしよしして!」
猫葉「ワシ3番じゃが……」
灯和「あ、4番僕だ…」
猫葉「!!はよう撫でろっ!!」
灯和「あ、うん!」
よしよし…
猫葉「……ん〜♡」
竜翔「平和だね〜。」
天舞「だな。」
沙雪「よかった…それじゃあ次行
***ピカーン!!!***
沙雪「!!?」
突然目の前の箱が光りだし、みんな目を疑う。
光が収まってそこを見ると、謎の人物がそこには浮いていた。
??「ふぉっふぉっふぉっ……」
沙雪「!?」
そこには小さなお爺さんが浮いていた。
長い髭を撫でて、雲のようなものに乗っている。
まるで仙人のようだ。
灯和「ひっ…!!」
火影「……お前は誰だ?」
??「わしは投稿主の分れ……いや、『ご都合展開』を司る仙人じゃよ……」
竜翔「ごつごうてんかい…?」
天舞「何言ってんだこの爺さん。」
仙人「お前達は今『王様ゲーム』をしておるのじゃろ…?」
沙雪「は、はい……」
仙人「そんなの『どうぞご都合展開起こしてください』と言っとるものじゃ…」
「……画面の前のお前達もそう思うじゃろ…?」
沙雪「……?画面の前…?」
仙人「だからわしはここに来たのじゃ…感謝しなさい……ふぉっふぉっ……」
猫葉「……このジジイ頭がイカれておるのか?」
灯和「こら猫葉っ!しー!」
仙人「今回はお前達のために、わしが力を授けてやろう……」
火影「力?」
仙人「そうじゃ…詳しく言えば、王が望めばどんな願いだって叶う力じゃ……」
「まさに『ご都合展開』って感じじゃろう…?」
竜翔「はぁ…」
火影「なんでそんなことするん
**仙人「わしがみたいからに決まっておるじゃろっ!」**
火影「食い気味だな……」
仙人「…‥まだ信じておらんな?……ならこれで信じてもらえるかのぉ…?」
**ぼわわわんっ!**
パッ
**華竜「わぁ!!?」**
**どすんっ!**
竜翔「!?華竜!!?」
火影「!?」
華竜「いててて…あれ、兄さま…?……しかもここ灯和お兄ちゃんのお屋敷…?」
灯和「………本当に仙人さんなんだね……」
仙人「ふぉっふぉっふぉっ……ようやく信じてもらえたか……」
「……それじゃあわしは失礼するかの…是非面白いゲームを見せておくれ…」
どろんっ!
突然煙が巻き上がり、それが消えることには仙人の姿はもうなかった。
華竜「……えっと、まず状況を教えてくれる?」
天舞「実は カクカクシカジカ っていう訳なんだ。」
華竜「何それ楽しそう!わたしもやるー!」
沙雪「わかった…!じゃあもう一本作るねっ!」
火影「……なぜこうなった……」
沙雪「………よしっ!できたよ!華竜ちゃん、ルール知ってる?」
華竜「うんっ!知ってるよ!」
竜翔「ならもう始めよっか!じゃあ…せーのっ!」
**全員「王様だーれだっ!!」**
【こどおにっ!】王様げぇむ?をしてみよう!《2》
**全員「王様だーれだっ!!」**
王様:天舞
1番:灯和
2番:火影
3番:猫葉
4番:沙雪
5番:竜翔
6番:華竜
天舞「また俺だっ!!」
沙雪「……仙人さんが言ってた『どんな指示もできる』って本当かな…?」
灯和「…やってみないとわからないね……」
天舞「じゃあな〜、5番!今からゲームが終わるまで語尾に『ニャー』をつけろ!」
火影「最悪な命令だな。私は違う。」
華竜「私もちが〜う!」
猫葉「ワシもじゃ。」
灯和「僕もだよ…?」
沙雪「私も違うよ………ってことは………………」
全員が同じ方向を向く。
竜翔「…………………」
沙雪「あ…」
竜翔「……なんでこうなるんだニャー…」
**天舞「ぶっはぁ!!!?お前マジかよ!!!!」**
**猫葉「ニャッハハハッ!!これは傑作じゃのぉ!!!」**
そう言って二人は転げ回っている。
灯和「……大丈夫…かわいいよ…?」
沙雪「…そ、そうだよっ!いいんじゃない?」
華竜「兄さまかわいいよー!」
竜翔「…やめてニャ…」
天舞「あー笑った!!じゃあ気を取り直して次行きますかー!」
---
**全員「王様だーれだっ!!」**
王様:華竜
1番:竜翔
2番:天舞
3番:猫葉
4番:火影
5番:灯和
6番:沙雪
華竜「わ〜い!私だ〜!!」
猫葉「お、どうするんじゃ?」
竜翔「キツイのはやめてニャ…」
華竜「そだな〜…」
きゅうくるる__るるるるる……__
華竜のお腹が小さくなる。
華竜「…あ!じゃあ4番さん、みんなのお茶とお菓子持ってきて〜!!」
沙雪「さっきのに比べたらだいぶ優しく見えるね…」
竜翔「ニャ〜…」
灯和「まぁまぁ……」
火影「私だな。何がいい?」
華竜「私お煎餅!」
猫葉「煮干しっ!!」
天舞「まんじゅう!!」
火影「……わかった。少し待っていてくれ。」
そう言って火影さんは部屋を出ていった。
暫くすると、少し大きめのお盆を持った火影さんが帰ってきた。
火影「これで足りるか?」
灯和「わぁ〜!美味しそう!」
天舞「俺一番っ!!」
猫葉「にゃっ!?ズルいぞ天舞っ!ワシも食べるっ!!」
華竜「いっただっきま〜す♪」
竜翔「ニャ〜!」
そう言って各々お菓子とお茶を楽しんだ。
私はおかきを少し摘んだ。
---
**全員「王様だーれだっ!!」**
王様:猫葉
1番:灯和
2番:天舞
3番:火影
4番:華竜
5番:竜翔
6番:沙雪
**猫葉「ワシじゃあぁ!!!!!」**
火影(終わったな…)
竜翔(終わった…)
沙雪(あらら……)
灯和「どうする?もう結構言っちゃったけど…」
天舞「確かにそろそろネタ切れか?」
猫葉「ふふん!おぬしらまだまだ甘いのぉ!!」
そう言って猫葉は鼻を鳴らした。
そして、仁王立ちで命令を下した。
**猫葉「1番は2番に愛の告白をしろっ!!!」**
竜翔「うっわ最低だニャ…」
沙雪「恥ずかしいね〜…」
火影「……誰なんだ?」
華竜「私も違うよ?」
場が凍る。
嫌な予感が背中を走り抜ける。
天舞「…………なぁ…俺2番なんだが……」
灯和「………僕…1番……/////」
その瞬間、目の前に小さな紙が落ちてきた。
それを読んだ灯和の顔が、一瞬で真っ赤になる。
恐らく、言葉の指示文が書いてあったのだろう。
竜翔「わ〜…灯和かわいそうだニャ……」
沙雪「が、頑張って…!!」
華竜「頑張れ〜!!」
灯和「………っ!ええいっ!!どうにでもなれっ!!!」
**ドンッ!!**
灯和は突然天舞を押し倒した。
全員の視線が二人に向く。
しばらくの沈黙ののち、灯和がゆっくりと口を開いた。
灯和「……君、ずっと前から僕に堕ちてたよね…?ずっと気づいてたよ。」
「でも実は、ずっと前から堕ちてたの、僕の方なんだ。恥ずかしいな…」
「だからここで言わせて。君は誰にも渡さない。君は今日から僕のものだ。」
「今日からよろしくね…僕の子猫ちゃん……?」
言い終わった後、長い沈黙が流れた。
天舞「……………」
**「……気持っち悪いぃぃぃぃぃ!!!!?!?」**
灯和「ああぁあぁぁぁぁ……!!!!/////」
二人の悲鳴が部屋に響いた。
灯和「僕もう生きてけない…!!////ここ出てくっ!!//////」
天舞「あ゛あ゛あ゛あああ!!やっば!!!鳥肌やっばっっ!!!!」
火影「落ち着け灯和っ!」
華竜「だ、大丈夫だからっ…ね?……ふふっ……」
**沙雪「落ち着いてーーー!!!!!」**
---
**全員「王様だーれだっ!!」**
王様:竜翔
1番:火影
2番:沙雪
3番:天舞
4番:華竜
5番:灯和
6番:猫葉
竜翔「あ、ボクだニャ。」
__灯和「…………グスッ……」__
__天舞「おああぁぁぁ………」__
沙雪「だ、大丈夫…?」
__灯和「大丈夫じゃない……恥ずか死にそう…」__
竜翔「……さっきの記憶を二人から消してニャ!」
*ピカーン!*
竜翔がそう言った瞬間、二人が光に包まれた。
その光が消えたとき、二人はキョトンとしていた。
天舞「…ん?俺なんでこんな隅にいんだ?」
灯和「あれ?なんで僕こんな泣いてたんだっけ…?」
記憶が一部なくなった二人を背に、私たちは小さな円を作る。
竜翔「………あれはボクたちだけの秘密にしようニャー……」
火影「そうだな。」
猫葉「そうじゃな。」
沙雪「うん…」
華竜「本当に可愛かったけどなー。」
---
火影「……あ、そろそろ夕飯の時間だな。」
沙雪「あ、ほんとだ…」
灯和「じゃあそろそろ終わりにしないとね。」
華竜「えー!時間経つのはやーい!!」
竜翔「じゃあ次で最後にしよっか。」
天舞「ほーい。」
猫葉「じゃあ行くぞー!!」
**全員「王様だーれだっ!!」**
王様:灯和
1番:猫葉
2番:火影
3番:沙雪
4番:竜翔
5番:華竜
6番:天舞
灯和「僕だー!」
猫葉「さー最後はどう来るんじゃ?」
沙雪「難しいのはやめてね….?__さっきみたいになるかもだし…__」
天舞「あ?なんか言ったか?」
沙雪「ううん!なんでもないよっ!」
灯和「じゃあー…2番さんと5番さん、今日の夜ご飯一緒に作ろっ!」
火影「わかった。」
華竜「はーいっ!」
竜翔「華竜って料理できるのかニャ?」
華竜「わかんないっ!」
猫葉「おー不安じゃのー!」
天舞「思ってないだろ。」
灯和「じゃあ華竜ちゃん、火影、行こっ!」
華竜「は〜い!」
そう言って三人は台所に消えた。
竜翔「ハプニングもあったけど、楽しかったねー!」
天舞「だなー!」
猫葉「また暇なときにやりたいのぉ!」
沙雪「そうだね…!」
こうして、また平和な空気が部屋に流れていった。
……やることがないのも、たまにはいいな〜……
---
完
【こどおにっ!】或る夜の話
〜竜翔 side〜
今日は綺麗な月が空を飾っている。
星が夜の暗闇に温かい光を零していて美しい。
今日は動物たちも寝静まっていて、とても静かだった。
夜に響くのは、ボクの笛の音色だけ。
竜翔「〜〜〜♪〜〜〜〜♪」
ひゅ〜〜♪
柔らかい風に乗って、笛の音が広がっていく。
ただその音が、この森の夜を暖かく包み込んでいた。
ああ、この森は今日も平和で幸せだなぁ。
……でも。
今日はなぜか、風がいつもより、寂しく聞こえた。
__トンッ…__
そのとき、ボクが座っている屋敷の屋根が、僅かに揺れた。
そしてその音は一定のリズムを奏でながらこちらに近づいてきた。
しかしその音は、遅く、重く、悲しく響いていた。
__トン…__
__トン…__
__トン…__
ボクは、なんとなく音の正体に気づく。
竜翔「………………」
そして、その音の主はボクの横に静かに立った。
ボクは笛を止めて、そっちを静かに振り返る。
??「……………竜翔…すまない……」
竜翔「……どうしたの?火影。」
火影「…………」
---
ボクと火影は、屋根の上で森を眺めていた。
ボクはそっと火影の方を見た。
火影の表情は、いつもと比べて暗く見えた。
それは夜の闇のせいなのか、彼の深く入り乱れる感情のせいなのか……
竜翔「……《《あの夢》》?」
火影「…………ああ。」
その声にいつもの覇気や強さはなかった。
目は虚で、どこか不安と苦悩が混じっていた。
火影「……竜翔。」
竜翔「ん?」
火影「…私は…本当にこのままでいいのだろうか……?」
竜翔「……どういうこと?」
冷たい風が流れる。
火影の左手に僅かに力が入ったのを、ボクは見ていた。
火影「私は、灯和にも、沙雪にも、猫葉にも、天舞にも、嘘をついている。」
「友達を騙して、家族を騙して、挙げ句の果てには自分を騙して。」
「自分の意思もまともに言えずに強がって大人ぶる。」
__「…………ただ…素直になるのが……怖いんだ………」__
竜翔「………」
そう話す声は、少し震えていた。
火影「私はどうしようもなく怖がりな嘘つきだ。」
「……竜翔……私は…本当でこれでいいのか…?」
そう言ってこちらを覗いた眼差しは、僅かに不安で揺らいでいた。
ああ、火影はいつもこうだ。
強くて、弱くて、優しくて、脆い。
竜翔「……………火影は、強いよ。」
火影「……?」
竜翔「…火影は本当によくやってると思う。ボクもいつも助けてもらってる。」
「………でも、ちょっと溜め込みすぎだよ。」
「自分の不安も、悩みも、全部自分だけで解決しようとしてる。」
火影「……………」
ボクと火影は、お互いの目を見つめた。
竜翔「…天舞にも、まだあの事言えてないでしょ…?」
火影「!……言えるわけないだろう……」
竜翔「…《《呪い》》のことも、《《昔のこと》》も、まだ話す気はないの?」
火影「…………」
火影は力無く頷いた。
普段からは想像できないほど弱っている火影を見ると、胸が痛んだ。
でもボクは、返事をすることしかできなかった。
竜翔「……そっか。」
ボクらはまた、正面の森に目を映す。
そこには、ずっと変わらない自然があった。
長い時間が過ぎて、ボクはゆっくりと口を開く。
何もしてあげられないボクだけど。
それでも言いたいことがあった。
竜翔「………ねぇ火影…?」
火影「…………?」
竜翔「確かに火影は強い。でも、やっぱり限界もあるんだ。」
「火影は自分を追い込む性格だから、ずっと無理をしてる。」
「…でも、そんな時のための『家族』だと、ボクは思うんだ。」
火影「!!」
竜翔「……もっとボクらのことも頼ってね…」
火影「…………そうか…わかった…」
__「……ありがとうな。」__
竜翔「家族でしょ?」
火影「……そうだな。」
その時、ようやく火影が小さく笑った。
僅かな寂しさとたくさんの優しさ含んだその笑顔に、ボクもつられて笑う。
竜翔(………火影も、生きづらいんだよね……)
その時、ボクの目に強い光が差し込んだ。
あまりの眩しさに、思わず目をつぶってしまう。
気づけば、緑と空の境目から太陽が顔を覗かせ始めていた。
じきに動物たちも目を覚ますだろう。
竜翔「もうこんな時間かぁ…」
火影「……もう屋敷に帰るか?」
竜翔「そうだね。朝ごはんも作らないといけないし!」
火影「そうだな。」
ボクらはみんなを起こさないように、静かに立ち上がった。
そして、また新しく一日を始めた。
---
完
【🎉誕生日🎊】記憶 & お知らせ
はいっ!投稿遅れてごめんなさい☆(は?)
実はこれを準備してたんですよ!
自分でもびっくりするくらい長いので、時間のある時にどうぞ!
⚠️14048文字⚠️
〜火影 side〜
火影「…………」
私は今、一人で泉に来ている。
以前ここにきた時に、飛ぶ様子が少しおかしい鳥を見かけたからだ。
しかし今日は、怪我どころか具合が悪そうな動物さえ見つからない。
だから、少し様子を見ていることにしたのだ。
__チュンチュン…__
__サラサラ…__
近くでは動物たちが思い思いに過ごしている。
泉には日光が反射して、水面が静かに揺れている。
何も変わらない、いつもの一日。
しかし、私の心には僅かに影がかかっていた。
火影「…………」
何百年も前の記憶が脳を掠める。
思い出すたびに、私の心が影をつくっているような気がした。
私は目を閉じて、あの日々を記憶の底から手繰り寄せて行った。
---
---
あれは…確か私が10歳ほどの頃だっただろうか。
私は深山の集落に育った、ただの少年だった。
__タッタッタッ…__
子供「あ、いた〜!一緒に遊ぼ〜!凪沙っ!」
凪沙「…うんっ!遊ぼっ!」
私が人間だった頃の名は、『|御影《みかげ》 |凪沙《なぎさ》』だった。
---
私には一人の友人がいた。
名前は『|東《あずま》 |武彦《たけひこ》』だ。
武彦「なぁ凪沙、今日こそ《《ここ》》行ってみようぜ〜!!」
凪沙「えぇ!?ダメだよ!この山には勝手に登るなって言われてるでしょ?」
武彦「大丈夫大丈夫!バレやしねーよ!探検したいんだって頼むよ〜!」
凪沙「確かに僕も気になるけど、あそこには
**大人「こらっ!!そこで何をしてるっ!!」**
突然の怒号に、私たちは飛び上がった。
武彦「うへー!!大人いたのかよ〜…」
大人「『大狐様』が祀られている神聖な場でお前たちは一体何をしてる!!?」
この村は、『大狐様』というものと契約をしていた。
しかし、契約内容は教えてもらったことがない。
聞いても、「お前たちはまだ知らなくていい」と門前払いだ。
だから私は、本で調べたことがある。しかしそこには、
--- 《村に平和をもた~~らす代わ~~ ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎》 ---
と書かれていて、契約内容が途中から黒ずんで読めなくなっていた。
だから私は、大人になるまで気にしないことにしたのだ。
凪沙「ご、ごめんなさい……」
大人「はぁ…どうせまた武彦が凪沙を無理やり連れてきたんだろう?」
武彦「そそそそんなことねぇよな!!な!?」
凪沙「……………(汗)」
大人「…武彦、後で親御さんに連絡するからな。」
武彦「それだけは勘弁して〜!!」
武彦の焦る姿が少し可笑しくて、私はクスッと笑う。
「くっそー!」と叫びながら引きずられていく武彦を見送って、私は家に帰った。
私は確かに笑っていたのだ。
……《《あの日》》までは。
---
__トントン…__
ある日の夜中、突然家の戸がなった。
父と母が眠気眼をこすりながら戸を開けると、そこには村の長が立っていた。
その口元は不気味なほど笑っており、目に光は宿っていなかった。
私はその目に少し恐怖したのを今でも覚えている。
凪沙(もしかして、この前山に入ろうとしたから怒られる…?)
私は幼心から、そんなことを考えていた。
しかし、満面の笑顔を飾った長の口から出された言葉は、もっと残酷なものだった。
村長「凪沙くんが、『大狐様』への生贄に選ばれました。」
一瞬、時が止まったように感じた。
背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
父親「そうですか…うちの子が選ばれましたか……!!」
母親「有り難や有り難や…うちの凪沙が『|御禊児《みそぎご》』に選ばれるなんて…!」
父親「『大狐様』の生贄になれるなら、あの子もきっと喜ぶだろうな。」
私は急激に心拍が高まるのを感じた。
凪沙(え…?僕がいけにえ?みそぎご?何それ?知らない知らない……)
足に力が入らなくなり、私はその場にへたりこんだ。
__ドサッ…__
その瞬間、大人たちが全員こちらを見た。
__ニチャア……__
あの時の気味が悪い笑みを、私は永遠に忘れないだろう。
私は逃げたが、近くの岩で後頭部を殴られ、気を失った。
---
私が気がつくと、例の山の上まで連れてこられていた。
板に乗せられたまま、床に置かれていた。
身体中を縛られていて、口には縄を咥えさせられていた。
手首や太腿には、訳がわからない言葉が書いてある札が大量に貼られていた。
周りでは大人たちが僕を運びながら楽しそうに話している。
私は焦りと不安の中、そっと耳を傾けた。
__村人「今年の御禊児は健康で病気もない。生贄にはもってこいですなぁ…!」__
__村人「きっと『大狐様』も喜んでお召しになってくれるでしょう!」__
__村人「来年は大豊作どころか天候にも恵まれるかもですな。」__
__村人「もしやするとあの御禊児が新たな『守神』になるかもしれませんなぁ…」__
凪沙(……僕が生贄…?『大狐様』のご飯…?新しい守神…?)
私の頭では理解が追いつかなかった。
何かの冗談だと思った。
しかし、何処かから聞こえてきた声で、私は全てを理解せざるを得なくなった。
村人「『村に平和をもたらす代わりに村の子を生贄として喰わせる』……」
「…この契約は、実に素晴らしいですなぁ……」
時が止まった。
私は全身から一気に汗が吹き出すのを感じた。
手足がカタカタと震えて、目の前が汗で滲んでいくのを感じた。
**ガタンッ……**
突然の振動と共に、私は大人たちに持ち上げられた。
目の前には、巨大な祠があった。
扉には私と同じ札が貼られていて、明らかに《《ナニカ》》を封印していた。
大人たちはゆっくりとその扉を開ける。
***ギイィィィ……***
………中には、異様なほど大きい『大狐様』がいた。
体は闇のように黒く、目は縦向きに一つだけあり、口からは涎を垂らしていた。
村長が『大狐様』の前まで歩み寄り、崇めるように囁いた。
村長「ああ、偉大なる『大狐様』。今年も新たな御禊児を連れて参りました。」
*`大狐`「……… 繧ヲ繝槭た繧ヲ繝翫ル繝ウ繧イ繝ウ… 繝ッ繧ソ繧キ繝朱」溘う迚ゥ………」*
凪沙「…………っっ!!!」
怖かった。今すぐにでもこの縄を解いて逃げたかった。
私は必死に叫んだが、大人たちはそれを見てニタリニタリと笑っていた。
**凪沙「ん…んー!!!ん゛ぅーーー!!!!」**
助けを求めたが、大狐の目は私から離れることはなかった。
ただ光の宿らない目で、私のことを見つめていた。
**凪沙「んんーー!!!ん゛んぅ゛ーーー!!!!」**
*クパァ……*
『大狐様』は大きく口を開ける。
口の中には、無数の黒い手がこちらへ手を伸ばしていた。
私の体がその腕に掴まれ、ゆっくりと飲まれるように引き摺り込まれる。
__ズルッ…ズルッ……__
***凪沙「ん゛ぅ゛ーー!!!!ん゛ん゛んーーー!!!!!」***
私は泣き叫んだ。
四肢が捥げるほどにもがいた。
しかし、意味はなかった。
***グシャッッッ!!***
私は村人達の喜びの声を聞きながら、『大狐様』に喰われた。
---
私は暗闇で目を覚ました。
凪沙?「…………?あれ…?僕食べられて……?」
体を縛っていた縄は全てなくなっていて、札は黒ずんでいた。
私はゆっくりと体を起こした。
だがすぐに、体の様子がおかしいことに気づいた。
私は恐る恐る頭の上に手を伸ばす。
そこには、《《毛で覆われた動物の耳》》があった。
背中からは、《《九本の狐のような尾》》が生えていた。
凪沙?「………!?何これ…?」
その時、もう一つ異変に気がつく。
先ほどから、《《感情が表情に出ない》》のだ。
さっきから私はずっと困惑してるはずなのに、私はずっと無表情なのだ。
凪沙?(な、なんで…!?なんでなの……!!?)
***ギイィィィ……***
その瞬間、目の前が突然明るくなる。
私は咄嗟にそちらに目を向けると、目を見開いた村人達がそこにいた。
凪沙?「…………っ!?」
村人 「……………………!!」
目が合った状態で、ひどく長い時間が過ぎたような気がした。
しばらくしてようやくよろよろと出てきたのは、村長だった。
村長は感動したかのように涙を流しながらつぶやいた。
村長 「……ああぁぁ…新たな守神だ……新たな守神の誕生だ…………」
村長は涙を流しながら、私に近づいてくる。
その目には、あの人は違う、異様なほどの光が宿っていた。
凪沙?「ひっ…!」
私は思わず後ずさったが、うまく体に力が入らない。
村長は私の前に跪き、崇めるように私に言った。
村長 「……あなたは新たなる村の守神なのですよ……有り難や…有り難や…!」
「…………ああ、そうだ…新たな名は『火影』としましょう……」
「……どうか末長く村をお守りください…『大狐様』……!!」
---
__火影「………………」__
私が祠に閉じ込められてから、早くも一年が経っていた。
私はただ一人、何もない空間で虚空を見つめていた。
__ギイィ……__
村人「『大狐様』、本日のお供物でございます…」
__火影「………いらない。」__
村人「そんなこと仰らないでください…ほら、とても上質なものばかりですよ?」
__火影「いらない。持って帰って。」__
村人「……では本日も、扉の前に置かせていただきますね。」
村人はそう言うと、扉の前に供物を置き、戸を閉めた。
__ギイィィ……__
また寂しくなった密室で、私はふと供物に目をやった。
そこには、いつも通りの供物があった。
山菜、川魚、高級菓子、上質な着物、金箔がついた椀……
火影(……?)
しかしその中に、いつもとは違うものが見えた。
私はゆっくりと近づき、それを手に取る。
火影「…………本と…紙?」
私は本の表紙を見る。
タイトルを見て、私はひっくり返るかと思った。
それは、私が探しても見つからなかった、この村の歴史が書かれた本だった。
火影「………!!こんなものいったい誰が…!?」
私は、慌ててもう一つの紙に手を伸ばす。
その手紙には一言、こう書かれていた。
--- 『遅れてごめん ぜったい助ける』 ---
火影「………!?……僕を…助けてくれるの…?」
---
私は本を読み漁った。
本を読んでいる間は、この地獄のような無の時間を感じなくて済んだ。
その本には、この村に関する全てが載っていた。
もちろん、《契約》に関することも。
この本のおかげで分かったことがいくつかある。
この村は長い年月にわたって、『大狐様』と契約していること。
『大狐様』は供物をもらう代わりに、村に幸をもたらすこと。
そして数年に一度、御禊児と呼ばれる子供の生贄を『大狐様』に捧げていること。
『大狐様』に選ばれた御禊児は、次の『大狐様』になること。
選ばれなかった御禊児は喰われて死ぬこと。
この契約は、この村が完全に滅びるまで続くこと。
今わかっていることは、それくらいだ。
火影(……でも一体誰がこんなことしてくれてるんだ…?)
しかし、祠から出ることが許されない私には、それを知る術がなかった。
だから私は、とにかく本を読んだ。
幸い、この狐のような姿になってから、疲れをほとんど感じていない。
私はこの呪いを解くために、無我夢中で本を読んだのだ。
---
火影(…………今年で2年目……)
私がこの姿になって、すでに2年と言う月日が流れていた。
最近、自分の身体に起きた変化が大体わかってきた。
まず、耳が圧倒的によくなった。
遠くの話し声も聞こえ、近くであれば場所や距離も把握できた。
次に、意識を集中させることで、物体の寿命を少し操ることができた。
私はその力を確認するために、供物の宝石に手を伸ばした。
そして意識を手元に集中させる。
火影(……………)
__ボロボロボロ……__
その瞬間、宝石は朽ちて、ボロボロと崩れ落ちていった。
手の中には、小さな光がふわふわと漂っていた。
私はその光を、端に置いてあった萎れた花に軽く投げた。
すると、花はみるみるうちに咲き誇り、彩りを取り戻したのだ。
しかし、どうやら形が崩れたものには使えないらしい。
何度か砕けた石や腐った供物に使ってみたが、私の力を通さなかった。
……そして、変化の中には辛いものもあった。
火影「…………」
それが、感情が表に出せないこと。
そして、誰かに愛情を伝える行為ができないことだった。
後者はもうどうだってよかった。
私が誰かに愛を伝えることなどもうないのだから。
しかし、前者はかなり辛かった。
この2年間、どれだけ苦しくても、それを表に出すことは許されなかった。
---
火影(………ここに閉じ込められて、もう5年か……)
私は結局呪いを解くことができず、何年も閉じ込められていた。
私は時々届く様々な本を読んでいるうちに、かなり博識になっていた。
しかし、この小さな祠の中では、そんなものは意味がなかった。
その日も私は何度も読み返した本を手に取った。
………しかし、その日はいつもと様子が違った。
火影(………今日はなぜか外が騒がしいな…)
そう、その日は朝から外で何かをしていたのだ。
いつも私に供物を持ってくる村人も、今日は全く顔を出さない。
私はあの日から異様に良くなった耳を澄まし、外の声を聞く。
すると、遠くにいるのであろう村人たちの声が、途切れ途切れ聞こえてきた。
__村人「……今年はいい………を見つけ………なぁ……」__
__村人「これなら………も……………こんで………るな!」__
__村人「それよりあの……はどこ…………んだ?朝から見えない……が?」__
__村人「それはまずい………早く……けて……して………の元……………かなければ…」__
火影(……誰がを探してる…?そして…何かを準備している…?)
その時だった。
***ガタンッッ!!!***
火影「!!?」
突然、祠の扉が勢いよく開いた。
私は扉の前に立っている人物を見て、驚愕のあまり声が出なくなった。
…そこには、かつての親友がいた。
火影「……武彦…?」
武彦「………遅れてごめんな、凪沙…」
武彦は、私の記憶の中の姿よりも背が高く、男らしい体つきになっていた。
その顔には、喜びと悲しみが浮かんでいた。
武彦は中に入り、そっと扉を閉めて私に近づいた。
武彦「急でごめんな。でも時間がないんだ。少しだけ聞いてくれ。」
火影「……?」
武彦「…今日は村の祭りなんだ。きっと供物も豪華で大規模になるだろうな。」
火影「…それがどうかしたの…?」
武彦「つまり、お前が外に連れ出される可能性があるってことだよ。」
外…
その言葉に、私はしばらく理解が追いつかなかった。
武彦「でもきっと村人達はお前が逃げるのを防ぐために特殊な縄で縛ると思う。」
火影「えっ…じゃあ出られても意味がない気が…」
武彦「そこでこれを使ってほしい。」
そう言うと武彦は懐を探った。
そうして取り出したのは、二つの神器だった。
火影「神楽鈴と…小刀…?」
武彦「そ!こいつらも特殊な作りでな、お前の能力を強化できる。」
火影「……!!」
武彦「凪沙、お前だって馬鹿じゃないだろ?ていうか俺より頭いいしな!」
「……こいつらを使って、この村から逃げろ。」
火影「!!!……この村はどうなるの…?」
武彦はため息をつきながら静かに首を振る。
おそらくは、呆れているのだろう。
武彦「お前なぁ…なんで自分を苦しめた奴らの今後なんか心配してんだ?」
「……まっ、そこがお前のいいところか!」
火影「……?」
武彦「…俺のことは心配しなくていいさ。またすぐに会える。」
火影「!じゃあ一緒に逃げられるの…?」
そう言うと、武彦は一瞬だけ真顔になり、またすぐに|戯《おど》けた顔に戻った。
しかし、その笑みには、迷いと悲しみが混ざっているように見えた。
武彦「さぁなー。まっ、どっかでは会えるだろっ!!」
「まっ!とにかくお前だけでも逃げろよっ!!逃げなかったら……」
火影「逃げなかったら…?」
武彦「お前の近くに化けて出てずっと見続けるからな!!」
火影「なにそれ、武彦っぽいね。」
武彦「………さて、そろそろ時間だな。俺はもう行く。」
そういうと武彦は立ち上がり、扉に向かって歩き出した。
その背中がどこか哀しく見えて、私は思わず声をかけてしまう。
火影「ね、ねぇ武彦っ…!!」
武彦「んー?」
火影「………だ……ゲホッ…!!?」
「大好き」といいかけて、私は大きく咳き込んだ。
その瞬間、自分にかけられた呪いのことを思い出した。
『誰かに愛情を伝える行為ができない』その辛さを、初めて実感する。
そんな情けない私の姿を見て、武彦は今までにないくらい優しく笑った。
武彦「……俺も大好きだよ。」
__ギイィィィィ……__
**バタンッッ!!!**
部屋にはまた、いつも通りの空虚が訪れる。
しかし、私の心には、今までにないほどの孤独が襲って来たのだった。
私は手に握らされた神楽鈴と小刀を、ただ一人、懐で抱きしめた。
---
__ギイィィィィ……__
私が顔を上げると、そこにはあの村長が立っていた。
村長「あぁ『大狐様』、儀式の準備が整いましたぞ…」
火影「………」
村長「我々が運ばせていただきますので、この台の上にどうぞ。」
そういうと村長は私の足を縛った。
そして、あの時とは違う神輿のような小さな祠へと運んでいく。
外では数人の村人がこちらを見ていた。
私は緊張を飲み込んで、わずかな期待を胸に、外へと出た。
---
5年ぶりの外の空気に緊張がはしる。
草木が揺れる音や動物の鳴き声に耳が過敏に反応する。
人々が歌い踊る声が大きく聞こえて、思わず縮こまってしまう。
火影(………怖い…怖い……武彦はどこ行ったんだよ……)
頭の中は恐怖で覆われていた。
私を儀式殿へ運ぶ村人の声に怯えながら、私は|只管《ひたすら》逃げることだけを考えていた。
***ガタンッ!***
突然、祠が大きく揺れ、足音が聞こえなくなる。
__ギイィィィィ……__
しばらくして、目の前が突然開ける。
私は思わず目を瞑る。しかし……
火影「………っ!?」
目を瞑ったのとほぼ同時に、強烈な血生臭さが私を襲う。
腐敗臭のような、鉄臭さのような、なんとも不快な匂いだった。
私はゆっくりと目を開ける。
火影「……!?」
……そこには、大きな肉塊があった。
背の高い青年ほどの大きさの、人間だったはずの塊。
激しく刺され、殴られ、蹴られた跡があり、原型を留めてはいなかった。
しかし、私には誰かがわかった。
その肉塊は、見覚えのある着物を着ていたから。
__火影「…………武彦……?」__
その肉塊の正体は、私の親友の武彦だった。
頭の奥で、さっきの武彦の声が響く。
『またすぐに会える』
『とにかくお前だけでも逃げろよ』
悲しげな表情と言葉の意味を知り、頭が真っ白になる。
武彦は、自分が殺されることを知ってて私に会いに来たのだ。
目の前が真っ暗になり、何も見えなくなる。
そんな私の状態に気づかない村長はそのまま言葉を続ける。
村長「『大狐様』……申し訳ないのですが…今日急に御禊児が暴れて……」
「…御禊児を殺さずを得なくなってしまったのです…」
--- *`頭の奥底で、何かが切れる音がする。`* ---
村長「確かにかなり抵抗したので、見栄えは悪くなってしまいましたね…」
--- *`懐にしまってあった親友の形見を手にする。`* ---
村長「本当は新鮮なままお供えさせていただきたかったのですが……」
--- *`小刀を鞘から抜き取り、神楽鈴を握りしめる。`* ---
村長「あ!ただし、味や食感に変わりはございませんよ!」
「だからご安心して召し上がってくだ
__シャリンッ__
**ズシュッッ……**
村長「………グェ…?」
胸元を切り裂かれた村長がその場で変な呻き声をあげる。
私は何が起きたか理解していない村長を蹴り倒す。
**バタッッ!!**
村人たちが歌うのをやめ、こちらを見る。
私はゆっくりと村人たちの方へ振り返る。
その目に、光は宿っていなかった。
---
村長を殺してから先の記憶はなかった。
私があんなに憎しみを持ったのも、大声で叫んだのも、あれが初めてだった。
数時間後、私は一人の村人の前で気がついた。
村人「お、お許しくださいっ…!!お鎮まり下さい『大狐様』っ!!」
火影「………………」
***ズブッ……***
私はその場でその村人を刺した。
村人は一瞬だけ奇声をあげ、その場で血泡を吹いて倒れた。
火影「…………………………」
その場で立ち尽くした後、私はゆっくりと周りを見る。
私の手は血で赫く染まり、右手に握っていた小刀は異様な空気を纏っていた。
村は炎に包まれ、ところどころから悲鳴が聞こえてくる。
やがてその悲鳴も消え、そこには炎が燃え盛る音だけが残った。
*__パチパチパチ……__*
私はそれを見てから、よろよろと山奥へと歩いた。
---
気づけば、私は何十日間も歩き続けて、暗く寒い山奥へ来ていた。
動物どころか草花も生えておらず、あるのは雪に染まった木々だけ。
しばらく歩いていくと、そこには小さな洞窟があった。
私は洞窟の中に入ると、自然とそこに座り込み、仰向けに寝転がった。
__火影「………………はぁ………」__
腕を顔の上に置き、小さく息を吐く。
しかし、本来吐き出したかった想いは、腹の奥に押し込まれた。
私は全てから逃げようとした。
もう、いろんなことがありすぎて、疲れたのだ。
私は静かに目を瞑った。
---
気づけば、私は抜け殻のように日々を過ごし、何百年も一人で過ごしていた。
心は冷たくなり、体だけが成長していた。
行き場のない寂しさと苦しさを無理やり飲み込んで、毎日を過ごしていた。
剣術を磨いて、磨いて、磨いて、磨き続けて……
それしか、私にできることはなかった。
火影(…………………)
…………あの日までは。
__??「……………け……て…………」__
火影「…………?」
それは、限りなく小さな声だった。
降り頻る雪で覆われて隠れてしまいそうなほどか弱い声だった。
私はその声に、得体の知れない胸騒ぎを覚えた。
__??「……………だ…れ……か…………」__
火影(…………あれから…生き物と関わるのはやめると……決めたのに…………)
声は次第に小さくなり、遂にはこの耳をもってしても聞こえなくなってしまった。
私は、どうしようもない衝動を抑えきれず、声のした方へと走った。
---
足元の白い雪が深紅へと染まってゆく。
私のすぐそばには、血の付着したナイフが転がっていた。
そして目の前には、背中から大量の血を流している少年がいた。
背中からは、大きな黒い翼が一つだけ生えていた。
そばには、無惨にちぎられたように投げ捨てられた黒い片翼が落ちていた。
本で何度も見たことがある。
この少年の種族はきっと………`大天狗`だ。
__少年「………………た…すけ……て…………」__
私の姿は見えていないのだろう。
何もない場所に向かって手を伸ばし続けている。
**ドンッッ!!**
少年「アぅ゛……!!?」
**大人「煩い!村でコソコソしやがって気色悪りぃんだよっ!!」**
**大人「羽なんか生やして、どうせ悪魔の使いかなんかだろう!?」**
**大人「呪われてるガキなんざお呼びじゃねぇんだよっ!!!」**
少年の手を、大人たちは思い切り踏みつける。
子供に対してとは思えないほどの罵詈雑言を浴びせかけていた。
火影「……………っ…」
少年と過去の私の影が重なった。
腹の底から、あの時のような憎しみと怒りが込み上げてくる。
私は全身に力を込め、人間に姿が見えるようにする。
火影「………おい。」
大人「あ゛ぁ?んだよ……って……は?狐…!?」
少年「……?」
私は大人たちに近づく。
そして、逃げる暇も与えず胸ぐらを掴んだ。
火影「……何してんだよ。」
大人「な、なにって
***火影「そいつに何してんだって聞いてんだよ。」***
大人「………っ!!!(ヒュッ)」
手に力がこもる。
叫びたい気持ちを必死に抑え、私は言葉を並べる。
火影「お前たち、さっきから羽がキモいだの悪魔だの言ってたな?」
「でもな、私たちだってこうなりたくてなってる訳じゃないんだ。」
「寂しくて。悲しくて。苦しくて。死にたくなくて。幸せになりたくて。」
「これのどこがお前たちと何が違うんだ?一緒じゃないのか?」
「……見た目だの身分だの種族だのごちゃごちゃ言いやがって………」
**「………ふざけんなよ……?」**
私はそこまで言ってふと我に返ると、震える手を離した。
**大人「ひっ、ひいいっ!!!逃げろっ!!」**
**大人「ばっ化け物だ化け物っ!!近寄るなぁ!!!」**
そう言いながら、彼らは山の下へ走っていった。
私はそれを見つめた後、少年に近寄る。
__少年「……………いた゛…い…よ………羽………」__
天狗にとって、翼は急所。
傷つけられたりすれば、無事では済まないだろう。
ましてや、もがれたりなどすれば、長くは持たないだろう。
火影(………いやだ。)
生き物と深い関わりを持てば、いつかは失ってしまう。
だから私はこんな山奥で何百年も生きてきたのだ。
それなのに………
この少年を、どうしても助けたくなったのだ。
火影「……やってみるしかないか…」
私は少年の近くでしゃがみ込む。
翼を拾い、傷口付近に置く。
少年の息は次第に弱まり、今にも止まってしまいそうだった。
私は覚悟を決めて、自分の左腕を掴む。
火影(………『物の寿命を操る』…この時のためにあったのかもな……)
私は全身を集中させ、左腕に爪を食い込ませる。
火影「……っ!」
左半身に激痛が走る。
それに伴い、左腕の感覚が無くなり始める。
それでも、私は寿命を取り出すのをやめない。
火影「…………うぁ゛…」
***ズルズル……***
やがて、手のひらに収まらないほどの寿命が出てくる。
私はすかさずそれを引き摺り出す。
***ズルッ!!***
火影「……っ!!はぁっ…はぁっ……ゲホッ…!!?」
左腕の感覚がほとんどない。
持ち上げようと力を込めても、指先がわずかに動くだけだった。
しかし、そんなことは気にしている暇はなかった。
私は、右手に握られた寿命の光を、翼に押し付ける。
すると、辺りが眩しく光り、目が眩んだ。
火影「………っ!!」
しばらくして光が止み、私は目を開ける。
するとそこには、傷跡こそ残っているものの、綺麗な翼が生えた背中があった。
少年の息もかなり落ち着いていた。
……しかし、こんな雪山にいれば、凍え死ぬのも時間の問題だ。
火影「……!人を…探さないと……!」
私は動かない左腕に鞭を入れ、少年を抱えて森の奥へと走った。
---
火影「はぁっ…はぁっ…はぁっ……」
(もう何日走り続けてるんだろうか……そろそろ限界だ………)
左腕が激しく痛む。
身体中が限界だと悲鳴を上げる。
それでも、少年の体は待ってはくれない。
火影(……日に日に体調を崩している………このままでは…!!)
ガクッ…
**ズブッ…**
足の力が抜け、次の瞬間には視界が白く染まる。
すぐに、自分が雪の中に倒れ込んだのだと理解する。
おそらく足が凍傷を起こしているのだろう。
頭が割れるほど痛い。肺が今にも凍りそうだ。
しかし、動けない体に雪は容赦なく降り注ぎ、積もってゆく。
火影(ああ……もう…死ぬのか…………)
私は少年を羽織の中へ入れる。
自分の熱で少しでも生きながらえてほしかった。
火影「………………」
__ザッ……ザッ……ザッ……__
__??「………早くきてーー!絶対にこの辺りから声がしたんだよ!」__
__??「それ本当なの!?こんな猛吹雪の中で気絶したら終わりだよ!!?」__
__??「とりあえず探してみようよ兄さま、ーーお兄ちゃん!」__
__??「…それもそうか…じゃあボクの目で確認しながら進もうか………」__
__ザッ……ザッ……ザッ……__
火影(!人の声…!)
必死だった。
ここで助からなければ、きっと私たちは死ぬ。
とにかく、生きたかった。
私は意識を必死に保ちながら、私は必死に助けを求め続けた。
次第に足音は大きくなる。
__ザッ…ザッ…__
ザッ…ザッ…ザッ…
??「……!!ここだ!ーー、ここの雪とかして!!」
??「!わかった!!」
***ボワッ!!***
??「!!だ、大丈夫!!?」
??「!兄さま、お兄ちゃんたちほとんど息してない!!」
??「本当!?ーー、応急処置できる!?」
??「試してみる!!ーーはこっち手伝って!ーーは二人を連れてく用意して!」
??「うんっ!!」
ひとまずは、助かった。
その事実を確かめた瞬間、私の意識は糸が切れるが如く遠のいた。
---
火影「…………ん…?」
目が覚めると、私は布団の中にいた。
体の痛みは消えていた。
しかし、左腕には黒い波紋が浮かんでいて、ほとんど動かせなかった。
__スーッ…__
??「……あっ!起きた!?」
__タタッ!__
小柄な少年がこちらに走り寄ってくる。
頭にはツノが生え、後ろに鱗に覆われた尾が見え隠れしていた。
??「あの、大丈夫ですか…?2週間も気絶してたんですよ…?」
火影「………?ここは…?」
??「ここはボクたちの屋敷です。」
火影「……そうか…ありがとう………君の名前は…?」
??「ボクは竜翔です。お兄さんの名前は…」
火影「……火影だ。敬語はいらない。」
竜翔「そ、そうですか……じゃあ…これでいくね。」
その瞬間、私は重要なことを思い出す。
私は噛み付くように竜翔に言葉を発した。
火影「…!!そうだ…私と一緒にいた少年は…!?」
私は慌てて身を起こそうとして、痛みでうずくまる。
竜翔が焦った様子で私の体を支える。
竜翔「わわっ!落ち着いて!あの子も無事だよ!!」
火影「!!それは…本当か…?」
竜翔「うん。背中に大きな傷があったけど、なんとか一命は取り留めてるよ。」
火影「…………そうか……よかった……」
竜翔「………でも……」
火影「?」
竜翔が言いづらそうに口籠る。
私は不安を噛み殺して、竜翔の言葉に耳を傾ける。
竜翔「……ここにくるまでの記憶が全部無くなってるみたいなんだ……」
「自分の名前も、ここにいる理由も、それまでに何があったのかも……」
---
__タン…タン……__
縁側に二つの足音が響く。
私はわずかによろめきながら、少年のいる部屋に向かった。
しかし部屋は案外近く、すぐに和室に着いた。
__スーッ…__
火影「………!」
そこには、小さな寝息を立てる少年の姿があった。
うなされる様子もなく、ただ眠っていた。
私と竜翔は物音を立てないように静かに少年に近づく。
そして、小さな額にそっと手を当てる。
柔らかくて暖かい、安心する感覚だった。
竜翔「昨日一瞬だけ起きたんだけど、何も分かってなかったみたいなんだ…」
火影「……無理はないな…」
竜翔「え…?」
火影「昔医学書で見たことがある。恐らく『|解離性健忘《かいりせいけんぼう》』だろう。」
「極度のストレスや苦痛を感じた時に起こる記憶喪失の一つだ。」
竜翔「!?」
火影「…………私も詳しくは知らないが……過去に何かあったんだろう。」
二人の間に沈黙が流れる。
しばらくして、その緊張を破ったのは私だった。
火影「………竜翔……」
竜翔「…?どうかしたの…?」
火影「この子は、私のことも覚えてなかったのか?」
竜翔「う、うん。過去のことは全部忘れてるみたいだよ。」
火影「……もし彼が自分を助けた人物について聞いてきたら……」
「私が助けたとは言わないでやってくれ。」
竜翔「えぇ!?な、なんでなの…!?」
竜翔は驚きで見開いた目をこちらに向ける。
私は思わず目を逸らしてしまう。
そして、少年の頭を撫でながら、静かに語る。
火影「……私は理由があって、人に好意を伝えることができない。」
「そして、感情を顔に出すことも難しい。」
「そんな奴に助けられたと聞かされても、緊張とストレスが溜まるだけだ。」
「重大な精神疾患を患っている彼に、これ以上負担はかれられない。」
竜翔「………………」
私は少年から手を離し、静かに立ち上がる。
__スーッ……__
私たちは静かに部屋を出て、縁側に座った。
しばらくの沈黙の後、私は口を開いた。
火影「…私は、彼の《《嫌われ役》》になろうと思う。」
**竜翔「え!!?」**
竜翔が思わず叫びを上げる。
しかし、私の覚悟は揺るがない。
火影「私がストレスの捌け口になれば、それ以上の悪化はないだろう。」
竜翔「で、でもっ…!!」
火影「いいんだ。私にはそれくらいが丁度いい。」
竜翔が何か言いたげに口をパクパクさせる。
しかし、最終的には口を閉じて悲しそうに俯いてしまった。
しばらくして、竜翔がゆっくりと口を開く。
竜翔「………わかった。でも条件がある。」
火影「?」
竜翔「……ボク、昔から生き物の『負の感情』と吸い取ることができるんだ。」
「だから、火影が今まで溜め込んできた感情。これから溜まっていう感情。」
「それらをボクにちゃんと相談してほしい。」
火影「!?それだと竜翔に徳がないじゃないか…!」
私がそう尋ねると、竜翔は少し微笑んで私に向き直した。
竜翔「…火影たちって、もう帰るところないんだよね?」
火影「あ、ああ……」
竜翔「なら、ここにいるしかなくない?灯和や華竜も賛成してくれたし!」
火影「!?」
竜翔「ふふっ…!だから、ボクらはもう家族になったも同然なんだよ。」
「……家族なら、助け合って当然でしょ?」
『家族』。
その言葉は、私には勿体無いほど美しく聞こえた。
私は呆然としてから、ゆっくりと頭を下げた。
火影「……ありがとう…」
竜翔「家族でしょ?」
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少年「…………んぅ…?」
少年が体を起こし、目を擦る。
そして横にいた私と竜翔としっかり目が合う。
少年はわずかな恐怖と不安を目に浮かべつつ、私に話しかける。
少年「……お兄さん…誰?」
火影「…………私は…」
私は、今すぐにでも彼を抱きしめたい感情を抑える。
これから私は、この少年の前で『嫌われ者』を演じなければいけない。
それは、きっと長く苦しい道のりになるだろう。
しかし、私は彼を愛したいからこそ、彼を突き離さなければいけない。
私は、できる限りの冷酷な表情を浮かべながら、彼に話しかける。
火影「……起きたか、`天舞`。」
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---
火影「………もうこんな時間か…」
目を開けると、周りは赤い光に染まっていた。
手元には、羽が傷ついた鳥が羽を休めていた。
私はその鳥の翼を手に乗せ、水で濯ぎ、薬をつける。
するとその鳥は、私に頭を擦り付けてから、天高く羽ばたいていった。
__パタパタパタ……__
火影「………はぁ……」
__バサッバサッ…__
**ガシッ!**
火影「………!?」
天舞「お前またここ居たのかよ!もう夜飯だぞ?」
私の肩の上には、大きく美しい翼を光らせる天舞が立っていた。
私はそれを見た後、腰を起こして立ち上がる。
火影「そうか。すまなかった。ではそろそろ帰るか。」
天舞「おー。」
天舞はそう言うと、くるっと向きを変えて歩き出す。
その背中からは、わずかにあの時の傷跡が顔を出していた。
しかし本人は気にするような仕草も見せず、ニコニコと笑っている。
天舞は大きく伸びをしながら、私に話しかけてくる。
天舞「ん゛ー…!今日の夜飯なんだろーなー!!」
火影「……今日は山菜と鮭があったはずだ。」
天舞「お!マジか!?早く帰ろーぜ!!」
そう言って満面の笑みを浮かべる天舞に、私の気持ちも温かくなる。
しかし、それを表現すること、伝えることはできない。
火影(………それでもいい。)
私の代わりに彼らが笑ってくれるなら、私はそれでよかった。
それが伝わらなくても。嫌われていても。
__火影「…………ふふっ……」__
それだけで、私は幸せなのだ。
---
完
【お知らせ】
そろそろ本編進めるかもしれません!
それだけ!
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大狐様
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