一話完結。
単発シリーズ↓
https://tanpen.net/novel/series/40e82877-9438-42d8-ba0d-d632d8db7129/
全部読んでみると、最後の話がより楽しめる…かもね?
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目次
帰宅部
あたしは|日下稔《くさかみのり》、帰宅部の中1だ。
「稔、今日はどうする?一緒に帰る?」
帰りのホームルームが始まる前、同じく帰宅部の同級生・|森下沙綾《もりしたさあや》が話しかけてきた。
「いや、今日は別々で。ほら、《《あれ》》もあるし?」
「あ、そうだね」
着席して、先生の話を聞く。その後、「さようなら」の声で、静かだった教室が一気に声で溢れる。その後、みんな散り散りになっていく。
「稔、行きます!!」
今日は補習もなく、放課後残っていく用事は何らない。なら、《《練習》》しなきゃね!
そう言って、わたしは廊下を校則ギリギリラインで早歩きした。
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校舎を出たら、猛ダッシュ…とはいかない。寧ろダッシュすると、一番はじめにある信号に捕まって、余計体力が削られる。早歩き程度だと、きっちりストレスなく歩くことができる。その後は駅に行く。切符は買ってあるし、信号のことも計算して、一度も立ち止まらずに電車に乗ることができる。
いかに早く帰宅をすることができるか。それが、あたしがやっている『帰宅部』だ。なんにも部活をしていない『帰宅部』ではない。
もちろん、家からの距離などもあるので、いろいろと計算しなきゃでもある。大体は『距離÷時間』。単にタイムを競うだけでなく、披露加減等も考慮する。運動部の一面も持ち合わせながら、計算力と思考力が試される。
来月にある『全国帰宅部大会』に出場するべく、あたしたちは最善の帰宅ルートを考える。沙綾も、あたしと同じ帰宅部の仲間だ。
「よしっ、今日は…」
昨日より、1分早くなっている。手にしたストップウォッチを、あたしは思いっきり握り締めた。
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『全国帰宅部大会予選通過』と書かれた紙が、学校掲示板に貼り出された。
「えーと。日下と森下……あ、あったっ!」
よしっ、予選通過。かなり順位もいい。
「やったね、稔っ!」
「うんうん、嬉しい!」
次はどのルートでいったら、1位をとれるのか。また、いろいろ計算しなくちゃな。
とにかくおかしな中学校
わたし・|森由紀《もりゆき》は今日、|東ヶ丘《ひがしがおか》中学校に入学する。かなーり成績はいいらしいが、《《とある問題》》があるらしい。
今日は始業式、クラスを確認して教室へ入る。ワイワイ賑わっている。
「うひゃぁ…」
これぞ、リア充。非リアなんかそっちのけで、自分らばっか…(※個人の意見です!!)ひぃぃ、非リアは黙ってろ、ってわけですかぁ…
だが、そういうことが問題ではない。
ガラガラガラっとドアを開け__
「は〜い、静かに静かに〜っ☆」
っと、底抜けに明るい声。ネームプレートには、『1年2組担任 理科担当 |水科理香《みずしなりか》』と書かれている。
「わたしは、水科理香、み・ず・し・な・り・か!といいま〜すっ☆理科の先生で、好きなものは実験と実験!みんな、よろしくお願いしますっ☆」
問題児__いや、問題…教師?__第1号?は、この水科先生だ。
理科が大好きすぎるあまり、とにかく頭は実験でいっぱい。生徒らを実験台にしようとは思わないものの、古くからの付き合いの先生を実験台にするのがちょくちょくなんだとか。一言で言ったら、『実験狂』。
「|42《静》!」
そう言って入ってきたのは、隣のクラスの先生。|三津七花《みづななは》先生だ。数学の先生で、正確自体は冷静沈着、常識人なのだが__
三津先生は、自分を指さして言った。
「|7、3278。4649《名、三津七花。よろしく》」
…っと、この具合だ。つまり、語呂合わせでしか喋ろうとしない。そこを除けば、間違いなく常識人だ。
「ちょっと、なんなんですか…。私、まだ1000字しかいってないんですが…」
隣からやつれ顔で出てきたのは、国語担当の|与語国葉《よごくには》先生。暇さえあれば、お金のために小説を書く先生だ。
「与語先生、疲れすぎじゃありませんっ!?」
と、廊下を走りまくった足音の後出てきたのは、社会担当の|歴社会花《れきしゃあいか》先生だ。「自分が東ヶ丘中…いや世界の歴史に残る人物になる!!」と、暴走気味かつ変人(…といったらアレかな?)の先生だ。
「ダイジョーブです?」
顔を出したのは、4組の|英川話子《えいかわわこ》先生だ。れっきとした日本人で、外国へ行ったことも外国人の友達がいたこともないのに、常にカタコト日本語&部分的英語で話す。
「…先が思いやられるなぁ…」
そうつぶやきながら、わたしは消しゴムのカスをこね始めた。
これが平常運転。ったく、とんでもない学校に入学してしまった。