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目次
入学
--- 私は小学1年生 ---
--- 幼稚園を卒園し、今日からこの学校に通うことになった。 ---
--- ただ、私が通っている学校には、可愛さコンテストと言うものがある。 ---
--- それもなんと、年1の頻度で。 ---
--- 親には「 コンテストのために可愛くなりなさい 」って言われた。 ---
--- でも、そんなのどうでもいい。景品もある。でも、あんなのいらない ---
--- それに…私は可愛いものが嫌いだ。 ---
--- スカートを履きたくない。メイクもしたくない。髪も伸ばしたくない ---
--- 憧れるのもかっこいいものにだけ。 ---
--- 私は1年生なので、親に逆らうことも出来ず。 ---
--- これからどうすればいいものか… ---
ファンレターよろしくです
家庭
--- 家では相変わらず、可愛くなれと言われる。 ---
--- コンテストのためだけになんでそこまで… ---
--- 私は泣きそうだった。可愛いことだけは大嫌い。 ---
--- 「これ着ろ」、「あれ着ろ」 ---
--- 「前髪整えろ」、「寝癖も整えろ」 ---
--- なんにも自由にさせてくれないのだ。 ---
--- これからどうなるのだろう ---
--- 幼稚園のときよりもこれは酷い… ---
--- そう、幼稚園のときのほうは… ---
--- いや、あれもあれで同じくらい酷かったな ---
--- “お母さん!私あの服欲しい!” ---
--- ‘だめよ。もっと可愛い服きなさい’ ---
--- “………” ---
--- “お母さん!わたししょ私将来仮面ライダーになる!” ---
--- ‘…あんた、正気?仮面ライダーよりアイドルとか目指しなさい?’ ---
--- 今のほうが少し酷いくらいか。 ---
--- 何にしろ、これからが怖い。 ---
--- 誰か……… ---
学校内
--- 学校では、「可愛いね」とよく言われていた。 ---
--- ただ、親のおかげなんて思ったことない。 ---
--- あんな毒親、さっさと居なくなればいいのに。 ---
--- もうすぐコンテストが開催される。 ---
--- もう既に辛い。はぁ……… ---
--- 可愛いという言葉がトラウマになってきた。 ---
--- ‘可愛いね’ ---
--- ‘今日も可愛い’ ---
--- ‘今日も可愛くていいなぁ’ ---
--- ‘なんでそんな可愛いの?’ ---
--- ウザい、ウザい、ウザい ---
--- みんなは何も悪くないのに“ウザい”と言う感情を持ってしまう ---
--- “可愛い”が怖い。“なんでそんな可愛いの?”が一番心苦しい… ---
--- いっそみんなに家庭の事情を話してしまおうか? ---
--- でも、今までの私が全て“嘘の姿”になることになる。 ---
--- それに、みんなにとってはちっぽけなこと… ---
--- どうしたら……… ---
私の気持ち
--- ついに明日はコンテスト。 ---
--- だが、どうしようか考えたが、やはり答えは出ない。 ---
--- 暗闇だけが私を包み込む。 ---
--- 助けてよ…。 ---
--- 怖い気持ちでいっぱいになって、授業もまともに受けれず、そのまま下校 ---
--- ただただ、自分の部屋で本音を呟く。 ---
--- 可愛いなんて嫌だ。 ---
--- そもそも、なんでコンテストなんか… ---
--- そもそもなんで私を産んだの? ---
--- どうせ私のことなんて大事じゃない。 ---
--- とてもではないが、コンテスト前から辛くなってくる。 ---
--- “しんどい…” ---
--- 後戻りが出来るわけじゃない。 ---
--- いっそ全てを受け入れて前へ進んでいこう。 ---
--- 可愛くなって、勝って…親にも…褒められる…? ---
コンテスト
--- 今日はコンテスト。 ---
--- 勝ちたいなんて気持ちは少ないけど。 ---
--- コンテストはやりたい人だけが来るらしい。 ---
--- 体育館か… ---
--- 周りにはドレスなどを着た女子が沢山。 ---
--- そこで私はふと思った。 ---
--- あれ?なにか忘れてる気が… ---
--- あ!!!!!!!! ---
--- そうだ、親にあの服を着ていけといわれていた。 ---
--- なのに、全然違う服できてしまった。 ---
--- 明らかに皆の方が可愛い。 ---
--- 気付いたら私が呼ばれ、台に向かうが… ---
--- ざわざわ声が聞こえる。 ---
--- 「なんか…普通だね」「ね、期待してたのに…」「可愛いけど…いつもより可愛くこない?」 ---
--- 「ね、普通いつもより可愛くなってくるよね…」「一位は無理だな…」 ---
--- …………… ---
--- 一位どころか準優勝すら取れず、恐る恐る家に向かう。 ---
--- 私が落ち込んでいたのが目に入ったのか、担任に声をかけられる。 ---
--- ‘一位取れなくて残念だったかい?’‘また次があるから’ ---
--- …優しいのは分かる。けど、次があるから怖いんだ。 ---
--- 次がなかったら可愛くなれとか言われない。 ---
--- 負けた時が本当に怖い。なんて言われるんだろう…。 ---
--- 気が付いたら家に着いていた。 ---
--- どうやら、結果は学校側から携帯に送られるらしい。 ---
--- イラついてピリッとした空気感が伝わる。 ---
--- ドアをゆっくり開けると_ ---
敗北
--- 親に怒鳴られる。 ---
--- 分かっていたことだけど、怖い… ---
--- 「あんたねぇ…話聞けよ!!!」 ---
--- 「かっこいいのがいいとかわがまま言うんじゃねえよ」 ---
--- 「次勝たなかったらおまえは私の子じゃない。」 ---
--- 「絶対勝てよ!!!!!!」 ---
--- そして、殴られて。蹴られて。 ---
--- 日に日に増えてく傷跡。 ---
--- 誰かこの辛い空間から私を連れ出して_ ---
気付けば
辛い日々を乗り越え
気付けば、もうすぐ来年に移り変わる。
コンテストに来年勝てれば………。
なんて思って来年を待つ。
いや…ちがう。
私はコンテストがきらい。
待ってどうする。
コンテストなんかなければ…。
嫌な事程待てばすぐ。
いい事程待てば遅し。
はあ…。
コンテスト
今日はコンテスト。
服も間違えず、メイクだってしてきた。
だが、メイクは失敗してしまった。
また、勝てないのかな………。
また、怒鳴られて、虐待に遭って…。
思い浮かべるだけで涙が出る。
それを見かけたクラスメイトが「どうしたの?」と呼びかける。
それに釣られて、さらに多くの人数が私に問いかける。
私は余計泣いてしまった…。
いっそみんなに話すべきだろうか?
いや、でも………。
ただ、離さなければ何も変わらないまま。
そんくらいなら話してやろう。
「実は…」
私は皆に真相を明かした。
「そうだったんだ…」
「可哀想」
「頑張って!」
「辛かったね」
などと、色々な言葉が飛びかかる。
それに元気付けられ、頑張れる気がした。
ついに私の番_。
台に立つと…
「いいじゃん!」
「似合ってるよ!」
「一位とれるかも!」
と、「可愛い」と言葉は使われずに褒められた。
それが嬉しかった。だが、結果は…惜しくも2位。
「そんな…。」
また、怒鳴られる………。また………!
「一位でいいよ。」
と、後ろから声をかけられた。
そんな言葉に思わず動揺する。
後ろを振り返ると、そこには一位の子。
「いいの…?」
「景品とれないんだよ!?」
「いいのいいの、あんなのいらないし。」
と、一位だった「はな」さんが言う。
「ありがとう…。
とボソッと吐く。
これで、もう怒られない。
そう家に帰ったが、どうやら
一位と決まる前に2位の情報を端末に送っていたのか
親に怒鳴られた………。
そんな………!!!!!
せっかく、一位にしてくれたのに。
なんで怒鳴られたの?
二位の情報のままだったの?
なんでと問いかけると
「一位だけど、ポイントが少なかったから。」
そう、コンテストにはポイントもある。
100ptで満点。
しかし、私は80ptだった。
一位を取ったのに…
最期
やっとここまできた…。
今は小学6年生。
このコンテストでやっと最期だ…!
2年生までは失敗だったが、何も変わらず全て失敗
今回は一位と100ptをとって………。
もう怒鳴られずに生きていく
そして私は一位を取った。
PTは100。
私は………。
言葉に出来ない感情を持った。
そして、泣いた。
学校にいるみんなで一緒に泣いて。
「よかったね」って………。
ほんとうによかった。
これでもう今から怒鳴られない。
やっと自由に生きていける。
そんな気持ちで家に帰った。
ドアを開けると
「一位取ったよ…」
「100ptも…!!!」
私は泣きながら嬉しそうにその言葉を言った。
もう怒鳴られることもなくただ自由に生きていける。
嬉しくて嬉しくて。
この感情をなんて表現すればいいのかわからない。
ただ、一つ疑問がある。
私は生きてる中で父と会ったことがない。
母にしか会ったことがないのだ。
父はどこにいるんだろう。
今まで思ったことがなかったが、ふと気になったのだ。
まぁ…とりあえずはいいか。
私はとにかく泣いていた。
そして、母の口から出た言葉は…。
ごめんね
「ごめんね。」
その言葉に私は動揺する。
思わず「え?」と発言してしまう。
あんなに厳しかった母が、謝罪してるんだもの。
思わず「なんで?」と言ってしまった。
そう言えば、確かに今日は母の目の奥がなんとなく優しい気がする。
いつもの怒鳴ってるよような声とは全然違う。
おだやかでホッとした優しい声だった。
「実は…お父さんにね。娘を可愛くさせないと「お前と娘を殺すぞ」って脅されてて…
私はどうでもいいんだけど、あんたが死んだら………。」
「でも、生きてるからこそ辛い思いさせちゃったよね…。お父さんの言葉を否定してあなたを守り続ければ良かっただけよね………。それなのに辛い思いをさせちゃって…。」
「だから、無理矢理にでもキツイ言葉を使って…」
そうだったんだ。
お母さんも悪意があったわけじゃなく、私のために…………。
可愛くなかったことがなんだか申し訳ない。
ずっと優勝し続ければよかったのに。
取ったのは一回だけ。
でも、どちらにしろこれから全てが楽になる!
母も優しくて、厳しいなんて世界線はない。
ただただ自由に歩める。
母は…「許してくれる…?」と問いかけてきた。
私は「もちろん」といい、
やりたいことがあるからまた後で…。
こんなときなのにごめん
という言葉だけを口にして、
「はな」の家に向かった。
そう、今日はパーティなのだ。
私が一位を取ったから。
ただそれだけでパーティなんかわざわざ…。
なんだか申し訳ないが、
私は微笑みながらはなの家へと向かった。
end
番外編
母も連れてパーティだ!
その日 は 本当に楽しかった。
人生で一番楽しい日。
母も一度も見たことがなかった笑顔を見せた。
みんなで踊って、ケーキも食べて。
本当に最高だった。
私は改めて今までのことを話しみんなで泣いて。
そして、笑って。一日でカラオケに行ったり
遊園地に行ったり、とにかく満喫した。
私も改めて「自分の好き」に触れられて、たのしかった。
the real end
(Happiness is over!)
It was fun back then.
--- Thank you for watching! ---