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目次
証
お久しぶりです。Nalです。
言葉選びがあんまり上手じゃないかもしれないけど読んでくれると嬉しいです!
**「私、|氷彩《ひいろ》は本日を持ちまして当面の間活動を休止いたします。」**
ある事件をきっかけに彼女は歌い手としての活動を休止した。
彼女のファンからは反対の声が多く上がったが、彼女の決意はすでに固まっているようで、その後活動が続くことはなかった。
氷彩、|孤月玲《こづき れい》は悩んでいた。
このまま自分はこの世界にいていいのだろうか。
自分がいることで何か悪いことが起こるのではないだろうか。
そんなことばかりが脳内をめぐり、よくない兆しであることは彼女も察していたのだろう。
「玲~?活動辞めたって本当?」
そう聞いてくるのは玲の親友の|未恩《みおん》だ。
誰よりも氷彩のことを考え、自分よりも氷彩を優先してくれる親友である。
当然彼女に玲の情報は回っており、氷彩もまた未恩に相談をするつもりだった。
「ほんとだよ。」
「ねえ未恩、私ってこの世界にいてもいいのかな?」
「玲、どうしたの?なんかあった?」
「活動の関係?」
早速図星だ。察しの良い親友で助かった。
本当に玲は友達運が良いのだ。
「そうだよ。」
「応援の声がたくさんあるのはわかってる。けど、コメント欄にアンチがいたら苦しいよ。」
「そうだよね。」
「頑張ってる玲の事、わざわざ見えるところで悪く言うなっつーの」
未恩は玲の性格を知っているからこそ、少し強く当たってくれる。
そして、玲の気持ちに寄り添った言葉をくれる。
「氷彩は、そんな言葉気にしなくていいの。氷彩の頑張りを知ってくれてる人はたくさんいるでしょ?だし、氷彩がいなくなって悲しんじゃう人もたくさんいると思う。だから、悲しい気持ちをちゃんと伝えて、楽しいに塗り替えたらいいんだよ」
未恩は人生何周目なのだろうか。そう思うくらい的確な言葉をくれる。
**「未恩、歌いたい」**
「私、歌でみんなを元気にしたい」
「頑張れそう?」
そう問いかける未恩の目はとても優しかった。
すぐは立ち直れそうにないが、復帰したいという気持ちが芽生えたのは未恩のおかげだろう。
ただ一つ、玲には悩みがあった。
悩みというよりも、復帰する場合の自分の行動について気になる点と言う方が正しいだろう。
それは活動する際の名前についてだ。
同じ名義で再開したとなるとまたアンチがわいてくるかもしれない。
--- ”今まで自分が叩いていた歌い手の復帰” ---
なんともアンチの好きそうな話題である。
「ファンの悲しみと私の心。守るべきなのはどっちなの?」
そう自問自答する日々が何日か続いた。
玲が決意できたのは、悩み始めてから数週間たったある日のことだった。
その日はしばらく怖くて見ていなかったXでエゴサをしている時だった。
- 「氷彩ちゃん活動休止とか悲しすぎ」
- 「また氷彩ちゃんの歌が聞きたい」
- 「ひーちゃんの声好きだったなぁ」
- 「アンチごときでビビるならSNSなんかするなよ」
アンチは消えていなかったものの、玲は自分の声を好きだと言ってくれるファンがいることに気づいた。
"氷彩"として復帰しなければ、自分が復帰したことに気づけないファンもいるだろう。
そう思った玲はあの時と同じ、「氷彩」として活動を再開することを決意した。
Xにて
- ある歌い手が復帰するアカウント
今まで氷彩として使っていたアカウントを非公開にし、新たにアカウントを作った。
リプライに悪口、嫌みが書かれているアカウントなど、復帰してもファンを悲しませるだけだと考えた玲の思いやりのこもった行動だ。
今日は久々に歌ってみたを収録した。
「久々で声が出なかった…」
そう落ち込みながらもMIXを終え、絵師さん、動画師さんの協力を得て何とか復帰の歌ってみたを完成させることができた。
YouTubeにて
- 〇日後に復帰する歌い手
【復帰後初歌ってみた】ただ声一つ【リスナーへの感謝を込めて】【???】
**[コメント欄]**
- ひーちゃんかなぁ
- 氷彩ちゃんまさかの復帰!?
- 氷彩ちゃん歌うまだし、選曲も神
↪それな!復帰で「ただ声一つ」歌われたら泣くって
反応を恐れながらも投稿したこの歌ってみたは瞬く間に再生数が増え、その日のうちに50万再生を記録した。
コメント欄には感想に加えて復帰を予感したリスナーからのコメントもあった。
「私の声を聴いてくれる人がいるんだ」
自分の声を誰かに聴いてもらえること、誰かの思いを自分が受け取れることは特別なことだと改めて実感した。
そして自分の生きている**「証明」**を残すために活動を続けていくことを誓った。
「あなたのための天使です!幸せを届けにやってきましたー!」
今日も氷彩は誰かの幸せを願い、自分の思いを言葉にしている。
読んでくれてありがとう!
ストーリーとか考えるのが難しかったけど、身近(?)な話題だったから割と書きやすかったです!
こんな私の言葉でよかったらリクエストとかくれると嬉しいです!
おつなる~!
ありがとう
|藍《らん》
中学二年生
トランペットパート
|咲《さく》
中学三年生
トランペットパート
---
私は一年生の時、部活動紹介の時の先輩のソロに心を打たれ、吹奏楽部への入部を決めた。
入部してトランペットパートになった私はあまりうまく吹けないままでいた。
先輩との会話は少なく、質問には答えてくれるしアドバイスももらえるけど、ほめられたことも怒られたこともなかった。
それにアドバイスがもらえるといっても、いつも一言言われるだけ。
「…もっと音伸ばしな」
「ここずれてるよ」
そんなそっけない返事しかもらえなかったけど、先輩の隣で吹いていられる時間が嬉しくて、私は人知れない努力を重ねてきた。
あれから一年が経った今年の夏。
先輩にとっては最後のコンクール。もちろん部員全員が金賞を目指して練習を重ねている。
学校も夏休みに入り、部内の緊張感も増した。
「もっと集中しな」
「ここ苦手っぽいから練習しときな」
もともとそっけなく感じていた先輩の言葉も一層冷たくなった。
いや、私が勝手にそう思ってしまっていたのだろう。先輩は先輩の努力に加えて私にアドバイスをくれているのだから。そう思い込まないと私もつらくなると自分でわかっていた。
---
そしていよいよコンクール当日を迎え、吹奏楽部の部員の緊張も絶頂に達していた。
みんなでステージに立ち、顧問の先生の指揮が始まった。
トランペットパートの一員として出場した私は、先輩にアドバイスされたことを意識して演奏することに集中していた。
しかし、本番の緊張に耐えきれず、音を少し外してしまった。
そんな私を置いて時は進み、コンクールは終わった。
私たちは学校へ戻って楽器を片付ける。
(いつもの演奏できなかったなぁ)
そんなことを思いながら自分の楽器や打楽器を楽器庫へ運ぶ。
「「「お疲れさまでした!!」」」
私たち吹奏楽部の元気な声が他の生徒がいるはずのない静かな校舎へ響く。
その帰り道、先輩は私に声をかけてくれた。
落ち込んでいた私を慰めてくれるのだろうか、そう期待したけど、案の定いつも通りあっさりと一言放たれた。
「今日は、悪くなかった」
それでも、その夜私は一人静かに泣いた。
先輩に気にかけてもらえた、なんて幸せを脳裏に浮かべながら。
---
あれから半年が経ち、先輩の卒業式を迎えた。
式中私は泣かなかった。というより、なんとなく泣けなかった。
そして卒業式が終わり、部室に戻った。
なんとなく行った方がいいと感じたから。
部室には先輩の楽譜の入ったファイルがあった。
「先輩、こんな頑張ってたんだ...」
そう思いながらファイルをめくると、一枚の紙を見つけた。
小さなメモに先輩の字でメッセージが書いてあった。
「あの苦手って言ってたところ、今日はよかった」
「お前の音が好きだ」
「今までありがとう」
私は知らないうちにほほに流れていた涙を拭い、ファイルを楽器ケースにしまう。
そして、皆が集まっているであろう校門へ向かった。
先に外に出ていた先輩は私が昇降口から出てきたことに気づくと少し振り返り、小さく手を振るだけだった。
そうして先輩は帰ろうと前を向いてしまった。
「先輩!待って、ください!」
私が声をかけると先輩は足を止めた。
「…どうした?」
「あの、私、先輩の音がずっと好きで」
「知ってる。自己紹介の時言ってくれたじゃん」
「最初は、音だけだったんです」
「音だけってひどくない?」
「最初は先輩の事よく知りませんでしたから。でも、先輩のやさしさに触れて、先輩のことが好きなんだって」
「あ、ちょっと待って。人の少ないところ行こう。」
「ごめんなさい、」
「全然大丈夫。俺が耐えられなさそうだと思っただけだから」
「はい」
---
「先輩の隣で吹けて嬉しかったし、楽しかったです。」
「…ありがとう」
「私、好きになってたんです。先輩の音も、先輩のことも」
春の風が二人の沈黙を彩る。
「俺も、お前の音好きだった」
先輩は少し顔を背けて呟いた。
「本当ですか?」
「今は、お前のことも」
そう言って先輩は私のことを優しく抱きしめた。
「藍、大好き」
「私も、先輩の事大好きです」
「卒業しても会いに来るから」
「そっけないのが先輩なんじゃないんですか?」
「好きな人には甘くてもいいだろ」
「まぁ、私はうれしいですけど」
「あと、敬語は外せよ」
「いつか外します」
「まぁ、外してくれるならいいか」
そう軽口をたたき合い、笑い合う私たちを、あたたかい春の陽射しが照らしている
先輩が少し照れたようにつぶやいた
「来年のソロ、応援するから頑張れよ」
「ありがとう!頑張るね」
「藍うまいんだから、自信持て」
「トランペットパートのエースから言われたら自信つきますよ」
「よかった。演奏会見に行くな」
「ありがとうございます!」
「音外すなよ」
「わかってますけど、多少は許してくださいね」
「わかった、なら俺と特訓するか?」
「はい!」
--- 楽しそうに話す二人の笑顔を優しく日差しが照らしていた。 ---
読んでくれてありがとう!
なんとなく吹奏楽系が書きやすいかなぁって思って書きました!
私も吹奏楽部なので。
更新頻度まじで低いけどぜひ読んでほしい!そしてリクエスト、感想も待ってます!