いろいろな不思議な商品を人間に与える、不思議なお店の謎の店主、小望。
さあ、今日も、新しいお客様がやってくる。
__カランカラン。
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目次
小望の商品 1ー前編ー
こんにちは。
店の店主である、小望と申します。
今日から、私の店に来たお客様のお話をいたします。
__カラコロ。
あら、お客様がいらっしゃったようです。
ここは、どんな商品でも何でもある、不思議な少女・|小望《おもち》が店主を務める、
不思議な不思議な魔法のお店。
私、小望が、あなたをこの店へ、お連れしましょう___
登場人物・小望
客 ・陽菜・冬子
「小望さ〜んっ、なにか、面白い商品ってない〜?」
「面白い商品…ですか?」
「うんっ、なんか最近、楽しいことなくてさー、つまんないんだよね〜。」
「陽菜様にとって、なにが面白いのか、私にはわからないので…。
ご自分で選んでくださらないと…。たくさんございますし…。」
「うーん…。そうだなぁ…。お菓子が欲しい!」
「面白い…お菓子?あるにはありますが…。でしたら、別の店へ行ってくださった方が…
そこも、私が務めておりますので…。ですが、祝日しか空いていませんから、お気をつけを…。」
「小望さんって、どれだけ働いてるの!?」
「月・火・金曜日はこの店、水・木曜日は、商品作りと、妖精をつかまえること。
それで、土曜日は休みで日曜日と祝日は駄菓子屋にいます。こぢんまりとしていますが。」
「忙しそう…というか、妖精を捕まえるって?」
「働いてもらうんです。まぁ、手伝ってもらったり、新しい店舗を妖精に務めてもらったりですね。
私が手がけている、妖精の務める店も、ありますよ。」
「へぇ。すごいなぁ!私も、妖精捕まえてみたい!」
「…それでは、また今度、木曜日に、迎えに行きましょう。それから、妖精を捕まえに行きましょうね。」
「いいの!?」
「ただ、日曜日は駄菓子屋に行ってくださいね。」
ー木曜日
「陽菜様、冬子様、妖精を捕まえに行きましょうか。」
「本当だったんだ…」
「嘘だと思っていたのですか?私は、嘘はつきませんよ。」
「はい、すみません…。」
「それでは、向こうの湖に行きましょうか?あそこには、可愛らしい妖精が沢山いますからね。」
「えーっ!可愛いの!?本当に!?」
「えぇ、とても。」
ー湖に着いて
「来たことなかったけど…。可愛い妖精なんていないよ?」
「いますよ。私には見えますが…陽菜様には見えませんか?冬子様はどうですか?」
「私は…みえる。」
「陽菜様はみえないほうですか…なら、メガネか何か、必要でしょうかね…。」
小望は、なぜか持っていた、大きな重そうなトランクを開いた。
そして、一瞬でトランクの中に入り込み、どこかへ行ったかと思うと、戻ってきた。
「『妖精が見える眼鏡』です。これで見えるといいのですが…。」
陽菜がその眼鏡をかけてみると、妖精が本当に見えた。
「うわ〜!可愛い〜!癒されるぅ〜!」
「本当にかわいいね❤️💕この妖精!」
冬子はと言えば、かわいいもふもふした…なんというか…
ゴマフアザラシ?の、ぬいぐるみみたいな不思議な妖精に擦り寄っている。
「かわいい〜。もうむり〜。うごけない〜。うぅ〜。」
「ひっ…。」
完璧にノックアウトされている!
「…って!もうそろそろ帰んなくちゃ!」
「それでは…また、日曜日に駄菓子屋へ来てくださいね。私の店は、移動する店。
良き者には希望、悪人には失望を与えます。陽菜様、冬子様は、一体どうなるでしょうか?」
「希望!希望のために頑張る!」
「…頑張ってください。」
私の商品を使った人の運命は、すべてその人の性格に左右される。
悪ければ、悪く
良ければ、良い
さて、お二人はどちらでしょうか。
_悪い
_良い
お二人の、運命は、皆さんはどちらだと思いますか?
続きは、後編で、お話ししましょう____
どうでしたか?(あとがきは作者バージョンです!)
後編では、様々な幸運のキャンディやその他のお菓子、二人の運命をかきます!
皆さんは、どんな幸運のキャンディが欲しいです!
それでは、後編をお楽しみに!
小望の商品1(後編)
こんにちは。
今日は先日お話したことの続きです。
さあ、そろそろまた、鐘がなるはずですよ。
__カラコロ。
ほら。お客様がいらしたようです。
「小望さん、きたよーっ!」
「いらっしゃいませ。どの商品がよろしいでしょうか?
と…。冬子様はどこへ?」
「それがさーっ、不運なことに、インフルエンザになっちゃって…。」
「あら…それは。」
「ねぇねぇ、どんな商品があるの?」
「…陽菜様は、どんなお菓子がお好みですか?
ケーキ、ラムネ、キャンディ、グミ、チョコレート、スナック菓子…様々なお菓子がございますが。」
「どんな効き目があるかとか、値段によるんだよね〜。」
「どれくらいの値段で、どんな効き目があるものがよろしいでしょうか?」
「うーん…。そうだなぁ、まず、冬子用に、病気が治るおいしいお菓子で、大体二百円くらいのやつがいいな。
それで、冬子はアイスクリームが大好きだから、アイスクリームがいいっ!」
「二百円のアイスクリーム…。コンビニエンスストアにある、高いアイスクリームですね…。
それくらいで病気が治るのは…少し探してきます、待ってもらっていていいですか?」
「うんっ!」
小望さんは、奇妙な扉のついた鞄の扉を開け、手を入れて、ガサゴソと探り出した。
「あぁ…少しお高くなるものはあるのですが…。」
「なんていうやつ?」
「巻き戻しアイスクリームです。まあ、どれか一つを、何か元に戻してくれると言いますか…。
これで、病気前に戻すことはできますよ。ただ、後回しになるだけの可能性もあります。
ですが、その前にしっかり予防しておけば、大丈夫です。病気を治すというよりは、時を戻すだけですが、
二百円近くでインフルエンザなどの、すごい病気を治せるようなものはありませんから、これが一番安くて、
まあ使えます。」
「値段は何円なの?」
「二百五十円です。五十円分お高くなりますが…買いますか?」
「買う買う!それじゃあ、それ一つ!あと、私のお菓子も買いたいんだよね〜。」
「それでは、陽菜様はどのようなお菓子で?」
「私?そうだなあ、陽菜、苦手なものがいっぱいあるの!だから、それを克服したいんだ。」
「克服するものですか?三つありますよ。どれかひとつ、苦手な教科が克服できるグミと、なんでも苦手なものが全て克服できるチョコレート、なんでも思い通りにできるようになる、モナカアイスクリーム。」
「へぇ。それぞれ、値段は?」
「グミは二百円、チョコレートは千五百円、モナカアイスクリームは永遠使用で九千五百円です。」
「うーん…私の予算は五百円だから…。でもな、チョコレートもモナカアイスクリームも、効き目については
すごいものだし、安いものだし…。おろしてきたお金、何円だっけ…。というか、モナカアイスクリームって、
思い通りにできるようになるってことは、克服以外にも効き目あるってことだよね。」
「そうですよ。」
「おろしてきたお金が…。九千八百円。五十円しか残らないや。でも、私だけこれ買うのは不公平だよね…。
もう少しおろしてきて、冬子と一緒にしようかな…でも、小望さんのお店知らない人からしたら、不公平だ。
じゃあ…。いいや、モナカで!人のために使えば、これでも不公平じゃないし!」
「はい、それでは、リトライアイスクリーム、二百五十円と、なんでも思い通りになる、モナカアイス、
九千五百円で、あわせて九千七百五十円です。」
チャリンッ
---
「冬子、買ってきたよ!リトライアイスクリーム、これで、一回インフルエンザになる前の体に戻れるから、
そこからしっかり予防すれば、インフルエンザにかからずに済むよ!」
「ありがとう、陽菜。」
冬子は、しゃくっ、しゃくっと、アイスクリームを食べ始めた。
ぺろり、しゃくっ、とろっ。
「おいしーい!」
冬子は、夢中になってひたすらなめる。その間に、冬子の顔色は良くなり、治っていった。
「さて、予防、予防!」
すっかり冬子が回復したことに、陽菜は少しばかり驚いていたが、にっこり笑った。
---
陽菜は、自分の家に帰り、思い通りになるモナカアイスを食べた。
とてもおいしい🍨アイスで、陽菜はびっくりしながらたくさん食べた。
食べ終わった頃、陽菜は、願いを叶えてください、と手を合わせた。
「優しくなれますように、皆の願いが叶いますように、みんなの苦手が克服できますように。」
三つの願いを言って、しばらくは、この三つの願いで事足りる、人のために役立てる、と、
陽菜はにっこりした。
---
ああ、お二人は、良い人だったようですね。
バッドエンドにはならなかったのですから。ああ、よかった。
あのお二人は、お気に入りだったのです。
さて、次の時、新しいお話を、また、お聞かせしましょう。
またのご来店を、お待ちしています_____
どうでしたか?自分としては、そこそこよく書けたような気がしています!
それでは、また次のお話を、お楽しみに!
他のお話も、次のお話もよろしくお願いしますねっ!
小望の商品2 前編
2回目のご来店、ありがとうございます。
この店に来るのが初めての方には、初めまして。店主の小望ともうします。
__カラコロ。
あら、今日のお客様がいらっしゃったようです……
「あら…叶斗《かなと》様。今日は、なんの商品が欲しいのですか?」
「僕はね、夢を叶えられるような商品が欲しいんだ!ねぇ、何かある?」
「ございますよ。叶斗様はおとくいさまですから、特別にお見せしましょう。」
「なになに?」
「………こちらです。」
「うわーっ、何これ、綺麗な鍵だね!虹色の鍵だ!」
「綺麗でしょう。この商品は、虹が出ている時にその景色を頂いて、カギに入れたのです。そしたら…。
どうやら、その虹に力が入っていたのか、夢が叶うようになったのですよ。」
「へぇ〜。他には?」
「食べると夢が叶う…といっても、まあ世界が思い通りになる…と言いますか。モナカアイスクリームです。
これを食べると、世界が思い通りになる、というわけです。実際に、この前のお客様が買ってくださいました。そしてその力を、みんなのために使っているそうです。」
「へぇ〜っ!僕も、そんないい子だったらよかったのに。」
「……ふふっ。叶斗様はいい子ですよ。他にも、いろいろな商品がございますよ。どういたしますか?」
「うーん、そうだなぁ…。鍵もいいし、このアイスクリームもいいし…。このグミもいいし…。このぬいぐるみも可愛いなぁ。うーん、このスタンプもいいし…。この本も…。このお花も…。」
「叶斗様はいろいろなものを欲しがりますね。私のおすすめは、スタンプか鍵です。」
「へえ!いくらするの?」
「鍵は3,000円。スタンプは2,500円になります。」
「うーん、結構高いなぁ。まあ、貯金を下ろしてきたからいいんだけど…。もう一度説明を聞かせて。」
「まず、カギは、まず神様に、どうかこの夢を叶えてくれと祈ります。すると、神様が受け取ると、そこに鍵穴が浮かび上がりますので、その鍵穴にカギを差し込んでください。そして、その鍵を開けるのです。
しかし、万一神がやらない方がいいと感じれば、鍵穴は出てきますが、開く鍵の形状が違うはずです。
これが受け取らなかった場合と受け取った場合の入ったすべてのものです。これを考え、合わなければこれのどれかと考えてください。」
「わかった。それで、スタンプは?」
「スタンプは本日お買い得となっておりまして、お安くなっております。スタンプは、上に空欄がありますので、カレンダーで何かが起こって欲しい日にちにこのスタンプを押してください。その空欄に起こって欲しいことを書き入れれば、それが本当に叶います。」
「へぇ。スタンプの方が簡単そうだけど、小望さん、叶う確率はどっちの方が高いの?」
「そんな違いなんて、私の商品にはありませんよ。どちらも99.99%です。」
「99.99%かぁ。うーん、じゃあ…。」
チリンチリンっ
「あら…もう一人お客様が来たようですね。」
少しずつ足音が近づいてくる。
「おぉっ、叶斗じゃん!ひっさしぶりだな〜。」
「誰?」
「叶斗、忘れちまったのか?」
「あぁ………律か?」
「そうそう!俺は、夢が叶うアイテムを買いに来たんだが…。」
「ピッタリかぶってるな。俺もそうなんだ。」
「へぇ〜。そうなんだぁ。というか、叶斗。俺も、おとくいさまなんだぜ。」
「はぁ?お前は来るの初めてじゃねぇのか?」
「初めてだったら店主の小望ちゃんに挨拶でもするもんだろう?」
「……そうです。叶斗様、そちらの律様もよくいらっしゃるのです。」
「へぇ、それは知らなかった。」
「叶斗が来てること、こっちも知らなかったぞ。」
「じゃあ、僕スタンプで。」
「はい、それではこちらです。夢が叶うスタンプ、2,500円。ピッタリ、お預かりいたします。またいらしてくださいね。それと、そのスタンプは、大のおとくいさまにしか見せないものでございます。」
僕は嬉しいと感じながら、苦手な律から逃げようとすぐに立ち去った。
「じゃあ、俺は鍵でお願いしまっす!」
「夢が叶うカギ、三千円ピッタリお預かりいたします。また来てくださいね。」
僕は帰り道、律が追いかけてくる中、不吉な何かを感じていた。
なにか、悪いことでも、起こるのだろうか______不安だ。
もしかして_____また、あんなことが__________
どうでしたか?忙しいからちょっと雑になったかも…。
すみません。その分次のお話しっかり書きます。このお話、長くなりそうで、今回の2は中編が入ると思います。1831文字…頑張った!
それでは、また次のお話でお会いしましょう!see you in the next story!
小望の商品2(中編)
こんにちは。
今回は律さまのお話です。
次は叶斗様のおはなしをいたしましょう。
_カラコロ。
まさか。
律は、自分の部屋で息を呑んでいた。
あの店の店主・小望は、俺になかなか好意を持ってくれていた。
それでおとくいさまに見せるものをたくさんもらえるんじゃないかと期待はしていたのだが。
…それが、こんなところで役立つなんて!
ずっと欲しかった、夢を叶えるアイテム。
とってもいいのを買ったし、それに叶斗とも会えた。
夢を叶える、夢のカギ。
夢の扉を開いて、夢を完璧に叶えることができる。しかも、叶う確率は99.99%。
叶う確率は高すぎるほどだし、ほとんど100%、叶わない確率は00.01%…!
ずっと、こんな卑怯な手を使ってでも夢を叶えて、一番になってやろうと、ずっと思っていたのだ。
これで、「一番になりたい」と言えばその通りにできるのだ!
俺より下のやつを、思う存分操ってやる!
「すごい、すごいぞ、どうせ、これは小望には繋がっていない。それに、買ったんだ。もう悪用しようがかまわないはずだ!というか、俺にとってはあれは悪用じゃないんだ、すごくいい使い方。他の人から見れば悪用かもしれないが…。」
その頃には、もう俺は狂っていた。
---
「……あぁ、律様。あなたなら、それをよく使ってくださると信じていたのに…」
小望は、そう呟いていた。
---
それから俺は、すぐに夢を叶えた。
一番になった。優等生になった。運動神経も抜群になった。
どうなったと思う?みんな、俺に従ってる。
ある日、
「あれ?なんで夢の鍵が使えないんだ…?」
俺は、不思議に思いながらその鍵を見つめていた。
そして、小望さんのお店に行くことにした。
小望さんは、にこやかに待っていた。
「あぁ…使えないんですか?これは、エネルギーが足りないんですね…」
「エネルギー?エネルギーってなんですか?」
「この液です。変な色に見えるでしょう?」
「……ヒキガエル色のような…それとも毛虫を踏み潰したような…嫌な色ですね…。」
「そうですか、あなたにはそう見えるんですね。」
「その、エネルギーってのは、何なんですか?」
「……このエネルギーは、どれだけその人がいい人かでしょう。
私には、澄んだ綺麗な色に見える。美しい、きれいな水色に。」
僕は、息を呑んだ。
……騙された!騙されていた。この小望は、試していた。
これは、エネルギーなんかで動くものじゃない。
このウソエネルギーは、人が善いものか悪いものかを見極めるために使うだけのもの。
だから____僕は、悪いものだ。
つまり。僕は、悪い者だからこのカギが作動しないんだ!
全て、理解した。あんなことするべきじゃなかったと後悔した。
もう狂ってはいなかった。もう人を操ろうなんか思わない。
だけど、それでも。小望は許してくれないだろうとわかっていた。
「善き者ではないあなたに、もう鍵は従わない。この鍵は、あなたに天罰を下らせます。」
「小……望さ……」そこまで言って、俺の意識は完全に途絶えた。
もう、それから律を見たものはいなかった。律は、鍵に、殺されたのだから。
多分、ちょっと怖めだったと思う。
元々、ノートに書き溜めてたのでは律ってのは登場させてなくて、叶斗がこうなってたんだけど、ね。
叶斗の展開迷う……
時間ある時に書きます。最近出せてなくてすいませんでした。
小望の商品2(後編)
今回は叶斗さまのお話です。
__カラコロ。
「あーぁ。」
まさか、律と会うなんて思いもしなかった。
あいつは、小さい頃に俺をいじめていたのに、なんで今になって仲良くしようみたいな感じになっているんだろうか。……スタンプを買えたのは良かったけど、律のことが心配だ。
いくらいじめられていたといえ、目の前で死なれたらタチが悪い。
ボクは、律を呼んで、話をすることにした。
「律。」
「…あぁ、叶斗か。どうした?」
「おまえ、あの鍵を悪用してないだろうな。」
「……なんでわかるんだよ。その通り、俺はあれを悪用してるさ。だってもう、俺のものになったんだぜ。
俺がどう使用しようと、関係ないだろ。ほっといてくれよ。」
「いや、小望さんの魔法のアイテムは、小望さんと繋がってる。悪用したってわかるんだ、そしたら、お前、死ぬんだぞ!天罰が下るんだ!」
「なんだ?スタンプより鍵の方が欲しくなったか?どうせあげないぞ。」
「そういうことじゃないんだよ、悪用したらわかる。小望さんの商品は……」
「ほっとけ!二度とくるな!帰れ!」
律は怒って、さっさと走り出した。
……ボクには分かってる。小望さんの商品は、いい人にはいい結果を、悪い人には悪い結果を出すんだ。
小望さんが、モナカアイスクリームを買った子がどんな使い方をしてるか教えてくれた。
つまり、来なくても分かってるってことなはず。なら、律は___
---
結果は、前からわかっていた。律が、行方不明になった。
ボクには、死んだんだって、わかってた。悪い使い方をしたから、天罰が下ったのだと。
思っていたより悲しかった。元は仲がいい友達だったんだ。
「そういえば、まだ、スタンプ使ってなかったな。」
僕は紙袋からスタンプを取り出し、今日のところに押しつけた。
『律と最後にもう一度会いたい』
そう書いた時に、ピロリン、とスマホが鳴った。
「あっ、律だ!」
「今から行く」
あっというまに音がした。ガタンっ。
「律?律!いるんでしょ?」
「……いるよ。……ごめんな。本当だった。」
「はははっ、いーよいーよ。一日だけ遊びに来たんだろ」
「……うっせぇ、恥ずい」
「お前が悪いんだぞ、いじめなんか。」
「わかってっし。俺ん家でいい?」
「え?いいの?お前、行方不明になってるんだぜ、勝手に入っていいもんなの?」
「いいいい。だって一応、母さんにも見えるだろ。腰抜かすかもしれないけど」
「ははっ、でもいいなら行かせてもらうよ、行こう、律」
---
ピーンポーン、ピーンポーン。 ガチャっ
「あらっ、叶斗くん、と……キャーーー!」
思った通り、律のお母さんは腰を抜かした。
「すいません、僕が呼んじゃったんだけど。」
「え!?え!?呼べるの?律、死んでるのに、呼べるの!?」
「あれ、律から聞いてないですか?小望さんの商品です。」
「そうなの!?えー、へー……」
「あのっ!突然なんですけど遊んでもいいですか?律のお母さん」
「構わないわよー、律はここに残ってくれるのよね?」
そういわれて、律は口ごもった。
「……残らない。俺、戻る。」
「え!?なんで」
「あっちの方が楽しいわけじゃないけど、俺は、ここにいちゃいけないから。」
「そんなことないよ、大丈夫。だから、残っ__」
「あら、叶斗さんと律さん……の幽霊さん。」
「あっ、小望さん!」
「スタンプで呼んだんですね?」
「はい!えーと、最後に一日だけ、律と遊びたいと思って。」
「そうですか、楽しんでくださいね。律さんは、きっとスタンプの力だと今日だけしかいれませんから。」
「えっ?いっぱいいればいいでしょ。」
「そうですか……そう思うのであれば、どうぞ。」
「えっ……」
小望さんはあの後行ってしまったが、少し声が冷たかった気がする。……失望しているように。
僕は……間違ったことをしているのかな。律を引き止めるのって、悪いこと?
うん、きっと大丈夫だ!みんな、律にいてほしいって思ってるんだし、僕が引き留めたって悪いことはない!
スタンプに、「今日も律と遊んだ」とかいて、それをたくさん押していった。
ふわっ、と、小望さんが現れた。
「叶斗様も、いい使い方をしてくれると思っていました。ただ、あなたは純真無垢で、自分は正しいと思う方です。その性格が、このアイテムに合わなかったようですね。……すいませんが、叶斗様。あなたには、罰を受けてもらいます。」
「えっ……」
「スタンプは没収させてもらいます。あと、律様の記憶も、あなたの記憶も消させていただきます。」
……さようなら。
僕はそのまま、意識を失った。
「……あれ?なんで僕、寝て……このスタンプの跡、なんだ……?」
僕はいまだに、何をしていたか覚えていない。
はい、ありがとうございました。すっごい長かったですよね。正直私もびっくりです。1900文字突破!
最高記録更新!いろいろ消す前は2000文字超えてました💦ちょっと終わりが変だったかもですけど……
すいません!あと、そこそこ長い間書いてなくてすいませんでした。m(_ _)m
小望の商品 番外編 第一話
こんにちは、お久しぶり(?)です!
いきなりだけど番外編!!なんか、唐突ですみませんね……
部屋でゴロゴロしてて考えついたお話なので😆
それじゃあとりあえず本編どうぞ〜!
「望、塾の時間よ。」
「……はぁい。でもお母さん、私、勉強苦手だよ?」
「この塾は楽しいって言ったのはあなたでしょう。」
「この塾は楽しいけど、学校の成績は全然のびないじゃん……もう学校行きたくないし」
「どうせ今も不登校なんだから、関係ないでしょ。ちゃんと勉強しないと、しっかりした大人になれないわよ。」
私は、小鳥遊 望。中学2年生。
勉強も人付き合いも全部苦手なダメダメ女子。
でも、人付き合いなんかしないほうが楽だし。……だって私、いじめられてるんだもの。
---
「のーぞみちゃあん。」
「……なに?」
「ちょっときてよぉ。」
……嫌な予感しかしなかった。でも、断れなかった。
バシッ、ガンガン、バキッ!
私は、この日初めて、暴行を受けた。いじめをしてきたのはクラス委員長、南 杏梨。
---
お母さんには言えなかった。だって、迷惑かけたら困るもの。
でも、学校行くのはどうしても嫌で、勉強は塾でやるからってことで休んだんだ。
今はずっと不登校にしてる。
---
「はぁぁ。」
私は自分の部屋でため息をついていた。
__その時だった。
「!?」
いきなり、周りのものが見えなくなる。
……空間が歪んでる!
「こんにちは、私、愛菜。中学2年生。不思議な商品を売ってるんだよ。商人?とかいうやつなんだって。」
「……私に、何の用?」
「まぁまぁ、そう固くならないで。私も普通の人間なんだから。」
「……そうは見えないけど。」
「やっぱりそう見える〜?」
そう、彼女はとても普通の人間には見えなかった。
髪の毛は恐ろしいほど長く、耳は尖っていて、まるでエルフの耳みたいな。目の色も気持ち悪いほど綺麗な青で、その体は……透き通っていた。
「やっぱり、そう見えるんだね。そ、私は人じゃないよ。」
「じゃあなんなの?」
「さぁ……?わかんないや。私は前の店の店主に言われて、店主になったからなぁ。その時からこうなったもん。もう慣れちゃったよ。なんだこれ、なんて考えもしなかった。」
「……それで、何の用よ?」
「あぁ、そうだ、忘れてたぁ。私、あなたに私の商品を使って欲しくてきたの。」
「お金、持ってないよ?」
「いいのいいの。私のお店に来てよ、このお城。」
「……!?城!?」
「そうだよ、私だけのお城。でもさ、私、ひとりぼっちで寂しかったんだ。
実はねぇ、私、たくさんの人間に商品を売ると、“夢が叶う権利”って言うのをもらえるんだ。
それで、私だけの一人ぽっちのお城に、人間を呼んでいいっていう夢を叶えたんだよ。
だから、私のお城に来て。一緒にゲームしよう。」
「ゲーム!?どんな……」
「詳細はまた今度、じゃ、来てね〜!」
キランっ。
あの子はあっという間に消えていった。
わかんないよ、どういうことか。あの子のことなら、命を賭けるゲーム、みたいなの全然あり得そう。
……怖い。でも、もし夢が叶うようなゲームなら……
---
次の日の朝。
私は決心した。『ゲーム』にいく、とそう決めた。
私はそのお城へ急ぐ。
---
「……ここか……!」
私は、感嘆のため息をついた。
綺麗すぎる、シンデレラ城のような城の前で__
ちょっと微妙なところで切ったかな?続きはまた今度〜!
小望の商品 番外編 第二話
番外編、第二話です!先代の店主・愛菜の豆知識は、中身198歳ってことです!
愛菜・小望のお店の店主は、歳をとりません!いじょう、豆知識でした〜!
それでは、本編どーぞ!
「来てくれたの?嬉しいなぁ。望ちゃん。」
「ゲームの内容を教えて。あと、この子達は……?」
私の目線は、今私の目の前でワイワイガヤガヤと言っている、私と同い年くらいの子達。
「望ちゃん以外によんだゲームのプレイヤー。」
にっこりとわらって愛菜が答えた。愛菜も、外見は私と同じくらい。
「それじゃあ、まずはみんなで自己紹介してもらおうかな!それから詳細を話すよ。」
それじゃあ、と、一番前にいた男の子が手を挙げる。
「匠。中2。よろしく」
「じゃあ、私も。私は鴨足 もな。中3。よろしくね」
「俺は樹。中学一年。」
私も、慌てて自己紹介する。
「わっ、私、小鳥遊 望です。中2……、よろしくお願いします!」
「僕は浅見 莉恩。中学3年生。よろしく」
最後の一人がいった。
「青澄 純。中学2年生、よろしく」
「よーし、みんな自己紹介はできたね?それじゃあ、ゲームの詳細を話すよ!」
「はーい!」とみんなが元気に答える。
「このゲームは、私の“夢を叶える権利”で作ったもので、このゲームも、ある条件を満たすと、“夢を叶える権利”がみんなに渡されるようになっている。で、誰か一人しか条件を満たさなくても、全員に“夢を叶える権利”
が渡されるようになっているから、要するに協力プレーしたほうがいいと思うよ!」
「えっ、初対面なのに?」
「うん、もちろん!あと、もう一つルールがあるんだ。」
「なんですか?」
「お母さんに怒られるような時間になる前にちゃんと帰ってね、ってこと!それだけだよ。」
「OK。」
「じゃあ、質問タイムと行こうか!質問ある?」
「“夢が叶う権利”って、具体的にどんな夢が叶うわけ?」
匠が聞いた。
「どんな夢でもOKだけど、私のような商人のアイテムによって夢が叶えられる。まぁ、基本的にこれだけ、みたいなことはないよ!これはだめ、みたいなこともね!」
「愛菜のことはなんて呼べばいい?」
「普通に愛菜でいいよ!」
「愛菜ちゃんは常に私たちと一緒に城にいる?」
「もっちろん、私のお店だもん!」
「わかった。」
「ところで愛菜って中身いくつ?」
「数えてないけど……19から20ってとこ?198年生きてるから……」
ヒーっ、とみんながいった。
「まぁ、とりあえず他に聞くことはないかな?」
「いや、条件については?」
今度は莉恩だ。
「あーそうだ、言い忘れてた。その“条件”のためのヒントがあちこちに置いてあるから、そのヒントから推測して条件を満たせるようにする。」
「条件まで考えないといけないってこと?」
「そういうことになるね。それ以外にはない?」
場がシーンと静まりかえる。
「よし、いいね!そしたら、ゲーム開始〜!」
みんながあちこちを調べ始める。
「望ちゃん、だっけ?探そう。」
「う、うん……」
私は、近くにあったピアノに手を伸ばした。
開いてみる。……特に変わりはなし。
次に、鍵盤を叩いてみた。音も問題なし。
適当な曲を、と思って、アラベスクを弾いてみた。
……最後の音。
バーン、と大きな音が鳴った時、しゅるりと何か紙が出てきた。
『ヒント
もうきっと、条件はみんなの中に備わっている。よく考えて条件を満たすこと。ヒントは少ない。
ヒントの位置は、思いもよらないような場所。特定のことをしなければ、紙は出てこない』
みんなに伝えてみる。
「ふーん、そっかぁ。ちなみに、望ちゃんはどこで何をしたの?」
「ピアノです。ピアノでアラベスクを弾きました。」
「そう、私もヒントの紙、さっき見つけたんだけど、特定の決まっていそうなことなんてしなかったよ?
ただ普通に冷蔵庫開けただけだもん。」
「そうなんですか。てことはもしかして、このヒントの内容、いくつかに分かれてるってことでしょうか……」
「ありえるね、というかそれ、面白そう。」
「まぁ、そうですね。ちなみに、ヒントの内容って?」
「いらないものを消せ、だよ。」
「短いですね……」
「そうだね!」
「おーい、そっち、なんの話してんの」
「ヒント。二つ見つけたんだ。」
「ふーん、どんな?」
私たちは、ヒントについて話した。
「頭文字が、もとい。もなと樹の名前の頭文字だ。まぁ、特定はできないけど……」
パチパチパチ、と愛菜が拍手した。
「正解、正解。ただ、これから先は……どうだろう?」
不思議そうな顔をして首を傾げて見せる。
そうだ。このゲーム……こんなチャンス、またとない!
絶対に逃さない!絶対に叶えるんだ……!!
ちゅ、中途半端なとこで終わりましたぁ……
1852文字で、もうちょい続けたかったけどこれ以上続けるとオワりそうだったので……
つぎも、頑張ります!
小望の商品 番外編 第三話
こんにちはー、最近、小説出すの頑張ってる!
っていうか、小望の商品 番外編にハマってるんだと思います。
他のやつは多分しばらく更新しませんが、とりあえず小望の商品 番外編を楽しんでください……
申し訳ありません🙇
「ヒント、見つけたよ!」
莉恩が駆け寄ってくる。
「ヒント
ヒントは三つに分かれる。このヒントは、どのヒントとも関係ない、第三のヒントに分類されるもの。
全てのヒントは15個。全てを三つに分け、その通りのことをすること。自分のすべきことをしろ」
「ひ、ではじまる名前の人なんていないよね」
「なんでだろう……?」
「三つに分かれるんでしょ。このヒントを踏まえて考えると、第一のヒント、名前に関係するもの。
第二のヒント、謎。第三のヒント、どのヒントとも関係ない。」
樹がそう答える。
「「「「「おーっ!」」」」」
みんなが感嘆のため息をつく。……もちろん、私もね?
「第二のヒント、だから莉恩が見つけてきたヒントが何に分類されて、その分類されたものをどう動かすのか。どう自分たちが動くのか。それが焦点になるんだろ?」
「……まって」
私は、愛菜に聞いた。
「ここって、期限はあるの?」
あっ、っとみんなが声を漏らす。忘れていた、と。
「もちろん。永遠にここを開けられるわけじゃないよ、それも“願いを叶える権利”で契約してあるもの。
“願いを叶える権利”は、正式に窓口に行って認められ、しっかりと契約を交わさないとできないの。
ちょっとめんどくさいけど、夢を叶えるためだものね。ちゃあんと、契約書があるの、ほら。」
---
契約書 願いを叶える権利授与(一度限り) 愛菜さまリクエスト
・愛菜様の店を1年間、城へ変えること
・その城に人間を六人よび、ゲームをすること
⚠️ゲーム内容
人間六人に条件を満たさせる。ただし、人間六人が条件を満たし、スペシャル・アイテムを手に入れた時、
---
続きも知りたかったのに、愛菜はぱっ、と契約書を下げてしまった。
「というわけで、この城が開いているのは1年間。その間にスペシャル・アイテムを手に入れるために、条件満たしについて考えることになるよ!」
「さっきの続きは、見せてくれないの?」
瞬間、愛菜は怖い顔をして、
「だめ」
いつものようではない怖さでいうのだった。
---
「……不自然だ。」
「そうだよね、どうみても不自然。」
「なにか不都合なことや、教えてはいけないことが載っているに違いない。それとも、それを読んだ人がいたら〇〇をするとか、そういうペナルティが決まってるとか。」
「うーん、あるよね。私は、一番最後のペナルティが決まってる、が一番ありそうな気がする。」
「だから、しばらくはあの契約書の続きは模索せず、忘れたつもりで条件探しをすることがベストかな。」
「よし、それじゃあしばらくは、全部のヒントを見つけてよく考える。それに集中しよう!」
---
「見つかったよ!」
「こっちも!」
「私も!」
「今見つけた!」
「これかな?」
「これこれ!」
「いっぱいある!私も見つけたよ、あと5個?」
「僕、見つけた。」
「僕も見つけたよ。」
「俺も。」
「私また見つけたー!」
「最後の一個、見つけたー!」
私たちは、脅威のスピードで、たった十日で全てのヒントを見つけてしまったのだ。
ただ、二つ目の集まりがなんなのかわからない。
二つ目の集まりと考えられるものは約6つ。
一体なんなんだろう……
---
次の日
「私、気づいたんだ、これじゃない?」
「えっ、なになに、もな、教えて!」
「契約書の続きが無事に読めたら教えてあげる!」
「え、だめだよ……もし、死ぬようなペナルティだったら……」
「私一人が死ぬなら、あなたたちに影響はないでしょ」
「もし、連帯責任だったらどうするつもりなの?」
「連帯責任?ないない。」
「それでも、わかってるかもしれないもなが死ぬなら、夢は叶えられないってことになるでしょ!?」
「それでも、自分が死ぬよりマシでしょ!ちょっとは考えなさいよ!」
「考えてるよ!だから連帯責任の可能性、ゼロとはいえないっていってるの!そしたら、みんな死んじゃうんだよ!?」
「〜〜〜っ!!!」
「はい、やめやめ!喧嘩はだめ!もなも、契約書の続き、見ようなんて思わない方がいい。自分たちで考えよう。」
「はいはい、俺考えついた。」
「なに?匠」
「俺たちが夢を叶えて、新しい店主が見つかったら、愛菜は死ぬ。自分の命と引き換えにってところじゃない?」
「そんな恐ろしいこと、あるわけないでしょ?」
「というか、命がかかってることする?寂しいからみんなを招くっていう願いのために?意味ないじゃん」
「いや、ありえる。絶対にあり得る……」
訳知り顔で純がいった。
「なに、純、愛菜と知り合いな訳?」
「そんなわけ、ないだろ……、いや……、そうかもしれない……!」
曖昧な返事を返す。
「知り合いかもしれないよ……名前が、愛菜じゃないなら……!名前が、花梨なら……!」
「花梨?」
「そこまでそこまで!」
「愛菜……!」
「これ以上私の身について考えることは許さないぞ!私はまぁ、花梨ってやつのことは知らないが……」
「今、思いついた……これの代償に、記憶でも渡したんだろ?」
「何をいっているんだ」
「僕は絶対に愛菜を知っているもの!」
まためちゃめちゃ!
それと、長編。めっちゃ長編!ごめん
2101文字だって、やばくないですか!?
スクロールお疲れ様でした、すいませんんんん〜〜〜!!!
続き、お楽しみに!
小望の商品 番外編 第四話
こんにちはー、まじでめちゃめちゃ小説出してます!
小説ブーム!番外編書くのすげぇ楽しい!いぇーい!!!
テンションはアゲアゲです、現実世界じゃサゲサゲだけど。
とりあえず異世界のお話書くぞー、楽しいなーみたいな気持ちで書いてる。
頑張りますので、よろしくー😁
「え、ちょ、ちょ……純?何いってんの」
「ほんとだよ、多分……絶対……?知ってる。」
「なんかあやふやな感じするじゃん、嘘でしょ」
「花梨ならあってるよ、花梨なら……だって、姿も仕草もピッタリ花梨だもの。」
「なんでそんなに知ってるわけ?」
「えーっ……、それは……」
純は確認するような目で愛菜(花梨?)をみる。
愛菜は首を傾げて、なんのことだかわからないといったような視線を返す。
「花梨は……僕の好きな人……だったひと。」
「どういうこと?」
「死んだんだ、こないだ。持病持ってて、発作起こしたんだ。心臓病だから……心臓が止まって死んだんだ」
「怖い死に方……んで?だって、死んだならここにいないはずじゃん。そしたら、命捨てて案終了じゃん。」
匠がいった。
「そうだけど……だって、愛菜……透けてるだろ」
「体のことか?」
「うん。それか……この店の店主って、代々幽霊っていうか、死んでこの店の店主になったりとか……
そしたら、その店の店主と決まった人はなんらかのありそうな理由で死んでってことになるだろ?」
「なんだかだいぶ入り組んできてるじゃん、一回整理しよ」
「なんでもいいけど……私、純のことも知らないし、死んでなんかいないよ……先代の店主のことも知らない……っていうか覚えてない。」
「覚えてないってことは、なんらかが作用してるってことでもありそうじゃん!不思議な店の店主としてはピッタリじゃん!」
「それはそうだけどさ……」
「だから!整理しようぜ」
---
「まず、この城に呼ばれたのは僕たち六人。あってるよね?」
みんなが頷く。
「そして、この城で行われるのはゲーム。そしてそのゲームは、願いを叶えるためのゲームで、愛菜の夢を叶える権利で行なわれている。」
「うん、そうだよね。」
「それで、その願いを叶えるためには条件が必要で、私たち・僕たちはヒントを集めて、その条件について調べているところ。」
「うん、それで、全部見つけた。」
「そして、このゲームの主催者・愛菜は、純の死んだ恋人・花梨であるかもしれないという可能性が出てきた。」
「だって、ちょうどピッタリあってるんだもの、花梨としか思えないんだよぉ」
「そりゃあ、嘘だと思ってるわけじゃないけどさ……似たような人なんていくらでもいるんじゃないか?
っていうか、愛菜はもう死んでるってことになるの?だから体が透けてると?」
「透けてるっつったら幽霊とかだろ?」
「まぁそうなんだけど……死んでるんだったら、僕らの、「命と引き換えに作戦」終了じゃん」
「それはさ、そうなんだけどさ……だって、花梨は……好きだから、一番よくわかってるはずだし……
その命と引き換えに作戦だって、予想だろ?絶対とは言えないじゃん……それに、店主となることで命をもう一度復活させることもOKなんじゃない?それとも、命と引き換えにじゃなく、体の消滅なら……」
「おぉ!」
「だから、私はいっとくけど、純なんて人と一緒にいたり、恋しあったりした覚えはないって!そもそも、花梨なんて人は私じゃない……!前世のことぐらい、ちょっとは覚えてるし……」
「は?前世?」
「前世ってどういうこと?店主として生まれ変わったってこと?それとも一度死んでここになった、一度死ぬまでの人生?」
「だー、そんないっきに聞かないでよ!わかったわかった、答えるから!」
---
「前世ってどういうことですか」
「……ゼンセッテノハ……ワタシガシヌマデニイキテタジンセイデス……」
「……なんでそんな固まってるわけ?」
「イイカラ……キイテクダサイ……」
「は、はい……」
「ワタシハ……ゼンセ……オンナノコトシテイキテイマシタ……ナマエハ……オボエテナイ……デモ、ダレトモツキアッテナクテ、ボッチダッタコトハオボエテイマス……ジュンナンテヒト、シリマセン……」
「だから、それはなんかが作用してるんじゃないかって……」
「ハァ……」ばたっ
「ちょちょちょちょちょ、ちょっと待ってこの人いきなり倒れたぁ〜!!!」
「ややや、やばくない!?こうだからカタカナだったわけ?」
「カタカナはツライシルシだね。わかった、覚えた」
「ちょっと、とりあえず応急処置した方が良くない?」
「でも何が起こってんのさえわかってないんだって……どういうことすればいいのかさえ……」
「大丈夫。ちょっと待ってて。」
純がいきなり駆け出していって、帰ってきた。
「これ……なに?」
純は変な機械を持っていた。
「原因がわかる機械。僕が作ったの。」
早速愛菜にかざし始める。
「……なんかの作用だね……、なんか、秘密でも言ってそれを誰かが止めようとして倒したのかも……」
「つまり、その……“願いを叶える権利”を与えてる人とかによる?」
「そう考えられる……なんかよく漫画とかで聞くでしょ、心臓にチップ的なのが付いたりしてるんじゃない?」
「ちょっ……グロッ……」
ガバァっ
「あ、起きた」
「ひぃぃぃぃ、助けてくださぃぃぃぃぃ!!!だ、だれだれだれ!?誰ですかぁ!?やめますからやめてくださ」ぱた
「また倒れた。」
「ひどい夢でもみてんのかなぁ」
変なとこで終わった!だってもう続けられない!書きたいこと多すぎる!もう3,000字、4,000字いきたいんですけど許してくれますか!?ごめん🙏
とりあえず……面白いお話書けるように頑張りますね!
小望の商品 番外編 第五話
すいません、第五話、第六話、クソすぎたので消しちゃいました……
それで、あの、三ヶ月くらい更新してないことになりました。
四ヶ月かな……
すいません、ちょっと忙しかったもので………あはははははははっ(オワッタワライ)
とりあえず、本文をどうぞ。
「うっ、はぁっ、はぁっ……。」
なにか、悪い夢を見ていたような気がする……。
「あれっ……私は……なにを……。」
そうだ、『願いを叶える権利』の“試練”でしたね__
「みなさんは……どこに、行ったのでしょう……」
ゆっくりと、壁づたいに歩いていく。
「……ぇ、白状……なさ……」
「……だ……人……ってば!」
「それ……らいの……そ、……うす……てれば……るわ」
「僕……そ……はついて……い。」
「うそよ!白状しなさい!」
この声は……純と、もなさんでしょうか?
「しーっ……愛菜がいる。」
「私に秘密のことなんですか?」
「……やっぱり、聞こえてたの?愛菜。」
「当たり前です。私はすぐそこにいるんですよ?」
「っていうか、なんで、敬語……。」
「あ……。」
「愛菜、前世のことを、教えてくれない?」
「……いえ、ダメです。」
「どうして?」
「私はまた、苦しい思いをしたくは……な……い。」
またいきなり、愛菜が顔を歪めたので、それ以上聞く気は出なかった。
---
「純、ほんとうに、いい加減白状してちょうだい!」
「僕は……嘘はついてない。」
「ずっとそれじゃないの!白状してちょうだい!」
「ダメだよ……わかった、僕は嘘をついている。でも、本当のことを言うわけには、いかない!」
「どうして!いい加減白状してちょうだい、それが夢を叶えるためのことにつなが__」
「ダメだ!じゃあ、もしさ、これで僕が話したとしよう。秘密がバレて、愛菜が死んだら?
ゲームが続くのかどうかわからないじゃないか!僕は、リスクを犯してまで夢を叶えようとは思わない!」
「私は愛菜が死んだって構わないわ!」
「も、もなちゃん……。
ねえ、みんなの願いはなんなの?」
「俺の願いは」
匠が一番はじめに口を開いた。
「痛みなく死ぬことだ。」
「え」
一番初めから、怖すぎるっしょ!
「ど、どうして?」
「俺は、この世界はクソだと思ってるからな。どこに行こうとどうしようとクソだ。
それなら死なないとこの世の中からは出れないと思ったんだ。だけど俺は自分で自分の体を傷つけるのは嫌いだ。」
「う、うぉぉ……」
「じゃあ次、私ね」
次に口を開いたのはもなだ。
「私には、助けたい人がいるの。その人を助けて欲しい。」
「だれ?どういうわけで助かってないの?」
「言う気ないわ。」
「……。」
「じゃあ、次は俺だな。」
次は樹くんだ。
「俺と言うより、妹の願いを叶えてやりたいな。いじめられてて、部屋から出て来ないんだ。」
「……優しいね。」
「そう?それで、望は?」
「私……私、かあ……。自由になりたい。」
「自由?」
「今の世の中、みんな縛られてるなと思って。
いい方で自由になれればいいなって。みんなが。」
「それこそ、優しいんじゃない?」
「そうかな?」
「りおんは?」
「ん〜……万能になりたい。」
「ぉお……。」
「じゃあ純。」
「花梨を戻してほしい。」
「なんかみんな、すっごい理由があるみたいで……。なんか、申し訳ないな。」
「そんなことないでしょ、りおんくん。」
ぴきっ、とりおんくんがかたまる。
「ど、どうしたの?」
「愛菜!」
「どうしたの?」
「とぼけるな。」
「え?なんのこと……?」
くいっ、とりおん君が愛菜を指差す。
それで愛菜を見て……
「!!!」
息を呑んだ。
愛菜の姿が、半透明になっている!
ぴったり、1,400字。
長らくやっていなかったけれど、それに加えて久しぶりのやつが文字数少ない……。
どうも、すみません。
次、頑張ります……。
小望の商品 番外編 第六話
第五話をかいた次の日ですが、ちょっとハマったので書いちゃおうと思います。
特に話すことがない……💦……本文どうぞ!
「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
みんなの大絶叫が響いた。みんなわかったみたいだ。
「あ、愛菜、どうしたの!?」
一番慌てているのはもちろん純だ。
まあ、この反応を見て知らない他人じゃないことは明らかかなぁ。
「ど、どうしたのって……。」
愛菜も気づいていなかったらしい。すごく慌てている。
「私……そんな、特に何もしてないけど?」
半透明な自分の体を見て、不思議そうな顔をしている。
……そこまで慌てては、ないっぽい?
「まあ、私が消えるまでにあなたたちが夢を叶えてくれればいいんだから、私はどうでもいい。
新しい店主を探さなきゃいけないけど、まあ平気だよ。」
愛菜はそういってニコッと笑うと、
「じゃ、頑張ってね、夢を叶えて。」
愛菜はそう言ってフッと消え__
「まって」
いきなり、りおんが呼び止めた。
また愛菜の姿がはっきりしてくる。もちろん半透明のままだけど。
「この間の、書類みたいなの見せて。」
「え、いいけど。これでしょう?」
愛菜が書類のようなものを見せてくる。
りおんは荒っぽくひったくった。
そう、あの初めの契約書みたいな紙を。
その紙をあちこちさわってニヤリと笑うと、それをビリビリに引き裂き始めた。
「ちょ、ちょっと、どうしたの!?」
みんなは慌てているが、愛菜は呆然としている。
「……あった。」
りおんのいきなりの豹変ぶりにみんなが驚いている中、りおんが何かを手に取った。
「……どうして、わかったの」
それは、何かの、鍵だった。
「なに、この鍵。」
「“夢を叶える条件”さ。」
りおんがすぐさま答えた。
「鍵を持つことが条件だってことはわかってたんだ。」
「どうして?」
「だって、みんな見ただろう?ヒントが出てきたところに必ずあった印。」
「……なんか印あった?」
「ピアノには、鍵のマークがあったよ。」
「えっ、嘘!私のところにもあった」
「僕のところにもだ。」
「ほらね。」
りおんはずっとニヤニヤ笑っている。
「で、これが条件だって思ったんだ。ヒントなんてのは全く意味なかったよ。
あちこち見てみたけど、どこを探しても鍵なんて見つからなかった。印のところは掘り返せなかったしね。
だから、あと探してなかったのは愛菜と、愛菜の持ち物だけだったんだ。
だからとりあえず、契約書を見せてもらった。当たりだったね。」
りおんはペラペラと喋る。
「……ねえ、りおん、何があったの?いきなり豹変して……。」
「今までのが猫被りだよ。俺は元々こういう性格。万能って夢も本当じゃない。」
「何が本当の願いなの?」
「いうわけあるかよっ。大丈夫さ、みんなの夢もちゃんと叶えてあげるから。
__愛菜、呪文を言ってくれよ。」
「……鍵ᚤᛟ, 願ᛁᚥᛟ叶ᛖᚤᛟ. 我ᚱᚪᚾᛁ願ᛁᚥᛟ叶ᛖᚱᚢᚳᚺᚪᚾᛋᚢᚥᛟ与ᛖᛏᚪᛗᚪᛖ.
我ᚾᛟ代ᚥᚪᚱᛁᚾᛁ皆ᚾᛟ願ᛁᚥᛟ叶ᛖᚤᛟ.」
その瞬間、りおんの姿だけが消えた。
ますます、愛菜の体が薄くなっていく。
「ねえ、愛菜、新しい店主って決まったの?」
「ううん。皆を裁ける人を探しているの。」
「匠は?」
「匠君は、本当に死ぬことを望んでいるからね。
わたしたちは、この世界をあちこち渡ってみんなにアイテムを届ける仕事だから、この世界に残る。」
「そう。」
「でもね、望ちゃん。私は、望ちゃんがいちばん向いていると思ってるんだ。
だからさ、新しい店主になってよ。」
「……え?」
「ねえ、いい?いいんだったら、私はすぐに消えられるの。もうこれ以上、私は痛みに耐えたくない。」
「いま、痛むの?」
「もちろん。すごく痛むよ、今この瞬間でさえ、この城を保つために私の生命は削られているから。
もうあと少ししか残っていないんだ。だから、早くこの痛みから解放されるために、新しい店主が必要なの。
ねえ、望ちゃん、お願いだよ。新しい店主になってくれない?
望ちゃんにはいっぱい心が残っているから、あと少しのこの城を保つことくらい、平気だよ。」
喋っている間にも、愛菜の体は薄くなっていく。
「おねがい、早く……私は、あと少しで消えちゃうから……やっぱり、保たなかったかぁ……。」
「……わかった。」
「ありがとう、望ちゃん……店主は店主である間孤独だけど、死ねば、孤独じゃなくなる。
望ちゃんが天国に来たら、私が労ってあげるから。じゃあね、望ちゃん__」
__ありがとう。
完全に、愛菜の姿は消えた。
一瞬で私の目の前が真っ暗になった。
私は、ああ、店主になるために死んだんだ、と思った。
__クラクラする。
目が覚めた。私の姿は、完全に変わっている。
水色の長い髪の毛に、かわいい水色の、フリルのついたドレス。白いタイツに、小さな黒のヒール靴。
カン、カン、カン……。
歩くたびに、ヒールの音が響く。
「……あれ、望は?愛菜は?あなた、誰?」
もなが混乱している。
「愛菜は、消えた。私が望、店主になった。」
もなは、目を疑っている様子だ。
「夢は、まだ叶っていないのですか?」
「まだだね。」
「……怪しいです。」
ヒュンッと、変な感覚がした。
「ここ、どこでしょう……。」
りおんがいる。私に気づいていないようだ。
ヒールの音が鳴らないよう、ゆっくりと歩く。
りおんの声が一言、聞こえた。
「殺す」
変なところで終わっちゃったでしょうか?(2187字)
すごく成り行き任せで書いています。
これ、こうすればいいんじゃないか?みたいなのがパッと浮かんでくるので。
次も頑張ります。
小望の商品 番外編 第七話
こんにちは!
こんなに続けて書いたのすごく久しぶりです!
そろそろ番外編終わらせたいんだけど……😅
とりあえず、そろそろ終わる予定です!
それじゃあ、本文どうぞ!
「りおん君。」
「……なっ!お前、誰だよ!」
「小望、と申します。ああ、元・望です。」
「は?望はどうしたんだ」
「ですから、わたしが望です。」
「……愛菜は」
「死にました」
「ちっ……聞いたか!?」
「いいえ、全部は。“殺す”という一言だけしか」
「それが聞こえたら全部だろ!」
りおんはすごく荒れている。
「おれは、俺をいじめている全ての奴を殺す。その能力を手に入れさせてくれって、言ったんだよ」
「いまいうことではないと思うのですが、なぜ全ての奴を殺してくれと言わないんですか?」
「自分の手で殺したい。苦しんでるあいつらを見たいし、それじゃあそれっきりだろ?」
「……これからも気に食わない人がいたらころすつもりなんですか。」
「そうだな。というより、そっちの方がいいだろう?一発で、何人もの邪魔者を消せる。」
本当に、今までのりおんは猫を被りすぎていた。もしくは、いきなり別人になった?
「本当のりおん君は、どこですか」
“りおん”は目を見開いた。
すぐスッと目を細めると、落ち着いていった。
「俺の中だ」
「中……?」
「そうだ。俺の中にいる。俺はりおんじゃない。けど、こいつが俺に魂を売ったんだ。」
「あなたは?」
「悪魔、みたいなもんだ。夢を叶える代わりに、魂を俺に売る。そういう、契約だ。」
「契約、ですか……」
「というより、俺がいなくなったらこいつも死ぬ。こいつはもう瀕死だ。」
「そうですか。じゃあ、あなたを取り除くわけにはいかないんですね?」
「そもそも、俺を取り除くなんて無理な話だぜ。普通の人間には……」
「そうですね、でも今、私は普通の人間ではありませんから。」
「は?」
「私は今、不思議な店の店主です。アイテムを使えば、なんだってやることができますから。」
「ああ、そうだったな……だとしても、俺を取り除くのは無理だ。」
「なぜですか?」
「敵になるかもしれないやつにいうかよっ。」
「そうですか……じゃあ、ちょっと入らせてもらいますよ?」
「どこに……って、お前!」
私の輪郭は、まだぼうっとしている。店主になったばっかりだからだ。
別の人間に触れれば……
トプッ。
静かに、私はりおんの体の中へ侵入した。
---
「りおんさん、どこですか__」
りおんの姿が、見つかった。
縄でとらえられ、気を失っている。
彼の体はわずかに淡く光り、その周りには黒い結晶のようなものが打たれている。
結界のようなものが張られているようだ。
私はその中に、またトプッ、と侵入した。
“姉さんは……どこにいったんだ?”
『真っ暗だ……いやだ、いやだ……』
「苦しい……悪魔のやつのせいか?」
(う、ぐっ……)
バチっと、そこから放り出された。
「ふむ……。」
黒い結晶に触れてみた。
怒り、苦しみ、悲しみ……いわゆる負の感情が溢れ出ている。
触れた瞬間に、黒く負の感情に染まってしまいそうなほど、強い負。
この結界に閉じ込められていたら、それは辛くて苦しくて、とても心細いでしょう。
そのうち、りおんさんも悪魔にされてしまう。
きっと、すぐに助けて欲しいでしょう……
「『アルステア!私の工場よ、開け!』」
私は異世界に入り込んでいた。
---
「ここが、私の工場……」
やる方法は自然とわかっていた。
「結界を解く“消しえんぴつ”」
それだけ声に出せば、一瞬でそれが出来上がっていた。
---
りおんに近づき、鉛筆型消しゴムでゆっくりと結界をさする。
だんだん結界は薄くなり、りおんの表情はやわらいでいく。
全ての結界が消えた時、りおんは強く光を放った。
---
「お、とっと。」
私は元の世界に戻ってきていた。
「はあ、はあ、はあ……」
そこには、泣き顔をしているりおんがいた。
「りおんさん、よかった、戻ったんですね……」
「のぞ……小望。」
いきなり、りおんは私にとびついてきた。
涙をポロポロと流しながら。
わたしは、ゆっくりと背中をさすってあげる。
きっと、すごく怖かったんでしょう。
しばらくの間、2人はそうしていた。
しばらくして、やっとりおんが顔を上げた。涙でぐちゃぐちゃだった。
「はやく、みんなの願いを叶えてあげないとね。
ねえ、小望。一緒に、僕と願いを唱えてよ。」
「え?いいですよ……。」
「せーの」
「「匠が、痛みなく死ぬこと。もなの、助けたい人を助けること。樹くんが、妹の願いを叶えること。
小望になったけど__望の願い。全ての人が、自由になること。」」
「……りおんくんは?」
「もう二度と、いじめられる人が出ないこと。」
「「純の願い__花梨さんを、戻すこと!」」
周りが光り始め、あわてて私は言った。
「もう一つだけ、言わせてください!どうか、愛菜が、天国で幸せにいられますように!」
言い終わるか言い終わらないかのうちに、光が全てを包んだ。
次くらいで終わらせる気でいます。
次は明日なのか、しばらく先なのかは私もわかりませんが、よろしくお願いします!
小望の商品 番外編 第八話
私、気づいたんですけど。番外編、八話じゃないですか。
番外編じゃないお話、確か五話しかないんですよ。
普通のお話より番外編の方が多いって……いいんですかね……?
そうそう、あと、今回は長編です。だいぶ長いので……すいません。
ほんとですよ、すーーーーーっごく長いですから。(5500くらい?)
本読み慣れてる人ならいけるかもしれませんけど……終わり見えませんから!気をつけてください!😅
光が消えた時。
隣に、りおんは居なかった。
「……あれ?りおん、みんな!」
りおんはいない。もなも、匠も、みーんないない!
「え、どういうこと……」
私だけが、城の中のままだ。
「……城よ、役目を終えよ。私を元の場所に戻したまえ。」
城が、ゆっくりと消えていく。
城が完全に消えると同時に、私の意識は無くなった。
---
「……っ!」
起きた先。そこは、ただただ真っ白な場所だった。
『愛菜』
「私は愛菜ではありません。小望と申します。あなたはどなたですか?」
『我は神である。愛菜はどうした。殺したのか?』
「死にました」
『そうか、やはり……保たなかったか。なら、小望、お前が新しい店主だ。』
「いきなりですか?」
『ああ。これが店主の印だ。渡しておこう。愛菜のやつめ、これを渡さないまま死んで……!
小望、いいか、別のものに店主を変わる時は、この印を譲渡することだ。わかったな?』
「はい……神様、一つ質問があります。」
『なんだ?』
「りおん達はどうなったのですか?」
『見にいくか?』
「……!はい!」
---
一瞬でパッと景色が変わった。
『まず、匠を見ようか。』
「匠は死んだのではないのですか?』
『死んだな。ただし、魂のかけらが少し残っているのだ。あの城が壊れて、行き場をなくした魂が。』
「それは、どこに宿ったのですか?」
『おそらく、あの心は憎しみだ。学校に宿っている。そして、いじめっ子に自分のやられたことを全て仕返しして、やっと成仏するだろう。きっと、学校の怪談になるだろうな。』
「それは、止めた方がいいのでしょうか?」
『それは、お前がどう思うかだ。止めたいなら止めればいいし、止めたくないなら止めなければいい。』
「……そうですか。それじゃあ、私は止めることにします。」
『そうか。』
とても静かで落ち着いていて、けれど、何か怖さと、とても強い憎しみを秘めている匠。
もしその“憎しみの心”単体だったら、匠は加減ができるのだろうか?憎しみのままにやり続ける気がする。
だから、止めておきたい。
『そうだ、小望、おまえは店主となったことで、魔法を手に入れた。好きに使えばいい。使いたい時には思い浮かぶだろう。』
「……はい。」
私は、匠のいた学校にいた。
「Soul-searching Magic(魂を探す魔法)」
一つの、授業中の教室が光った。
「……あそこですか。見られると厄介ですね……
!Invisibility magic(透明になる魔法)」
私は足音を立てないように、ゆっくりとその教室に近づき、入り込んだ。
「__見えていない。」
カンっ、と、つい大きな音を鳴らしてしまった。
__まずいっ!
と思ったけれど、皆の視線は私の体を素通りした。
……匠の魂は?
すぐに見つかっていた。でもそれが、匠の魂だと思えなかった。
真っ黒に怖いほど美しい赤。それが混じった、血のような赤黒い魂。
こんなのが、匠の魂だなんて__
目を疑った。でも、やっぱり本当だった。
「……た、匠?」
“がああああああああああああああ!”
耳をつんざく大音量で匠の“魂”が叫んだ。
「……」
匠は、こんなものを、心の中にしまい込んでいたのか。
匠の“魂”はふくれあがり、大きな怪獣と化していた。
こんな、こんな怪物を、匠はずっとねじ伏せていたんだ。
辛かったんだろう。苦しかったんだろう。だから死ぬ選択をしたんだろう。
それはきっと、他の人を傷つけないためでもあったはずで。
「……匠は、えらいね。すごいね。」
そんな、ありきたりな言葉しか出てこなかったけど。
匠には、きっと届いたはずだ。
その怪物の顔が、少し緩んだ気がした。
私はその怪物に、思いっきり抱きついてやった。
徐々にその体は薄くなっていき、最後は、ニコッと笑った匠だった。
「__匠」
匠の魂のかけらでさえも、もうこの世界からは消えたのか。
寂しく思った。匠は、いい子だった。匠は、偉い子だった。
でも、すごく惨めだった。
だから、嫌になったんだろうなあ、と私は思った。
『……成功したな。お前には、とても素質があるようだ……』
「そんなこと、ありませんよ、神様。……もなは?」
『鴨足 もなのことか?』
「そうです。」
『ふむ……弌島第四。弌島第四中学3-Aの教室にいるはずだ。」
「もなの、助けたかった人というのは?」
『玖丹代 香無。』
「はい?」
『玖丹代 香無|《くにしろかな》だ。』
「それは……?」
『鴨足もなの、幼馴染だ。保育園の頃からずっと一緒の、とても仲良しな友達だったらしい。
だが、去年の12月、交通事故で死亡したんだ。車に乗っていた運転手は逮捕された。』
「玖丹代香無さんは、生き返ったのですか?」
『生き返ったな。確かに生き返った。しかし、意識は戻っていない。生きてはいるが、もなの思っていた通りにことは進まなかった。いつのまにか玖丹代 香無という病室ができていて、そこに僅かに生きている。
そんな状態で、決して喋れないし、歩いたりすることもできない。ずっと寝たっきりだ。』
「……そうですか。それは、どうして助ければいいのでしょう……」
『お前の力があれば、玖丹代 香無を完全に生き返らせることも可能だろう。やってみればいい。
時間を戻すことだってできる。失敗すれば時間を戻せ。まあ、お前ならそんな必要もないだろう』
「……はい。」
一瞬で、弌島第四中学についていた。
「3-A……」
そこには、他のクラスメイトがグループを組んでいる中、1人っきりで暗い顔をしているもながいた。
体は透明にしてある。
__中に入ろう。
どうも、もなはずっとロケットペンダントの写真を見ているらしい。
こっそり写真を覗き込んで……気づいた。
片方はもなだ。もう1人は、おとなしそうな頭の良さそうな女の子。
おそらく、もなじゃないほうは玖丹代香無さんだ。
「Take her to the hospital where kana-san is!(カナさんのいる病院へ連れて行って!)」
そこは、見たことのない名前の病院だった。
「玖丹代 香無……玖丹代 香無……あった!」
私はすぐにその病室の中に入った。
ずっと目を閉じて、繋がれている機械も、ずっと細かく動き続けるばかりで、顔色も良くない。
僅かに生きているだけ。その意味がよくわかった。
「……やってみますか。
Restore kana-san to her original,healthy self and bring her back to life!(かなさんを元の元気な姿に戻し、完全に生き返らせなさい!)」
すぐに効き目は現れた。
ゆっくり、ゆっくりと、香無さんは目を開けていく。
そして、機械の数値も大きく動き始めた。
私はこのまま、もなが来るまで待つことにした。
__1時間くらいして。もなが現れた。
「……」
下を向いて、もなが現れた。
「……!?香無!?」
「__もな?ねえ、私、死んだはずじゃ……」
「よかった___!」
「え……?ちょっと、やめてよ……」
2人とも、涙声だった。
これ以上は見ない方がいいと思い、私は神の元へ戻った。
『……まさか、ここまでとは……』
「はい?」
『__いや。次のやつのところへ行くんだろう?』
「はい、樹くんです。」
『樹は、だいぶ遠くに住んでいるぞ。瞬間移動の魔法を__いや、行くか。』
「どうしてですか?」
『どうして__こっちにも、事情というものがあるのだ。私は有望な者を死なせる気はないからな。』
よくわかったわけではないが、私は察して、このまま神と進むことにした。
『__あそこが、樹の家だ。樹の部屋は、あそこを曲がって__』
位置の説明を受け、私はすぐにそこへ飛んでいった。
透明になって、さらにドアをすり抜けたりすることができるようにした。
そっと、妹さんの様子を見る。
妹さんは、温かい笑顔で人形を動かしていた。
次に、私は樹くんの部屋へ向かった。
樹くんは、辛そうにしていた。
__なにか、機械のようなものをつけている。
わたしはそれに気づいて、それに何か見覚えがあるような気がした。
ドラマとかの、能力を奪う系のナニカにも見えるけど__それじゃない気がする。
考えて、考えて、たどり着いた時。
樹くんが、いっそう顔を歪めて倒れてしまった。
「___発作だ!」
病気の発作が起こったことを知らせる装置。
ブーブーブー、と警報音が鳴る。
妹さんが部屋から飛び出してきて悲鳴を上げた。
お母さんがすぐにきて、救急車を呼ぶ。
相当切羽詰まった顔をしていたので、きっと酷い発作なんだろう。
すぐに、救急隊員が来た。
そして、お母さんと妹さんは一緒について行った。
妹さんは小さいから、1人だけ残していくわけにはいかないからだ。
私も、気づかれずに入ることに成功した。
「__酷い発作ですね。これは__」
樹くんは病院に連れて行かれた。
この辺りで一番近くて大きな病院だ。
「容体が悪いです。3ヶ月保たないかもしれませんね……。」
お母さんは目を真っ赤にし、妹さんは泣きじゃくった。
「わたしが……わたしが、樹兄に願いを叶えてもらわなかったら……」
そう言って、妹さんは泣いていた。
それで、はっきりとわかったんだ。
きっと、妹さんが願いを叶える代償として、樹くんは……
私は神の元へ戻った。
「私は、何をすればいいのですか!?」
『何もするな。樹は、これを覚悟していたんだ。心残りはない。見守ってやれ。』
3ヶ月、と言っていたにも関わらず、発作が全く良くならず、そのまま樹くんは息を引き取った。
『……しょぼくれるんじゃない。次のやつのところへ行くんだろう?』
「そう、なんでしょうけど……」
『お前は、次のところへ行くんだ。さあ、行くぞ。』
「……りおんくんです」
『わかっている。りおんはススキ町にある自分の家にいる。さあ、行くぞ。』
ビュウっとすごい風が吹いて、目を開けた時はススキ町と思われる場所だった。
「あそこだ。」
りおんは、これまでみたことがないほどキラキラと笑っていた。
「よかったわぁ、りおんが笑うようになってくれて。」
「この前まで、いじめられているなんて嘘をついて、学校を休んでたっていうのになあ。
まだ学校にはいけないが、だいぶ笑うようになったよなあ。」
「そうねえ……」
「なんでりおんは、いじめられているなんて嘘をついたんだろうなぁ。」
「……お父さん、きっと、やっぱり莉恩は本当のことを言っていると思うの。」
「なんでだ。いじめられてるなんて嘘に決まってるだろう!」
「……ねえ、お父さん。莉恩は、ウソをついてあんな__苦しそうな顔をできる子じゃないわ。
信じてあげなかったら、ますます表情を暗くして、体調も悪くなっていった。
あれが、ウソだと思うの?」
「ああ、もちろんだ!いじめなんてものはこの世には存在しない!」
「__あなたのみている世界は、現実世界よりずっとずっと平和なのね」
「なんだと!」
「本当のことよ。言ったってわかってくれないでしょう?時間の無駄だもの、説明する気はないわよ。」
「なっ……」
ばしっ!
痛そうな音が響き、莉恩のお母さんが倒れ込んだ。
「なんだとっ、なんだと……おまえ、お前は……」
「お父さんっ、やめて!」
莉恩が飛び出し、もう一発、と振るったお父さんの手が、莉恩に当たった。
「か、神様」
『なんだ』
「どうすれば__」
『このままじゃ、2人死ぬな。警察に連絡すればいいんじゃないか。』
私はすぐに連絡したが、来る間に、何発も何発もお父さんが手を振るった。
もう2人とも、いつ死んでもおかしくないほどボロボロだった。
さらにもう一発__と手を挙げた時。
「__警察だ!」
「__誰が呼びやがった!おい!」
莉恩の父が、2人を殴ろうとする。
「やめなさい!殺すつもりですか!」
「殺すつもりだ!こいつらは、そういうことをした__」
「__ストレッチャー!2人を病院へ」
「はいっ!」
「やめろ、こいつらは、俺が__」
『……相当なクズだな、あいつ。
まあ、あれで運んでくれれば莉恩は生きられるだろう。あいつは牢屋行きだ。
気分が悪い。行くぞ』
「はい。」
『最後だろう。』
「はい、純です。」
『あいつは__花梨を戻すことだったな。花梨はもどったが、その代わりに……純の容体が悪い。
樹のような感じだな。』
「そ、そんな__」
『お前はそういうのが嫌いだろう?みない方がいい。とりあえず、これだけ伝えておく。
__愛菜は、みんなが幸せになることを望んでいたが、結局、あの子の思う通りに願いは叶わなかった。
お前は、そうならないように、立て直すんだな。小望』
「はい……。」
『__これからは、なるべく魔法を使わないようにしろ。』
「はい?」
次の日、私はそう言われた。
「なぜですか?」
『お前はあまりにも魔法が使えすぎるんだ。何度も使ってれば、その分__死期が近づくぞ。
我は、素質がある者を殺したくはないのだ。だから、あまり使うな。』
「……はい。」
『何かあれば、神のところへ行きたいと思えば来れるだろう。
__頑張れよ、新しい店主。』
「……はい……はい!」
こうして、私・望は不思議な店の店主・『小望』となったのだ。
や、やっと終わりました__5457文字。最大1800文字くらいだから、今までの最高の3倍__
毎日ちょっとずつ書いていって__やっと終わりました!
次からは、番外編じゃなくなるのでっ!
そっちもよろしくお願いします!
小望の商品3 前編 小望の店がなくなる危機!
こんにちは。
今日は、梨麗華さまというお客様のお話をいたします。
__カラコロ。
梨麗華さまがいらっしゃったようです。
「小望さ〜ん!ちょっと!」
「__なんでしょう?梨麗華|《りつか》様。」
「小望さん、アイテムちょうだいよ。」
「梨麗華さまが求めているアイテムは、こちらですか?」
「そう、それよ__巻き戻しシガレット!
あと一つ、作って欲しいものがあるんだけれど__」
「何でしょう?」
「軽い病気になるアメ。作ってくださらない?」
「なぜですか?」
「学校にどうしても行きたくないのよっ!」
「__ふーん……
まあいいでしょう、つくってさしあげます。」
嘘だとはわかっていますけれど。罠にはまってあげましょう。
今あなたが心の中でニヤッと笑ってガッツポーズをしたのも、知っていますけれど。
「__それでは、明日取りにいらしてください。明日には完成していると思われます。」
「はーい、楽しみにしてるよ、 小望さん。」
__
今の間で、明後日には消えている、と言ったのも、知っていますよ。
まあ、梨麗華さまは、私が見破っているなど、これっぽっちも思っていないでしょう。
自分から罠にはまりに行ってあげましょう。
たまにはこういうのも、面白いものですからね。
---
次の日、軽い病気になるアメ、と言われたけれど、私は『重い病気になるアメ』をつくってあげました。どうやって使うのくらいは知っていますからね。
教えたら、おもしろくなくなってしまいますもの、もう少し泳がせておきましょう。
私が死ぬ危機に立った時には、どうするかは決まっていますし。
「す、すごい、すごいよ、小望さん!ほんとに1日で作っちゃった!」
「当たり前でございます。約束したのですから、完成させるのは当たり前です。」
「__ありがとうっ!」
「ところで、それは誰に使うのですか?」
「自分に決まってるじゃない、言ったでしょ!」
「__いえ、聞いてはいたのです。覚えてはいるのですけれど、そうじゃないような気がしまして、ね……」
私が軽く梨麗華様を見ると、梨麗華様は震え上がっておりました。
もしかして、バレているの? ええ、バレていますよ。その恐怖心はよくわかります。
「__じ、自分よ!」
わかりやすいこと。
「そうですか、ならいいのですが。」
「そ、それじゃあっ、ほら、お会計!何円支払えばいいの?」
「巻き戻しシガレットが130円、アメをつくったこととこのアメを渡すこと、250円。
380円になります。」
「はいっ!」
ジャララ、と音がする大きなお財布から小銭を出して、
「それじゃあっ!」
と言って帰っていきました。
「__さてと、私はそろそろ、完璧に罠にかかりましょう。
いるんでしょう?梨麗華様。すぐそこに」
ブルブルっ、と梨麗華さまが震えるのが伝わってきた。
「罠にかかってあげましょう。梨麗華様、私の目の前にアメを、わざと置いていきましたね?
ご丁寧に、私の作った中にはない包み紙に変えて。『いつものお礼』とでも、私が思うと思っていたのですか?」
「__」
「あなたは、この店が欲しいのですね?」
「〜〜〜!」
震えがますます増していくのがわかる。
「この会話をしても無駄ですね、食べてあげますよ。」
そういって、噛み付くようにアメを舐め、すぐに
「神のもとへ!」
と叫んだ。
神のもとへつくと同時に、私は倒れ込んだ。
1352文字。少ない方ですよ、私からしたら!
次回は、小望がどうなってしまうのでしょう!
とりあえずお話をあげたくて、書き溜めてもなく全く考えてもいなかったお話をつくってるので、ここからどうなるのかは正直私が次思いついたこと次第です!私にもわかりませんっ!
それでは、次回をお楽しみに!
小望の商品3 中編 小望の苦しみ
こんにちは。
本日は、先日お話しした梨麗華さまのお話の続きです。
それではどうぞ。
『__小望、自分の力を舐めるんじゃない。お前が重い病気にかかる飴を作ると思っていたのなら、死ぬほど思い病気にかかる飴ができるのだ。死に急いだも同じだぞ。』
「…っ、自分の力を、舐めてはいませんしっ…どうなるかもっ、分かって__」
『まさかお前、その梨麗華とかいうやつに店をやるつもりじゃないな?』
「__当たりっ、前です……この店の、店主は……私、ですから……」
(これ以上は喋らせないほうがいいだろう。だが…)
『……はぁ。作れるか?病気を治す飴を。』
「作れ……ないと、思い…ます」(じれったいよね!普通に書くよ!)
『なぜだ』
「そう私が、心の奥で決めていたからです。」
『小望、面倒臭いことをするんじゃない。なんなんだ、お前はなんだと思っているんだ』
「__私は……」
『小望!お前は、これからどうするんだ。』
「療養するしか、ありませんね……。」
『お前っ、本当に、死ぬつもりか……!』
「死にたくて死にはしません。でも、あの子__梨麗華さまに少し、お灸をすえてあげようと思ったのです。そんなに軽く、人を殺そうとしていいのかを、教えてあげようと。私が死にかけであの子が嬉しそうだったら、殺します、あの子を。」
『……はあ、そこまでされても客を様と呼ぶのだな。
にしても、お前はよくそんなに人を殺すことに慣れてしまったものだ……』
「それは……」
慣れてなんて、いません。でも、そう設定しないと危ないのです。これはみんなが悪人だったせいです。
__そう、見て見ぬふりをするしか、私には……
『……全く。もう喋らなくていい、これ以上話すのはいけないだろう。死なない為には』
__最後に釘を刺しましたね。”死なない為には“私がこれ以上話すことはバレていた様です。
「__はい」
『よろしい。』
__結局、私は病院に入院することとなりました__
---
「__だいぶ重病ですよ。悪くなったら死にます。」
「__そう、ですか……分かりました。」
---
「__お父さん」
「な、なんだ__」
「……(神様。ぎこちないですよ)」
「……(仕方がないだろう!こんなこと初めてなのだ__)」
「……(そうでしょうね)」
「……(む、むずがゆいのだ!こんなこと、したくてしているわけでは__)」
「……(神様が父親になろうとおっしゃったのでしょう。私は別に頼み込んでいませんよ。)」
「……(お、お前っ……)」
「……(そろそろお帰りください。ここからは私が1人で。神様は梨麗華様を見張ってください。
あしたどういう動きをしていたか、教えてください。よろしくお願いしますよ?)」
「……ちっ。仕方がない。」
---
「……(神様、どうでした?)」
「……(ああ、あの梨麗華ってやつか?)」
「……(はい。そうです。何か動きは。)」
「……(小望、お前の店で仮店主としてモノを売っている。)」
「……大問題です!すぐに止めなければ!」
「しーっ、……(小望、気持ちはわかるが、騒ぐと怪しまれるぞ)」
「……(すみません、取り乱しました)」
「……(構わん。で、お前はどうするつもりだ?お前は私のお気に入りだからな、お前がもう一度店主に戻るまで、お前の人形にでも駒にでもなってやろう。どう踊ればよい?)」
「……(あの世に、手紙を)」
「はぁ!?」
「……(神様、先程と逆です。静かに)」
「……(お前、本当に……)」
「……(状態が悪いです。いつ死んでもおかしくありません。愛菜に、守れないかもしれない、ごめんと、もう一つ席を取っておいてもらえるよう、お伝えください。)」
「……(おまえっ……そんなことに俺は協力する気などないぞ!)」
「……(手駒になってくれるんでしょう?貴方が言ったことです、神様。)」
「……(こんなことまでいうことを聞くとは一言も言っていない!)」
「……(それなら、「ただし〜」と付け加えるべきでした。神様は何も言っていません。私にそれは伝わりませんでした。これは神様の非です。よって、私のいうことを聞く、これはOKなのです。)」
「……(ちっ、屁理屈め……)」
「……(どこが屁理屈ですか?私はただ正論を言っているだけで、)」
「……(やかましい!黙っていろ。分かった、それをすればいいんだろう!)」
「……(神様は物分かりがいいですね。)」
「……(なんだと!上から目線に……)」
「……(申し訳ありませんでした。よろしくお願いしますね。)」
神様はどこからか封筒と便箋を取り出すと、さらさらさらと何か書いて、ペタリ、と印のようなものを押した。そして横にフリスビーのように投げる。普通これだとすぐ落ちるはずなのだが、その手紙は上へ上へと飛んでいった。
「……これで伝わったはずだ。俺はもう一度梨麗華を見張りにいく。」
「はい、お願いします。」
……あぁ、もう私は死ぬかもしれないのか……
だとしたら、もしかしたら私はすぐに成仏できないかもな、と思った。
死ぬ前提のことなんか、考えたくはないけれど、なんだかそっちに頭がいくのだ。
__匠が思い浮かぶから。(匠…ゲームの参加者 詳しくは番外編を読んでねっ!)
だって、私の人生は決していい人生じゃないもの。辛い人生だもの。
誰にも、分かってもらえなかった人生なんだから___
泣きながら、私はいつの間にか眠りについていた。
2196文字ですっ、すいません、減らせそうなところがなくって……あ、「……( )」の……、消せばよかったかな……。
……とっ、とりあえず!次も頑張るのでよろしくお願いします!
小望の商品3 後編 まさかの人物、現る!?
こんにちは。
すごく私も驚いた、“あの人”が出てきます。
番外編を読んでいない方は、先に番外編をお読みください。
“小望ったら!ヒトと自分を舐めすぎ!”
「__お迎えに来てくれたの」
“本来小望は死ぬはずだけど、小望を死なせるつもりは毛頭ない。まだ生きてなさい。私は罰を受けるんだから、しっかり生きるのよ、今みたいに馬鹿なことするんじゃない!この事件が解決するまでは私は貴方のそばについていてあげる。店をそんな子にとられるのは嫌だからね!小望も、そんなチャンスを与えるんじゃないわよっ!”
「……分かってるよ。でも一回、死んでみたかったな」
“何言ってんの!もう次死んだら助けてなんかやらないんだからね!”
「はいはい、ごめんね、『愛菜』」
“元気はあげる。さっさとケリをつけなさい!”
---
「小望、なぜ___お前、愛菜か?」
“ご名答っ!神様、お久しぶり〜!”
「……変わらんな」
“あったりまえです!死んだだけなんですから〜!”
「いや、死ぬ前より明るくなったか…?」
“うふふっ!にしても神様ぁ、人間var.も、か かっこいいですねぇ!“
「はぁ!?」
(かわかっこいい、と言いましたね。神様がお怒りになるのもわかります。ふふっ)
”さーさ、その梨麗華とか言うクソ野郎はどそこ?“
(いろいろとちぐはぐだ)
「あそこだ。新・店主と気取っている。」
”そーお。まず私がちょっと怖がらせてやんないと気が済まないなぁ〜。いい?“
「構いませんよ」
“行ってきまぁ〜す☆”
---
ガタン。
「……あれ?今ちょっと物が動いた?」
(小望さんの幽霊……?まさか、ね……。私、そこまで酷いことはしてないもんね。小望さんが重病の薬にしたのがいけないんだし。恨まれても困るもんね……)
ガタッ、ゴトゴトッ!
間違いない、物が動いている!
「だ……誰?悪戯はやめて、出てきてよ。怖がらせるのはやめて。酷いわよ」
“酷いのはどっち?貴方でしょ?貴方のせいで小望が死んだら、呪ってやるから!”
「小、小望さんのお母様ですか……?」
“私は、小望の前の元店主。あんたみたいな輩がこの店の店主になるなんて許さない!“
「で、でもっ、私は小望さんがいなくなって店に来たみんなが可哀想だったからやっただけですよ!?私はいい人なんです、そうです、私は……」
”あんたみたいなのがいい人?そんなら小望の事も、私のことも、神とでも崇めるがいい!あんたみたいなのが善人だなんて、私は絶対に思わない!あんたは__“
「うるさいっっっっっっ!私はいい人なの!あんたのことなんか知らない!私はお客さんに今まで通り、不思議なアイテムを渡すだけよ!本当に、貴方のことなんかどうでもいいっ!」
”本当に、酷い人。小望〜、出番だよ!あ、神様も一緒によろしく〜☆“
「はあ?なんで__」
「神様、行きますよ」
「な、なによ__」
「さあ、商品達、この子に罰を与えなさい。」
なにが起こったかわからないうちに、彼女は死んでいた。
「__やはり、罪は重かったですね。私の商品達は優しいのに、それに”死刑“と判決を下させるとは……」
”でもさあ、私結構こういうの、こうやって死ぬ人間を見るの趣味なの。意外にサイコパスなんだよね〜“
「……」
”だってさあ、自分の犯した罪を悔いながら死んでいくところって、最高じゃない?報いって感じがする〜!“
「…別に否定はしませんよ」
今までイチ、酷かった子ですね……
こんな子が、もう現れなければいいのですが__
私は死体を見た。青色。“悔い”の色だ。死体を一度撫でると、その手にはフラスコがあり、青色の液体が満ちていた。
なんかナゾな終わり方……でしたよねっ!まあ、大体これくらいで小望の能力は__ずっと読んでる人ならわかると思いますよっ!それでは、また!
小望の商品4 前編 彼女は死にたい男の子
今回は作者で前書きを書かせていただきます!
自主企画でもらった案で、あっという間にストーリー構成ができたものがあったので、自主企画が終わった翌日ですが出させていただきます!
もう一回ぐらい小望の商品の自主企画を開催する予定なので、ぜひ見つけたら参加してください!
それでは、今日のお客様は、“天音 美鈴”。
本編にお入りください。
__カラコロ。
「__あれ、ここ、どこ……。」
ある時、私の店にやってきたのは、女の子__でした。
身長が高い、右頬に湿布を貼った女の子。とても綺麗な子です。
「__あれ、え、え?」
その方は、私を見てさらに戸惑ったようでした。
「あれ……お、あ、あの!こ、ここは、どこ、ですか…?」
「ここは、不思議な商品を売るお店です。私が言うのもなんですが、とても不思議な商品ばかりなんです。
私が店長を務めている、小望、といいます。」
「お、小望、さん!……あ、えっと……あの、僕は、なんで、ここにいるんですか……?
家の扉を、開けた!はず、なんですけど……。」
「ああ、珍しいケースでいらしたんですね。
私の店の商品が必要な方は、どこかからここにいらっしゃいます。いきたくてここに来る方が多いですが……。そうですか、家の扉を開いた時に。そのケースは初めてですね。」
「え、あ、あの……?」
「それでは何か、欲しい商品をお探しください。ああ__お客様のお名前は?」
「ぼ、ぼくですか……?僕は、あ、天音美鈴!あ、お男です、!」
あの時は驚きました。女の子にしか見えない方でしたから。まあ、にしては少し背が高かったですが……。
「え、あの、えっと……僕は!何か、欲しいものを、探せばいいんですよね?」
「はい、そうです。何か欲しいものをお選びください。何か説明が欲しい商品がございましたら説明しますので、お声がけください。」
「は、はい!」
彼女は、ガチガチの体であちこちを見始めた。
__人見知りなんでしょうか?正直どちらでも構いませんけれど。
「__あの、これは……?」
彼女は、青色の月の宝石が入ったペンダントを持っていた。
「__ああ、それは。ガマーン・ナクナル、という、最近入ったばかりの商品です。」
「ガマーン・ナクナル……意味は、そのままですよね。」
そういって彼女は__いや、彼は、ペンダントを商品棚に戻した。
「__これは?」
彼女は、沢山の飴が入ったパックを持っていた。
「それは、正夢飴。ガマーン・ナクナルのように、意味はそのままです。
正夢の中で自分が死んだ場合、その日中に自分は現実世界で死にます」
「こ、怖い……」
また彼は商品棚に戻す。
「これは」
「これは」
「これはなんでしょう?」
「あの、これって……」
今の所、6回商品を棚に戻している。
---
「あの!これは……」
彼女は、四角いクッキーが8個入った袋を持っていた。
「”罪の味“……悪人が食べると血のような鉄の味がし、死ぬまで戻らない幻覚や幻聴の症状が現れる。
良い人が食べればとても美味しいですが、何度も買って食べれば頭痛や耳鳴りなどの症状がし始めます。」
「__じゃあ、これを、一つ、ください。」
全く買うと思っていなかったので、少し驚きました。
「僕は、あの、悪い奴だと、思います。だから、別にどうなっても、平気です、!」
「……。」
私に、この子の全てなんてわからない。止めて、良いことが起こるかなんてわからない。
そう思って、あの時はきちんと売りました。
「罪の味、一個、二百五十円です。」
ちゃんと、彼はお金を払って、お辞儀して出て行こうとしました。
「あ。お待ちください!」
「はい?」
「その罪の味には一つ、注意点があるんです。」
「え?注意点、ですか?」
「はい。1日2個以上、食べないこと。もし1日に2個以上食べた場合……命の保証は、できませんから。」
「え……」
彼の驚いた表情は、閉じていくドアに消えていった。
本日・1461文字。
次々と書いていくつもりなのでどんどん予約投稿していっちゃうよ!
ちなみにこれも予約投稿です。
7月29日。9月1日に予約投稿するようにしておきます。
次のお話も楽しみにしていてください。
小望の商品4 中編 狂った彼女
美鈴 side
僕は、扉から外に出た瞬間、家に帰ってきていた。
「__どういう仕組み?」
さっぱりわからない。でも……夢じゃない。
だって……
「ここに、僕の、買った……罪の味、が、あるもんね……、!」
罪の味、は、どんな味がするんだろう。僕は……悪人として、一生の幻覚や幻聴が現れるんじゃないか。
__もういっそ、そうなってしまえばいい。
現実を見たくない。みんなの発する言葉なんて聞きたくない。
僕は、そういう人間、なんだ。
僕は……もう、本当にそんな症状が現れれば良いと思ってしまう。
親にこんなこと言えない。
初対面の小望さんになんて絶対に言えない。
友達になんて言えない。
先生にだって言えない。
カウンセラーの先生にも、誰にも言えない。
そもそも、友達なんていない。
そういう話を聞いてくれそうな先生だっていない。
カウンセラーの先生は、僕はあんまり好きじゃない。
そんな話したら、そういうふうな話して目立ちたいのかな、かわいそがられたいのかな……
そう、悪目立ちをして嫌われるだけ。
なのに、僕には自分で自殺するほどの勇気がない。
何かに、誰かに、なんとかしてほしい。
だから、いっそ……
僕が、悪人であってくれればいいのに。
サクッ。
クッキーは美味しい味のまま、溶けて消えた。
「……。」
期待はずれ。幻覚も幻聴も出ない。
でも、そのクッキーは、今まで食べたどんなものより美味しかった。
もっと食べたい。
でも、ダメだ。明日まで、待たなくちゃ。
---
僕は、どんどんと罪の味の虜になっていった。
「__小望さんっ、またください!」
「……。」
小望さんは、本当に悲しそうにしていたよ。
「また」
「また」
「また」
「またくださいっ!」
もう僕は、6回も買い続けていた。
---
「あれ……頭が……痛……。」
最近、頭痛が増えてきた。
耳がキーンとして、耳鳴りもよく起こる。
__ああ、罪の味、のせいだ。
でも、僕はもう、この“罪の味”の虜になってしまった。
もう僕は、やめられない。
__こうして、頭痛に苦しんでも死なないのなら、幻覚や幻聴でじわりじわりと苦しんで死んでいく方がましだ……
そうも思うけれど、でも、罪の味は恨めない。
こんなに中毒性のある美味しいクッキー、人生で二度と手に入りはしないだろう。
だったら、最後まで。
このクッキーを、食べ続けようじゃないか。
---
「……」
いよいよ、マズい。
彼女は……彼は、もうこの罪の味を手放すつもりはないだろう。
もうすでに、ひどい耳鳴りや頭痛が起こっていておかしくない量を彼は食べている。
もし、このまま、1日2個以上食べてしまったら……
考えるだけで、小望は恐ろしくなった。
どうすればいい?どうすればいい?あの子は、いい子だ。
絶対に、罪の味なんていうアイテムで死なせちゃいけない。
なんとなく、あの子がどういう子かがわかってきた。
辛いんだろう、逃げたいんだろう。いっそ、こういうアイテムで一思いに死んでしまいたかったのだろう。
もうじき、2個以上食べて死ぬ確率があるのなら食べてみようと、思ってしまうかもしれない。
そんなことになったら……もう、私にもなんとかできるかわからない。
どうすればいいんだろう。どうすれば、彼を止められるんだろう。
罪の味は、本当はああいういい子に渡すためのものじゃない。
ああやって、何回も何回も食べて味を楽しむためのものじゃないんだ。
「……神様、どうかお力をお貸しください。あの子を、あんなアイテムで死なせるわけにはいきません。どうか、どうか……。」
小望はそう毎日願っているけれど、もう、相手の命がいつ終わるかわからない。
たった今でも、可能性はあるのだ。
彼が、1日1枚食べているクッキーに、もう1枚と、手を伸ばしてしまう。
それが、いつかなんてわからないんだから。
---
「……2枚、食べたら。命の保証はできないって、言ってたよね……小望さん。」
今度こそ、一思いに死ねるかもしれない。
大丈夫、あとほんの一枚、美味しいとろけるクッキーを、口の中に入れるだけ。
とても死ぬなんて信じられない。ほら、あともう1枚……。
僕は、ゆっくりと手を伸ばす。
その手のひらが、袋の中に入っていたクッキーを、掴んだ。
1759文字。
結構書きましたね……
ラストにどう繋げるかが決まっていなくて……うう、どうしましょう?
次回も楽しみにしていてください。
小望の商品4 後編 彼の奥底を開くには
美鈴が死ぬのを止めるには……
1枚のクッキーを、ゆっくりと口に運ぶ。
それを、口の中へ、放り込む。
__甘い、あのとろける味と共に、とてつもない痛みが僕を襲った。
ズグンッ!
凄まじい痛みと共に、僕の意識は一瞬で消えた。
---
……ビリッ!
頭の中に衝撃が走る。
すぐにその意味がわかり、頭が真っ白になった。
「……信じていたのに……!」
でも、ここで泣いていたってどうにもならない。
死んでから30分経てば、確実に、もう私にもどうにもならない。
急ごう。すぐに動け。一刻も早く、神に助けを求めなければ。
私はすぐに、彼を家から店まで移動させた。
もう普通の心臓マッサージなんかではどうにもならない。
彼の胸に手を当て、力を放出する。
「ᚴᚪᛗᛁᚤᛟ, ᛞᛟᚢᚴᚪᚴᛟᚾᛟᚴᛟᚥᛟᛏᚪᛋᚢᚴᛖᛏᚪᛗᚪᛖ. ᛞᛟᚢᚴᚪ, ᚴᛟᚾᛟᚴᛟᚥᛟᛋᚢᚴᚢᛁᛏᚪᛗᚪᛖ.」
ゆっくりと、彼の顔に血色が戻っていく。
『……良かったのか?この子は、死ぬことを望んでいたようだが。』
上から声が降ってくる。
「私も、死にたいと思ったことが何度もあります。だけど、なんで良い子が死ななくちゃいけないんでしょうか。だって、おかしいでしょう?悪いことした子が死ぬべきなのに。だから、私の商品を自殺に使わせるのはたえられないんですよ。」
『相変わらず、変な考え方だな__だが、正解ではあるのだろう。』
ここだけは、いい子のための“安全な場所”でありたい。
正直者がバカを見るのではなく、嘘つきがバカを見る場であってほしい。
多分、今更だ。人を辞めてからであまりに遅いけれど。
私は、こういうことのできる、そういう優しいお母さんになりたかった。
---
「……どうして。僕は、死んだはずなのに……。」
「生き返らせましたから。」
「どうして、ですか……そのままに、しておいてくれれば……」
「そのままにしておくと思っているんですか。」
「……」
「私の商品は、死ぬための道具じゃありません。私の商品は、いい人に幸運を、悪い人に罰を与えるための商品です。いい人が、この世界から逃げるための商品じゃないんですよ。」
「ごめんなさい……。」
「わかったならいいんです。ですけど、もう多分、この店に来ることはできなくなるでしょう。」
「えっ、どうして……」
「私の商品で死のうとしたからです。だけど__もう一回ぐらいなら来れるようにしてあげましょう。」
特別な時にしか渡さない“特別なキップ”をあげました。
あげましたけど、まだ一度も美鈴くんは来ていません。けど、どこかで来てくれると思いますよ。
本当に、必要な時、に。
美鈴くんは今、すごく元気だそうですよ。
---
「小望さ〜ん!」
「あっ……」
来てくれたみたいですよ。ほらね?
「え……って……なんですか、それは?」
「ピクニックに行きましょうよ。もうこれで最後だけど、楽しみたいんです。」
あら……
「ピクニックなんて初めてです」
「そうなんですか!?」
---
ピクニックの中で、彼は、一番初めからは想像できないくらい明るく、優しい表情で、私にこう言ってくれました。
「あなたは、優しいです!ぼく、優しい人は、すぐわかるんですよ!」
__私も、あなたは優しい人だとわかりますよ。
美鈴くんの目は、鮮やかな桃色に輝いていた。__”優しい“色だ。
1341文字。
次のお話がいつになるかわかりませんが、よろしくお願いします!
自主企画、参加していただきありがとうございました!↓
https://tanpen.net/novel/f9e980ec-1d4a-4895-9eee-d3c959eb86d9/
小望の商品5 前編 真反対の双子
お久しぶりです。
今日も、お話をいたしましょう。
そうですね…今日お話しするのは……
ああ、あの方々にいたしましょう。
今日は、星野銘様と、星野翼様のお話をいたします。
__カラコロ。
「__あれ、おねえさん、だれ?」
「ここ、どこ__?」
__ある日、店に来たのは、2人の小学校にも入っていないくらいの女の子でした。顔も背丈もほとんど同じでしたが、片方は髪をポニーテールにしていて、片方はボブだったので、間違うことはありませんでした。
「いらっしゃいませ。ここは、不思議なものを売っているお店なんです。私は、ここのお店の店主をしている小望、といいます。」
「おもちさん…えっと、めいです。」
「つばさだよ。ねえ、お店っていうことは、ここで何か買っていいの?」
「いいですよ。何か、欲しいものがあれば……」
「つばさ、これがほしい!きれい!」
「それは、星の鏡ですね。うまくつかえば宇宙へ行って帰ってくることができますが__使い方が難しくて。翼様くらいの方には売らないようにしていまして。申し訳ありません。」
「えー!やだやだ、これが欲しい!」
「申し訳ありません……」
「ちょっと、つばさ。困らせちゃダメだよ」
「いえ。翼様ほどの年でこれを欲しがって、断った人にはこれを渡すようにしているので__星のクレヨンです。」
「わーい!かっこいい!」
「……」
「銘様は、どうですか?」
「あの…これって…」
「ああ…ガマーン・ナクナル、といいます。これをつけると、我慢をすることがなくなっていく商品です。我慢することが多い方におすすめしておりますが__どうですか?」
「…欲しい、んですけど…あの、お金、持ってなくて__」
「ああ、お代は頂かなくて大丈夫ですよ。」
「え?いいんですか?」
「はい。大丈夫ですよ。」
「あ、ありがとうございます……?」
「ねえ〜めい、もう帰ろうよ〜」
「ついさっきまで、たくさん欲しがってたでしょ……」
「疲れたんだもん!帰ろうよ〜」
「す、すいません、ありがとうございました、おもちさん__」
「いえ。お買い上げありがとうございました。__あ、注意点を教えていませんでしたね」
「ちゅういてん?」
「注意しなくちゃ危ないことです。このペンダントを付けてあんまり自分勝手なことをしてはいけません。それと、このペンダントを壊したり、このペンダントの前で悪いことをしている人に注目したりしてはいけません。誰のためにも」
「は、はい…?わかりました…」
「ねえ〜、帰ろうって言ってるじゃん」
「ああ、ごめん……ありがとうございました」
「はい。またのお越しを」
---
「__すごい、すごいです、おもちさん!」
「あら、いらっしゃいませ。__銘様ですね。どうかいたしましたか?」
「ガマーン・ナクナルが、すごいんです!翼が、だいぶ大人しくなったの__すっごい自分勝手だったのに。このペンダントも、欲しがらないし__すごく綺麗なのに。」
「綺麗ではありますが、まあ、ああいうタイプの方にこれは向きませんから。野生の勘みたいなもので、反射的に嫌っているのではないのですか?」
「やせい?かん?はんしゃてき……?」
「えっ、ああ、すみません。自分を変えてしまうものだから、どこかでそれを感じて、変なものだと感じているのではないでしょうか?」
「なるほど…?」
「えー…それで、ガマーン・ナクナルはどういうことをしてくれました?」
「えっ?えーと__直接は何もしてくれてないですよ。翼がなんとなく、近寄ってこなくなったり、自分勝手しなくなったり、私はそれがペンダントのおかげだと思ってるだけ。違いますかね?」
「いえ、合っていると思いますが……ところで、御用はそれだけですか?」
「えっと…あ、違います!あの__お金を、払いにきました」
「お金…?ああ、いいですよ?頂かなくていいと申し上げませんでしたか…?」
「そ、それでも、払わないと…自分のものになった気がしないので。いくら、ですか…?」
「…あ、ペンダントは、790円です__本当に、いいんですよ?」
「いえ。ダメなんです。」
チャリン、チャリン
「…改めまして、お買い上げありがとうございます……もう一度注意点を伝えておきます。本当に本当に気をつけていただきたいので。目の前で自分勝手なことをしている人に注目しないこと、自分勝手をしないこと、壊さないこと。この商品は、自分勝手や乱暴をとても嫌うんです。通常時に身につけておくのはいいと思うのですが、あまり翼様と2人きりの時につけておくのはお勧めしません。」
「はい…気をつけます。ありがとうございました。」
切り方ちょっと変でしたね…すみません。キリが良かったので……
1825文字。結構多かったですね…
今回は前・中・後じゃなく前・後にするつもりなので、次回もこんな感じで長くなるかも…
見ていただいてありがとうございました!
現在、自主企画を開催中です。結構キャラクターが必要です…
https://tanpen.net/event/bb60cc83-ddd2-4080-84ff-814a47f57914/
できれば、お願いします!
小望の商品5 中編
はい、しばらく放置しておりました、小望の商品です!久しぶりですがよろしくおねがいします!by作者
それでは、不思議な世界へ、いらっしゃいませ。
_カラコロ。
もう、なんなんだろう、めいったら。
さいきんいっつもあのペンダントをつけてるの。
かわいくて欲しくて欲しくてたまらないのに__
ちょうだい、って言おうとすると、体がうごかなくなるの。
感じたことないへんななにかを感じて、なにも言えなくなる…
星のクレヨンもかっこよくてだいすきだけど、やっぱりあのペンダント欲しい!!
っていうか…あのへんなきもちわるい力、2度と感じたくない!
---
「ねえめい〜!そのペンダント…」
まただ。へんな力。
「…え?ペンダントがどうかした?」
めいはあわててペンダントをみてる。
「そのペンダント、欠けてるよ?」
「え?」
めいはあちこちをみて、かけてるところをさがしてる。
「だから、ここ!」
つばさは、少し欠けているようにも見える部分を指差そうとした。
欠けていたら、めいはこれをすてるだろうし、そしたらつばさがこれをこっそりもらえばいい。
___!
むごんのあつりょくのようなものをいきなり感じて、つばさはかたまった。
まるで、めいがけっかいみたいな、バリアみたいなので守られてるみたいに、つばさは弾き飛ばされた。
「…え?え?」
めいは混乱しているみたいで、ペンダントとかたまったつばさを見てる。
「…ご、ごちそうさまっ。」
気味が悪くなったのか、めいはにげるようにごはんを片付けて、部屋へはしっていった。
「ほらつばさー、つばさもはやく、ごはん食べちゃいなさい!」
おかあさんがそういったけど、つばさはなんだか、とてもはらがたった。
ペンダントのくせに。めいのくせに。つばさをはじきとばして、つばさにそれをくれないなんて。
「つばさー?」
つばさははっとして、おこったいきおいのままバクバクバクバクと口にほうりこんで、力任せにダン!としょっきを置いてへやへ走った。
「ねえめい!」
「うわっ、…つばさ、なに?」
「そのペンダント、気味わるいからすててよ!」
「え…ど、どういうこと?いきなり…」
「すててってば!それをめいがかってきてから、つばさはめいわくしてるの!!きもちわるいからすててよ!いますぐすててきてよ!」
そう、怒鳴りつけた。
いつものめいだったら、びくっとして、いやがりながらもつばさにしたがうんだ。
なのに、めいは__
___ふっ、とかおをゆるめて、ほころばせた。
「……!」
__すててよ、って、いったのに。いつもだったら。いっつも、めいはつばさにしたがうのに。
あのペンダントのせいだ!あのペンダントのせいで、ぜんぶかわったんだ!
めいはつばさにしたがってくれないし、つばさはおもうとおりにうごけない。
ペンダントも、めいも、思い通りにいかない。
だいっきらい!
はい、1114文字でした!
最近ブームで、わりとどんどん小説上げてます!
このあと、イージアの続きとこれの後編などなどを、執筆していきます!
ありがとうございました。