僕、私が見る君の姿。君との距離。
全てが繋がる短編恋愛小説集。
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目次
1m。
君は今日も|綺麗《きれい》だ。
あの日空き教室で泣いていたときも部活で汗を流しているときも。
──── そうだ。僕は恋をしているのだ。
「ねぇ|阿妻《あづま》くん。」
「──え。」
いちいち長い|睫毛《まつげ》に驚く。
「ど、どうしたの。」
一言発するだけで手に汗が|滲《にじ》む。
「急にごめんね。えっと、あのさ、私の名前って覚えてるかな?」
「も、|勿論《もちろん》!覚えてるよ、同じクラスだし。|天谷《あまがい》さんだよね。」
君は僕を見つめていた目を|逸《そ》らして、
「私の、名前は?」
「え」
天谷さんの顔は髪に隠れてよく見えない。
「あのさ、私のこと名前で呼んでほしいなぁって、思って。」
「えっと....|秋那《あきな》さんだよね....?」
君の目線は僕の目に止まった。その瞬間君の顔が赤らんでいることに気がついた。
君───|天谷秋那《あまがいあきな》は、ありがと、と一言言ってその場を立ち去って行った。
───これ、脈アリじゃね?
100m。
|阿妻惟《あづまゆい》。
私――|桜糀華《さくらこうじはな》が昔から、ずっと大好きな人。あの、いつの日かに教室で見た横顔は鮮明に頭に焼き付いている。
スマホを片手に今日も見守る。直視はせずに画面越し。
『阿妻惟』というフォルダを作るほど写真を撮っている。
ふぅ、と溜め息をついた直後。
一瞬目が合ったような気がした。
(う、わ。)
体中が熱くなる。どうしよ。目合っちゃった。う、うわぁ.....////
伏せていた顔をあげると惟くんはもうどこかを向いていた。
いつか話せないかな、もっと私の近くに来てくれないかな.....。
そんなことを思いながら、今日も一枚写真を撮った。