この世界では生まれた時から一人一人ひとつの「能力」を持つ。
例えば、動物に変身したりできる能力、透明化できる能力など。
……ところが、最近、“生まれ持った能力が使えなくなった”という者が多数現れた。
そこからはすぐだった。この世界の住人全員、能力が使えなくなったのだ。
例外は、主人公、ユウだった。
ユウの能力は、他人の能力を強化する能力だった。
ユウは、能力が使えなくなった、と言ってきた知り合い──名をマオと言う──に、自身の能力を使った。すると、マオは能力が、1時間だけ、使えるようになったのだ。
ユウは、「自分の能力は他人の役にたつ」と浮かれ、同じく能力が使えなくなったと言った母と父に、自身の力を使った。
だが、──能力が使えるようになり、1時間能力を使って遊んでいたマオが、翌日亡くなった。
仲の良かったマオの死に寂しい思いを抱いた更に翌日。
両親が死んだ。
ここで、泣くより先に確信した。
確信して、絶望した。
自分の力を、能力が使えなくなった者に使うと、その人は死ぬ──と。
両親が亡くなってから、1人の大人がユウの家を訪れた。
「ワタシに能力を使ってくれないかい?」
大人はそう言った。──ユウはそれを断った。だって、使ったら死なせてしまうから。
「お願いだ!!頼む、使ってくれぇ!!」
あまりの必死さに怖くなりなんとか逃げたが、逃げれば逃げるほど、何故かユウを追う人数が多くなっていた。
そこを助けてくれたのは、スウォというユウと同い年の少年で……
狂った世界を救うために走り回る、少年たちの話。
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目次
#1
気まぐれに始めた新シリーズです。
すーーーーごく気まぐれですがどうぞよろしくお願いします。
かつ、かつ、……と静かな音が響く。
はぁ、はぁ、はぁ……息切れしてしまい、その少年は倒れ込んだ。
「もう、……って、……なよ……」
掠れた声で途切れ途切れ発した言葉は空気に紛れて消える。
切実に願いつつ、少年──ユウは眠りに落ちた。
ユウが目を覚ますと、最初に映り込んできたのは1人の少年だった。
「うぉあっっ!?」
「ちょ、大声あげんなよっ」
「もがっ」
ユウの口を押さえつける少年。みたところ、ユウと同い年──15歳くらいの年齢だろう。
「あっちに、お前を追ってる奴がいる。……こっちへ来い」
「え、ちょ……っと」
少年に手を引っ張られユウは今いる場所……路地裏の奥の方へ行く。
「よし……ここまで来たら大丈夫だろ」
「……君、は……」
「味方……って言っても信じられねぇよな〜……とりあえず名前だけど……俺はスウォ」
少年、スウォは、握っていたユウの手を離す。
──この世界には生まれた時から一人一人「能力」を持つ。
例えば、動物に変身したりできる能力、透明化できる能力など。
……ところが、最近、“生まれ持った能力が使えなくなった”という者が多数現れた。
そこからはすぐだった。この世界の住人全員、能力が使えなくなったのだ。
しかし、例外が1人。──それがユウだ。
ユウの能力は、他人の能力を強化する能力だった。
ユウは、能力が使えなくなった、と言ってきた知り合い──名をマオと言う──に、自身の能力を使った。すると、マオは能力が、1時間だけ、使えるようになったのだ。
ユウは、「自分の能力は他人の役にたつ」と浮かれ、同じく能力が使えなくなったと言った母と父に、自身の力を使った。
だが、──能力が使えるようになり、1時間能力を使って遊んでいたマオが、翌日亡くなった。
仲の良かったマオの死に寂しい思いを抱いた更に翌日。
両親が死んだ。
ここで、泣くより先に確信した。
確信して、絶望した。
自分の力を、能力が使えなくなった者に使うと、その人は死ぬ──と。
絶望していた時、ある1人の大人がユウの家を訪ねてきた。
「ワタシに能力を使ってくれないかい?」
大人はそう言った。──ユウはそれを断った。だって、使ったら死なせてしまうから。
「お願いだ!!頼む、使ってくれぇ!!」
力強く腕を掴まれユウは驚く。
(……っ痛い……!!)
激しい痛みを覚えたユウは、大人の腕に噛みつき走り出す。
「待ちなさい!!」
大人は、そんなユウを追った。
そして今に至る。
いつの間にかユウを追う人数は増えており、逃げるのにも必死だった。
「……スウォ、は、なんのために俺に話しかけたの」
勇気を振り絞り、ユウは問いかける。
返ってきたのは、思いもしない言葉だった。
「知ってるからだ。この世界を、狂わせてるやつを」
「……は?」
間抜けな声しか出なかった。
「あー、なんだ、つまりな?人々の能力を意図的に奪ってる奴がいるんだ。だからそいつを倒しに行かないかーっていう……提案……」
徐々に声を小さくしていくスウォ。
「……信じられねぇよなーこんな馬鹿げた話」
視線を落とし、乱暴に頭を掻く。
けれど、ユウは、思いの外すぐ答えを出した。
「しんじ、る」
「……は?」
「信じる……いや、逆に信じないと、俺、もう帰る場所もないから……光が見えたらその光に手を伸ばさないと生きていけない気がするし……さ……」
「…………」
ユウは、そう言ってスウォを見つめる。
「……過酷な旅になるぞ?」
「……いいよ、頑張るし」
「……そっか」
何もわからない──けど、ユウは何か行動しなくてはという衝動に駆られた。
「じゃ、”裏世界”に行こう」
「……は?裏世界??」
……何言ってるの──そう口に出す前に、ユウはいきなり現れた白い丸に飲み込まれた。