桜木歩羽(ふわ)の小学6年生の冬のお話。
歩羽は4年生の時からクラスが同じの、万能スポーツ男子、林島トワが好きだった。ただ、トワは恋愛には一切の興味も示さない、冷めた男子でもあった。まともに話せるようになったのは今年から。
そんな2人の、お話です。
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目次
少しだけ。第一話
今は12月20日。
(ふぅ。もうすぐ冬休み、かぁ。冬期講習だぁ。)
6年a組の桜木歩羽は、そんなことを考えていた。給食の時間。歩羽は、問題児男子がいなくなったすきに、2年前から好意を抱いている林島トワのところへ行った。
「ね~林島は冬期講習どこのクラス?」
「C。一番下。」
「そっかぁ。私はSSだから、、違うね、、残念。」
トワとクラスが違ったことに、すっかり肩を落とした。
「そうそう、英検の勉強。どこまで進んだー?」
トワはめんどくさそうに答えた。
「もう全然受かる気がしない。」
それだけだった。
すると、問題児男子含む給食当番が帰ってきた。歩羽にとっては、これはまずいのである。クラスのみんなは、歩羽の好きな人はトワと仲の良い安西修太だと思っている。一部の人は、トワなのではないかと怪しんでいたが。
歩羽はいそいで自分の席に戻った。幸い、誰にも見られずにすんだのだった。
そして冬期講習が始まった。2日目のこと。その日はクリスマスイブでかつ、Cクラスと同じ時間に授業があるので、歩羽は楽しみにしていた。少し早めに行って、席に座って待っていた。10分後のことだった。教室の前に、トワが通った。そしてわざわざ除いて、歩羽に手を振ってくれたのだ。
(まさかぁ、あいつが私に手を振るなんて)
そう、トワは歩羽に冷たかったのに、だ。歩羽はまさかそんなことをされるとは思っていなかったので、焦ったいたがちゃんと笑顔で手を振り返すことができた。頬が赤かった。
「ねぇーさっき林島いたくね?Cなんだぁ~」
同じSSクラスの意識高いけい、大橋陽菜がつぶやいた。
(もぅっ!トワは譲らないもんねー)
自分の彼氏でもないくせに何を思っているのだろう、と自分でも思う歩羽だった。
トワのことを考えすぎて、授業には集中していたもののずっと変な感じだった。帰り会えるかな、とかを考えていた。
しかし。帰り、SSクラスは早く終わってしまい、先に帰ることになった。陽菜たちは、Cクラスの方へ行った。でもそれは、歩羽にはできなかった。体が勝手に家に帰った。家に帰ってからも、トワが陽菜たちと喋ったのかな、とかいう変な心配をしていたのだった。
わーい本文900文字ぴったりで終わった!たまたまだよ
読んでくれてありがとう!
ちなみにこれは昨日会ったことをすこーしかえてるだけだから2話は遅くなるかも!もちろん名前は違いますが
少しだけ。第二話
今日、習い事の帰りに、街の小さなショッピングセンターに行った。田舎じゃないけど、そのショッピングセンターは規模が大きいわけではなかった。ただ、冬休みなだけあって近所の小中学生でにぎわっている。歩羽は、クラスの問題児男子に遭遇しないかビクビクしながら買い物を済ませた。英語のラジオの教材を買っただけだが。
ショッピングセンターを出て、横断歩道を渡る。
「桜木〜!!!」
ショッピングセンターの方から声が聞こえた。
(誰だろう。この声、聞いたことないような…。)
歩羽は恐る恐る横断歩道の近くに戻った。そこで、歩羽は3人の男子を目にした。1人は誰かわかった。トワだった。そのまますぐにまた隠れた。でも気まずいので、再び近づいた。すると、思いもしなかったことを聞かれた。
「なぁお前、林島のこと好きなん?」
歩羽は何も答えずに聞き返した。
「林島と後2人誰?見えないんだけど。」
「俺は田口で、こっちは森。」
2人とも知らない奴だった。
(どうして私のことを知っているの…?)
そう思いつつも、歩羽はトワに手を振った。
トワは、腰あたりで小さく素早く手を振った。
あの冬季講習の日のように、また手を振ってくれた。
それだけなのに、歩羽は嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
ーー1年前ーー
「あの…、桜木さん、このノート配っておいて。」
数人の女子がノートを押し付けてくる。
「あ、う、うん…。わかった…。」
歩羽はノートに書いてある名前を全部確認していった。
(ほらやっぱり。なんでトワの渡してくるのよ。)
仕方なく歩羽はトワの席へノートを渡しに行った。
「はいこれ。」
できるだけ笑顔で接してみる。
「…。」
受け取ってはくれるが、何も言ってくれなかった。
教室の隅では。
「ねぇねぇ…、絶対歩羽ちゃん、林島のこと好きだよね〜。」
「キモ〜い。あんなにつきまとってる。」
コソコソ女子たちが話している。
「おい桜木ぃ。お前、そんな林島のこと好きなんだぁ?」
変態男子も聞いてくる。歩羽は睨み付けただけで何も言い返さなかった。
それが、今年になってからは普通に人として接してくれるようになったのだ。
夏休み前だって、
「ねぇ…なんで今年は結構喋ってくれるの?」
歩羽が変な質問をかけたら、
「…だって性格マシになったじゃん。」
と言ってくれた。歩羽は好きでいることを隠せなかった、恋愛が下手くそすぎる女の子だった。いろんな人から言われていた。
もちろん今も下手だけど、好きな人への接し方もだいぶ気をつけた。
(…また会えたらいいな。今度は2人だけがいいな。)
少しだけ。第三話
知ってるかもだけど忠告。
これは実際にあったことです。
ですが、名前や塾のクラス名等は変えてあります。
途中でトワの誕生日が出てきますが、もちろん変えています。
あんまりよくないことだと自分で理解しながらも、歩羽は愛用のタブレットでトワのサッカークラブを調べた。
(トワ、写真に写ってるかなー?)
通信環境があまり良くなかった。10秒後…。
(あ、めっちゃ写ってるじゃん。)
そう、3つも写っていたのだ。それは、いつごろの写真だろうか。1つはごく最近だろう。残り2つは3年生ごろだろうか。歩羽はそんなことを考えながら、少し頬が赤くなっているのを感じとった。
時計を見る。
08:17
(あー、トワの誕生日だ。)
そういうのにすぐ反応してしまうので、もう自分が嫌になりそうな歩羽だった。
♪ビービー
(あ、スマホ。)
スマホが鳴った。修太からLINEが入っていた。
『恋バナしない?』
歩羽は迷った。結局、
『ごめん、今忙しい』
と返してしまった。
もう一度写真を見た。
(え、えー、え!?これもしかして安西さん?)
小さい頃の修太も写っていた。
(前髪へんなの。)
そう思いながら、次の冬季講習を楽しみにしている歩羽だった。
読んでくれてありがとう!
トワの誕生日、全然違うけどw
さぁ、次の冬季講習は結構あとなので、
待っててね。
少しだけ。第五話
「おはよー。ね、だからこの前誰といたのって!」
歩羽はトワが来てすぐに問い詰めた。
「なに?俺覚えてない、」
またまた問い詰める。
「だーかーら。森と田口って自分で言ってたあいつら!知らない人が私を知ってるってこと?それか嘘ついてたの?」
「あぁ…田口と康介か。」
歩羽は問うのをやめない。
「えっ?じゃあやっぱり康介は嘘ついてたんだ!納得、おっけ。ありがとう。
歩羽はもう前まで好きだったことも忘れていた。
「ねーこの前の公開テスト受けた?」
「受けてない。」
「同じ〜じゃあ2月から、か。」
「そう、だよ。」
なにげない「友達同士」の会話。
トワは、歩羽をただのクラスメイトと思っている。
歩羽は、もう好きな人ではないけど、友達だと思っている。
---
1時間目ー
「なぁトワ。…………で…。」
微かに歩羽にも聞こえた。修太とトワの会話。
「なんかもう画面越しじゃ何もわからない。」
修太は最後にこう言った。
(え…私のこと?私が地雷発言したってこと?」
歩羽はそれが怖かった。2学期もずっと怖かった。
(私の悪口…?)
そう思えば思うほど人を信じられなくなる。