単発↓
https://tanpen.net/novel/series/40e82877-9438-42d8-ba0d-d632d8db7129/
単発2↓
https://tanpen.net/novel/series/42f5b67d-36e7-494f-9e48-4157636237dc/
の話の中で、好評だったり自信作のものだったりをリメイクして集めたものです。
…サボってなんかないからね?
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目次
人気者のあの人と恋できるって夢見たい!
リメイク前↓
https://tanpen.net/novel/988737d7-255b-4ad7-9ab2-f16d8dcdf8d5/
「いいなぁ〜」
わたし・|佐野彩香《さのあやか》は教室のすみにある机に突っ伏した。そして、黒板の方をチラチラ見る。
そこには大勢の|女子《ライバル》が、1人の男の子を取り囲む。
彼は|岸谷理生《きしたにりお》。私が恋している人気者だ。かっこよく、運動もできる秀才。つんとしているがときどき優しい。そういうところに、わたしは惹かれた。
わたしが手に持っている恋愛小説は、見事なまでにハッピーエンド。
現実はそんなんじゃない。つらく厳しく、うまくいかない。
---
はあ、とため息をこぼしたのがわかる。どうしたら、うまくいくんだろう。
「席替えをします」
そういえば、今日は席替えだっけ。
ぼーっとしつつ机を動かす。指定の位置へ揃え、ため息をつく。
「よろしく」
「あ、うん」
「わたし、彩香」
「俺は理生」
「えっ?」
り、理生くん!?
「はい、授業はじめます。今日は…」
授業が頭に入ってこない。まじめに授業を受ける理生くん、かっこよすぎるっ。汗がだくだくたれて、ノートの隅っこが濡れる。それなのに、すごくすごく、わたしは幸せだった。
---
休み時間、話しかけてみる。
「ん?」
「理生くーん♡」
女の子たちをよそに、話す。いつもは引くけど、今のわたしは行くんだ。
「えっと、えっと…」
チャンスはつかむしかない!!
「前から、す、好きでした。付き合ってください!」
「い、いいよ。俺も好きだった。付き合おう。最近話題になっている連続殺人犯からも、守ってみせる」
えっ!!
付き合えるのっ!?
う、嬉しすぎる!!今どんな顔してるんだろ、赤い顔?感情でぐちゃぐちゃな顔?いや、なんでもいい。だって、わたし、幸せだから!
---
「…やか!彩香!」
「わっ!…友美。」
|長谷川友美《はせがわともみ》。席が隣で、仲良くなった子だ。
「5分前、もうじき授業!」
「えっ!ありがとう。」
夢、か…。
正夢だといいな。
---
「なあ、」
「えっ?」
図書室に行き、本を返却する。
すると、理生くんがいた!
夢じゃないよね?
「放課後、自習室に来い」
「わあ、うん」
放課後。わたしは自習室に来た。
「彩香、ありがとな。俺にしつこくつきまとわれなくて、嬉しくて。地味だけど、さ?俺、彩香に惚れたんだ」
「う、うん」
「だから、」
カチカチカチ。
どこかで、音がした。
理生くんが、自習室のカギをしめ、ポケットに入れた。そのポケットから対照的に出てきたのは___
「俺、彩香を傷つけてみたい。」
「え…?」
カッターナイフ!
怖い怖い怖い怖い!!
「助けて!助けて!!」
危険だ。
とにかく、その感情しかない。
「お願い!助けて!やめて!」
「ふふふ。かわいいなぁ、そんな泣き顔が。殺さないよ。だって彩香は俺の彼女なんだもん。たったひとりの彼女、殺すわけにはいかない。暴れないで。殺さないから。大人しくしていれば、いいんだから」
「そう」
理生はもう彼氏なんじゃない。殺人犯だ。それなら___
「その気、か」
なんだろう。この人といると、狂ったようになってしまう。
この人の泣き顔を見てみたい。さぞかわいいだろう。
ペンケースからペン型のハサミとナイフを取り出す。
「わたしも、あなたの泣き顔が見てみたいんだ」
そう言って、わたしは彼を___
可愛かった。次は誰に恋しようかなっ。
初期の初期、初めて投稿した一話完結。今回はグロ控えめにしました。
あと読み返すと、友美の下りはいるかな?って思いました。タイトルもあんましだし…まあ、タイトルを変えたらわかんなくなるのと、友美の下りがないとタイトルが意味をなさないので、改変はしませんでした。
たぶん、夢機能を使ってみようとしてうまくいかなかったんだろうな。
現実
リメイク前↓
https://tanpen.net/novel/d5ce7079-8dae-4ea1-b494-fbcba6d9cfcc/
「っ…助けて…」
わたしは、そうつぶやく。わたしの居場所は、どこにもない。
親はわたしに虐待まがいのことをしてくる。ご飯も満足に食べられないし、お風呂にも入れない。部屋はぐちゃぐちゃで、そもそも親はあんまり帰ってこない。帰ってきたと思ったら、殴るだけ殴って終わり。
唯一のよりどころだった友達も、自殺した。学校に行ってもあの子はいないから、今はずっと休んでいる。
わたしには保険がかけられている。だから、死亡するとお金がもらえるとかなんとか。しょせん、わたしはただのお金を手に入れる道具だ。
もし、神様がいるのであれば、こんなことはしないだろう。
わたしは《《ひとりの人間》》なのに。
「え…??」
急に、部屋ががらりと変わる。
《《みんなにとって普通》》の、《《わたしにとって豪華》》な、子供部屋。クリーム色の壁を、上についている明るい照明が優しく照らす。木の温もりが感じられる学習机には、可愛いぬいぐるみ。
神様は、やっぱり、いたんだ!
すると、ひとりの少女が現れた。
「わたしは__いえ、なんでもありません。そうですね、わたしは神様、といったらいいでしょうか。あなたを酷い目に遭わせすぎました。反省の意を込めて、貴方を幸せにしてあげましょう。ただし、いじめなど、人が傷つくことをしないように」
「はい、わかりました!」
さっきまでかすれていた声が、たちまち潤う。久しぶりに、口角が上がった気がする。
それから、わたしは幸せに暮らした。
少女にとっての《《神様》》__この物語の《《作者》》は、とても満足しているそうです。
傍点を使ってみる試みで作った小説。作り方がうまいと言ってもらえて嬉しいです。
リメイク前は単調だったんですが、主人公の辛いところとか、子供部屋が嬉しいとかいう描写を追加してみました。