スーパーダンガンロンパ2×プロセカ Chapter1
編集者:えむチヤーン
ダンガンロンパとプロセカのパロディ作品となっております。
前作の『ダンガンロンパ×プロセカ』とは、世界線が繋がっています。
同じ人が出てきたりして、混乱するかもしれません
ご了承ください。
⚠︎注意⚠︎
推しが死ぬかもしれません
若干キャラ崩壊有
ユニット・兄弟以外は初対面
まふゆ・彰人は猫被りモード(彰人は最初のみ)
1話1話が長かったり短かったりします
セリフ・トリックは基本本家と同じ
投稿頻度は不定期ですが、最後まで読んでくださると嬉しいです。
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目次
ぬいぐるみ
???「ねぇ、聞こえる?」
???「大丈夫?」
???「だいぶ参ってるみたいだね」
???「でもそれは…他のみんなだって同じだよ」
???「だって、いきなりこんなことに巻き込まれたんだから…」
???「……………」
???「…聞こえてる?」
わからない
ここは…どこなんだ…?
オレはどうして…ここにいる…?
何が起きた…?
まず、それを思い出せ…
考えろ
考えろ考えろ考えろ…
思考を動かし、ぐちゃぐちゃに絡まった糸を解きほぐしていく
状況を整理しろ。
………………………
………………
そうだ…オレは…
おれ…は………
---
その日はオレにとって、単なる365分の1日なんかじゃなく、
もっと特別な意味を持つ1日だった
待ち焦がれたその日を迎えたオレは、なんとも言えない誇らしげな気分になっていた
子供の頃から憧れていた存在になれる気分…そういえば伝わるかな
『私立 希望ヶ峰学園』……
オレにとっては、単なる学校という枠を超えた、もっと特別な存在…
オレは幼い頃からずっと、希望ヶ峰学園に憧れを抱いていた
一等地に巨大な敷地を誇る、政府公認の超特権的な学園…
全国からあらゆる分野の一流高校生を集め、将来を担う《《希望》》に育て上げる事を目的としている
誰かが希望ヶ峰学園について語る時、いつもこんな言葉がつく。
『この学園を卒業できれば、人生において卒業したも同然』
これは冗談とか誇張なんかではない
まさに、《《希望の学園》》の通称通りってわけだ
そんな希望ヶ峰学園への入学資格は2つ…
《《現役の高校生であること》》
《《各分野において超一流であること》》
基本的に希望ヶ峰学園に、入学試験は存在しない
学園側にスカウトされた生徒のみ、入学を許可される…
それが、希望ヶ峰学園のシステムだ
そして、そこで選ばれた彼らの才能を…
《《超高校級》》なんて呼ばれてたりもする
そして、オレは念願かなって入学できるようになったわけだが…
実はオレの場合、少し事情が違うんだ
まぁ、それは後回しでいいだろう
すぐにわかる事だし、特別に言うほどでもない…と思う
そんなことよりまずは、自己紹介でもするとしよう
???「はーっはっはっは!特別にオレが、お前らのために自己紹介をしてやる!」
司「オレの名前は、天馬司だ!」
司「オレにとっての希望ヶ峰学園は、言わば、ヒーローでありスターのような存在なんだ!」
司「その憧れは、《《夢》》なんて言葉にも置き換えられるかもしれんな」
司「だからオレは、自分がその一員になって…もっと胸を張れるようにずっと…」
それだけを目標に今までずっと…
それだけを目標に今までずっと…
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっ
とずっとずっとずっと今までオレは自覚せざるを得ないほどの無個性で恥ずかしくなるほど画一的でだからこそ希望を
才能に◾️個性に憧れたPかもしれない◾️けどようやくオレはずっと●D頑張ってその夢がKでようやく叶っ〜+いd
あ………れ……
なんだ…これ……
扉だ
扉がある…
それより早くしないと…
だって、オレはここに入るべきなんだ
…べき?
べきって…なんだ?
いや…とにかく早くしないと…
---
司「…………」
司「…あれ?」
司「………………」
???「…だ、だれ?」
司「え…?」
???「あの…大丈夫ですか?顔色が悪いけど…」
司「あ…え、えっと…?」
???「あ、もしかして!貴方もここの新入生なんじゃないの?」
司「では…お前たちもそうなのか?」
???「ま、そういうこと!私たちも、この学園の新入生よ!」
こいつらが…全員新入生なのか…
希望ヶ峰学園に入学する…超高校級の新入生…
なんだか視界がぼやけて…顔がよく見えないな…
???「多分この教室には、俺たちみたいな新入生が集められているんですね」
集め…られている…?
???「…とりあえず中に入ったらどう?」
司「あ、嗚呼…」
オレは周りに緊張を悟られないよう、精一杯無表情を装ったまま…
入ってきた扉を後ろ手で閉じ、空いている席に腰を下ろした
それにしても…………
さっきのは…なんだったんだ?
気づいたら目の前にこの教室の扉があって…
まるで、そこに吸い寄せられるように…
だが…オレはどうやってこの教室まで歩いてきたんだ…?
覚えていない……
何かが…変だ…
司「おい、少しいいか?」
???「ん?どうしたの?」
司「お前らはどうして…この教室に集まってるんだ?」
司「ここに集まれなんて聞いてなかったけど…入学式とかホームルームとか…ここでやるのか?」
???「それは、ちょうど今から話し合おうと思ってたところだったんです」
???「これで全員揃ったみたいだしね…」
???「え?これで全員なの?なんで?」
???「ここにある机は20個だけ…今来たこの人で20人…」
???「なるほど!それで…何の話をするの?」
???「やっぱり、私たちがこの教室に集められた理由についてじゃないですか?」
???「うん、そうだよ」
???「えっと、まず確認したいんだけど…」
???「この中に、どうやってこの教室まで辿り着いたか…覚えてる人はいる?」
オレたちは、互いに顔を見合わせていた
全員、驚いた顔のまま…手を挙げる人間は1人もいなかった
???「気づいたらこの教室にいた…みんなそうなんだね」
???「でも…どこか変ですよね…」
???「うん…誰も覚えてないなんて…」
???「この学園に足を踏み入れた途端、奇妙な眩暈に襲われ…わけもわからずここにいる…」
???「私はこんな感じだったんだけど…他のみんなもそうなんだよね?」
司「嗚呼、オレは全くその通りだ…」
???「え?あの眩暈って私だけじゃなかったの!?」
???「でもでも!みんな揃って眩暈なんておかしいよー!」
???「ぐ、偶然にしても出来過ぎだよね…」
???「まさか…偶然じゃなかったりして…」
???「え…偶然じゃない…?」
???「それより今は、どうしてここに集まったのか…より、どうしてここから出られないのかの方が問題じゃないか?」
???「は?出られないってどういうこと?」
???「ま、まさか…」
ガタガタガタ…
???「あ、あれ…開かない!開かないよ!?」
???「な、なんで!?」
???「どうなってるんでしょうか…」
???「開かないって…なんで…?そんなのおかしいわ…」
???「だって私が入ってきた時は普通に開いたし…鍵が掛かった感触だってなかったのよ?」
???「なんの原理かはわかんないけど…」
???「私たちが閉じ込められたのは事実…みたいだよね」
…閉じ込められた…?
途端に、体が重くなったのが分かった
両肩に不安感がズシリとのしかかる…
???「俺たち…やばいことに巻き込まれた…とか?」
???「というよりも…これが《《入学試験》》だとは考えられないかな?」
司「入学試験…?希望ヶ峰学園のか…?」
???「え?希望ヶ峰学園には入学試験は存在しないんじゃなかったの?」
???「表向きにそう言ってるだけで、実際は《《特別な入学試験》》が行われていた可能性も…」
???「あ、違いまちゅよ。これは入学試験じゃありまちぇーん!」
???「な、なに?今の声…」
???「ちょっと…誰?急に可愛い声出さないでよね…」
???「あのー、あちしでちゅけど!」
???「だ、誰なの!?どこにいるのよ!」
???「そこの教壇から聞こえたみたいだが…」
教壇の…向こうから…?
???「はーい!ミナサンお集まり頂けたみたいでちゅね!」
???「それじゃあ初めまちょうか!」
???「……なに…あれ…?」
???「…ぬいぐるみじゃないの?」
???「そう。あちしはぬいぐるみなんでちゅ。フェルト地なんでちゅ」
ウサミ「《《魔法少女ミラクル★ウサミ》》…略してウサミでちゅ!」
ウサミ「こう見えても、ミナサンの先生なんでちゅ。フェルト地なんでちゅ」
ウサミ「よろしくね!」
???「あ、あれ…これは幻覚…?私にしか見えない幻覚なのかな…?」
???「私も…見えてるよ…」
???「とゆーか!なんで猫ちゃんが喋ってるの!?」
???「え?あれって猫さんだったの?」
ウサミ「…ミナサンはうさぎってご存知でちゅか?」
ウサミ「ふわふわと柔らかくて、もふもふと愛おしい生物でちゅ」
ウサミ「あちし、それなんでちゅ!歌って踊れて喋れるうさぎのマスコットなんでちゅー!」
???「ま、まって!一旦整理させて!」
ウサミ「はい!いいでちゅよ!」
???「えっと…みんなはどう思う?」
???「ど、どうせラジコンか何かだよ…そんなことで騒ぐ必要ないって…」
???「いや、ラジコンにしたってリアルすぎない?おもちゃってレベルじゃないよ…」
???「どうやって動いてるかは置いといて…貴方のその口振りからして…」
???「知ってるんだね?私たちがどんな状況に置かれているのか…」
ウサミ「もちろん知ってまちゅ!あちしは、この《《修学旅行》》の引率の先生でちゅから!」
???「は…?修学旅行…?」
???「ちょ、ちょっと!修学旅行って…どういうこと!?」
ウサミ「教職員の引率の元で生徒さんが団体行動で旅行をする、学校生活における一大イベントの一つでちゅね!」
???「そういうことじゃなくて…!」
ウサミ「では早速!楽しい修学旅行の旅に出発しまちょーう!」
司「しゅ…出発…?」
ウサミ「えーい!」
司「………!」
---
司「……………」
司「は?」
目を疑った
目だけじゃない。自分の頭を疑った
そして世界を疑った…
教室が舞台セットのように崩れ落ち、オレの目の前に現れたのは…
青い空と白い雲…
青い海と白い砂浜…
司「な…な…な……なんだこれはーーー!?!?!?」
どう考えても異常だ
明らかに理不尽だ
完全に狂っていた
徹底的に間違っていた
???「え、えーっと……」
???「私…ついに頭おかしくなったのかしら…」
???「うそ…でしょ…?」
???「うぇーー!?こ、ここどこ!?」
???「どうなってんの!?」
ウサミ「ミナサン!落ち着いてくだちゃーい!」
ウサミ「慌てる必要ありまちぇんよ!ほーら、よく見てくだちゃい!」
ウサミ「綺麗な海でちゅよね…心が洗われていきまちゅよね…」
ウサミ「嫌なこととか…全て洗い流してくれまちゅね…」
???「ま、まってよ!ここはどこなの…!?」
ウサミ「どこって…そりゃあもちろん…」
ウサミ「うーみーはーひろいーよねー!おおきーよねー!」
ウサミ「の、海!」
???「そ、それは見りゃわかるよ!」
???「なんで海にいるのか聞いてるの!」
ウサミ「ねぇ…そんなに叫んでばっかりだと喉とか痛くなっちゃいまちゅよ?」
???「だ、だっておかしいよ…さっきまで学校にいたはずなのに…
ウサミ「安心してくだちゃい、修学旅行が始まっただけの事でちゅから!」
???「なんでいきなり修学旅行…?いろいろすっ飛ばしすぎでしょ…!」
司「そ、そうだ…!オレたちは入学するために来たんだぞ!?」
ウサミ「あぁ…希望ヶ峰学園ね…なるへそね…そうでちゅか…」
ウサミ「希望ヶ峰学園の事が心残りなんでちゅね。だったら…」
ウサミ「希望ヶ峰学園のことは忘れてくだちゃーい!そのための修学旅行なんでちゅから!」
???「わ、忘れろ…って…」
???「お前は何者なんだ…?何を企んでいる…?」
ウサミ「ほわわっ!?企むなんてとんでもない!あちしはミナサンの為にやってるだけでちゅよ!」
ウサミ「ミナサンが大きな《《希望》》を胸に成長する事を心より祈っているだけでちゅ!」
ウサミ「だから、この島に危険は一切ありません!ね、安心してくだちゃい!」
???「この…島?島なの?」
ウサミ「はい、ここは見るも美しい南国の島なんでちゅ」
ウサミ「危険もないし、他人もいない。ミナサンの為だけに用意された島でちゅ」
司「無人島…ってことか…!?」
???「まさか、この無人島で僕らに殺し合いをさせるつもりかい…!?」
ウサミ「ほわわ!?殺し合い!?」
ウサミ「め、めっそーもないでちゅ!暴力とか他人を傷付けたりとか、そういうのは厳禁でちゅ!」
ウサミ「それに殺しだなんて…口に出すだけで恐ろしいでちゅ…!」
???「じゃあ修学旅行ってなに…?何をさせようとしてるの…?」
ウサミ「えっとでちゅね…」
ウサミ「ミナサンはこの島で、ほのぼの〜と暮らしながら、仲良く絆を深めていってくだちゃい!」
ウサミ「それが『どっきどき修学旅行』のルールなんでちゅ!」
???「ど、どっきどき修学旅行…?」
ウサミ「何も起きず、誰も傷付かず、誰も苦しまず、ひたすら平和でほのぼのと希望を育て合う日々…」
ウサミ「そんな、らーぶらーぶな『どっきどき修学旅行』こそが…」
ウサミ「この島でミナサンに与えられる課題なのでちゅー!」
司「な…なんだ…それ…」
ウサミ「さぁ、『どっきどき修学旅行』が始まりまーちゅ!」
当たり前だが、全くついていけなかった
ついていけるわけなかった
そしてそのまま、ゆっくりと緞帳が下りていくように…
オレの意識はなくなった
どっきどき修学旅行
???「…………………」
???「ねぇ、大丈夫?」
???「だいぶ参ってるみたいだね…」
???「それは僕も…ううん、他のみんなも同じだよ」
???「だって、いきなりこんなことに巻き込まれたんだから…」
???「…聞いてる?」
司「...................」
---
???「本当に大丈夫かい?」
司「類……?」
類「あぁ、そうだよ」
司「…すまないが、放っておいてくれないか」
類「悪いけど、こんな青白い顔した友人を放っておくことはできないかな」
司「..........」
白い砂浜、マリンブルーの海…
カラッと照りつける強い日差し…
そして、肌を撫でる柔らかい南風…
やはり、訳が分からない
オレは希望ヶ峰学園に入学するはずだった
それなのにどうして……
どうして…こんなところにいるんだ…?
司「…南の島…だと言っていたな」
類「うん、そうみたいだね」
司「...................」
一体どうなっている?
流石のオレでも…さっぱり分からないぞ…
司「これは…カメラか?」
司「……か、監視カメラ…!?」
司「まさか、これでオレたちを監視して…?」
類「うーん…監視というよりは…」
類「僕たちに危険がないように見守るためのカメラ…とも捉えられるんじゃないかな?」
類「まぁ、気にしても無駄なことは気にしたってしょうがないよね」
司「お前…結構平気そうだな…」
司「…ヤシの木にモニター?なんでこんなところに…」
なにも映っていないが…そもそもこれ、なんのために存在してるんだ…
類「…どうかな、司くん。少し落ち着いてきたかい?」
類「いきなりこんなことになって、混乱する気持ちも分かるけれど…」
司「あ、あぁ、大丈夫だ」
類「…ついでに、僕がどんな才能のお陰で希望ヶ峰学園に入学出来たのかも…説明しておこうかな」
類「僕は、『超高校級の幸運』としてこの学園に選ばれたんだ」
司「こ、幸運…?それって才能なのか…?」
類「さぁ…でも、希望ヶ峰学園は全国の一般的な高校生の中から、抽選で選んだ1名のみを…」
類「『超高校級の幸運』として入学させているらしいんだ」
類「だから…一応誇れることではあるのかもしれないね」
司「…なんだか複雑だな…類にはもっと…幸運以上の才能があると思うんだが…」
類「ふふっ、そう言って貰えて嬉しいよ」
類「たしかに、複雑なのは僕も同じなんだ。だって、たまたま抽選で当たっただけだからね」
類「最初は恐れ多いって断ったんだけど…どうしてもって言われてね…」
類「この《《運》》っていう才能は、学園でも解明が進んでいない才能らしくて…」
類「だから、研究のために学園は毎年抽選を行って、超高校級の幸運を選んでいるらしいんだけど…」
類「たかが運をそこまで真剣に研究するなんて、流石は希望ヶ峰学園だよね」
類「そのお陰で僕が入学できたのは嬉しいけれど…」
類「その反面、居心地が悪かったりもするんだ…」
司「…居心地が…?」
類「あ…気にしないで。少しネガティブになってしまったね」
類「ちなみに…司くんは、どんな才能でここに来たんだい?」
司「嗚呼、えっとオレは…」
司「オレ……は…」
開きかけた口と同時に、思考までもが停止してしまった
思い出そうとして探った記憶の中身は、何故か空っぽだった
司「あ…れ?」
得体の知れない違和感に、思わず体が震えた
類「司くん…?どうかしたのかい?」
司「あ…いや…」
司「まだ…混乱してるみたいだ…上手く思い出せない…」
類「…………」
類「そっか…記憶が混乱するのも無理はないよね…こんなことに巻き込まれたんだ…」
類「落ち着いたら、すぐに思い出すんじゃないかな?」
司「嗚呼…それもそうだな」
類「とりあえず…これからもよろしくね、司くん」
ピロリンッ
司「!?な、なんか鳴ったぞ!?」
司「へ、変な音が…オレのポケットから…」
司「なんだ…?これ…」
司「スマホ…じゃないよな」
司「どうしてオレのポケットにこんな物が…」
類「さっきウサミから配られたよ…って…」
類「そうか…司くんはあの時から、茫然自失って感じだったからね…」
司「そ、そういえば受け取った気がしなくもないというか…」
司「で…これはなんなんだ?」
ウサミ「それは『電子生徒手帳』でちゅよ!」
司「おわぁっ!?」
司「お、お前…どこから出てきたんだ!?」
ウサミ「あぁ驚かせちゃった?だったらごめんなさいでちゅ」
ウサミ「えへへ、あちしって、素直にごめんなさいが言える子なんだー!」
ウサミ「ところで、それってかっこいいよね!」
ウサミ「この修学旅行に欠かせない必需品だから、なくさないでね!」
司「こ、この機械が…?」
ウサミ「ミナサンには、その電子生徒手帳を使って《《希望のカケラ》》を集める事をお願いしてるんでちゅ!」
司「は?希望のカケラ?」
ウサミ「あのね、この島では仲間同士で仲良くなると、《《希望のカケラ》》というものが手に入るんでちゅ!」
ウサミ「希望のカケラは、ミナサンが仲良くなればなるほど、どんどん集まっていきまちゅ」
ウサミ「そうやって希望のカケラを集めてって、満開の希望を咲かせる事こそが…」
ウサミ「この修学旅行の目的なのでーちゅ!」
ウサミ「らーぶ!らーぶ!」
司「あっ、おい待て!」
…消えた
喋ったり動いたりするだけじゃなく、神出鬼没のぬいぐるみとは…
誰かが操っているとしても…意味不明すぎる…
司「…希望のカケラを…集めろって言ってたな」
司「どういうつもりなんだ…まるでお遊び気分じゃないか…」
類「お遊び気分なら、むしろ安心だよね」
類「危険じゃないことは確かなんだ。きっと大丈夫だよ」
司「…そうかもしれんが…」
類「それより、他のみんなとの自己紹介はまだだったよね?」
司「あぁ、確かにそうだな」
司「でも…他の奴らはどこにいるんだ?」
類「島の探索でもしてるんだと思うよ」
司「た、探索…?」
類「うん、この島で過ごせと言われている以上、島の事をなにも知らないままってわけにはいかないからね」
類「ここは何て島なのか、脱出手段はないのか、連絡手段はないのか、食糧や生活品は大丈夫なのか…」
司「なるほどな…」
類「よかったら、島を見て回るついでに、みんなとの自己紹介でもしたらどうだい?」
類「司くんさえよければ、僕も付き添うからさ」
司「…じゃあ、頼む。いきなり1人にされても不安だしな」
類「うん、それじゃあ行こうか」
本当にこれでいいのか?
こんな異常事態に巻き込まれてる割には…なんだかのんびりしてるような…
この南国の雰囲気のせいか?
それとも、あのウサミって奴のせいか?
類「司くん?どうしたんだい?」
司「…すまん、そろそろ行くか」
どちらにしろ、まだ悪夢かどうかもわからない悪夢なんて…
…どんな悪夢だ…
類「その電子生徒手帳の中に、《《島の地図》》が内蔵されているみたいなんだ」
類「これを使えば、迷わずに島を回れると思うよ」
類「実はね、僕は入学前、ネットでみんなの情報を調べてきたんだ」
類「全員は難しいけれど…それなりに情報は教えられると思うよ」
司「ネットで分かるものなのか…」
類「え?司くんは知らない?」
類「希望ヶ峰学園に選ばれた生徒って、掲示板で専用のスレッドが立つほど話題になるんだけど…」
司「む…分からんな…あまりそういうのには詳しくないんだ」
類「そうなんだね…」
類「…とにかく、僕も手伝うから、自己紹介巡りの旅に出ようか」
司「あぁ…」
まぁ、名前くらい知っていないと困るよな…
人と関わらないと、あの希望のカケラというものも集まらないわけだし…
---
ここは…空港だよな?
それに…あそこにあるのって…
司「飛行機…?」
司「もしかすると、あの飛行機でこの島から出れるんじゃ…」
???「あー…それは無理ですよ」
???「あれはハリボテですから…」
司「…ハリボテ…?」
???「エンジンが丸ごと抜かれてるんで…」
???「どうしようもないな…」
司「エンジンが丸ごと…!?」
それって…オレ達をここに連れてきた奴の仕業…だよな?
あのウサミってぬいぐるみを操ってる奴…
それは誰なんだ…?どうして、オレ達をこんなところに連れてきた?
考えれば考えるほどわからない…
???「っと…そういえば自己紹介がまだでしたね」
彰人「俺は東雲彰人です。超高校級のビートボクサーとして来ました」
彰人「まぁ…これからよろしくお願いします」
冬弥「青柳冬弥…超高校級のゲーマーです」
司「へぇ…オレは天馬司だ。よろしくな」
類「東雲くんは、街でよく歌を歌っているシンガーらしくてね、」
類「パフォーマンスが凄くかっこよくて、会場を盛り上げるのも得意なんだ」
類「青柳くんはゲーマーだと言っているけれど…中でもクレーンゲームが1番得意なんだよね」
司「すごいな…」
彰人「にしても、わざわざ中身を抜いておくとか…徹底して俺達を閉じ込めておく作戦みたいですね…」
司「やっぱり、そう思うよな…」
???「あっ!いたいたー!おーい!」
司「…あいつらは…?」
???「あ…えっと…はじめまして…ですよね?」
こはね「私は小豆沢こはねです。超高校級のカメラマンとして来ました…!」
杏「白石杏です!私は超高校級のシンガー!」
司「あぁ、よろしくな。オレは天馬司だ」
類「小豆沢さんと白石さんは相棒なんだ。そして、さっきの東雲くんと青柳くん、4人でグループを組んで歌っているらしい」
こはね「うん…!私たち、みんなで世界を目指してるんだ!」
司「世界…すごいな…!」
杏「一緒にがんばろーね!こはね!」
こはね「えへへ…そうだね、杏ちゃん!」
仲がいいんだな…さすが相棒ってところか
こはね「それにしても、大変なことになっちゃいましたね…」
司「あぁ…明らかに異常だ…」
杏「んー、でもこれはまだ許容範囲じゃない?」
司「…は?」
杏「だって…特に危険な事を強要されてるわけでもないし…」
杏「それに、この電子生徒手帳にも書いてあったんだけど…」
--- この島では過度の暴力は禁止です。みんなで平和にほのぼのと過ごしてくださいね ---
--- お互いを思いやって仲良く生活し、希望のカケラを集めていきましょう ---
--- ポイ捨てや自然破壊はいけませんよ。この島の豊かな自然と共存共栄しましょう ---
--- 引率の先生が生徒達に直接干渉する事はありません。ただし、規則違反があった場合は別です ---
杏「ルールもちゃんとあるみたいだし…」
杏「様子を見ながら楽しむってことでいいんじゃないですか?」
司「…………………」
オレが…間違っているのか?
オレが心配しすぎなのか…?
---
司「ここはスーパーマーケットか…かなり大きいな」
南の島って言うくらいなんだ…やはりここは海外なのか?
類「ここまで食糧が沢山あるとは…心配しなくてもよさそうだね」
司「だ、だが…本当に食える物とは限らんだろう。毒とか入っていたら…」
類「おや、司くんってそこまで用心深かったかな?」
司「当たり前だろう!ここのスーパーだって異常なんだぞ!?」
司「だって…こんなに広いのにオレ達以外誰も……」
類「それは仕方ないよ。無人島だってウサミも言っていたからね」
司「だからその無人島ってのが……」
???「こんにちわんだほーーいっ!!!!!」
司「ぎゃぁぁぁぁぁ!?!?」
???「あれれっ?司くん!?」
司「え、えむ…?」
えむ「うん!司くんもここに来てたんだねっ!」
司「『来てたんだねっ!』じゃない!急に突撃するなといつもいつも…」
???「ちょっとえむ…すぐどっか行かないでよね…」
???「って……司?」
司「な…!?寧々も来ていたのか…!?」
寧々「来てたっていうか…最初の教室で会ったでしょ?」
司「え…そ、そうだったか…?」
類「ごめんね、寧々。司くんは今、記憶が混乱してるみたいなんだ」
寧々「あ…そうなの?まぁ、仕方ないか…」
えむ「ねぇねぇ司くん!司くんはどんな才能でここに来たのー?」
司「…思い出せてないんだ」
えむ「ほえ?」
司「なんの才能でここに来たのか…思い出せない…」
寧々「そう…じゃあ、また思い出したら教えてよ」
司「あぁ…ちなみにお前らは…?」
えむ「あたしはねー、超高校級のショーキャスト!」
寧々「…超高校級の監督」
司「えむはまだ分かるが…寧々の監督というのは…?」
寧々「学校で映画監督をやったことがあったでしょ?多分、それだと思う…」
司「あぁ、芸術祭の時か」
類「確かに、寧々は場をまとめるのが上手だったと聞いたよ」
寧々「ん…そうかな…」
えむ「寧々ちゃんの才能、かっこいいよね!」
寧々「も、もういいでしょ…恥ずかしいからやめて…」
???「はいはーい!みんなこのスーパーに注目〜♪」
???「ちょっと、声大きいってば!」
???「あはは……」
司「あそこにいるのは…」
???「あれ?まだ喋った事ない人だ!」
瑞希「こんにちはー!ボクは暁山瑞希だよ!」
絵名「私は東雲絵名。えっと…これからいろいろよろしく」
奏「宵崎奏です。よろしくお願いします」
まふゆ「はじめまして。朝比奈まふゆです」
司「オレは天馬司だ。こちらこそよろしくな」
瑞希「ボクは超高校級のデザイナー!で、奏が作曲家、まふゆが学級委員、絵名がイラストレーターだよ!」
絵名「本当は画家って言って欲しいけど…まだまだ技術は足りないし…仕方ないよね」
瑞希「いいのいいの!ボクは絵名のイラスト好きだから!」
瑞希「でね!奏の曲もすごいんだよー!聞いてるとめちゃくちゃ落ち着くの!」
奏「そんな風に言ってもらえると嬉しいな…」
絵名「まふゆの学級委員ってのも…まぁ、納得だよね」
まふゆ「そうかな?ありがとう絵名」
絵名「え?あ、うん…」
司「な、なんか騒がしいな…」
類「ふふっ…普段の司くんも、瑞希に近い感じだけどね」
司「なぬ…!?」
---
司「これは…立派なホテルだな…!
類「『ホテル・ミライ』か…日本語からとってつけた名前みたいだね」
類「この島で暮らせって言われた時は、野宿の心配もしたけれど…」
類「大丈夫みたいだね。むしろ快適に過ごせそうだ」
司「快適もなにも…この島で暮らさないといけない理由も分からないんだぞ?」
司「というか、なんで普通に受け入れてるんだ!?ここで暮らす気満々じゃないか!」
類「まぁ、ここが拠点になるのは確かだろうし…いろいろ調べて回ってみようか」
司「……あぁ…」
なんで…こんな冷静でいられるんだ…
まるで、こんな状況なんて大した事じゃないかのような…
---
???「あ!あっちにも人がいるよ!」
???「ちょっと…はしゃぎすぎだってば…」
司「…え…さ、咲希!?」
咲希「あ!お兄ちゃん!」
???「咲希ちゃん…!急に走って行ったけど…どうしたの…?」
???「あれ?この人とはまだ話してなかったね」
???「ついでに自己紹介しよっか」
一歌「はじめまして、星乃一歌です」
穂波「望月穂波と言います。これからよろしくお願いしますね」
志歩「……日野森志歩」
司「天馬司だ。よろしくな」
一歌「この人…咲希のお兄さん?」
咲希「うん!そうだよ!」
咲希「あっ、アタシは超高校級のキーボーディストなんだ!」
穂波「私は超高校級のドラマーです」
一歌「えと……超高校級のギタリストとして入学してきました…!」
咲希「ほらほら!志歩ちゃんも!」
志歩「私は…ベーシスト…」
司「む…全員楽器が弾けるのか」
穂波「はい。みんなでバンドを組んで演奏してるんです」
類「ふふっ、この人たちはプロのバンドグループなんだよ」
咲希「へぇ…咲希からそんな話聞いたような…」
一歌「それにしても…なんだかみんな緊張感がないよね…」
咲希「えっ?」
一歌「だ、だってさ…こんな訳のわからないところにいきなり連れてこられたら…誰だって不安になるでしょ?」
志歩「ほんとだよ…はぁ…さっさと仲良くなってここから出たいのに…」
司「え…そ、それ、どういうことだ…!?」
穂波「あれ…?聞いてなかったんですか?」
穂波「みんなで仲良く暮らして、希望のカケラを全て集めたら、この修学旅行は終わり…みんなで帰れるんですよ」
司「ほ、本当か…!?本当なんだな!?」
咲希「もー、お兄ちゃんったら…大事な話なんだからちゃんと聞かないとだめだよー!」
類「…司くん、これで少しは安心したんじゃないかな?」
類「普通に暮らしていれば、僕達はすぐに帰れるんだ」
類「だから…慌てる必要ないと思うよ」
司「だ、だとしても…」
司「どうしてオレ達にこんなことさせるのか…その目的はなんなんだ…?」
司「わざわざこんな島に連れて来て、急に仲良く暮らせって…」
司「意味不明すぎるだろう…」
類「たしかに、その理由は分からないけど…それで帰れるならやるしかないよ」
類「大した事なくてよかったじゃないか」
大した事ない…本当にそうなのか?
いきなり修学旅行とか言われ…こんな場所に連れてこられ…
それに…希望ヶ峰学園のことは忘れろ…って…
本当か?
本当に大した事じゃないのか?
---
司「ここはレストランか…」
類「宴会でもできそうなくらい広いね、南国らしく開放感もある…」
司「たしかに南風が涼しいな…」
???「あら?貴方達は…」
司「あ、すまん…自己紹介が遅れてしまったな」
愛莉「はじめまして、私桃井愛莉です!超高校級のバラエティアイドルよ!」
雫「日野森雫です。超高校級のモデルらしいわ♪」
司「天馬司だ。これからよろしくな」
雫「天馬さんはどんな超高校級を持っているの?ぜひ教えて欲しいわ!」
司「あ…すまん、まだ自分の才能を思い出せていないんだ」
愛莉「あら、そうなの?」
愛莉「じゃあ、また思い出したら教えてね!」
司「あぁ」
類「日野森雫さん…彼女は昔、アイドルとして活動していたんだ」
司「む…テレビで見たことあるな」
類「訳あって今は脱退したらしいんだけど…新しいアイドルグループを組んで活動しているんだよ」
司「えっと…MORE MORE JUMP…だったか?」
雫「まぁ、私達のこと知っているの?嬉しいわ〜♪」
司「妹がよく見ていてな…確かあと2人いるはずだが…」
愛莉「あの子達なら、さっき牧場で見かけたわよ?」
司「そうなのか…ありがとう」
類「では、会いに行こうか」
---
司「ここが牧場…」
司「…の割には、あんまり動物がいないな」
ウサミ「あーあ…ばれちった!」
司「ま、またお前か!どこから出てくるんだよ!?」
ウサミ「あちしは神出鬼没なんでちゅ!どこからでも出てくるシステムなんでちゅ!」
ウサミ「全て、このマジカルステッキのご利益ですけどね!」
マジカルステッキって…あのおもちゃみたいなやつか?
ウサミ「うーん、それにしても弱りまちたね…」
ウサミ「牛さんのいない牧場なんて、日本人がいない日本代表でちゅよ」
類「もはや、意味合いが変わってしまうねぇ…」
ウサミ「よーし!ここは、あちしとこのマジカルステッキに任せてくだちゃい!」
ウサミ「ちんぷいちんぷい!」
ウサミ「ちちんぷいぷいー!」
ウサミ「えーーいっ!牛さんになーれ!」
司「………は?」
司「はあぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!」
司「と、鶏が…牛に…!?」
ウサミ「えっへん!大成功でちゅー!」
司「なんだ…今の…!」
類「いや、手品とかイリュージョンの類だと思うよ」
類「おそらく、最初から仕組んであったんだね」
司「手品………まぁ、そうだよな…」
落ち着けオレ……冷静に考えろ…
鶏が牛になるわけないよな…命をなんだと思っているんだって話だよな…
司「あ……あそこにいるのが、さっき言ってた…」
司「すまん、名前を教えてもらってもいいか?」
???「あ、自己紹介ですね。わかりました」
遥「桐谷遥です。超高校級のアイドルとして来ました」
みのり「花里みのりですっ!私も遥ちゃんと同じで、超高校級のアイドルなんです!」
司「そうなのか…オレは天馬司だ」
みのり「それにしても!さっき鶏が牛になったよね!?」
遥「うん…多分、私達を喜ばせようとしたんだろうけど…」
遥「逆効果だったみたいだね…」
司「あぁ…あれは驚いたな」
キーンコーンカーンコーン…
司「む?今のは…チャイムか?」
類「あ、モニターになにか映ってるよ」
ウサミ「ミナサン、おめでとうございまーちゅ!!」
ウサミ「どうやら、最初の希望のカケラを全員分集め終わったみたいでちゅね!」
ウサミ「うるうる…あちし嬉しいなぁ…」
ウサミ「という訳で、そんなにミナサンにプレゼントを用意しまちた!」
ウサミ「お手数でちゅけど、最初の砂浜にお集まりくだちゃい!」
類「プレゼント…?なんだろうね?」
なんだか嫌な予感がするが……
オレだけ行かないわけには…いかないよな
司「…行くぞ、類」
異変
遥「よし…これで全員揃ったね」
彰人「あのウサミって奴が来ないうちに、探索結果を話し合いませんか?」
絵名「あれ?こんなところでも猫被ってんの?w今更どうでもよくない?」
彰人「っるせぇな…」
猫被ってたのか…こいつ…
咲希「うーん…中央の島に、封鎖されている橋がいくつかあったよね…アタシはあれが気になったよ!」
えむ「あ、あれはね!あたし達が迷子にならないためにあるらしいよー!」
えむ「あたしが無理矢理渡ろうとしたら、ウサミちゃんが出てきたんだっ!」
こはね「迷子にならないため…?そんなに広いの…この島は…?」
杏「でも、総合的に見たら普通にいい島じゃない?リゾート地って感じでさ!」
みのり「あと!大きい牧場もあったよね!」
まふゆ「かなり広いスーパーもあったね。食べ物とか、生活必需品が一通り揃ってたよ」
愛莉「ホテルもすごく立派だったわね…あそこに泊まれるなら、かなり助かるけど…」
雫「レストランもとっても綺麗だったわ〜♪」
遥「私も…大事な事を見つけたんだ」
志歩「大事な事…?」
…桐谷の言う大事な事というのはなんなんだ…?
気になるな……
司「なぁ…大事な事…ってなんだ?」
司「もしや、この島について何か分かったのか?」
遥「うん………えっとね、」
遥「みんなは、橋を渡った先にある島の公園には行った?」
司「あぁ…やたらと迫力がある銅像というか…不気味な動物のオブジェがある公園のことだよな」
遥「あれを見た時、どこかで聞いたことのある話を思い出したんだ」
遥「太平洋にある小さな島で、風光明媚な常夏の楽園と呼ぶに相応しい島がある…」
遥「中央の小さな島を中心として、《《5つの島》》から構成されるその島々は…」
遥「同じく《《神聖な5体の動物》》を、島の象徴としているらしいんだ」
遥「その島の名前は…『ジャバウォック島』……」
類「じゃあ…僕達がいるこの島って…」
司「…ジャバウォック島…なのか?」
司「それが…オレたちのいるこの島の名前…?」
遥「でも、少し引っ掛かることがあるんだよね」
遥「私が聞いた話だと、ジャバウォック島は既に…」
遥「…………」
遥「いや…やめておくよ」
寧々「え?ちょっと待ってよ…すごく中途半端な話の切り方じゃん…」
遥「本当かどうかまだわからないし…もう少し明らかになったら話すよ」
絵名「今更名前なんてどうでもいいんじゃないの?どうせ、しばらくしたらここから出れるんだし…」
えむ「みんなと一緒に過ごせるなんて…すっごくわくわくわんだほいだねっ!」
杏「ここには面倒な授業も無いし!」
穂波「それに、特に危険も不自由もないんですよね…」
一歌「うん、なんとかやっていけそう…!」
司「は…?ちょ、冷静に考えてみろ!」
司「オレ達は希望ヶ峰学園に入学するために集まったんだ!それなのに、突然こんな島で暮らせって…」
司「どう考えてもおかしいだろう!?」
奏「でも…逃げるにしたって、その方法がないわけだし…」
彰人「船もねーし…飛行機はハリボテだしな」
こはね「外との連絡手段も存在してなかったよ…」
みのり「た、助けを呼ぶのも無理なんだね…」
えむ「泳いで帰ればいいんじゃない!?みんなで競争しよーよ!」
まふゆ「それは無理…かもね…」
瑞希「いや、頑張ればなんとか…!!」
絵名「む、無理に決まってるでしょ!?」
司「では、木を切って筏でも…」
ウサミ「だめー!それはだめでちゅ!断固としてだめでちゅよ!」
ウサミ「ほら、修学旅行のしおりを思い出してくだちゃい!」
ウサミ「ポイ捨てはだめ!自然破壊もだめ!」
ウサミ「ミナサンには、この美しい南の島と共存しつつ、平和に暮らしていって欲しいんでちゅ!」
司「な、何がルール違反だ…そんなの関係あるか!」
奏「…やめておいた方がいいんじゃないかな」
司「えっ…?」
奏「その…ウサミ?は、ルールにやたらこだわってるみたいだし…」
奏「反抗したら何されるか分からないから…」
ウサミ「はわわっ!き、危険なことはしまちぇんよ!」
類「司くん…気持ちはわかるけど、一旦落ち着かないかい?」
穂波「と、とりあえず…おかしな行動を取らない限り、危険はないみたいですし…」
冬弥「それに、希望のカケラさえ育てていれば、すぐにこの島から出られるようになるんですよ」
司「信じるのか…?そんな話を…?」
奏「少なくとも今は…信じないといけないかな」
瑞希「ところでウサミ…さっき放送で言ってたプレゼントってなんのこと?」
ウサミ「あっそうだった!いや!もちろん忘れてないでちゅけど…!」
ウサミ「らーぶ!らーぶ!これでちゅよ!」
ウサミ「慌てないでねー!ちゃんと全員分用意してるから大丈夫でちゅ!」
類「…………………」
類「なんだい?それ」
ウサミ「くすくすっ!ウサミストラップでーちゅ!」
ウサミ「あのね!お腹を押すと喋るんでちゅよ!」
『あちしはウサミ…魔法少女ミラクル★ウサミ』
『ちょっぴりスイートなミルキーッ娘でちゅ!』
ウサミ「可愛いでしょ!らーぶ、らーぶでちょ!」
奏「…なんか、期待して損したな」
志歩「くだらない…」
愛莉「ちょっとでも期待した自分が恥ずかしいわ…」
冬弥「そうか?意外と可愛いと思うが…」
瑞希「特に耳が兎に似てるところとかね!」
ウサミ「まぁ、ウサミっていうくらいだから、兎でちゅよね!」
けれど、次の瞬間には…砂浜にいくつものウサミストラップが転がった
ほとんどの奴は、それを受け取ったと同時に投げ捨てていた
ウサミ「ちょっと!ゴミで自然を汚しちゃだめ!」
寧々「自分でゴミって言ってるし…」
ウサミはしょんぼりとストラップを拾い集めると、寂しそうな顔をオレ達に向けてこう言った
ウサミ「うう…せっかくもう1つプレゼントを用意したのに、そんなに悪い子だとあげたくなくなりまちゅ…」
絵名「え、まだ何かあるの?」
ウサミ「あのね、《《動機》》を用意したんでちゅ」
司「…動機?」
ウサミ「はい、ミナサンが仲良くなるための動機でちゅ」
ウサミ「せっかく南の島に来たんだし、それっぽい事をした方がいいかなーって!」
みのり「なになに?パーティーでもやるの?」
ウサミ「ピンポーン!大正解でちゅ!」
雫「あらぁ、それは素敵ね!」
咲希「南の島でパーティーって言ったら…やっぱバーベキューとか!?」
杏「キャンプファイヤーでもいいよね!」
ウサミ「ミナサン、様々なご要望があるみたいでちゅけど、海といったらまずは…」
ウサミ「じゃじゃーん!やっぱりこれでちゅよね!」
類「これって…スイミングバッグ?」
ウサミ「はいっ、ミナサンの水着を用意させて頂きまちた!とりあえずスクール水着だけど勘弁ね」
司「お、泳げっていうのか…?こんな状況で…?」
ウサミ「そ、そんな上から目線の命令とは違いまちゅよ!ただ、泳ぎたい人がいたらどうぞと思って…」
司「お、泳ぐわけないだろう!こんなわけわからん状況の中で、呑気に泳ぐ奴なんているはずが…」
えむ「わーーーいっ!!海だ海だー!」
え……?
愛莉「まぁ、天気もいいし…泳がないわけにはいかないわよね!」
一歌「海で泳ぐなんて何年振りだろ…」
海で泳ぎたいと言う奴らは、ウサミから水着を受け取ると、
着替えのために一目散にホテルへと走っていった
類「…司くんはどうする?」
司「………………」
類「僕は君の気持ちもわかるから、無理にとは言わないけれど…」
類「気が向いたら、司くんも来てくれると嬉しいな」
それだけ言い残し、類もホテルへ行ってしまった
司「……………………」
この島には危険なんてない…
この島では絶望的なことなんて起こらない…
本当に…そうなのか?
もし……そうだとしたら…
間違ってるのは………
司「いいや…やっぱりおかしい、よな」
司「なぁ、宵崎は泳がないのか?」
奏「うん…運動はあんまり得意じゃないんだよね」
司「へぇ…そうなのか…」
ウサミ「あれれ、天馬くんは泳がないんでちゅか?」
司「…………ああ」
ウサミ「うーん、どうしたら天馬くんは、あちしのことを信じてくれるんでちゅかね…」
信じられるわけ、ないだろう…
ウサミ「あ、そうこうしてるうちに、ミナサンが帰ってきまちたよ!」
ウサミの声に振り返ると、
歓声をあげながら、海へと飛び込んでいく連中が見えた
みのり「わーい!海だー!すっごく久しぶりかも!」
瑞希「水もぬるくて気持ちいいね!」
えむ「きゃー!しょっぱいよー!この海はすごくすごくしょっぱいよー!」
リゾート気分…そんな言葉がぴったりだった
すっかり浮かれ気分の高校生達が、楽しそうにはしゃぎ回っている姿を見せられ、
オ、オレ…は…
ウサミ「うんうん!あちしは嬉しいでちゅ」
ウサミ「ミナサン仲良く楽しそうで、とっても嬉しいでちゅよ」
ウサミ「慣れるまで大変だろうなと思ってまちたけど、さすがは超高校級のミナサンでちゅね!」
ウサミ「この調子でほのぼのと、『どっきどき修学旅行』を頑張っていきまちょーう!」
……………
言い表しようもない、謎の疎外感…
やっぱり…間違ってるのは……
寧々「よくこんなところではしゃげるよね…馬鹿みたい」
彰人「自分たちの状況分かってんのか…?」
司「…………」
そう、だよな…
やはりこれは異常事態で……
…ん……?
なんだ…?急に天気が悪く…
は…?
咲希「わわっ!?なんか雲が黒いよ!?」
遥「こ、こんなの不自然だよね…」
ウサミ「え…あ、あれ?」
司「おい!今度は何をしたんだ!?」
司「何が起こっている!?」
絵名「さっきまで晴れてたのに…こんなのおかしいでしょ!」
ウサミ「あわ…あわわわわ……」
ウサミ「な、な、なんでちゅかこれぇぇぇ!?」
司「…は?」
ウサミ「ど、どうして…あちしは何もしてないのに…こんなことが…?」
ウサミ「ありえないでちゅ!こんなことあるはずないでちゅ!」
と、その時だった
オレ達の混乱に輪をかけるように、
突然それは始まった
???「あーあー…マイクチェック!マイクチェック!」
???「あーあー、あーあー!聞こえますかー?聞こえますかー?」
それは、場違いなほど明るい、能天気な声
だけど、その声はウサミとは全くの別物で
その能天気さの裏に、底知れぬ悪意のようなものが渦巻いているような…そんな声
そんな悪意を感じ取った瞬間、オレの体は震えた
???「うぷぷ…びっくりした?びっくりしちゃった?」
???「ですよねー!」
???「さて、大変長らくお待たせしました!」
???「くだらない余興はこれくらいにして…」
???「そろそろ、真打ちの登場でございます!オマエラ…至急、ジャバウォック公園にお集まりくださーい!」
ウサミ「ま、まさか…今の声って…」
ウサミ「だ、だとしたら大変でちゅ!なんとかしないと…」
ウサミ「あたちが、なんとかしないと!」
司「あっおい!待て!」
冬弥「なにやら…ただならぬ雰囲気だったな…」
奏「私達も、行った方がいいかも…」
奏「ジャバウォック公園だったね、急ごっか」
絵名「あっ!か、奏!待って!」
司「だが…泳いでる奴らはどうするんだ…?」
冬弥「待っている暇はないです…俺達は急ぎましょう」
彰人「チッ…なんなんだよ…」
彰人「くだらねーことだったらキレるぞ…」
一体なんだ…?何が起きている?
とにかく…
司「ジャバウォック公園…だったよな」
---
ウサミ「やいやい!どこでちゅか!どこにいるでちゅか!」
司「どこにいる…って…誰に言ってるんだ…?」
???「うぷぷぷぷ…」
ウサミ「どこに隠れてるんでちゅか!出てきてくだちゃい!」
???「アーッハッハッハッハ!!」
???「やぁ!お待たせしました!」
???「そして、お久しぶりでございます!」
モノクマ「ボクはモノクマ!この学園の、学園長なのです!」
コロシアイ修学旅行
モノクマ「さてと…颯爽と登場したところでまずは…」
モノクマ「ぬるい!ぬるすぎだよ!ぬるぬるだよ!」
モノクマ「えっ!?ぬるぬるなの!?」
ウサミ「やっぱりあんたでちたか…!」
ウサミ「でも、どうして……」
ウサミ「どうして、モノクマがここにっ!?」
司「モノクマ…?」
モノクマ「うっるさーい!!」
モノクマ「ボクは怒ってるんだよ…オマエラのぬるいムードに吐き気マックスなんだ」
モノクマ「何が『どっきどき修学旅行』だよ!」
モノクマ「退屈だよ!絶望的に退屈なんだって!」
モノクマ「お陰で、全然盛り上がってないじゃないか!茶番はいい加減にしろって!」
モノクマ「もっとこう…世間のニーズに答えろよ!」
モノクマ「平和で穏やかな高校生達の生活なんて、誰も望んじゃいないんだって」
モノクマ「みんなが見たいのは…」
モノクマ「他人の不幸、そして絶望だけなんだよ」
彰人「な…なんだよこいつ…言ってることがめちゃくちゃだ…」
奏「どうなってるの…?こっちのぬいぐるみはなんなの…?」
ウサミ「ミナサン危険でちゅ!ここは、あちしに任せて下がってくだちゃい!」
ウサミ「どうしてモノクマがいるのかわからないけど、このマジカルステッキさえあれば…」
モノクマ「やー!隙ありー!」
モノクマ「あちょー!あちょー!!」
ウサミ「や、やめてくだちゃーいっ!!」
バキッ…
モノクマ「じゃじゃーん!大・勝・利!」
ウサミ「ふわぁ!あちしのマジカルステッキが…!」
モノクマ「さてと、完全勝利のそのあとは…」
モノクマ「そもそも、オマエは地味なんだよな。真っ白なウサギなんて地味すぎるんだよな」
モノクマ「という訳でボク好みに変えてやるよ!アーッハッハッハ!!」
モノクマ「ボクに逆らうとどうなるか…噛み砕いて、噛みちぎって、噛み締めさせてやるっ!!」
ウサミ「いやだーー!やーめーてーー!」
モノクマ「こら!じっとしてろ!」
モノクマ「よーし!大完成!!」
ウサミ「…………な…」
ウサミ「なんでちゅかこれ!?」
ウサミ「あちしこんな妙ちくりんなの嫌でちゅ!元に戻してくだちゃーい!」
モノクマ「あらら…お兄ちゃんのセンスに口答えとは、モノミちゃんは不良なのかな?」
ウサミ「へ…?お兄ちゃん?モノミ?」
モノクマ「オマエの立ち位置って今あやふやだから、ボクの妹の《《モノミ》》って設定にしたの」
モノクマ「後付けの設定だけどね」
ウサミ「ど、どうしてあちしがあんたの妹なんでちゅか!」
モノクマ「じゃあ姉さん?オマエは、生き別れたボクの姉さんだったんだね?」
モノクマ「うーんなんかしっくりこないんだよなぁ…」
モノクマ「うん、オマエはやっぱり、ボクの妹だな」
モノクマ「そういう訳だから…モノミよ!金輪際、お兄ちゃんに逆らったら許さないからな!」
モノミ「はわわっ!?すっかり名前の表示もモノミに!?」
モノミ「ちょ、ちょっとー!勝手にそんな設定なんて許しませーん!」
モノクマ「うるさーい!!」
モノミ「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
モノミ「痛いでちゅ!殴られるとすごく痛いでちゅー!」
モノクマ「どうだー!思い知ったかー!!」
なんだ…これ……
動くぬいぐるみ同士の喧嘩とか…
もうめちゃくちゃじゃないか…っ!!
ウサミ「うう…せめてマジカルステッキさえあれば…」
志歩「ちょっと…この芝居はなんなの?」
彰人「し、知らねぇよ…」
冬弥「だが…まずいことになっているのは確かみたいだな」
穂波「きゃあ!?な、なにこれ…どうなってるの!?」
ウサミ「うう…ぐすん…」
雫「あら…?なんだか変な塗り方をされていない?」
モノクマ「変な塗り方って…ボクと同じなんですけど!地味に傷つくんですけど!」
瑞希「えぇ!?なんか増えてるし!」
絵名「どういうこと?…そっちの白黒のたぬきは…なんなのよ?」
モノクマ「たぬきじゃなくてクマなの!モノクマなの!」
愛莉「よくわからないけど…また新しいぬいぐるみが出てきたのよね?」
みのり「と、とゆーか!なんでそっちのぬいぐるみも喋ってるの!?」
モノクマ「だから、ぬいぐるみじゃなくてモノクマだってば!希望ヶ峰学園の学園長なの!」
類「モノクマ…?」
えむ「が、学園長…?」
モノクマ「兎にも角にも…これで全員揃ったようですね」
モノクマ「では早速、学園長としてオマエラに宣言します!」
モノクマ「今から『コロシアイ修学旅行』を始めまーす!」
コロシアイ……修学旅行?
モノクマ「仲良く暮らすことが目的の修学旅行なんて、刺激もないし退屈だしつまんなーい!」
モノクマ「そんなゲームなんて誰もやりたくないって!」
モノクマ「という訳で、『コロシアイ修学旅行』を始めましょう!」
モノクマ「もちろん、参加者はオマエラだよ!」
一歌「コ、コロシアイ…?」
モノミ「何言ってるんでちゅか!そんな血生臭い展開は断固として許しまちぇんよ!」
モノクマ「ばっかもーん!お兄ちゃんに敵うと思うなー!」
モノミ「痛い!蹴られるとすごく痛いでちゅー!」
モノクマ「全く…モノミって頭の悪い子だね。いくら言ったら分かるのかな」
モノミ「う、うう…」
モノクマ「さて、少し脱線しちゃったけど…コロシアイ修学旅行の説明に戻りましょうか」
まふゆ「ねぇ…そ、そのコロシアイって…どういう意味…?」
モノクマ「意味なんて聞くまでもないじゃん!もちろん殺し合いだよ」
杏「な、何言ってんの!?そんなことするわけないじゃん!」
モノクマ「だって…島を脱出する条件が《《みんな仲良く》》とかつまんないじゃん?」
モノクマ「だから、ルール変更!」
モノクマ「もし、この島から出たいなら、仲間の誰かを殺してくださーい!」
モノクマ「そして、学級裁判を生き延びてくださーい!!」
冬弥「…学級裁判?」
モノクマ「そう!学級裁判こそ、このコロシアイ修学旅行の醍醐味なのです!」
モノクマ「オマエラの間で殺人が起きた場合…」
モノクマ「生き残ったメンバー全員は、必ず学級裁判に参加してもらうことになります」
モノクマ「学級裁判の場では、殺人を犯した《《クロ》》と、それ以外の生徒《《シロ》》との対決が行われます」
モノクマ「学級裁判では、『身内に潜んだクロは誰か?』を、オマエラに議論してもらって…」
モノクマ「その後の投票で、オマエラが導き出した答えが正解だった場合は…」
モノクマ「殺人を犯したクロだけが《《おしおき》》となり、残った他のメンバーだけで修学旅行を続行します」
モノクマ「ただし、オマエラがもし間違った人物をクロだとしてしまった場合は…」
モノクマ「罪を逃れたクロだけが生き残り、残ったシロ全員がおしおきされてしまうのです!」
モノクマ「以上、これが学級裁判のルールなのです!」
モノクマ「つまり、誰かを殺して学級裁判を生き延びれれば、そいつだけは生きて島から出られるってわけ!」
モノクマ「ただし、学級裁判を逃げ延びれ無ければ、そいつだけがおしおきとなる…」
モノクマ「うぷぷ…もはやお馴染みのルールだから簡単でしょ?」
寧々「ね、ねぇ…さっきから連呼してるおしおきっていうのは…?」
モノクマ「あぁ、まあ簡単にいうと…」
モノクマ「処刑だね!」
咲希「しょ、処刑…!?」
モノクマ「学級裁判後の愉快なおしおきタイム!」
モノクマ「これも、コロシアイ修学旅行のお楽しみの1つだね」
モノクマ「うぷぷ…どんな鳥肌モノのおしおきが飛び出すのか、今から楽しみだなーっと」
モノクマ「なんちゃらクローで脳天串刺しとか、ユーモア満点なおしおきもあるかもしれないよね!」
モノクマ「えー、殺し方は問いません」
モノクマ「ポピュラーな刺殺撲殺絞殺毒殺から始まり…」
モノクマ「射殺殴殺轢殺焼殺爆殺斬殺溺殺感電殺墜落殺呪殺……」
モノクマ「どうぞ、お好きな殺し方を自由に選んでください」
モノクマ「ではでは始めましょう!コロシアイ修学旅行を!」
司「っ……!」
オレは思わず胸を押さえた
心臓の血管に太い針が入り込んだかのように、
胸の鼓動に合わせて鋭い痛みが走る
そんな…自分でもよくわからない症状に陥っていた
彰人「ふざけ…てんじゃねーぞ…」
愛莉「そ、そうよ!誰が人殺しなんて…!」
モノクマ「殺せとは言ってないよ?やるかやらないかはオマエラ次第だからね!」
穂波「し、信じない…私は信じないよ…っ」
遥「殺人が起きなかったら…どうなるの?…このまま私達は、この島から出られないってこと…?」
モノクマ「さぁ、どうでしょうね?」
モノクマ「とりあえず、これからは清く正しくコロシアイ修学旅行って方針で頼んますよ」
絵名「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!どうして私達が殺し合わなくちゃいけないの!?」
モノクマ「そんなの決まってるじゃん。オマエラには殺し合うべき理由があるんだよ」
司「は…?」
瑞希「…さっきから好き放題言ってくれるじゃん」
志歩「誰も殺し合いなんかしないよ」
えむ「力ずくでも止めるから!!」
モノクマ「あーそうですか…まぁこれもお約束ってやつですかね…」
モノクマ「そっちが力ずくなら、こっちも力ずくで返すしかないよね…」
ウサミ「な、なにするつもりでちゅか!?」
モノクマ「逆巻け…光と闇の狭間から生まれし神々よ…古の契約に従い…今こそ汝らを召喚する…」
モノクマ「いでよ!モノケモノー!!」
この島に来てから、オレは何度も驚くべき光景を目の当たりにしてきた
それでも…目の前で起きているこの現象は、群を抜いて異様だった
みのり「え……え…?」
雫「どうして…石像が動いたの…?」
モノクマ「石像じゃないよ!モノケモノだよ!」
杏「ば…化け物…!!!」
モノクマ「だから、モノケモノだってばー!」
こはね「い、嫌だよ…もう嫌だ…こんなのおかしいよ…!」
彰人「悪い夢でも…見てるのか…?」
ウサミ「ミ、ミナサン!下がってくだちゃい!ここはあちしがなんとかしまちゅ!」
ウサミ「この命に代えても…ミナサンを守ってみせまちゅ!」
モノクマ「うっぷ…」
モノクマ「あれ…なんだこれ…」
モノクマ「うっぷ…うっぷ…」
モノクマ「あっ、そうか!これって吐き気だね!ベタベタの正義感に吐き気を催しちゃったんだね!」
モノクマ「よーし、決めた!だったら見せしめはオマエだー!!」
司「み、見せしめ…っ?」
次の瞬間、
あのモノケモノ…から銃のようなものが出てきて…
思いっきり…モノミのことを蜂の巣にした
司「っ…!?」
かすった
血が出てきた。痛みもある
あの銃は本物だ
この悪夢のようなものも…現実だった
全て、受け止めなければいけない現実だった
絵名「…い……」
絵名「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
一歌「な、なに…それ…!!?」
えむ「ひぇ……っ…序盤なのにモノミちゃんが死んじゃったよ…!」
モノクマ「恐るべき脅威の殺人兵器!それがモノケモノなのだ!」
モノクマ「うぷぷ…これだよこれこれ…」
モノクマ「やっぱ見せしめはこうでなくっちゃ!」
モノクマ「アーッハッハッハッハ!!!」
興奮した高笑いを響かせるモノクマとは対照的に、オレ達はすっかり固まっていた
呼吸をすることさえ忘れたように固まったまま…
唖然と立ち尽くしていた
オレ達は無力だった。大量の水に溺れて流される蟻と同じだ
モノクマ「あのね、オマエラはボクに逆らえないんだよ?」
モノクマ「無惨な海の藻屑になりたくなかったら、ボクには決して逆らわないことだね!」
モノクマ「言っとくけど、ボクには慈悲も同情も憐れみもないよ」
モノクマ「だって、ボクはクマだからね」
モノクマ「南の島でテンションあがっちゃった…なんて言い訳は、一切通用しないんだからね!」
モノクマ「それと、コロシアイ修学旅行を始めるにあたって、電子生徒手帳もアップデートしといたから」
モノクマ「そこにコロシアイ修学旅行のルールが載ってるので、後ほどじっくりと目を通しておいてください」
モノクマ「ルールを知らなかったなんて言い訳が通用しないのは、どこの世界でもどこの社会でも一緒だよ」
モノクマ「ではでは…」
モノクマ「開放的で過酷で凄惨な南国の島での修学旅行を、どうぞお楽しみあれー!」
そんな言葉を残して、
モノクマは、モノケモノと共に姿を消していった
正直言ってオレは
酷く疲れてしまった。
何もかもが理不尽の連続で、
もう、これがエピローグでも構わなかった
類「ど…どうなってるんだい…?」
絵名「え、えっと…私はあんなの信じないから…っ」
彰人「人間とか動物ならまだしも…」
彰人「あんなでけぇ化け物相手に…どうしろっていうんだよ…!」
咲希「あ、ありえないって…どうしてこんなありえないことが起きるの…?」
奏「……モノクマとモノケモノは機械…」
奏「機械である以上、誰かがそれを作って、操作してるってこと…だよね」
志歩「その《《誰か》》の仕業…?私達がこんなことに巻き込まれたのも…」
愛莉「だ、誰なの!?それは誰なのよっ!?」
遥「…今の私達が警戒するべきなのは、あのよくわからない機械でも、それを操る誰かでもない…」
遥「それよりも警戒するべきなのは…ここにいる私達自身の方だよ」
遥「ほとんどが見ず知らずの人達で、急にこんな場所に連れてこられて…殺し合いをしろって言われて…」
遥「そうやって植え付けられた絶望的な恐怖心から逃れたいという気持ちこそ…」
遥「私達の…最大の敵なんだよ」
オレ達は、自然に互いの顔を見合わせていた
その顔つきを見れば一目瞭然…
その場の誰もが、今の言葉を認めてしまっていた
自分にも《《その可能性》》がある……それを認めてしまった
『仲間を殺した生徒だけがこの島から脱出できる』…
つまりこの絶望的な状況から逃げ出すためには…他人を犠牲にしなければならない…
オレは…本当にそんなことしないって言い切れるのか?
いや…言い切れないはずだ…
この悪夢のような状況の中では…そんな自信出てこない…
その日はオレにとって、単なる365分の1日なんかじゃなく、
もっと特別な意味を持つ1日だった
特別で……《《絶望的》》な意味を持つ1日だった
それが始まり…
この南の島を舞台とした、『コロシアイ修学旅行』の始まりだったんだ
--- PROLOGUE ---
--- だんがん☆アイランドへようこそっ! ---
--- どきどき修学旅行で大パニック? ---
--- END ---
--- 生き残りメンバー20人 ---
謎のカウントダウン
--- 生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、全員参加が義務付けられる『学級裁判』が行われます ---
--- 学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます ---
--- 学級裁判で正しいクロを指摘出来なかった場合は、校則違反とみなして残りの生徒は全員処刑されます ---
--- 生き残ったクロは特別措置として罪が免除され、島からの帰還が許可されます ---
--- 3人以上の人間が死体を最初に発見した際に、それを知らせる死体発見アナウンスが流れます ---
--- 監視カメラやモニターをはじめ、島に設置された物を許可なく破壊する事を禁じます ---
--- この島について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません ---
--- なお、修学旅行のルールは、学園長の都合により順次増えていく場合があります ---
司「……はぁ………」
重いため息と共に、電子生徒手帳からゆっくりと顔をあげると
すっかり暗くなったホテルの中庭が見えた
司「本気で…こんなことさせるつもりなのか…」
ふと頭上を見上げると、星を敷き詰めたような夜空があった
舞い落ちる雪のように、今にも手元まで落ちてきそうな星々…
この島に来て最初の夜…オレが見慣れたいつもの夜とは全く別物の…
美しすぎる…夜だった
そんな夜空をぼんやり眺めていると、脳裏に《《あの言葉》》が浮かんだ
『仲間を殺した生徒だけがこの島から出られる』
その言葉を聞いた時、オレ達はただ唖然と立っているだけだった
そしてそのまま、
みんなは、散り散りになって消えていった…
そのまま迎えた最初の夜。
それは、目を奪われるほどの美しい夜で…
だからこそ、オレの心を強くかき乱す
やっぱりその美しさは、オレの日常とはあまりにもかけ離れていた
--- CHAPT . 1 ---
--- 絶望トロピカル ---
--- (非)日常編 ---
---
キーンコーンカーンコーン…
モノクマ「えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会がお知らせします」
モノクマ「ただ今、午後10時になりました」
モノクマ「夜は人を惑わせる…夜中に出歩いて、うっかり殺人鬼と出くわしたらエライ事になりますよ!」
モノクマ「それが心配で寝られないというオマエラの為に、ホテル内に各自のコテージを用意しておきました!」
モノクマ「それぞれ、自分の部屋でゆっくりとお休みくださいませ」
モノクマ「ただし、就寝の際にはしっかりと部屋に鍵をかけることを強くお勧めします」
モノクマ「どこの誰が人殺しを目論んでいるか、わかったもんじゃないからねー!」
モノクマ「うぷぷっ…ばいなら!」
司「……………」
司「コテージ…か」
---
司「…………っ!!」
コテージに入るなり、オレはベッドに倒れ込んだ
このまま1人でいたかった。もう誰にも会いたくなかった。
信じられような人間はいない
オレは…まだあいつらのことを何も知らない
信じられるのは自分だけ…いや、その自分だって怪しい
『仲間を殺した生徒だけがこの島から出られる』
そう聞かされたあとでも、『ここから出たい』と思ってしまっている自分がいる
司「どうして……オレが…」
司「どうして…こんな目に遭わなければいけない…?」
強く目を閉じた
眠くなんてない…ただ、少しでいいから眠りたかった
何かに区切りを付けたかった
それで、もし目が覚めた時…いつもの日常に戻っていたら最高だ…
そんな淡い期待を胸に、オレは浅い眠りへと落ちていった
---
キーンコーンカーンコーン…
モノクマ「えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会がお知らせします」
モノクマ「オマエラぐっもーにん!本日も絶好の南国日和ですよー!」
モノクマ「さーて!今日も全開気分で張り切っていきましょー!」
司「…………」
司「…………………」
司「やっぱり…夢じゃなかった…」
司「…とりあえず、外に出てみるか…」
---
ガチャッ…
杏「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
司「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」
杏「って、司さん…?もう、びっくりさせないでくださいよ〜…」
司「こ、こっちのセリフだ!!」
杏「あ…それより…あれ見ましたか…?」
司「…?なんのことだ?」
杏「中央の島に橋があったの覚えてますよね…?」
杏「そ、そこに…例のモンスターがいたんですよ…!橋を封鎖してたんです…」
モノクマ「モンスターじゃないよ!モノケモノだよ!」
杏「きゃぁぁぁぁぁ!!でたーー!!!」
モノクマ「モノケモノは、ジャバウォック島のガーディアンなんだよ」
モノクマ「オマエラが進行を無視して、他の島に行かないように守ってくれてるの」
司「…橋には不用意に近づかない方がいいみたいだな」
杏「うぅ…もう嫌だ…」
志歩「ちょっと、何騒いでるの?」
杏「ひぇぇぇぇっ!!?ま、また出たーーー!!」
志歩「で、出たって…呼びに来てあげたのに、人を化け物扱い?」
司「む?呼びに来たとは…?」
志歩「頼まれたんですよ。なかなか来ない貴方達を呼びに行くように…」
志歩「早く来てください…ホテルのレストランで、みんなが待ってますよ。」
司「ホテルのレストランに…?」
杏「そ、そうなんだ…とりあえず行ってみましょう…!」
---
絵名「あっ、やっと来た!」
咲希「もー!遅いよお兄ちゃん!」
司「はは…すまんな」
こはね「あ…!杏ちゃん…大丈夫?」
杏「う、うん!大丈夫!」
杏「って…その料理どうしたの?」
テーブルの上に、沢山の料理が並んでいる…
一体誰がこんな大量の料理を用意したんだ…?
まふゆ「私達が来た時には、もうここに用意されてたよ」
一歌「穂波が用意したの?」
穂波「ううん、私は知らないよ…」
瑞希「んー!でもこれ、すっごく美味しい!!」
遥「もしかしたら…モノクマが用意したのかも…」
司「あんな奴が用意した食べ物なんて…口にしても平気なのか?」
えむ「だいじょーぶっ!特に体に異変とかないし!」
司「本当か…?」
ガシャーーンッ!!
咲希「…!?な、なに!?」
みのり「ひゃぁぁぁ!!ごごご、ごめんなさーい!転んじゃったぁぁぁ…!」
愛莉「えぇぇ!?…それ、転んでるの…?」
彰人「どんな転び方したらそーなるんだよ…」
みのり「よ、よくわかんないですけど…足が滑っちゃってぇ…」
まふゆ「あはは…独創的、だね…?」
瑞希「と、とにかく助けてあげようよ!」
穂波「花里さん!大丈夫…!?」
みのり「ううぅ…な、なんか頭がガンガンするけど大丈夫です…!」
大丈夫なのか?それ…
絵名「えっと…つ、次から気をつけようね…」
みのり「お恥ずかしいところをお見せしました…」
愛莉「それで…私達を集めた理由って何?」
遥「あぁ、それじゃあ…本題に入ろっか」
ようやくか…時間かかりすぎだろ…
遥「異常な状況下を生き抜くにあたって…今の私達に必要なものなんだけど…」
遥「…みんな、何か分かる?」
類「絆…じゃないかな?」
類「僕は思うんだ。超高校級のみんなが協力し合えば、不可能なんてないって…」
類「どんな絶望も乗り越えられる希望だって、生み出すことができる」
類「だから…この島から脱出するために必要なのは、僕らがお互いに結束し合うこと…じゃないかな?」
絵名「まぁ…一理あるかもね」
志歩「だからこそモノクマは、私達が信じ合わないように互いが疑心暗鬼になるようなルールを…」
遥「確かに、この状態で個人で立ち向かうのは難しい…なら、集団で戦うしかない…」
遥「絆ももちろん大事だよ。でも私はね…」
遥「明確なリーダーによる、《《秩序を持った統率》》…だと思うんだ」
寧々「なるほど…でも、そのリーダーって誰がするの?」
遥「今から話し合って決めようと思ってるよ」
遥「立候補する人は…いる?」
一歌「人をまとめる役割なら…朝比奈さんとか…」
みのり「それこそ遥ちゃんだよ!今だってみんなをまとめてるし!」
まふゆ「うーん…状況が状況だし、ちょっと荷が重いかな…」
奏「…私がやってもいいかな?」
穂波「えっ、宵崎さんが?」
絵名「あ、確かに!ニーゴでもよくみんなをまとめてるし…奏って責任感も強いよね!」
こはね「そうなんですね…!」
遥「えっと…他に立候補する人はいる?」
冬弥「俺は宵崎さんを推薦します」
彰人「冬弥が言うなら…俺も…」
えむ「あたしも大賛成だよー!」
瑞希「じゃあ…奏にけってーいっ!」
奏「ふふっ…安心して。絶対に…1人も犠牲者は出させないから」
みのり「た、頼もしすぎるよーっ!」
遥「えっと…とりあえず、私から話してもいいかな?」
遥「みんなに見せたいものがあるんだよね…」
雫「見せたいもの…って?」
遥「ジャバウォック公園に来てほしいんだ」
そう言って、オレ達は桐谷の後についていった
---
司「…な……」
司「なんだ…これ……!?」
ほのぼのとした公園のど真ん中に置かれた、違和感丸出しの物体…
司「時計…じゃないよな」
咲希「こ、これ…前来た時もあったっけ…?」
愛莉「いや…なかったはずよ…」
遥「今朝、もう一度島を見て回ってる時に見つけたの」
遥「いつ置かれたのかは…分からない…」
絵名「モノクマが置いたんだろうと思うけど…」
絵名「このカウントダウン、何を表してるの?」
えむ「んー、心当たりないよぉ…」
志歩「爆弾じゃないよね…?」
杏「ば、爆弾!?」
奏「うーん…島を爆破するのが目的なら、すぐにやると思うな」
寧々「だったらこのカウントダウンは…?」
穂波「謎ですね…」
モノミ「謎でちゅね!」
みのり「きゃあっ!?」
モノミ「きゃあああ!」
司「モノミ…!?」
愛莉「ど、どうしてあんたがここにいるの!?」
モノミ「パトロールしてたらミナサンの声が聞こえたので、寄ってみたんでちゅけど…」
瑞希「そ、そうじゃなくて!モノクマに殺されたんじゃ…?」
モノミ「あぁ、そのことについて心配してるんでちゅね!」
モノミ「大丈夫でちゅよ!あちしは死にまちぇんから!」
冬弥「…モノミは、機械仕掛けのぬいぐるみなんだろう?そもそも死ぬも何もないんじゃないか?」
絵名「な、なるほど…スペアがあればいいってだけだもんね…」
奏「でも、いいタイミングで来てくれたね…このカウントダウンは何を意味してるの?」
モノミ「ほぇ?カウントダウン?」
モノミ「…ふええ!?こ、これって…!」
モノミ「……………………」
モノミ「え、えっと…すみまちぇん…」
モノミ「あちしにはちょっと…わかりかねますね…」
こはね「ほ、本当に知らないの?」
モノミ「ごめんなちゃい…モノクマのすることまでは把握してなくて…」
えむ「モノクマの妹なのに知らないのっ?」
モノミ「あちしはお兄ちゃんの妹なんかじゃありまちぇーん!」
設定を受け入れたのかそうじゃないのか…
どっちなんだ…
モノミ「と、とにかく!一緒に頑張りまちょうね!」
志歩「このカウントダウンについて知らないなら、もう消えていいよ」
モノミ「…え、えっと…一緒に頑張って……」
志歩「いいから、もう貴方に用なんてない」
モノミ「きゃっ…!」
モノミ「ご、ごめんなちゃーーいっ!」
穂波「ちょ、ちょっといじめすぎじゃない…?」
みのり「なんか可哀想に見えてきちゃった…」
愛莉「どうせモノクマとグルなんだから、同情なんてしなくていいわよ」
彰人「あいつのことはもういいだろ…それより、あの物体はなんなんだよ?」
遥「不気味だよね…誰がどうやって、たった一晩であのオブジェを設置したんだろう…」
司「…まだ、分からないよな…」
まふゆ「不気味なのはそれだけじゃないよ…この島にはいくつも謎がある…」
まふゆ「例えば…私達はどうやって、この島に連れてこられたのかな…?」
一歌「そういえばそうですよね…」
まふゆ「他にも…リゾート地として有名だったジャバウォック島が、なんで無人島になったのか…」
まふゆ「ここには、島民も観光客もいない…」
こはね「滅びちゃった…の?」
寧々「あのモノケモノってやつを使って…島民を皆殺しにしたとか…」
まふゆ「その可能性もあるけど…確かではないよね…」
えむ「ううー…謎がいっぱいだよぉ…」
遥「こんなの…並大抵の組織ではどうにもならない…」
遥「この件には間違いなく…なんらかの《《巨大な組織》》が関係してるはず」
司「巨大な組織……?」
遥「モノミやモノクマ…モノケモノ…どれも相当の技術力を要する機械だったね」
彰人「金もめちゃくちゃかかりそうだよな。遊びで造れるレベルじゃねーよ…」
遥「多分だけど、その組織は島の監視カメラを確認しながら、同時に機械を操ってるんだろうね」
雫「その人達は…この島のどこかにいるの?」
遥「…いや、どこか別の…安全な場所でやってるはず…」
みのり「そ、それってどこなの?」
遥「それは分からない…」
遥「とにかく、巨大な組織が動いてるのは間違いないんだよ…」
絵名「でも、その巨大な組織って…想像もつかないんだけど…?」
遥「そうだね…例えば…」
遥「鳳さんの、鳳財閥みたいなところかな…」
えむ「ふぇぇ!?あ、あたし!?」
遥「あ、鳳さんを疑ってるわけじゃないよ?例えで言っただけだから…」
えむ「そ、そっかぁ…よかったぁ…」
杏「でも…何のために私達をこんな目に遭わせるの?」
遥「目的は分かんないけど…正体さえ掴めれば、それもわかるはずだよ」
咲希「島の探索は自由だもんね!よーしっ、頑張るぞー!」
奏「あ、これだけは言わせてほしいな」
奏「殺し合いなんて…ふざけたこと考えないでね。自分がすべきことをしっかりとやろう」
奏「できるだけ体を動かして、少しでも手掛かりを見つける…」
奏「リーダー命令…だよ」
瑞希「わー!命令だって!奏かっこいー♪」
類「それじゃあ…今はやれるだけのことをやろうか」
類「確かによくない状況だけど、最悪ではないよ」
類「だって、僕達は1人じゃない…支え合える仲間がいるんだ」
仲間…か
こいつらといると…妙に自信が湧いてくるな
自然と緊張も…和らいだ気がする
結局、カウントダウンの謎はわからなかったけど…
それほど気落ちすることもなく、コテージへと戻って行った
今すぐ…というのは難しいかもしれんが…
少しずつ、信頼していけばいいよな
って、そんな風にオレが思うだけでも、大した進歩なんじゃないか?
---
…このままコテージでぼーっとしてるわけにはいかないな…
外に出て、誰かと話してみるか
ついさっき、信頼がどうとか話したしな
---
司「む…あそこにいるのは…」
類「やぁ司くん。奇遇だね」
類「…僕って、熱くなるとすぐおかしな台詞を言ってしまうんだ…あはは、分かっててもやめられないんだよね」
類「でも、心にない台詞を言ったことはないよ。全部本心なんだ」
司「…少し、一緒に話さないか?気分転換したくてな」
類「いいのかい?嬉しいよ」
類「…やっぱり、司くんといると落ち着くな」
類と、何か手掛かりがないか探して過ごした
類「…司くん、大丈夫かい?」
司「え、何がだ?」
類「いや…顔色が悪そうに見えたからさ」
類「何か心配ごとでも…って、こんな状況で何もない方がおかしいよね」
類は呑気に笑っている
でも、その笑顔を見ていると…なんとなく気が紛れる気がした
類「?司くん、どうかした?」
司「あぁいや…なんて言うか、お前には最初からいろいろと助けられてるなって…」
類「そんな…僕はお礼を言われるようなことは何もしてないよ?」
類「僕なんかが君の役に立てて、しかもお礼まで言われるなんて…本当に嬉しいよ」
司「僕なんか…って、いきなり自分を卑下しすぎだろ」
類「だって、僕の才能なんてただ運がいいってだけだからね」
類「あってもなくても、いてもいなくても変わらないような…地味な存在なんだよ」
類「あははっ、みんなと違ってね」
そんな明るく言われても…
司「でも、もしかしたらオレの方がどうでもいい才能かもしれないじゃないか」
司「思い出せないくらいだしな…」
類「そんなことないよ!司くんは凄い才能を持ってるはずだよ!」
きゅ、急に熱くなったな…
…なんか、類の疑うことのない態度を見ていると…確かにそうだと思えてくる
ほんと、助けられてるな
類「そうだ、よかったら、僕に思い出す手伝いをさせてよ」
司「え、手伝い…?」
類「うーん、司くんに合いそうな才能…」
類「ズバリ、超高校級の癒し系、とか?」
司「ど、どこを見たらそんな単語出てくるんだ!?」
司「というか、役に立つのか?その才能…」
類「いるだけで周囲を和ませられるって凄い才能だと思うけど…」
司「オレはそんなふわふわしてないだろう…」
類「あははっむしろうるさい方だよね」
司「それはそれで失礼だろ!」
類「…大丈夫。司くんの《《希望溢れる才能》》は、必ずあるはずだから」
ったく、人で遊びやがって…
でも…類のおかげで、さっきよりも気持ちが軽くなった気がするな…
---
ピーンポーンパーンポーン…!
司「…え…?」
今のチャイムって…?
モノクマ「えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会が、お知らせします…」
モノクマ「やっほー!お楽しみのレクリエーションタイムが始まりますよー!」
モノクマ「至急、ジャバウォック公園へお集まりください!」
公園に集まれ…だと?
途端に、嫌な予感が湧き上がってきて、オレの全身に鳥肌を立てていく
司「…モノクマに逆らうのは禁止…」
司「はぁ…行くしかないよな…」
司「…今度はなんなんだ…っ!!」
記憶
ジャバウォック公園には、すでに他のみんなが集まっていた
奏「…全員、揃ったみたいだね」
杏「今度はなんなの…」
彰人「そんな嫌そうな顔すんだったら来なきゃいいだろ」
杏「さ、逆らったら何されるか分かんないじゃん!」
彰人「…何されるのか、誰かに試してほしいもんだけどな」
志歩「は?なにそれ。いちいち嫌味っぽく言うのやめてくれない?」
彰人「っるせーな…」
志歩「あなただって、怖くてここに来たんでしょ?平気なフリするのやめなよ」
彰人「はぁっ!?」
みのり「な、仲間割れはよくないよっ…!」
彰人「あ…?仲間?」
彰人「いつから俺が、お前らの仲間になったんだよ」
冬弥「あ、彰人…?」
彰人「言っとくけどな…」
彰人「俺は殺れるぞ?」
穂波「え…っ?」
絵名「ちょっと…あんた、今なんて言ったの?」
彰人「聞こえなかったか?」
彰人「俺は殺れる…そう言ったんだよ」
や、殺れるって…本気じゃないよな…?
冗談…だよな?
奏「一旦落ち着こうよ…」
奏「私は言ったはずだよ。犠牲者は1人も出させない…」
奏「それは東雲さんも同じ。私はあなたを死なせない」
彰人「んだよそれ…綺麗事ばっか言いやがって…」
彰人「……チッ」
なんとか収まったみたいだな…
モノクマ「あのー…」
司「うわ!?」
モノクマ「なんか揉めてるみたいだったから、いつ出ればいいのか分からなくなっちゃって…」
モノクマ「中途半端なタイミングで出てきてしまいました!」
雫「あら?その格好は?」
モノクマ「レクリエーションタイムの為の衣装だよ」
愛莉「え…何するのよ?」
モノクマ「南国の島っぽく漫才をっ!」
まふゆ「南国…っぽいのかな?」
奏「…漫才って1人でもできるの…?」
モノクマ「無理なので…相方を用意してきました!」
モノミ「な、なんでちゅかこれ!」
一歌「そうだろうとは思ったけど…」
モノクマ「では早速、《《『お笑いモノクマ漫才ライブ』》》はじめるよー!」
モノミ「えっ?きいてないよー!」
モノクマ「どうも!モノクマでーす!」
モノミ「モ、モノミでーちゅ…」
モノクマ「2人揃って、ザ・モノクマーズでーす!」
モノクマ「では、早速ですが、ボクが得意の読心術を披露しちゃおうかな!」
モノミ「え、できるの!?」
モノクマ「試しにオマエの好物を当ててやるよ。えっとねぇ、オマエの好物は…」
モノミ「頑張って!うさぎと言ったらあれだよ!」
モノクマ「にん…」
モノミ「そうそう…」
モノクマ「げん!」
モノミ「食べないよ!人間なんて食べないよ!」
モノクマ「さてと、次はモノミの番だな。なんか一発ネタやれよ!」
モノミ「ふぇぇ!?そ、そんなのできないでちゅ!」
モノクマ「大丈夫だよ。心配するなって。ボクは笑いの神を降臨させる術を知ってるんだ」
モノクマ「というわけで、生きたまま血を抜かれるのと、死んだ後に血を抜かれるのはどっちがいいと思う?」
モノミ「何その2択!?なんでそんな残酷な質問させるの!?」
モノクマ「笑いの神を降臨させるためには、大量の血液が必要なんだよ」
モノミ「笑いの神なのに血を欲しがるんだ…」
モノミ「何を言われても血なんか抜かれませんよーだ!」
モノクマ「全く、モノミはすーぐ怖い顔するんだから」
モノクマ「オマエラも気をつけてくださいね。モノミって、本当は悪いやつだからね」
モノクマ「例えると、少年マンガの初期の敵くらいにね!」
モノミ「噛ませ犬じゃん!」
モノクマ「でも、モノミが悪いやつなのは、本当だよ?」
モノクマ「ここだけの話だけどね…」
モノクマ「モノミって、オマエラの記憶を勝手に奪っちゃったんだよ!」
モノミ「なんでやねん!」
モノミ「って、あれ…?」
モノクマ「ほら、オマエラってさ、どうやってこの島に来たのか誰も覚えてないでしょ?」
モノクマ「それはね、モノミがオマエラの記憶を奪ってしまったからなんだ!」
モノミ「きゅ、急に何を言い出すんでちゅか!?」
モノクマ「ちなみに…こいつが奪った記憶ってのはね、この島に来るまでの経緯とか陳腐なんもんじゃないよ」
モノクマ「なんと、オマエラが《《希望ヶ峰学園で過ごした数年間の記憶》》を丸ごとなのです!」
モノミ「ほわわっ!?」
モノクマ「ふぅ、思い切って言ったらすっきりした。やっぱり、記憶喪失ネタなんて時代遅れですよね!」
モノクマ「そんなネタを物語終盤まで引っ張るなんて、恥知らずな卑怯者のする事ですよねー」
モノミ「も、もうやめてくだちゃいって!」
モノクマ「うぷぷ…実は、オマエラは新入生なんかじゃないんだよ」
モノクマ「学園生活の記憶を丸ごとなくしたオマエラが、勝手にそう思い込んでるだけなんだ!」
モノミ「ほ、ほんとにいろいろとダメでちゅってー!」
モノクマ「キミとはやってられんわー!」
モノミ「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
モノミ「ツッコミが激しすぎまちゅー!!」
類「………………」
雫「………………」
こはね「………………」
司「………………」
司「…は?」
類「ど、どういうことだい…?」
モノクマ「どうだった?笑い取れてた?それとも笑いのレベルが高すぎた?」
奏「ねぇ…今の話はなに…?」
モノクマ「今の話って…」
モノクマ「あぁ、オマエラが学園生活の記憶を丸っと奪われた話?」
まるっと奪われた…?
学園生活の記憶を…まるっと?
何を…言ってるんだ…?
瑞希「あはは…そんなわけないじゃん…」
瑞希「だってボクは、希望ヶ峰学園に入学したばっかで…すぐにこの島に連れて来られたはずで…」
モノクマ「それは、オマエラがそう思い込んでるだけだよ」
モノクマ「モノミがオマエラの学園生活の記憶を消しちゃったせいでね…」
司「な、何を言ってるんだ!そんなわけないだろう!」
モノクマ「いやぁもう何年経ったのかね?家族や友人はどうなったのかね?向こうも心配してるかもね?」
絵名「そ、そんな馬鹿げた話信じるわけないでしょ!?」
杏「そうだよ!私が記憶喪失なんて…そんなのあり得ないし!」
えむ「も、もうキャパオーバーだよ…」
みのり「う、嘘だよね…?記憶喪失なんて…そんなの嘘だよね?」
モノクマ「ううん、嘘じゃないよ」
モノクマ「だって、もし嘘ならあれはなんだったのさ?」
モノクマ「希望ヶ峰学園に足を踏み入れた時に、オマエラ全員が経験した《《妙な目眩》》は…」
司「っな…!」
司「どうして…お前がそれを知っている…?」
モノクマ「うぷぷぷ…要はね、あそこが記憶の結合点だったわけですよ」
モノクマ「オマエラはあそこからの記憶がすっぽり抜け落ち、今に至るというわけです!」
司「なんだ…それ…」
頭の中が一気に空になっていく感覚
思考がうまく働かない。言葉がうまく出てこない。
呼吸だけが…自然と荒くなっていく
咲希「ほ、本当はあれから…すごく時間が経ってるって事…?」
寧々「そんな事あり得ないでしょ…!」
モノクマ「逆に…何であり得ないの?」
類「何でも何も…信じられるわけないだろう…?」
モノクマ「《《信じたくない》》だけでしょ?」
モノクマ「でも安心して!親切なボクが、オマエラの記憶を元に戻してあげるから!」
モノミ「ほえ!?」
モノクマ「ただし、それには交換条件があるんだよね…」
冬弥「まさか…」
モノクマ「うぷぷ、察しちゃった?」
モノクマ「そう!オマエラがコロシアイをすること!」
モノクマ「それがボクの提示する交換条件でーす!」
モノミ「ほわわ…!」
モノクマ「オマエラは知りたいんでしょ?奪われた《《学園生活の記憶》》を知りたいんでしょ?」
モノクマ「だったら殺しちゃいなヨ!ヘイユー、殺して記憶を取り戻しちゃいなヨ!」
彰人「て、適当なことばっか言ってんじゃねーぞ…!」
モノクマ「あらら?どうして怒っちゃうの?ボクは親切心で動機を与えてやったのに…」
モノクマ「だってオマエラったら、びびってなかなか殺せないでしょ?」
モノクマ「まぁそれも仕方ないか…」
モノクマ「人間なんて、子宮から出た途端に泣き喚く生まれついての臆病者だもんね」
モノクマ「だからボクがオマエラに与えてあげてるんだ。人を殺す免罪符となる動機をね!」
奏「いい加減にして…!」
奏「そんな妄想話で…私達が人を殺すわけないでしょ…?」
愛莉「そ、そもそも、記憶喪失の話なんて信じないんだから!」
モノクマ「けど、それ以上に信じられないのはお互いの方でしょ?」
まふゆ「どういうこと…?」
モノクマ「オマエラはお互いのことを何も知らない。だからこそ…」
モノクマ「《《裏切り者》》が紛れ込んでる事に、まるで気がつけないんでしょ?」
司「…は?」
モノクマ「ねぇ、どうしてオマエラは20人いるのかね?」
モノクマ「この島に来る予定だった希望ヶ峰学園の生徒は、19人だったはずなのに…」
モノクマ「そっか!きっとオマエラの中にボクも知らない《《裏切り者》》がいるからなんだ!」
モノクマ「なんちゃって!」
穂波「な、何言ってるの…?裏切り者…って…」
一歌「嘘だよ…嘘に決まってる…」
モノクマ「だからさぁ、どうして言い切れるのかって」
モノクマ「お互いのことを何も知らないくせに。お互いの本性を何も知らないくせに」
モノクマ「だから、誰かが殺しを企んでたとしても、オマエラがそれに気付くことは不可能なんだよ」
その言葉に、オレ達は押し黙ってしまった
誰でもいい…誰かに反論して欲しかった…
だが、誰もが口を噛んだまま、その場に立ち尽くしているだけだった
モノクマ「でもさ、もし本当に裏切り者がいるなら…それって酷い話だよね…」
モノクマ「仲間のふりしてオマエラを陥れようとするなんて、そんなヤツは殺されても仕方ないよね」
モノクマ「生き残りたければ、自分が殺される前に相手を殺さないとね…」
モノクマ「アーハッハッハッハ!!」
司「………………」
こはね「う、裏切り者がどうとかって…本当なのかな…?」
絵名「だ、誰なの!?さっさと名乗り出なさいよ!」
奏「やめて、絵名。裏切り者なんているはずないよ」
奏「あんな話…嘘に決まってる」
志歩「ねぇ、モノミ。あなただったら答えられるはずだよね?」
モノミ「ほえっ!?」
志歩「さっきのモノクマの言葉は本当なの?記憶喪失だの裏切り者だの…」
モノミ「え、えっと…」
モノミ「ミナサンに必要なのは《《未来》》だけでちゅ…だからミナサンは過去など振り返らずに…」
モノミ「未来だけを見据えて、せ、精一杯生きていきましょう!」
えむ「あ!逃げた!」
彰人「はぁ…記憶喪失とか裏切り者とか、まるっきりフィクションだろ…」
彰人「やってられっか…」
記憶喪失?学園生活の記憶を丸ごと?裏切り者?
全てが現実だと思えなかった。
けれど…それ以上にオレの胸に突き刺さったのは、さっきのモノクマの言葉だった…
《《お互いのことを何も知らないくせに》》
キーンコーン…カーンコーン…
モノクマ「えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会が、お知らせします…」
モノクマ「ただいま、午後10時となりました」
モノクマ「ゆったりとおやすみくださいね…ぐっない!」
冬弥「…あの、これからどうしますか?」
奏「とりあえず…今日は解散した方がいい、かもね…」
奏「少し思考を落ち着かせた方がいいよ…」
冬弥「それも…そうですね」
奏「みんな、余計なことは考えないようにね」
奏「明日の朝…モノクマのアナウンスの後、レストランに集合しよう」
その後のことは正直あまり覚えていない。
気づいた時には…
オレはコテージのベッドに、項垂れるようにして座り込んでいた
1人の空間でじっとしていると、同時によくない思考が頭をよぎる…
裏切り者……それは、他の奴らとは違う存在?
例えば、いまだに自分の才能も思い出せていない奴…?
司「…………………」
司「全く…わからん…」
オレはベッドに倒れ込み、すぐ目を閉じた
---
朝、やってきたレストランには…すでに数人が集まっていたが…
遥「…………………」
穂波「……………」
えむ「………………………」
やはり、空気は最悪だった
すると、遅れてきた面々もレストランに集まってきて…
奏「…全員揃ったかな」
こはね「あれ…?東雲くんがまだ来てないよ?」
志歩「もう殺されてたりして…」
えむ「ひぇ!?つ、遂に死者が!?」
絵名「勝手に殺さないでよ!さっき外で会ったってば!」
絵名「…でも、今朝は欠席するって言ってたよ」
杏「はぁ?こんな時にまで?」
奏「ううん、大丈夫だよ。じゃあ…東雲さんには、誰か後で話を伝えておいて欲しいな」
司「話…とは、何の話だ?」
奏「えっと…今日の夜、パーティーを開く事にしたんだ」
は……?
瑞希「えぇ!?パーティー…!?」
奏「うん、朝まで一晩中のね」
みのり「あ、朝まで!?」
奏「欠席はだめだよ。全員…強制参加、だからね」
まふゆ「奏がパーティーを開くなんて…何かあったの?」
杏「そうだよ…パーティーなんてやってる場合じゃ…」
類「あ…まって。僕は賛成だよ」
寧々「え、類?」
類「こんな時だからこそ、僕達はお互いに親交を深め合うべきなんじゃないかな」
類「宵崎さんも、そう考えたんだろう?」
奏「…うん、そうだよ」
奏「とにかく、今夜は私達全員が1つの場所に固まっておく必要があるの」
咲希「まぁ、気晴らしは確かに必要だよね…」
えむ「それじゃあ、ぱーっとやろうよ!」
穂波「それじゃあ私も、何か手伝うことがあれば協力します!」
雫「けれど…パーティーをする場所はどうしましょうか…」
瑞希「このレストランじゃだめなの?」
奏「うーん…もう少し外からの干渉を受けないところがいいかな…」
奏「できれば、モノクマでも立ち入れない場所…閉ざされた空間がいいけど…」
冬弥「それじゃあロビーもだめですね…」
愛莉「誰かのコテージってわけにもいかないわよね…」
類「だったら…ホテルの離れにある、ロッジ風の『旧館』はどうかな?」
杏「え、あのボロボロの?」
類「うん。でも、頑張って掃除すれば綺麗になると思うんだ」
類「それに、閉ざされた空間なんて条件、あそこくらいしか当てはまらないんじゃないかな?」
絵名「でも、旧館への立ち入りはモノミが禁止してたはずでしょ?」
絵名「改築予定がどうとかって…」
モノミ「話は聞かせてもらいまちた!この耳で聞かせてもらいまちた!」
モノミ「ミナサンの結束を固める為なら、あちしも協力は惜しみません!」
モノミ「なので、旧館への立ち入りを許可しまちょーう!」
モノミ「あちしも協力するから、一緒にパーティーしまちょう!」
遥「あ…行っちゃったね」
穂波「では、旧館で決まり…ってことでいいんですよね?」
寧々「でも準備はどうするの?改築予定で放置されてたなら掃除もしないと…」
絵名「掃除かぁ…めんどくさいからやだなぁ…」
類「じゃあ、くじ引きで決めるのはどうだい?」
類「こんなこともあろうかと、作ってきたんだよね」
どんなことがあると思ったんだ…
わざわざこんなものを用意するとは…
類「赤い印がついた当たりの割り箸を引いた人が掃除当番でどうかな?」
司「まぁ、これなら公平だな」
咲希「じゃあ、恨みっこなしだよ!」
パーティー
類が用意したくじ引きを、順番に引いていった
結果はというと……
類「おや…?僕が当たりだ…」
司「はは、超高校級の幸運なんて割にはツイてないんだな」
類「仕方ないねぇ…じゃあ、掃除は僕が責任持ってやるよ」
咲希「料理はほなちゃんに任せたっ!」
穂波「うん!頑張るね!」
絵名「えっと…そのパーティーの件を彰人に伝えればいいんだよね?」
奏「うん、ありがとう」
奏「じゃあ一旦解散して…夜のモノクマアナウンスの後に、旧館に集合でよろしくね」
---
司「…まだパーティーまで時間はあるな…」
司「少し、誰かと話でもしに行くか」
---
冬弥「…!司先輩!」
司「おぉ、冬弥か…!」
司「今時間大丈夫か?よければ何か話でもしようかと思ってな…」
冬弥「はい!大丈夫です!」
司「それにしても…まさか朝までパーティーをするとはな…」
冬弥「びっくりしましたよね…」
冬弥「最近寝不足気味なので、一晩中起きているのは無理、かもしれません」
司「そうなのか…今のうちに寝溜めでもしておくか?」
冬弥「そうですね…司先輩も一緒にどうですか?」
司「え、オレもか?」
冬弥と砂浜で昼寝をして過ごした
司「ん…結構眠ってしまったな」
冬弥「これならいくらでも起きていられそうです…!」
司「い、いくらでも…というのは言い過ぎじゃないか?」
司「というか、寝不足気味なのはいつからなんだ…?」
冬弥「この島に来てから…ですかね」
冬弥「それに、最近悪夢もよく見るんです」
司「そうなのか…どんな夢なのか聞いてもいいか?」
冬弥「えっと…『ぷよぷよ』な夢でした」
司「…む?」
冬弥「ゲームの中に入り込んだみたいに、俺もぷよと一緒に消されてしまう夢だったんです」
冬弥「しばらく青ぷよが見れそうにないです」
司「そ、そうなのか…」
ぷよぷよ…ってゲーム、聞いたことならあるな…
さすが、超高校級のゲーマーだな…夢にまでゲームが出てくるとは…
---
キーンコーン…カーンコーン…
おやすみなさい…というか、むしろこれからが本番だ
司「旧館に集合…だったよな」
---
ここが旧館か…やっぱり向こうのホテルと比べたらボロボロなんだな
奏「あ、天馬さん」
司「おぉ、宵崎か…」
奏「じゃあ…両手を広げて、まっすぐ立ってもらってもいいかな?」
司「む?別にいいが…どうしてだ?」
奏「ボディーチェックだよ」
司「ボ、ボディーチェック…!?」
奏「念の為、だからね」
司「そ、そうか…」
奏「………………」
奏「うん、危険物は持ってないみたいだね」
司「当たり前だろう…!」
奏「もうほとんど揃ってるから、中に入って待ってて」
司「あぁ…ん?」
ふと妙な物体に気がついた。それは宵崎の足元に置かれた…
司「…ジュラルミンケース?」
奏「スーパーにあった物だよ」
奏「1つは、ボディーチェックで危険なものを見つけた時に、それを保管しておく為のケース」
奏「もう1つは…いざという時のための物」
司「そう、なのか…」
なんか、念の為とは思えないほど警戒してるな…
奏「………………」
---
類「あ、司くん、どうかな?」
司「む?どう…って何がだ?」
類「ほら、パーティー用に飾り付けをしてみたんだ。絨毯だって敷いたんだよ」
司「これ全部…お前が?」
類「あぁ、スーパーマーケットから持ってきたんだ」
あのスーパー、なんでもあるな…
類「本当は床一面に敷きたかったけれど…少し大きさが足りなくてね」
類「それに、最初は蜘蛛の巣や埃だらけだったんだ」
類「おかげで、大広間の掃除だけで丸一日かかってしまったよ…」
司「そ、それは大変だったな…」
絵名「びっくりした…まさかボディーチェックまでやるなんて…」
瑞希「あははっ、さすが奏って感じだよね!」
司「宵崎は…昔から警戒心が強いのか?」
瑞希「んー、警戒心というか、責任感が強いんだよ」
まふゆ「心配になるくらいね…奏は中学の時からあんな感じだよ」
司「ふむ…そうなのか…」
愛莉「掃除してくれた神代さんには悪いけど…やっぱり旧館ってだけあってボロボロね」
司「まぁ、掃除っていっても限度があるからな…」
みのり「で、でも、ここの床とか見てください!」
みのり「隙間だらけで危なくないですか…?」
遥「本当だ。老朽化で木が縮んだのかな…」
雫「絨毯が敷いてあるし、大丈夫だとは思うけど…」
愛莉「みのり、転ばないように気をつけなさいよ?」
みのり「は、はいっ!」
冬弥「モノクマが入って来ないか心配ですね」
司「あぁ…オレ達がパーティーすると聞いて、放っておくわけないからな」
冬弥「なんとかしないと、ですね」
司「そうだな…」
冬弥「誰か何とかしてくれないでしょうか…」
司「うーむ…どうだろうな…」
今の、噛み合っていたのか…?
司「む…?これはなんだ?」
鉄板…?そういえば、廊下にも似たようなものがあったな
司「どうしてこんな鉄板なんかが壁に…」
一歌「あの…それ、窓に打ち付けられてるんじゃないですか?」
司「窓に?」
志歩「この旧館の廊下には、窓が1つもなかったしね…」
咲希「え、でもなんで窓を塞いでるの?」
司「…今はまだ分からないな…」
まぁ、この旧館は改築予定らしいから、その件が関係してるんだろうが…
なんだか不気味な雰囲気だな
奏「ごめん、待たせちゃったね」
瑞希「あ、奏!」
奏「望月さんは厨房にいて…やっぱり、東雲さんは来なかったみたいだね」
絵名「ごめん…一応声はかけたんだけど…」
杏「絵名さんが謝ることじゃないです!来ない彰人が悪いんですから!」
奏「1人欠席なら…大丈夫かな」
奏「1人じゃ何も起こしようがないし…」
一歌「え…どういうことですか?」
奏「それより…天馬さん、ちょっといい?」
司「な、なんだ?」
奏「厨房に来て欲しいんだ。頼める?」
司「あ、あぁ…」
一体…なんだ?
---
司「なぁ…なんで厨房に…?」
奏「危険物がないか調べるんだよ」
奏「徹底的にやってほしいな」
司「て、徹底的に…って言ったってな…」
厨房だから仕方ないとは思うが…
まぁいいだろう…
奏「えっと…ナイフとフォーク…」
司「む、それも回収するのか?」
奏「うん。これも立派な凶器だからね…」
奏「食べるだけなら割り箸で十分でしょ?」
司「…そ、そうか…」
いろんな種類の包丁が揃ってるが、きっとこれも…
奏「危ないから…回収しようか」
司「まぁ、そうだよな」
中華、和食、フレンチ、イタリアン…
バカでかい骨付き肉まである…!
これはすごい…望月、随分張り切ったな…
奏「望月さんってこんなに料理が上手なんだね…」
司「あぁ、すごいよな」
奏「あ、でも…ここに長い鉄串が使われてるから、これも片付けておこうか」
司「た、たしかに凶器にはなるが…」
せっかく作ってもらった料理を壊す…みたいなことは、少し心が痛むな
奏「これは…厨房の備品リスト?」
フォーク×20
ナイフ×20
スプーン×20
鉄串×5
フライパン×3
ワイングラス×20
BBQ用の鉄板に、カセットコンロまであるのか…
奏「鉄板にカセットコンロ…確か、あっちの棚で見かけた気がする…」
奏「手入れはちゃんとされてるし、問題なく使えそうだったよ」
司「そうなのか…」
奏「…でもおかしいな…リストと数が合わないものがある…」
司「なぁ、本当にここまでする必要あるか?」
奏「…どうして?」
奏「私は1人も犠牲者を出させない。そう約束したから…警戒してるんだよ」
司「本当にそれだけなのか…?」
奏「え…?」
司「いや、何かあったんじゃないか…って…」
司「急にパーティーを開くなんて、よっぽどの理由がないと…」
奏「…ううん、何もないよ」
奏「ほら、早く危険物を探そう?」
司「………あぁ」
穂波「あ、あれ…!?」
穂波「包丁もナイフもない…?どうして…?」
奏「あ…ごめんね望月さん。危険物を全部回収したんだ…」
穂波「そ、そうだったんですね…あとは盛り付けるだけなので、全然大丈夫ですけど…」
司「あ、望月、1つ聞いてもいいか?」
司「そこの備品リストを見ると、鉄串が1本足りないみたいなんだ…何か知らないか?」
穂波「あ…そうなんですよね…最初から欠けてたみたいで…」
穂波「旧館なので仕方ないかなと思って、深く考えてなかったんですが…」
奏「そっか…………」
司「最初から無かったなら…どうしようもないんじゃないか?」
奏「…そうだね、あんなに長い鉄串を隠せる場所も無さそうだし…」
奏「今日は、私がちゃんと見張っていればいいだけだからね」
奏「それじゃあ戻ろっか…みんなが待ってるはず」
司「あぁ…そうだな」
---
志歩「あ、やっと戻ってきた…」
えむ「そろそろ始めよーよ!あたしお腹すいちゃった!」
奏「あ…ちょっとまって」
寧々「まだ何かあるの…?」
奏「危険物を入れたジュラルミンケースをどこに保管しておこうかな…って」
杏「ここに置いておくんじゃだめなの?」
奏「鍵はかけてあるし、大丈夫だとは思うけど…」
雫「あ…それなら、旧館の奥に倉庫みたいな部屋があったわよ?」
奏「うーん…でも、放置しておくわけにはいかないし…」
絵名「それなら…誰かが見張っていれば安全じゃない?」
こはね「誰かって…誰ですか?」
瑞希「言い出しっぺの絵名でいいんじゃなーい?」
絵名「は!?私!?」
愛莉「よろしくね!絵名!」
絵名「う…っ…ま、まぁ別にいいけど…」
絵名「ただ、せっかくこれだけの料理があるんだし…取り分けて持っていってもいい?」
穂波「はいっ!もちろんです!」
類「でも…どうせ見張りをするなら、倉庫以外の場所がいいかもしれないね」
類「あの倉庫ってごちゃごちゃしてる上に、薄暗くて蜘蛛の巣なんかもびっしりだからさ…」
類「僕も大広間で手一杯だったから、倉庫まで掃除できてないんだ」
司「そんな場所に長時間いたら、人体に悪影響がありそうだな…」
奏「それなら…事務室で見張りを頼もうかな」
奏「あそこにはブレーカーもあったし、ついでに見張ってもらってもいいかな?」
絵名「奏が言うなら…」
絵名「…それじゃあ、私は行くね」
東雲さんは、料理の乗った皿とジュラルミンケースを持ち、
大広間を後にした。
瑞希「ねー奏ーもういいー?早くパーティーしようよー!」
奏「いや、ちょっとまって」
奏「あと1つ…片付いてない問題があるんだけど…」
穂波「もしかして…モノクマ、ですか?」
奏「うん…」
司「そうか…オレ達がパーティーすると聞いて、邪魔しに来ないわけないよな」
えむ「うーん、でも、どうすることもできないんじゃないかなぁ…」
冬弥「…じゃあ、俺がなんとかします」
志歩「なんとか…って、貴方みたいな人がモノクマに勝てるわけ…」
冬弥「いや、俺が何かするわけではない」
一歌「あ…モノミを利用する気ですか?」
冬弥「あぁ。モノミを上手いこと口車に乗せれば、なんとかしてくれる…と思ってな」
瑞希「でも、冬弥くんは大丈夫なの?やっぱり危険じゃない?」
冬弥「危ないことがあったらすぐ逃げますので…大丈夫です」
司「そうか…」
冬弥「じゃあ、行ってきますね」
そう言って冬弥は、大広間を後にした
なんだろう…嫌な予感ってわけじゃないが…
なんとなく、心がざわざわして……
みのり「奏ちゃん!問題は全部片付いたっ?」
奏「うん。それじゃあ…そろそろ始めよっか」
えむ「わーいっ!!」
---
こうして、パーティーが始まった
そもそも、どうしてパーティーが開催されてるのか…よく考えたら意味がわからない
でも、なんだかんだみんな楽しんでるみたいだ
瑞希「んーっ!美味しいー!」
咲希「さすがほなちゃん!」
穂波「ふふっ、厨房でたくさん作ってるから、こっちにもたくさん持ってくるね!」
雫「ねぇみんな!せっかくだし、写真撮ってあげましょうか?」
愛莉「え、あんたそのカメラどこから…」
雫「スーパーにあったのよ〜!」
遥「へぇ、じゃあ…撮ってもらおうかな」
雫「えぇ!シャッターを押すだけだから簡単ね!」
パシャッ…パシャッ…
…なんだか、妙な気分だ
最初に島に来た時は、こいつらの楽しそうな様子にあんなにイライラしていたのに…
今は、心強く思える。
まふゆ「…あれ?」
奏「ん、まふゆ?どうしたの?」
まふゆ「あ…いや、トイレに行こうと思ったんだけど…」
まふゆ「さっきから鍵が掛かってるんだよね。誰か入ってるのかな…」
奏「うーん…」
みのり「あ、あれ…!?」
志歩「みのりはどうしたの…?」
みのり「私の髪飾りが…ど、どこか行っちゃって…」
志歩「え、落としたの?」
みのり「うん…うぅ、あれ気に入ってたのに…」
寧々「ま、まぁそんなこともあるよ…」
ピピッ!
咲希「えっ、何の音?」
バチンッ!
……………………
……………………………
あれ…なんだ?急に真っ暗に…
???「わわっ!?て、停電だ!」
停電……?
な…っ!?て、停電だと!?
???「な、何も見えない…!」
暗闇にかき立てられた恐怖が、
一瞬にして洪水のように周囲を飲み込んだ
???「み、みんな落ち着いて!こういう時は落ち着かないと!」
???「ねぇ…貴方何してるの…っ?」
???「やめて…!」
???「いてっ!」
???「だ、誰か電気付けてきてよ!」
???「みんな、どこにいるの…?て、停電って、厨房だけじゃないんですか…?」
???「これ、ブレーカーが落ちたんじゃないの…?」
オレ達はただひたすら、この恐怖から解放されるのを待った
ひたすら待って……しばらくしたところでようやく…
バチンッ
司「あ…!」
ようやく大広間に明かりが灯った…その瞬間…
みのり「きゃああああ!!」
こはね「わわっ…!みのりちゃん…!?」
みのり「ご、ごめんなさーいっ!また転んじゃいましたぁ…!」
司「おい…だ、大丈夫か?」
愛莉「あんた…何もないところで転びすぎよ!」
みのり「うぅぅ…お、お騒がせしました…」
一歌「あはは…ドジってレベルじゃなかったよね…」
杏「それより…なんでブレーカーがついたの?」
瑞希「あ、たしかに…みんな、ずっとこの大広間にいたもんね…」
えむ「んー、わかんないなぁ…」
雫「…あらら?」
類「日野森さん、どうかしたのかい?」
雫「いえ…さっきから、宵崎さんの姿が見当たらなくて…」
類「え…?宵崎さんが?」
オレは周囲を見渡した
確かにそこには、この場を仕切るはずの宵崎の姿が見えなかった
寧々「変だね…さっきまで一緒にいたはず…」
志歩「停電の間に移動したの…?」
司「あ、あんな真っ暗闇をか?」
類「なんだか心配だね…手分けして探してみようか」
類「僕は倉庫を見てくるから、司くんは入口の確認をして来てくれるかい?」
司「あぁ…わかった…!」
---
杏「それじゃあ私は…事務室に行ってみようかな」
こはね「一緒に行こう、杏ちゃん!」
杏「うん!」
遥「私は…廊下を見て回ってくるね」
まふゆ「ほんとに…どこ行ったんだろう、奏…」
瑞希「心配だね…早く探しに行こう!」
じゃあ…早速入口の方を見に行くか…
確か、あっちには冬弥がいたはずだ
最初の犠牲者
冬弥「あれ…司先輩?」
冬弥「パーティーはどうしたんですか?」
モノミ「はわっ!ま、まだ終わってないでちゅよね!まだ参加してないのにっ!」
司「いや…さっき旧館が停電になってだな…」
司「その時に宵崎がいなくなってしまって…外には出て来てないか?」
冬弥「いえ…誰も外には出て来ませんでした」
外に出てない…?じゃあ、あいつはまだ中にいるのか?
司「うむ…行き違いになったのかもな…」
冬弥「だと思います…」
---
類「あ、司くん…!どうだった?」
司「いや…冬弥に聞いたら、外には出て来てないって…」
類「おかしいな…倉庫にも誰もいなかったよ」
杏「事務室にも…誰もいなかったよ」
愛莉「あら?誰もいなかったの?事務室に…?」
瑞希「絵名は?事務室は絵名がいるはずでしょ?」
こはね「東雲さんもいなかったの…どこ行っちゃったんだろう…」
雫「絵名ちゃんも…?」
えむ「んー…んん…?」
咲希「えむちゃん、どうしたの?」
えむ「うーん…なんか変な匂いがするんだよねぇ…」
志歩「変な匂い…?」
えむ「んんー…んー…」
えむ「これ…血の匂いだよ…っ!」
寧々「え…っ!?」
えむ「うー…うーー…」
えむ「…た、多分…あそこから!」
司「あそこ…って…」
それは、大広間の1番奥にあるテーブルだった
えむ「そこの…下だよ…!」
司「テーブルの…下?」
オレは奥のテーブルまで駆け寄ると、テーブルクロスに手を伸ばし…
だけど…そこで止まった
恐怖?緊張?
なんで…緊張なんかする必要あるんだ…?
あり得ない…絶対あり得ない…!
司「そんなことあるわけないだろっ!!」
オレはそう叫んで、テーブルクロスを一気にめくった
……………………
……………
オレはきっと…その光景を一生忘れることができないだろう
オレがそこで目にしたのは……
超高校級の作曲家…宵崎奏の、変わり果てた姿だった。
--- 宵崎 奏 死亡 ---
---
瑞希「………え?」
瑞希「かな…で…?な、なんで…?」
杏「いや……っ」
杏「いやあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
背中に悲鳴を浴びながら、オレは平然とその場に立ち尽くしていた
かつての仲間の死体にじっと見入っていた
みのり「なんで…奏ちゃんが…っ!?」
穂波「き…きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
寧々「こ、こんなのあり得ないよ…あり得ないって…!」
志歩「何かの間違いだよ…!」
えむ「これ…本物の血じゃないよね…?ジャムとかタレとか…」
えむ「だ、だ、だってこんなの…」
モノクマ「いやはや、大変なことになりましたね…」
モノクマ「大変、面白いことになりましたね!」
モノクマ「絶望の孤島と化したジャバウォック島を舞台に、遂に《《最初の殺人》》が起きてしまいました!」
司「さ…殺人…?」
類「ちょっと待ってくれ…じゃあこれって…!」
モノクマ「うぷぷ…宵崎さんは…オマエラの誰かが殺したんだよ」
司「な…っ!」
モノクマ「あの死体を見れば一発でわかるじゃん。これが殺人ってことくらいはさ」
モノクマ「きっと、この島から帰りたくて仕方ない奴が…宵崎さんを犠牲にしたんでしょうね」
司「嘘…だ……」
司「嘘だ!殺されたなんて嘘だ!!」
殺された。そう叫んだ瞬間、
ドロドロとした濃い絶望が、オレの体内で一気に膨れ上がっていった。
それは……つまり…
宵崎が殺されたという事実を、オレが受け入れたことを意味していた。
絵名「な…何これ…!!」
絵名「奏…?奏なの…?」
絵名「いや…っ!!奏…!かなで…っ!!」
冬弥「なんだこれは…!?」
冬弥「どうして宵崎さんが…?どうしてこんな事になっているんだ…?」
モノクマ「ふむふむ…これでこの場に居ないのは東雲くんだけのようですね…」
モノクマ「じゃ、そんな彼にも伝えるために…」
モノクマ「例のあれ、やっちゃいますか!」
ピーンポーンパーンポーン…
モノクマ「死体が発見されました!」
モノクマ「一定の捜査時間の後、学級裁判を開きます!」
司「学級…裁判…?」
モノクマ「ほら、前にも説明したでしょ?」
司「は、犯人を突き止めろって言うのか…?」
モノクマ「そう!オマエラはこれから捜査をして、宵崎さんを殺したクロを暴かなきゃいけないんだ!」
咲希「あ…あり得ないよ…誰かが殺したなんて…そんな事あるわけないって!」
類「ぼ、僕は信じないよ…僕たちの中に宵崎さんを殺した犯人がいるなんて…」
類「そんな絶望的な事…起こるはずがないんだ…!」
モノクマ「そう思い込まされてる時点で、オマエラは犯人に追い詰められてるんだよ」
モノクマ「ほらほら、早速始めようか!」
モノクマ「クロとオマエラの命を賭けた真剣勝負!そして、その真剣勝負はもう始まってるんだ!」
モノミ「ちょ、ちょっとぉ!何を言ってるんでちゅかっ!」
モノミ「ミナサンダメでちゅよ!モノクマの言う事なんて真にうけちゃダメでちゅ!」
モノクマ「うるさいうるさーい!!お兄ちゃんに逆らうなー!」
モノミ「ぎゃああぁぁぁぁぁ!!」
モノクマ「ふぅ、それじゃあオマエラ、健闘をお祈りしています!」
一歌「な、なんなの…訳わかんないよ…!」
絵名「奏を殺した犯人を…捜せって…なんでそんな事になっちゃったの…!」
杏「も、もう嫌だよ…なんで私がこんな事に巻き込まれなきゃいけないの…?」
モノミ「あ、あの…疑い合うなんてダメでちゅ…ミナサンは仲間なんでちゅから…」
志歩「でも、宵崎さんが殺されたのは事実だよね?」
志歩「で、その犯人を見つけないとみんな殺されるんでしょ?」
雫「だ、だとしても、私にはとても堪えられないわ…!」
志歩「だから、堪えられるとか堪えられないとか…そう言う話じゃないんだって…」
志歩「生き延びるためにはやるしかないんでしょ?だったらやるしかないじゃん」
司「…本当に、やるしかないのか…」
みのり「い、嫌だよ…そんなの嫌だ…」
こはね「私だって嫌だよ…そんなの怖いよ…」
遥「…日野森さんの言う通りだと思う…」
遥「やらないと殺されるなら…やるしかない…」
類「けれど…やっぱり信じられないな…僕達の中に犯人がいるなんて…」
類「信じない…絶対に信じない…だから、その為にも…」
類「……やるよ」
類「僕は宵崎さんの死を調べる…そして、この中に犯人なんていない事を証明して見せるよ」
司「類………」
そうだ…やるしかないんだ…
宵崎も…犯人を見つけて欲しいと望んでるはずだ…
だったら…オレもしっかりしろ…!
冬弥「あ…始める前に少しいいですか?」
冬弥「ミステリー系のゲームだと、ここで現場の見張り役が出てくるんですが…」
冬弥「オレ達はどうしましょうか?」
愛莉「そっか…犯人に証拠隠滅なんてされたら、大変なことになるわね」
雫「…ねぇ、現場には私が残ってもいいかしら?」
雫「死体を調べられる自信もないし、頭がすごくいいわけでもないから…」
雫「せめて、宵崎さんの隣にいてあげるわ。それが見張りでいいわよね…?」
まふゆ「日野森さん……」
まふゆ「それじゃあ、私も見張りをしようかな…」
まふゆ「少しなら検死だってできるし…」
遥「雫と朝比奈さんが残る…ってことでいいんだね」
えむ「それで…これから具体的にどうしたらいいの…?」
類「当たり前だけれど、僕らは素人だ」
類「まずは、直感を大事にしたらいいんじゃないかな?」
類「そこから証明していくんだ。宵崎さんを殺した犯人なんていない…って事をね」
モノミ「それにしても、仲間の死を調べるなんて残酷でちゅね…」
絵名「でも…断ったりできないんだもんね…」
穂波「私は信じてないよ…宵崎さんが死んだなんて…そんなの信じていませんけど…」
穂波「…やるしか、ないんですもんね」
犯人を捜し出す…それがオレ達が生き残れる唯一の希望…
こんなのが…希望……?
司「いいや…しっかりしろ天馬司…!」
司「やるしかないんだ…!」
捜査開始
--- 捜査開始 ---
モノクマ「じゃじゃーん!捜査タイムが始まると見せかけてからの…」
モノクマ「ザ・モノクマファイル!」
モノクマ「やっぱ素人のオマエラにはこれが必要だよね!」
司「なんだ…?これ…」
モノクマ「全く、決まり事をいちいち説明するのは骨が折れますな…」
モノクマ「ま、骨なんてないんですけどね!」
モノクマ「えー、モノクマファイルは、死亡状況や死因を正確かつ丁寧にまとめたものであります」
モノクマ「オマエラの捜査がスムーズに進むように、優しいボクがまとめてあげたんだ!」
モノミ「ど、どこが優しいんでちゅかっ!」
モノクマ「おやおや、意味なしマスコットのモノミちゃんはまだこんなところにいたの?」
モノクマ「ほら帰るぞ!オマエの出番はもう終わりだ!」
モノミ「いたい!耳は引っ張らないでくだちゃいー!もげちゃうー!」
やっと…行ってくれたか…
司「…モノクマファイル…」
司「とりあえず、確認してみよう…」
被害者の死体が発見されたのは、ホテル・ミライの旧館にある大広間
死亡時刻は午後11時30分頃
死因は刺殺で、腹部から喉にかけて十数ヶ所を滅多刺しにされている
それ以外には特に外傷もなく、毒物などの薬品類を摂取した痕跡もない
やっぱり、宵崎は本当に死んだんだな…
犠牲者を1人も出さないって約束していたのに…お前が犠牲者になってどうするんだ…っ
……とにかく、まずは片っ端から調べていくしかないな
---
類「ねぇ司くん、少し確認なんだけど…」
類「宵崎さんって、停電になる前までは、この大広間に僕達と一緒にいたよね?」
司「あぁ、そうだな」
類「その宵崎さんが停電後に、死体で発見されたとなると…」
類「彼女が死んだのは、その停電の最中としか考えられないよね」
司「それは…そうだな」
類「でも、どうして宵崎さんの死体はテーブルの下で発見されたのかな?」
類「もし犯人が隠したにしたって、結局はすぐ見つかってるわけだ…」
司「む…意味がわからないな…」
類「どうやら、あの停電の最中に何が起きていたかが…謎を解く手掛かりになりそうだね」
司「そんなの分かるわけないだろう…停電中は真っ暗で何も見えなかったんだ」
類「ふむ…ひょっとしたら、見るのは無理でも聞くことはできた人ならいるかもしれないよ」
聞くことはできた…?
それって…あいつのことか?
---
司「雫…大丈夫か?」
雫「…ごめんなさい…大丈夫とはとても言えないわ…」
雫「さっきまで一緒にいた人が…いきなりあんなことになって…」
司「…すまん、大丈夫なわけ、なかったよな…」
雫「いえ…仕方ないわ。こんな状況なんだもの…」
雫「……あの停電の時、私がもう少し冷静になっていれば…宵崎さんは死なずに済んだかもしれないよね…」
司「そんな風に…自分を責めたって意味ないだろ…」
雫「…司くんは優しいわね…ありがとう」
雫「それに、私だけが持ってる手掛かりもあるし…」
司「雫だけが持ってる…手掛かり?」
雫「写真よ。停電の直前に撮ってたでしょう?」
司「そうか…あの時の…」
雫「よければ見てみる?デジタルカメラみたいだからすぐ見れると思うわ!」
司「本当か…!頼む!」
雫「ええと…この2枚の写真だよ」
雫「この2枚が、私が停電直前に撮った写真なんだけど…」
雫「…あら?」
司「む、どうかしたか?」
雫「いえ…ふと気づいたのだけれど…」
雫「停電前の宵崎さんって、あのテーブルから結構離れた場所に立っていたのね…」
雫「死体が見つかったテーブルは、モニターの真下の…ランプが置いてあるテーブルでしょう?」
雫「宵崎さんが立っていたのは、そこから1番遠い壁際ね…」
司「確かに…かなり遠いな」
司「……なぁ、その写真から、みんなの詳しい立ち位置を割り出せたりしないか?」
雫「え…っ?」
司「この写真だと分かりづらいし…ちゃんとまとめてみたほうがいいかも…と思ってな」
雫「なるほど…分かったわ!」
司「それじゃあ、よろしくな!」
---
みのり「うーん…」
司「花里?どうした?」
みのり「あ、司さん…さっき落とした髪飾り、床の下に落ちちゃってるみたいで…」
みのり「この隙間からじゃ手なんて入らないし…道具を使っても届きそうもなくて…」
司「ふむ…床下に入れる方法でもあるのか…?」
まぁ、入れたとしても特に何もないだろうが…
みのり「じゃあ、床下に入る方法を見つけるついでに、髪飾りも回収しちゃおうかな…」
司「あぁ…また転ばないように気をつけろよ…」
みのり「ひょわ…っ!お、思い出させないでくださいよ…!恥ずかしい…」
みのり「き、記憶から消し去ってください…!」
司「な、何もないところで何回も転ばれたら、忘れたくても忘れられないんだが…」
みのり「そうですよね…これからは気をつけます…」
みのり「うぅ…いつでも落ち着いて行動できるようにしないとぉ…」
---
このテーブルの下で…宵崎が……
…先にテーブルの上から調べるか…
と言っても、テーブルの上で気になるものって…
司「この卓上ランプくらいだよな…」
電源コードでコンセントと繋がってるみたいだから、停電の時には役に立たなかったはずだ
それ以外に気になるものは無い…となると…
司「……………」
司「に、逃げ腰になってる場合じゃ…ないよな」
オレは天馬司…スターになる男…
オレならできる…大丈夫だ…
オレは一気にテーブルクロスを捲りあげた
司「…っ!」
途端に、錆びた鉄のような…なんとも言えない匂いが漂ってきた
目の奥がチクチクした痛みに堪えながら、
宵崎の死体にゆっくりと視線を移す。
超高校級の宵崎奏…
オレ達のリーダーとして、みんなを引っ張っていこうと頑張ってくれた…
司「それが…どうしてこんなことに…」
…………
死んだ宵崎のために、オレが今できることは…
司「…宵崎を殺した犯人を突き止めることだけだ…!」
司「…?なんだこれ…望遠鏡か…?」
類「あ…司くん、それは望遠鏡なんかじゃないよ」
司「む?じゃあこれはなんだ…?」
類「暗視スコープ…じゃないかな」
司「あ、暗視スコープ…?」
類「前にスーパーで見た気がするんだよね。あそこには防犯グッズも置いてたはずだから」
だとすると、犯人はこの暗視スコープを使って《《停電の中で》》宵崎を刺し殺した…って事か?
血塗れのナイフが落ちている…これが凶器になったのか?
だが…そもそも犯人は、どうやってナイフを大広間まで持ち込んだ?
宵崎はボディーチェックをしてたはずだ…旧館のあちこちだって調べ回った…
没収した危険物は、ジュラルミンケースに入れられてたはず…
司「ジュラルミンケースから持ち去ったか…」
司「それか、見つかりにくい場所に隠していたかだな」
それと…このナイフ、柄の部分に何か塗料が塗られているんだよな…
薄暗いテーブルの下で見ると、ぼんやり光ってるような気がするが…
司「もしかして…夜光塗料か?」
テーブルの裏に何か貼り付いてるな…
これ…ガムテープか?
しかも、ガムテープの表面にも夜光塗料が塗られているな…
…テーブルの下で、うつ伏せの状態で倒れている…
まるで、何かしようとしてる最中のような…そんな風に見えるが…
確か、モノクマファイルによると腹部から喉にかけて滅多刺しにされてるんだよな
…滅多刺し……
そんなこと…本当にオレ達の中の誰かがやったのか…?
宵崎の体の周りに血液の水溜りができている…
すごい量の血だな…テーブルクロスの内側にも、あちこちに血痕が飛び散っている…
きっと…刺された時にかなりの勢いで血がまき散ったんだろうな…
司「だが…血痕には引きずった跡はないみたいだ…」
えっと…テーブルの下は一通り調べ終わったはず…
あ…これ、宵崎が持ってたジュラルミンケースか?
いつの間にか開いているな…
中には警棒や防犯スプレー…防犯グッズばかりだ
……ん?
これ…硬いビニール製のケース…?だが、ケースだけで中身は空…
何が入っていたのか気になるな…
あとは……この小さな鍵だな
もう一つのジュラルミンケースの鍵のはず…
あっちのジュラルミンケースの鍵がここに残ったままということは…
宵崎が回収していた危険物が、現場で使われたとは考えられないな
つまり、あのジュラルミンケースの中の凶器は、宵崎の殺人に関係していない…
司「…それにしても、やはり全くわからんな…」
宵崎はどうしてこんなジュラルミンケースを持っていた?
どうしてこんなに警戒していた?
司「あいつは…何か知っていたのか…?」
司「だからここまで…念入りに警戒していたのか…?」
リモコンとセットになったエアコン…
……エアコン?
司「あ…もしかすると、あの時聞いた音は…」
停電直前に鳴った謎の音…
司「この大広間にある機械類と言ったら…このエアコンだけだ…」
司「タイマーも11時30分に設定されているな…」
司「宵崎の死亡時刻も同じくらいの時間帯だったはずだ」
司「だとすると…やはり…」
あの時聞いた機械音は、このエアコンの起動音だったんだな…
---
類「あ、司くん…ちょっといいかい?」
司「ん、なんだ?」
類「ここの捜査が一通り終わったなら、一緒に他のみんなの話を聞きに行かないかい?」
類「ほら、僕が1人で行くと警戒されて話してくれない人もいるだろうから…」
オレ達の中に犯人がいるとか言われたら…
まぁ、他の奴らを警戒するのも無理はないしな
司「あぁ、もちろんいいぞ」
類「よかった。それじゃあ行こうか」
証拠集め
類「とりあえず、他のみんなの話を聞きながらこの旧館の中を調べてみようか」
類「さっきの大広間だけじゃなく、この旧館全体を現場として考えたほうがいいと思うんだ」
類「だってあの時の停電は、この建物全体で起こった事だからね」
司「あぁ、そうだな…」
えむ「捜査は足を使うべしって、昔の偉人が言ってたような…」
えむ「だからあたしも、旧館の中を無駄に歩き回ってるんだー!」
無駄なら意味ないだろ、それ……
類「………ねぇ、司くん。ちょっと思ったんだけどさ…」
類「もしかして、えむくんには、停電の時の状況が分かってたんじゃないかな?」
司「オレもそう思っていたところだ…!」
えむ「なになにー?あたしの名前呼んだっ?」
類「やっぱり聞こえたんだね、今のだって随分小声だったのに…」
えむ「えへへっ、あたし耳いいんだっ!」
司「なぁえむ、お前なら、停電の時に何が起きていたのか聞こえていたんじゃないか?」
類「あの停電の時…大広間のあちこちからみんなの声が上がっていただろう?」
類「僕らには分からなかったけれど…えむくんなら聞き分けられていたんじゃないかな?」
えむ「朝飯前だよ!まかせて!」
えむ「うーんと、あの停電中に1番最初に声を上げたのは…」
えむ「そうだ!咲希ちゃんだったはずだよ!」
咲希「わわっ!?て、停電だ!」
で、次が寧々ちゃん、その次が遥ちゃんだった!
寧々「な、何も見えない…!」
遥「み、みんな落ち着いて!こういう時は落ち着かないと!」
それで、次々に声が上がって…それぞれこんな感じ!
奏「ねぇ…貴方何してるの…っ?」
奏「やめて…!」
類「いてっ!」
瑞希「だ、だれか電気付けてきてよ!」
穂波「みんな、どこにいるの…?て、停電って、厨房だけじゃないんですか…?」
愛莉「これ、ブレーカーが落ちたんじゃないの…?」
えむ「はーい!以上でしたー!」
類「………………」
司「類?どうしたんだ?」
類「いや…少し気になってね、暗闇で宵崎さんが発した声がさ…」
司「宵崎の声…?」
類「宵崎さんはどうして、あの暗闇であんな事を言ったのかな…」
類「というより、《《言えた》》のかな?」
類「貴方何してるの?とか、やめて、なんて…」
司「…どういう意味だ?」
類「うーん、それはもう少し捜査した後でもいいかな?」
類「今はまだ確かなことは言えないから…」
司「そうか…」
類「でも、今のえむくんの証言は、重要な手掛かりになるんじゃないかな?」
えむ「えっ!ほんと!?」
えむ「やったー!褒めて褒めて!」
司「わ、分かったからグイグイ来るな…!」
---
司「む…トイレに鍵が掛かっているな…」
類「誰かが入ってるみたいだね…男女兼用だから誰かはわからないけれど…」
司「ふむ…おーい!誰か入ってるか!?」
…………………
類「返答はない…みたいだね」
司「これじゃあどうしようもないな…後でまた見に来るか」
類「うん、そうだね」
---
司「ここが事務室か…」
類「この事務室には、旧館のブレーカーがあったはずだよ」
司「ブレーカーか…あの停電と何か関係してそうだな」
類「調べたほうがよさそうだね」
あれが旧館のブレーカーか…
きっと、あのブレーカーが落ちたから停電になったんだろうが…
類「仕掛けがあったような痕跡は見当たらないね。他に怪しいところもないし…」
司「そもそも、ブレーカーの位置が高すぎるよな。踏み台に手を伸ばしても届かないぞ」
杏「そうなんだよねー…だから不思議なんだよ…」
こはね「あの停電の時は焦っちゃって忘れてたんだけど、椅子とかの踏み台に乗っても届かないんだよね…」
こはね「だから、停電の後で、誰がどうやってブレーカーを戻したのかなって…」
モノクマ「ボクがやったんです!」
杏「わわわ!?で、出た!」
モノクマ「オマエラがあまりにも停電に無策だから、ボクがブレーカーを入れてあげたんだ!」
モノクマ「あ、ちなみにブレーカーを落としたのはボクじゃないよ」
司「だ、だが、オマエみたいな小さい奴が、 どうやってブレーカーを…」
モノクマ「まず、ボクの目は夜目が利くので、見ることには全く支障はありません」
モノクマ「で、どうやってブレーカー入れたのかというと…」
モノクマ「あのね、伸びるんだよ。ボクの胴体。伸縮自在なの」
杏「う、嘘に決まってるじゃん!」
モノクマ「本当だよ?見る?」
モノクマ「モノクマの胴が長いバージョン見る?キモイよ。グロいよ」
司「や、やめておく…想像しただけで気持ち悪いからな…」
モノクマ「あっそ…じゃ、またねー!」
杏「なんだったの…」
杏「というか!ブレーカー入れたのはあいつだったんだね!」
類「まぁ、それなら納得だよね。僕でも届かないんだから…」
だとしたら犯人は…どうやってブレーカーを落としたんだ?
自分で落としたわけでも仕掛けを使ったわけでもないとなると…
このリモコンは…事務室のエアコンのだな
ん…?
タイマーが…11時30分にセットされている…?
確か、大広間にあったエアコンのタイマーも、同じ時刻だったはずだ
司「偶然…なわけないよな」
絵名「…知ってるよ。私を疑ってるんでしょ?」
司「え…?」
絵名「無理もないよね…急に停電が起きて、その最中に奏が殺されちゃったんだもん…」
絵名「旧館のブレーカーはここにあるし…事務室にいたはずの私が怪しまれるのは当然だよね…」
杏「いた《《はず》》ってことは…やっぱり、絵名さんは事務室にいなかったんだね」
杏「…でも、なんで?」
杏「絵名さんはここで、ブレーカーとジュラルミンケースを見張ってたんじゃなかったの?」
杏「それなのに…勝手にどこ行ってたの?」
絵名「それは……」
絵名「…っ!!う…っ」
東雲さんは突然うめき声を上げると、その場に片膝をついてしまった
司「ど、どうした!?大丈夫か!?」
絵名「ご、ごめん…ちょっと体調悪くて…」
こはね「あ、どこ行くんですか…!?」
類「東雲さん、この旧館の方はさっきから誰か入ってるみたいでね…」
類「ホテルの本館やコテージの方をおすすめするよ」
絵名「あ、ありがと…」
東雲は額に汗を浮かべながら、ふらふらとした足取りで事務室を後にした
こはね「東雲さん…どうしたんだろ…」
類「うーん、僕からは少し言いづらいかな…東雲さんに悪いしね…」
む?どういう意味だ?
杏「それより…いいの?あの人逃げたんじゃ…」
杏「逃げたってことは犯人で決まりだよ!ほぼ間違いないって!」
こはね「あ、杏ちゃん…!すぐ疑っちゃだめだよ!」
杏「う…っ…ごめん…」
こはね「…大変な状況だし…仕方ないよね…私の方こそごめんね…」
東雲さんが…犯人…?
本当にそうなのか…?
杏「んー、やっぱり絵名さんが犯人としか思えない…」
杏「事務室にいなきゃいけなかったのに、勝手にどこか行ってたし…」
杏「私とこはねは停電後、宵崎さんの捜索の時にすぐに事務室に来たんだけど…」
こはね「その時には…もう東雲さんはいなかったよね…」
杏「うーーん…あの人がブレーカーを落として、その暗闇に乗じて宵崎さんを殺したとか…」
類「…可能性としては考えられるね」
このジュラルミンケースは…
宵崎が回収した危険物を保管しておくための物だったよな
類「念の為、中を確認しないかい?」
司「だが、鍵が掛かってるみたいだぞ?」
類「大広間に置いてあったもう一つのジュラルミンケースの中に、それらしき鍵があったよね?」
類「一応持ってきたんだ。開けてみようか」
司「か、勝手に持ってきてよかったのか…?」
類「現場を荒らすのは禁止だったけれど…そうでもしないと捜査できないからね」
カチャカチャ…
類「ほら、開いたよ」
フォークにナイフ、包丁、鉄串なんかが詰め込まれている…
司「だが…犯人がここから何かを持ち出したとは考えられないな」
類「あぁ。このケースを開けるための鍵は、宵崎さんが持っていたケースにあったからね」
類「さて…事務室はこれくらいでいいんじゃないかな」
司「他に調べるところもなさそうだしな…そろそろ他のところに行くか」
---
咲希「ねぇねぇ、あそこの壁だけ他の壁と色が違うみたいだけど…なんなんだろ?」
司「あぁ、《《防火扉》》だな」
咲希「あっ!学校で見たことあるかも!」
咲希「確か…火事の時に廊下を塞いで、延焼を防ぐんだよね!」
類「そうだね。どこの建物にもあると思うよ」
---
司「なぁ、望月って、あの停電の時も厨房にいたのか?」
穂波「はい…最初は厨房だけが停電になったのかと思って、なんとか廊下には出られたんですけど…」
穂波「廊下も真っ暗で、何も見えませんでした…」
穂波「みんなの声が聞こえた方に向かって、壁伝いでそっちに行ったんです…」
穂波「そしたら大広間も真っ暗で…とにかく真っ暗でしたね」
司「ふむ…そこのキッチンのコンロを使えば、明かりになったんじゃないか?」
穂波「あ…それは無理なんです」
穂波「このガスコンロは、電気で制御してるタイプなので、停電の影響をモロに受けてしまうんですよ」
司「そうか…それなら無理だな」
火が使える場所だから、厨房には明かりがあったのかと思ったが…
そう簡単にはいかないか…
厨房の備品リストにある危険物は、宵崎が全部回収してたよな
類「このリストを見る限りだと…」
類「宵崎さんの死体のそばに落ちていたナイフは、この厨房にあった物でもなさそうだね」
類「どうやら、外部から持ち込まれた物みたいだ」
司「外部から…って、犯人はどうやって宵崎のボディーチェックをかいくぐったんだ?」
類「おかしいよね、誰に対してもボディーチェックは行われていたはずなのに…」
だとすると、前もって持ち込んでいた物をどこかに隠していたか…
類「それにしても、ここの備品の充実っぷりには驚いたよ」
類「BBQ用の鉄板に、鍋用のカセットコンロまで…」
司「む…だが、事件とは関係なさそうなものばかりだな」
司「どうでもいいんじゃないか?」
類「まぁ、それもそうだね」
---
ここが倉庫…
埃っぽくて…薄暗い倉庫だな
司「蜘蛛の巣まで張ってるな…とても長居できる環境じゃなさそうだ」
類「…………………」
司「なんだ?大きな布が乱雑に突っ込まれてるな…」
類「テーブルクロスじゃないかな?」
司「そうか、テーブルクロスか…って、ん…?」
司「このテーブルクロス…血痕が付いてるぞ!?」
類「え、血痕?」
司「よ、よく見ろ!」
類「うーん…暗くてよく見えないよ」
司「とにかく!間違いないんだ!これは明らかに血痕だぞ!」
司「ということは、このテーブルクロスも宵崎の殺人に関わってると考えられるよな!?」
類「もしそのテーブルクロスに血痕が付着していたら、その可能性もあるかもしれないね」
司「だから、付いてるんだって!」
これって…アイロンか?
電源はついてないみたいだが…なぜアイロンが3台も置いてあるんだ?
類「停電直後、宵崎さんを捜してる時に僕も見つけたんだ」
類「その時は、3台とも電源が入ったままだったよ」
司「え、電源が入っていたのか…?」
類「あぁ。また停電になるとまずいから切っておいたんだけど…なんだか、作為的なものを感じるよね」
こいつは凄い荷物の量だな…
類「流石にこれを一つ一つ調べてる時間は無さそうだね…」
司「後回しにするか…」
類「ねぇ司くん。いつまでもこんな薄汚い場所で時間を潰してる暇はないし…」
司「む?あぁそうだな…そろそろ出るか」
---
類「これで旧館も一通り調べ終わったみたいだね…」
類「だったらどうかな。一緒に宵崎さんのコテージに行かないかい?」
司「宵崎のコテージ…?」
類「何か手掛かりがあるかもしれないし、一応見ておいたほうがいいと思ったんだ」
類「ただ…一人で行って、危険と鉢合わせになるのが怖くてね」
司「別にいいが…その危険ってのがオレだっていう可能性は心配しないのか?」
類「司くんが犯人だと考えないのか…ってことかい?」
類「正直、全く考えてないんだ。というより、考えられないんだよね」
類「というより…人を疑って生き延びるなら、人を信じて殺されるほうがまだマシだよ」
司「やめろ…殺されたほうがマシだなんて…そんなこと言うなよ…」
司「オレ達は生き延びるためにやっているんだぞ?」
類「……流石司くんだね…やっぱり君は強いよ」
類「さて、それじゃあ行こうか」
司「あ、あぁ…」
なんか…こいつと話してると気が狂うな…
脅迫文
オレと類が旧館を出た時、驚くべき光景を目の当たりにした
司「冬弥と…花里?」
みのり「あ、司さん!」
珍しい組み合わせだな…
2人ともじっと目を凝らして何かを見ている…
司「…何やってるんだ?」
冬弥「外から床下に入れないか調べているんですよ」
司「床下に…?」
冬弥「床下に入れるかどうかによって、事件の真相は大きく変わる…気がするんです」
類「なるほど…その考えは無かったよ。流石だね」
司「…?どういうことだ?」
類「ほら、思い出してごらん」
類「宵崎さんの死体があったテーブルの下には、床に敷いた絨毯が届いていなかったよね?」
類「それに、あの大広間の床は、木と木の隙間がかなり開いていたはずだよ」
司「ならば…犯人は床下から宵崎を刺し殺した可能性もあるってことか?」
みのり「でも、ここからじゃ頑張っても入れないんです…頑丈な柵が邪魔してて…」
類「かといって、旧館からも無理だよね。床下に入れる場所なんてなかったし…」
司「だが、どこかに隠し穴があった可能性も…」
類「いや、それはないよ」
司「そ、そうか?」
類「とにかく、外から床下には入れないんだね。それを聞いてホッとしたよ」
司「ホッとした…?どういうことだ?」
類「外から床下に入れてしまったら、その時点で容疑者は1人になるだろう?」
司「む?」
類「パーティーに参加していなくて、その間のアリバイもない人物…」
司「…そうか!彰人だな?」
冬弥「実は…俺もそれを疑っていました…」
冬弥「…と言うのも、俺が見張りをしていた時、一度だけ彰人がここに来たんです」
司「彰人が…?」
---
冬弥「…ん?彰人?こんなところで何してるんだ?」
彰人「うぉ…っお、お前こそここで何してるんだよ…」
冬弥「俺はモノクマが入ってこないように見張りをしている」
彰人「そうか……」
冬弥「…彰人はパーティーには参加しないのか?」
彰人「はっ…こんな状況で仲良しこよしのパーティーなんて、参加するわけねーだろ」
冬弥「ふむ…本当は彰人も参加したいんじゃないのか?だからここに来た…とか」
彰人「は!?ん、んなわけねーだろ…!散歩してるだけだっつーの…」
彰人「それとも、何をするにも誰かに報告しなきゃいけねーのか?」
冬弥「いや、そう言うわけではないが…」
彰人「と、とにかく、俺はもうコテージに戻るからな」
---
司「そんなことがあったのか…」
類「彼がどうしてここに来たのか…理由は分からないけれど、疑う理由はもうないみたいだね」
類「さてと…そろそろ宵崎のコテージに向かおうか」
彰人「…なんすか?」
司「彰人…モノクマの放送は聞こえたか?」
彰人「聞いたに決まってますよ…殺されたのは宵崎さんらしいっすね」
彰人「…もしかして、俺を疑ってるんですか?」
司「い、いや、そう言うわけではないぞ…!」
司「オレ達がパーティーをしている時に、何をしていたのか教えて欲しいだけだ!」
彰人「アリバイ確認か…」
彰人「何もしてないっすよ。ずっとコテージでくつろいでただけです」
司「ずっと…?」
司「だが、冬弥が旧館の前で彰人に会ったと言っていたぞ?」
彰人「…確かに、少し散歩はしましたね、その時たまたま旧館の前を通ったんですよ」
司「そうか…ありがとな」
彰人「……っす」
---
ガチャガチャ…!
司「む?鍵が掛かってるみたいだな…」
類「こういう時は…」
類「おーい、モノクマー!」
モノクマ「はいはい!呼びましたか?」
司「お、お前…いつからモノクマを飼い慣らしたんだ…?」
類「君にお願いがあるんだ。少し調べたいことがあってね…」
モノクマ「おやおや、どこに向かって話しているのかな?そちらは残像ですぞ…」
モノクマ「くっくっく…ボクが本気を出せば、残像だって生み出せるんだ!」
モノクマ「これならサッカーも1人でできる!」
モノクマ「まぁ、1人でやるサッカーなんてつまんないけどね!」
司「いいから、早く宵崎のコテージの鍵を開けてくれ…」
類「これは、今後の学級裁判でも必要なことなんだ。頼めるかい?」
モノクマ「学級裁判に…必要?」
モノクマ「ふむ、学級裁判に必要とあれば断る訳にもいきますまい」
モノクマ「では、扉を開ける呪文を…」
モノクマ「ぱっ、ぱっ、ぱるす!」
カチャ…
モノクマ「ほら、開いたよ!あとはオマエラの自由に調べるといいさ!」
なんで呪文で開くんだ…
司「…とりあえず、中に入るか」
---
テーブルの上に、封筒のようなものが置いてあるな…
司「誰かが、宵崎に宛てた手紙か?」
類「差出人の名前はない…これは怪しいね…」
類「中身を確認したほうがよさそうだよ」
司「あぁ、そうだな…えっと…」
--- 警戒せよ。今晩最初のコロシアイが起きる ---
--- 必ず誰かが誰かを殺す ---
司「…は?」
類「これ…犯罪予告?」
類「いや、《《警戒せよ》》ってことはむしろ脅迫文かもしれないね…」
司「だ、誰がこんなものを…!?」
類「そうか…もしかして、宵崎さんが急にパーティーをすると言い出したのは、これが原因だったのかもしれない…」
司「え…?」
類「今晩最初のコロシアイが起きる……彼女は、そんな脅迫を受けたからこそ…」
類「みんなを一ヶ所に集めたり、やたらと危険物を気にしていたんじゃないのかな?」
司「…あいつは、こんな訳のわからない手紙を信じたってことか?」
類「万が一だとしても、彼女はその可能性を見過ごすことはできなかったんだよ」
類「宵崎さんは、1人も犠牲者を出させない…そう言っていただろう?」
司「その約束を守るために…万が一の可能性でも見過ごさなかった…?」
司「そんなことなら…オレ達に相談してくれればよかっただろ…」
類「できなかったんだろうね…それもまた、万が一の事を考えてさ」
類「この手紙の内容がみんなに伝わってしまえば、それが嘘だろうと本当だろうと…」
類「僕達は疑心暗鬼になって、それこそ取り返しのつかないことになる…」
司「だから宵崎は…1人でなんとかしようと…」
類「彼女の責任感の強さからして、そうとしか考えられないよね」
司「……………」
司「と、とにかく…この手紙を送りつけた奴が犯人って事でいいんだな?」
類「いや、これはただのいたずらで…宵崎さんの死に本当に関係しているとは限らないし…」
ん…なんだ?急に歯切れが悪くなったな
あぁ、そうか…類は、オレ達の中に犯人がいるなんて信じたくないんだな
だが、ここまで来たらそうとしか考えらないはずだ…
この手紙を書いた奴が、宵崎を殺した犯人なんだ
だとするとそいつは…
宵崎の考えを完全に先回りし、あいつに手紙を送ったという事だな…
類「司くん、学級裁判までの時間は、もうあまり残されていないはずだよ」
司「…そう、だな」
類「………………」
類「あっ、そういえば、司くんは日野森さんに何か頼み事をしていたよね?」
司「あぁ、停電直前の皆の立ち位置を割り出してもらおうと思ってな…」
司「そろそろ終わった頃かもしれないな。お前も来るだろ?」
類「………………」
類「すまないけど、そっちは君に任せるよ」
司「えっ?」
類「少し自分の考えをまとめたくてね。1人の時間が欲しいんだ」
司「そ、そうか…」
類「あ、それと、旧館に戻るなら朝比奈さんの話も聞いたほうがいいかもしれないね」
類「彼女の検死も、ある程度結果が出ている頃だと思うよ」
類「それじゃあ…また後で」
…………?
あいつ、青白い顔をしていたような…大丈夫なのか?
司「とりあえず、旧館に行くか…」
---
雫「あっ、司くん!」
司「どうだ?何か分かったか?」
雫「うん…」
司「む…?どうしたんだ…?」
雫「ええと、これを見てほしいの…」
雫「停電直前に撮った2枚の写真から、みんなの立ち位置を割り出してみたんだけど…」
雫「そうしたら、こんな図になったの」
司「これが皆の立ち位置…当たり前だが、大広間に集中しているな」
雫「あの写真を見て作った図だから、間違いないと思うわ!」
やはり、宵崎が立っていた位置は、あのテーブルからかなりの距離があるんだな
とてもじゃないが、あの暗闇を移動できる距離ではない…
司「…む?これはなんだ?宵崎が殺されたテーブルから伸びてる線は…」
雫「それは卓上ランプの電源コードよ〜、念の為書いておいたの!」
卓上ランプの電源コード…?
そのコードが宵崎が殺されていたテーブルから伸びてるということは…
雫「どうかしら…何か分かった?」
司「うーーーむ……まだはっきりした事は…」
雫「私もよ…自分で書いたのに分からなくって…」
雫「手掛かりになりそうな気もするけど…無駄な労力だった気もして…」
司「いや、それはあり得ないぞ!」
雫「え…?」
司「まだはっきりとは分からんが、ここに手掛かりが隠されているのは間違いないはずだ!」
雫「…ありがとう、司くん!」
司「あぁ!」
司「朝比奈さん、少し話を聞きたいんだが…いいか?」
まふゆ「うん、大丈夫だよ」
司「検死の結果を教えてもらいたくてな…」
まふゆ「わかった。えっと…できる範囲で奏の死体を調べてみたんだけど…」
まふゆ「奏の胸や腹部には、無数の刺し傷があって…」
まふゆ「その傷が、肺や内臓にも達してて…」
まふゆ「おそらく、直径5ミリくらいの…細くて鋭利な何かで…」
まふゆ「何度も何度も刺されたんだと…思うよ」
まふゆ「……………」
司「朝比奈…?大丈夫か?」
まふゆ「あ…その…話してるうちにちょっと…」
司「無理はしなくていいぞ、話の内容は大体分かったからな」
まふゆ「…ありがとう、心配かけちゃってごめんね」
それにしても、直径5ミリとは…
かなり細いよな、アイスピックや千枚通しレベルの…
冬弥「ふむ…やっぱり、旧館の中からも床下に入れるところはないみたいです…」
類の言う通りか…
とすると、花里の髪飾りはもう諦めるしかなさそうだな
---
咲希「あっ!トイレが開くようになってる!」
司「む?咲希と一歌か」
司「そういえば…パーティー開始直後から、誰かがトイレを使ってたって…」
一歌「確か…朝比奈さんが言ってましたよね」
咲希「結局停電の後も、ずっと鍵が掛かってて開かなかったんだよね…」
咲希「それで、やっと開放されたのは…宵崎さんの死体が発見された後だったかな?」
一歌「うーん、誰が入ってたんだろうね…」
---
キーンコーンカーンコーン…
モノクマ「はーい!時間でーす!そうです!学級裁判の時間です!」
モノクマ「では、集合場所をお知らせいたします…」
モノクマ「ジャバウォック諸島の中央にある島に、愛らしいボクの顔が彫り込まれた岩山があります」
モノクマ「その名も、《《モノクマロック》》でーす!」
モノクマ「そこに隠された秘密の入り口から、エレベーターで地下へとお進みください!」
モノクマ「うぷぷ、じゃあまた後でねー!」
---
中央の島にある、モノクマの顔が彫り込まれた岩山…?
…行くしか、ないよな
絶対に犯人を突き止めてみせる…
生き残るために…やるしかないんだ…!
学級裁判 開廷
杏「……えっ?」
杏「な、なに!?あの岩山!いつの間にあんなのできたの!?」
むしろ、モノクマを型どった岩山なんて…どうやって作ったんだ?
寧々「やっぱり、本当かもしれないね…」
寧々「このコロシアイには、巨大な組織が関わっている…って話」
咲希「は、遥ちゃんが言ってたやつだよね…」
遥「予想してた通りだよ…これを見て、更にその可能性が高くなったね…」
冬弥「ところで…彰人と花里はどうしたんだ?」
まふゆ「そういえば…まだ来てないみたいだけど…」
モノクマ「大丈夫大丈夫!ボクが連れてきたから!」
彰人「おいっ!離せっつってんだろ!」
モノクマ「こらこら、そんなに暴れると、うっかり食い散らかしてしまいますよ」
絵名「ちょっと彰人!今まで何やってたのよ!?」
彰人「…何もしてねーよ」
彰人「部屋でくつろいでたら、いきなり宵崎さんが死んだって聞かされて…」
彰人「俺には関係ねーだろ。んなもん知るか…」
絵名「なんでそんな事言えるのよ…」
杏「そ、そうだよ!みんな嫌だけど頑張ってたんだよ!?生きるためにやってたのに…!」
瑞希「ちょっとちょっと!みんな一旦落ち着こうよ!」
彰人「…チッ」
愛莉「それで、後はみのりだけだけど…」
みのり「ご、ごめんね!ちょっと遅れちゃった!」
司「…ん?」
類「…司くんも気付いたみたいだね」
みのり「えへへっ、回収できてよかったぁ…」
気付いた…って事は、やっぱりそうなんだな…
モノクマ「さてと、これで全員揃ったみたいだし…」
モノクマ「それでは、秘密の入り口から裁判場に向かいましょうか」
モノミ「ちょ、ちょっと待ってくだちゃーい!」
モノクマ「おやモノミちゃん。何しに来たの?誰も呼んでないけど?」
モノミ「あ、あちし…あちしは……っ!」
モノクマ「ん?もしかしてオマエも参加したいの?」
モノクマ「学級裁判で自分の無力さを味わいたいとは、とんだドMマスコットも居たもんだね…」
モノクマ「ま、いいでしょう!妹想いの優しいお兄ちゃんが、特別に参加を許可します!」
モノミ「…………………」
モノクマ「それじゃあ、ボクは先に行ってるから、早く来てねー!」
モノミ「…………」
穂波「来てって言われても…どこから行けばいいんですかね…?」
こはね「ドアも乗り物も…見当たらないよね…」
愛莉「さっき、秘密の入り口…とか言ってたわよね…」
秘密の入り口…?
ゴゴゴゴゴ…!!
司「な、なんだ!?何か揺れてるぞ…!?」
モノミ「な、なんか危険でちゅ!ミナサン伏せてくだちゃーい!」
えむ「わわっ!?エスカレーターが出てきたよ!?」
絵名「あ、あそこから入れって言うの…?」
瑞希「あからさまに怪しいね…!」
杏「もう勘弁してよ…」
穂波「も、もう嫌ですよ…というか、そもそも…」
穂波「無理ですよぉ!犯人当てなんて無理なんですってぇ…!」
志歩「よ、弱音吐いたって仕方ないでしょ…」
志歩「ここまで来たら…覚悟を決めて行くしかないって…」
司「あぁ、もうどこにも逃げられないんだ…」
司「だったら…行くしかないよな…」
オレは恐怖と緊張に震える足を動かし、エスカレーターへと乗り込んだ
もう何も考えない…
考えたら、逃げ出してしまいそうだった…
そして、全員がモノクマロックへと入ったところで…
一歌「これ…エレベーター?」
冬弥「あの岩が丸ごとエレベーターになっていたみたいですね…」
瑞希「それにしても、こんな物までわざわざ作るなんて、どこまでふざけてるんだろ…」
咲希「…やたら深くまで潜るんだね…」
司「………………」
しばらくしたところで、エレベーターは止まった
そして、扉がゆっくり開くと…
モノクマ「はーい!いらっしゃーい!」
モノクマ「どう?ここが学級裁判場だよ!オマエラの命運を決めるスペシャルな場所だよ!」
彰人「ざけんな!!人をこんな悪趣味な場所に閉じ込めやがって…!」
モノクマ「うぷぷ…いいよ、なんとでも言っていいよ。ボクはクレームや文句には慣れっこだからね!」
モノクマ「ほらほら、早く自分の名前が書かれた席にどうぞ!」
…これからオレ達は、宵崎を殺した犯人を見つけなければならない
超高校級の作曲家…宵崎奏
責任感がとても強かった
みんなのリーダーとして、頑張って引っ張ってくれていた
そんなあいつが…
殺された
犯人は…この中にいる…?
信じられない。そんなの信じたくない
だが、もし本当だとしたら…
何がなんでも突き止めなければならない…
それしか方法はないんだ
ここで犯人を犠牲にする以外に、オレ達が生き延びる方法はないんだ
そして始まる
《《希望》》と《《絶望》》が大きく渦巻く命懸けの学級裁判が…
始まる。
---
モノクマ「では、最初に学級裁判の簡単な説明をしておきましょう」
モノクマ「学級裁判では、『誰が犯人か?』を議論し、その結果は、オマエラの投票により決定されます」
モノクマ「正しいクロを指摘できれば、クロだけがおしおき。もし間違った人物をクロとした場合は…」
モノクマ「クロ以外の全員がおしおきされ、生き残ったクロだけに、この島から出る権利を与えます!」
モノミ「な、なんて残酷なルールなんでちゅか!」
類「始める前に聞きたいんだけれど…本当にこの中に犯人がいるんだね?」
モノクマ「もちろんやで…人殺しのクロは間違いなく、オマエラの中に潜んでるんやで…」
モノクマ「悲しい色やね」
モノクマ「ちなみに、学級裁判は100%公平に行われるから、安心してください」
モノクマ「ボクって、贔屓とか不正が、モノミの次に嫌いなんだよね」
モノミ「あちしのことそんなに嫌いなんだ!」
モノクマ「それでは早速始めましょーう!」
こはね「始めろって言われても…どうしたらいいのかなぁ…?」
彰人「…宵崎さんは大広間まで殺されてたんだろ?だったら、怪しいのはそこにいた奴らじゃねーか」
絵名「はいはい、自分は犯人じゃないって言いたいわけね」
彰人「当たり前だ。俺には関係ねぇからな」
絵名「はぁ?何それ?」
瑞希「と、とりあえずさ!まずは気になってることを話し合ってみない?」
志歩「気になってること…?」
遥「それなら、死体が見つかった場所が気になるかも…」
寧々「確かに、死体がテーブルの下から見つかるなんて変だよね…」
冬弥「それじゃあ、その謎から行ってみましょうか」
宵崎の死体がテーブルの下で見つかった理由…
そこから、最終的には犯人を突き止めなければいけない
…ここでやらないと…オレ達は終わる…
絶対に、真実を暴いてみせる…!
---
遥「どうして宵崎さんの死体はあんなところにあったのかな…?」
こはね「大広間の1番奥のテーブル…しかも、テーブルの下だったよね」
杏「犯人が宵崎さんを殺した後…」
杏「死体を移動させたんじゃない?」
司「待ってくれ白石…犯人が死体を移動させたとは考えられないんじゃないか?」
杏「えっ?どうしてですか…?」
類「死体が見つかったテーブルの下の状況を思い出してほしいんだけどね…」
類「あそこには大量の血痕があったけれど、死体を引きずったような跡は無かったんだ」
愛莉「だから犯人は死体を移動させたとは考えられない…なるほどね!」
杏「うーん、いい考えだと思ったんだけどなぁ…」
瑞希「でもさ、犯人が運んだわけじゃないなら…なんで死体がテーブルの下にあったの?」
司「多分…テーブルの下で殺されたからだ」
志歩「え、殺人がテーブルの下で起きたって事…?」
類「宵崎さんはなんらかの理由でテーブルの下に潜り、そこで犯人によって殺されてしまった…」
類「その結果、テーブルの下に彼女の死体だけが残されることになったんじゃないかな?」
まふゆ「話の筋は通ってると思うけど…奏は何のためにテーブルの下に潜ったの?」
えむ「うーーん…停電が起きて、慌ててテーブルの下に潜ったのかなぁ?」
寧々「地震じゃないんだから…それにテーブルの下に潜っても、結局暗いままだし…」
類「その理由は…多分、パーティー中の宵崎さんの行動に関係していると思うよ」
宵崎がテーブルの下に潜った理由か…
パーティー中のあいつの行動に関係しているとなると、
多分、あれのせいだ…
司「おそらく…テーブルの下に落ちていたナイフが関係してるはずだ」
杏「ナイフって…あのいかにも凶器でーすって感じのやつですか?」
司「きっと宵崎は、あそこにナイフが隠されていることに気付いて…」
司「そのナイフを回収するために、わざわざテーブルの下に潜ったんだ」
みのり「危険物に敏感だった奏ちゃんなら、その可能性はあると思うけど…」
みのり「でも、なんでテーブルの下にナイフがあるって気付いたのかな…?」
雫「事前に知っていたら、停電前に何とかしてるはずよね…」
冬弥「だったら…事前に知ってたわけじゃなく、その場で目撃した…というのは考えられませんか?」
冬弥「例えば、誰かがテーブルの下に隠したナイフを取り出そうとしているのを見かけて…」
咲希「いや、それはあり得ないよっ!」
寧々「随分と言い切るね…?」
咲希「とーぜんだよ!根拠もあるからね!」
咲希「宵崎さんがテーブルの下に潜ったのは、停電中の出来事だったはず…!」
遥「それは間違いないね」
志歩「ってことは、宵崎さんはあの暗闇の中で…」
志歩「ナイフを取る犯人を目撃したの?」
瑞希「でも、停電中は真っ暗だったんだよ?」
咲希「暗くて見えないのは宵崎さんも同じ…」
咲希「犯人を目撃したとは考えられないんだよ!」
司「それは違うぞ!」
司「きっと…宵崎だけには見えていたんだ」
咲希「え…?なんで宵崎さんだけには見えるの…?」
司「テーブルの下に落ちていた暗視スコープだ。あれを使えば、暗闇でも状況が把握できるだろ?」
咲希「じゃあ…あの暗視スコープを使ったのは宵崎さんだったの?」
司「あぁ。そうなるな」
愛莉「いや、それは違うでしょ!逆よ逆!」
司「ぎゃ、逆…?」
愛莉「だから、その暗視スコープを使ったのは宵崎さんじゃなくて、犯人の方だって言ってるのよ!」
愛莉「常識的に考えて、その暗視スコープを使ったのは…」
愛莉「宵崎さんじゃなくて犯人の方でしょ?」
愛莉「絶対そうに決まってるわ!」
司「では…犯人が使った根拠はなんだ?」
愛莉「だって暗視スコープを使えば、暗闇の中でも宵崎さんを殺せるじゃない!」
愛莉「あれは最初からその為に…」
愛莉「犯人が現場に持ち込んだのよ!」
司「それは違うぞ!!」
司「あの暗視スコープを持ち込んだのは、間違いなく殺された宵崎だったはずだ!」
愛莉「ま、間違いないって…どうして…?」
司「宵崎がパーティー中ずっと持っていたジュラルミンケースの中に…」
司「暗視スコープを収納する為のケースが入っていたんだ」
瑞希「つまり、暗視スコープはジュラルミンケースに入れて持ち込まれたと推測できる…」
瑞希「あははっ!推測だって!ボクらしからぬ賢いフレーズが出たよ〜♪」
司「それに、停電中にジュラルミンケースの中から、暗視スコープを取り出すなんて…」
司「そんな事できるのは、ケースを持っていた宵崎以外に考えられないだろ?」
愛莉「そうね…言われてみればそうかもしれないわ…」
愛莉「ごめんなさい天馬くん。みんなも…混乱させちゃったわよね」
遥「大丈夫だよ、愛莉。少しでも気になったら、自分から発言した方がいいしね」
穂波「えっと…だったら、あのナイフジュラルミンケースに入れて持ち運ばれたかもしれませんね…」
穂波「暗視スコープがあったなら、ナイフくらい入っていてもおかしくないですし…」
冬弥「いや…おかしいですよ」
穂波「えっ?」
暗視スコープと同じように…ナイフはジュラルミンケースに入れて持ち込まれた?
いや、それはあり得ないはずだ
ナイフはパーティー前から大広間に隠してあったんだ
そう考えられる根拠もあるはずだ
司「そうだ…死体が見つかったテーブルの裏に、ガムテープが残っていたな…」
穂波「ガムテープ…?」
司「きっと、あれでテーブルの裏にナイフを貼り付け…そうやって、ナイフを隠して置いたんだろうな」
まふゆ「それであんなところにガムテープが残ってたんだね…」
一歌「あれだけ念入りに警戒してた宵崎さんでも、流石にテーブルの裏までは気付けなかった…」
絵名「ちょっと話が逸れるんだけど…なんで奏はあんなに警戒してたの?そんなに用心深かったっけ…?」
絵名「ジュラルミンケースに防犯グッズとか警備用品とか入れて…暗視スコープまで持ち込んでたなんて…」
こはね「た、確かに念の為にしてはやりすぎな気が…」
愛莉「それを言ったら…危険物の没収だってそうよね」
類「きっと、彼女には分かっていたんだろうね…誰かが殺人を起こそうとしてるって事が…」
みのり「さ、殺人を予知してたの!?」
類「司くんも…そう思うよね?」
そうだ…きっと宵崎には分かっていたんだ…
殺人が起きる可能性があるという事が…
司「…なぁ、これを見てくれないか?」
『警戒せよ 今晩最初のコロシアイが起きる 必ず誰かが誰かを殺す』
彰人「おい…これはなんだよ…?」
類「宵崎さんのコテージにあったのを、僕と司くんで見つけたんだ」
司「おそらく、誰かが宵崎に宛てた脅迫文だ」
寧々「だ、誰かって誰…?」
志歩「こんな頭悪そうな脅迫文、モノクマ以外誰も書かないでしょ…」
モノクマ「ボクじゃありませんよ!」
モノミ「…ほんとでちゅか?」
モノクマ「ボクがつくのは、優しい嘘だけだもん!」
モノミ「それが嘘じゃないでちゅか!」
遥「誰が書いたはともかく…宵崎さんはこの脅迫文のせいで、警戒をしてたんだね?」
類「きっと、彼女がパーティーを開くなんて言い出したのも、この手紙のせいだろう…」
雫「どういうことかしら…?」
類「彼女はみんなを一ヶ所に集める事で、互いに監視し合う状況を作ろうとしたんだ」
類「そうする事で…殺人予告した人物を、身動き取れない状況に追い込もうとした…と言う事だよ」
穂波「だけど…こんな手紙なんて、ただのいたずらかもしれないのに…」
類「それでも、『1人も犠牲者を出さない』と宣言した以上は、放っておけない…」
類「そんな強い責任感が…彼女にこの脅迫を信じ込ませてしまったんだよ」
絵名「そんな…こんな手紙を受け取ってたなら…私達に相談してくれればよかったのに…!!」
類「そんなことをしたら、僕らは混乱状態になる…きっと、宵崎さんもそれが分かっていた…」
こはね「それで…誰にも言えずに、1人で何とかしようと…?」
杏「そ、その手紙を書いた人は…誰なの…っ?」
愛莉「それは…もちろん犯人だろうけど…」
咲希「もー!いい加減名乗り出てきてよ!」
志歩「ここで出てくるくらいなら最初から人なんて殺してないってば…」
寧々「ね、ねぇ、ちょっといい、かな…?」
えむ「どうしたのっ?寧々ちゃん!」
寧々「話が戻るんだけど…さっきの暗視スコープの話で、気になる事があって…」
寧々「暗視スコープを使ってたのが宵崎さんなら、犯人はあの暗闇をどうやって攻略したのかな…って…」
穂波「確かに…暗視スコープ無しじゃ何も見えませんよね」
穂波「でも、それだとテーブルの裏のナイフは取れませんし…宵崎さんがそれを目撃することもできないですよね…」
瑞希「目印を使うにしても、あの暗闇ではその目印すら見えないからね…」
司「いや…目印に使えるものならあったはずだ」
寧々「え、そうなの…?」
司「夜光塗料だ。あれなら暗闇の中でもナイフを取る事ができるぞ?」
司「実際、テーブルの下に落ちていたナイフにも…」
司「テーブルの裏に貼ってあったガムテープにも、夜光塗料が塗られていたよな?」
こはね「それって…犯人があらかじめ塗ってたんですか…?」
雫「けれど、夜光塗料を塗っておくなんて…まるで、停電になるのが分かっていたみたいよね?」
冬弥「実際分かっていたんですよ。だからこそ、夜光塗料を目印に使ったんでしょうね」
瑞希「ってことは、停電を仕掛けた人が犯人だね!」
杏「だったら決まりだよ!犯人はブレーカーがあった事務室にいた人…」
杏「つまりあなただよ!東雲絵名さん!」
絵名「あ、怪しいのは分かるけど…私は犯人じゃないから!」
えむ「犯人じゃないってー!」
杏「そんな簡単に信じてどうするの!?」
まふゆ「でも、事務室のブレーカーには、絵名じゃ背が届かないと思うけど…」
杏「そ、そんな小さなことはいいんですよ!」
杏「とにかく、絵名さんがブレーカーを落として停電にしたんだよ!」
絵名「それは…無理なんだよ…」
志歩「…なんで無理なんですか?」
絵名「私は事務室にいなかったの…」
絵名「停電前からずっとね…」
司「オレは東雲さんに賛成だ!信じていいと思うぞ!」
杏「え、な、なんで!?」
司「朝比奈さんの証言がアリバイになるんだ!」
まふゆ「えっ?」
司「ほら、捜査の時に言ってただろ?」
一歌「あ…そういえばそうでしたね…!」
まふゆ「確かに…あのトイレはパーティーが始まった直後から、ずっと誰かが使ってたけど…」
咲希「ようやく開放されたのは、宵崎さんの死体が発見された後だったね!」
まふゆ「あ…もしかして、その時トイレに入ってたのって…」
絵名「…私だよ」
杏「なんだぁ…そうだったんだ…」
杏「その…ごめんなさい…ちゃんと考えて発言すれば…」
絵名「い、いいんだよ!それより、この話題はやめにしない…?」
瑞希「でも、随分長くトイレにいたんだね?お腹でも壊したの?」
絵名「事務室に入った直後に、お腹がすごく痛くなって…」
絵名「そのせいで、トイレから動けなくなったの…停電の時も…」
彰人「…なぁ、その腹痛ってのは偶然なのか?」
志歩「何?急に…まともに捜査してないのにいきなり口出ししないでくれる?」
彰人「…別にいいだろ。気になったから言っただけだ」
みのり「え、えっと…偶然ってどういう意味ですか…?」
彰人「だから…誰かが下剤を盛ったとかは考えられねーのかって事だよ」
寧々「げ、下剤…?」
彰人「そうやって、絵名を事務室から追い払った隙に、誰かがブレーカーを落としたんじゃねーか?」
東雲さんの腹痛は偶然か、それとも誰かが故意に引き起こしたものなのか…
その答え次第では…話の展開が大きく変わりそうだ…
電源コード
彰人「なんか妙なモンは口にしなかったか?」
絵名「特に心当たりはないけど…」
瑞希「そういえば…絵名は事務室に料理を持って行ったよね?」
絵名「う、うん…会場の料理を適当に…」
彰人「そこに下剤が入ってたんじゃねーか?」
愛莉「それだったら、料理を作った望月さんが怪しいけど…」
穂波「え、えええ!?私はそんなことしませんよ!」
穂波「せっかくの味が台無しになっちゃいますし…!」
司「…いや、下剤を入れたとは考えられないはずだぞ」
司「あそこにあった料理を食ったのは東雲さんだけではない…暁山やえむだって食べていただろ?」
寧々「そっか、料理に下剤が仕込んであったら…お腹を壊したのは東雲さんだけじゃないはずだよね」
えむ「あたしはピンピンしてるよっ!」
瑞希「ボクも元気だよー!」
穂波「だ、だから言ったじゃないですかぁ…!」
絵名「騒がせちゃってごめんね…」
彰人「……俺の方こそ、言いがかりつけちまって悪かったな」
こはね「じゃあ、東雲さんの腹痛は偶然ってことで…停電の件に話を戻そっか…」
殺人が停電の最中に起きた以上、あの停電の謎が重要なのは間違いない…
だったら、あの停電がどうして起きたのかを…ハッキリさせるぞ…
一歌「誰がどうやってブレーカーを落としたのか…」
えむ「石でも投げて当てたのかなー?」
咲希「ラジコンとか使ったんじゃない?」
みのり「きっとブレーカーに仕掛けがあったんだよ!」
まふゆ「ブレーカーに限らず、送電所とか送電線に細工した可能性もあるよね…」
杏「単純に電気の使いすぎじゃないの?」
司「白石の言う通りだ…あの停電は、《《電気の使いすぎ》》が原因だったんだ」
司「もちろん偶然ではない…誰かがそれを、意図的に引き起こしたんだ」
類「その為に使われたのが、倉庫で仕掛けられた3台のアイロンって訳だね」
司「停電後に類が見つけた時は、まだ電源が入ったままだったんだよな?」
杏「なるほど!倉庫で何台もアイロンを使って、わざと電気の使いすぎの状態にしたんだね!」
司「あぁ、犯人はそうやってあの停電を…」
えむ「ちょっと待ったーー!!!」
司「え、えむ!?」
えむ「倉庫のアイロンが停電の引き金…それはおかしいよっ!」
えむ「そのアイロンが原因なら、犯人は電源を入れる為に…」
えむ「わざわざ倉庫に行ったってこと?」
えむ「じゃあ、停電が起きた時に大広間にいた人達は…」
えむ「容疑から外していいって事だよね!」
司「いや、大広間にいた者も…まだ容疑が外れたわけではないぞ!」
えむ「大広間にいた人に停電を起こすことはできないよ!」
えむ「アイロンが停電の引き金なら…」
司「待て!アイロンは停電の原因にはなったが…直接的な引き金になったわけではない!」
司「直接の引き金になったのは、大広間と事務室のエアコンの電源が入ったことなんだ!」
えむ「エ、エアコン…!?」
司「あの2台のエアコンのタイマーは、どっちとも《《11時30分》》に設定されていたんだ」
志歩「11時30分って…宵崎さんが死んだ時間もそのくらいだったよね?」
えむ「そっか…エアコンがタイマーでオンになった瞬間に、ブレーカーが落ちて停電が起きた…」
えむ「なるほどー!納得したよ!」
類「きっと、あらかじめ旧館の電力量を調べておいて、アイロンでギリギリの電気消費量にしておいたんだろうね」
類「その上で、エアコンのタイマーを設定しておけば、後はエアコンが動き出すのを待てばいいだけ…」
咲希「それなら、東雲さんが事務室にいたままでも、停電にする事が可能だったってことだね!」
冬弥「きっと、その電力量に関しては、モノクマあたりに聞いていたのかもしれませんね…」
モノクマ「ド、ドキィ!」
モノミ「当たりなんでちゅか!?憎い奴でちゅ…万死に値します…!」
モノクマ「万死だって!?そんなに死んだら、ほんとに死んじゃうじゃないか…」
杏「うるさいよ!あんた達は黙ってて!」
絵名「私が事務室にいても停電は防げなかっただろうけど…だとしても悔しいよ…」
絵名「事務室にいればすぐにブレーカーを入れられたし…そうすれば、奏も死ななくて済んだかもしれない…っ!!」
瑞希「いや、事務室のブレーカーはボク達の手が届かない高さにあったし…」
瑞希「真っ暗な中でそれをすぐに戻すなんて、どっちにしろ無理だったはずだよ!」
瑞希「だから絵名…気にしないで、ね?」
絵名「瑞希……」
志歩「にしてもずる賢い犯人だね…ちゃんと見つかるのか不安になってきたんだけど…」
類「大丈夫。心配いらないよ」
類「しょせんは『たかが人殺し』だよ?《《希望の象徴》》と呼ばれるみんなの敵じゃないよ」
…は?
類「こんなところで君達が負けるわけない…この程度の事件なんて、ただの踏み台だからね」
類「だから、最後には希望が勝つ…僕はそう確信してるんだ!」
司「る、類…?お前…どうしたんだ…?」
類「え…?何が?」
司「お前はずっと言ってたよな…?オレ達の中に犯人なんているはずないって…」
類「そうだったかな?まぁ、そんな事より事件について話し合おうよ」
類「とりあえず、停電の仕掛けはわかったわけだけれど…問題はそれを誰がやったかだよね」
類「エアコンのタイマーを隠れて設定するのは誰にでもできるし…」
類「アイロンを倉庫に持ち込むのも、宵崎さんが旧館に来る前にやっておけばいい…」
類「困ったね…僕達の誰にでも可能だったみたいだよ?」
彰人「…何が言いてーんだよ?」
志歩「結局何も分かってないのと一緒…って事でしょ?」
瑞希「えええ!?こんなに話し合ったのに!?」
類「残念だけど事実だよ…」
類「今まで散々話し合ってきたのにも関わらず、犯人に繋がる手掛かりは何一つ見つかっていない…」
類「それも当然かもしれないね。だって、僕達の中に犯人なんているわけないんだから」
司「お前…また言ってる事が変わってないか?」
類「それはそうと、今後のことについて…僕から一つ提案があるんだ」
類「…こう考えたことはないかい?」
類「人を疑って生き延びるより、人を信じて死ぬ方がマシ…ってね」
杏「あ、諦めて死ねってこと…!?」
司「類!お前…やっぱりどうかしてるぞ!」
類「僕をどうかしてると思うのは、君達の方がどうかしてるからだよ…」
類「こんな風に仲間内で糾弾し合うような真似…正気の沙汰とは思えないよ…」
類「もうやめようよ、犯人なんて見つけなくたっていいじゃないか!」
類「僕はもう嫌なんだ…仲間同士で、こんなことはしたくない…」
穂波「そ、そんなの…私だって嫌ですよ…っ!」
えむ「うぅ…早くお家に帰りたいよぉ…!」
愛莉「や、やめてよ…みんながそんなだと…私まで…っ」
司「おい…!お前ら落ち着け!」
類「僕達は仲間なんだ…仲間同士で、殺人なんて起きるはずないんだよ…」
司「だったら宵崎はどうして死んだんだ!?」
類「そんなこともうどうだっていいよ」
類「どうせ犯人に繋がる手掛かりなんて、もうないんだしさ…」
冬弥「それは違う!!」
冬弥「…と、思いますよ」
類「………………」
類「…何か言ったかい?」
冬弥「はい、犯人に繋がる手掛かりなら、もう見つかってるじゃないですか」
寧々「あ、青柳君には…犯人が分かってるの?」
冬弥「犯人…なのか…?怪しい人物の手掛かりならありますよ」
類「へぇ…だったら試しに言ってみてもらえるかな?」
冬弥「まずは、犯人があの停電の中で、どうやってナイフを手にしたのか考えてみましょうか」
類「その話ならさっきしただろう?夜光塗料を目印にしたってさ」
冬弥「そうじゃなく、その前の話です」
その前…?
それって、犯人がどうやってあのテーブルに近づいたのかって事か?
夜光塗料を頼りにナイフを手にしようにも、その為には犯人は…
暗闇の中、あのテーブルまで近付いて行かなくちゃいけないんだもんな
司「…状況を確認しよう。雫が書いたあの図が役に立つかもしれんな」
雫「停電前の、みんなの立ち位置をまとめたやつよね?えっと…これだけど…」
…やっぱりそうだ
この図が手掛かりになる…!!
誰がどうやって暗闇の中をあのテーブルまで移動したのか…
この図には、それがはっきりと書かれていたんだ…!
まずは…犯人が暗闇の中をあのテーブルまで移動した方法からだ…
おそらく…犯人はあれを使って、移動したんだろうな
司「犯人は…あの暗闇の中を移動する時、卓上ランプを使ったはずだ!」
類「卓上ランプを…まさか明かりに使ったなんて言わないよね?」
絵名「旧館は停電中だったのよ?卓上ランプなんて使えるはず…」
司「いや、犯人はランプの明かりじゃなく、電源コードを使ったんだ」
みのり「で、電源コード…?」
司「電源コードを手繰りながら移動すれば、卓上ランプのあるテーブルまで辿り着けるだろ?」
司「そうやってテーブルまで移動した後、夜光塗料を目印にナイフを取ればいいだけだ」
冬弥「それが可能だった人物は、俺達の中にたった1人しかいないんです」
穂波「そ、それって…誰のことですか…?」
オレ達の中で…それが可能だった人物は…
豹変
司「…類、お前なんじゃないのか?」
類「ぼ…僕かい…?」
司「停電直前のみんなの立ち位置を見ると…卓上ランプの電源コード上にいたのはお前だけなんだ…」
えむ「つ、つまり、電源コードを手繰って移動できた人は…類くん以外にいないってこと…?」
類「そんなの…ただの偶然だよ」
冬弥「けれど…神代さんにはチャンスがありましたよね?テーブルにナイフを仕掛けるチャンスが…」
司「類…お前は朝からずっと、あの大広間の掃除をしていたよな?」
司「ならば…ナイフを仕掛けるチャンスはいくらでもあったはずだ…!」
類「それは…!」
司「電源コードの件といい、掃除当番の件といい…お前だけにそれが可能だったなんておかしいぞ…!!」
類「ぐ、偶然なんだよ…!」
冬弥「1回だけならまだしも…その偶然が2回も重なるなんて…」
冬弥「…そんな可能性ってあるんでしょうか?」
杏「ひょっとして…貴方はナイフを仕掛けるために、わざと掃除当番になったんじゃないの…?」
愛莉「そういえば、あのくじ引きを用意したのは神代さんだったわよね…」
杏「ただのくじ引きじゃなくて…何か仕込んでたんでしょ?」
類「………………」
冬弥「犯人がどうかは分かりませんが…少なくとも、怪しいと言うには充分な根拠ですよね」
類「う…っ!」
瑞希「じゃあ、さっきの変な演説も、類の作戦ってことになるけど…」
彰人「俺らのやる気を削いで、自分がやったことを誤魔化そうとしたんだな!?」
杏「どうなの…?はっきり言ってよ!!」
類「うぅ…んぐぅ…!」
司「類…反論があるなら言ってくれ…オレだって信じたくない…!」
司「一緒に捜査したお前が…あんなに優しいお前が…宵崎を殺した犯人だとは…」
類「ん…ぐうぅ…!!」
司「類…どうなんだっ…!?」
類「んん…んんんんんんんぅぅぅ…!」
類「あはっ…!」
類「あはははははははははは!!あはははははははははははははは!!!!」
類「超高校級の才能を持つみんなが、力を合わせて仲間の死という絶望に立ち向かう…!!」
類「あぁ…なんて素晴らしく美しいんだろうね…」
……………
その目は
そこで見た類の目は
闇が何重にも重なり合ったせいで、その闇が眩しく輝いているような…
そんな…希望と絶望がぐちゃぐちゃに混ざったような目だった
類「結論から言うと、大正解!そう、全て僕の仕業だったんだよ」
類「パーティーが始まる前に、ナイフをテーブルに仕掛けたのは僕なんだ」
類「停電を起こさせるため、アイロンとエアコンの仕掛けを作ったのも僕なんだ」
類「もちろん、電源コードを手繰ってナイフを手にしたのも僕だよ」
類「みんなが見てる中で、堂々とナイフを取り出すわけにはいかないからね」
瑞希「な、なんか…キャラが崩壊しちゃってない…?」
類「けれど、まさか宵崎さんが暗視スコープまで持っているとは思わなかったなぁ…」
類「お陰でテーブルの下で揉め合いになって、その結果があれだよ」
類「でも、そんな予想外のことが起きたからこそ、こんなに面白くなった…とも言えるよね」
類「あははっ、宵崎さんのファインプレーだね!」
寧々「る、類…どうしたの…?」
絵名「まさか…それがあんたの本性なの…?」
こはね「ず、ずっと、私達を騙していたんですか…?」
類「騙すなんてとんでもない、僕なんかがみんなを騙せる訳ないよ」
類「自分が大したことない人間だってことは、僕自身が誰よりも理解してるつもりだよ」
こいつが…本当に…
本当に…あの類なのか…?
遥「…ねぇ神代さん、全て貴方の仕業なら、あの脅迫文もそうなの?」
類「あぁ。もちろんだよ」
志歩「でも、どうして犯行予告なんて送ったの?」
類「きっと、僕は心のどこかで、自分の犯行を止めてくれる人を捜していたのかも…」
類「なんて理由でもあったら、みんなも同情してくれただろうね」
咲希「か、からかってるの…っ!?」
冬弥「おそらく神代さんは、宵崎さんを脅迫することで、彼女の行動を誘導していたんです」
冬弥「そうやって、宵崎さんを初めとしたみなさんを…今回の殺人が起こる舞台に誘導していた…違いますか?」
絵名「そういえば…私の見張りもそうだ…!」
絵名「事務室での見張りを提案したのは神代さんだったよね…?」
志歩「そっか…絵名さんが倉庫で見張ってたら、アイロンの仕掛けが使えなくなるもんね」
絵名「脅迫の件も、あんな提案も…全部、私達を誘導する罠だったってこと…?」
類「全て正解だよ…ただ1点だけを除いてね」
みのり「な、何を除くんですか…?」
類「掃除当番を決めたくじ引きだよ。僕は、あそこには何も仕掛けていないんだ」
杏「だったら、どうしてあんな都合よく掃除当番を引き当てられたの!?」
類「あれ、忘れたかい?僕の才能を…」
類の…才能…それって…
司「超高校級の幸運…」
司「…!!まさか…っ!」
類「僕は自分の才能を信じた…それだけだよ」
類「僕なら必ず、掃除当番になれる…ってね」
穂波「た、ただの運任せってことですか…!?」
類「ただの運じゃないよ…確かにみんなと比べたらパッとしない才能だけど、僕は超高校級の幸運なんだよ?」
類「あの時、司くんは『ついてない』なんて言っていたけれど…それは違うんだ」
類「僕はついてたんだよ!だからこそ、望み通り掃除当番になれたんだ!」
司「も、もういい…そんなこと…もうどうでもいい…」
司「答えろ!!どうしてお前は宵崎を殺したんだっ!!!」
類「宵崎さんはとても優秀で立派なリーダーだったね…そんな彼女が殺されるなんて…絶望的だよね…」
類「だからこそ、希望の象徴と呼ばれる君達が光り輝く為の踏み台に相応しい…」
類「全てはその為だったんだよ!」
愛莉「わ、わけわかんないこと言わないでよ!!」
彰人「もういい…さっさと投票を始めろ!!その変態をぶっ殺してやる…!」
えむ「ぷりーずモノクマちゃーんっ!!」
まふゆ「ちょ、ちょっと待って!」
彰人「あ?」
まふゆ「えっと…あのね…」
まふゆ「………本当に、神代さんが犯人なのかな」
穂波「えっと…あ、朝比奈さん…どうしたんですか?神代さんは、もう自白までしてるんですよ?」
まふゆ「うーん、確かにそうなんだけど…少し気になることがあって…」
瑞希「気になること?」
まふゆ「………あのナイフは凶器じゃないと思うんだ」
彰人「……はっ?」
まふゆ「奏の体の傷からして、凶器は直径5ミリくらいの細さのはずなんだよね」
えむ「直径5ミリなんてナイフよりガリガリに細いよ!」
彰人「おい…それは本当なんだな?」
まふゆ「うん、間違い無いよ」
類「つまり、朝比奈さんはこう言いたいんだね?」
類「凶器がナイフと言い切れない以上、僕が犯人だと断定できないんじゃないか…」
志歩「何言ってるの?貴方以外に犯人なんて…」
類「僕じゃないよ。朝比奈さんがそう言ってるんだよ」
まふゆ「……………」
冬弥「………神代さん、まだ何か隠してるんじゃないですか?」
司「か、隠してる…?」
冬弥「あの停電の時、宵崎さんと神代さんの間には、まだ俺達の知らない何かがあった…とか」
類「さあね」
絵名「この期に及んで…何を隠すのよ」
類「………………」
杏「つ、都合悪くなったからって黙らないでよ!」
えむ「あの停電の中で何があったのか…うーん、うーん?」
えむ「あっ!こうやって寄り目になると、みんなが二重になって見えるよ!」
愛莉「ちょっとえむちゃん!?飽きちゃダメよ!命が懸かってるんだから!」
類「暗闇の中を見ることは誰にもできない…いくら考えても真相は闇の中…」
類「うん、なかなか上手い例えを使えたんじゃないかな」
司「いや…違うぞ」
類「…違う?何が違うの?」
真相は闇の中…それは違う
暗闇の中で何が起きたのかを知る方法ならあったはずだ!
司「暗闇の中で何が起きたのか…見ることはできなくても、聞くことならできたはずだぞ!」
司「そうだよな?えむ」
えむ「そーなの!?」
お前が忘れてどうするんだ…
司「ほら、教えてくれただろ?停電の中で、誰がどんな声を上げたのか…」
咲希「わわっ!?て、停電だ!」
寧々「な、何も見えない…!」
遥「み、みんな落ち着いて!こういう時は落ち着かないと!」
奏「ねぇ…貴方何してるの…っ?」
奏「やめて…!」
類「いてっ!」
瑞希「だ、誰か電気付けてきてよ!」
穂波「みんな、どこにいるの…?て、停電って、厨房だけじゃないんですか…?」
愛莉「これ、ブレーカーが落ちたんじゃないの…?」
類「流石はえむくんだよ…ここまで聞き分けられていたなんてすごいね」
絵名「でもさ、そこでの奏と神代さんとの会話を聞いてると…」
絵名「まるで、神代さんが奏の反撃にあってるようにも聞こえるけど…」
類「まぁ、実際そうだからねぇ…」
司「…はっ?」
類「少しだけ白状しようかな」
類「実は、僕は宵崎さんに突き飛ばされてしまったんだよ。あのテーブルの下でね」
穂波「宵崎さんに…突き飛ばされた?」
類「停電と同時に、僕はすぐに隠していたナイフを取ろうと、テーブルの下に潜り込んだんだけど…」
類「そこで、暗視スコープを付けた宵崎さんに見つかって、テーブルの外に突き飛ばされてしまったんだ」
類「そう、僕はナイフを手にする事すらできなかったんだよ」
司「………………」
確かに、その時の2人の会話を聞くと…
そうとしか聞こえない
司「そうにしか…聞こえない…」
類「テーブルの外に突き飛ばされてからは、みんなと同じでただ混乱するばかりだったよ」
類「目印の夜光塗料も見失って、卓上ランプの電源コードもどこにあるのか分からないし…」
類「そうこうしてる内に明かりが付いたら、テーブルの下から宵崎さんの死体が発見されて…」
杏「ちょ、ちょっとまってよ!!」
杏「じゃあ…貴方は、自分が犯人じゃないとか言うつもり…?」
類「あのパーティーから始まって…」
類「停電を仕掛けたのも、ナイフを仕掛けたのも、全て僕の作戦だったけれど…」
類「でも、残念ながら僕の計画は失敗に終わったんだ。暗視スコープを持っていた宵崎さんの活躍のおかげでね…」
類「その後の事は、僕にも分からないよ」
彰人「失敗…だと?じゃあ、お前は宵崎さんを殺せなかったっつーことかよ…?」
絵名「はあ!?今度こそ振り出しに戻っちゃうじゃん!」
えむ「ええーー!?ここまで話し合ってきたのに!?」
類「諦めちゃダメだよ!!希望を持って、前を向いて頑張らないと!」
類「そうやって何度でも立ち上がるからこそ、君達は《《希望の象徴》》なんだからさ!」
司「………………」
こいつは…
本当にあの類なのか…?
分からない
だが、今はそんなことを気にしている場合では無い…
オレ達は、宵崎を殺した犯人を突き止めなければいけないんだ
そうしないとオレ達は…
ここで…終わる…!!
防火扉
類「さて…凶器がナイフじゃないとわかった以上、僕が犯人だって言える決め手はなくなっちゃったね?」
愛莉「あっ、あんたは黙ってなさいよ!決めるのは…っあたし達なんだから!」
穂波「だ、大体、突き飛ばされたとか言ってますけど…それだって確かじゃないですよね…?」
まふゆ「でも…神代さんが犯人じゃない理由は他にもあるんだけど…」
瑞希「え、まだあるの?」
まふゆ「さっきの話だと、奏はテーブルの下で犯人に殺されたってことになってたよね?」
遥「それがどうかしたんですか?」
まふゆ「えっとね…それにしては神代さん、綺麗だなーって…」
類「外見を褒めてくれるなんて久しぶり…いや、初めてのことかもしれないよ」
まふゆ「そ、そういう外見的な話じゃないですよ…!」
司「えーっと、つまり…」
司「ナイフで刺し殺したなら…どうして類には返り血がついてないのか…」
司「…朝比奈は、そのことを言ってるのか?」
まふゆ「う、うん…そうだよ」
まふゆ「だって、あそこにはかなりの血が撒き散ってたよね?」
まふゆ「テーブルクロスの内側にも、あちこちに血痕が付いていたし…」
遥「なるほど…確かにそうですね…」
杏「何か使って、その血を防いだだけなんじゃないの?」
類「そんな物一体どこにある…いや、あるにはあったか…」
類「そうだよね、司くん?」
確かにあるにはあったよな…
司「それって…倉庫にあったテーブルクロスのことか?」
司「あのテーブルクロスには、血痕が付いていたはずだ」
みのり「ぜ、絶対それだ!!それを使って血を防いだんだね!」
一歌「でも、それは倉庫から見つかった物なんですよね?」
一歌「事件後に倉庫に隠したってことですか…?」
志歩「明るくなった後に?誰かに見られたらどうするの?」
司「ああそうなんだ、あのテーブルクロスはそれなりに大きかったし、隠して運ぶにしたって…」
類「停電中にナイフを取るのさえ大変なのに、テーブルの下でテーブルクロスを被って刺すなんてさ…」
類「流石の君達にも無理なんじゃないかな?」
穂波「だ、だったら…どういうことですか…?」
冬弥「……………」
冬弥「もしかしたら…犯人が宵崎さんを刺したのは、テーブルの下じゃなかったのかもしれません…」
…え?
こはね「でも…殺害場所は絶対に、テーブルの下だったよね…?」
まふゆ「うーん…テーブルクロスの内側に血痕が付いてたし…あそこで奏が殺されたのは間違いないと思うよ?」
冬弥「ですが、宵崎さんが刺された場所と、犯人が刺した場所は…同じとは限りませんよね」
咲希「え、えっと…とーやくん…どういうこと…?」
宵崎が刺された場所と…犯人が刺した場所…
類「おや、司くん…何か思い付きそうな顔をしてるね?」
寧々「え、ほんと?あんななぞなぞみたいな言葉で?」
司「うむ…何か思いつきそうな気はするんだが…まだぼんやりとしか…」
冬弥「テーブルの下だけど、テーブルの下じゃない場所です。可能性があるとしたらそこしかないですから!」
冬弥「そこから先は、余計な先入観を捨てて、その答えを選べばいいだけ…だと思いますよ」
…何かが閃きそうだ
もう少しで…何かが…
司「………………」
司「…………」
司「…そうか…!犯人は、床下から宵崎を刺したんじゃないか!?」
杏「ゆ、床下から…!?」
司「ああ、あそこの床には絨毯が敷かれていなかったし、旧館の床は、木と木の隙間がかなり空いてただろ?」
類「なるほどね、だとすると犯人は、旧館の床下に入ったって事だよね」
類「どこから?どうやって?」
司「それはオレにも分からん…だが、心当たりのある奴はいるぞ」
司「な、花里」
みのり「え!?」
司「お前は大広間で、髪飾りを探していたよな?」
みのり「はいっ!探してましたっ!!」
司「それって、今お前が頭につけてるものでいいんだな?」
雫「あら、じゃあ…もしかして…」
司「捜査中髪飾りをしていなかった花里が、裁判前には髪飾りをしている…」
司「という事は、花里は捜査中に、その髪飾りを取り戻したというわけだ」
遥「なら…みのりは床下への行き方を知ってるんだね?」
みのり「う、うん!知ってるよ!」
みのり「えっとね…床下への入口は、倉庫で見つけたの!」
瑞希「倉庫にあったの!?」
みのり「ほら、倉庫にはいっぱいダンボールが置かれてたよね?」
絵名「ダンボール…あぁ、そういえばそんな物あった気が…」
みのり「ちょっと気になったから、荷物を全部退かしてみたんだ」
穂波「なるほど…そのダンボールの奥に、床下への入口があったんですね」
みのり「それを知って、スーパーからライターを持ってきて床下に入ったんだ!」
冬弥「そういうことだったんですね…」
冬弥「床下で壁に塞がれていないことを考えたら、倉庫から大広間なんて大した距離もないですし…」
遥「倉庫を経由したなら、そこにテーブルクロスがあったのも納得だね」
瑞希「犯人はパーティー中に倉庫から床下に潜り込んで、そこから奏を…」
穂波「ほ、本当にそうなんですかね…」
穂波「こっそり床下に忍び込んだって話でしたけど…その為には、パーティーから抜け出さないといけませんよね?」
穂波「でも…そんな人っていましたっけ…?」
志歩「じゃあ、パーティーにいなかった人が犯人なんだよ。その人がずっと床下で待ち伏せしてたんだ」
咲希「参加してないのって誰だったっけ?」
冬弥「俺は参加してないが、入口で見張りをしてました。そこのモノミが証人になって…くれますよね?」
モノミ「はい!ここのモノミが証人でちゅ!」
絵名「もう言う必要ないと思うけど…私はトイレから出られなかったの…」
穂波「私は厨房にいる時間が長かったけど、ちょくちょく大広間に料理を運んでいましたよ」
雫「えっと…他にパーティーに参加してなかったのは…」
雫「私が撮った写真を見る限りだと、あの人だけよね…?」
彰人「……………」
志歩「…決まりだね」
彰人「ちょ、ちょっと待て!俺は犯人なんかじゃねーぞ!!」
志歩「さぁどうだか…『俺は殺れる』とか言ってたのはどこの誰だっけ?」
彰人「はぁ!?ぶっ殺すぞ!!」
志歩「ほら、また言ってるし」
モノクマ「うんうん、いい感じだね。いい感じに盛り上がってきたね」
志歩「だからさ、東雲さんはパーティー中もずっと、床下で待ち伏せしてたんだって」
えむ「それなら、停電中に倉庫まで行かなくて済むね!」
瑞希「それで…どうなの?弟くん!」
彰人「勝手に犯人にしてんじゃねーよ!!」
志歩「でも、パーティーが始まったあとは…」
志歩「誰もあなたの姿を見てないんだよ?」
志歩「貴方にはアリバイがないってことだよ」
司「それは違うぞ!!」
司「彰人にはアリバイがあったはずだ。そうだよな、冬弥?」
冬弥「そういえばそうでしたね…」
冬弥「彰人を見たのは、パーティー開始直後でしたから…」
冬弥「パーティー前から床下に居たというのは無いですね」
彰人「チッ…もっと早くその話をしろよな…」
志歩「あなたが悪いんでしょ。大体、なんで旧館の周りをうろついてたの?」
彰人「な、なんでもいいだろ別に…」
寧々「実は外から床に通じる抜け穴があって…それを偵察しに来てたとか…」
彰人「はあ!?てめぇ何言ってんだ!!」
みのり「外から床下に繋がる抜け穴はなかったよ!私と青柳君で捜査しましたからっ!」
一歌「じゃあやっぱり、誰かがパーティー中に倉庫から床下に潜り込んだんだね…?」
まふゆ「パーティー中というか…停電中だったのかも…」
瑞希「あー、確かに停電中に居なくなったなら気づけないかもねー…」
穂波「でっでも!あの暗い廊下を倉庫まで歩いていくなんて…そんなの無理ですよね…?」
杏「うーん…やっぱそうだよねぇ…」
杏「停電の時、ブレーカーがある事務室に行こうと思って、なんとか廊下に出てみたけど…」
杏「全くだめだったよ…壁伝いにしても、自分が今どこにいるのか分からないしさ…」
司「…………………」
司「…だが、本当に無理なのか?」
司「もう少し、その可能性を検討してみてもいいかもしれない…」
えむ「でも、あんなに真っ暗だったんだよっ?」
えむ「倉庫まで行くなんて絶対無理だよー!」
…でも何か、見落としてるかもしれない…
何か…少し…引っかかるんだよな…
それをはっきりさせる為にも、もう一度…
類「どうやら大詰めになってきたみたいだね?」
類「クロとシロ、どちらの超高校級が優れているのか…そろそろはっきりさせようか」
こはね「停電中は廊下も真っ暗だったし…」
こはね「そんな中倉庫まで移動するなんて…そんなの絶対に無理だよ…!」
冬弥「本当に、絶対に無理なのか?」
愛莉「神代さんみたいに、紐を使ったらどうかしら?」
絵名「暗視スコープがもう1個あったとかは?」
寧々「明かりを使ったんじゃないの…?」
司「あぁ、寧々の意見に賛成だ!」
寧々「え、あ…か、勘で言っただけなんだけど…」
杏「でも、明かりなんてどこにあるの?」
司「絶対あったはずだぞ。ほら、厨房の備品リストに書いてあっただろ?」
司「カセットコンロだ」
咲希「カ、カセットコンロ…!?」
司「カセットコンロなら明かりにもなるし、持ち運びだってできるよな?」
類「なるほど…カセットコンロとは盲点だけど、その推理には穴があるよ」
司「な…っ!?」
類「さぁ司くん、僕と勝負してくれるよね?」
類「ふふっ…君は僕の反論を打ち破ることが出来るかな…?」
な、何が勝負だ…まるで、裁判を楽しんでるみたいな…っ
…っこんな奴に負けてたまるか…!!
類「さっきの白石くんの証言を忘れたかい?」
類「事務室にたどり着けなかったって言ってるんだよ?」
類「君の言うガスコンロの明かりは…」
類「その証言と矛盾してしまうんだ」
類「それとも、白石くんの証言自体を疑う気かい?」
司「オレは白石を疑ってるわけではない…!」
司「お前は何が言いたいんだ!!」
類「白石くんが事務室にたどり着けなかったのは…」
類「廊下が真っ暗だったからだよね?」
類「そんな真っ暗な廊下で明かりを使ったら…」
類「白石くんに目撃されてしまうよ?」
司「それは違うぞ!!!」
司「類、忘れたのか?それとも忘れた振りをしているだけか?」
類「…何の話かな」
司「廊下にあった防火扉だ。あれを閉じれば、廊下には立派な壁ができるだろう?」
司「それに、防火扉の先は、すぐ曲がり角になっていたから…」
司「扉に多少の隙間があったとしても、その角さえ曲がれば光が漏れることもなかったはずだ」
類「なるほど。防火扉に目をつけるなんて、流石は超高校級の…」
類「っと…君はまだ自分の才能を思い出せていなかったね」
司「そっ…そんなこと、今はどうでもいいだろ!」
絵名「ちょっとあんた…犯人じゃないって言う割には、やたらと突っかかってくるじゃない」
類「そんな怖い顔しないでくれたまえ…ほら、深呼吸深呼吸…」
彰人「いちいち人をイラつかせる野郎だな…!まじでその口を塞いでやろうか!?」
モノクマ「こらー!喧嘩はいいけど、周りが引いちゃうようなハードな喧嘩はダメ!」
モノクマ「それより、誰がクロなのか早く決めてくれないかな?ボクが飽きたら、時間切れになっちゃうんだよ?」
類「分かってるよ。そろそろバトンタッチしろって言うんだろう?」
寧々「バトンタッチ…?」
類「僕みたいな偽物じゃなく、本物の犯人さんに登場してもらうんだよ」
志歩「…どうせ神代さんが犯人なんでしょ」
類「そう思うならそれでも構わないよ」
類「僕は、超高校級のみんなが納得して出した答えなら、どんな結論でも受け入れるつもりだからね」
司「………………」
本物の犯人…それを指摘しろってことだな…
誰かを糾弾するような真似…そんなことオレはしたくない…
だが…やるしかないんだよな…
そいつは防火扉を遮蔽物に使い、その暗闇の中をカセットコンロで移動して…
潜り込んだ床下から、夜光塗料を目印に…宵崎を刺し殺した
ならば…その犯人と考えられるのは…
あいつだけだ…!
真犯人
司「…穂波、お前なんじゃないのか?」
穂波「へ…!?」
咲希「ほなちゃんが犯人って…っ」
穂波「な、何言ってるんですか…!そんなわけないじゃないですかぁ!」
司「もちろん今のはオレの推理だ…反論があるならいくらでも言ってくれ」
穂波「反論って言われても…」
穂波「ど、どうして私が犯人扱いされないといけないんですか…!」
司「だって、明かりに使われたカセットコンロは厨房にあった物なんだぞ?」
穂波「そんなことだけで犯人にされるなんて…そんなの酷いですよ…!!」
類「あぁ望月さん…そんな態度は君らしくないよ…」
類「もし君がこんな冤罪に倒れてしまったら、未来のバンドは誰が支えるの?」
穂波「み、未来の…バンド…?」
類「そうだよ。未来のバンド…レオニードの為にも、正々堂々立ち向かわないといけないんだ」
穂波「そう、ですよね…私はバンドの柱ですし…こんなところで終われない…」
司「類…なんでお前が間に入ってくるんだ…!」
類「例えば、犯人が明かりを使ったとしようか?そして、防火扉を遮蔽物に使ったとしよう…」
類「で、そこから倉庫に移動して床下に潜って…そのあとはどうするんだい?」
類「床下だって真っ暗なんだよ?そこからどうやって宵崎さんを刺すの?」
類「まさか、明かりで彼女を照らしたわけじゃないよね?宵崎さんに気付かれたら一巻の終わりなんだよ?」
穂波「そっそうですよぉ!その点についてはどうなんですか!?」
司「そ…それは、だな…」
類「答えられるわけないよね、司くんは床下を捜査してなかったもんね」
雫「それなら、みのりちゃんが知ってるんじゃないかしら?実際に床下に潜っているんだし…」
みのり「確かに潜ったけど…あの床下には事件に関するものは何も無かったよ…ごめんね」
みのり「奏ちゃんの血が…滴り落ちてた場所に、暗闇の中で光る変な液体?が塗られてたくらいで…」
絵名「えっ、何それ!暗い中でも光ってたの!?」
瑞希「それ、すっごく重要そうだね…」
一歌「光る目印があれば、暗闇の中でもその地点までは移動できるよね…」
冬弥「そうやって所定の位置まで移動すれば、同じ目印を付けておいた標的を狙えますね」
司「む…その目印って、ナイフに塗ってあった《《夜光塗料》》の事か?」
杏「夜光塗料を標的にする事で、暗い中でも凶器を刺せる…って事だね!」
志歩「なるほど…犯人は人を狙ったんじゃなくて、その夜光塗料が動く瞬間を狙ったんだ」
愛莉「それって、誰かがナイフを手に取った瞬間って事よね!」
類「では…僕がナイフを取る為に用意した目印を、犯人は刺すための目印として利用したんだね」
類「そうか…それでナイフを手に取った宵崎さんが殺されてしまったのか…」
冬弥「それができたってことは、犯人は神代さんの作戦を知っていたってことになりますが…」
穂波「わ、私は何も知りませんよぉ…本当なんですってぇ…」
類「だったら、逆に僕からみんなに質問してもいいかな?」
杏「な、なんでまたあなたなの…!?いい加減にしてよっ!!」
瑞希「まーまー杏!こういうのは公平に発言権を与えないと!」
類「望月さんが犯人だとすると…彼女は停電中に倉庫に行ったってことになるけど…」
類「だったら、停電の時えむくんが聞いた声ってなんだったのかな?」
---
瑞希「だ、だれか電気付けてきてよ!」
穂波「みんな、どこにいるの…?て、停電って、厨房だけじゃないんですか…?」
愛莉「これ、ブレーカーが落ちたんじゃないの…?」
---
絵名「穂波ちゃんの声が…大広間で聞こえてる…?」
類「これって、望月さんが停電の時に大広間にいたことを証明しているように思えるんだけど…」
遥「でも、望月さんって停電の時は厨房にいたんだよね?それが…どうして大広間にいたの?」
穂波「てっきり、厨房だけが停電になったのかと思って…慌てて廊下に飛び出したんです…」
穂波「そしたら廊下も真っ暗で…旧館全体が停電になってるみたいだったので、壁伝いになんとか大広間まで行ったんです」
みのり「確かに、厨房から大広間だったら、壁伝いに移動できない距離でもないね!」
彰人「なんか嘘っぽいんだよなぁ…」
えむ「でもでも!穂波ちゃんの声は確かに大広間で聞こえてたよー!」
類「そう、望月さんは倉庫じゃなく大広間にいたんだよ…つまり、彼女が犯人だとは考えらないんだ」
司「いや…そうはならないはずだぞ」
穂波「どうして…?」
穂波「どうしてそんな風に…私に言いがかりばっかりつけてくるんですか!?」
司「ま、待て穂波…!オレは別に、お前を責めたいわけじゃ…」
類「司くん…もっと胸を張っていいんだよ。君は、自分が信じた希望に進んでいるだけなんだから」
類「さぁ司くん…もっと君の希望を見せてくれないかい?その希望は、望月さんを打ち砕けるのかな?」
類「さてと…まずは改めて聞くけど、」
類「望月さんは停電の時に倉庫に行ったかい?」
穂波「そ、倉庫になんて行ってるわけないじゃないですか…!」
えむ「穂波ちゃんの声はあたしが聞いたよ!」
絵名「録音された声とかじゃないの?」
えむ「いや、生声だったよ!」
穂波「今のえむちゃんの証言がある限りは…」
穂波「私が大広間にいた事実は揺るぎません!」
司「それは違うぞ!」
司「オレ達が大広間で穂波の声を聞いたからって、『大広間にいた』ことの証明にはならないはずだ!」
穂波「え…?ど、どうしてですか…?」
司「大広間の床を思い出してみろ。あそこの床は、隙間だらけだっただろう?」
司「だから、床下から上がった声だったとしても、大広間の声と同じように聞こえたはずなんだ」
穂波「あ……っ!」
瑞希「そっか、あえて床下から声を上げて、自分がその場にいることを印象付けようとしたんだね?」
咲希「そうなの…?ほなちゃん…」
穂波「ちょっと…待って…」
こはね「ど、どうなの?穂波ちゃん…!」
穂波「ちょっと待ってって言ってるでしょ!」
こはね「ひゃ!?」
穂波「わ、私は!停電の時大広間にいたのっ!!」
穂波「さっきからそう言ってるじゃないですか!!」
冬弥「…望月さんが停電の時大広間にいたってことは…明るくなった後もその場にいたんですよね?」
類「まぁ、そうだろうね。長い廊下を行ったり来たりはできないからね」
一歌「え…あの時穂波って…いたっけ…?」
穂波「そ、そりゃいたよ…本当だよ…?」
類「こればっかりは勘や思いつきで決められないよ。人の命がかかってるんだからさ」
寧々「で、でも…私には自信ないよ…いたような気もするけど、いなかったような気もして…」
雫「何か判断する方法はないのかしら…?」
冬弥「…本人の記憶に聞いてみればいいんじゃないですか?」
司「…む?」
穂波「わ、訳の分からないことを言わないでください…っ!」
穂波「私が大広間にいなかったことなんて…そんなの証明できるわけ…」
司「いや…できるかもしれん」
穂波「ま、またあなたですか…!?」
穂波が停電の後に大広間にいたかどうか…
それをハッキリさせるには…
司「………あの停電から復旧した時、穂波が本当に大広間にいたならば…」
司「その時、花里がどんなことになっていたか、分かるはずだよな?」
穂波「え…!?」
みのり「お、思い出させないでくださいよぉ…!恥ずかしいじゃないですかぁ…」
司「すまん花里…だがこれは大事な質問なんだ」
司「どうなんだ穂波!あの時大広間にいたなら、答えられるはずだぞ!」
穂波「え、えーっと…えっと…」
えむ「ど、どうなの…?穂波ちゃんは答えられるの…?」
穂波「あの…その…」
穂波「あ、あれ…?忘れてしまった、かもしれません…」
志歩「おかしいでしょ、あんな光景…そう簡単に忘れられるわけないじゃん」
穂波「そ、そんなこと言われても…」
穂波「か、神代さぁん!なんとか言ってくださいよぉ!」
類「うーん…もう諦めるしかないかもねぇ…」
穂波「諦める…って…」
穂波「諦めるって…なんですか、それ…」
類「望月さん…僕も悔しいよ、悲しいよ…」
類「憧れの人の希望の限界を見るのは寂しいものだよ…夢を壊された気分、とでも言うのかな…」
司「類…お前はなんなんだ!犯人の味方をしたり突き放したり…!」
穂波「ま、待ってくださいよ!!人を勝手に犯人にして話を進めないでください…っ!!」
類「ん?だってもう決まってたじゃないか」
穂波「き、決まったって…っ」
穂波「まだ決まってませんよ!!だ、だってっ、まだ凶器がハッキリしてないじゃないですか!!」
穂波「私が犯人だって言うなら、まず凶器がなんだか言ってみてくださいよぉ!!」
絵名「凶器か…ナイフじゃないんだよね?」
まふゆ「奏の傷からして…凶器は直径5ミリくらいの細さのはず…」
みのり「それに、床下から刺したってなると…50センチ以上の長さは必要だよ!」
類「…今更凶器なんてどうでもいいんじゃない?」
穂波「よくないです…!!全然よくないですっ!!」
冬弥「なら…凶器が何だったのか考えてみましょうか」
とにかく考えろ…考えるんだ…
直径5ミリくらいの細さで…50センチ以上の長さの物…
……………
司「そうだ…凶器は鉄串だったんじゃないか!?」
愛莉「て、鉄串…!?」
司「パーティーが始まる前…危険物を集めていた宵崎が、穂波とこんな会話をしていたんだ…」
---
司「あ、望月、1つ聞いてもいいか?」
司「そこの備品リストを見ると、鉄串が1本足りないみたいなんだ…何か知らないか?」
穂波「あ…そうなんですよね…最初から欠けてたみたいで…」
穂波「旧館なので仕方ないかなと思って、深く考えてなかったんですが…」
奏「そっか…………」
司「最初から無かったなら…どうしようもないんじゃないか?」
奏「…そうだね、あんなに長い鉄串を隠せる場所も無さそうだし…」
奏「今日は、私がちゃんと見張っていればいいだけだからね」
---
杏「その欠けていた鉄串が凶器なんだね…?」
まふゆ「確かに、鉄串ならぴったり条件が合うよ…!」
彰人「てめぇ…その鉄串はどこに隠しやがった!?さては、島のどこかに処分しやがったな!?」
モノミ「いえ、ポイ捨て禁止は、修学旅行のルールでちゅ。違反していたら島中にサイレンが鳴り響いたはずでちゅよ」
絵名「島中にサイレンって…たかがポイ捨てでそこまでするの…?」
冬弥「それに、俺は見張りをしていたので分かりますが…望月さんは、1回も旧館から出てこなかったです」
こはね「つまり、旧館のどこかに隠したとしか考えられないんだね…」
志歩「また厨房なんじゃないの?」
穂波「わ、私は…私はそんなの知りません…っ!」
冬弥「やはり…俺達でなんとか突き止めるしかないみたいですね…」
凶器が鉄串だとすると…隠し場所はやっぱり厨房だよな…
だが、あの場所はパーティー前にオレと宵崎で確認したはずだ…
それぐらい紛れていたということか…?
どこだ?鉄串なんて長い凶器、どこに隠しておいたんだ?
よく…考えてみるんだ…
穂波「私は何も隠してませんっ!!」
穂波が犯人であることを示す決定的な証拠…それをあいつに突きつけるんだ…!
穂波「凶器なんてどこにあるんですか…!」
穂波「鉄串だっていう証拠はあるんですか!?」
穂波「私は何も知りません!凶器なんて知りませんっ!!」
司「………」
司「もしかして…凶器の隠し場所は、骨付き肉の中じゃないのか?」
穂波「え…え…!?」
穂波「何言ってるんですか…っ…そんなところに凶器なんて隠すわけが…」
瑞希「さ、流石にそれはないでしょ〜〜…だって食べ物の中だよ?」
司「流石にない…オレと宵崎もそう思っていた…だからこそ見逃してしまったんだ…」
司「逆に言えば、凶器を隠せる場所なんて…あの時調べられなかった食べ物の中くらいなんだ」
司「そして、その食べ物の中で、鉄串くらいの長さの凶器を隠して置ける場所なんて…」
司「骨付き肉くらいしかないんだ!」
遥「どうなの?望月さん…」
穂波「……………っ」
杏「黙ってるつもり…!?」
瑞希「だ、だったら、確かめるしかないよ!」
えむ「あの美味しそうな骨付き肉を食べて、中から鉄串が出てきたらビンゴってことだね…!」
彰人「おい、モノクマでもモノミでもいいから、早くその骨付き肉を持ってこい!」
えむ「よ、よーし…あたしが1分で食べてみせるよ…!!」
穂波「ま、待って…待ってよ…!」
愛莉「早く持ってきなさいよ!」
みのり「…あれ?モノクマはどこいっちゃったの?」
モノクマ「ボクならここだよー!」
モノクマ「もふっ、お先にいただいちゃってまーふ!」
瑞希「ぎゃぁぁぁぁぁ!クマが肉食べてるーーー!!」
瑞希「って、よく考えたら普通だね」
モノクマ「もふもふっ何これ、美味いもんだなぁ…」
穂波「ま、待って…本当にダメなんですってぇ!」
モノクマ「おやおや、なんかお肉の中から…」
モノクマ「こんなん出てきましたけどーー!」
咲希「そ、それって…!」
こはね「鉄串…だよね?」
冬弥「あ、骨の部分が取っ手になってるんですね…」
絵名「謎に凝ってるわね…」
穂波「あ…あああ…」
類「さすが望月さん!とてもファンタスティックな凶器だね!」
穂波「ち、違います…私は犯人なんかじゃない…人を殺すような…人間じゃ…」
穂波「う…ううぁぁ…っ」
類「あーあ…なんだかガッカリだな…」
類「見苦しい悪足掻きなんて、超高校級の君らしくないよ…それは《《希望》》とは言えないんじゃないかな?」
冬弥「神代さん…悪いんですが、黙っててくれませんか?」
類「………………」
穂波「私じゃないです!!私はこんなことしませんッ!!!」
とりあえず類の件は後回しだ…
それよりまずは…
冬弥「決着を…付けないとですね…」
冬弥「その為にも、事件をもう一度最初から振り返り、全てをハッキリさせましょう」
事件の全てを振り返る…
そこで望月の犯行を明らかにする…
そうだ、そうしないと…いつまでたっても終われないんだ
司「だったら…やるしかないだろう!」
おしおき
司「まずは、パーティーが始まった直後から振り返ってみるぞ…」
司「宵崎の呼びかけで、オレ達はホテル旧館の大広間に集まった」
司「宵崎は、ある人物から送られた殺人予告を見て、今夜殺人が起きる可能性があると警戒していたんだ」
司「そこで、あいつはオレ達を監視しておく為に、パーティーを開催したんだ」
司「そして、全員集合ってわけにはいかなかったが、パーティーは始まった…」
司「だが、その時すでに、ある人物が仕掛けた罠は動き出していたんだ…」
司「そいつは倉庫のコンセントに3台のアイロンを繋ぎ、旧館の電力消費をギリギリの状態にしておいたんだ」
司「その上で、11時30分になると作動する、ある仕掛けを用意した…」
司「それは、大広間と事務室にあったエアコン…そいつは、そのエアコンに、タイマーをセットしておいたんだ」
司「すでにアイロンでギリギリの消費電力だったせいで、エアコンの起動と共にブレーカーが落ちてしまった」
司「でもその時、宵崎は持ってきていたジュラルミンケースの中から、ある物を取り出したんだ」
司「それは、暗視スコープだ」
司「殺人を警戒していた宵崎は、様々な防犯グッズを現場に持ち込んでいた」
司「暗視スコープを付けた宵崎は、そこである人物の不審な行動を目撃した…」
司「類が卓上ランプの電源コードを手繰って、テーブルの下に入っていったんだ」
司「ここまでは、何もかも類の計画通りだった…」
司「宵崎に殺人予告の手紙を送ったのも、停電の仕掛けを作ったのも…類だったんだ」
司「そしてその頃、停電になった厨房では、別の人物…真犯人が行動を開始していた」
司「おそらく、犯人は類の計画を知っていて…停電が起きることもわかっていたんだろう」
司「だからこそ、犯人は暗闇の中での犯行に必要な道具を事前に準備できたんだ」
司「まずは《《明かり》》…これは、厨房の備品にあったカセットコンロだ」
司「そして《《凶器》》…これも、あらかじめ厨房に隠してあった物だ」
司「シュラスコ料理用の長い鉄串…犯人はそれを、骨付き肉の中に隠しておいたんだな」
司「その凶器とカセットコンロを手に、廊下へと出ていった犯人は…」
司「自分の手にある明かりが大広間の方に漏れないよう、廊下の防火扉を閉じたんだ」
司「そして、明かりを手に倉庫へと向かった犯人は、そこからある物を手にした…」
司「それはテーブルクロス…犯人はそのテーブルクロスを、返り血を防ぐ為に使ったんだ」
司「こうして準備を終えた犯人は、床の穴から大広間の床下へと潜っていったんだ」
司「きっと、カセットコンロはそこで消したか…穴の入り口にでも置いておいたんだろうな…」
司「大広間の床は隙間だらけだったからな、明かりを持って移動するわけにはいかん…」
司「そして、犯人は事前に塗った《《夜光塗料》》を目印に、テーブルの真下へと辿り着くことに成功したんだ」
司「そこで、宵崎はテーブルの裏に隠してあったナイフを見つけてしまったんだ…」
司「もしここで宵崎が引いていれば、きっとあいつは殺されずに済んだんだろうが…」
司「宵崎は、そのナイフを手に取ってしまった。そしてその瞬間…」
司「犯人は、床下から勢いよく鉄串を突き上げたんだ」
司「犯人は、暗闇の中でナイフの夜光塗料が動くタイミングをずっと狙っていたんだ」
司「こうして、宵崎の殺害を終えた犯人は…」
司「わざと床下から声を上げ、自分が大広間にいるというアリバイを作り…」
司「すぐに床下から出てくると、大急ぎで厨房へと戻ったんだ」
司「そして、犯行に使った道具をまた厨房に隠した後で…何食わぬ顔でオレ達と合流したんだ…」
司「これらの犯行が可能だった奴は…1人しかいない…」
司「そうだよな…望月穂波!」
司「…これが全ての真相だ…どうだ、間違っているところはあるか?」
穂波「こ、こんなの…何かの間違いなんですって…私が人殺しなんて…そんなことするはずが…」
穂波「する…はずが…」
穂波「…っうう…!」
杏「これで…終わりみたいだね…」
モノクマ「ゲヘヘ…どうやら、議論の結論が出たみてーだなぁ…」
モノクマ「おっと、つい野生的な一面が出ちゃったよ。さっきのお肉の影響かしら?」
モノクマ「…なんて冗談はさておき、それでは緊張の投票タイムといきましょうか!」
モノクマ「では、オマエラはお手元のスイッチを押して投票してくださーい!」
モノクマ「あ、念の為に言っておくけど、必ず誰かに投票してくださいね?」
モノクマ「投票しねー奴はぁ…さっきの肉みてぇに食っちまうぜぇ…」
モノミ「うう…ど、どうしてこんなことに…」
モノクマ「さて、投票の結果クロになるのは誰か!その答えは、正解なのか不正解なのかーー?」
モノクマ「さぁ、どうなんでしょー!」
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モノクマ「はーい、ということで…」
モノクマ「今回のコロシアイで宵崎さんを殺したのは…望月穂波さんなのでしたー!」
モノクマ「お見事!大正解です!」
穂波「あ…あああぁぁぁぁ…っ」
彰人「ま、まじなのかよ…」
彰人「てめーみてーな奴が…宵崎さんを殺したってのか…?」
えむ「だ、だけど…」
えむ「なんで…?なんで殺しちゃったの…っ?」
穂波「ち、ちがっ…違うんです…」
穂波「私は…みんなを助けようとしただけなんです…」
穂波「人殺しを企んでた神代さんを…止めようとしただけなんですよぉ!」
司「…え?」
司「止めようとした…ってのは…どういう意味だ?」
類「………………」
穂波「私は…朝から旧館で料理の仕込みをしていて…そ、そうしたら…」
穂波「大広間の方から変な笑い声が聞こえてきて…それで、そっちを覗いてみたら…」
穂波「そこで…見てしまったんです…」
穂波「神代さんが…テーブルの裏にナイフを仕掛けているところを…」
穂波「なんだか嫌な予感がして…そのまま神代さんの様子を見ていたら…」
穂波「持ち込んだアイロンを倉庫に置いたり…エアコンのタイマーをいじったりして…」
穂波「1人でずっと、ニヤニヤ笑ってて…」
穂波「だから私は…神代さんを問い詰めたんです…」
穂波「そ、そうしたら、その人は…!!」
類「おや…見つかってしまったかな…?」
穂波「み、見つかってしまった…って…」
穂波「あなたは何をしてるんですか…っ!どういうつもりですか!?」
類「もちろん、殺すつもりだよ」
穂波「…え?」
類「望月さん…言っておくけど、僕を止めようとしても無駄だからね」
類「たとえ今止めたとしても…僕は決して諦めないよ」
類「明日でも明後日でも明明後日でもその先でも……必ずコロシアイを起こしてみせるからね」
穂波「な、なに…言ってるんですか…?」
穂波「いくら外に出たいからって…そんなの…っ」
類「…………………」
類「そうか…やはり、そんな風に思われてしまうんだね…」
類「でも、そうじゃないんだ。僕は、自分が生き残ろうだなんて考えていないよ」
類「僕はただ…コロシアイが始まって欲しいだけなんだ」
類「僕はみんなが大好きなんだ。僕は超高校級のみんなが大好きなんだ」
類「そして…希望の象徴であるみんなを尊敬しているんだ」
類「そう…僕は希望と称されるみんなの才能を、心の底から愛しているんだ…」
類「だからこそ…」
類「コロシアイなんかに負けてほしくないんだよ」
類「どんなに巨大な絶望が立ちはだかろうとも、希望は決して負けないことを証明して欲しいんだ」
類「『希望は絶望なんかに負けない』ことを、みんなに証明してほしいんだよ!」
穂波「何言ってるんですか…い、意味がわかりませんよ…!」
類「敵が強ければ強いほど自分達も強くなる…これはお決まりだろう?」
類「つまり、立ちはだかる絶望が強ければ強いほど、みんなの希望も強くなるはずなんだよ」
類「僕はね…その輝きを見たいんだ。その為に、みんなの踏み台になりたいんだ」
類「僕は君達の希望を輝かせたい…それだけなんだよ」
類「そう、僕が求めてるのは、どんな絶望にも打ち勝つ《《『強い希望》》なんだ!」
穂波「ふざけてるんですか…?まさか、本気じゃないですよね…?」
類「分かってもらえないか…でもいいんだ、別に構わないよ」
類「この愛は一方通行でも構わない…僕はただのファンみたいなものだからね」
類「言うならば僕は…『超高校級の超高校級マニア』ってところかな」
穂波「か、神代さん…あなたどうかしてますよっ!!」
類「やっぱりそう思う?どうかしてるって…思う?」
類「けれど、愛ってそういうものだと思うんだ」
司「類…どういうことなんだ…?」
司「せ、説明をしろ!今の話…全くわからんぞ!!」
類「ほら、自分が贔屓しているボクサーには、強い敵と戦って、勝ってもらいたいと思うだろう?」
彰人「まさか…それと一緒だとか言うんじゃねぇだろうな!?」
類「あれ、だってそうでしょ?」
類「強くなる為に試練が必要なのは当然だし、過酷な試練であるほど強くなれるのも当然だよね」
類「こんなコロシアイなんて、価値のない人間からしたらただの厄災でしかないけれど…」
類「価値のある人間にとっては、その価値をさらに高めるための試練になるはずだ」
類「僕みたいに大した才能もない人間が、その試練になれるなんて最高じゃないか!」
類「僕なんかが生き残っても仕方ない…みんなの試練として死ぬ方がずっと有意義だよ」
類「みんなの価値を高める為の礎になれるなら、こんなに光栄なことはないよ!」
愛莉「も、もうやめなさいよ…気分悪くなってきたわ…」
咲希「意味わかんないよ…結局はただの愉快犯ってこと…!?」
類「愉快犯ではないけれど、みんなからしたらそんなものなのかもしれないね」
類「みんなを差し置いて生き残りたいなんて…ずうずうしい考えは僕にはないからね」
司「だから…望月に計画がバレても構わなかったということか…?」
冬弥「むしろ、そういう風に仕向けたんじゃないんですか?」
穂波「え…!?」
冬弥「神代さんは俺達をコロシアイに巻き込みたかった…それも、複雑な謎であればあるほど面白い…」
冬弥「その為に、あえて望月さんに自分の計画を見せつけたんじゃないんですか?」
冬弥「そこに望月さんの思惑が絡むことを期待して…謎が複雑になることを期待して…」
類「まあそうだね…それに期待したのは確かだよ」
類「その為に、掃除中に見つけた倉庫の抜け穴を、彼女に教えてあげたんだからさ」
みのり「そ、それも神代さんの仕業…!?」
類「『落ちると危ないから近づかない方がいいよ』と…さりげなくね」
穂波「…………っ」
杏「こ、この人ほんとにめちゃくちゃだよ…完全に狂ってるよ…!!」
穂波「そ、そうですよ!だから私は止めようとしたんじゃないですか!」
寧々「でも…それがどうして宵崎さんを殺すことに…」
穂波「私にだって分からないですよぉ…!」
穂波「あのナイフを手にするのは神代さんだったはずなのに…」
穂波「な、なのに…それなのに…」
穂波「どうして宵崎さんが死んでるんですかッ!!神代さんのはずじゃなかったの!?」
司「き、きっと…宵崎は類がナイフを手にするのを防ごうとしたせいで…」
司「だから…類の代わりに…」
冬弥「…いや、そうじゃないと思います」
司「え…?」
冬弥「きっと、宵崎さんは守ろうとしたんですよ。神代さんのことを…」
こはね「そ、そうなの…?」
冬弥「宵崎さんは言っていましたよね」
冬弥「『1人も犠牲者も出さない』と…」
まふゆ「まさか…奏はその約束を守る為に…?」
冬弥「あの暗視スコープがあれば、床下で誰かが動くのも見えたと思うんです」
冬弥「その誰かが…神代さんを狙っていることも…」
絵名「か、奏は…神代さんを守ったの…?ナイフを取ろうとしてた奴なのに…?」
類「そうか…宵崎さんは凄いね…」
類「みんなを守ると約束をし…自らの命を投げ打つなんてさ…」
類「あーあ、それなのに…」
類「こんな結末になるなんて、なんて絶望的なんだろうね!」
司「な…ッ!?」
類「けれど、彼女の死を無駄にしてはいけないよ…」
類「きっとこの絶望を乗り越えることで、みんなはまた強くなるはずだからね」
一歌「まさか…あなたは宵崎さんが自分を庇うと知っていて、あんな行動に走ったんですか…?」
類「いいやとんでもない、僕はそこまで計算上手じゃないよ」
類「僕はただ、いろんな伏線を張っておいただけ…どんな結果が出るのかは後のお楽しみ…ってね」
類「でもこんな結末になるとは予想外だったよ。まさか僕が生き残ってしまうなんてね」
類「でもせっかく拾った命だ。無駄にしてはいけないと思って…」
類「それで、望月さんに協力してあげることにしたんだ」
司「なんで…そうなるんだ…」
類「だって…望月さんも、強い希望を持っていたからこそ、犯行に及んだんだよね?」
類「つまり、彼女の行動も希望に基づいたもの…」
類「そこまでの行動力があるという事は…彼女こそが、僕の求めている存在かもしれないだろう?」
類「『どんな絶望にも打ち勝つ絶対的な希望』だよ」
類「僕はそれを確かめる為に、彼女に協力したんだ」
司「な、何が確かめる為だ!!いい加減にしろッ!」
類「それに、望月さんの心中を察すると、いてもたってもいられなくてさ…」
類「だって、殺したはずの僕が生きていて、代わりに宵崎さんが死んでしまっているんだよ?」
類「このまま彼女を混乱させておいたら、今回の裁判が台無しになりかねないだろう?」
類「でも、僕らの希望が成長するためには、この裁判は必要不可欠なんだ」
類「だから、彼女に協力してあげることにしたんだよ」
類「『僕は死んでも構わないから、望月さんは逃げることに集中して…』ってね」
類「それが捜査前に彼女にかけた言葉だよ。そうだよね、望月さん?」
穂波「う…ああぁ…っ」
類「でも結局は僕の力足らずで、望月さんにとっては残念な結末になってしまったね…」
類「だけど、胸を張っていいんだよ。望月さんの死は無駄になんてならないからね」
類「君は、みんながより強い希望に成長する為の立派な人柱になるんだ!」
穂波「ひ、人柱…!?」
咲希「もうやめてよっ!!聞いてるこっちがどうにかなりそうだよ!!」
彰人「おい…この異常な奴をこのまま放っておいていいのかよ…?」
彰人「殺しちまった方がいいんじゃねぇか!?」
モノクマ「きゃー!殺すだって!最近の高校生は物騒ですねーー!」
モノクマ「でも殺されるのは神代くんじゃないよ。望月さんだからね」
穂波「ひ…っ!」
モノクマ「うぷぷ…忘れたわけじゃないよね?だって最初に言ったもんね?」
モノクマ「人を殺したクロが負けたら…楽しい《《おしおき》》が待ってるってさ」
穂波「ま、待ってよ…っ」
穂波「あれは正当防衛というか…故意じゃなかったというか、事故だったというか…」
穂波「と、とにかく、私のせいじゃないって可能性も…」
モノクマ「殺人は殺人だよ!人を殺したら殺人なの!」
穂波「そんな…」
穂波「わ、私は…神代さんを止めようとしただけなんです…!!」
穂波「それで…それで…!」
モノクマ「望月さんだって本当は、神代君の計画を知ってチャンスだと思ったんでしょ?」
モノクマ「彼の計画を乗っ取った上で彼を殺しちゃえば、きっと誰にもバレないはず…」
モノクマ「そう思ったんでしょ?」
穂波「ち、違います!!私はっ!」
モノクマ「殺意のない人間が、あんな風に人を殺せるわけないじゃーん!」
穂波「う…っ!」
モノクマ「本当は神代くんを殺して、みんなを犠牲に生き延びようと必死だった…そうなんでしょ?」
咲希「ほなちゃん…っ!」
咲希「違うよね…そんなこと思ってるわけないよね…!?」
穂波「………みんな、ごめんね…」
咲希「え…?」
穂波「みんなを犠牲にしようだなんて…そんなこと思ってないの…」
穂波「でもあの時は…ああするしかなくて…」
穂波「それなのに…神代さんじゃなくて…宵崎さんを殺してしまって…」
穂波「……狂ってるのは…私の方みたいだね…」
司「ほ、穂波…!」
モノクマ「ふむふむ…なるほどねぇ」
モノクマ「ま、余韻に浸る価値もなさそうなので!さくっとおしおきを始めちゃいまーす!」
司「な…ッ!?」
モノミ「ダ、ダメでちゅ!そんなのダメでちゅってばー!」
モノクマ「ええい、うるさーい!」
モノミ「きゃぁぁぁぁ!!!」
モノクマ「ふぅ…邪魔な妹を片付けたところで、気を取り直して…」
モノクマ「超高校級のドラマーである望月穂波さんの為に、スペシャルなおしおきを用意しましたー!」
穂波「ま、待ってくださいよ…せ、せめて最後に…」
穂波「奪われた学園生活の記憶ってなんなの…?教えてもらう権利はあるはずなのに…っ」
モノクマ「では、張り切っていきましょう!おしおきターイム!!」
一歌「っ…穂波ッ!!」
穂波「うそ…だよね、こんなの…」
穂波「信じないよ…こんな終わり方なんて…」
穂波「やだ…嫌だよ…っ」
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モノクマ「いやっほう!エクストリーム!!」
志歩「穂波……っ!」
えむ「そんな…!」
絵名「ひ、酷いよこんなの…酷すぎるよ…」
まふゆ「どうして…こんなことするの…?」
まふゆ「どうしてこんな…残酷なことをするの…?」
モノクマ「あれれ、学校で習わなかった?」
モノクマ「悪口を言ったらその悪口をノートに書いて、言った本人の目の前で読んでもらいます…ってさ」
モノクマ「殺しも同じだよ」
モノクマ「自分がやられたらどんな気分か、しっかりと考えなくてはいけません」
一歌「あ、あなたがやらせたんでしょ!?」
モノクマ「まあ、そういうルールだから仕方ないよね」
モノクマ「これは《《ルールあるコロシアイ》》だからね!」
司「何が…ルールだ…」
司「ルールを破ってるのはお前の方だろうッ!!!」
モノクマ「…ん?何それ、聞き捨てならないなぁ」
司「お前は…言ったはずだ…」
司「コロシアイが起きたら、奪われた学園生活の記憶を教える…とな…」
司「なのに…なぜ教えてやらなかったんだ」
司「穂波には、知る権利があったはずだぞ!!」
彰人「つーか、俺らだって一緒だ…さっさと教えろよ…!」
モノクマ「あぁ、確かに約束したね。コロシアイが始まったら記憶を戻してあげるって…」
モノミ「い、言っちゃうんでちゅか?でもそれはさすがに…」
モノクマ「でも、《《すぐに教える》》なんて言わなかったはずだよ?」
彰人「な…!?」
杏「きっ、汚いよ!!」
モノクマ「もちろん約束は守るよ。《《いつか》》は記憶を戻してやるよ」
モノクマ「ただし、いつかは未定ですがね…」
モノクマ「アーハッハッハッハッハ!!」
モノミ「あ、あの…えっと…」
モノミ「あちしも失礼しまちゅ!やらなきゃいけない事があるので…!」
愛莉「何よ…それっ…」
瑞希「汚すぎる!2匹とも逃げた!!」
寧々「け、結局…モノクマにいいように振り回されただけじゃん…!」
類「こんな終わり方は絶望的だね…本当に…救いようがないほどの絶望だよ…」
類「でも、こんな時だからこそ…」
類「希望の象徴であるみんなは、より一層頑張らなくてはいけないんだ!」
杏「な…なんで笑ってんの…?」
類「待ってくれ…悲しいのは僕も一緒なんだよ…」
類「言っただろう?」
類「僕は希望と称されるみんなを…その素晴らしい才能を心から愛しているって…」
類「愛すべき素晴らしい才能を失って…喜ぶわけがないだろう?」
彰人「気色わりーこと言ってんじゃねぇよ!ぶっ殺すぞッ!!」
類「うん、いつでも殺していいよ?」
彰人「は…?」
類「僕が嫌いならいつでも殺してくれて構わないよ!踏み台になる覚悟はとっくにできているからさ!」
類「そこから絶望的な希望が生まれる…そのためなら、僕の命なんて安いものだよ」
遥「神代さん…どこまで歪んでるの…」
類「ただし…僕を殺すなら、ちゃんと僕に相談してからにしてくれるかな?」
類「ほら、そうすれば犯人に協力してあげられるだろう?」
司「お、お前は本当に…犯人の味方をするつもりか…?」
類「?…別に大したことじゃないよね?」
類「みんなが希望ヶ峰学園の高校生なら…選ばれし才能を持つ希望の象徴なら…」
類「僕程度が犯人に協力したところで、みんなは痛くも痒くもないはずだろう?」
志歩「…まさか、堂々と犯人の味方宣言をするなんてね」
みのり「も、もしかしたらさ…それが神代さんの作戦なんじゃないのかな…?」
みのり「自分は犯人にとって有利に働く存在だから、殺さない方が得だってみんなに思わせる為の…」
類「まあ、僕なんてどう思われても構わないよ」
類「実際、宵崎さんのおかげで、生きることに欲が出てきてるんだよね」
類「襲い来る絶望をみんなが次々と打ち破っていく姿を見届けたくなっているんだ…!」
類「あははっ!なんてね」
杏「ねぇ、殴ってもいい?殴らないと気が済まないんだけど」
司「もう、いい…」
司「もうやめよう…これ以上、こんな奴を相手にしたって仕方がない…」
類「おや、司くんにまで嫌われちゃったかな…?」
類「それは少し残念だなぁ…司くんには親近感を抱いていたからね…」
司「なんだ…それ…」
類「君は希望ヶ峰学園に特別な感情を抱いている…それって僕と同じだろう?」
司「お、お前と一緒にするな…!」
類「…一緒じゃないって言い切れるのかな」
類「学園生活の記憶を奪われた話が本当ならば、僕らは自分自身のことすら知らないのと一緒…」
類「君は、尚更そうなんじゃないのかい?」
類「自分がどんな才能を持ってるのかさえ知らない君はさ…」
司「……………」
司「白石…やっぱり殴っていいかもしれん…」
杏「よし…!任せて!!」
類「ちょ、ちょっと待って…!」
寧々「も、もうやめてっ!!」
寧々「そんな風に争ってても…仕方ないよ…」
寧々「他に何か…する事があるはずなんだよ…」
えむ「他に…する事…?」
寧々「私達がするべきなのは、こんな風に争う事じゃない…」
雫「草薙さん…その、すべき事っていうのは…?」
寧々「が、頑張る事…だよ」
絵名「…えっ?」
寧々「まずはここから帰って…しっかり休もう」
寧々「それで…またみんなで頑張ろうよ。2度とここに戻ってこないように…」
寧々「それが今するべき事だと思うんだ…」
寧々「…ご、ごめんね、もっと上手く言えたらよかったんだけど…」
えむ「そ、そんなことないよ!すっごく響いたよ!」
まふゆ「そうだね…頑張るしか、ないんだよね…」
彰人「つーか、頑張るって何をだよ?」
寧々「それは分かんないけど…でも、頑張ればいつか報われるんだよ。きっと…」
彰人「…そうかよ」
冬弥「分からなくてもいいんですよ」
冬弥「とにかく《《頑張ろうって気持ち》》を持つ事が大事…だと思います」
冬弥「だから頑張りましょう。もう2度と、こんなコロシアイが起きないように…」
杏「…そう、だね…」
杏「怖いけど、頑張るしかないんだよね…」
瑞希「よーし!みんなで一緒に頑張ろう!」
えむ「あ、あたしも!全力で頑張るよー!!」
司「ああ…そうだな…」
司「全員で、絶対にこの島から帰るんだ!頑張るぞ!!」
頑張ろう…オレ達はその言葉を何度も繰り返した
自分に言い聞かせるように、何度もその言葉を口にした
安っぽくて、中身のない言葉だって分かっている
だが、それでもオレ達は、繰り返すのをやめなかった
こうして、宵崎と穂波が犠牲となった学級裁判は…その幕を下ろした
その後、裁判場を後にして地上のジャバウォック島に戻ったオレ達は…
一旦、自分のコテージに帰ることにした。
---
あんな体験をしたせいか、オレはどうしても眠る事ができなかった
諦めてベッドから起き上がったオレは、なんとなくホテルの敷地内に出てきた。
何をするでもなく、ただぼんやりと空を見上げていた。
そこにはやはり、星を敷き詰めたような夜空があった。
今にも手元に落ちてきそうな星々…
そんな美しい夜空を見上げていたら…
オレは、どこにでも行ける…
ふと、そんな風に思った。
この空はどこにでも繋がっている。オレ達の日常とだって繋がっている。
だから…きっと帰れる
帰れるはずだ。
司「…ん…?」
その時だった。夜空を見上げていたオレは、妙な感覚に陥った。
そして、夜空を見上げたまま…その感覚に全身を硬直させていた。
これは……
司「………………」
司「……誰かの視線?」
---
--- Chapter1 ---
--- 絶望トロピカル ---
--- END ---
--- 生き残りメンバー 18人 ---
--- To be. continued ---