昔々、ある所に······え?この童話は子供の頃に散々聞いた······?
それなら丁度いい。
あの昔話や、その童話。
子供達に親しまれたあの物語達が、もし"暗黒"に染まったら?
さあ君も、闇の扉を開きにおいで?
共に血塗られた物語を描こうではないか。
※童話、昔話のリクエストは常時受け付けております。
続きを読む
読み方
1話ずつ表示します。
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
逢魔版 みにくいアヒルの子
ある所に、アヒルの家族がいました。
お母さんアヒルは、とても優しいアヒルでした。
お母さんアヒルの他に、3兄弟の子供がいました。
長男アヒルはとても元気で食いしん坊。
次男アヒルは大人しいけれど家族想い。
しかし末っ子アヒルは他の子とは違いました。
身体の色はすすけた色で、大きくずんぐりしていました。
「すすけた色をしたお前なんかが、母さんの子供なわけないやい!!」
兄弟達は言いました。
「まあ、なんてみにくいアヒルの子なの!そのみにくさがうつるから、私に近づかないでちょうだい!」
他の鳥たちは言いました。
「お前はなぜ、みにくいの?なぜそのように生まれてしまったの?」
母さんアヒルまでもが、そう言いました。
末っ子アヒルは悲しくなって、ある時家を飛び出しました。
誰も知らない場所で、1人静かに暮らそう。
そう思い、旅をしました。
途中、何人か人に出会いました。
しかし人は皆口を揃えて言うのでした。
「みにくいアヒルの子。気分が落ち込むから消えてくれ」と。
その度に石を投げられ水をかけられ、酷い時は蹴り飛ばされた事もありました。
みにくいアヒルの子は悲しみましたが、自分の居場所を求め、ひたすらに旅を続けました。
雨の日も雪の日も、休まず旅を続けました。
冬が過ぎ、春が訪れた頃、アヒルの子は誰もいない湿原にたどり着きました。
恐ろしい程静かで不気味でしたが、自分を馬鹿にする生き物は誰もいないと、アヒルの子は喜びました。
ここを自分のすみかにしようと降り立つと、アヒルの子は、自分の身体が変化している事に気づきました。
アヒルの子は、もうみにくいアヒルの子ではありませんでした。
アヒルの子は成長して、1匹の美しい雁となっていました。
自分はみにくくはなかった。美しい雁だったんだと思い、喜びで胸がいっぱいになりました。
雁は、自分の美しさを誰かに自慢しようと辺りを見回しました。
しかし先程から、辺りには誰もいませんでした。
鳥たちはいませんでしたが、雁は糸に吊された貝の中身を見つけました。
不思議な食べ物だな、と思いましたが、おなかがすいていた雁はためらう事無く貝の中身に近づきくわえました。
その直後に、バチン!!という鋭い音が鳴り、雁の足に激痛が奔りました。
実はそれは、湿原に来る鳥を捕まえる為にニンゲンが仕掛けた罠でした。
「痛い!!痛い!!誰か!助けて!!!」
雁は叫び暴れましたが、助けが来る気配はありません。
むしろ暴れた事で罠の刃がどんどん足に食い込んでいきます。
その騒ぎに気がついたのか、1人のニンゲンが猟銃を担いでやってきました。
「おぉー立派な雁が捕れたなぁ。これはよさそうだ。」
猟師は担いでいた銃を、雁に向かって放ちました。
バン、という銃声が辺りに響き渡りました。
雁はもろに銃弾を受け、羽を飛び散らせ、血を吹きながらその場に倒れ息絶えました。
その後雁は猟師の家で羽をむしり取られ、解体されて、猟師の家族に料理として振る舞われました。
こうしてみにくいアヒルの子の短い生涯は終えました。
······え?
アヒルの子の家族は、あの後どうなったのかって?
実はあの後野良犬に襲われ、家族全員、食い殺されていました。
巣があった場所にはもう、血で汚れた羽と、肉や皮、筋がこびりついた小さな骨の欠片しか残っていないそうです。
【ログアウト中·········暫くお待ち下さい。】
世界線ー逢魔
何処かに存在する暗黒の土地。
逢魔が創るものは全て、未知なる力を秘めているという。
逢魔版 鶴の恩返し
わんわん(わんこ)にわくわくされたので気合いが入ってアヒルの子よりも大分グロくなりました。
昔々ある所に、おじいさんとおばあさんが暮らしていました。
2人はとても仲のいい夫婦でしたが、とても貧しい夫婦でもありました。
なんとかして生活するために、おじいさんは山に罠を仕掛けて野生の動物を狩り、おばあさんは機織りをして、織れた布を町に売りに行っていました。
ある冬の朝、外騒がしかったので出てみると、広い雪原に放置された誰かの罠に、1匹のそれはそれは美しい鶴がかかっていました。
「なんとなんと······可哀想に、今助けてやろう。」
おじいさんが罠を外してあげると、鶴はお礼を言うかの様に声高らかに鳴き、空へと飛び去って行きました。
その事をおばあさんに話しますと、おばあさんはほほえんで言いました。
「それはいい事をしたねぇ。きっと、鶴の恩返しがあるかも知れないよ。」
それから数日後。
その日は酷い吹雪の夜でした。
暖房も備わっていないので、おじいさんとおばあさんは身を寄せ合って夜を過ごしていました。
すると、外からかすかに扉を叩く音が聞こえます。
「おやおや······こんな吹雪の夜に、誰かな?」
おじいさんが扉を開けると、そこには雪の様に真っ白な着物を着た、美しい娘が立っていました。
「旅をしていた所、道に迷ってしまいました······どうか一晩泊めていただけないでしょうか。」
「あぁ、もちろんだ。一晩と言わず何日でも泊まっておくれ。」
おじいさんはその娘を家に入れてやり、囲炉裏の火をおこして暖めてあげました。
娘は大変感謝し、お礼に何か恩返しをしたいと言いました。
おじいさんとおばあさんは大丈夫だと言いましたが、娘は機織りを見て言いました。
「私、機織りが得意なのです。もしよろしければ、私が織った布を町へ持って行って、売ってくれませんか?」
娘は、ただ······と続け、少し黙りました。
そして、続けました。
「私が機織りをしている間、絶対にふすまの扉を開けないでくれませんか?」
話を聞いたおばあさんは、おじいさんと顔を見合わせ、微笑みました。
「大丈夫じゃ。若い子には見られたくないものの1つや2つ、あるでのぉ。」
おじいさんも微笑みました。
「絶対に覗いたりはしないから、安心しておくれ。」
それを聞いた娘の表情はぱっと明るくなりました。
それからというもの、娘は毎晩パタパタと機織りをしました。
娘が織った織物は見た事が無いほど美しく、町へもってゆけば高値で売れました。
そのお金で家を修理したり、新しい家具を買ったりして、おじいさんとおばあさんは次第に裕福になっていきました。
ですがある時、おじいさんは娘の元気が無い事に気がつきました。
どうしたのかと聞きますが、娘は答えません。
おじいさんは「あまり無理をしなくてもいいんだよ」と言ってその場を立ち去りました。
その日の夜です。
おじいさんは、機織りの音で目が覚めました。
ふすまに近づき耳を澄ませると、いつもと変わらずパタパタという音が聞こえます。
絶対に覗くなと言われていましたが、おばあさんは寝ていますし、娘も機織りに集中しています。
今しかないと思い、そっと、少しだけふすまを開けました。
中を見たおじいさんは大変驚きました。
そこに娘の姿は無く、1匹の鶴が器用に機織りをしているのです。
それだけでもおじいさんは驚いたのですが、鶴の近くに何やら袋が置かれている事に気づき、目をこらしました。
それの中身を認識した途端、おじいさんは今度は恐ろしさで震え上がりました。
なんと袋の中には、人のものと思われる骨や髪、内臓などがびっしりと詰まっていたのです。
鶴はその袋の中身を少し取り出しては布地に混ぜ込んでいたのでした。
おじいさんは何も見なかった事にして寝ようとしましたが、次の瞬間、鶴がこちらを振り向きました。
「見ましたね?」
鶴は娘の姿に戻り、おじいさんに近づきます。
おじいさんは寝ているおばあさんを起こそうと揺さぶりましたが、おばあさんはまるで死んだ様に寝ていて起きる気配はありません。
鶴はおじいさんの腕をつかみ、部屋に引き摺り込みました。
おじいさんは倒れたまま、娘を見上げます。
「今回は上手くいくとおもったのですが······非常に残念です。」
娘はどこからか大きな刃物を取り出すと、おじいさんに向かって振り下ろしました。
肉が絶たれ、骨が砕ける音が響き渡ります。
おじいさんは叫び、助けを求めますが誰も来ません。
暫くして、真っ赤に染まった娘はさっきまでおじいさんだったものを見下ろしました。
その後娘は、おじいさんだったものを、内臓や骨などを綺麗に分け、何事も無かったかの様に鶴の姿で機織りを続けました。
次の日、おばあさんは娘の声で目が覚めました。
起きてみると、今までのどれよりも美しい紅い布ができあがっていて、おばあさんはとても喜びました。
「おぉ······!これは今まで見た事が無い。きっと、天国のおじいさんも喜ぶでしょうねぇ。」
そういって、仏壇に向かって手を合わせました。
その姿を見て娘は言いました。
「本当ですね。でも、罠をしかけている最中に熊に頭を割られただなんて······気の毒でなりません。」
暫く2人は沈黙していましたが、それをやぶる様に、娘は言いました。
「そうだ、今日は私がこの布を町に持って行きましょうか?おばあさんは無理なさらずに待っていて下さい。」
それを聞いたおばあさんは喜びました。
「ありがとうねぇ。それじゃあ、私はあなたが帰ってくるまで囲炉裏の火をおこして温めておいていますよ。」
娘は身支度をし、外へ出ました。
数日前までの吹雪は嘘の様で、とても美しい日です。
少し歩いた時、背後で轟音が鳴り響きました。
振り返って見ると、おばあさんが中にいるはずの家が燃え上がっています。
炎は天を焦がすかの様に高く、高くあがりました。
おばあさんの叫びが聞こえた様な気がしましたが、娘はそれを無視して鶴の姿になりました。
そして、声高らかに鳴きながら、晴れた冬の空へと飛び去ってゆきました。
【ログアウト中·········暫くお待ち下さい。】
逢魔へ行きたいのであれば、とある方法で"ログイン"して下さい。
·········ログインの方法は、月魄のみぞ知る······。
知りたい方は是非、名前と共にお申し付け下さい······。
貴方様がその"文書"を解読出来るかどうかは別ですが。