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なろ屋、のっき、そらねこ、KAITO、kamome、サムライ翔の6人が描く
息を殺して生きてきた彼らの
夢の続きを追えるのは、彼らだけ_______
これは、そんな6人の青春時代を描いた物語
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目次
めろんぱーかーは無理難題を背負いながらも、立ち上がりたい。1
nmmn
ラメリィさん、こーくさん、スマイリーさん出てきます。
基本全員と絡みます。
🙅♀🌙さん🍈メンバーとして出ます。
以上の項目地雷の方ブラウザ🔙お願い致します。
生まれつき急性リンパ性白血病を患い骨髄移植or抗がん剤治療を受けなければならなくなってしまった、なろ屋
突如発作が起こり中等症持続型ぜんそくと診断され大好きな"とある事"が不可能になってしまった、サムライ翔
両親からの虐待が原因で心的外傷後ストレス障害(PTSD)へと陥ってしまった、のっき
不慮の事故のせいでもう足が動くことはないと宣言されてしまった、そらねこ
心筋症を患い心臓移植のドナーを待つまでの間人工心臓を設置しなければ"死ぬ"と宣言しまれてしまった、KAITO
もう動けなく、歩けなくなるそう遠くない未来をただひたすら待つことだけを強制されてしまった、kamome
これは、そんな6人が出逢い、
未来の希望と
新たに見つけた"夢"を追う
彼らの青春物語
メンバーのおなまえ
灰野 無呂(はいの なろ)
青羽 翔(あおば しょう)
紫部 乃喜(しきぶ のき)
水原 氷空(みずはら そら)
赤美 海斗(あかみ かいと)
黄咲 かもめ (きさき かもめ)
めろんぱーかーは無理難題を背負いながらも、立ち上がりたい。2
nmmn
ラメリィさん、こーくさん、スマイリーさん出てきます。
基本全員と絡みます。
🙅♀🌙さん🍈メンバーとして出ます。
以上の項目地雷の方ブラウザ🔙お願い致します。
side 無呂
「ッ、は、あ、はあッ...」
「な、なろっちっ!?」
「ぅ、あ....はあッ...」
「待ってろ、すぐナースコール押す___
きらきらした太陽の光が、僕を照らす。
空いていた窓の隙間から、冷たい風がふんわりと僕を撫でる。
ああまたかと思い、僕は腕に繋がれた管をぼうっと眺める。
もうこれで、何回目なのかも全くわからない。
すると、ガラッと勢いよく僕の病室の扉が開いた。
「お、なろくんおはよう。ごめんね..昨日、別の手術室に居てナースコール押してくれてたのに行けなくて。」
僕の目の先に映ったのは、ラメリィさん。
僕が幼少期の入院したてのときからずーっとこの病院に勤務している先生で、めっちゃくちゃベテランの人。
まあ、こんな風に親しみやすさ的なものが髄を抜いていて、大半の人は「ラメリィ先生」でなくて「ラメリィくん」とか「ラメリィさん」って呼んでる。
「ううんいいよ。.........それより昨日、僕って発作になってたんだっけ?」
こうゆう、朝の目覚めがあまり良くない日は、大抵いつも前日に発作を起こしている。
そして.....まあ発作を起こしたときの大半の記憶はまったくない。
「うん。昨日はかいとくんが居てくれたから良かったけど.....ほんと発作って怖いよね」
うん、と力なく返事をして、毎度おなじみの体温をはかる。
「........おーっと?ひっくいねえ」
僕の体から離れた体温計に表示された温度は、「35.1°」
「.......発作なった日の翌日は大抵こんなもんでしょ」
僕は軽率に返事をし、高く、背伸びをした。
「まあそうだけど、ちゃんと体温上げなよ。不健康、不健康」
軽くそうあしらいながら、ラメリィさんは僕の病室をあとにした。
静か。
常にそう、ずーっとそう。
生まれたときからこの病院に閉じ込められていて、正直こんな病室檻から抜け出したいなんて、思わないはずがない。
僕はひとつため息をついて、ぐりんと顔を床に向ける。
「ちょっとのき??ほんとなにしてんの」
僕は、ベッドに下に向かってそう言う。
「...........あーもう...見つかっちゃいました..最近ようやく忍びの術を手に入れたと思ったのに......あ、おはようございますなろきゅん!」
僕に満面の笑みでそう言ったのは、『紫部乃喜』。
......うーんまあ、良い言い方して友達、悪い言い方してストーカーかな、僕専属の。
「.......おはよのき。.....昨日はどうだった?ちゃんと寝れた?」
僕はそう言い、のきをこちらに引き寄せる。
ぱちっ、とのきと瞬間的に目があった。
「はい昨日は!.........あれそういえば、昨日かいとくんと一緒に居たんじゃ..」
のきは、発作のことを知らないのかも。
「あーそれね。僕が昨日ちょーっと体調崩しちゃって、かいてぃーに帰ってもらったんだよね」
............うん、嘘はついてないよ、ね?
「ええええだだだ、大丈夫ですか!?私帰ったほうがいいですか!?」
青ざめた表情で、のきは僕に訴える。
..........ほんとおおげさ。
「.....ふは、大丈夫だよ...それより、のきの方こそ、最近体調は大丈夫?」
「........んー.....まあ....前よりかは耳鳴りとかは減りましたので..ましにはなりましたよ!!」
ましになった、か........
のきは、いいなあ
「そっかあ、よかったね」
すると、会話の途中でガラッと扉が開いた。
「おーい2人とも。今日、きみたちと年の近い子が入院することになったんだけど、挨拶しにいく?」
矛先は、ラメリィさん。
「え!?行きたいですとても🎶ね、なろきゅんも、ね!!」
あー....僕はできればここで寝てたいけど...
のきは、目を輝かせながら僕に『ね!?ね!?』と問いかけてくる。
「........んーー....えーどうしよ。ねラメリィさん、かもめんとかいてぃーも一緒していい?」
僕はラメリィさんにそう問いかける。
「んー....かいとくんは今は大丈夫だけど、かもめくんは今オペ(手術室)にいてねえ....」
ラメリィさんは、不安げそうに言った。
うわ、まじか......
「.......え、かもめくん大丈夫なんですか..!?」
のきは焦ったような表情でラメリィさんにそう問いかけた。
「大丈夫だよ。ちょっといつもよりもひどい発作を起こしちゃってね...」
.........かもめん...心配だ...
「........わかった。じゃあ、かいてぃー誘って一緒に行こっか、のき。」
すると、のきは笑顔で頷いた。
_______________
「うそ........もう、足、動かないのッ....??」
めろんぱーかーは無理難題を背負いながらも、立ち上がりたい。3
nmmn
ラメリィさん、こーくさん、スマイリーさん出てきます。
基本全員と絡みます。
🙅♀🌙さん🍈メンバーとして出ます。
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side 無呂
「かーいてぃっ!」
僕とのきは、かいてぃーの病室の扉を、勢いよく開いた。
すると扉の先に居たかいてぃーは、笑顔で僕らを出迎えてくれた。
「なろっちにのっきたん..!......なろっちは昨日ぶりだけど、のっきたんは久しぶりだな..!」
かいてぃーは、僕とのきへ代わる代わる視線を送ると、再び温かい笑みをこぼした。
「......で、どうしたんだ?こっちの西棟まで..」
のきがかいてぃーと会うのが久しぶりっていうのは、病棟が違うから。
基本的には、大抵の患者さんは『東棟』に入院している。
でも、少し症状が悪かったり、難病だったりの場合は、ICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)にできるだけ近い病室のある『西棟』に入院することになっている。
東棟と西棟の間には、『院内学級』てのがあって、そこを挟んだところでようやく西棟に着けるから、ちょーっと距離があるんだよね。
ちなみに、僕とのきは東棟で、かもめんとかいてぃーは西棟。
僕らの夢は、全員東棟にうつること。
それが実現するのは、ほんといつになるかわかんないんだけど....
「今日から、わたしたちと同じくらいの年齢の子が入院するんですって!!それで、今日挨拶しにいこうって話になって...」
するとかいてぃーは、ふわりと笑っていいよと軽く返事をした。
それと同時に、のきは周りに花が咲いたかのようにぶわわっと笑顔をもたらした。
「ほんとですかー!!えじゃあさっそく行きましょ!!」
僕とかいてぃーは、のきに手をひっぱられるがままにささっと病室をあとにしていた。
「お、3人共来たね。」
ラメリィさんが、その子がいるであろう病室の前で待っていた。
.........実際僕も、どんな子なんだろうと気になる節は全然ある。
......僕らと近い年齢なんて....きっと、想像を絶するくらい今は辛いだろう。
僕はもう慣れてるけど、一般の人はそうといかないんだよな。
「じゃ来てもらおっか。おーい、氷空ちゃーん」
...........氷空.....?
「............はー.....い...」
すると、病室の奥の方から小さな声が聞こえてきた。
...............女の子かな?
すると、病室から顔を出したその子は、水色髪の子だった。
...........そして、車椅子に乗っていた。
「自己紹介できる?」
ラメリィさんは、そっと首をかしげ、そう尋ねた。
氷空.....さんは、こくりとうなずいた。
「......ぁ、えっと..水原氷空です....」
.........声、すごく高い。
すると、のきも同じことを思ったのか、ド直球にこう言った。
「.......声、すごく高いですね...!女の子のお友達始めてでとっても嬉しいです🎶」
............え大丈夫そ?これ
氷空さんは、「ああまたか」と言わんばかりにぷいっと下を向いてしまった。
.........まるで、僕の発作が当たり前だと思ったときの反応と同じように...
「.....あー、乃喜くん違うよ。この子、立派な男の子!」
ラメリィさんは、ははっと笑ってそう言った。
本当に悪気がなかったのきは、ひどく取り乱した様子で彼にこう言った。
「...ええええ!?ほんとですか!?ごごごごめんなさい!!とっても魅力的な声ですね素敵です!!!」
あわあわと落ち着かないような態度でのきはそう訂正した。
この.....氷空くんがどんな反応するか、この子の性格出るな。
ちょっと興味あるかも。
すると、反応は思ったよりも意外だった。
「......ふはっ.....!....いいよ、慣れてるから..!....それより..嫌じゃなかったら、君たちの名前教えてくれない..?」
......僕、なんかこの子毒舌なイメージに見えたんだけど、気の所為だったんだろうな。
僕は、彼に向かってこう言った。
「僕も勘違いしてた.....ごめんね..僕は、灰野無呂っていいます..」
それに続いて、かいてぃーも彼に向かって口を開いた。
「....俺は、赤美海斗だ..」
「最後ですね...わたしは紫部乃喜といいます..!....なんて呼べばいいとか、あったりしますか?」
のきは、彼にそう尋ねた。
「......うーん..氷空くんとって呼んでもらえるのがいちばんうれしいけど、基本みんな僕のことそらちゃんって呼ぶよ。だから、好きに呼んで」
そらちゃん...........か。
「わかった!そらちゃんだな!」
かいてぃーは、どんと胸を張るようにそう言った。
「ええ、僕は氷空くんの方が嬉しいんだけどなあ..?」
彼は、少し広角をあげそう言った。
....僕の予想はあたったとも言わんばかりに、彼の毒舌さがでた。
............僕のカン、結構当たるくない..?
「えーじゃあそらくんか?」
「.......かいと、さんだよね!かいとさんは、"くん"呼びの方が性にあってる」
それほんとか?なんて思いながら、僕とのきは2人顔を見合わせて笑った。
「これからよろしくね、なろ屋さん、のっきさん、かいとさん。」
...............いや僕、無呂なんだけど。"なろ屋"ってなに..!?w
車椅子のタイヤをぐるりと回転させながら、またね、と僕らにそう告げて彼は病室へと姿を消した。
side ??
ピッ......ピッ.....ピッ........
「.................俺の、この体も......ほんと........いつまで、持つんだろッ.......」
めろんぱーかーは無理難題を背負いながらも、立ち上がりたい。4
nmmn
ラメリィさん、こーくさん、スマイリーさん出てきます。
基本全員と絡みます。
🙅♀🌙さん🍈メンバーとして出ます。
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side KAITO
「KAITOくん.....また来るからね......」
そう言って、去っていった女の人。
確か、療養病棟に居られる最後の晩餐のときに俺の視界に映ったやつ。
未だに、誰なのかは全く検討がつかない。
母親?子供に君付けするだろうか。友達?当時の俺に友達なんていただろうか。
今はもう居ない、俺の「おばーちゃん」?
確か俺が.......療養病棟からこの総合病院に転院したちょうどそのタイミングで、おばーちゃんは全く姿を現さなくなった。
その女の人がおばーちゃんの確率は本当に低くて、まず俺の事を「かいくん」と呼んでいた時点で違うし、あんなに身長は高くなかった。
じゃあ、誰だ?
それに........
なんで俺が療養病棟からめろん総合病院にうつったのかも.......わからない。
俺は、俺が、わからない。
「かいてぃー...入っていいー?」
俺の病室の外から聞こえてきた可愛らしい声。
なろっちだ。
めずらしい、西棟に足を運ぶなんて。
何か用事でもあるのだろう。
俺はいいよと返事をして、ベッドから足をおろした。
「あのさ、そらちゃん覚えてる?」
俺はなろっちをベッドに誘導させ、冷たい麦茶を手渡した。
覚えてる、と返事をし、麦茶を口へと運ぶ。
「それでね。もうすぐのき、誕生日じゃん」
なろっちの口からこぼれた一言は、のっきたんの誕生日のこと。
..........なんだろう。
なろっちのことだから、どうせ絶対たのしいことに決まってる。
俺はわくわくしながらなろっちの言葉に耳を傾けた。
「いっしょに、でかけない?」
思わず口角が緩み、自然と声が出てしまった。
「え行く。行きたい!!」
するとなろっちは、ふはっと吹き出して、経緯を説明してくれた。
「ふは....よかった..いや実はこれね。そらちゃんが提案してくれたんだよね。」
なろっちの言葉に思わず飲んでいたお茶を吹きかける。
.............え、そ、そらくんが...!?
「びっくりでしょ..?どっからかそらちゃんがその情報を仕入れてきてねー...w僕に『なろ屋さん!!のっきさん誕生日なんでしょ出かけましょ!!』ってすんごい勢いで言ってきてね..ww」
.......そらくん、もしかして案外めちゃめちゃ気が利くのかな。ただの毒舌猫だと思ってたけど...
「じゃあOKで大丈夫そう?」
なろっちはそう言い、ベッドから立ち上がった。
「おけおけ........それより、さ....なろっちとのっきたん、俺が療養病棟からこっちうつったってこと、そらくんに言った....?」
俺は自分でもわかるくらいに、顔を歪ませてなろっちにそう尋ねた。
「.......え?..言ってないよ、大丈夫。僕ものきも、人の病気のこと、そんなすぐにしゃべり散らすようなやつじゃないってわかってるでしょ..?」
なろっちは、真剣な眼差しを俺に送る。
そのまま、言葉は続いた。
「まあずーっと隠し事されてんのもそらちゃん嫌だろうから、いつか、言ってやりなね..?」
なろっちは、そのまま俺の頭をふわりとなでた。
........俺は俺が好きじゃない。
好きじゃない俺を知られるのがきらい、怖い。
だから、一部不特定多数の、俺をよく知る人物にだけ..受け止めてくれる人物にだけ、俺の身に起こったことや、過去にあったことを打ち明ける。
そらくんなんて....まさか、話せるわけがない。
いっつもふよふよしてて......
俺が心筋症なんて知られたら、幻滅されてしまうかもしれない。
だから言わない。
なにが、あっても。
「あ.....おーい、おふたりさーん。そらちゃんが今からリハビリするけど、一緒に見学でもしにいく?」
病室ががらりとあいて、聞こえてきたラメリィさんの声。
その声に、なろっちはいちはやく反応する。
「えっ行きたい行きたい。リハビリルーム入ったことないんだよね、かいてぃーも、行くよね..!?」
「えっ、俺?あ.......うん、行こ。」
俺はそう返事をし、なろっちと同じくベッドから立ち上がった。
「あそうそう。かもめくん、今ICU抜けててねー。病室居るから、かもめくんも連れておいでよ。のっきさんも誘ってあげなね。」
そう言って、ラメリィさんは俺の病室を抜けた。
「かもめん今居るんだ...!!ちょっと待ってめちゃめちゃ久しぶりじゃん会いたい..!!早く行こ、かいてぃー!」
そう言い、なろっちは俺の手を引いた。
「.......ああ。」
軽く返事をし、俺はなろっちと、隣を並んで歩いた。
side kamome
無機質な部屋に響く、母親と医者の声。
「だんだん...弱ってきています..ALSの根本的な治療法はまだなくて...そろそろ、リハビリのはじめどきかと思われます。」
「っ.......そんなッ......」
無理、もう無理だよ。しんどい。
これ以上、俺から"俺"を奪うのか.....?
めろんぱーかーは無理難題を背負いながらも、立ち上がりたい。5
nmmn
ラメリィさん、こーくさん、スマイリーさん出てきます。
基本全員と絡みます。
🙅♀🌙さん🍈メンバーとして出ます。
以上の項目地雷の方ブラウザ🔙お願い致します。
side 海斗
そらくんのリハビリを見学しにいくついでに、かもめんとそらくんを会わせてあげようあげようということで、なろっちと一緒にかもめんの病室へと足を運んだ。
かもめんの病室は、いちばんICUに近いところに設置されている。
______
「え?かもめくんに?」
俺となろっちは、おそらくかもめん担当の看護師の人に、面会の許可を得る為に声をかけた。
「いいよいいよ。かもめくんも会いたがってたよ~」
そうほほえみながら、その看護師はかもめんの居場所へと案内してくれた。
かもめんの病室は、どこか懐かしい匂いが漂っている。
看護師は、ラメリィさんに呼ばれたとかなんとかで、かもめんの病室を一旦あとにした。
すると、奥の方から声がした。
「あれー、かいにゃんとなろぴー!?」
そこには、元気そうに声をあげるかもめんが居た。
それにいち早く反応したのは、なろっち。
「わー!かもめんー!!」
なろっちは、思いっきりかもめんに抱きついた。
相変わらず、なろっちは人懐っこい性格。
「うぉ..wなろぴ久しぶりー....かいにゃんも、久しぶり」
かもめんはふわっと微笑んで俺にそう言った。
「久しぶり兄弟..!........あ、なろっち、本題。」
本題を忘れないように、と思いそう言うと、なろっちははっとした表情でかもめんにこう言った。
「........あ。忘れてた..あのさかもめん。最近ね、入院し始めた子がいるんだけどね。その子...そらちゃんが、今からリハビリなんだって。僕とかいてぃーとのきぷーが見学しに行くついでにさ..かもめん挨拶してなかったでしょ?だから、一緒にその子のところ行かない?」
なろっちはそう言い、かくんと首をかしげた。
かもめんはうーんと頭を巡らせてから言葉を発する。
「あー...ね?.......でも俺..移動する時は、今月いっぱい車椅子じゃないといけなくて。押してもらうの悪いし、せっかくだけど、俺はいいよ」
かもめんは、自分の真隣にある折りたたみ式の車椅子を見つめた。
かもめんは少し引きつった笑みを浮かべていた。
「え、そんなの大丈夫だよ?一緒に行こうよ?」
なろっちは、再び首をかしげてかもめんにそう言った。
「いやいや悪いよ。一応なろぴもかいにゃんも病人だし。俺はいいから、なろぴたちで行ってきなよ」
でも一向に、かもめんは譲らない。
「.......よし、行くぞ」
俺はそう言い、折りたたんであった車椅子を人が座れる状態にし、かもめんをゆっくりと移動させた。
あいにく、俺も過去に折りたたみ式車椅子に乗っていた時期があったことから、車椅子をもとに戻すことは俺にとってヌルゲーだった。
「は!?いやいいってば!?」
焦りながら、かもめんは必死にベッドに戻ろうとする。
「もーだめかもめん。まだ病み上がってないでしょおとなしくしてて!」
なろっちはそう言い、抵抗するかもめんをゆっくりと取り押さえる。
「でーきた!よし、のきのとこ行こっか!」
なろっちはゆるく笑みをつくりながら車椅子のハンドルを握った。
「.........いやまじで助かる。...ありがとななろぴとかいにゃん。」
「うん!」
そのまま俺となろっちとかもめんは、のっきたんが居る西棟へと足を運んだ。
「のーき!居るー?」
なろっちは、そう行ってのっきたん扉をこんこんとノックした。
しばらく経っても、のっきたんからの返事がなくしんと静まっていた。
「のっきたん、居ないのかな。」
俺はそう行って、もう一度ノックしてみる。
でも、反応はない。
「にょきをのことだし..よっぽどのことがない限り病室出ないよな。なんかあったのかも。」
かもめんはそう言って、周りをきょろきょろと見渡した。
それでも、のっきたんが居そうな気配はまったくない。
「...........あ、ラメリィさん居る。」
そう言ったのは、かもめん。
ちょうど、なろっちの病室を通過したあたりのところに居た。
続けて俺はこう発した。
「.....ほんとだ...なぁ、俺、ちょっと聞いてくる、のっきたんどこに居るかどうか。」
「え!?いいよ僕が行くよ?」
なろっちはそう言って、ラメリィさんがいる方向を指さした。
「いい、俺が行く。なろっちは、かもめんと先にリハビリルーム行ってて。追いつくから。」
「ほんと..?わかった..かもめん、行こ」
2人は、リハビリルームへ繋がる道へと進んでいった。
そして俺は、ラメリィさんのもとへ向かう。
「ラメリィさーん。」
俺はラメリィさんにそう声を掛ける。
「お、どうしたのかいとくん。」
「のっきたん、知らないか?」
俺は単刀直入にそう言った。
すると、ラメリィさんの反応は意外だった。
「.......のっきさんは今ね..ちょっと......空き部屋に居るんだよね」
「....は?空き部屋ってなに」
口調が、きつくなってしまった。
それに構わんと言わんばかりにラメリィさんは話を進める。
「.......精神に、異常をきたしちゃってね。今は、気持ちを安らげるために個室にいる。」
「..........でも、さっき俺となろっちが話してた時には、『のっきさんも誘ってあげなね』って言ってなかったか?」
「.......ああ、ついさっきなんだよ、移動したのは。」
「つい、さっき.....?」
「何があったのかは、わからないんだけど....なにか、のっきさんの精神に触れちゃいけないものが触れちゃったんだろうね」
「.......そうか...ありがとう」
「ううんどういたしまして。かもめくんは?誘えた?」
「ああ。じゃあ......ありがとうございました..」
「いえいえー早く行きなね」
はい、と返事をして、俺はかけあしで二人のもとへ向かった。
_____
side 乃喜
「はあッ.....はぁッ........!」
怖い怖い怖い怖い
「ッ........い、ゃだ....ッ!!!」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
戻りたくない戻りたくない戻りたくない
「み..んなと.....いるッ...て決めッ....た、からッ....!!」
『乃喜を_______
返していただきたいんです』
めろんぱーかーは無理難題を背負いながらも立ち上がりたい。
nmmn
ラメリィさん、こーくさん、スマイリーさん出てきます。
基本全員と絡みます。
🙅♀🌙さん🍈メンバーとして出ます。
以上の項目地雷の方ブラウザ🔙お願い致します。
side 氷空
「........氷空くん、今日はもう終わりましょう?もう足が疲れちゃってるわ。」
必死に歩くリハビリをしている僕の隣で、付添の看護師の人が少し表情を曇らせてそう言う。
僕は、まだまだ、と流すようにそう言い放ち、スロープを歩き続ける。
..................早く、誰の手も借りずに歩けるようになりたい....
「じゃあもう、あと1周したら終わってちょうだいね?........逆に、足が動きにくくなってしまうわ。」
僕は気前の悪い返事をして、再び足を動かした。
ドンッ
一瞬の出来事だった。気づけばそこは知らない天井で。
何があったかは、なんとなく察することはできていたけど、どこか信じたくない自分が居て.........
静かに話す母親の声が、僕の背筋を凍らせるようにして流れすぎていく。
"下半身不随"
それは、僕のすべてを奪っていった。
僕は昔から走ることが大好きで、運動会のリレーなんかはいっつもアンカーだったし、体を動かすこと自体も心の底から大好きだった。
母親から聞いた話、事故を起こしたのは1台の車で、居眠り運転をしていて僕の居た道路につっこんできたらしい。
いつもの僕の力を発揮できたなら、それに気づいた瞬間走って車の来ない場所へ移動できた。.................でも、できなかった。
僕の後ろに、赤ちゃんを抱っこした男の子が居たから。
つっこんでくる.......!
そう分かった瞬間、僕はその2人に逃げてというだけ言って、そのまま..........
.........ああ、やだやだ。
「そらくーん!」
どこからか、威勢の良い声が聞こえる。まさかと思い首をくるっと回転させ振り向くと、かいとさんと、車椅子の乗ったひとりの男の子が居た。一瞬僕と同じ症状なのかな、とも思ったけど、なんだか違いそう。
誰なのだろうという事を気になりながらも、僕は車椅子に腰掛け、2人のもとへ向かった。
「かいとさん..!久しぶり!元気だった..?」
僕はできるだけ笑ってそう言って見せた。
「ああ。.......今日は、そらくんに紹介したい人が居て..」
かいとさんはちらっとその男の子の方を向く。
.........わあ、近くで見るとオーラがすごい.....
「はじめましてー!かもめです!えっと、氷空くん...だっけ。よろしくね!」
あれ、意外。
どこかクールな印象を与える塩顔からは考えられないくらいに、かもめ..さんは、明るくはつらつな性格だった。
「......え、っと。そ、氷空です...よろしくお願いします..」
昔からそう。初対面の人と顔合わせをするときは、必ずコミュ障を発動して敬語になってしまう。
なろ屋さんとかいとさんとのっきさんのときも.....意外と挙動不審になっていた。
「ふは、敬語外していいよ..それより、そらちゃんもうリハビリ終わっちゃう?」
................え。
「.......ちゃん..?」
...いやいや。最初君付けしてくれたんだから女の子だと間違われているはずはない。
「あ、だめだった?なろぴがそう呼んでたから.........」
なろぴ........なろ屋さんのことかな..?
全然、僕はちゃん呼びに嫌だなんて感じない。
「あ、ぜ、全然大丈夫..!.....僕はかもめさんって呼んでもいい?」
そう言うと、かもめさんはにっこりと笑って、もちろん!と返事をした。
「あ、いたいた。おーい、3人ともー!」
遠くでそう呼ぶ声が聞こえる。......なろ屋さんだ。
そういえば、なろ屋さんが居なかったことを思い出す。
なろ屋さんがこっちに駆け寄ってきた瞬間に、かいとさんは数量の冷や汗をかきながらこう訴えた。
「っ、あ、なろっち..!!....のっきたん..どうだったか..?」
なろ屋さんは、急にお仕掛けてきたかいとさんにびっくりする様子だった。
「うわかいてぃー!?.......あ、のきはちょっと....今、諸事情で居ないんだって。」
............諸事情?
かもめさんも同じことを思ったのか、こう言った。
「諸事情?なんのだ?」
「........んー..わかんないや。」
かもめさんは、頭の上にはてなを浮かべたまま。
......確かに、どうしたんだろう。
「てか、そらちゃんとかもめん合致できたんだね、よかったよ。」
なろ屋さんは、話を360°回転させて話を進めた。
「ああ。そらちゃん呼びの交渉もばっちり」
かもめさんは、少し不敵な笑みを浮かべてそう言った。
なに怖いんだけど。
「え、かもめんはそらちゃん呼びなんだw」
なろ屋さんはふはっと吹き出してそういう。
この楽しい雰囲気をぶち壊すように、僕の付き添いの看護師さんは声をかけた。
「氷空くん。今ラメリィさんから連絡があって、ちょっと聞きたいことがあるらしいの。...ごめんだけど、かもめくんたちは病室に戻ってもらえるかしら?」
なんで今なんだよと反発したいところだけど、ラメリィさんが言うなら仕方がない。
僕は、みんなごめんねと小さくお辞儀をして、そのままリハビリルームをあとにした。