アナタに夢を。
編集者:愛郁
一般人や校長に自分の演技を見てもらい、
クラス優勝や個人賞で競える演劇専門の学校に入学した主人公。
そこでは「春公演」「夏公演」「秋公演」「冬公演」「最終公演」の
五つの講演があり、主人公達は公演優勝を目標に努力しようとする。
だが主人公の入った「アメトリン」は、去年の全公演で最下位!?
3年生が卒業するまでに、目指せクラス優勝!
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目次
主人公設定!!!
名前 : |立花 未来《たちばな みらい》
学年 : 一年生
所属クラス : アメトリン
受験番号 : 788
性別 : 女
性格 : 優しい、正義感がある、困ってる人を見捨てれない、努力家
好きなもの : 飴、演劇、歌、努力、桃サイダー、桃ゼリー、桃
嫌いなもの : 人の努力を馬鹿にする人、抹茶
得意なこと : 努力
苦手なこと : 怒る
趣味 : 演劇ごっこ
長所 : 人のいいところを真似して自分の良さとして取り込める
短所 : 集中すると周りが見えなくなる
一人称 : 私
二人称 : ○○ちゃん・くん、○○先輩、貴方・貴女
三人称 : あの人
サンプルボイス :
「名前?…あ、私の名前は、|立花未来《たちばなみらい》です!」
「あの、○○先輩!ダンスの稽古をつけてくれませんか、!」
「あ、○○くーん!この前稽古で何か困ってたよね?私でよければ手伝おうか?」
「え、○○ちゃんって抹茶好きなの!?私、美味しい気持ち分かんなくてごめんね…」
「桃ゼリー食べる?元気出るよ!このあとの稽古も失敗無しでバッチグー!」
「稽古で失敗した所をもう一度読み直そう…ここをこうしたらいっそここもこうした方が…ブツブツ」
「~♪!○○先輩!?いつからいたんですか!?ビ、ビックリしちゃいましたよ!」
髪型・髪色 : ピンクのショートカット
目の色 : 琥珀色
その他容姿 : 制服の上に黒のカーディガンを羽織っている
役職 : 一年役者
女役か男役か : どっちも出来る
なんで演劇部に入ったか : 幼馴染みとの約束だったから
その他 : なんでアメトリンなの?ってくらい才能がある。なんならタンザナイトでもいいくらいに(本人は自覚なし)
希望 : 特になっし、主人公なんで✨
Prologue
「788…788…788………」
--- 入学者一覧 ---
--- 772 ---
--- 783 ---
…ちょっっっと待ってよ…流石に間抜けすぎじゃない…?
あぁぁ、これから下を見るのが怖い。
もしも落ちていたらと思うと足が震える。
『二人で、一緒にあの学校へ入学しよ!』
「…」
…もし、落ちていたら、それはもう仕方がない。
私の努力が足りなかっただけ。
やれることはやったもの、入学できてなきゃおかしい。
--- 786 ---
--- 787 ---
--- 788 ---
「あ…!」
「ご、合格だ、!よかったぁ…!」
788…これで私も今日から演劇専門学校の生徒だ…!!!
#1 アメトリン
立花「あ、受かってたのは良かったけどクラス確認しなきゃ…なにかなぁ✨」
歌が上手なプレナイト?それともダンスが上手なアイオライト?
もしかしたら天才集団のタンザナイトかもしれない!✨
…いやそんなわけないか。
--- 788 立花未来 アメトリン ---
立花「ア、アメトリン…?」
アメトリンって、あれだよね。
去年全公演が最下位だったあのクラス…えぇぇぇぇ!?
私あそこに入るの!?
…ま、まぁ、受かったからには文句は言えまい。
さっさとクラスに行こう………アメトリンかぁ。
---
モブA「おい俺"アメトリン"なんだけど、」
モブB「マジ!?乙すぎ~w」
モブA「なんで俺があの"アメトリン"なんだよ!」
モブB「演技下手ってことじゃね?」
モブA「おっ前…!このやろー!」
立花「…」
やっぱり、受かるなら違うクラスがよかったって人が多いよね…。
あんま思いたくないけど、私もその内の1人。
受かるならプレナイトがよかったってのが本音…。
立花「…考えててもしょうがない!気持ち切り替えてクラスに行こう!」
私は私に出来ることを!
---
立花「…」
どうしよう…どこにクラスがあるか全然分からない…!!!
方向音痴とかじゃなくて普通にわからない…!
広すぎるんだこの学校自体が!!!
??「そこの君、ちょっと、いい?」
立花「え、あ、はい!なんでしょうか!」
??「君は、どこのクラス?」
立花「ア、アメトリンです!、」
??「アメトリン…私も一緒。」
立花「!✨嘘じゃないですよね!?」
??「ここで、嘘をつく意味が分からない。」
立花「あ、それもそうですね!、」
??「もうすぐ、自己紹介が始まる。集まってないの、君だけ。」
立花「ほ、本当ですか!?」
??「そう、君だけ。私は、呼びに来たの。」
立花「そうだったんですか…すみません!、」
??「…私、一年生。君も一年生。敬語は必要ない、と思うのだけど。」
立花「えっ、そうなんですか!?じゃなくて、そうなの!?…じゃ、じゃあ、敬語無しで話しちゃおっかな!」
??「それで、いいと思う。」
立花「次は、貴女の名前を聞いてもいい?」
??「…これから、クラスで自己紹介をするのに、今ここで自己紹介をするの?」
立花「ま、まぁ、少しくらいいいじゃん!あ、無理にとは言わないんだけど、!」
??「…」
亥塚「私は、|亥塚風虎《いずかふうこ》…好きに呼んで。」
立花「私は|立花未来《たちばなみらい》!演劇が好きだよ!よろしくね!ニコッ」
亥塚「立花、未来…演劇好き同士、仲良くできれば、嬉しい…。」
立花「勿論だよ!仲良くしよ!」
亥塚「早くいかないと、自己紹介が始まる…。」
立花「あ、そうだった、!教室わかんないから案内してくれる!?✨」
亥塚「…着いて、きて。」
立花「パァァ✨うん!」
#2 自己紹介
--- ガラガラガラ… ---
立花「し、失礼します!」
亥塚「つれて、きました。」
??「おぉ!期待の新人くん達じゃないかぁ!!」
立花「期待の、新人?」
??「いやねぇ?ウチのクラスの1年生、やる気ない人しかいないのよ。でも君は挨拶に元気あってよろしい!!!もう、《《新人講演》》で役あげちゃう!!!」
立花「し、新人講演…?」
亥塚「別名、《《春講演》》。毎年、5月18日にやる講演。一年生がメインで動ける、最初で最後の講演でもある。これを逃したら、もうきっと、役を貰えない。才能ある人しか入学できないから。」
立花「そ、そうなんだ…」
??「んもぅ!君も講演について詳しいから役あげちゃう!」
??「おい、自己紹介はいいのかよ。」
??「…急用じゃないなら帰っていい?」
??「落ち着け二人とも、俺らだけでアメトリンをまとめようと決めたじゃないか。」
??「えちょっと待ってよ、なにその話!?聞いてないんだけど!?」
立花「え、えーっと…」
??「あ、とりあえず役の話はあと!自己紹介をしようじゃないか!」
??「自己紹介遅らせてた原因は間違えなくお前だけどな。」
??「ちょっとうるさい!」
宵闇「ウウン…僕の名前は|宵闇 優《よいあん ゆう》。男で3年生!アメトリンの脚本担当だよ!」
高浜「俺は|高浜 流美斗《たかはま るみと》。男で3年生。アメトリンの女役の主役をよくやってる。」
内海「|内海 七伎《うつみ なおき》だ。男で3年生…アメトリンでは一応、男役の主役をよくやっている。」
宵闇「ほらほら~!先輩として君も自己紹介しなさいってば!」
??「えぇ?…面倒だなぁ…」
城間「…|城間 伊織《しろま いおり》、女で2年生。女役専門だよ。」
亥塚「亥塚風虎、1年女子です。」
宵闇「うんうん!かっこいい名前だね!で、元気のいい君の名前は?」
立花「名前…?あ、私の名前は立花未来です!」
立花「1年女子です!」
宵闇「未来くん!風虎くん!やる気が他の子に比べて君たち二人はあるよ!!!先輩嬉しい!!!」
高浜「下手な演技はすんじゃねぇぞ。」
内海「よろしくな、二人とも。」
城間「はぁ…面倒なのが増えたなぁ…」
アメトリンは才能がないクラス…って言われてたけど、
本当にそうなのかな…、
壁には個人賞とかクラス優勝の写真が載ってるし、
去年ががた落ちなだけ…かも?
宵闇「さーって脚本執筆は諦めようかなー!」
…そんなことはなく、普通に駄目だっただけかもしれない。
#3 去年の講演結果
宵闇「んじゃあ、早速だけど役決めしちゃおうか!」
--- シーン… ---
宵闇「あれ、皆興味ないの!?」
「どうせ今年も最下位だし。」
「どうせまた負けるんだよ。」
「こんなクラスじゃやってけないよ。」
「俺達じゃ才能ないんだし、どう頑張ったって…」
宵闇「うーむ…重症だね、これは。」
高浜「こうなったの全部お前のせいだぞ。」
宵闇「それだとしても、ねぇ。」
城間「そういう奴には役を与えなければいいじゃないですか。私達だけで出ればいいんだし。」
内海「今はよくても、俺たちが卒業した後の役継ぎが出来なくなるぞ。」
城間「それは…そうですけど…。」
立花「…あの!」
宵闇「ん?…おぉ!元気ある少女 未来くん!なにかなぁ?」
立花「去年のアメトリンは、全公演で最下位だったと聞きました。それは、一体何故なんでしょうか!、」
高浜「|コイツ《宵闇》のせい。」
立花「…え?」
高浜「去年、コイツが脚本をふざけて書いたせいでこうなってる。」
城間「秋講演の脚本出来上がったの、本番の2週間前でしたし。本当に馬鹿なんですか。」
内海「夏講演は脚本渡された次の日に本番だったぞ。あれはどう頑張ろうと無理だ。」
高浜「新人講演は主役が熱だして休んだら、謎に宵闇が主役代打で出て審査から外された。一年が主役じゃなきゃ駄目な講演だしな、アレ。」
城間「冬講演は稽古時間めっちゃあったのに、宵闇先輩が稽古途中に変更しまくるからどれがどれか分からなくなって皆困ってた。」
内海「最終講演は練習がグダグダで進まなかったからぶっつけ本番だった。」
亥塚「才能がないんじゃなくて、ただ宵闇先輩が、駄目だっただけって事ですか…」
高浜「そゆこと。」
宵闇「ちょっと酷すぎ!!!」
立花「…」
このクラス、大丈夫かなぁ…
#4 台本
宵闇「さーて皆の衆!去年の講演結果が酷い理由を知れて少しは元気出たかな!?」
内海「寧ろ気分駄々下がりじゃないのか。」
宵闇「まぁいいじゃないかもう!…で、僕の手元には台本がある!」
宵闇「なんでね?これから役を付けたいと思いますよ!!!」
宵闇「主役は女役1人と男役1人。どちらも一年生からの登場になってもらう。」
内海「試験の時に少しだけ、演技の様子を見せてもらった。」
高浜「その演技の出来とかによって役を決める…て訳だけど、」
宵闇「残念なことに現在決定してる1年役者が1人しか決まってませぇぇぇん!!!」
宵闇「て言うか!才能ある子も裏方志望だった!!!なんで!?」
城間「あ、裏方はこっち集合な。」
高浜「ちゃんと呼び掛け忘れてなかったな。よくやった。」
宵闇「ウウン、悲しいねぇ…ま、まぁ、とりあえず話の流れを説明しよう。」
宵闇「…舞台は何処かの町。少女は幼いながらも、病弱な母のために毎日働いていた。少女の家からはお城が見える。ここ最近、ずっとパーティーを開いており、今日もパーティーを開いていた。」
宵闇「『私もあそこに行けたらいいのに』少女は願う。だが、庶民の少女が入ることなど不可能。ドレスもなければ靴もない。いつものように諦めた少女の元に1人の妖精が現れる。」
宵闇「『あのパーティーにいきたいの?』その問いに少女は頷く。妖精は話を進め、パーティーに連れていってあげると言った。魔法で服も靴も用意し、パーティー会場まで連れていってあげれるが、5日間しかその状態にはなれないという条件付きで。」
宵闇「『それでもいい、あのお城に行けるなら!』少女はその条件を飲む。そして目を閉じるように言われ、魔法がかけられる。」
宵闇「周りの音が騒がしくなり、目を開けるとパーティー会場だった。だが、庶民の少女には会場の明かりが強すぎて、外に逃げ出してしまった。少女は静かにため息をつく。そこに現れたのは謎の少年。彼もまた、あの会場の雰囲気が苦手で逃げ出してきたそう。」
宵闇「二人は毎日同じ場所で話し合う。趣味も合うことで段々と惹かれあう…が、ある日の話で少年の正体が分かってしまう。少年はまさかの王子!…これまでのパーティーは王子の婚約者を探すためのパーティーだったそう。」
宵闇「少女は驚く。『庶民の私が王子と軽々しく話していたなんて…』城から逃げ出す少女。ちょうどその時、魔法の効果が切れて家に戻ってきた。もう二度と、城にはいけない。」
宵闇「『5日間だけでもお城に行けて、王子と話せただけ嬉しいの。』少女は悲しい気持ちを押し殺すように自己暗示をかける。そんなまたまたある日、町に買い物に行くと、転んだ拍子に誰かに飲み物をかけてしまった。慌てて謝ると、少女はかけた人物の正体に気づく。」
宵闇「そう、出会った人物の正体は王子だった。王子は言う。『僕はやっぱり、君と一緒がいい』。少女は答える。『庶民のこんな、お城であったような私じゃなくてもいいの?』王子は最後に、こう答えた。『僕が惚れたのは、君の外見じゃなくて、君の優しい中身だよ。』…はい、おしまい!」
亥塚「…中身、長い。恋愛系、なんですね。」
宵闇「そうさ!!!基本講演は長い!!!新人講演の講演時間はざっと1時間ってところかな。」
城間「えぇ?それ、私の役とかないですよね?」
宵闇「ふっふっふ…配役発表をお待ちなさい!!!」
高浜「俺は女役だよな?」
宵闇「だから名前呼ばれるまで我慢しなさいって!!!」
内海「1年生が困っている。いい加減にしないか。」
宵闇「すまないね!!!いやー、気が付いたら話が逸れまくっている…以後気を付けるよ。では、主役の名前を先に発表しよう。」
宵闇「少女…レイ役に、」
宵闇「《《立花 未来》》!!!」
立花「…えッ!?」
#5 配役発表
立花「え、えぇ!?も、もう一回言ってもらっていいですか、」
宵闇「分かったよ。いいかい、君が新人講演の主役だ!」
立花「わ、私が…!?」
亥塚「おめでとう、主役さん。」
高浜「よろしくな、レイちゃん。」
内海「困ったことは直ぐに聞いてくれ、ちゃんと答えよう。」
城間「失敗だけはしないでね。これ以上アメトリンの評価下げたくないし。」
立花「は、はい!」
宵闇「そして、もう1人の少年…ユウ役を任せたい人が…」
??「すみませーん、遅れちゃいましたぁ。」
宵闇「丁度いいタイミング!!!ちょっと自己紹介して!!」
??「え?あ、はい。」
藍白「797番、|藍白《あいじろ》 |鴇《とき》です。」
宵闇「藍白くん!突然だが、君と立花くんを主役に据えた舞台を作ることになった!!!」
藍白「立花?主役…?」
内海「今、新人講演の配役発表をしていたんだ。それの主役が藍白と…あそこにいる立花というわけだ。」
立花「!あ、立花は私です!」
藍白「ペコッ 藍白鴇です、よろしく~。」
立花「立花未来です!よろしくね!」
宵闇「主役が発表できたと言うことで!続いてレイを変身させる妖精役!これに城間伊織!」
城間「私役あったんですか…?…はぁ、分かりました。求められてることだけをします。」
宵闇「目立ちすぎず目立たなすぎずを徹底してね!!!次に、レイの母親役に高浜流美斗!」
高浜「演劇トップ5の座をとられねぇように頑張らせてもらうわ。…あとは1年より目立たないこと。」
宵闇「君はよく主役より目立っちゃうからね!注意して!最後、王様役に内海七伎!」
内海「精一杯やらせてもらう。あとは主役のサポートに徹しよう。」
宵闇「流石!任せたよ!!!…では、残りのアンサンブルと裏方は僕の所においで!」
高浜「役をもらった奴はこっちに集まれ!」
内海「台本をもらってない奴はいないか!」
立花「あ、すみません!私貰ってないです!」
私が、主役…新人講演の主役…。
私の演技、ちょっとは上手かったってことでいいのかな…。
そう思ったらなんか、自信わいてきちゃうな~!✨
城間「…立花、だっけ。」
立花「え?あ、はい!城間先輩、どうかしましたか?、」
城間「別に、主役に選ばれたんだから下手な演技はしないでねって。…去年と同じ思いはしたくないし。」
立花「去年…はい、わかりました。私は私に出来ることを全力でやります!」
立花「なんせ主役ですので!」
城間「…そう。」
立花「あ…」
すぐいっちゃった。
---
??「初めまして皆さん、まずは私の自己紹介をしますね。」
雷羽「|藍白《あいじろ》 |雷羽《らいは》、アメトリンの担当教師です。よろしくね。」
高浜「教師っていってもサポート係だからな。舞台に関係することは基本俺らだけでやる。舞台にたつのも生徒だけ、舞台に関係することも生徒だけ…教師がすることは生徒の体調管理や舞台回りのセット、各方面への講演内容のポスター作成くらい。」
雷羽「私が説明する前にどうもありがとう、高浜くん。」
高浜「いえ。」
雷羽「…基本的に私がやるのは、高浜くんが言ったような事だけです。ですが、3年生が忙しいときや稽古を見てもらう人がいない場合は私が稽古を見る事もあります。」
雷羽「去年は私がずっと忙しくって稽古を見れなかったのだけど、今年は出来る限り見ていきたいと思っています。…稽古見なかったせいで散々な結果になってしまったから。」
内海「優のせいだな。」
城間「それ以外あり得ないと思いますよ。」
雷羽「とにかく、今日は校内を見て回ったり、自己紹介をしあったりして過ごしてね。…では、台本の読みあわせは明日から始めます!明日は台本忘れないでね!」
「「「「「はーい」」」」」
立花「…主役、」
レイ、とある町の女の子。
台本をじっくり読んでレイを理解していこう。
明日の稽古で、下手なものは見せられないし。
#6 稽古開始
皆さんおはようございます!立花未来です!
本日から稽古が始まると言うことで稽古場に向かっております!
台本を読みまくって、主人公レイについて少しだけ分かった気がします!
---
宵闇「おやおや!まだ稽古時間じゃないのに皆さんお揃いで!」
藍白「…母さ...先生はどこにいったんですか?」
宵闇「ん?雷羽先生?あぁ、今は職員会議で抜けてるよ!だから僕が稽古を手伝います!役はないけどね~。」
宵闇「ま、こういう話は後で気になるなら聞いてもらって…稽古始めるよ!なんせ時間がないのでね!!!」
宵闇「台本今週《《は》》持ったまんまでいいよ!では、一番初めから一度通しで読んでみよう!」
---
宵闇「真っ暗な会場の中に大きな花火の音と白のシルエットが現れる!その手前に一筋のスポットライト!そのスポットライトに照らされるのは主人公レイ!」
「ん"ん"っ…」
レイ『はぁ…綺麗なお城でパーティー…。いつか私もいってみたいな…。』
宵闇「…はぁい、ストォォォォォップ!!!立花くん、もうちょっとこう、悲しい雰囲気で話してみて!レイの感情がどうなのかが定まってないよ!」
「は、はい!、」
---
宵闇「次!お城から外へ出てきたレイの元に寄ってくるユウのシーン行くよ!」
藍白「はい。」
ユウ『君、さっきパーティーでいた子…だよね?』
レイ『え…貴方は?』
ユウ『僕はユウ、ユウだよ。パーティーに参加してたんだ。』
宵闇「…ストォォォォォップ!!!藍白くん、ここはユウが『王子じゃなくなんというのが正解なのか…』と悩むところだから間を取って!あと台詞に動きがない!もっと感情込めて!」
藍白「は、はい!、」
---
宵闇「…じゃ、15分休憩!」
「っはぁ、!」
駄目だ…初心者過ぎてどれが正解なのかわからない…
自分では正解の演技だとを思うような演技も駄目出しされちゃうし…
藍白「…ねぇ、未来ちゃん。」
「わっ!?…あ、藍白くん、!?どうしたの?、」
藍白「あ、えっと…主人公同士、役を深めあうことが大切なんじゃないかなって。」
「た、確かに!えっとじゃあ、お互いに思う自分の課題からどうにかしない?」
藍白「いいね、それ…僕の課題は『台詞に感情をのせること』だと思う。ずっとそこだけ注意されてたし…。」
「私は『レイの感情を理解すること』かなって思うの。正直、何が正解なのか演技初心者過ぎて分からないことばかり…。」
藍白「…演劇初心者?」
「え?あ、うん。本格的な演技は今までしたことがなかったから、一応初心者だよ?」
藍白「…初心者だったんだ、僕も同じ。」
「そうなんだ…あ、ねぇねぇ、鴾くんはどうしてこの学校に入学したの?」
藍白「…それは、母さん…いや、先生の姿に憧れたから。舞台のため、生徒のために忙しなく働くあの姿を見て、僕もあぁなってみたいって。演劇も楽しそうって。」
「…ふふっ、w」
藍白「?どうかした…?」
「ううん。ねぇ鴾くん。今の感じ、王子になった理由を話すユウに似てないかな?」
藍白「!…そっか、台詞を、ユウを自分に置き換えてみればいいのか、」
「うん、多分それで解決できるんじゃないかな?感情を引き出すには自分が演技に入り込まなきゃだし!」
藍白「ありがとう、未来ちゃん。…それじゃ、次は未来ちゃんの課題を___」
宵闇「15分休憩おしまい!稽古再開するよー!」
藍白「あ、はい!、…ごめんね、未来ちゃん。」
「ううん!気にしないで!頑張ろ!」
#7 自主練
宵闇「…うん、今日の稽古はここまでぇ!稽古初日だけど皆結構出来るねぇ!」
高浜「あぁ、…あ?おい、七伎。新人講演っていつだったか?」
内海「5月の18日だな。」
高浜「だよな?おい伊織。今って何月何日だ?」
城間「今ですか?ちょっと待ってください、スマホ見ます…4月の16日です。」
高浜「てことは全体練習は20日くらいか…。」
宵闇「土日とか祝日に練習すれば時間は増えるけどねぇ!」
城間「…主役がまともな演技しないとなにも始まらないと思いますよ。」
高浜「ま、そりゃそうだわな。」
内海「あまりプレッシャーをかけるんじゃない、支えるのが役目だろう。」
宵闇「そうだね~…あ、大事なこと言い忘れてた!!!」
藍白「なんですか…?」
宵闇「来週から立ち稽古…台本持たずに稽古始めるから台詞を頭に叩き込んどいてね!じゃ!僕は部屋に戻るから!」
藍白「…来週から?」
内海「台詞の暗記が難しかったらいつでも手伝うから声をかけてくれ。」
藍白「あ、ありがとうございます。でもまずは、1人で頑張ります。」
内海「そうか…では、頑張ってくれ。」
藍白「ありがとうございます、」
「…私も台詞を頭に入れなくちゃ…。」
皆も初日なのにある程度役の形を掴んできてる。
なのに私は…
城間「…い、おい、おい!」
「!?は、はい!…って、城間先輩?、」
城間「はぁ…屋上。」
「お、屋上?」
城間「風当たりが良くて涼めるよ。…考え事とか自主練には最適かもね。」
「!…あ、ありがとうございます!」
城間「別に。私、君が困ってるのを見るの嫌だし。」
「すいません!、失礼します!」
城間「ん。」
---
「はぁ…」
涼しい。
熱を持った頭が冷えてくような感じ…
??「あれ、先客いらっしゃいましたか?」
「え…あ、邪魔でしたか!?」
??「あ、邪魔じゃないです!私全然新入生なんで私がどっか行きます!」
「え、あ、私もです!」
??「本当ですかぁ!?てことはてことは、1年生で…あってますか!?」
「はい、!」
??「一緒です一緒です!えっと、お名前は!?」
「私は立花未来っていいます!、アメトリンです、!」
舞風「私はアイオライト1年、|舞風 暗《まいかぜ あん》です!ダンスと勉強なら任せてください!タメでOKです!」
「暗ちゃん!よろしく!、」
舞風「よろしくです!」
「暗ちゃんはどうしてここに?」
舞風「えっと…新人講演で役を貰ったんですが、しっくりこなくて…先輩達はまだ初日だから焦らなくていいって言うんですけど、やっぱり頑張りたいじゃないですか!」
「凄く分かる!私も今その状況で…」
舞風「立花さんも一緒なんですか!?やったやった!じゃあ私達、似た者同士ですね!」
「ふふっ、そうだね!」
舞風「折角なので練習付き合ってくれませんか?私も付き合いますので!」
「いいよ、一緒に練習しよ!クラスは違うけどね w 」
舞風「クラスなんて関係ないと思います!練習相手は誰だって居ないよりはいいですからね!」
「そうだね!、よし、頑張ろう!」
舞風「はい!」
#8 稽古2日目
雷羽「昨日は休んでいてごめんなさい、職員会議があって…」
内海「平気です、稽古は一応やっていたので。」
雷羽「そう?ならよかったわ…では、稽古を始めましょう!」
---
雷羽「初めのシーン、途中で止めてしまうけれど一度通してみましょう!」
「はい!…」
レイ『私もいつか、あのお城のなかに…なーんて、叶うわけないか…』
妖精『だったら私が叶えてあげる♪』
レイ『え…あ、あなたは!?』
妖精『私は魔法使いの妖精よ!あなたが口にした願いを叶えに来たの!』
レイ『口にした願いって…まさかパーティーに!?』
妖精『その通り!私があなたをパーティーに行かせてあげる!』
レイ『でも、そんないい話があるわけ…』
雷羽「ごめん、一旦止めて!」
雷羽「城間さん、声に明るさが乗っていないからそこを頑張って!」
城間「声に明るさ…分かりました。」
雷羽「立花さんは驚くシーンがあんまりね…もっと心から驚けるように頑張りましょう!」
「は、はい!、」
高浜「あ…すんません雷羽先生。そろそろアイオライト生とダンス振り付け考える時間なんで俺抜けます。」
雷羽「分かったわ、頑張ってね!」
高浜「うっす。」
雷羽「高浜くんが抜けたから高浜くんのシーンは飛ばして…ユウが王子とバレてしまうシーンをやります!」
---
ユウ『ねぇ…君はどうしてこのパーティーに来たの?』
レイ『え?…それは…私、ただ憧れていたの!家の窓から見えるキラキラしているパーティーに!』
ユウ『キラキラ…そっか。』
レイ『ユウはどうしてパーティーに?』
ユウ『僕は、王子だから…あ』
レイ『…王子?ユウって、王子なの?』
ユウ『あ、違う、違うんだ、レイ、』
レイ『私、今まで王子と話していたの?』
ユウ『待って、レイ!』
レイ『私に、嘘をついていたの…?』
ユウ『あ…』
レイ『ッ、』
雷羽「はい、一旦ストップ!」
雷羽「鴾…藍白くんはレイに来た理由を問いかけるシーンがリアルっぽくなってていいと思う!でも戸惑うレイを引き留めようとするシーンが微妙ね…もっと焦って取り敢えず話を聞いてほしいって気持ちで引き留めてみたらいいと思うわ!」
藍白「はい、分かりました。」
雷羽「立花さんは憧れていると話すシーンが上手!でも王子と知って戸惑うシーンがあんまり…さっきも言ったように、驚くシーンが苦手みたいね。稽古頑張っていきましょう!」
「はい、頑張ります、!」
---
雷羽「…はい!今日はここまで!よく皆頑張っていたわ!」
ガチャ
高浜「あれ、稽古終わっちゃいました?」
雷羽「高浜くん!今丁度終わりにしようとしていた所よ。」
高浜「マジすか、…じゃあ少しだけ俺話していいですか?」
雷羽「えぇ、どうぞ!」
高浜「えー、新人講演のダンス振り付けが出来たんで、明日一日中ダンス稽古になります。ダンスは歌いながら踊る奴もいるんで、全員朝8時からダンスルーム集合。」
城間「えぇ…ダンス振り付け出来ちゃったんですか…最悪…踊りたくない…」
高浜「ちゃんと伊織の振り入ってるから安心しろよ。」
城間「安心じゃなくて不安です。」
藍白「あの…朝8時だと授業ありますよ…?」
高浜「そこはもう『明日アメトリンはダンス稽古やるんで授業出席しません』って言って授業教師の許可とってる。」
藍白「じゃあ大丈夫なんですね…」
高浜「あぁ。ま、明日はダンスやるからタオルなり水なりなんなり、必要だと思うやつは自由に持ってこい!以上、解散!」
「…」
ダンス振り付けと台詞を頭にいれて…
あ、駄目だこれ。やること多すぎてパンクするかも…
#9 稽古3日目
※自作歌詞入ってます。イタイと思う方は↩️
高浜「…よし、全員揃ってるな?」
雷羽「欠席者はゼロよ、高浜くん。」
高浜「ありがとうございます、雷羽先生。」
高浜「んじゃ、手本で一回踊るから見とけよ。」
---
高浜「~♪~~~…」
藍白「…未来ちゃん、僕達これ歌いながら踊るんだね。」
「うん、頑張ろうね…」
藍白「頑張って出来るの…これ…」
---
高浜「…はい、終わり。振り入れ始めるぞ~。」
城間「うっわ…踊る気失せるんですけど…」
高浜「諦めろ~踊るしかねぇよ伊織~。」
内海「主役二人、振りはなんとなく入ったか?」
「えーっと…」
藍白「凄すぎて頭に入ってないです…」
内海「そうか…流美斗!」
高浜「~だから~…あ?」
内海「振りを俺が教えててもいいか?」
高浜「お~振り入ってるならいいぜ、ちゃんとしとけよ。」
内海「分かっている。…では、始めようか。」
---
内海「立花、もう少し滑らかに動いた方がいい!」
「はい!、」
内海「藍白、ダンスに集中しすぎて顔が下を向いている!顔をあげろ!」
藍白「す、すみません、!」
内海「あ、立花!そこのテンポが早い!もう少し遅く!…それは遅すぎだ!もう少し早く!」
「すみません!」
内海「藍白!そこで立花の手をとり引き寄せる!…動きがぎこちない!もう一度!」
藍白「はい!」
高浜「…俺よりアイツの方がスパルタ説あるよな。…あ、伊織!そこ足の位置違う!やり直し!」
城間「私にはどっちもスパルタに感じますけどね…!」
---
高浜「…ん~七伎!そっちの主役さん達は大体振り入ったか?」
内海「あぁ、大体は入ったぞ。」
「ッはぁーッ!」
藍白「ふーッ…体力凄く使うやッ…」
「んねッ…これに歌もついたらッ、どれだけヤバくなるんだろッ…」
高浜「なるほどな~…んじゃ、歌もいれてやってみるぞ~!」
「うっわ…ッ体力なくなる…ッ」
---
レイ『魔法にかけられた~♪』
ユウ『君と出会えた~♪奇跡のような日が~♪』
レイ『ただ~♪続いてほしくって~♪』
ユウ『2人で描く~♪』
レイ『夢の形を~♪』
ユウ『2人で描く~♪』
レイ『夢の世界を~♪』
高浜「ん~…どうだ?歌姫さんよ。」
城間「まぁまぁですかね。初めて歌うので最初から期待はしていませんし。」
高浜「辛口評価か?」
城間「辛口もなにも、しょうがないでしょう。…どうせ今年も去年と同じ結果ですよ。」
高浜「伊織…」
城間「2人!…歌詞を頭にいれておいて。明日はダンス稽古もやるから。あと、講演曲が出来次第、歌唱曲の稽古にも入る。」
「か、歌唱曲もあるんですか!?」
藍白「ヤバ………、自主練しなきゃ…今日は徹夜かな…ボソッ」
雷羽「藍白鴾くん、徹夜とか体に悪いことは駄目よ!、…ちゃんと休んで頑張りなさい。」
藍白「…はい、先生。」
「…」
ダンスに歌に台詞暗記に演技稽古…
主役ってこんなにも大変なんだ…
私が夢見た舞台はあんなにキラキラしていたのに…
演者って、観客に夢を見せるためにこんなに努力するんだ…
「ヤッバ…ボソッ」
#11 稽古4日目
※自作歌詞入ってます。イタイと思う方は↩️
雷羽「今日は金曜日と同じでダンス稽古やります!頑張りましょう!」
高浜「今日は俺も踊るんで、雷羽先生が指示してもらってもいいですか。」
雷羽「分かったわ、私が見ます!」
雷羽「じゃあ…初めから通してみましょう!」
---
レイ『world of lies and magic~♪』
ユウ『僕らは手を取り合う~♪』
レイ『くだらない噂話を聞き流してさ~♪』
ユウ『world of lies and magic~♪』
レイ『私達は~奇跡で出会うの~♪』
ユウ『星空の下で~♪歌歌ってさ♪』
雷羽「はい!藍白鴾くん!『歌歌ってさ』じゃなくて『歌を歌ってさ』よ!歌詞を間違えているわ!」
藍白「すみません、気を付けます!」
雷羽「立花さんは英語の発音がちょっと片言になっちゃってる!発音頑張ろう!」
「はい、わかりました!」
---
「はー…ッ」
雷羽「今日の稽古はここまで!講演まで全体練習はあと16日!また明日も頑張りましょう!」
藍白「まだまだ全然だ…頑張らなきゃ…」
「あ、藍白くん!」
藍白「え…?どうしたの、未来ちゃん。」
「稽古に付き合ってほしいんだ、台詞あわせ!」
---
藍白『あれ…?誰かいるの…?』
『え!?…あ、ごめんなさい!私今帰りますので!、』
藍白『いや、帰らなくていいよ!、』
藍白『それより…君、さっきパーティーでいた子…だよね?』
『え…貴方は?』
藍白『僕は…ユウ、ユウだよ。同じパーティーに参加してたんだ。』
藍白『そうだったの?、…』
「ごめん!、なんかしっくりこないや、もう一回だけいい、?」
藍白「うん…8時までならいいよ。」
あと30分…集中しなきゃ!、
---
--- 城間伊織side ---
「はぁ…歌唱曲の歌詞丸投げとかどうかしてるよ|あの人《宵闇》…ん?」
藍白『…レイ嬢、僕と踊ってくれませんか?』
立花『お嬢様なんて…いや、エスコート頼みます。…ユウ様。』
藍白「ここからダンスだよね…」
立花「うん、課題の確認しなきゃ…」
「…」
ふーん…稽古してるじゃん…しかも結構真面目に。
去年の新人講演なんて…
--- 『クラス優勝は…《《タンザナイト》》!』 ---
--- 『クラス順位発表』 ---
--- 『一位 タンザナイト』 ---
--- 『二位 アイオライト』 ---
--- 『三位 プレナイト』 ---
--- 『最下位 アメトリン』 ---
…いや、思い出すだけ無駄か。
どうせ今更変わる結果じゃないし。
でも…
立花『私、パーティーに行けるだけ幸せなんだもの!』
あんなにキラキラ演技する人を、
藍白『僕はパーティーとかキラキラする場所が苦手だけど、レイに会えるなら楽しいかもね!、』
あんなに心から演技を楽しむ人を見ていると、
私もああなれたのかなって、
今年は、クラス優勝できるかもって、
叶うわけのない夢を抱こうとしている。
「夢なんて、抱くだけ無駄なのに…ボソッ」
内海「あ、伊織。」
「…七伎先輩、お疲れさまです。」
内海「あぁ、お疲れさま。丁度よかった、伊織に伝えたいことがあってな。」
「なんでしょうか。」
内海「明日、少し事情があって入学が遅れていた生徒がやってくる。…一応才能はあるから頼んだぞ。」
「把握はしておきます。…私は関わる気ありませんけど。」
内海「伊織…」
「だって私は、」
「アメトリンを最下位にした歌姫なんですから。ニコッ」
私はこの罪を背負いながら生きていく。
私が演劇専門学校に合格してしまって。
アメトリンに入ってしまったせいで。
アメトリンは最下位になってしまった。
だから私は、
『アメトリンに最低な印象をつけた』という罪を背負って生きるしかないんだ。
#10 休日
立花未来、演劇専門学校に入学して初の休日です!
早速なので家族に電話を…
あ、家族いないんだった…
じゃあ、友達に電話を…
あ、友達スマホ変えたんだった…
…外にでも、でかけようかなぁ…(泣)
---
「わぁ…✨」
稽古ばっかしてて街に降りたことなかったけど、凄い…!✨
あそこには服屋!あそこにはお団子屋!あそこにはレストラン!✨
どこを見てもキラキラしてて楽しい!
私これからここで暮らしてくんだ…!
「って…え!?」
な、なんかあそこに虹色の髪の人がいる…!?
あ、あれって地毛かな…?いや、流石にウィッグ…?
??「!」
「あ…」
あの人…目も虹色…!?
え、あれ、なんか近づいてきて…!?
??「君君!そこのピンクの髪の君!」
「え、私ですか!?」
??「そうそう!私だよ私!君ってば凄く綺麗な琥珀色の目をしているよね!それにサラサラの髪!スタイルはいいし顔は可愛い!最高の被写体だよ!」
「ひ、被写体…?」
??「うん!一枚でいいんだけど…写真撮らせてくれないかな!?」
「しゃ、写真ですか…」
??「あぁ、この虹色が変だなと思ってる?それは違うね!変じゃなくて産まれたときからだから!」
「産まれたときから!?」
??「まぁ私の事はいいでしょ!?一枚でいいの!写真撮らせてくれない!?」
「ま、まぁ…いい、ですよ?」
??「本当!?よかったぁ!じゃ、こっちに立って!」
---
??「うん、すっごく素敵な写真!君にもあげる!」
「あ、ありがとうございます…」
空と私が綺麗に写るように撮られてる…凄い…✨
??「あ!私これから歌の稽古しなきゃだった!ごめん!撮らせてくれてありがとう!じゃあね!」
「あ、はい!…凄かったな…。」
いろんな意味で。
---
「ここは…アイス?」
いろんな種類がある…31じゃん…
??「雪ー。チョコアイスとバニラアイスどっちがいい?」
??「抹茶アイスー!!」
??「抹茶は無いわ。」
??「あ、ない?じゃあチョコ。」
「チョコアイス…」
美味しいよねぇ…あのほろ苦いのがまた最高…。
「アイス食べよっかなぁ…。」
---
「モグモグ…美味しい…✨」
バニラアイスにしちゃったけど美味しい…✨
コクがあってなめらか…モグモグ
「…稽古しなきゃ、全然駄目だし…」
まだ駄目だ。稽古しなきゃ。
私は主役なんだから…!
#12 伊織の罪と後悔
私も入学したときは、あの人達みたいだった。
--- 765 城間伊織 アメトリン ---
「ア、アメトリン…!?」
当時、アメトリンは有名だし人気だった。
去年まで《《天才》》がアメトリンにいたから。
アメトリンでタンザナイト級の才能が開花した天才に、誰もが夢見た。
『自分もアメトリンであぁなれるんだ』と。
私も例外ではなかった。…周りと変わらぬ夢持って入学していたから。
---
新人講演の時、私は主役に選ばれた。
ただただ嬉しくて、精一杯頑張ろうと思って。
苦手なダンスは高浜先輩に、
役の演じかたは内海先輩に、
細かいところは宵闇先輩に聞いたりして。
毎日毎日努力して、やっとクラス優勝が見える位置まで届いた。
クラスの士気が高まり、皆が『これならクラス優勝できる』と思っていた。
でも、《《練習と本番は違う》》。
人間って、「本番に強い人間」と「本番に弱い人間」がいる。
私は「本番に弱い人間」だった。
本番で私は、あり得ない失敗をしまくった。
台詞を飛ばし、ダンスで転び、歌は音を外し、
誰もが絶望した舞台だったと思う。
…いや、絶望したんだ。
当たり前だというようにクラス順位は最下位。
あの後の舞台準備部屋の空気は最悪だった。
高浜先輩とか内海先輩がクラスの雰囲気戻そうとしてくれたけど、誰も暗い雰囲気から戻りやしない。
皆が同じことを思っているから。
『城間のせいで』と。
---
その後の学校生活も最悪なのは変わらない。
夢が消えていく感覚だった。
私が夢見た舞台はこんなじゃなかった。
私は見に来てくれた人に夢を見せることが出来なかった。
舞台人失格だ。
廊下を歩けば聞こえる声。
『城間がミスったせいで』『城間のせいで』『なんで城間が主役だったんだ』
聞きあきるほどに聞いた台詞。
私だって人間だし、言われ続けたら少しは傷付く。
けど、反論する気にはならない。
だって言ってることは正しいから。
私のせいでアメトリンは最下位になった。
なのに、宵闇先輩は懲りずに私に役を与え続けた。
新人講演であんな地獄を見たのに、
地獄を見せた私に重要な役を与える理由が分からない。
結局私が出た舞台はどれも「最下位」「最下位」「最下位」。
顔も名前も覚えてない3年の先輩達は絶望してただろうに。
2年の宵闇先輩の勝手な配役決めのせいで最下位になり続けていたんだから。
冬講演の配役発表前、私は宵闇先輩に言った。
『私を役から外してください』と。『私に役を与えないで』と。
---
最下位になった日から、いつしか夢を見なくなった。
これでいい、私に夢を見る権利はない。
一生この罪を背負って生きなければいけない。
アメトリンを最下位にした歌姫として生きなければいけない。
新入生には、『宵闇先輩のせいで最下位になり続けていた』と、
そう説明するように高浜先輩から指示を出されている。
本当は私のせいなのに。
…こうなるくらいなら、最初から、
夢なんて、見なければよかった。
#13 新入生
稽古一日一日書いてたら余裕で100話越えちゃうので、
この回(#13)が終わったらちょくちょくカット入ります☆
宵闇「あいあいあーい!皆さんご注目~!」
「宵闇先輩?どうかしました?」
城間「…脚本変更とか言わないでくださいね。」
宵闇「今日は~、事情があって入学が遅れてた新入生ちゃんの紹介で~す!よろしくね~!」
??「はい!|悪天 狛琥《あてん はく》って言います!よろしくお願いします!」
宵闇「悪天くん!今回は役の調整ミスったせいで役ないから裏方ね!」
悪天「はい!了解です!」
宵闇「とおおおりあえず、悪天くんに雰囲気伝えるために稽古始めていくよおおおおお!!!」
---
『私みたいな貧乏な庶民が、あのパーティーに行けただけ幸せなのよ!、…もう、それ以上の幸せは望んじゃいけないから…ッ』
『でも、もしも叶うのなら、もう一度だけあの人に、ユウに会いたい…!』
…駄目だ、しっくりこない…。
皆みたいな演技がしたいのに…。
宵闇「立花くん!演技に迷いが出ているよ!心から演じてね!」
「は、はい!」
やっぱり、注意されちゃうよね…。
---
「次はダンス稽古だ…えっと、ダンスルームは…」
悪天「未来ちゃん!」
「え!?あ、確か…狛琥ちゃん、だよね?」
悪天「うん!ハクだよ!」
「どうしたの…?」
悪天「えっとね、少し教えてほしいことがあって…!」
「…うん?」
悪天「あの、ダンスの雰囲気を…」
「…雰囲気?」
悪天「そう!私始めて見るからどんな雰囲気かだけでも教えてもらえないかな?気になって仕方ないの!」
「ふ、雰囲気かぁ…でも、そこまで完成してないから酷い完成度だよ?」
悪天「それでもいいの!お願い!テーマだけでも教えて!」
「テーマ…魔法、かなぁ?」
悪天「魔法!?✨」
「う、うん…」
悪天「凄く楽しみ!ヤバイ、先にいって待ってるね!」
「あ…いっちゃった…」
あんなに期待されても凄いものは出来てないよ…私がダメダメなんだから。
---
高浜「未来!そこもっと前に出ろ!」
「はいッ!」
高浜「藍白!いい感じ、そのまま踊りにキレ出せ!」
藍白「はい!、」
「…ッ」
藍白くん、凄いなぁ…先輩に褒められてる。
私は、私には…
高浜「?…ッ!未来!立ち位置違う!」
「えッ?」
宵闇「!藍白くん!止まって!」
藍白「あッ」
城間「駄目、ぶつかるッ!」
悪天「未来ちゃんッ、藍白くんッ!」
「ッ…あれ…?」
ぶつから…ない…?
内海「…大丈夫か、二人とも。」
宵闇「七伎が二人の間に入って止めた…」
高浜「七伎!ナイスッ!」
「あ…すみません!私のせいで…藍白くんもッ!」
藍白「ううん…焦ったけど、平気。」
「…」
周りが何か言ってるけど聞こえない…。
私のせいだ…私が駄目駄目だから、皆に迷惑かけちゃって…。
私、
主役、やめたほうがいいのかなぁ…
#14 歌唱曲
城間「…今日から物語の始めに妖精とレイが歌う歌唱曲の練習に入る。台詞にダンスもあるから大変だろうけど頑張れ。」
「…」
---
城間「~♪~~♪」
「~♪~♪~~♪」
宵闇「うーん…」
高浜「…なんか問題あんのかよ。」
宵闇「いんや~…初日だからね、気にしてないよ!」
内海「そういう逸らし方が一番悪いというのを知っているか。」
宵闇「まぁね~…うん。次回から立花くんと城間くんは舞台にあげないようにしよっかなって。」
内海「…なんでだ?」
宵闇「城間くんは皆知っている通り、舞台に執着心がない、役を欲しがらない…去年の責任を背負いすぎているんだ。」
高浜「俺らのせいだっつーのにな。」
宵闇「立花くんは…こういってはあれだけど、才能がないね。ダンスも演技も歌も、『凄く上手い』と言えるほどじゃないんだ。」
内海「…」
宵闇「自己肯定感が低い、というのもあるだろう。そういうのも僕は感じるタイプだから分かるんだけど。1年で役をあげるとしたら、藍白くんと…あと悪天くんになるだろうね。」
高浜「ただ、これから才能が開花するかもだぞ?」
宵闇「そうなのよね~!才能を開花させるというのが我々アメトリン3年生の役目なのだけど…立花くん、やっぱり新人講演で終わりかな。」
内海「脚本家のお前がそういうならそうすればいい。」
高浜「俺らが何言ったってお前が最後は決めちまうんだし。」
宵闇「まぁね!…でも、新人講演で『とんでもないもの』を見せてくれたら評価は変わる。それが何かは決めないけど!あ、例えばクラス優勝。例えば個人賞。」
高浜「決めてんじゃねぇか。」
城間「~♪…」
---
宵闇「はいはーい!2人とも~!歌ってくれてありがとね~!」
内海「今日の稽古はこれで終わりにする!本番が近づいてきているため、十分体調管理には気を付けるように!」
「「「はい!」」」
「…音楽室にいかないと。」
歌詞覚えて、音程とって…ちゃんと、上手くしないと。
---
「~♪~♪~~♪ッ、ゲホッ」
喉が痛い…歌いすぎかな…。
「…もう21時…」
稽古終わったのが18時のはずだから、もう3時間も歌いっぱなしだ。
あ、夜ご飯食べてない!、
寮食閉まっちゃったよね…うわぁ、失敗した…。
「…屋上いこ、」
外の空気でも吸って気分転換しなきゃ…
---
「…はぁ」
何やっても上手くいかない、ダンスも演技も歌も。
立ち稽古だって台詞間違えてばっかし。
ダンスだって藍白くんについていけてない。
演技だってアンサンブルの琥狛ちゃんより出来てないし。
なんで私が主役なんだろ…。
「…歌が駄目ならダンス稽古しなきゃ。」
私はまだ主役にふさわしくない。
まだ、やれる。
#15 講演前日
待って待って、『新人講演』じゃなくて『新人公演』の方が漢字あってる気がしてきた!!!
宵闇「さーって!明日は講演前日だね!」
高浜「各自休んで体調整えとけよ!」
「…あ、た、高浜先輩!ダンス見てもらってもいいですか!」
高浜「ん?おー、わかった。ちょっと踊ってみろ!」
---
---
---
「ありがとうございました!」
高浜「おう、…無理すんなよ。」
「はい?」
高浜「いや、なんでもねぇわ。…頑張れ。」
「あ、はい!ありがとうございます!、頑張ります、!」
---
「…」
屋上がやっぱり落ち着くな…もう前日か。
思い返せば駄目駄目なところしか出てこない。
そんな自分が嫌だと思っているけど、
何も変わってないのも痛いほどにわかる。
--- ガチャ ---
城間「…立花?」
「え、あ、城間先輩、!?」
城間「もう休んでるかと思ってた。こんなところで何してるの。」
「あ、…主役って、責任重いなって。本当に明日、舞台の上で私が主役出来るのかなって悩んでました。」
城間「…同じ。」
「え…?」
城間「私もそうだった。前日になるまでワクワクと幸福感でいっぱいだったのに、いざ前日になると緊張しちゃうんだよね。」
城間「でも、失敗しても平気だよ。前例があるからね。」
「前、例…?あ、宵闇先輩のやつですか?」
城間「ううん、本当は私なの。アメトリンを最下位にしたのって。」
「え、それってどういう___」
--- ビュゥッ… ---
城間「寒っ…はぁ、明日風邪引くと困るから帰る。立花も早く戻りなね…じゃ。」
「え、あ、はい!、」
…本当は城間先輩がアメトリンを最下位にした…?
---
--- バンッ ---
「宵闇先輩!」
宵闇「おーおーおー、どうしたんだい立花くん。」
「あの、アメトリンを最下位にしたのが城間先輩って本当ですか!?、」
宵闇「いきなり言われても困るよ~…と、言いたいところだけど、きっと彼女が自分でそう言ったんだろうね。」
「はい、あの、これって___」
宵闇「半分本当だよ。去年は城間くんの本番の致命的なミスと、それをカバー出来なかった我々のサポート不足でアメトリンは最下位になったんだ。」
「そう、だったんですか…」
宵闇「いつもそう説明してるんだけどね、彼女が自分のせいだと言って聞かないのよ~!」
「…」
宵闇「…城間伊織、アメトリン2年生。本来はプレナイトに入れる程の歌の実力を持っていたが大人の事情でアメトリンに入学した生徒。だから僕達3年生は彼女の事を《《歌姫》》と呼ぶ。」
「歌姫…」
宵闇「立花くんは他のクラスの人にあったことがないから分からないだろうけどね。プレナイトは歌唱に秀でたクラスだ。」
「あ、知ってます…!」
宵闇「おや、知ってたのかい?…なら、どれだけ歌の実力があるのかも知っているよね?」
「はい…」
宵闇「城間くんもあれくらいの実力があるんだよ。」
「…え!?」
宵闇「だけど力を出そうとしない。『自分は夢を見てはいけないから』と諦めきってるからだ。彼女が歌を楽しく、本気で歌うことはもうないだろう。」
「…どうしたら、どうしたら城間先輩に楽しく本気で、歌ってもらえますか。」
宵闇「…城間くんはねぇ、トラブル対応能力がないんだ。」
「ト、トラブル対応能力?」
宵闇「もし、講演中に何かあったらすぐ対応できない。…そしたら、『歌を君以上に上手く歌わない』と言う城間くんお決まりの事もすっ飛んでっちゃうかもね!」
「…」
宵闇「…僕が話せるのはこれくらいまでかな。後はゆっくり休んで、明日にしなさい。」
「…はい、ありがとうございました。失礼します!、」
宵闇「うん、おやすみ。」
---
…ずっと主役が出来ないって悩んでた。
でも、それはきっと、城間先輩も同じだったんだ。
歌が歌いたいのに私が下手だから楽しく歌えない。
申し訳ないです。
だから私は明日、
お客さんのために演技をし、
同期とアメトリンの凄さを分かってもらうためにダンスを踊り、
城間先輩のために歌を歌う。
もう一度、お客さんと一緒に輝く夢を見てもらうために!
#16 本番前
「…」
--- 本番まであと30分。_ ---
高浜「舞台メイクする奴はこっち!」
内海「演技確認は俺に!」
亥塚「衣装は、私が。」
藍白「内海先輩、最初のこのシーンなんですけど…」
内海「あぁ、ここは~…」
皆それぞれ、確認に進んでいる。
皆が緊張して、夢を掴もうとしてる。
…ただ1人を除いて。
城間「…」
城間先輩だけは動かない。
舞台メイクをして衣装を着て、何もせずにジっと椅子に座っている。
「…城間先輩。」
城間「…立花。どうしたの?」
「私、絶対に城間先輩に夢を見せます。」
城間「どういう意味?…おかしい子。」
「城間先輩って歌が好きなんですよね?だったら、私は歌も全力で歌います。」
「城間先輩にお客さんと同じ夢を見てもらうために。」
「そして、」
「藍白くんと2人、クラス優勝をとってやります!」
城間「!…無理でしょ、私がいるんだから。」
「皆さんは城間先輩の歌声を知らないからそう言ってるんですよ!絶対、本気で歌う城間先輩はカッコいいです!私が保証します!」
城間「私の歌声を聴いたことがないのによく言うね。」
「それは…プレナイトに入れるほどの実力って、それくらい上手くないとあり得ないですよね?」
城間「…そんな事も聞いたの?」
「えぇ、宵闇先輩が。」
城間「…」
「と、とにかく!今回の舞台、ちゃんと見ててくださいね!私に、城間先輩はすごい歌声の持ち主なんだって教えてください!」
城間「そんな持ち上げても変わ___」
高浜「立花!もう少しで舞台始まる!」
「あ、はーい!…城間先輩、失礼します!」
---
--- 城間伊織side ---
「…」
そんな持ち上げられても困るし…。
歌は好きだけど、あのときの事を思い出すと歌う気がなくなる。
宵闇「城間くん。」
「!…宵闇先輩、どうかしましたか。」
宵闇「いや~、思い詰めた顔してたから声かけただけ!…不安かい?」
「…当たり前ですよ。今年の1年、才能ないんでしょう。この前聞きました。」
宵闇「おや、聞かれていたのか。こりゃ失敬!」
「私を舞台にたたせないのはいい判断かと思いました。どうせ立ったって"何も変わらない"。」
宵闇「"何も変わらない"。…本当にそうかな?」
「…どういう意味ですか」
宵闇「僕には、舞台が終わって笑ってる君が見えるよ。」
「…」
宵闇「君のしたいようにしな。立花くんは君を負かすつもりだ。…どうする?歌姫。」
「…はぁ、最初からコレが目的なんですか。」
宵闇「まぁね!」
…この人は全部計算していたんだ。
私が悪口を聞くことも、立花が宵闇先輩に話を聞きにいくことも、
立花がクラス優勝を目指すことも、私が、
私にまた、熱が宿ることも。
宵闇「準備しな歌姫。始まるよ。」
城間「…はい。」
---
--- 何処か遠くの街にあるお城 ---
--- そこでは毎日パーティーが開かれていて___ ---
--- |world of lies and magic《嘘と魔法の世界》 ---
#17 『world of lies and magic』
※雑だし下手です。許してください( ;∀;)
本当に文が変です。物語がおかしいです。
無駄に一週間くらい時間かけた長い変な話です( ;∀;)許してください( ;∀;)
【world of lies and magic 】
女主役 レイ 1年 立花未来
男主役 ユウ 1年 藍白鴾
女役 妖精 2年 城間伊織
女役 ハハ 3年 高浜 琉美斗
ナレーション 内海七伎
お城に明かりが灯る。
それと同時に騒がしくなるお城の中。
「はぁ…綺麗なお城でパーティー…いつか私も行ってみたいな…」
「私もいつか、あのお城のなかに…なーんて、叶うわけないか…」
妖精「だったらワタシが叶えてあげる♪」
---
--- 舞台袖 『現』 ---
「…よし、」
ここから歌唱曲。
失敗しても構わない、それで城間先輩とお客さんが笑顔になるなら。
城間「…立花。」
「え、あ、城間先輩!どうかしましたか?」
城間「さっきは散々言ってくれたね、歌がどうのこうのって。」
「あ、あれは…」
城間「全く、どうしてくれるの。また…火がついちゃったじゃん。舞台をやりたいって気持ちが甦ってきちゃったじゃん。」
「!」
城間「…歌、立花を負かすつもりでいくから。主役は脇役より目立たなきゃ、でしょ?」
「…望むところです!私の方が上手いですから!」
城間「どうだか、聴いてみなくちゃ分からないな。」
「だったらちゃんと聞いといてくださいね!」
城間「はいはい、」
宵闇「お二人さん、お歌の時間ですよ!」
城間「分かってます。…行くぞ、立花。」
「はい!」
---
--- 舞台上 『現』 ---
「…」
ピンと張りつめる空気。
それと同時にチラホラ聞こえる声。
『また駄目だな』『城間が出てるから』『1年生も演技上手くなさそう』『歌上手い人だけ聴いてたい』
…どう言われても構わない。
私にはもう、これしか残っていないから。
城間「…」
「…」
大丈夫です、城間先輩。私いけます。
城間「…着いてこいよ、ボソッ」
城間「~~♪~♪~~♪」
『!ヤッベ、歌うますぎじゃね?』『城間伊織、プレナイト級じゃん…』『ヤバ…』
「~♪~~♪~♪」
『1年生もいい歌声だ…』『心が安らぐ~!』『可愛い声…名前なんだっけ…』
大丈夫、お客さんの意識はこっちに向いている。
『でもどうせ、このあと失敗するんだろ』『そう簡単には行かないか…』
城間「~♪…~~♪」
失敗しませんよ、城間先輩。
1人じゃないんですからね。
「~♪~~♪」
『うおっ、1年生の歌声が前に出てきた』『城間伊織は引き立て役ってこと!?』
城間「!…~~♪~♪~~~♪」
『ヤバいヤバい、城間伊織レベチすぎるよぉ…!』『2人が競いあってるみたいな歌声だ…』
「~♪」
『すげぇ…2人とも上手すぎる…』『プレナイト移動するべきだってぇ…』
--- パチパチパチパチ… ---
---
--- レイの家 『劇』 ---
「え…ちょ、ちょっと待ってよ!あ、あなたは!?」
妖精「今更?まぁいいわ、ワタシは魔法使いの妖精よ!あなたが口にした願いを叶えに来たの! 」
「口にした願いって…まさかパーティーに!?」
妖精「その通り!ワタシがあなたをパーティーに行かせてあげる!」
「でも、そんないい話があるわけ…」
妖精「もう!疑ってばっかりね!だったら試してみればいいわ!」
「試す…って?」
妖精「この手鏡をあげる!この手鏡を覗けば5日間だけパーティーに行けるようになるの!」
「そうなの!?す、すごい…けど、私ドレスも何も持ってないの…」
妖精「そんなことだろうと思ったわ!でも大丈夫!この手鏡でお着替えもできちゃうから安心して!」
「そ、そうなんだ…」
妖精「でも注意!一度使ったらその日から5日間しか魔法の効果はないからね!あと12時までよ!」
「なんだかシンデレラみたい、分かった。気をつける!」
妖精「頑張ってね!それじゃあ!」
そういうと妖精は消えてしまいました。
残ったのはレイの手元には渡された手鏡だけ。
「パーティー…かぁ」
---
--- 母部屋 『劇』 ---
「お母さん、大丈夫?」
ハハ「えぇ、ごめんねレイ。」
「いいの、気にしないで!、それより、良さそうな病院を見つけたの!」
ハハ「だけどお金が…」
「お金より自分の心配をしてよ!お金は私がなんとかするわ!」
ハハ「…ごめんね、お母さんがこんなんで…」
「そんなこと言わないでってば!…私は平気だよ。」
ハハ「ごめんね、ごめんね…」
---
--- 自室 『劇』 ---
「…あ、手鏡…」
「...試すだけなら…駄目じゃない、よね?」
--- パカッ… ---
「…綺麗…✨」
--- ピカッ… ---
「ぇ…!?」
--- パァァァァァァ(?) ---
「うわっ!?」
---
--- ??? 『劇』 ---
レイは眩しい光に包まれ、あまりの眩しさに目を閉じてしまいました。
また目を開けると___
「…なんだったんだろ…って、えぇ!?ここはどこ!?私、ドレスになってる!?」
一瞬で大変身。
「…お城、」
妖精「パーティーやってるわね♪」
「ぅえっ!?」
妖精「驚かしてごめんなさい、でもあなたがウジウジしてるから声かけちゃった!」
「ウジウジって…」
妖精「変身できたんだから行けばいいじゃない!なんにもおかしくないわ!」
「でも…」
妖精「もう!さっさと行きなさい…って!」
--- ドンッ ---
「わっ!」
妖精「ニコニコ」
「〜ッ!」
レイは高鳴る胸を押さえ、会場に入っていきます___。
---
--- 城内 『劇』 ---
「うゎ…」
輝かしいシャンデリアに豪華な飾り付け、
机に用意されたシャンパンに自分が写るほど綺麗な床。
チカチカするような綺麗な場所でした。
「う…眩しい、かも」
ですが、今までずっと暗い場所で過ごしてきたレイには明るすぎました。
---
--- テラス 『劇』 ---
「はぁ…」
逃げたレイがついた場所はテラス。
「あれ…?誰かいるの…?」
「え!?…あ、ごめんなさい!私今帰りますので!、」
??「いや、帰らなくていいよ!、」
??「それより…君、さっきパーティーでいた子…だよね?」
「え…貴方は?」
ユウ「僕は…ユウ、ユウだよ。同じパーティーに参加してたんだ。」
「そうだったの!?」
ユウ「うん、…君の、名前は?」
「私は…私、レイ!よろしく!」
ユウ「うん、よろしく。」
テラスにも会場の音楽が聴こえてきます。
ユウ「…折角だから、一曲どうですか?」
「え、一曲…って…」
ユウ「もう一回だけ、言わせてもらいます…レイ嬢、僕と踊っていただけませんか。」
「レイ嬢なんて…いや、エスコート頼みます。…ユウ様。」
---
--- 舞台袖 『現』 ---
「城間先輩!」
城間「!…立花か。」
「歌、凄く良かったです!」
城間「…ありがとね。そっちもダンス頑張りなよ。」
「はい!…あ、藍白くん!」
藍白「?どうしたの、未来ちゃん。」
「ダンス、頑張ろうね!」
藍白「…うん、頑張ろう。」
---
--- 舞台上 『現』 ---
「~~♪~♪」
藍白「~♪~~♪」
『今年の1年生はダンスも上手いのか。』『あの男の子のダンス、努力したって感じがあって好きだなぁ…』
『女の子もいい感じじゃない?』『二人の名前なんだっけ。』『あ、立花未来と藍白鴾よ!』
『素敵なダンス、振り付けが高浜流美斗なのについていってる…✨』『皆才能ある…』
--- パチパチパチパチ… ---
---
--- テラス 『劇』 ---
「…ダンス楽しかったぁ!また踊ってくださる?」
ユウ「!…また出会えたら踊ってあげますとも。」
「出会えるに決まってる!毎日テラス集合にしたら毎日会えるわ!」
ユウ「毎日?w…いいよ、毎日テラス集合ね、!」
「うん!…あ、じゃあ私達ってもう友達よね?」
ユウ「友達?どうして?」
「え…だって、毎日会って、毎日話すならもう友達じゃないかな?違かった、?」
ユウ「あ、違くないよ、凄く嬉しい…!うん、僕達は友達ね、」
「やった!…あ、もう帰らなきゃ!それじゃあユウ、また明日!」
ユウ「うん、また明日、!」
---
--- レイ宅 『劇』 ---
「ん…家、か。」
家に戻ってきたレイ。昨日のパーティーの熱を忘れられず、楽しい気持ちでいるよう。
「確か5日間だったから…私、今日も行けるってこと!?」
妖精「その通り♪今日と明日と明後日と明明後日と椰子明後日は行けるわ!」
「えっと…椰子明後日ってなに?」
妖精「ぇ~…知らないわ…とにかく今から四日後よ!」
「そ、そうだよね!、」
妖精「夜にならないといけないから働いてきなさい!」
「言われなくても働きますし!」
---
--- 城前 『劇』 ---
「ぅ…やっぱり、ちゃんと来られた!、…また、いるかな、♪」
---
--- テラス 『劇』 ---
ユウ「あ、今日も来たんだ!、」
「うん!…ま、まぁ、楽しいしね!」
ユウ「楽しいならよかった、…ねぇ、レイの家族ってどんな感じ?」
「私の家族?…うーん、至って普通かなぁ。優しいお父さんと優しいお母さんの元で暮らしてたよ。」
ユウ「…そっか。」
「ユウはどんな感じなの?」
ユウ「僕は…あんまいい感じじゃないよ。」
「…だから?」
ユウ「だからって…聞いても面白くないよ、って。」
「面白くなくていいよ?ユウの話聞いてみたいから聞いてるだけだよ!」
ユウ「え…そ、そっか。えっと、じゃあ…」
---
--- テラス 『劇』 ---
「…ユウってどっか貴族の人なの?」
ユウ「え…どうして?」
「今の話だとそう思うような事が何個かあったからなんだけど…」
ユウ「…違うよ、普通の家庭さ。」
---
--- レイ宅 『劇』 ---
1日、2日、3日、4日…あっという間に最終日になってしまいました。
妖精「ねぇレイ、今日で最終日よ?ユウ?だったかしら。彼に言いたいことでもまとめとけば?」
「まとめたって、そんな改まって話すことないもの…話したいことは会ってから決めたいの、私!」
妖精「困ったって知らないわよ?あとで泣きつこうとしても、ワタシとの契約も今日までだから会えないからね!」
「契約…そっか、そうだったね。」
妖精「全く…もうすぐ時間よ、いってらっしゃい♪」
--- ドンッ ---
最初と同じようにレイの背中を妖精は押しました。
そしてレイの体は光に包まれて____。
---
「…最後の、パーティー…。」
二度と来ることのないであろうお城の前に着きます。
---
--- テラス 『劇』 ---
ユウ「こんばんわレイ。…?もしかして、今日は少し元気がない…?」
「ど、どうしてそう思うの?私は凄く嬉しいし元気だよ!」
ユウ「そ、っか、ならいいけど…」
「…隣、いい?」
ユウ「ふふっwいつも隣に来てたのに今日は聞くんだw」
「そういう気分なの、いいでしょ!、」
ユウ「全然いいよw、いつもと違うから驚いただけw」
「もう…!」
ユウ「あははっw…あ、ねぇ…君はどうしてこのパーティーに来たの?」
「え?…それは…私、ただ憧れていたの!家の窓から見える、キラキラしているパーティーに!」
ユウ「キラキラ…そっか。」
「ユウはどうしてパーティーに?」
ユウ「僕は、王子だから絶対に参加しなくちゃで…あ、」
「王、子…?ユウって、あの王子様なの?」
ユウ「あ…違う、違うんだレイ、!」
「私、今まで王子と話していたの…?」
衝撃の事実にレイは一歩一歩後ろに下がっていきます。
ユウ「待って、レイ!、」
「ユウは、!私に、嘘をついていたってこと…?」
ユウ「あ…」
「ッ、」
シンデレラのように階段を降りていくレイ。
後ろから聞こえる音楽も、呼び止める声も気にせず、足を止めずに走る続けます。
城の前の森に入ったタイミングで12時に。そして魔法の力はとけてしまい___。
---
--- レイ宅 『劇』 ---
目が覚めた場所は自室のベット。
5日前までの日常と何も変わらないはず。
今まではこれが普通だったのに、どこか喪失感があるのです。
窓から見える城は前までと何も変わらないまま。
「…そうだよね、もう行けないよね…。」
働けばあっという間に外は真っ暗。
楽しみにしていたパーティーにいくことはもう二度と出来ません。
「5日間だけでもお城に行けて、王子に会えただけ嬉しいの。幸せ者じゃない、私。」
自分で自分を慰めます。
12時の鐘が鳴っても、レイが部屋からお城に移動することは無かったのです___。
---
--- 街 『劇』 ---
「…はぁ」
あれから数日がたちました。
レイが城に行かなくなっても毎日毎日パーティーは開かれています。
「あれって噂に聞くと王子の婚約者を決めるパーティーらしいし?…私なにも知らずにいっていたわ、」
いつものように市場へ向かいながら頭に浮かぶのはやはり王子のこと。
あの日からずっと、頭から王子が離れた日がないのです。
--- ドンッ ---
「きゃッ!」
??「うわッ、」
「あ、ごめんなさい!少し考え事をしていて…」
??「…レイ、なの?」
「…え?」
??「やっと見つけた、レイでしょ、?」
「…ユウ、なの?、」
ユウ「うん、ユウだよ、ユウだよッ、!」
「…そ、それなら尚更ごめんなさい、王子にぶつかるなんて…」
ユウ「王子じゃない、」
「え、?」
ユウ「今、レイの前にいるのは『王子のユウ』じゃなくて、『友人のユウ』なんだ。…そういう区別は、駄目だったかな。」
「…だ、駄目じゃないけど…」
ユウ「…あの日から、もう城に来なくなって驚いた。知ってるかもだけど、あれは僕の婚約者を探すためのパーティーだったから、逃げるわけにもいかなくて…。」
「そう、だったんだ…。」
ユウ「…ねぇ、レイ。僕も本当のことを話した…だから、レイも僕に本当のことを話して。君は、どうやってパーティーに来ていたの?、」
「…信じてもらえないかもだけど私、妖精と契約をしていたの。それが、5日間だけパーティーにいけるって内容で…ごめんなさい、本当は貴族でもなんでもない庶民だから、ユウには会わない方がいいかなって…。」
ユウ「…いいよ、そんなこと。貴族だろうが庶民だろうは、レイはレイでしょ?」
「ッでも…」
ユウ「レイは、僕に会いたくなかったの?」
「会いたくないわけがない、ユウのことが頭から離れた日がないくらいに考えてたの、!」
ユウ「じゃあそれでいいじゃん、…どんな君でも僕は好きなんだ。」
「え…それ、って…」
ユウ「…レイ、僕と結婚してくれませんか。」
「そ、そんな…私なんか、ユウの隣に相応しい綺麗な容姿をしてるわけじゃないし…」
ユウ「レイは何か勘違いをしているよ。容姿なんかどうでもいい、レイは可愛いしね。」
ユウ「僕はレイの容姿に惚れたんじゃない。僕は、君の素敵な中身に惚れたんだ。」
番外編 立花未来
立花 未来(たちばな みらい) : 15歳
立花 佳介(たちばな けいすけ) : 38歳
夢野 絢(ゆめの あや) : 15歳
立花 夏胡(たちばな かこ) : 37歳
--- AM . 6 : 30 ---
「んー…!」
お弁当と朝御飯作らなきゃ…
---
「んーっと…」
今日は私の分とお父さんの分だから何にしよっかな…。
「昨日の余り物でいっか…。」
考えるの大変だし、昨日お父さんいなかったからセーフ…だよね?
---
--- AM . 7 : 00 ---
佳介「あ、未来…そうか、家だったな。」
「お父さん寝ぼけすぎ!仕事もいいけどほどほどにね!」
佳介「わかった分かった、気を付けるよ。…朝御飯豪華だね、」
「あ、嫌だった!?」
佳介「いやいや、作ってもらってるのに文句は言わないよ。」
「じゃあなぁに?」
佳介「いつも豪華なのかなって思っただけだよ、」
「あー…いつもはこんな豪華じゃなくておにぎりなんだけど、今日はお父さんがいるから!」
本当は余り物寄せ集めて作っただけなんだけど…
佳介「そう、ありがとう。お父さん忙しいからあんま家いてやれなくてごめんな、最近は進路とかで忙しいだろう。」
「そう、だね。進路とか決めなきゃなー!」
佳介「面談とか、申し訳ないけどいけなそうだから好きなところ行きなさい。学費は出すから。」
「…うん。」
佳介「じゃあ、いただきます。」
「いただきまーす。」
---
--- AM . 7 :15 ---
佳介「ご馳走さまでした。…あ、ごめん、片付け任していいか?もう時間なんだ、」
「いいよ、気にしないで!いってらっしゃい!」
佳介「あぁ、行ってきます。」
--- ガチャ… ---
「…はぁ。」
私もいく準備しないと。
…あ、私は学校行かなくていいんだった、バイト行こ。
「…《《これ》》、いらないか。」
--- グシャ… ---
--- 進路希望 ---
--- 就職希望 ✔ ---
---
--- AM . 7 : 45 ---
「おはよーございまーす!」
バ先A「おはよう立花ちゃん。今日も元気いっぱいね~!」
「元気が取り柄なので!」
バ先A「まぁまぁ!じゃあ、早速だけど今日はこのお弁当を届けてきてくれる?」
「はい!了解です!」
---
--- AM . 11 : 25 ---
バ先B「立花ちゃんお疲れ様~!寒いなか自転車は辛かったでしょ~!」
「はい、めっちゃ寒かったです…!」
バ先B「暖かい飲み物用意してるからどうぞ♪」
「え、いいんですか!?」
バ先B「いいのよ!店長に見つかると面倒だから休憩室で飲んでらっしゃい!」
「ありがとうございます!」
---
--- AM . 11 : 28 ---
「ふー…美味しい…」
ホットミルクってどうしてこんなに美味しいんだろ…。
『ヒソヒソ…』『コソコソ…』
「?…」
『立花ちゃんも大変よね~』
『ねぇ、まだ中学生なのに働いちゃってて~』
『お父さんのお仕事が忙しいんじゃなかったかしら?』
『その前にお母さんがさ~…』
『あら、そうだったの!?そりゃお気の毒に…』
『お兄さんも帰ってこないみたいよ、!』
『えぇ!?お兄さんってあれでしょう?演劇学校の~…』
『アメトリン生よ!今じゃとんでもなく有名なのになんで知らないの、』
『そういうのに有徳ってね、』
『でもお兄さん、入学してから取れてた連絡が最近取れなくなっちゃったらしいのよ、!』
『そんな立て続けに!立花ちゃん、なおさら気負っちゃって大変よね~』
『ねぇ~…』
「…」
少し声が大きいな…一応ここにいるんですけど~…
まぁ、仕方がないか。
---
--- PM . 3 : 00 ---
「んー…!疲れたぁ…」
??「未来ちゃぁーん!」
「!|絢《あや》!」
|夢野《ゆめの》「えへへ、見つけたから走ってきちゃった!」
「もう…あ、大変だったでしょ学校!」
夢野「大変だよ~!だって、毎日やるテストの追い込みに追い付けないよ~!、」
「あはは!それはもう頑張ってほしいな~!」
夢野「それに進路だって決めなきゃだし…高校決まってないよ~!、」
「!…高校、好きなところにしなよ!絢の好きな演劇会場に近い学校とかさ!」
夢野「1つあるんだけどねぇ、そこ、凄く偏差値が高いのぉ~!!!絢の学力じゃ無理だよ~!」
「いけるってば!勉強すればね!」
夢野「うぅ…勉強は苦手です…」
「私も手伝えたら手伝うからさ!」
夢野「ぇ…いいの!?やったぁー!もう絢の学力向上間違いなしだね!」
「そんな上げる?wこれはたくさんしごかないと駄目かな~?」
夢野「えぇ!?そ、それはご勘弁を~!、」
「www」
夢野「…未来ちゃんは?」
「…え?」
夢野「夢…っていうか、進路!高校どこ行きたいとかないの?」
「…うーん…、ないかな!」
夢野「ないの?、」
「うん、お父さんに迷惑かけたくないし、今は家支えるためにお金稼がなきゃ!」
夢野「…」
やめてよ、絢。
そんな目で私を見ないで。
そんな可哀想と言いたげな目で私を見ないで。
私だって、いけるなら高校にいきたかった。
でも無理なものは無理。
諦めも大事なんだよ、絢。
「とにかく、私は平気!絢は絢の心配をして!ね?」
夢野「…分かった、絢は絢のいきたい高校受験に頑張ります!」
「うん、その調子!」
夢野「頑張るぞ~!」
「頑張れ~!w」
--- ピコンッ ---
--- 《《病院》》 立花未来様へ 本日、|立花 夏胡《たちばな かこ》様が… ---
--- ピコンッ ---
--- 《《大屋さん》》 今月分の家賃を○/□までにお支払ください。… ---
「…うるさいな、ボソッ」
夢野「未来ちゃん、大丈夫?」
「あ、大丈夫大丈夫!…ごめん、家帰るね、」
夢野「うん、気を付けてね!、」
「ありがと、じゃあ。」
---
--- PM . 7 : 40 ---
「ふー…勉強止めてご飯作らなきゃ。」
今日もお父さんは帰ってこないから私の分だけでいいかな。
---
--- PM . 8 : 25 ---
「いただきます。」
白米に味噌汁、鮭におひたし…まぁまぁいいかな。
「…味付け薄いな、」
お母さんの味にはまだまだかな…
---
--- PM . 8 : 40 ---
「ご馳走さまでした。」
洗い物しよ、そのあとは洗濯物畳んで、掃除して、家賃の用意して…
「眠…」
…全部明日に回しちゃお、別に明日も学校いかないしいいでしょ…
「スー…zzz」
--- ピコンッ ---
--- 《《兄》》 明日は最終講演だよ、見にこれたら見に来てね。絶対に《《夢を見せるから》》 ---
「馬鹿4人はさっさと居場所を言え」
電話してると思ってください。(高浜視点)
--- 通話開始 ---
「おい馬鹿4人はさっさと居場所を言え」
悪天「そうですよー!」
「いやお前もだから」
悪天「あれ」
藍白「高浜先輩どこですか…?」
「いやこっちが聞いてんだよ、『お前らどこ?』って」
藍白「…?」
「状況を整理しよう。俺ら何してたんだっけ?」
悪天「息抜きに宵闇先輩に黙って遊園地行こうって話になりました!」
藍白「それで遊園地に来て…」
「おう、そうだよな?んでお前ら着いて何処に行ったんだっけ?」
悪天「私はジェットコースターのある北に!」
藍白「僕はお化け屋敷のある東に…?」
亥塚「私は…コーヒーカップのある西に…」
立花「えーっと…私は観覧車のある南?に…、」
「うん、馬鹿なのお前ら?なんで散り散りにいなくなるわけ?」
「しかもお前ら別れたときの事覚えてる?」
亥塚「確か、『お前ら最初どこいきたい?』と、高浜先輩が…」
「そう言ったよ、俺。いった瞬間お前ら消えてくんだから困ったわ。」
悪天「ジェットコースターが楽しそうで…つい」
「『つい』は危険だからもうやめておけ。はぁぁぁ、息抜きに来たはずが逆に困ってね?」
亥塚「私は、衣装作り終わってるので…」
「そりゃよかったわ、安心だな。…どこ集合にするか?そろそろ喋ってばっか飽きたわ。」
立花「喋るに飽きるとかあるんですか?」
「うるさいな馬鹿4。」
立花「すいません」
立花「あ、あんなところに藍白くんが」
藍白「え…未来ちゃんどこ?」
立花「あ、ごめんね、!私観覧車にいるからわかんないと思う、!」
「お前もう乗ってんのかよ」
立花「もう少しで降りるから大丈夫だと思います!」
「早く降りれるように努力してください」
立花「…?飛び降りろって事ですか?」
「違いますやめなさい」
立花「じゃあどういうことですか?(純粋な質問)」
「降りたら走って集合場所に来なさいって意味です」
立花「なるほど!」
「で、集合場所どこにするよ」
亥塚「もう、お昼ですし…昼食場所、とか」
「いいなそれ、この辺で食べれるところっつったら何処だ…」
藍白「目の前にフードエリアがあります」
「んじゃそこ集合で。馬鹿4人は早急に集合しなさい」
立花「わかりました飛び降りてみようと思います」
「だからやめなさい」
亥塚「私は、のんびり向かいます」
「急ぎなさい」
悪天「すいませーん!キャラメルポップコーン一つ!」
「ポップコーン頼んでるんじゃねぇよ」
藍白「席ないです」
「地べたに座って食べるからなくていい」
藍白「地べたで食べるんですか…?」
「嫌なら真剣に探してみなさい。無ければ俺の方にベンチあるからここで食う」
藍白「了解です。席ありました」
「あるのかよ」
藍白「6人席です」
「一つは荷物置きとして使うから席座っといてくれ」
藍白「は~い…どこ座りたいですか?」
「そっち全員ついたときに決めるから取り敢えず座れっての!」
藍白「分かりました」
立花「降りたので今走ってます!」
「おうおう、ぶつからないように気を付けろよ」
立花「さっき誰かにぶつかっちゃいました」
「誰だよそれ」
悪天「あ、私さっき誰かにぶつかられました!」
「はい本人登場」
立花「ごめんね狛琥ちゃん!」
悪天「大丈夫!」
亥塚「私、着きました」
「OKOK、亥塚と藍白合流な」
悪天「私ポップコーン買ってきていいですか?」
「後にしなさい」
悪天「だってもう着いてますし、後席探すだけですよ~…」
「着いたなら早く言えよ」
藍白「あ、こっちこっち~」
悪天「おぉー!やっと見つけた!合流です!」
「立花は今どこ?」
立花「え?高浜先輩が見える位置です」
「は?」
立花「え?」
「ちょっとホラーチックに言うのやめてもらっていい?どこ?」
立花「後ろです」
「え?うわ、ビビった…真後ろに立つなよ」
立花「すいません、合流しなきゃと思って走ってたので…」
「それはいいんだけどさ…あ、フードエリア着いた」
立花「藍白くん達ってどこら辺に座ってる?」
藍白「木が目の前にあるよ」
亥塚「右には買うところが、」
悪天「左にはシュババーン!ってやつが!」
「木…買うところ…シュババーン…いや無理だ意味不明すぎる」
立花「シュババーン…あ、あれっぽくないですか?」
「どれ」
立花「あれですあれ、噴水」
悪天「そう、それ!名前出てこなかったんだよね~!」
立花「やっぱりあってた!」
「あってんのかよ…んで?噴水の近くならこの辺じゃねぇかな」
立花「皆どこ?」
藍白「え…僕未来ちゃん見つけたよ…?」
立花「え?」
悪天「後ろ後ろー!」
「…いやお前らエンジョイしすぎじゃね?何被り物とかサングラス買ってんだよ」
亥塚「狛琥…買うっていったので…」
「お前か犯人」
悪天「じ、自腹なので!」
「自腹ならなんでもいいと思うなよ馬鹿1」
悪天「う゛っ、」
--- 通話終了 ---
「やっと合流だわ、何時間ぶり?」
亥塚「30分…ぶり、です」
「マジ?二時間ぐらい疲労感あるんだけど」
悪天「一体誰のせいですか!?」
藍白「折角息抜きに来てるのに疲れさせるなんて…」
亥塚「…」
立花「あはは…」
「いや…お前らのせいだからな!?」
#18 結果発表
「…」
誰も声を出さない、緊張した空気。
控え室で、衣装の布が擦れる音だけがなっていた。
---
宵闇「皆、着替え終わったらそろそろ結果発表だ。移動するよ。」
宵闇先輩はいつも通り振る舞っている。
だけどその目には後悔や不安の色が滲んでいて。
それはきっと、また最下位になるのを恐れているから。
??「大丈夫ですよ。」
「え…」
大丈夫といったのは、城間先輩だった。
城間「やれることはやりましたし…どうやら、今年の一年は才能が違うみたいですよ。…個人賞くらいは、絶対にとれています。」
雷羽「…そうね、伊織さんのいう通り!皆は全力で頑張ったわ!結果がどうであろうと、打ち上げが楽しければいいでしょう!」
悪天「!打ち上げなんてあるんですか!?」
雷羽「えぇ、毎公演の結果発表が終わったら行きつけのお店で打ち上げをしているの。」
藍白「確か…焼肉屋、でしたっけ。」
雷羽「そう、そこが美味しくって!」
高浜「先生、結果発表始まります。」
雷羽「あ、本当だ時間なくなってる、!皆、早くいきましょう!」
「…はい!」
最下位だったら次の公演を頑張ればいいだけ。
…いや、最下位なんて絶対にない。
だって…
「私達が一位だから!」
---
城間「…」
??「あ、伊織!アメトリン凄いよかったよ!」
城間「そりゃどうも、《《虹星》》。」
虹星「いやー、去年アメトリンだけぼろ負けだったから今は他クラスながら嬉しい気持ち!」
城間「何それ、嫌味?」
虹星「え?なんで…ってあ!去年そっかそうだったね、ごめーん!!!」
??「騒がしいなぁ…」
虹星「んぇ?…あ、《《宗弥》》じゃん!」
朝霧「はぁ…人に馴れ合う暇あるなら歌、練習すれば?今回の歌は酷いものだったけど。」
虹星「なっ、失礼な奴!歌は新入生が目立つように抑えてただけ!」
朝霧「はいはい、言い訳タイムですか?」
虹星「こっ、こんのー!!!」
??「やめなって2人とも、!」
城間「…やっとまともな奴が来たか…《《神埼》》。」
神埼「いやぁ…まともって言われて喜ぶのが正解なの…?」
城間「まともじゃないって言われるよりは嬉しいでしょ。」
神埼「確かに…?」
---
--- それでは、結果発表をします。 ---
--- クラス優勝は… ---
--- アメトリン!!! ---
「え…!」
悪天「うわぁー!!!一位だー!!!」
藍白「一位…母さん、最下位じゃない…。」
雷羽「そうね、…もう、凄いよ皆!」
亥塚「一位…アメトリンが一位なの…初めて見る…。」
内海「1年生の新人公演が去年と同じ結果にならなくてよかった。」
高浜「いやー!汚名返上だわー!w」
宵闇「ほんとにね!?アメトリン、最高のクラス過ぎぃ!!!」
「あははっ!w…あ、城間先輩!一位ですよ一位!」
城間「…うん、わかってる、見えてるよ。…凄い、嬉しい。」
宵闇「続いては個人賞の発表だぁい!!!」
--- 金賞 立花未来・藍白鴇 ---
--- 銀賞 背戸河内灯 ---
--- 銅賞 蒼波雪 ---
高浜「おい!藍白!よくやったなぁ!!!」
藍白「うゎっ、!…僕だけじゃないです、未来ちゃんも、頑張ったから優勝できたんです。」
高浜「はっ!いいとこ取りしねぇ男は好かれるぞ!」
内海「立花、よくやった。おめでとう。」
「あ、いえいえ!、藍白君が凄かったですし、私だけの力じゃないので!、…これは、皆で手に入れたものですよ!」
内海「…フッ、そうだな。」
城間「…」
宵闇「どうだい城間くん。」
城間「どうだいって、なんですかそれ。」
宵闇「僕が公演前に言ったこと、忘れてないでしょ?」
城間「…」
宵闇「舞台が終わって、笑顔の君がいるね。」
城間「…そうですね。やっぱり、私には宵闇先輩の見えている景色が見えないようです。」
宵闇「やっぱり?僕ってば天才だからね!!!…とはいえ、僕も僕で城間くん達の見えている《《当たり前》》の景色が見えないよ。」
城間「…例えば?」
宵闇「例えば…」
悪天「先輩達ー!打ち上げですってー!!早く行きましょー!!!」
宵闇「お、打ち上げだー!!!さぁさ、城間嬢も行きましょう!!!」
城間「ちょ、ちょっと、!さっき言いかけてたのって、!」
宵闇「いやーなんのことだか!僕にはさっぱりだなー!」
城間「~ッ!」
---
打ち上げは初めてのことだったけど、物凄く盛り上がっていた。
その盛り上がりの中心には私と藍白くんがいて、城間先輩も輪に入っていた。
雷羽先生もいつも以上にご機嫌で楽しそう。
タンザナイトもアイオライトもプレナイトも、
私にはまだどのクラスがどれだけ凄いかわからない。
でも、どれだけ強敵に出会ってもこのアメトリンで優勝したいと、そう思う。
新人公演が終わった。
次は、《《夏公演》》!
#19 休息
「ふぅ…」
なんだかんだで初めての公演、新人公演が終わった。
そして今日は日曜日。折角の休日なのに…
「体が全く動かない…」
体が疲れすぎて動く気力が湧かない…!
--- コンコンコン ---
「?はーい!」
城間「私、城間だけど。今空いてる?」
「あ、空いてます、!」
さっきまで動かなかった体はどこに?
と言えるくらいには体がすぐに動いた。
--- ガチャ ---
「おはようございます、!」
城間「もうこんにちわだけどね。おはよう。」
城間先輩も新人公演が終わると、雰囲気が少し柔らかくなった。
城間「カフェ。」
「…カフェ?」
城間「そう、カフェ。行きたいから着いてきて。」
「え…」
城間「なに。嫌なの?」
「い、嫌じゃないです嫌じゃないです!」
城間「早く準備してね。下で待ってる。」
「はい、!」
---
「か、体がぁ…!」
---
「お、お待たせしました…!」
城間「遅過ぎ。どうせ体が重くて動かなかったとかでしょ。」
「う゛っ、」
城間「しっかりしてよ本当。これからいくつ公演があると思ってるの?」
「すみません…!」
城間「…ま、いきなり誘ったのは私だし。最初は皆そんな物だよね。」
「…」
城間「早く行くよ。行きつけのカフェがあるの。」
「は、はい!」
---
--- カランコロン… ---
店員「いらっしゃいませ、2名様でしょうか?」
城間「はい、いつもの席って空いてますか?」
店員「いつものお席ですね!丁度空いております!」
城間「じゃあそこで。」
店員「かしこまりました、ご案内します。」
---
城間「…で、どれにすんの?」
「え、あ、私も頼むんですか!?」
城間「だから連れて来たんでしょ。新人公演やりきったからって先輩達が祝えって。藍白の方は高浜先輩が別の場所連れてってる。」
「そうなんですね…。」
凄くオシャレなお店…明かりも雰囲気も素敵…。
城間「すいませーん、」
店員「はい、!」
城間「ミルクティにレモンパイ、あと…お前何にするの、」
「え、あ、じゃ、じゃあ、この夏ソーダにピーチタルトで、!」
店員「かしこまりました、少々お待ちください。」
城間「ありがとうございます…決めるの遅すぎ。何してたのさっきまで。」
「て、店内に見惚れてまして…」
城間「店内?…あぁ、確かにオシャレでいい雰囲気だよね。慣れ過ぎて考えてなかったな。」
「慣れですか…」
城間「そう言えばさ、ここ、高浜先輩が連れて来てくれて初めて知った場所なんだ。」
「そうなんですか!?」
城間「そう。それから常連になっちゃった感じ。」
「そうなんですね…。」
店員「お待たせいたしました。こちらミルクティとレモンパイ、夏ソーダにピーチタルトでございます。」
城間「ありがとうございます。」
店員「では、失礼します。」
「うわ…✨美味しそう…✨」
城間「何お前、桃好きなの?」
「あ、はい!桃好きなんです!、」
城間「ふーん…ていうかさ、」
「はい?」
城間「夏ソーダ、今まだ夏じゃないよね。」
「え…あ、確かに!w」
城間「やっぱりそうだよね。季節先取り?」
「そうかもしれませんね!w」
城間「何にせよお味は?」
「ん…シュワシュワしてます!✨美味しい!✨でもちょっと味が薄い…?」
城間「…それ、下の色濃い部分と混ぜて飲むんじゃないの?」
「?…あっ、そう言う事ですか!?」
城間「多分ね。」
「…混ぜた方が美味しいです!w」
城間「やっぱりそうだった。私のレモンパイも美味しいよ、食べる?」
「いいんですか!?」
城間「いいから言ってるんでしょ。」
「じゃ、じゃあいただきます!…メレンゲがフワフワで生地もサクサク!✨」
城間「美味しい?」
「美味しいです!✨」
城間「だったら全部食べていいよ。」
「え!?いや、城間先輩のが無くなっちゃいますし…。」
城間「食べきれないの。だから食べて。」
「わ、わかり、ました…?」
城間先輩少食がすぎない…?
3分の2食べたか食べてないかだよ…美味しいからいいんだけど、!
---
店員「ありがとうございました〜!」
城間「…リラックス出来た?」
「え、あ、楽しかったです、!美味しかったですし、!」
城間「そう、なら良かった。」
「これから城間先輩どうしますか?」
城間「私は寮に戻る。立花は?」
「私は少しグルグルしてから戻ろうと、!」
城間「じゃあここでお別れ。また寮でね。」
「はい、ありがとうございました!」
さて…どこから移動しようかな!✨
---
---
---
「たくさん見て回っちゃった…!」
お菓子にガラス工房にカフェにビックバーガー!
楽しそうな場所が多かったなぁ…!✨
モブ「キャー!✨」
「うわっ!」
何々!?事件!?((
モブ「《《柊亜泉》》様よー!✨」
「…柊亜泉…?」
名前的に女の人かな…人気者みたい、
是非一目でいいから見てみたいんだけど…
人が多過ぎて見えない…!
一瞬でこんなに集まるの…!?
「…諦めよう。」
きっと人気者って事は美人だろうなぁ…✨
??「?…あの子は確か…」
---
--- ボフッ ---
「はぁぁぁぁぁ…」
カフェだけのつもりがついつい遊び過ぎた、!
体明日大丈夫かな…。
明日…何するん…だろぅ…
#20 脚本
宵闇「やぁアメトリンの諸君!!!日曜日はどうだったかな?楽しかったかな?」
藍白「少し、疲れてました…。」
悪天「私は街探検に行ってましたー!」
「私はカフェに…。」
高浜「ダンス稽古。」
城間「歌の稽古。」
内海「主役の魅せ方について考えていた。」
宵闇「うんうんうんうん…楽しい休日を過ごしたようだね!!」
高浜「耳鼻科行け。」
宵闇「酷すぎ!?耳は悪くないから!!!悪いの視力だけだから!!」
高浜「ほーん。」
宵闇「真面目に聞いてる!?」
内海「優。早く話を進めてくれ。」
宵闇「あ!そうだった!もう流美の助のせいで話がズレちゃった!!!」
高浜「誰のせいだ馬鹿。」
宵闇「おう怖い。…えー、新人公演が終わったね!」
内海「終わったな。」
宵闇「『終わった〜やっと楽になる〜』とか思ってる1年生!今日から夏公演の稽古が始まります^^」
藍白「…(・・?)」
悪天「Σ(゚д゚lll)」
亥塚「…」
「(´⊙ω⊙`)」
宵闇「ふはははははは!!!だが安心して欲しい。君達、役選ばれない可能性あるからね?」
悪天「…え?」
宵闇「いやあのね、新人公演は『新人がこんな感じですよ〜』って言う一年生がメインじゃなきゃいけない公演だった訳。分かる?」
藍白「はい…わかってます、」
宵闇「だけどね、夏公演からは『クラス優勝を狙う為に才能ある人を主役にする』が絶対になるわけ。」
悪天「ほうほう…」
宵闇「実力差がある君達を役に選ぶ事は基本ない。3年や2年が選ばれることの方が絶対に多いだろうね。」
「じゃあ、私達役ないんですね…」
宵闇「それは配役発表までのお楽しみ。では、脚本配りまーす!」
---
宵闇「全員配られたかな?…では読んで行こう…舞台は新人公演と真反対と言ってもいいくらい反対な現代社会!
タイトルは『Tonight we're the stars』。
舞台の会社の名前を『シーロンド』。海の上に作られた会社さ!
ここでは社員の主人公…"カミムラ"が今日もまた夜遅くまで働いていた。シーロンドはホワイト企業なのにも関わらず、毎日残業を続けるカミムラ。そんな彼の元に来たのは"モチヅキ"。同じくシーロンドの社員さ。彼女も、カミムラが帰るまで仕事場に残っていたのだ。
誰がどう見てもモチヅキがカミムラを好いている事は明らか。だがカミムラもモチヅキの事が好きだった!
鈍感すぎるカミムラにどうにかして気付かせようとする後輩"ツガル"。態度に出ないが物凄くカミムラを大事に思っている後輩さ!
そしてモチヅキに両思いであることを伝えたい同僚"ミヤノ"。モチヅキとは学生時代からの友人だね!
2人の努力は虚しく、何一つ進展しない2人の関係に呆れて来たツガルはとある広告を見つける。そこには『ダンスパーティ』と書かれていたのだ。
『2人を参加させればいい感じになるのでは!?』と思いついたツガルは早速2人に参加してもらおうとする…が、2人はダンス未経験者。今度こそ希望がなくなってしまった。
だがしかぁし!ミヤノの働きのお陰でダンス教室を見つける!ダンス教室の名前は『アキヤマダンス教室』。中に入ると2人のダンス講師が。1人が"アキヤマ"。ダンス教室の管理者だ。もう1人が"スズキ"。ダンスが上手いスタッフだね。
ここで何日も何日も、仕事終わりに練習する2人。そのお陰で2人の距離はどんどん縮まっていき…。
ダンスパーティ当日!おめかしされた2人はまさかの会場の端で踊っていた。自信がないと言う理由で折角の練習期間を無駄にする2人を見かねてスズキは会場の真ん中は送り出そうとする。それを見てアキヤマも押し出しに参加してね。
会場の人の目を奪うような綺麗なダンスを踊る2人。踊り切った後、2人の距離はどうなったのか。結果、近づいていたのだ。会場でモチヅキに『これからも、俺の隣にいてくれませんか、!』そう言うカミムラ。『カミムラさんの隣に、一生いますから!、』そう返すモチヅキ。
これにてハッピーエンド___
って訳!長いけど理解できた?」
藍白「ちょっと無理ですかね…」
宵闇「頑張って覚えてくれたまえ!」
内海「脚本読めば分かるから大丈夫だぞ。」
宵闇「七伎優しい!!」
藍白「ありがとうございます…!」
高浜「で、配役は?」
宵闇「そうだね!はい注目ー!配役発表始めちゃうよー!」
「配役発表…」
私が選ばれるか選ばれないか…
宵闇「まず主役!カミムラ役に___」
第2章 始まり
第1章終了記念 質問コーナー
1あなたの名前は?
「|城間伊織《しろまいおり》。」
2身長は?
「…166、かな。」
3誕生日は?
「9月18日。」
4年齢は?
「17。」
5好きな色は?
「白とか青とか…寒色系。」
6趣味は?
「歌を歌う、髪の手入れ。」
7名前の由来は?
「なんとなく。」
8あなたにとって最も価値があるのは?(例:お金/愛/命 etc…)
「声?声帯?かも。」
9口癖は?
「口癖?…よくわからない。」
10今現在、愛する人(恋情を抱いている相手)はいますか?
「いるわけない。」
【いいえ】→以下10個の質問へ
①かつて愛した人は?
「いない。」
11後悔していることは?
「…クラス優勝を私のせいで逃してしまった事。」
12好きな季節とその理由は?
「ない。春は花粉、夏は日差し、秋は虫、冬は喉を痛めやすいから全部嫌い。」
13座右の銘は?
「よい花は後から。」
14好きな場所は?
「歌を自由に歌える場所。」
15嫌いな場所は?
「海とか日差しが凄い場所と暑い場所。あと寒い場所も。」
16好きな言葉は?
「歌。」
17嫌いな言葉は?
「ダンス。」
18好きな時間は?
「歌唱の稽古の時。あと夜かな。」
19嫌いな時間は?
「ダンスの稽古の時。あと昼。」
20暇な時は何をしていますか?
「歌詞の確認したり好きな歌を歌う。」
21ストレス発散法は?
「歌を歌うか誰かに八つ当たり。」
22睡眠時間は何時間くらいですか?
「…8。何かやらなきゃいけない事があったらもっと短い。」
23「好き」「愛してる」などの好意を素直に伝えられますか?
「無理。」
24好きなタイプ(恋人)は?
「興味ない。」
25好きなタイプ(友人)は?
「…歌が上手い人とかまともな人。」
26苦手なタイプは?
「うるさい人、騒がしい人。」
27あなたの大切な人が泣いていたらどうしますか?
「…何があったか聞くかな。」
28苦手な人にはどのように対応しますか?(例:避ける/当たり障りない態度をとる/威嚇する etc…)
「避ける。あと暴言吐く。」
29宝物はなんですか?
「声。…あ、物?じゃあ蜂蜜飴。喉にいいからね。」
30大切な存在を傷つけられたらどうしますか?
「…傷つけた奴を精神的にピーーー」
31過去をやり直したいですか?
「やり直したい、当たり前でしょ。」
32秘密はありますか?
「…あるよ。誰にも言ってないね。」
33家族構成を教えてください
「母、私。」
34トラウマはありますか?
「…あるにはあるよ。」
35手が届きそうにないものを欲しいと願う時、あなたはどうしますか?
「諦める。だって届かないんだから。」
36あなたの人生を変えたきっかけはなんですか?
「演劇を見た事、かな。」
37あなたの「夢」は?
「…私の歌で皆を幸せにする、とか。」
38あなたにとって「夢」とは?(例:憧れるもの/叶えるもの/手の届かないもの etc…)
「叶えたいけど叶わない物。」
39今までで生きてきてあなたが諦めたものは?
「…クラス優勝、家族関係、人間関係、体力をつける事、とかじゃない?」
40あなたは自分の人生に満足していますか?
「満足か…してないな。」
41あなたにとって過去とは?
「2度と思い出したくない物。」
42あなたにとって現在とは?
「そこそこいいもの。」
43あなたにとって未来とは?
「きっと、いい物。」
44晴れの日は何をしますか?
「木陰でのんびりするかな。夏とかは音楽室で歌。」
45雨の日は何をしますか?
「自室で歌詞確認と音楽室で歌。」
46得意な料理は?
「…カップラーメン。」
47得意な科目は?
「音楽。」
48得意な楽器は?
「…フルート、ギター、とか?」
49得意なゲームは?
「ゲーム得意じゃない。」
50どこに住んでいますか?
「演劇専門学校のアメトリン寮。」
51所属は?(例:人/妖/神 etc…)
「人。」
52家事は得意な方?
「掃除"は"得意だよ。」
53あなたが最も嫌うことは?(例:嘘/裏切り/過干渉 etc…)
「過干渉と縛られる事。」
54《質問53》の理由は?
「親が過干渉だった。全部制限してきたし。」
55整理整頓する方?
「する方だね。」
56手先は器用な方?
「器用じゃないと思う。」
57あなたにとって美しいものは?
「自然かな。鳥のさえざりとか美しいんじゃないかな。」
58あなたにとって醜いものは?
「…さぁ?」
59最近驚いたことは?
「入って来た新人2人の演技が凄かったことかな。」
60最近見た夢は?
「…昔の夢。」
61とっておきのおまじないを教えてください
「おまじない?…いたいいたいのとんでけー(棒)…これじゃないなら知らない。」
62あなたが拘ってるものは?(例:服装/髪/アクセサリー etc…)
「髪と喉。あと肌。一応演者だからね。」
63あなたの恐怖体験は何でしたか?
「食堂でのんびりしてたら眠くなっちゃってさ、机に突っ伏して寝たんだよね。で起きたら人の顔が目の前にあった。一瞬で目覚めたよ。」
64目に見えないもの(例:霊/妖/神 etc…)を信じますか?
「信じない。くだらないし。」
65好きな匂いは?
「…柑橘類?」
66嫌いな匂いは?
「強い香水の香り。つけすぎのは好きじゃない。」
67絵心はある方?
「ないかも。…この前鮫描いたらイルカって言われた。」
68よく言われる第一印象は?(例:社交的/神経質/穏和 etc…)
「冷たい感じがする。」
69周囲からなんと呼ばれていますか?
「歌姫とか伊織。あと城間。」
70よく通うお店は?
「カフェ。」
71あなたの部屋で一番目立つものは?
「ギターじゃない?」
72あなたのコンプレックスは?
「コンプレックス?…偏食な所、とか?」
73一番楽しいのは何をしている時?
「歌を歌ってる時。」
74賭け事は好き?
「好きじゃないかな。私が負けるの嫌だし。」
75あなたは和装と洋装どちらが好みですか?
「洋装かも。でも和装も素敵で好きだよ。」
76直感か理論、どちらを信じますか?
「私は理論派だよ。」
77好きな天気は?
「曇り。晴れは日差し強くて暑いし、雨だと偏頭痛起きるから。」
78好きな飲み物は?
「水とかミルクティとか温かい物。炭酸はシュワシュワ苦手だから無理。」
79あなたはどんな時に嘘をつきますか?
「どんな時だろうね。…まぁ、誰かが困ってる時じゃない?」
80怒りの沸点は高い方?低い方?
「高い方だと思うけど。…でも周りは低いって言ってる。」
81怒っている相手への対応の仕方は?(例:宥める/近寄らない/煽る etc…)
「近寄らない。近寄っていい事ないでしょ。」
82約束の相手が来ません。どのぐらいあなたは待てますか?
「約束時間から10分後まで。それ以降は気分で残るか帰るか決めてる。」
83前世や運命を信じる方?
「信じてない。前世だろうが今世には関係ないでしょ。」
84占いの運勢が悪かったらあなたはどうしますか?
「信じてないからどうもしない。」
85人に騙されたことはありますか?
「…あるよ。」
86人を騙したことはありますか?
「あるね。」
87一目惚れしたことはありますか?
「ないってば。」
88人生最大の修羅場は?
「親に演劇の勉強してるのがバレた時、かな。」
89恋人にしてほしいことは?
「いないし作る気無いからパス。」
90たとえ恋人でもされたら怒ることは?
「パス。」
91あなたの人生訓は?
「頑張るな。夢中になれ。」
92あなたは嫌味/悪口などを言われたら言い返しますか?
「言い返すね。」
93よく聴く音楽はなんですか?
「リラックス効果のある曲とかかな。ボカロ?とかはあんまり聞かない。人が歌ってるのから歌い方を真似る。」
94今日のお昼は何を食べましたか?
「お昼?…卵のサンドイッチ。」
95いつも持ち歩いているものは?
「喉飴と歌詞用メモ。公演の曲は私が作ってるから。」
96復讐したい相手はいますか?
「…どうだろうね。」
97一つだけ願いが叶うのなら何を望みますか?(ただし"願いを増やす"のは不可)
「一つか………私を、誰かの役に立たせて欲しい。誰かに求められるような人に。」
98自分の人生を一言で表すなら?
「まだ17年しか経ってないけど…つまらない、かな。」
99あなたはどんな最期を望みますか?
「歌に囲まれて楽に逝くのがいいな。苦しいのはあまり好きじゃない。」
100最後の質問です。今、幸せですか?
「…きっと、幸せだよ。」
#うちの子へ100の質問
https://privatter.net/p/1381089
第1章 『歌姫は歌声を響かせる』
next⇨ 第2章 『???』
#21 配役発表
宵闇「カミムラ(男)役に___」
宵闇「《《内海七伎》》!!!」
内海「!…与えられた役目は果たそう。」
宵闇「頑張ってくれ、アメトリンのリーダー。…さて次はヒロイン(仮)のモチヅキ(女)役!これに…《《高浜流美斗》》!」
高浜「俺か…了解、モチヅキな?」
宵闇「任せたぞ流美の助けぇ!次、ツガル!この役に…《《立花未来》》!」
「…え!?」
藍白「未来ちゃん、役おめでとう、!」
悪天「凄すぎだよ!あの先輩達に続いて役ゲットとか!」
「あ、うん…ありがとう、!」
宵闇「ちなみにツガル、新人公演とは真逆の男役だから練習よろしくね〜!」
「…男?え男役!?」
宵闇「ふふふふふ、その驚き方が初々しくて好きよぉ!また次!ミヤノ(女)役に《《城間伊織》》!」
城間「…言っておきますけど、凄い演技は出来ませんからね。」
宵闇「役として最低限の演技はしてね!?次、アキヤマ(男)役に…《《藍白鴇》》!」
藍白「!ぼ、僕が…役、またゲットだ…!」
宵闇「新人公演の舞台は初めてにしてはとても良かったよ!そして最後ぉ!スズキ(女)役に…《《悪天狛琥》》!」
悪天「!私も役あるんですか!?やったぁー!頑張ります!」
宵闇「君にぴったりな元気キャラにしたからご安心を!ではでは、早速稽古を始めたいところですが…配役発表で今日おしまい!!」
「え!?な、なんでですか、?」
宵闇「これには海よりも深く、山よりもデカい理由があってだね…」
内海「優が図書室に期限とっくに過ぎてる大量の本を返しに行くだけだ。」
宵闇「ちょっとぉ!?それ言わなくていい事です!!!」
「…」
宵闇先輩いると場が和むなぁ…。
内海先輩と高濱先輩が主役の夏公演…私は男役…
女の私が、男になりきれるの…?
番外編 問題児集団アメトリン
雷羽「はい、みなさん稽古を初めま___」
宵闇「君は破天荒くん!いや短気くん?」
高浜「ふざけてんのかテメェ…ぶちピーーー」
宵闇「それはとてもいい!もっと暴言を吐いてくれたまえ!脚本の案になりそうだ!」
高浜「気持ち悪りぃ、ドMかよ。」
宵闇「才能に酔っていると言う意味ではドMかも?」
高浜「さっさと失せろクソピーーーーー」
内海「…」
城間「え、えっと…ど、どうしたら…?」
内海「俺にはどうしようもない。落ち着くのを待つだけだ。」
城間「そんな…同級生、ですよね?」
内海「俺とアイツらは違う。アイツらは役に選ばれる才能のある奴。俺はアンサンブルの才能がない奴だ。」
城間「…そう、ですか。」
高浜「ピーすぞテメェ!!」
宵闇「殺人罪と言うのがあるのをご存じなくて!?」
高浜「大丈夫だ半殺しで済ます。」
宵闇「殺人未遂!?」
高浜「んじゃ近くの山にでも埋めとくから安心しろ。生き埋めだ。」
宵闇「おお!その生き埋めアイディアとてもいい!メモメモっと…」
高浜「💢…ボゴッ」
宵闇「ひでぶっ!?」
雷羽「ちょ、流美斗くん、!流石に殴っちゃ駄目よ!眼鏡飛んでってるし、!」
高浜「…センセー、質問があるんですけど、」
雷羽「…何かしら?」
高浜「少年院っていいところですかね?」
雷羽「良いところじゃないし早まらないで!、」
--- ギャーギャーワーワー ---
城間「…これ、大丈夫ですか?」
内海「いつもの事だ。俺には何もできない。」
城間「これをいつもにしたくないんですけど私…」
内海「諦めろ、慣れだ慣れ。」
城間「慣れたくないですね…」