閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
#01
💎様がメインとなる小説です。
地雷の方は、ブラウザバックをおすすめします。
「感情なんて、任務の邪魔なだけだった。……君の温かさを知るまでは。」
首の後ろに埋め込まれたチップが、時折、冷たい脈動を刻む。
それは、僕が「人間」ではなく「所有物」であることを示す、消えない刻印だ。
このチップは僕の聴覚を共有し、心拍数から脳波に至るまで、あらゆる情報を母国へとリアルタイムで送り続ける。
もし任務を放棄したり、あるいは「スパイ」として許されない私的な感情を抱けば、チップから高電圧が流れ、僕の意識が強制的に遮断される仕組みになっている。
(……僕は、ただの記録装置だ。何も感じてはいけない。何も望んではいけない)
僕は、IRIS防衛学園の重厚な門を見上げた。
「アイリス」――希望や虹を象徴するその名とは裏腹に、校舎は鈍色のコンクリートと強化ガラスで覆われ、屋上には巨大な対空砲が空を睨んでいる。
敵国の中心部。本来なら足を踏み入れることさえ許されない場所に、僕は「転校生」という偽りの皮を被って侵入した。国で初めての「奴隷スパイ」。僕に与えられたのは、自由ではなく、死ぬまで終わらない任務だった。
教室の扉を開けると、硝煙と消毒液が混ざったような、この学園独特の匂いが鼻を突く。
水.彡「……今日から編入することになった、ほとけ、です。よろしくお願いします」
僕は、教壇で深く頭を下げた。
水色の髪を揺らし、アホ毛を頼りなげに跳ねさせる。目の下の二つのほくろが、どこか儚げで守ってあげたくなるような印象を与えた。
内気で、臆病で、戦いなど何も知らない無垢な少年。それが、僕が演じるべき「ほとけ」というキャラクターだ。
赤.彡「……へぇ、弱そうなのが来たね」
最前列で、赤髪の少年――りうらが、興味深そうに目を細めた。その隣では、生徒会長のないこが、品定めをするような完璧な笑みを浮かべてこちらを見ている。
その背後には、情報端末を無機質に操作する初兎と、彫刻のような筋肉を制服の下に隠した悠佑が控えていた。
クラス全体が、新入りを歓迎する空気ではなく、獲物を観察するような鋭い視線に満ちている。
桃.彡「ほとけ君、君の席はあそこだ。いふの隣だよ」
ないこさんが指差した先。
窓際の一番後ろの席に、青い髪を乱した長身の少年が座っていた。いふ。彼は僕の方を一度も見ることもなく、机に頬杖をついて、退屈そうに窓の外を眺めている。
僕は足音を殺して歩き、彼の隣に座った。
180センチの体躯から放たれる威圧感に、僕の心臓がわずかに揺れる。だが、首のチップがそれを検知し、チリリと警告のような熱を発した。
(感情を殺せ。心拍数を上げるな。……僕は、機械だ)
僕は無機質に前を見つめ、カバンから教科書を取り出した。すると、隣から低く、刺すような声が響く。
青.彡「……おい」
僕が肩を震わせて振り向くと、彼が鋭い青い瞳でこちらを射抜くように睨みつけていた。
青.彡「……自分、さっきから何やねん。挨拶もなしに座るんか。礼儀っちゅーもんを知らんのか。」
水.彡「あ……ご、ごめんなさい。いふ、君……」
青.彡「……チッ、そのオドオドした態度、見ててイライラすんねん。俺に構うなよ。死にたくなければな」
彼は吐き捨てるように言うと、再び窓の外に視線を戻した。
冷たい関西弁。明確な拒絶の言葉。
普通なら傷つく場面だが、僕の脳内では、チップを通じて母国のオペレーターの冷徹な声が響いていた。
『対象:いふ。IRIS防衛学園における重要監視対象。接触を継続し、弱点を探れ。情に流されることは許されない』
(……わかってる。これは、ただの任務だ)
僕は、彼の横顔を盗み見た。
冷徹な言葉とは裏腹に、彼が握りしめているペンが、わずかに震えていることに気づく。彼は、何かを恐れているのか。あるいは、この歪な学園そのものに苛立っているのか。
その時、彼が不器用な手つきで消しゴムを落とした。
消しゴムは床をコロコロと転がり、僕の足元で止まる。
青.彡「……あ」
いふくんは気まずそうに、しかしプライドを捨てきれないような複雑な表情でこちらを見た。
僕は無言でそれを拾い、いふの机の上にそっと置く。
青.彡「……っ、……サンキュ。……でも、やっぱりお前、なんか変やわ。……まぁ、ええわ。ノート、後で貸したるから。お前、さっきから手、震えとるぞ」
彼は消しゴムをひったくるように受け取ると、耳まで真っ赤にしてそっぽを向いた。突き放すような言葉の中に、ほんのわずかな、熱のようなものが混ざっていた。
首の後ろのチップが、熱い。
記録されているのは、交わされた会話だけではないはずだ。
僕の胸の中で生まれた、この小さな、名前のない違和感さえも、すべて国に暴かれてしまうのだろうか。
IRIS防衛学園での、偽りの日々が幕を開けた。
__それは、鋼の枷に繋がれた少年が、初めて「青い光」に触れた瞬間でもあった。__
初めての作品となります()温かい目でみてくださいm(_ _)m
自分はプリ小説でもアカウントを持っているんですが、ぜひ、そちらも見てみてほしい…()
この小説はプリ小説のほうでも投稿しようと思います。
次回のお話も是非みていってください!!(*^^*)