息抜き用のサブ小説2つ目です。
恋愛の話です。題名はそれっぽくつけたのであまり気にしないでください。
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目次
シックス・ラバーズ キャラ紹介
具体的なキャラ紹介です。
読み飛ばさないでね。
キャラ紹介
・俺(主人公)
黒髪のちょっと陰キャ気味の男。高校生。ドライで人に興味を持たない性格。無愛想で無表情。優しいところもある。成績はそこそこ。運動は苦手。身長175センチくらい。一人称・俺。好きなもの、嫌いなものは特になし。
・ヒロイン
①麻野(まや)
銀髪でボーイッシュの美人。青いメッシュを入れている。別名・宇宙人。言葉や行動が人に比べておかしい。外見はめっちゃ美人。俺とは数ヶ月同じ中学だった。とある理由で学校を転々としている。好きなことは星を見ること。身長164センチくらい。
②藤香(とうか)
容姿端麗、成績優秀、非の打ち所のない完璧な生徒会長。黒髪のストレートヘアー。大和撫子で華道、茶道、柔道など、道の付くものはなんでも得意。外見はクールで近寄りがたく感じるが、中身は非常にフレンドリーで親しみやすい性格。身長は、158センチくらい。
③和花(わか)
ほんわかおっとりしている癒やし系キャラ。茶髪のうねり気味のボブ。おっちょこちょいでドジっ子。食べ物の流行に敏感。(それ以外はそんなに敏感ではない。)好きな食べ物はフラペチーノ。藤香とは大親友で何でも言い合える仲。身長は155センチくらい。
④咲楽(さくら)
赤毛のボサボサ気味のショートヘアー。ツンデレでなかなか素直になれない性格。風紀委員。俺のことをあまり良い風に思っていない。得意なことは同時並行。身長は154センチくらい。
⑤留衣(るい)
焦げ茶色のロングヘアー。セクシーキャラ。俺のことをよくからかう。スタイルが良く、以外とモテる。身長は168センチくらい。基本、服は締め付けるものが苦手なので家ではジャージを着ているらしい。
⑥百々音(ももね)
明るく元気印な性格。緑がかった髪色のポニーテール。猪突猛進で後先考えない行動派タイプ。勉強は苦手。運動は6人の中で一番得意。使うシャンプーにはこだわりがある。身長は152センチくらい。
頑張って書いていきたいです。
ちなみに、「俺」は終始本名が不明なので、名前は想像にお任せします。
(名前呼ぶときは、〈俺〉くん、〈俺〉さんという感じでいきます。)
投稿は不定期、1話1000文字くらいでいきます。
シックス・ラバーズ 第1話
長すぎました。ごめんなさい。
桜咲く、穏やかな春の日。
俺は、高校生になった。
今日は高校の入学式。
新しい友達が出来るか心配だ………
―――などという心配は一切ない。
なぜなら、小学校も中学校も、友達0だったからだ。
もうここまで来れば友達なんていらない。
高校生になっても、俺は独りで生きていくんだ!
そんなことを考えていると………
俺「………ん?どうしたんだ、あの子。」
他の生徒はみんな、体育館へ入っていくのに、その女子だけはガサガサとうろちょろしていて、歩き回っていた。何かを探しているみたいだ。
まあいい。放っておこう――――という訳にもいかなかった。
俺は、困っている人をみたら放っておけない性格なのだ。意外に。
親父はレスキュー隊、お袋は看護師だったこともあってか、俺の家では「困っている人を見たら見捨てない」というのが家訓でもある。
なので俺は見捨てずに、勇気を出して話しかける。
俺「あのー、何をされているのですか?」
すると、その女子はこちらに気づいた。
茶髪のボブヘアーの目がパッチリした女の子。しかし、その目は潤んでいて、今にも泣きそうな様子である。
「……ないんです……ないんです……!大事なハンカチがっ……!!」
---
俺「うーん、ここもないなー。そっちは?」
「ないです……」
かれこれ数十分は探しているのだが、一向に見つからない。
入学式開始まで、あと10分しかない。
そして、俺は探しながらふと疑問に思ったことを彼女に投げかけてみた。
俺「―――なんで、そんなにそのハンカチが大切なんです?別にハンカチならまた買い直せばいいんじゃ……」
「――――そういう訳にはいかないんです。あのハンカチは、私の親友からもらった大切なハンカチなんです。だから、なんとしてでも見つけ出せないと……でももう、あなたは大丈夫です。入学式、遅刻しちゃうでしょ?あとは私一人で探しますから……」
そう言われたものの、やはり俺は妥協はしたくない主義だ。
一度やると決めたものは、放り出さずに最後まできちんとやり通したい。
俺「いや、見つかるまで俺も探し続けるよ。」
「え……本当ですか……?」
〈10分後〉
ハンカチを探し始めて、1時間弱。
ついに、そのときは来た―――――
「ガサッ」
道の小脇にある茂みの中に「ソレ」っぽいものが。
茂みの中に手を突っ込んで、それを引き出す。
―――これだ!
俺「―――見つかりましたよ!!」
---
「どうも、ありがとうございました!なんとお礼をしていいか………」
俺「いえいえ、見つかって良かったですね。それじゃ………」
「待って下さい!一緒に入学式行きましょう!どうせ、行き先は一緒なんだし――――」
---
俺(ふぅ。入学式終わった。災難だったな。二人してギリギリに来てしまった。)
遅刻ではなかったが、1番最後に来たのは俺たちだ。
――――この高校は6クラスもある。
もう、名前も知らないあの子と会うことも二度とないだろうな。
---
「和花!入学式お疲れ様。」
「うん。お疲れ。でも、すっごく大変だったよ〜っ」
「え?何かあった?」
「うん、藤香にもらった大事なハンカチを落としちゃって……探してたらギリギリになっちゃった。」
「それで……一人で探してたの?……そっかー。私がいたら一緒に探してあげられたのに……ごめん!」
「全然大丈夫だよ。だって藤香は“新入生代表の言葉”を言うから早く来なきゃいけなかったでしょう?それに、一緒に探してくれた人がいたんだ。見つけてくれたのも、その人で……」
「へー、親切な人っているんだね。」
「うん!とっても良い人だった。でも、そういえば、名前聞くの忘れちゃったなー―――」
---
俺(ここが、教室か……)
「ガラッ」
周りを見渡す。一人で静かに佇んでいるものや、もう気が合ったらしく、話に花を咲かせている二人組もいる。すこし騒がしい。
すると、すぐ手前の席に座っている子が、どこかで会ったことのあるような気がした。
まじまじと見ていると、その子と目が合う。
誰だろう。確かに会ったことはある。だが、名前を思い出せない。
その子も、俺をまじまじと見ているとようだ。
「………げっ、アンタ…」
その子は、どうやら俺が分かっているらしかった。
俺の高校生活は、いったいどうなってしまうのだろう……
つづく
「俺」の性格が訳わからなくなってしまった……
とりあえず、この調子で書いていきます。
シックス・ラバーズ 第2話
「……げっ、アンタ…」
その子が、俺に向けて指を指しながらそう言う。
面倒くさいことになってしまった。
だいいち、俺は彼女の名前が思い出せない。だが、確かにどこかで会ったような記憶はあるのだ。
俺「ご、ごめん、名前なんだっけ?」
「えっ、覚えてないの……まあ、それもそうか。ちょっとの間しかいなかったし。―――|麻野《まや》。覚えてる?」
――――――マヤ?
その名前を聞いて、やっと思い出した。
中学の頃――――二年生だっただろうか?
数ヶ月間だけ同じクラスにいた子がいた。
それが、彼女だ。
しかし、中学の頃と大分変わってしまっていた。
思い出せなかったのもそのせいだろう。
なぜなら、中学時代の彼女は茶髪だったのに、髪は白髪に染めた青メッシュの派手な髪色をしている………
一応、校則では染めるのは別にOKなのだが、そんなに派手な染め方をしているのは、彼女くらいだろう。
クラスの他の者も染めている者はちらほらいるが、どれも金髪だったり髪の一部がピンク色だったりと、可愛い程度だ。
俺「ど、どうしてここに……」
麻野「どうしてって、たまたま同じ高校に入学しただけ。それだけでしょ。そして、たまたま同じクラスになった。まあ、同じクラスになったなら仕方ない。これからよろしく。」
俺「あ、ああ。よろしく……」
そう言って、俺は彼女を後にし、指定された自席に座る。
席に座り、考えた。
俺は、中学でも目立たない方だった。ずっと席に座って一人で本を読んでいた。
だれも、俺のことは覚えていないだろうと思っていたのに………
彼女は覚えていた。数ヶ月しかいなかったのに。
何故だろう。しかし、考えても仕方がないよな。
つづく
シックス・ラバーズ 第3話
高校に入学し、1ヵ月が経った。
5月。もうすぐでゴールデンウィークだ。
しかし、俺のクラスは今、沈黙に包まれていた。
「体育祭の実行委員、男子やりたい人いませんかー?」
誰一人手をあげない。もちろん俺もその一人なのだが。
体育祭は5月末に行われる。今は5月がはじまったばかり。
今、ホームルームで体育祭の実行委員決めをしているのだが、なかなか決まらない。
実行委員は各クラス男女1名ずつで選出される。女子はすぐ決まったのだが、男子が一向に決まらない。
俺もこんな状況になるのは嫌だが、面倒くさいので手は挙げない。
すると、しびれを切らしたのか、実行委員決めを回していたクラスの学級委員(女子)がとんでもない発言をした。
学級委員「じゃあ仕方ないので、指名で決めます。指名されても文句言わないで下さいねー。……えーっと、今日は5月5日………足したら10…はい!主席番号・10番!」
サッと血の気が引いた。10番は俺だ。
そして、学級委員が俺の方を向く。
学級委員「はい!〈俺〉くん!実行委員の男子は、〈俺〉くんに決まりましたー!」
なんてことだ………俺は頭を抱えた。心の中で。
そもそも運動なんて得意ではないし、放課後毎日のように準備で集まらなければいけないのだ。帰宅部エースの俺としては早く帰りたいので、面倒だ。
そして、早速実行委員の集まりはその日の放課後に行われた。
---
先生「さあ、みんな集まったね。今日から、君たちには月末の体育祭の準備を放課後のこの時間に集まってやってもらいたい。早速だが、こちらで持ち場を振り分けておいたから、今からそこに向かってくれ。そして、次からはその持ち場で準備をすすめてほしい。じゃあ、発表するからなー。まず、競技のアイデア出し・佐々木、原田ー。トラックの整備・城田、佐藤、田中、秋本ー。――――」
俺の名前は、一向に呼ばれない。それに、準備は誰かと共同でやるようだ。
一緒にやる人が面倒くさい人でないことを俺は祈った。
先生「最後!そこの残った二人!使う道具の点数確認を体育倉庫で確認してくれ!あと点検もなー。以上!」
気がついたら、俺ともう一人の女子以外、みんなそれぞれの持ち場に行ってしまったらしく、ポツンと二人で取り残されていた。
---
俺ともう一人の女子は体育倉庫へ移動する。
すると、その女子が口を開く。
「あの、〈俺〉って言うんだよね?よろしく!私は―――|百々音《ももね》!百々音って呼んでいいよー!」
ポニーテールのハキハキとしたその女子は、やはり口調も明るかった。
俺とは正反対。苦手なタイプの女子だ。
俺「あっ……よろしく。俺も〈俺〉でいいよ。」
百々音「オッケー!じゃあ〈俺〉!これからよろしくね!」
そう呼ばれて、俺はドキッとした。
今まで女子に下の名前で呼ばれたことがなかったので、新鮮だった。
百々音「さあ!仕事はじめよう!先生に、点検する道具のチェック表もらったんだよねー。」
百々音さんは俺にチェック表を見せる。
俺は驚いた。道具の数はざっと数えて100種類はあるだろう。
俺「こ……こんなに……!?」
百々音「まあ、1ヶ月くらいあるから、余裕だよ!頑張ろ!」
こうして、俺と百々音さんの過酷(?)な体育倉庫点検が始まり―――
あっという間に終わった。
そうして、体育祭当日がやって来た。
俺たち体育祭実行委員は、事前準備とは別に当日準備の係も振り分けられていた。(一緒にやるメンバーは一緒。)
俺と百々音さんは、会場設営。
とっても大変だった。メンバーは俺と百々音さん以外も数人いたものの、朝早く集合しなければいけないし、終わったら夕方まで残って片付けをしなければならない。
百々音「〈俺〉!調子はどう?」
俺「どうって……普通だよ。」
百々音「もー、いつもそうじゃん!普通って何だよーっ。」
1ヶ月近く共に作業をしたからなのか、百々音さんとは大分普通に話せるようになってきた。
そしていつも会うたびに百々音さんとはこんな会話をしている。
百々音「はあーっ、〈俺〉と同じチームだったら良かったのに……そしたら私とっても嬉しかったのになー。……でも、私〈俺〉のチームには負けないからね!」
俺「所詮体育祭なんてイベントで競うだけだろ。オリンピックじゃあるまいし。勝っても負けても俺にはどうでもいいね。」
百々音「もーっ、冷たいなぁ!君にはそういう勝ちたいとか言う感情はないのかいっ!?」
俺「ねーよ。」
そうだ。俺は昔から何事にも無頓着だった。
何かに本気で取り組んだことが無かった。
そりゃあ、責任は人並みにあるから、やれと言われたことなら最後までちゃんとやり通す。
だけど、そういうこと以外は全部無頓着だった。
何で体育祭でみんな張り切るのか、俺には理解し難かった。
---
百々音「ふぅー。終わった!よし!後は体育祭を待ち望むだけだ!」
ようやく会場設営が終わり、俺と百々音さんは一段落つく。
俺「何で、百々音さんはそんなに体育祭に気合を入れてるの?」
百々音「……いや、だって私、頭悪いし、馬鹿だしアホだけど、運動だけは昔から自身があって!それに、体を動かすの大好きなんだ!体育祭は、私が唯一活躍できる大切な居場所なの!……〈俺〉くんにだって、あるんじゃないの?“大切な居場所”!」
俺「……俺は、別に……」
すごいな、百々音さんは。
俺なんかよりずっとすごい。
俺は、百々音さんを少し尊敬した。
つづく
シックス・ラバーズ 第4話
体育祭が、始まった。
---
「さあ、クラス対抗選抜リレー!白組、アンカーにバトンが渡りました!」
「いっけー!百々音!」
百々音「まっかせてー!」
「赤組、青組が懸命に追いかけますが、届きません!1位は白組です!」
俺(ふん…………やっぱ百々音さんは俺とは違う。)
運動神経も良いし、みんなの人気者。
俺とは、住む世界が違う。
---
俺「――――よいしょっと。これで全部だな。」
百々音「はあ……校庭と倉庫何往復したんだろ………」
俺「……やっぱ百々音さんはすごいな。リレーのアンカーまで任されて。俺は、全然運動できないし……」
百々音「そんなことないよ……!!〈俺〉は、誰よりも真面目で、体育祭の仕事だって一生懸命やってて………尊敬しちゃうな……だから、私も〈俺〉に負けないように精一杯準備頑張ったんだ!えへへ。」
尊敬―――――
そんなこと言われたのは、生まれて初めてだ。
この俺に尊敬できるところなんてあるのかと思っていた。
運動、勉強、器用さ、リーダーシップ、
俺より優れてる人なんていくらでもいる。
俺「どうして、俺なんか………」
百々音「〈俺〉はさ、なんか他の男子とは違うって言うか………私、〈俺〉と一緒に過ごしていたときがとても楽しかった!……私ね――――〈俺〉のこと…………大好きだよっ!!」
――――はっ???
突然の言葉に、俺の脳は思考停止した。
好き………??
好き…………??
《《大好き》》…………!?!?!?
俺「――――あ、アレか?あの、『友達として好き』的な……」
百々音「違うよ?友達以上にだいす…………」
俺「あーーっ!!そうだっ!俺、用事あったんだった!帰るね!じゃ、じゃあな!お疲れ!また学校でーっ!」
俺は、その続きを聞きたくなくて、逃げるようにして帰った。
今、こうして走っている時にもし50m走や100m走のタイムを計っていたら、おそらく自己ベストを更新できるだろう。
百々音「―――あっ!待ってよーっ!………もう、〈俺〉ったら…………」
百々音「………ようし。決めた。〈俺〉を絶対、ぜぇーったい、振り向かせて見せるんだから!!」
この頃からかもしれない。
俺の、平凡で普通な高校生活が狂い出したのは………………
つづく
シックス・ラバーズ 第5話
約9ヶ月ぶりの投稿です!!
今後もちまちま投稿するつもりなので、よろしくお願い致しますorz
体育祭も終わり、6月。
俺は、また新しいことを始めようとしていた。
それは、そう―――――
バイト!!
先日、俺はバイトの面接に行き、見事合格。
今日から俺の新しいバイト生活が始まる。
バイト先は大通りを曲った細い路地にひっそりとあるオシャレなカフェ。
高校からは徒歩20分。しかし、どちらの最寄り駅も同じ路線では無いため、歩きやバスくらいしか手段は無い。だから、知り合いにバレることもないだろう。(そもそも知り合いなんてあんまりいないけど。)
さあ、今日からバイト、頑張ろう!
「カラン、カラン」
ドアに吊り下げられたベルが鳴る。
俺「すみせーん。バイトに来た〈俺〉でーす。」
すると、奥の方から足音が聞こえてくる。
「おお!来たか。〈俺〉くん。面接でも会ったけど、店主の山木です。よろしく。」
面接でも会ったが、なんておおらかそうな人なんだろう。
このカフェ「|Sun leaF《サンリーフ》」の店主・山木さんは、見た目は50代から60代の年配の男性だ。
この店は、20年前からやっているお店で、今まではこの山木さん一人で切り盛りしていた。しかし、年も年なので一人で料理も作り、注文も取るのが大変になってしまったらしく、友達の息子である俺を雇うことになったのだと言う。
山木さんは結構フレンドリーなので、面接でこうなった経緯を全て話してくれた。
とりあえずこれは“お試し”で、人を雇わなくても働けるかどうか見極めるだけらしいので、俺が働くのは夏休み前までの期間限定だ。
まずは小一時間くらいみっちり注文の取り方などを教わってから、早速俺は渡されたエプロンを付けて、店頭に立った。
---
「――あっ!ねぇここ、ここ!ずっと前から気になってたんだけど、一人じゃ入りづらくて………一緒に入ろうよ!」
「……えー、別に、いいけど………まあオシャレだし、良さそう。」
「そうそう!はあ〜《《徒歩20分》》で遠いけど、大通りの外れにあるし、良い穴場見つけちゃった!」
「カラン、カラン」
俺「いらっしゃいま……」
「………あっ。」
終わったーっ!!
俺のバイト生活終わったーっ!!
ウチの制服のお客さんが来た時点で、ここはもう俺だけの場所じゃなくなった…………
……ま、まあ、でも、相手は俺だって分かんないよな。学年違うかもしれないし。うん、うん。
「あーっ!!あなた、あの入学式の時の!!会いたかったんです!あの時はありがとうございました〜っ!」
俺「……あ、ああ………そんなことも、ありましたね……ははは。」
ほぼ忘れかけていた記憶だった。
こんな子だったっけ?
一緒に探した子の顔なんて、あやふやだ。
「こんなところで会えるなんて、運命的ですね!……ねっ、藤香!」
「す、すみません………この子、人にグイグイ来るタイプで……………」
俺「あ、いいえ。全然。気にしてないですよ。(……俺のバイト生活、完全に終わったーーーーッ!!!)」
---
「――私は――|和花《わか》。で、こっちは|藤香《とうか》です!中学からの親友なんですよ〜!あの時探してたハンカチをプレゼントしてくれたのも、藤香なんです!」
俺「へー、そうなんですか。」
藤香「どうも。親友がお世話になったようで。」
藤香……さんは、丁寧に頭を下げた。
よく見ると、艶々の黒髪でまつげも長く、まさに大和撫子といった感じだろうか。
対照的に和花さんは、茶髪のすこしうねったボブで、目はくりっとしていてかわいい系だろうか。
………って!!何女子をまじまじと見てんだ!俺!!
和花「早速ですが、連絡先交換しましょ!」
藤香「こーら!和花!ナンパしない!この人が困ってるでしょ。……って、そういえば、あなた、お名前は……??」
和花「あ、確かに。名前名前!」
藤香「ちょ、あなた名前も知らない人と連絡先交換してたの!?普通順序逆でしょ!」
すかさず藤香さんがツッコむ。
和花さんは天然系なのかな……??
俺「俺は、〈俺〉って言います。」
和花「へぇー、〈俺〉かぁ…良い名前!よろしく!〈俺〉くん!」
藤香「よろしくお願いします。〈俺〉さん。」
俺「こちらこそ、よろしくお願いします。和花さん、藤香さん!」
和花「呼び捨てでいいよ~」
藤香「そうそう。」
山木「――もしかして、二人とも、〈俺〉くんの知り合い?」
山木さんがキッチンから顔を覗かせる。
和花「はい!同じ高校なんです!」
山木「そうかそうか。〈俺〉くんのお友達なら、おじさんサービスしちゃおっかな~。ちょっと作ってくるから待ってて。」
和花「やったぁ~っ♪今日の私、ツイてるー!」
藤香「あ、ありがとうございまーす!!」
恐らく、山木さんの親切のおかげ(?)で二人はこれ以降もこのカフェに通い続けるのだろう。
しかし、悪くはなかった。
この二人、悪い人では無さそうだし。
こんなバイト生活も悪くないかもしれない。
俺たちは山木さんが作ってくれたサービスのパンケーキをつつきながら、楽しく食べた。
つづく