自創作男女3組の共通お題まとめ。
(※Xfolioに掲載している分)
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目次
皇帝の執着
Xの鍵アカに乗せたものなので短い。
「私は皇帝だ。欲するものは全てこの手に収めてきた」
薄紫の柔らかな瞳、その奥がきゅうと細くなった気がした。
征服者、そう呼ばれるに相応しい顔。そして、その対象が自分だとはっきりと突きつけられた。
「ロランス、すまないね。君に冠を授けるのは、私の役目だろう?」
騎士の執着
「エノ」
呼ばれて振り返れば、ディートリヒの顔が目の前にあった。ターコイズを思わせる瞳は、あまりにも澄み切っている。こんなに美しかったのか、そう意識すれば顔に熱が集まって目を逸らしたくなる。
けれど、後ろに添えられた手がそれを許さない。
「ずっと、お前だけを見ている」
隠者の執着
同病相哀れむ、そんな関係でもいい。このまま何も思い出さず、俺と一生を添い遂げて欲しい。
叶えるための対価は支払う。
不自由はさせないと誓ったから。
「頼む、俺を受け入れてくれ」
孤独には慣れていたはずだったのに、胸の奥から湧き上がる熱は冷めなくて。
「俺にはお前しかいないんだ」
皇帝の口付け
「ほう、そんな顔も見せてくれるのか」
握る手にゆっくりと体重を掛ければ、寝台の軋む音がする。ロランスにしては珍しく呼吸が浅く速い。頬もほんのりと染まっているから、緊張しているのだろう。
それでも止めるつもりはないが。
「大丈夫。ほんの一瞬、唇が軽く触れるだけのこと、そうだろう?」
騎士の口付け
2バージョンあるので一緒に。後半が新しいの。
「夢じゃないさ。俺はちゃんとここにいる」
感極まって泣いてしまったエノを抱きしめた。長かった髪は短く、目つきも鋭くなった。だが、内に秘めた強さと、優しい性格はそのまま。
「エノ。お前を愛している。どうか……最期まで守らせてくれ」
お互い顔を真っ赤にする中、彼女の唇にそっと触れた。
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「エノ、お前が大好きだ。愛している」
透き通る目はゆっくりと瞬きをする。そして、言葉を理解した彼女の顔は真っ赤になった。
「どうか、最期の時まで守らせてほしい」
俺の気持ちはちゃんと届いてくれた。細い指が頬に触れる。
「……良いのか?」
小さく頷く彼女に、ゆっくりと唇を重ねる。
隠者の口付け
「私もヴォルドのことが大好き。お揃いだって、言ってたじゃん」
無邪気な笑顔が眩しくて仕方がない。しかし、そこに比例する影の深さを考えてしまうのは、今も心の傷が癒えていないからだろう。
「ヴォルド」
腕にしがみつく目の奥は愛に飢えているらしい。何か言おうとした唇に舌をねじ込んだ。
処刑人に婚約を申し込む
「ロランス」
アメジストを思わせる透き通る紫が、彼女を真っ直ぐに見据えていた。
「白銀の冠こそ、君の黒髪に相応しい。そうだろう?」
彼女はロランツの言葉をただ静かに聞いていた。独立の対価として受け入れた婚姻。愛など無くとも、祖国の独立のためならば、それで良い。そう思っていたのに。
「ずっと君を想っていた。そう、一人の女性として」
ロランツは彼女の左手を取り、その薬指に指輪をつける。
「君を政治の駒として扱う人間を許すつもりはない。未来の皇后である以前に、君を愛しているのだから」
指輪に視線を落とし、再び顔を上げる。胸の奥が熱くなって、目を逸らしたくなった。
魔女に婚姻を申し込む
懐かしい故郷に帰ってきた。水の流れは穏やかで、空気も澄み切って星が綺麗に見える。
「エノ」
それに、ディートリヒも一緒。魔法使いだった頃のように、夜空の下を歩けるのがとても嬉しい。
「どうかしたの?」
「伝えたいことがあるんだ」
周囲を伺う瞳は、今も鋭く冷たいものだった。
「少し海に出ない?」
あぁ、と彼は小さく頷く。箒を小舟に変えて乗り込むと、彼はまっすぐに漕ぎ始めた。
「悪いな、手間をかけさせて。あまり人に聞かれたくなくて」
漕ぐ手を止め、錨を下ろす。隣に座った彼の横顔は真っ赤だった。
「エノ。最期の時まで、騎士としてお前を守らせてほしい」
画家に婚姻を申し込む
彼女に続いて、俺も花を添える。どうするか迷ったが、向日葵を選んだ。
「……」
エディアはただ静かに両親の墓を見つめていた。その目には薄く涙が浮かんでいる。
「お母さんは……お父さんに会えたのかな」
両親を殺した男は幽閉された。それでも、奪い壊された過去は戻すことはできない。
「俺にはわからないが、ルオラ子爵はお前の中で生きている」
筆致はもちろん、振る舞いの中に彼の面影を感じるのだ。
「ヴォルド」
彼女を抱きしめ、伝う涙を拭う。
「エディア、お前は大切な家族だ。お前の為ならなんだってする。不自由はさせない、だからどうか……俺と一生を添い遂げでくれ」