製作:小説集落(むらさきざくら、ふら=ぽっぴん、ルクス、鬼獄雷華、ツクヨミ)
原稿:むらさきざくら、ツクヨミ
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
1.Prologue
自分が今、何が楽しくて笑顔を浮かべているのか僕には理解できる。
でも、一人になるとなんであの時の自分は笑えていたのか、どうして今の自分は笑うことができないのか理解できない。
お医者さんに診てもらうと思っても、一人の時の弱い自分を他人の人に見せていいのかと不安が募るばかりで何も行動できぬまま、こんな僕になってしまった。
いつからこうなったのかなんてもう覚えてすらいなくて、高校1年生のときにはもう既にこんな状態だったような気がする。
鬱病なのか、鬱病ではないただの思い込みなのか。
僕はどちらかというと後者だと思っている。僕がこうなってしまったのは僕が弱かっただけだからだ。
一人の時にはいつも声をあげてまるで子供のように泣いた。多く泣いた日は次の日に目尻の方が腫れていることもあるし、声が枯れることもある。
今までの僕が全部全部崩れちゃうんじゃないかな、なんて思ってずっと抱えたまま。全部崩れたら、周りの人に迷惑しかかけないから。
こんなこと、誰にも言えるわけないから。
担当:ツクヨミ
この小説はいつ投稿されるかは不明です、その人の投稿ペース次第です。うちはアットホームな集まりなので、強要はないです。
なので私の番になったら急に一ヶ月とか空いても許してください。一週間程度か以内に投稿できるよう、努力はします。
次回は私ではない人が担当します。
2.目覚め
今日も目覚めが悪い。ここのとこ最近、ずっとそうだ。
賃貸のカーテンから漏れる光を受けて、僕ははあっとため息をついた。
四年前に他界した父の遺影。母は幼い頃浮気して、今はもういない。浮気をしてたら、もう目の前からいなくなったほうがマシなんだけど。
僕にはもう、血縁関係がある人はいない。母は生きてるのかどうかわからない。
だから、僕が死んでも、悲しむ人なんて誰一人いない。いるとしたら、誰か死んだら悲しむお人好しぐらいだ。
もう早く死にたい。辛い。辛い。この寿命を、どこかで、寿命が少なくて苦しむ誰かに分け与えたい。
そう思って泣いた。はあ、また泣いた。1人の時はいつもこうで。母が行ってしまったあの日から、もう泣いていない日はどれぐらいあるんだろう。最近、いつ泣かなかったんだろう。
縄で死のうか。ナイフ?飛び降り?人に迷惑はかけたくないし、苦しんで死にたくない。ニュースも暗いものばっかりだし、子供向けの番組ぐらいしか楽しそうなのがない。
子供の頃はよかった。世界がキラキラしてて、何もかも綺麗で美しい。社会の闇なんて、すこしも見えなかった。今はもう、美しいものなんて全然見つからない。社会は闇にどんどん溶け込んで、それと比例して愛しい子供の姿は減っていく。
この社会も僕も、早く死んだほうがいいのかな___
担当:むらさきざくら
3.揺らぐ、踊る、
鬱々とした気分で家を出て、大学に向かう。
最初こそ沈んでいたけれど、道中で人を見かけるうちに元気になってきた。
僕は慣れた動きで電車に乗る。
空いていた席に座り、テキストを開く。
駅に着くまで、そのまま電車に揺られていた。
---
「おはよう!」
「ぅわ、びっくり……って、怜夏くんか。おはよ!」
「おはよ。珍しいね、この時間にいるなんて」
「いやぁ、今日、係の仕事があってさ……。早起きしてきた!」
みんなと軽く話しているうちに、いつもの調子が戻ってくる。
そうだ__これが、僕なんだ。
---
「課題だったダンスの振り付け、考えてきましたか? ……ではっ、順番に発表しましょう!」
今はダンスの授業中。
先生みんなに呼びかけ、少しザワつく。
確か、僕の番は最後の方に回ってくるはずだ。
しっかり見て、今後に活かせる技術を吸収しなければ。
パチパチパチパチ…
「__良かったわよー! それじゃあ次、柊木さん!」
「はいっ」
……大丈夫、肩の力を抜いて。
♪〜♪〜♪〜
__「わ、キレ〜イ……!」「柊木さん、流石ね」「今の見た? 凄!」__
踊り切る。大丈夫。
♪〜♪〜♪〜
僕は無我夢中で踊った。終わった後の拍手で、やっと力が抜ける。
「ふぅ……ありがとう、ございましたっ!!」
大学の雰囲気がチンプンカンプンで……想像と勢いで書き上げました。
実際と大きく違っていたらすみません、これが私の想像力の限界です。
担当:ふら=ぽっぴん
4.期待の中に。
今日も全て上手くいった。
いつも通り。これがいつも通りだ。
そう自分の中、口にも出せない独り言を呟き繰り返した。まるで、緊張している自分を勇気づけるように。
電車の中、一人ではない空間。だから声に出せないし、泣くことも出来ない。
今日は勢い余って3〜5限まで授業を入れてしまった。そして更にそこから、教授に呼び止められ21時まで練習する羽目になった。
だから、電車の中は仕事や学校帰りの人も少なくガラガラだった。
窓から差し込まれる月の元に広がるそこそこ都会な土地の夜景、今の僕には美しいと思うことができない。
美しいと思うことができないその夜景を見ながら、僕は静かに呼吸を整えていた。
その電車の中で揺られながら。
--- * ---
「はっ……ふっ……、ふ……」
深呼吸を繰り返しても、呼吸が出来ている心地がしない。苦しくて、壊れてしまいそう。
鬱病なんかじゃない。
僕があまりに弱いだけだ。弱過ぎるだけだ。
家だけが、僕の居場所だ。
家なら、一人だったら、好きに泣いてしまっていい。
なんで自ら、大学へ行ったんだろ…そんな思いで、また涙があふれでてきた。
別に僕がいなくなってもいい。
でも、それで今まで積み上げてきてしまったもの、全て崩れたとしたら、僕は__周りの人は___。
___踊っていたときを思い出す。
微かに聞こえた、あの称賛の声。無我夢中で踊った。確かに疲れはしたけど、あのとき、嫌な気分には全くなっていなかった。
「もっと頑張れるんじゃない?」
誰だったっけ、こんなこと言った人。父だっけ、どうだったっけ。
周りからの期待。それこそが、今の僕の『負のエネルギー』をつくっているのに。今、もうあんなこと言った人とはつながっていない。失敗したら、全部、全部、すべてがなくなってしまう。
___また、踊りたい。全力を出し切りたい。
そんな気持ちが少しあることを、僕は否めなかった。
製作:むらさきざくら、ツクヨミ
5.仮面の内側
「はは…」
あれ…?僕は今…笑っているのか?
それとも…泣いている?
「わかんないな…w」
今、自分は周りからどう見えてるのか。うまく取り繕えているのか。
「苦しい…」
…?なんで苦しいって言った?
これが自分。みんなの求める自分。
それで、終わり。
「すごい!お前はすごい子だ!」
…やめて
「将来は絶対にエリートになるぞ!」
っ…やめて
「こんなこともできないのか?」
っ…やめてってば!
「かわいそw」
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだいやだいやだッッ!!
「うっ…うあっ…ぐ、っ…ポロッ」
「僕は…」
積み上げてきたものが壊れるのが嫌だ
周りから見放されるのが嫌だ
失望されたり、悪口を言われたりするのが嫌だ
「僕がもっと強くならなければッッ…!」
「僕が…弱いから…!」
きっと、エリートだとか、優秀だとかなんとか言って
勝手に死んだ父さんのことなんか、“見捨てたい”と心の隅で思っているんだと思う
でも…でもっ!その“呪い”はずっと僕にひっついて離れない
「ヒューッ…ヒューッ…」
僕の喉の奥から変な音が出る
ああ、息が苦しい…辛い…死にたい…
でも…
「死んだらどうなる…っ?」
もしかしたら…僕のことなんか誰も気にも止めないかもしれない
僕の積み上げてきたこと全てが…消えてしまうかもしれない
「嫌だ…、っ!」
いっそ…死んでやり直してしまおうか
全て…今まで僕がいたということも忘れて…っ
「…眠れない」
…いつからこんなことになってしまったのだろうか
薬がないと眠れない、一人で孤独に泣く…
いつか…この仮面を外せる日が来るのだろうか。
短いですけどごめんなさいっ!
担当:鬼獄雷華
6.神様
ふっと意識が戻って、自分がいつの間にか寝ていたことを理解する。
……今日はもう、眠れないと思ったのにな。薬のおかげだ。
いや、今日じゃなくて昨日か……やっぱり今日? よく憶えていない。
ぐるぐると考えながら、のっそりと動き出す。
僕の頭も、僕の今日も。
---
「よく見たらまだ全然早朝だし……やっぱり眠れなかったんだな」
ふと、昨日の夜の自分を思い出す。
「…………はは。全然、変われない、な……僕は。いつもいつも……」
目を細め、天を仰ぐ。
「睡眠薬を大量に飲めば、電車が来たときに飛び出せば、信号を待たずに駆ければ、屋上の柵を越えれば、誰かに執拗に恨まれれば、事故を仕組まれれば、無差別殺人の被害者になれれば、僕は__」
思い浮かんだ言葉を並べだしたら、止まらなくなった。
「僕はもう、死ねていたのかな」
……死にたく、ないんじゃなかったっけな。
死にたくないんだけどな。
これまでのことを、無駄にしたくないんだけどな。
消えたら消えたで、みんなにせせら笑われるんだろうけどな。
「どう、やったら…………」
口から言葉が漏れた。
「どうやったらこの孤独から、呪縛から、逃れられるんですか? ……神様」
そんな風に|希《こいねが》いながらも、学校の準備する手を止められない自分が、何よりも嫌だった。
担当:ふら=ぽっぴん