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目次
嫌いな彼と
大学四年の秋。
七年ぶりに、あいつが目の前にいた。
人波のなかでふと視線を上げると、そこに夏目(なつめ)悠馬がいた。
変わっていなかった。
少し背が伸びて、声が落ち着いたような気はするけど――
俺の記憶の中にいた、あの頃のままの悠馬だった。
「……久我?」
向こうも気づいたらしい。ゆっくりと笑って、俺の名を呼ぶ。
「ひさしぶり。……七年ぶり、だっけ?」
言葉を交わすのは、本当に久しぶりだった。
俺の胸の奥にしまい込んでいた、あの中学二年の夏の記憶が、ざわつく。
「好きなんだと思う。お前のこと――」
あのとき、俺がそう言った直後、
悠馬は一度も答えをくれずに、転校していった。
置き去りにされたままの感情が、まだどこかで燻っている。
それでも俺は、笑ってしまう。
「……元気そうだな」
「お前もな。まさか同じ大学だったとは」
他愛もない会話。
あの告白はなかったことにされたまま、また“友達”から始めるような空気。
そうだよな、俺たちは、
最初から、ただの友達だったはずなんだから。
嫌いな彼と
雨が降り出したのは、図書館を出た直後だった。
傘を持っていなかった俺に、悠馬は当たり前のように自分の傘を差し出した。
「ほら、濡れるぞ。……駅まで、一緒に行こ?」
それが自然すぎて、なんでもないふりをして「ありがとな」と呟いた。
でも――
ほんの少し、肩と肩が触れる距離に、鼓動がうるさくなる。
「なあ、久我。あのときのこと……覚えてる?」
唐突だった。
歩きながら、足元を見つめたまま、悠馬が言った。
あのとき――
俺が、勇気を振り絞って「好きだ」と言った、あの夏の終わり。
「……忘れるわけないだろ」
雨音にまぎれて、小さな声で返す。
「俺、あのとき……お前に返事、できなかったの、ずっと気にしてた」
「気にしてた、だけか?」
思わず、少しだけ意地悪な言葉になった。
でも、本音だった。
悠馬は立ち止まった。俺も、傘の下で足を止めた。
しばらく、沈黙。
そして――
「……俺、好きだったよ。あのときも。今も、たぶん、ずっと」
その言葉に、心臓が殴られたように跳ねた。
「……だったら、なんで……あのとき、逃げた?」
「怖かったんだよ……。男に告白されたことも、好きになってしまった自分も。
でも、それよりも――お前の気持ちに応える“自信”がなかった」
雨が、傘の縁を叩く音だけが響いていた。
「……でも、今なら言える。お前がくれた言葉が、どれだけ俺を救ってたか。
……あの告白、ずっと胸にしまって生きてたんだ」
たまらなくなって、俺は手を伸ばした。
濡れたシャツ越しに、悠馬の手首をつかむ。
「……じゃあ、今は? 今の俺を……“好き”って言ってくれるのか?」
息を呑むほど、近い距離だった。
答えを聞くのが、怖くて、でもそれ以上に、欲しかった。
悠馬は、少し震えた声で言った。
「好きだよ。……抱きしめたいって、今も思ってる」
俺はもう、こらえきれなかった。
顔を近づけて、唇が触れるギリギリの距離で――
でも、そこから先へはいけなかった。
触れてしまえば、またあの頃みたいに、全部が壊れそうで。
だから、俺は彼の頬にそっと手を添えただけだった。
「……今度は、逃げんなよ。俺も、もう逃げないから」
悠馬は、小さく笑って頷いた。
「約束する。……ちゃんと、また始めよう。今度は“ふたりで”」
嫌いな彼と
雨がやんだ夜。
俺たちは、言葉もなく悠馬の部屋へ向かった。
迷いも、遠慮も、本当はまだ心のどこかにあった。
でもそれ以上に――確かめたかった。
あの夏に言えなかった想いを、今、体温で伝えたかった。
部屋に入っても、しばらくは会話もなかった。
ただ、カーテンの向こうに残る雨音と、時計の針の音だけが静かに鳴っていた。
そして、先に動いたのは悠馬だった。
ソファに座っていた俺の隣に腰を下ろし、
まるで何かを許してくれとでも言うように、目を伏せながら肩に寄りかかってきた。
「……触れてもいい?」
その声に、俺は頷いた。
指先が、そっと頬に触れる。
少し震えた手だった。怖がっていたのは、きっと俺だけじゃない。
口づけは、やさしく始まった。
けれど、それはすぐに、言葉よりも深く、長く続いた。
夜が深くなるにつれ、ふたりの距離はゆっくりと、けれど確実に縮まっていった。
シャツのボタンが外される音も、ためらいながら服を脱ぐ手つきも、
どこか不器用で、でも誠実だった。
言葉は、あまり交わさなかった。
その代わりに、触れ合う指と、重なる呼吸がすべてを伝えていた。
肌と肌が触れた瞬間、
あの頃の「届かなかった想い」が、やっとひとつになった気がした。
はじめて触れる悠馬の温度は、
想像していたよりもずっと繊細で、ずっと――切なかった。
決して激しくはなかった。
ただ静かに、そっと、確かめるように。
ふたりの孤独が、少しずつ重なり合っていく。
終わったあと、俺たちは言葉を探さなかった。
必要なことは、全部もう、伝わっていたから。
悠馬は、シーツにくるまったまま、俺の肩に額を預けて小さく囁いた。
「……好きだよ。今度こそ、ちゃんとそう言える」
俺も、彼の髪に触れながら答えた。
「もう逃げないって決めたから。だから……離れるなよ」
その夜、俺たちははじめて心まで、
ちゃんとひとつになれた気がした。
嫌いな彼と
目が覚めると、いつもより柔らかな光がカーテン越しに差し込んでいた。
悠馬のベッドの中。
隣に、あいつが静かに眠っている。
少しだけ眉間に皺を寄せて寝ている癖は、昔のままだ。
俺はしばらく、起こさないようにただじっと、その顔を眺めていた。
昨夜のことを、夢だと思いたい自分と、
本当にそうだったと信じたい自分が、まだ頭の中で交錯している。
けれど――
シーツの中で触れ合っている指先が、現実を教えてくれていた。
しばらくして、悠馬が目を開けた。
「……久我」
掠れた声で、名前を呼ばれる。
それだけで、胸の奥がじんわり熱くなる。
「おはよう」
「……うん。なんか、まだ実感ないな。こうして起きて、お前が隣にいるの」
少し照れくさそうに笑うその顔が、昨夜よりも少し幼く見えた。
「俺も。……でも、ちゃんと覚えてる」
「何を?」
「全部。お前が、俺に触れた手の温度も、言葉も、声も……全部」
そう言うと、悠馬の目が少し潤んだ。
「……あのとき、ちゃんと受け止められてたらな。あの夏にさ、勇気出してお前がくれた気持ちを、ちゃんと……」
「もう、いいよ。過去のことはさ」
俺は手を伸ばして、悠馬の頭をそっと撫でた。
「今こうして、同じベッドにいる。それで十分だろ」
「……お前、ずるいな。そういうこと言うと、また好きになる」
「“また”じゃなくて、ずっと好きだったんだろ」
悠馬は、恥ずかしそうに笑ってうつむいた。
「うん。……ごめん、ずっと好きだった。言えなかっただけで、ずっと」
そうしてふたりは、何もない朝を、ただ静かに過ごした。
熱も、言葉も、昨日よりゆっくり。
でも、確かにひとつずつ積み上げていくように。
ベッドから出る前、俺はもう一度、悠馬の手を握った。
「これから、どうなるかわかんねえけどさ」
「うん」
「お前のこと、ちゃんと“恋人”として好きでいる。
前みたいに、ただの“友達”には戻れないから」
悠馬は真っ直ぐ俺を見て、少しだけ震えながら頷いた。
「……俺も。ちゃんと、お前を“選んで”好きになってる。もう、逃げない」
その言葉に、ようやく心がほどけた気がした。
名前を呼び合って、触れて、確かめ合って――
やっと、ちゃんと“ふたり”になれたんだと、思えた朝だった。
嫌いな彼と
交際を始めて、もうすぐ三ヶ月。
毎日が穏やかで、少しだけくすぐったい日々だった。
――そう、思っていたのは、俺だけだったのかもしれない。
その日、悠馬はキャンパスの帰り道、用事で久我と待ち合わせをしていた。
講義が早く終わったらしく、正門前で久我の姿を探していると、ふと見慣れた声が耳に入った。
「久我、ほんとマメだよな。資料まとめとかも完璧」
「そっちこそ、言い方上手いよな……。調子乗せられるわ」
――笑ってる。
目を向けると、そこには久我がいた。
けれど、その隣にいたのは自分ではなかった。
彼の横で肩を並べるのは、同じゼミの男――高橋。
人懐っこく、距離の詰め方がやけにうまいと、少し前から耳にしていた。
ふたりは近かった。
話すたびに、久我が少し笑って、時折、腕が軽く触れていた。
いつの間に、あんな顔を他人に見せるようになったんだ?
悠馬は、足が前に進まなかった。
スマホの中には、ついさっき久我から届いたメッセージがあった。
「ゼミのあと少しだけ話してくる。15分くらい遅れるかも、ごめん」
“話してくる”のが誰かなんて、聞いてなかった。
――いや、本当は、聞くのが怖かったのかもしれない。
自分が知らないところで、久我が誰かと楽しそうに笑っている。
その事実だけで、胸の奥がざらついていく。
その夜、久我と会ったとき、悠馬は何も言わなかった。
ただ少しぎこちなくなった手の重なりに、久我が不思議そうに見つめる。
「……どうした? なんか、元気ない?」
「ううん、何でもない」
そう言って笑った自分の顔が、ひどく嘘くさかったことに、気づいていた。
久我のことは信じてる。
でも、それでも――
久我が誰かに笑いかける姿が、自分以外のものになっていく気がして、たまらなく怖かった。
嫌いな彼と
あの日、悠馬が見た光景。
久我が、他の男と肩を寄せて笑っていた姿。
それは――偶然なんかじゃなかった。
ゼミ終わり、高橋に呼び止められたとき、久我は一瞬だけ迷った。
「このあと、時間ある? 今度の発表について、ちょっと相談したくてさ」
いつもなら断る。
だけど、今日は断らなかった。
「……少しだけなら」
そう答えて、高橋と一緒に門の前に歩き出す。
そこに、悠馬が待っていることを、彼は知っていた。
心のどこかで――気づいていた。
自分の「全部」が悠馬に伝わりきっていないことに。
それでも、何も言わずに安心したように笑う悠馬が、
どこか遠く感じるときがある。
ふたりになっても、
まだ“あのときの片想いの延長”みたいで、バランスが取れていなかった。
だから、少しだけ揺らしてみたかった。
「俺が他の誰かに笑ってたら、お前はどう思うんだろう?」
それを確かめたくなるような夜だった。
悠馬の目に、自分がどう映ったのか――
あの瞬間の硬直した表情が、ずっと頭を離れない。
けれど、悠馬は何も言わなかった。
問い詰めることも、怒ることもせず、ただ静かに微笑んだ。
それが、逆に痛かった。
その夜、久我は自分から悠馬を抱いた。
いつもより少し強引に。
言葉も少なく、ただ肌を重ねていった。
心を寄せる代わりに、身体を絡めることで繋がっているような――そんな夜だった。
キスは深く、けれどどこか切実で。
まるで“許し”を求めているようなキスだった。
ベッドの中で、後ろから悠馬を抱き締めながら、久我は小さく呟いた。
「……お前さ、俺のこと、ずっと変わらず好きって思ってる?」
悠馬は一瞬だけ動きを止めた。
「……思ってるよ。当たり前じゃん」
「じゃあさ……俺が、他の誰かに笑ってたら、どうする?」
「……嫌に決まってんだろ。俺、独占欲強いから」
その言葉に、やっと少しだけ心がほどけた気がした。
自分は、悠馬のなかでまだ“確かに欲しい存在”なんだと知れて。
けれど、そんなふうに確かめ合う夜ばかりじゃ、
いつかどこかで、ふたりは擦り切れてしまう。
久我は、ベッドの中で目を閉じながら思う。
「安心させることだけが、愛じゃない。
でも、試しすぎる愛は、いつか壊れる。」
わかっている。
それでも――壊れるのが怖くて、試さずにいられなかった。
嫌いな彼と
その夜、ふたりは静かな言い合いをした。
言葉をぶつけ合ったというより、
悠馬が、初めて真正面から、久我の心を覗こうとした――そんな夜だった。
「久我……最近、俺に何か隠してるよな?」
夜の部屋。
テーブルに置いたマグカップからは、湯気がもう上がっていなかった。
久我は、視線を合わせなかった。
「隠してるって、何を?」
「そういうところ。
そうやって、いつも少し笑ってごまかすところ……俺、ずっと気づかないフリしてたけどさ」
少しの沈黙のあと、悠馬は続けた。
「高橋と一緒にいたの、あれ……わざとだろ」
その言葉に、久我の指先がぴくりと震えた。
――バレてたんだ。
「……見てたのか」
「うん。あのときも、そして今も……ずっとお前のこと、見てるよ」
「……別に、何もしてねぇし。ただ話してただけだし」
「でも、“見せた”だろ? 俺に。ああやって、他の男と笑ってるとこ。
……試したかったんだろ、俺のこと」
久我はもう、笑えなかった。
悠馬の声は責めていなかった。
むしろ、優しすぎるくらいだった。
だからこそ、痛かった。
なぜか、自然と涙が浮かんでいた。
「……俺さ、怖かったんだよ」
低く震える声が、喉の奥から零れた。
「お前が隣にいて、ちゃんと“好きだ”って言ってくれて、毎日がすげぇ幸せで……
だからさ、“いつか終わるんじゃないか”って、そればっか考えてた」
久我の肩が、こらえきれずに震えた。
「前みたいにさ、俺が想って、でも返してもらえなくて……置いてかれるのが、また来るんじゃねぇかって。
……だったら最初から、自分で壊した方がマシだって、思った」
ぼろぼろと、涙がこぼれる。
「バカだろ。……好きなくせに、不安すぎて、傷つけることばっかして……」
悠馬は、静かに久我のそばに膝をついた。
そして、涙で濡れた頬に手を添えて、まっすぐに見つめた。
「バカじゃねぇよ。怖がるのは、愛してるからだろ」
その言葉に、久我は崩れるように、悠馬の胸に顔を埋めた。
「……好きだ。好きで仕方ねぇんだよ。だから、全部が怖かった」
悠馬は、その背中を黙って抱きしめた。
傷だらけの言葉も、弱さも、全部。
今夜くらいは、全部抱き締めてやりたかった。
その夜、ふたりは何も求めなかった。
ただ心をさらけ出して、同じ布団の中、静かに寄り添った。
もう、言葉はいらなかった。
“信じたい”と“信じてほしい”が、ようやく交差した夜だった。
嫌いな彼と
あの夜の涙が、まだ完全に乾いていない。
久我の温もりを感じながらも、悠馬の心にはずっと消えない影があった。
「久我、俺……話さなきゃいけないことがあるんだ」
ふたりが少しずつ距離を縮めていくなかで、悠馬は初めて自分の過去を打ち明けようとしていた。
「……元カレのこと、話してくれよ」
久我の言葉に、悠馬は小さく息を吐いた。
「翔太ってやつがいてさ……高校の頃の話なんだけど」
悠馬は静かに話し始めた。
翔太は初めて心を許した人だったこと。
だけど家族の事情で突然離れ離れになったこと。
彼を失ったことで、もう二度と人を信じられなくなったこと。
話すほどに、胸の奥に封じていた痛みが波のように押し寄せる。
「……だから、俺、久我に全部任せるのが怖かった」
久我は何も言わず、ただその手をぎゅっと握った。
「怖いのはわかる。俺だって怖い。
でも、俺はお前の過去も全部抱きしめたい」
その言葉に、悠馬の瞳が揺れた。
「ありがとう、久我……」
二人の間にあった不安が少しだけ溶けて、
また一歩、信じ合う距離が近づいた夜だった。
嫌いな彼と
部屋の隅に置かれた小さな箱を見つめる久我。
その中には、いつも隠してきた過去の欠片が詰まっていた。
幼い頃の記憶は、怒声と鉄拳の音で満ちていた。
父の拳が母の顔を打ち、母のすすり泣く声が夜を裂いた。
久我はいつも、ただそこにいることしかできなかった。
誰かが泣いても、誰かが怒鳴っても、
自分だけは強くならなきゃと、ただ耐え続けた。
ある日、幼い久我は、父に殴られたあと部屋に閉じ込められた。
壁の冷たさが肌を刺すなか、誰も助けてはくれなかった。
「お前が悪いんだ」
父の言葉が胸を締めつける。
その日から、久我は自分を責め、誰にも心を開けなくなった。
母はいつしか笑わなくなり、家の空気は冷え切っていた。
学校では明るく振る舞い、友達と笑うこともあったけれど、
家に帰るたびに押し込められる孤独が、彼の心を蝕んでいった。
そんな彼が唯一、心の支えにしたのが「悠馬」だった。
悠馬の優しさは、久我にとって救いだった。
でも同時に、悠馬に依存しすぎてしまう自分に気づいていて、
その弱さがまた不安を呼んでいた。
久我は、過去の痛みを胸に秘めながら、悠馬にだけは本当の自分を見せていた。
時に強がり、時に不安をぶつけ、でも決して離れたくない――
その切ない矛盾が、今の彼を形作っていた。
嫌いな彼と
その日の夕方、久我はいつもより少し疲れていた。
仕事のストレスも重なり、心の中にある影が大きく揺れ動いていた。
ふとしたことで、悠馬が冗談交じりに腕に触れた。
その軽いスキンシップに、久我の体が固まった。
手が震え、目を逸らす。
「……どうした?」
悠馬が心配そうに覗き込む。
「……なんでもない」
久我はそう言ったが、その声には微かな震えが混じっていた。
夜になり、二人で過ごす静かな時間。
悠馬がそっと近づき、肩を抱いた瞬間。
急に久我の胸の中に、昔の記憶が押し寄せた。
父の怒鳴り声。
突然の暴力。
暗い部屋で震えながら耐えた幼い日の自分。
涙が溢れ、抑えていた感情が一気にあふれ出した。
「……怖いんだ。まだ、怖いんだよ」
久我は震える声でそう告げ、悠馬にしがみついた。
悠馬はただ黙って抱き締めた。
言葉は必要なかった。
その腕の温もりが、久我の心の痛みを少しだけ和らげた。
その夜、ふたりは静かに寄り添いながら、少しずつ壊れかけた心を繋ぎ直していった。