ドズル社のおらふくんが主人公です
ドズル社でおらふくんとして活動している玉岡雪斗は、長年慕っていた母を数週間前に亡くした。
悲しみの中、雪斗は活動再開の旨を伝え、復活配信もしたのだが。
ある大雨の日、雪斗は交通事故の瞬間を目にしてしまう。
そこで見た女性は、なんと若い頃の母とそっくりだった・・・。
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目次
事故現場で出会った女の子
|玉岡雪斗《たまおかゆきと》(おらふくん)
26。母を病気で亡くし、なかなか立ち直れずにいた時、美波を見かける。
|久留米美波《くるめみなみ》
23。交通事故で両親を失い、事故現場で泣いていた。
|速水理央《はやみりお》(おんりー)
25。雪斗の親友で、家族を失った雪斗を気にかけている。
その他
ドズル・ぼんじゅうる・おおはらMEN・ねこおじ・みるくさん(作中では本名出ません)
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雪斗「そんな・・・お母さん・・・っ!」
病院のベッドで、雪斗の母が横たわっている。
母「ゆき・・・と・・・っ」
雪斗「何、お母さん・・・?」
母「強く、生きて・・・ね・・・」
母はそれだけ言い残し、にっこり微笑んだ・・・。
ピー、ピー、ピー、ピーーーーーーッ・・・
医師「午後10時24分、逝去・・・っ」
雪斗「あ・・・うああああああああああ!お母さん、お母さぁぁぁぁん!」
雪斗は動かなくなった母に抱きつき、泣いた。
心電計の機械音だけが、そこに虚しく響いていた・・・。
虚しさと悲しさが渦巻く中、雪斗は復活配信を行った。
母が亡くなったことも伝え、これからは活動していくことも表明した。
配信後、次々に流れてくる心配や応援のコメントを眺め、ため息を吐く。
理央「おらふくん、大丈夫・・・?無理しないで」
雪斗「あっ、ありがと、おんりー・・・」
雪斗を心配して家に来てくれた理央が、ココアを持ってきてくれた。
雪斗(おんりーの心も、このココアみたいにあったかいんやな・・・。身に染みるわ)
温かいココアを飲み干し、なんとか泣き止んだ雪斗は、ほうっと息をついた。
理央「リラックスできるかわからんけど・・・ちょっと外出よう」
雪斗「うん、そうする・・・」
外に出た2人は、いつも行っている喫茶店に向かった。
外は、雪斗の心をそのまま映し出したかのような大雨だった。
体が行き方を覚えている。そろそろ交差点が見えてくる筈だ。そこを曲がれば、いつもの店に着く。
交差点にはたくさんの人が集まっている。
雪斗「なんかあったんかな・・・」
理央「・・・あ、あそこ!」
理央が指差した先に、女性が座り込んでいた。女性は誰かの名前を叫びながら泣いている。
雪斗「あれって・・・事故現場⁉︎」
理央「家族が死んじゃった、とかなのかな・・・?」
雪斗「あの・・・大丈夫ですか?」
女性が振り向いた。
女性「両親が、事故で死んでしまったんです・・・」
その顔は、亡くなった雪斗の母にそっくりだった。
家族を失った女性
雪斗と理央は女性を喫茶店に連れて行った。
女性は『|久留米美波《くるめみなみ》』と名乗った。
美波「すみません、お恥ずかしいところをお見せしました。さっき家族で旅行から帰ってきたんですけど、事故で母と弟が死んでしまって・・・エアバッグが動いたのは私の席だけで・・・」
理央「そうだったんですね・・・。ご冥福をお祈りします」
雪斗「僕も同じです。お母さんが病死して、友達の理央と喫茶店に行くつもりやったんです」
美波「え⁉︎そうなんですか⁉︎すみません、悲しい気持ちにさせてしまったかも」
雪斗「謝らんで、同じ人がおって大分気が楽になりました」
すると、理央が何かを耳打ちした。雪斗もうんうんと頷いている。
美波「あの・・・何を話しているんですか?」
理央「俺達の会社の社長が、雪斗の母が亡くなったことを知って、社員全員で慰安旅行に行こうと言ってまして。予算的にあともう1人行けるみたいなので、美波さんも行ってみません?」
美波「えぇ⁉︎いやいや、そんなご迷惑をおかけするわけには!」
雪斗「人数が多い方が楽しいし、社長も誰か知り合い連れてきていいって言ってたんで。条件さえ守ってくれれば同行できると思いますよ。一緒に傷心旅行しましょうよ」
美波「条件・・・あっ⁉︎もしかして・・・YouTubeやってる方ですか?」
理央「バレてたんだ・・・声だけでわかったんですか?」
美波「耳はいいので!でも・・・本当にいいんですか?」
理央「はい。社長に聞いてみますけど、多分OK出ますよ」
数分後。
理央「許可取れました」
雪斗「やっぱり!社長なら絶対言うと思ったわ」
美波「本当にいいんですか・・・?行き先は・・・」
2人が口を揃えて言った行き先は、『京都』だった。
旅行当日。
雪斗「美波さーん!」
理央「お久しぶりですね」
美波「雪斗さん、理央さん!お誘いいただきありがとうございました!」
雪斗「紹介するわ!この人達が『ドズル社』の社員や!」
ドズル「ども!ドズルです!YouTubeグループドズル社のリーダーをやっています」
ぼんじゅうる「ぼんじゅうる!ぼんじゅうるだ!どうもでーす!よろしく美波さん!」
おおはらMEN「あいおつです、おおはらです。2人から話は聞いてます」
ネコおじ「社員のネコおじです。この度はご愁傷様でした・・・」
理央「俺たちはもう本名言っちゃってるけど、一応言いますね。おんりーこと|速水理央《はやみりお》です」
雪斗「僕も言いますね。|玉岡雪斗《たまおかゆきと》です、活動名はおらふくんやで」
美波「久留米美波です。3日間よろしくお願いします」
こうして、7人の慰安旅行が始まった。