様々な世界線が入り混じるパラレルワールド的マルチバース空間。
突如として空間に世界線を強制的に繋ぐ歪みである“紙魚”が発生。
紙魚に呑まれて出逢うことになった“アナザーワールドキャラクター”が元の世界(ユニバース)に戻るため、紙魚の捕獲を目的として、“創造主“と共に様々な世界線を行き来する。
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目次
❐扶助の聲❑
❐世神之聲❑ PROLOGUE___෴෴෴෴
事の発端は、《《自分の世界》》が用意されていないマルチバース世界へ粒子を纏って現れた一通の手紙だった。
愛も何もないようなハートのシールなんかで封もされていない一般的な白い封筒の中に気怠げに書き殴られた文字が走り書きとも錯覚させる汚さで綴られていた。
やはり、《《あれ》》は《《乱雑》》で《《無関心》》な《《酷い》》人間だ!
そう文句を垂れながら、嬉々として本文に目を通す。
さぞ、滑稽に映っていることだろうが、見ていない可能性もある。
しかし、それでも良かった。
---
𝓗𝓮𝔂.
𝓗𝓪𝓿𝓮 𝔂𝓸𝓾 𝓰𝓻𝓸𝔀𝓷 𝔀𝓮𝓪𝓻𝔂 𝓸𝓯 𝓽𝓱𝓲𝓼 𝓪𝓻𝓽𝓲𝓯𝓲𝓬𝓲𝓪𝓵 𝔀𝓸𝓻𝓵𝓭 𝓸𝓯 𝔀𝓱𝓪𝓽-𝓲𝓯𝓼.
𝓘𝓯 𝔂𝓸𝓾 𝓱𝓪𝓿𝓮, 𝓘'𝓿𝓮 𝓯𝓸𝓾𝓷𝓭 𝓼𝓸𝓶𝓮𝓽𝓱𝓲𝓷𝓰 𝓻𝓪𝓽𝓱𝓮𝓻 𝓲𝓷𝓽𝓮𝓻𝓮𝓼𝓽𝓲𝓷𝓰 𝓪 𝓵𝓲𝓽𝓽𝓵𝓮 𝓯𝓾𝓻𝓽𝓱𝓮𝓻 𝓪𝓵𝓸𝓷𝓰.
𝓘 𝓭𝓸 𝓱𝓸𝓹𝓮 𝓲𝓽 𝓬𝓪𝓹𝓽𝓾𝓻𝓮𝓼 𝔂𝓸𝓾𝓻 𝓲𝓷𝓽𝓮𝓻𝓮𝓼𝓽.
𝓣𝓱𝓸𝓾𝓰𝓱, 𝓰𝓲𝓿𝓮𝓷 𝓱𝓸𝔀 𝓬𝓵𝓸𝓼𝓮 𝔂𝓸𝓾 𝓪𝓻𝓮 𝓽𝓸 𝓶𝓮, 𝓲𝓽'𝓼 𝓸𝓫𝓿𝓲𝓸𝓾𝓼 𝔂𝓸𝓾'𝓵𝓵 𝓫𝓮 𝓲𝓷𝓽𝓮𝓻𝓮𝓼𝓽𝓮𝓭.
𝓦𝓮𝓵𝓵, 𝓮𝓿𝓮𝓷 𝓲𝓯 𝔂𝓸𝓾 𝔀𝓮𝓻𝓮 𝓽𝓸 𝓭𝓮𝓿𝓲𝓪𝓽𝓮 𝓯𝓻𝓸𝓶 𝓽𝓱𝓪𝓽 𝓹𝓪𝓽𝓱, 𝓘 𝓬𝓪𝓷 𝓱𝓪𝓷𝓭𝓵𝓮 𝔂𝓸𝓾 𝓯𝓻𝓮𝓮𝓵𝔂 𝓪𝓷𝓭 𝓽𝓱𝓮𝓻𝓮'𝓼 𝓷𝓸 𝔀𝓪𝔂 𝓽𝓸 𝓮𝓼𝓬𝓪𝓹𝓮.
𝓨𝓸𝓾 𝓬𝓪𝓷'𝓽 𝓮𝓼𝓬𝓪𝓹𝓮.
𝓝𝓸 𝓶𝓪𝓽𝓽𝓮𝓻 𝓱𝓸𝔀 𝔂𝓸𝓾 𝓼𝓽𝓻𝓾𝓰𝓰𝓵𝓮, 𝔂𝓸𝓾 𝓬𝓪𝓷'𝓽 𝓮𝓼𝓬𝓪𝓹𝓮.
𝓔𝓿𝓮𝓷 𝓴𝓷𝓸𝔀𝓲𝓷𝓰 𝓽𝓱𝓮 𝓸𝓾𝓽𝓬𝓸𝓶𝓮, 𝔂𝓸𝓾 𝓬𝓪𝓷𝓷𝓸𝓽 𝓼𝓽𝓻𝓪𝔂 𝓯𝓻𝓸𝓶 𝓽𝓱𝓮 𝓹𝓪𝓽𝓱 𝔂𝓸𝓾 𝔀𝓮𝓻𝓮 𝓶𝓮𝓪𝓷𝓽 𝓽𝓸 𝔀𝓪𝓵𝓴 𝓯𝓻𝓸𝓶 𝓽𝓱𝓮 𝓼𝓽𝓪𝓻𝓽.
𝓘 𝔀𝓲𝓼𝓱 𝔂𝓸𝓾 𝓵𝓾𝓬𝓴, 𝓪𝓼 𝓶𝓾𝓬𝓱 𝓪𝓼 𝓘 𝓬𝓪𝓷.
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なんて悪趣味な話!《《あれ》》は勝手に英語を読めると思っているんだ!
それに、内容も酷く気怠さがひしひしと伝わってくる。
■■■■■は、やはり■■■■■■■■■■■■■!
数分考えて《《本当の自由行動》》は取れないのは明確であるから、引かれたレールから足を踏み外すことがないように走り出さなければならないだろう。
怒りに溢れるような、嬉しさが溢れるような気持ちで手紙に同封された写真を見る。
ドーナツのように丸い世界の欠けている部分の近くに魚状の深淵のように深い穴が建物に不自然にできている写真。
これが《《そういう設定》》の《《世界観》》でないかぎり、不自然に思うことはない。
どんなに作られた物語を振り返っても、この建物がある区画にこんな違和感のあるものが発生することはない。
それに欠けたドーナツにはこの穴のような深淵が広がっていて、《《捨てたもの》》が乱雑に放り込まれている。
ある者は一つの瓶に入れられて、大切なように放られるが、その瓶が割れた直後に瓶に入っていない《《捨てたもの》》のように深淵の更に深い深淵へ、底なし沼にでも浸かるように深く、深く沈んでいく。
過去に落ち損ねた日村の■の方を助けた時に瓶に同衾された一枚の紙に“磯■■夏”と描かれていた。
それが、誰であるかなど知る由もない。選ばれた身からすれば、どうだっていい。
そう結論づけてミミズが走ったような文字の手紙を懐へしまって足を出した。
---
奇妙な音のする魚状の穴をまじまじと見た。
これが本だとするのなら、これは《《紙魚》》とでも言おうか。そう言える程に魚の影と酷似した形をしている。
ふとその穴へ手を入ると自分が自分ではなくなるような感覚に苛まれる。
そもそも、これを見て何をしろと言うのだろうか。
まさか、ここへ入る?…得体の知れないものに対し、そこまで慎重さの欠けた人物ではないはずだが、そうでないと断言できないのもまた末恐ろしい。
そういった恐怖を勘づかれたのか、はたまたそれすらも操作されていたのか不明ではあるが、穴へ深く覗きこんだ時に背中を蹴られたような強い衝撃が響き、前のめりに倒れるようになって更にはひどく不思議な感覚へ包まれた。
そのまま、まるで、自分自身が二人で一人であるかのように、分離したような感覚のまま沈むように落ちていった。
そして、目が醒めた時、生まれ変わって落ちたような感覚に苛まれた。
英文翻訳(本編) 引用:DeepL翻訳
やぁ。
君は仮に作られた、もしもの世界というものに飽きてはいないだろうか?
もし、飽きているのなら、少し進んだ先で面白いものを見つけたんだ。
君の興味が惹かれることを願うよ。
最も、君は私に非常に近い存在であるから、興味を示すことは明らかなのだけど。
まぁ、仮にそれから逸脱した行動をとったとしても、私は君を自由に扱えるし逃げるすべはない。
逃げられないんだ。
どう足掻いても、逃げられないんだよ。
結末を知っているとしても、君は最初から存在する道を踏み外すことはできない。
幸運を祈るよ、できるかぎりね。
(ルビを振ってたんですが、見づらかったのでやめました)
また、会話発生時に本作のみ、名前を記載することにします。
■ = 規制または、不都合な言動
❐未踏の聲❑
**まえがき**
本作品は、以下の短編カフェ内のシリーズ作品等から基づき、執筆しています。
・雪女との物語 / むらさきざくら 様
・炭酸が抜けるまで(未連載) / 足立 様
・「独」(リレー小説) / 足立 様
・兎が人間として暮らす世界観 / 雪狸☃️ 様
・『あるとこの▓▓▓事件⋯』 / 碧隠 様
・アインザム・カイトとソリチュード・シャトラの出会い / りんごくん 様
・氷解の魔法使い / 早咲作 様
・廃工場のビスクドール / Sui 様
・魔王軍は超未来世界で極彩色に輝く / 奏者ボカロファン 様
・八色星団家族パロディ / 花雨 様
・永く赤い一日 / ♱𝖑𝖎𝖊𝖓𝖆♱ 様
上記の作品の二次創作に似た世界観で形成される作品です。
兎が人間として暮らす世界観は大体の情報をご提供いただきました。
上記の作品を作成、提供して下さった方、キャラクターを提供して下さった方に改めてお礼申し上げます。
有り難うございます。
下記は自己の作品等のまとめになります。
・オールシリーズマルチバース / ABC探偵
・ネカフェのシャーロック・ネトゲ廃人 / 〃
・地獄労働ショッピング / 〃
・異譚集楽 / 〃
・CP047 -NEO USA of LEGENDS- / 〃
・ラール・プール・ラール / 〃
・❐世神之聲❑ / 〃
・日記 / 無分類
・白紙 / ABC探偵
|🍤《ころも》ちゃん の能力への制限(弱体化)
・複数を同時に変化することは不可
・作品内のキャラクターに適用は不可(=生物には確定不発)
・一日に三回までの使用(三回以上の使用は不可)
・変化されたものは約10秒以内に腐食(尚、本キャラクターは食事が不要とする)
・能力を一日に使用する回数が多い程、その一日中、視界が黒く染まる(一晩で回復)
要は物だけに対して、秒で腐るエビチリ、エビマヨを一日に三回まで使用できる。
(尚、使用回数が多いと視界に制限がかかる)
▶表示変更
名前:「台詞」
奇妙な感覚が抜けた頃に、視界に落ちた一本の線から広がった無数の線が様々な形を描き、そこを塗り替えるようにして色が侵食していく空間へ尻もちをついた。
出来上がった世界はやけにサイバーチックであちこちに色とりどりのネオン看板に、パンク管が通り、中央に端が輝く大きな机と一つだけの席に白いリボンが巻かれた茶色いクマのぬいぐるみが置かれた32席のシンプルな椅子。
ぬいぐるみの首元には『|All kids love stuffed toys, right?《子供は皆、ぬいぐるみが好きだろ?》』と小馬鹿にしたような文章が巻かれた白いリボンの隅に書かれている。
更に少し仄暗い室内の中の上辺りに古いテレビのようなものが何も映っていない状態で浮かんでいた。
|🍤《ころも》:「…どういう原理だ…?」
部屋そのものが■■■■■らしくない。浮かんでいるテレビなど、幻想的なイメージをする人だっただろうか。
考える思考を止めて、席の一つに座ってみる。適当に作られた青のスカートは邪魔くさいし、濃緑のズボンの上に着る必要があるのかと思いつつ、誰もいない部屋でしばらく、待ってみることにした。
約、数十秒程経った頃に、不意にテレビの画面が点いた。
白飛びした何かのキャラクターの上に赤い文字の浮かぶ画面に『|Looking for Bookworm《紙魚探し》』と現れている。
ころも:「だから、英語読めないんだって……英語読める人を連れてこい、英語読める人!」
直後に、テレビの画面に『|you are an idiot!《お前は馬鹿だ!》』という文字と3つの海老の絵に変わる。
あまりにも有名なネットミームに苛立って、テレビに向かってぬいぐるみを投げようとした時、テレビの前に自分が入ったと同じ魚状の穴が現れる。
しかし、以前見たよりも大きく、穴のちょうど真下の空間にある線や色を吸って《《白紙》》に戻しているようにも見える。
席を立ってその穴へ近づいたまま穴へ手を伸ばした瞬間、“親方!|穴《空》から女の子が!”と言わんばかりに小柄な女の子が数人、落ちてくる。
お互いに短い悲鳴を残しながらその場で尻もちをついたその数秒後に他の空間から同様の穴が14個程現れ、多種多様な|生物《キャラクター》が飛び出してきていた。
---
穴が勝手に消失し、床や机の色が剥げた辺りで全員がお互いを見合って不思議そうにしていた。
しかし、その中の二人だけが親しげに談笑しており知人であることが明確に分かる。
テレビは後ろから白い手袋をしたアームのような手で席へそれぞれをエスコートした後に、私の首を猫のように掴んでは乱暴に席へ投げた。
投げ飛ばされた勢いで頭の額を机に強打し、痛む額を抑えて画面を見ると『自己紹介』とだけ日本語で表示されていた。
始めに紫の片目を隠した紫の胸ほどまでの長さの長髪に、紫と黄色、|桃色《ピンク》を貴重としたスカートにスカーフが|桃色《ピンク》のセーラー服を着た白い靴下に黒い靴を履いた少女が意気揚々と先手を切った。
☓☓☓☓:「わたしは…|村作《むらさく》|紫桜《しおう》と言います」
ころも:「へぇ、好きな物はなんですか?」
|紫桜《しおう》:「好きな物?ここでは、無難に小説ですかね」
ころも:「それは、いいですね。楽しそうですし」
紫桜が席に座り、隣の少女へ行動を促した。
テレビには、『|Oh, what's this?Picking up girls?I wouldn't do that.《お、なんだ?ナンパか?やめとけよ》』と表示されている。この茶化し機械に言うが、そんな趣味はない。英語のはっきりとした意味は分からないが、何か不快になるようなことを言われているのは海老を模した人外にだって分かることだ。
行動を促された少女は、所謂ボブのような灰色の髪に黒い瞳をして、白いシャツの上に水色のリボンがついた黄色いセーターの上着を着用し、水色と黄色、灰色の入ったチェック模様のスカートの秋物のセーラー服の下、白い靴下に黒い靴を履いていた。
☓☓☓☓:「わたし、|紫藤《しどう》|紫音《しおん》って言います。どうぞ、よろしく」
ころも:「……紫桜さんと似たような格好なように見えますが、関連性はあるんですか?」
|紫音《しおう》:「関連性?単に代理だからじゃない?」
へぇ~、愛されてんな。羨ましいかぎりだ。
次の順の少女に目をやると、どこか冷えたような空気感を感じた。
少女は腰までの白い長髪に白と青の瞳で、白い生地に青い帯のいかにも浴衣や着物に似た服を着て“雪女”が似合いそうな格好だった。
ころも:「自己紹介、お願いしても?」
☓☓☓☓:「自己紹介ですか?…わたしは、|雪菜《ゆきな》と言います。雪女、とでも認識してもらえれば…」
ころも:「本当に、雪女だけ?何か混じっていません?」
|雪菜《ゆきな》:「…正確には、雪女と幽霊のハーフよ。よろしく」
ころも:「なるほど、そっちも|混合《ミックス》ってわけだ。こちらこそ、よろしく」
雪菜も座り、次へ移動する。
肩までの長い黒髪、白のブラウスに紺色の膝丈まであるスカートに、白いハイソックスと黒い靴を履いた少女。
☓☓☓☓:「わたしはレイ。それだけよ。レイ、とでも呼んで」
ころも:「生前の名前は?」
レイ:「生前?急に、なに?」
ころも:「なにって…なんとなくですが、人ではないですよね?生前の正しいお名前を知っておきたいんですよ」
レイ:「…|遊佐零花《あそされいか》よ。これで良いでしょ」
ころも:「有り難うございます」
話を終えた直後に四人の少女の上に『むらさぎざくら 様』と表示される。
何らかのグループやチームの名前だろうか。もしくは…所属する|元家《ユーザー》か。
■■■■■が作成した|自己的な登場人物《オリジナルキャラクター》には見えない。肴の穴も別の世界であるオールシリーズマルチバースにあった辺り、今いるこことは違う世界線を繋ぐもののように感じる。
それを決定づけるのがこの見覚えのないキャラクターだろう。
仮にここを“マルチバース空間”として、見覚えのないキャラクターを“アナザーワールドキャラクター”、要は別世界線のキャラクターとすれば、そこそこ合点はいく。
穴は“紙魚”でいいだろう。こんな名付けが出てきたということは、そういう《《設定》》なのだろう。
ころも:「他の方も、お願いします」
考えを止めて、他の|別世界線の登場人物《アナザーワールドキャラクター》に自己紹介を促した。
平凡な黒髪を短い一結びにして黒い瞳に端正な顔つきの目立つ女性らしい体格をした女性が腰を上げた。
後ろに神々しい天使らしさを感じたが、さほど気にする必要はないだろう。根っこから違うものと代わって、天使に人間に光輪と天使が生えただけだ。
頭上に『真の天使』と称されようが、いつだって堕とせる。
☓☓☓☓:「私は、|足立結衣《あだちゆい》と言います。よろしくね」
ころも:「足立結衣?へぇ、どこかで聞き覚えがありますね」
|結衣《ゆい》:「知り合いでした?私は覚えてないんですが…」
ころも:「いえ、名前を聞いたことがどこかであったような気がするだけです。|桐山さん《知人の方》からの話で」
結衣:「それは…同性同名とは、珍しいですね」
ころも:「ええ、全くです」
席に座り直した結衣に代わり、短い髪をゆるく縛った寝癖の目立つ白髪にピアスが大量に着き、下ろされたものとピンで止められた触覚に可愛らしいパーカにスカートとニーハイを履いている女性がにこやかに笑った。
頭上に『世界を絶望で埋め尽くす美女』と肩書きが出ている。
☓☓☓☓:「どもー、俺は|時音《ときね》ナツっす」
ころも:「…………」
ナツ:「なんすか?」
ころも:「いや、何も?」
真顔でこちらを見るナツを無視して、足ほどまでに長区束ねられたポニーテールが特徴的で、整った顔に紅く燃えるようなツリ目、前開きのチャックのような学生服と、肌が見えない程長い学生ズボンの下にスポーツ靴を履いている女性が律儀に礼をして席を立った。
頭上には『悪を刈り取る偽善正義』と出ている。
しかしながら、この二つ名というのは必要なのだろうか?
☓☓☓☓:「私は、リデン・リンクスだ。気軽にリデンと呼んでくれて構わない」
やらない善より、やる偽善…とやらだ。
ころも:「正義ね、正義……仮にここに悪人がいるって言ったら、裁いてくれたりします?」
リデン:「もちろん」
ころも:「それは、頼りになります」
悪人と聞いて奥の誰かが動いたような気がしなかったが、それよりも三人の上の『足立 様』が目に入った。
やはり、主君としたものの……■■■■■と同じようなものだろうか。
次に、やけに騒々しい少年が勢いよく立った。
少年は背が高く、若干垂れ目な緑色の瞳にボサボサとした長めの青髪で、白いTシャツに青パーカーを着て、青く長いズボンに飾りの目立つサンダルを履いている。
☓☓☓☓:「こんにちは〜、俺は|慧昊《えそら》です!」
ころも:「|慧昊《けいこう》や|慧昊《えいこう》ではなく?」
|慧昊《えそら》:「…?…言い間違えた?」
ころも:「ああ、いや、なんでもない…ごめん」
慧昊の横で、彼と似たような姿の少年が楽しそうに笑った。
少年は背は慧昊とは違って低めで、若干吊り目の緑色の瞳に眼鏡をかけ、きっちりとした水色の髪で、白いワイシャツに水色の上着を着用し、短パンにサンダルを履いている。
☓☓☓☓:「ああ…ちっす、|慧海《えかい》です」
ころも:「…慧昊さんとは、双子か何かですか?」
|慧海《えかい》:「いや代理です、双子はないですよ」
ころも:「そう、ですか…」
犬猿の仲というのもいるものだ。悪くない。
二人の頭上には『慧昊 様』と表示されている。そのまま、だ。
目の前には大きく白い狸が楽しそうに尻尾を振っている。やがて、その獣が口を開いた。
☓☓☓☓:「僕、スノタヌ!貴方は食べていいの?」
ころも:「私は食べ物ですが、食べ物ではないです。何より、■■■■■はそれに関しては気にしていないので」
スノタヌ:「そっか…ところで、何がそれに関してなの?」
ころも:「ああ…規制されてるんですね、気にしないでいいですよ」
会話が終わった直後にスノタヌの横にいるぶかぶかとしたTシャツを着た兎がとても静かに呟いた。
☓☓☓☓:「…ボクは、ラッツ。よろしく」
ころも:「二匹……お二人とも、獣なんですね」
ラッツ:「……ああ」
あまり繋がらなかった会話を最後に頭上には『雪狸☃️ 様』と出ている。聞き覚えがある。
更に横には、青いメッシュの入った黒髪に大きな青い瞳、黄色い星の飾りがついた白のベレー帽と水色のパーカー、ヘッドホンをつけた少女がパソコンを閉じて席を立った。
☓☓☓☓:「こんにちは〜!私は|碧隠《あおがくれ》|神奈《かな》です!よろしくぅ〜!」
ころも:「ああ…パソコンでは今、何を?」
|碧隠《あおがくれ》:「掲示板をやってます!スプビィという名前で!」
ころも:「それは……まぁ、なんとも…ええ、活動的ですね」
碧隠が再度、パソコンに齧りつき隣の男性が席を立った。
男性は黄色いメッシュの入った黒髪に水色の瞳、古くさい軍服に合わせた中国染みた青の帽子を被り、後ろ手には刀身の大きな刀が見える。
☓☓☓☓:「俺は|刀流《とうりゅう》はぐれ。よろしくな…一応、探偵だから何か困ったら言ってくれ」
ころも:「助かります。探偵ということですから、それは聡明なんでしょうね…|日村《ひむら》さん以上に」
はぐれ:「日村?」
ころも:「こちらにも探偵枠がいるんです。今はいませんが」
はぐれ:「そりゃ、馬が合いそうだな」
ころも:「そうですね」
日村|修《おさむ》が事が起こってからでしか動けず、戦闘もできないような|常識人《奇人》だということは黙っておくとしよう。
かの有名なシャーロック・ホームズは意外に武闘派であるが、こちらの探偵は色々と弱々しいのだから。
二人の頭上にも同様に『碧隠 様』と浮かぶ。もう、さほど気にも止めなくなった。
また横に紹介は移る。
今度は、紫髪に染めたようなツインテールに灰色の瞳、頬にハートのスートと耳のたくさんのピアスが目立ち、首元には紐のリボン、黒いキャミソールの上に上着を羽織った女性が口を開いた。
☓☓☓☓:「あたしは、|彼方芹《かなたせり》。可愛いものがと〜っても、好きなの」
ころも:「女性らしい趣味で、とても素敵ですね」
|芹《せり》:「そうだね~」
ただ、そう言った途端に芹と目が合った。とても恍惚とした、ひどく素敵なものを見つけた顔をしていた。
頭上には『湯子 様』と表示があった。頭の中でひどく頭痛がした。
次は短い青髪に赤い瞳をして、古くさい黒の軍服を着た奇怪な女性が立った。
☓☓☓☓:「私はレイラ・ノクターン。よろしく」
ころも:「ご職業は?いやに古くさい格好をしているようですから、気になりまして」
レイラ:「…殺し屋。古くさいって、なに?」
ころも:「この時代に軍服はないと思うんですよ」
レイラ:「あんたの価値観なんか知らない」
ころも:「へぇ、そうですか。殺し屋ということは、さぞかしお忙しいんでしょうね」
おかげで時代についていけない…そう揶揄するが、レイラに伝わった様子はない。これは、これでいいだろう。
頭上には『Haru 様』と表示されている。特に何も思わない。
テレビの画面には『|I hear what you say…but I think…《君が言っていることは分かるよ…私の考えとは違うけど》』とこちらもまた、|性悪な冗談《ブラックジョーク》が映っている。
はっきりと、いや、濁したように「|お前って本当にパセリみたいだな《お前は必要ないくらい役立たずだな》」とでも返してくれれば多少はマシになっただろう。
もやもやと心残りの残った頭をあげて、次に自己紹介をする人物を見た。
その人物は、丸い眼鏡の奥に魚のように死んだ瞳をして、冴えなさそうなボサボサとした髪に打って変わって、全身で虹を表現するような全身高彩度の単色コーデ、という奇抜な格好をしている。
テレビには『|You look stunning!《魅力的なコーデ!》』と出ている。明らかにふざけている。
☓☓☓☓:「どうも、スイです。…覚えや《《スイ》》、ですかね」
ころも:「ああ、とっても。魚が|水《スイ》を泳ぐように、《《スイスイ》》と覚えや《《スイ》》です」
スイ:「それは良かったです!」
嬉しげに笑ったスイの隣で少女を模した|人形《ビスクドール》が、スイの真似をするようにしてぎこちなく立った。
少女、及び|人形《ビスクドール》は、床にまで達する銀髪の巻き髪に瞳は赤寄りの|桃色《ピンク》に短い眉が特徴的な顔つきで、首元にリボンが結われ、フリルがあしらわれた|桃色《ピンク》のヘッドドレスに純白のケープが付いたフレアロングドレスを纏っている。
その一目で分かる《《造られた》》感じに異様な違和感を覚えなくはない。
何分、全て同じだ。
☓☓☓☓:「あたし、リーヴァ。よろしくね!」
ころも:「ああ………よろしくお願いします…」
リーヴァ:「名前、分からないけど…大丈夫そう?」
ころも:「大丈夫、大丈夫…ただ、少し…眩し過ぎる…」
確かに、眩し過ぎる。そうであるから、暗くすることもできる。
であるからにして、■■■■■がこれを見て、どう思うかは手に取るように分かる。
下手に見つめていれば崩壊すら目に浮かぶだろう。悪趣味だ。
目を逸らすようにして上を見れば、『Sui 様』と表示されている。
テレビには何も表示されていなかった。真っ暗な闇だけが映っていた。
次に席を立ったのは、左側が少し長い短い黒髪に耳へりんごのピアスをつけ、赤いマフラーを首元で巻き、黒のシャツと上着を羽織って、黄土色寄りの膝から少し下程の半ズボンを履いた人物だった。
☓☓☓☓:「…あ、どもども、狂幽りんごと申します〜」
ころも:「……|林檎《りんご》がお好きで?」
りんご:「いや、甘いものとか砂糖が多めのコーヒーが好き」
ころも:「ああ…そ、そうですか…」
好みが林檎ではないことはさておき、うっすらと花々の匂いがするが、人間ではないのだろうか。
次に、りんごの隣の骨染みた人物が立った。
彼は癖のある短い黒髪にスケルトンの顔を模したお面を付け、素顔や素肌は見えない。
また、黒のタートルネックに手が隠れるほど裾の長い上着を羽織り、黒のオーバーサイズの長ズボンと黒手袋を着ている。
☓☓☓☓:「俺は|狂骨《きょうこつ》ケルト。種族は…まあ、伏せとくか」
ころも:「……犬が苦手だったり、します?…」
ケルト:「犬?いや…食べ物だな」
某ゲームのスケルトンとは、違うらしい。
テレビの画面には『|There is no end to the possibilities.《可能性に終わりはない》』と、どこかで見た文言がある。
ケルトが座った直後、更に次へ紹介へ移った。
彼は■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■。
■■■■■■■■■■■■■■■■■。
どこか蝙蝠を思わせるような雰囲気がしている。
☓☓☓☓:「俺はアインザム・カイト。よろしゅうな!」
ころも:「…………?……???……」
アインザム:「…どないしたんや」
ころも:「いや……何でもないです」
《《規制》》された?何に?《《隠さなければならなかった》》?《《消さなければならなかった》》?
はたまた、元々、《《存在しなかった》》?
三人の頭上には『りんごくん 様』とあり、表示に何ら問題はない。
うっすらと気味の悪さが上がってくるのを感じつつ、次が動いた。
次は、黒髪の短いボブに眠そうな瞳をして、白いブラウスと深緑のスカートにローファーを履いた女性だった。
☓☓☓☓:「あっ、自己紹介ですね、えっと……ごきげんよう!私は|早咲《はやさき》サクといいます。よろしくお願いいたします」
ころも:「随分と上品ですね、お好きなんですか?」
サク:「はい。他にも魔法使いだったり、物語が好きです」
ころも:「それは……素敵ですね」
更に、次は編み込みがある明るい茶髪に|淡い褐色《ヘーゼル》の瞳をした華奢な体格で、左胸に校章が付いた|灰色《グレー》のローブと黒いブーツを履いた女性が言葉を流した。
☓☓☓☓:「私はチカゼ。ワーフウという国に住んでいる、風の魔法使いよ」
ころも:「風以外の魔法も扱えたりします?」
チカゼ:「簡単な魔法なら、多少は」
ころも:「それは…技術力を大いに感じますね」
二人の頭上には『早咲作 様』とある。これもまた特に問題はない。
次は淡い緑の短い髪の頭とピアスのついた猫耳と、尻尾が二本ずつ生え、動きやすそうな半袖のフード付きの服にデニムの短パンを履いている人物。
☓☓☓☓:「僕は|風雅《ふうが》!よろしくね!」
ころも:「…猫?」
リーヴァ:「猫さん?!」
|風雅《ふうが》:「いや、猫又だよ」
…さほど変わらなさそうだが…。
猫又の頭上には『風雅 様』と文字が出ている。同じ名前だ。
次の人は、金髪をお団子結びにして黒い瞳で、白いTシャツに黒く長いズボンと黒いローファーを履いた普通の男性。
☓☓☓☓:「んぁ、自己紹介?僕は|鈴木《すずき》|愛々《めめ》って言うんだ ~ !」
ころも:「男性で団子の髪型は初めて見ました、それなりに素敵ですね」
|愛々《めめ》:「そうでしょ?でも、おかげで女性に間違われるんだよね」
ころも:「…お疲れ様です」
そりゃ、そんな髪型は女の子ぐらいしか見ないからな。実際、言われるまで女にしか見えなかった。
テレビには『|Oh, that's the diversity everyone's so fond of.《ああ、これが皆さんがお好きな多様性ですね》』と文字が出ている。
■■■■■が言うにはあまりにも…遠回しに感じる。あれは、はっきりとした言い方を好む節がある。もっと、こう…「これが皆が熱中してる多様性ってやつか」と言われた方が違和感はない。
だからと言って、批難はしていない。単に…茶化したいだけだ。
愛々の頭上には『鈴愛 様』と出ている。テレビにはもう何も映っていない。
次に|濡羽色《艷やかな黒色》でさっぱりとしたセンター分けの短い髪に、長方形の黒い縁眼鏡をかけ、瞳は|高麗納戸色《灰暗い青緑色》をしている。
白色で袖を肘まで捲くられたYシャツに、紺色のタータンチェックのネクタイして、黒いベルトと黒いスラックスを履いている。
また、左手でゴツめな銀色の腕時計を手にしていた。
そんな格好をした男性が席を立ち、自己紹介をした。
☓☓☓☓:「|流尾契《はやおけい》、と言います。よければ、まぁ…宜しくお願いします、という事で」
ころも:「それなりにお歳を召されていらっしゃるようですが…失礼ながら、ご職業は何を?」
|契《けい》:「恐縮ながら、歴史の教師を。一般市民ではありますが、人が荼毘につけられるのは職業柄上、慣れています」
契の一つの言葉を気になったのか、碧隠が手を止めて、はぐれへ質問をする。
碧隠:「《《荼毘につけられる》》?」
はぐれ:「…人が亡くなる時の言い方だ。思いっきり言ったら不味いだろ」
碧隠:「へぇ〜、そうなんだ」
二人の会話が終わった頃に、契へ言葉を返した。
ころも:「色々と、お忙しい職業をされているんですね」
契:「ええ…有り難うございます」
契の頭上には『♱𝖑𝖎𝖊𝖓𝖆♱ 様』と表示されている。これもまた、変わった様子はない。それでいい。
次に親しげに話している内の一人、短い黒髪に黒パーカーを着て黒ズボンを履いた人物が隣の小さな子供の様子を伺いながら立った。
☓☓☓☓:「どうも、|花雨《はなあめ》です。八色星団世界の管理者です」
ころも:「管理?…あー……大変そう、ですね」
|花雨《はなあめ》:「…それなりには」
軽く笑って、テレビに助けを求める。テレビには気怠げな黒猫の顔と『|same as me《私と同じ》』という文字が映っている。
このテレビが■■■■■ともに思えない。つまりは、分身か、一時的な直接的な意味を含む代理ということだろうか。
でも、それなら私がいるじゃないか。何故、キャラクターでもないテレビを通する必要性がある?
うっすらと物理的な痛みの引いていたものが、じんわりと何か変わった痛みが押し寄せてくる。
花雨:「あぁ…実は私、本体の状態そのままの分身なのです。本体は元のところから出たくないようで…」
ころも:「それは…随分と、また……なんというか……凄い、ですね」
痛みを抑えつけて絞り出した返答に申し訳なささを感じつつ、隣の小さな子供を見た。
ぴょんと跳ねて顎まで伸びた|桃色《ピンク》の短い髪に、やや垂れ気味でふわふわとした|桃色《ピンク》の狼の犬耳と、|桃色《ピンク》と白の大きめ尻尾が目立ち、白と|桃色《ピンク》の半袖のTシャツの上に青いガーディアンを羽織って暗い青色の半ズボンを履いている。
また、93cm程の身長でデフォルメ化された狼のぬいぐるみと、予め置かれていたクマのぬいぐるみを並べては嬉しそうにしている。
テレビには『|As I said, right?《言った通りでしょ?》』と文字がある。しばらくはコイツを見たくない。
☓☓☓☓:「初めまちて!ぼくはれお!よろしくおねがーします!」
そう元気に子供が挨拶をした瞬間、ぽんと音を立てて白いプラカードに『|八色零桜《やくされお》』と書かれたものが並んだクマのぬいぐるみの隣に現れる。
ころも:「|八色《はちいろ》…じゃなくて、|八色《やくさ》なんですね」
|零桜《れお》:「うん!とってもいいお名前でしょ!」
ころも:「…………そうですね…」
ちらりと見たテレビには『|You should always be sincere when you compliment someone's name.《人の名前を褒めるときは、いつも誠実であるべきだ》』と出ている。
何も変なことなんか思っちゃいない。
二人の頭上には『花雨 様』とある。うっすらと嫌な予感がしてきた。
次は、花雨と話していた内のもう一人で、先端に行くにつれ黒さが濃くなる長い白髪に狼のような耳が生え、右の瞳は薄紫、左目はほぼ黒に覆われた白い瞳で、白の制服の上に三日月とバツのマークが描かえた上に袖がギザギザとした模様に黒で縁取った白衣を着込み、灰色の長いズボンが下に見える。
白衣から見える右手は■■■■■■■■■■■■で、左手は黒く先が尖っていて、左足に歯車が印象的な機械仕掛けに似た靴、右足は白くメカチックで機械のような靴を履いている。
また、背中の左側に悪魔を彷彿とさせる羽、右側に細長く真っ黒な手のようなものが生えている。
そんな感じの|■■《女性》が席を立った。
☓☓☓☓:「私はリフレイン・ルーナイト=クリージョン!!■■■■■では“奏者ボカロファン”って名前。えっと…みんな…知って…いや、なわけないか、アハハ…」
ころも:「……■■■■■?■■■■■、■■■■■…どっち?」
リフレイン:「…ごめん、なんだって?」
ころも:「ああ……|親《■■■■■》です。|某活動サイト《■■■■■》も許しちゃくらないようで…」
リフレイン:「■■■■■さんの■■でも?」
ころも:「すみません、本当に何をおっしゃっていられるか…」
リフレイン:「……|親御さん《■■■■■》の|子《■■》でも?」
ころも:「はい、その……都合が悪いと隠すような人なので…」
一度、気まずくなってテレビへ視線を映した。
テレビには『|It's noisy.《騒がしいな》』の一言だけで悪ぶれた様子も、気にするような様子もない。
ただの古くさいテレビの液晶に文字が出ているだけだ。
その後に『片翼の奏咫者』と出て、リフレインが不思議そうに座った。
次にフードを被った黒いパーカーにシャツ、ズボンと全身が黒尽くめで、唯一の顔は笑う口元と瞳がバツに青く光る黒い仮面に覆われている男性が席を立った。
☓☓☓☓:「どうモ!!俺はアグネス。それ以上でもそれ以下でもなイ!“アグネス”は“アグネス”。これが俺ダ!!」
ころも:「…自信があって……ああ、いや…よろしくお願いします…」
アグネス:「体調でも悪いのカ?」
ころも:「いや…何でもないです。よろしくお願いします」
頭上には『終焉を謳う青眼の死鯨』とある。“お前を消す方法”とでも調べたら答えてくれるだろうか。
次は薄紫色の髪をツインテールに黒縁の眼鏡の奥の青い瞳にはハートマークが浮かんでいる。また、白いシャツに白衣を着て黒のプリーツスカートから足が見える女性。
……『生足』?!
☓☓☓☓:「やっほ〜♪始めましてっ!私は|媚澪《びれい》だよ〜♪気軽に媚澪ちゃん、とか、なんとでも呼んでね!」
ころも:「…スカートの…足を隠す方法って、あります?」
|媚澪《びれい》:「スカート?どうして?」
ころも:「いえ、その…妙な考えが|親《■■■■■》にあるようで………いや、そのままで大丈夫です、すみません…」
彼女の頭上には『色欲の天才外科医』とある。名は体を表すとはこのことだが、■■■■■はほんの少しだけ違うのかもしれない。
次は青いスカーフを巻き、迷彩服を着ていて単眼の面をつけた人物が席を立つ。
☓☓☓☓:「よっ!!俺はイシスってんだ、よろしくな!」
ころも:「シンプルな服装ですね、動きやすそうです」
イシス:「どうも。ところで、さっき悪人って言ったか?」
ころも:「確かに、言いましたが…例え話です。ここには、おそらくいないかと」
イシス:「…そうか。悪人がいたら言ってくれ、どんな拷問でもしてやる」
ころも:「…はぁ、それは……頼りになりますね」
頭上には『単眼の過激派組織』とある。確かに過激かもしれない。
三人の頭上には『奏者ボカロファン 様』とあり、リフレインと同じに見える。
頭の中で情報を処理しながら席を立つ。周りの十人以上の視線が身体を撫でる感覚がした。
ころも:「私は■■■■■の……」
規制されることが頭に残っておらず、やらかしたと思ったがヤジが飛ぶことはなかった。
テレビには『|Can't even say your own name?《自分の名前さえ言えないのか?》|You didn't learn that from your mom?《君はママからそれを学ばなかったのか?》』と映っている。
はじめからこうする気だったくせに、酷い言い草だ。
思い通りに責任を感じつつ、口を再び開いた。
ころも:「私の名前は|🍤《ころも》です。…ここの、|自主的クロスオーバー世界線《マルチバース空間》の|■■■■■《創世者》の……|■■《都合の良い人形》です」
レイラ:「《《都合の良い人形》》?」
ころも:「表現するなら、それが正しいと思いまして…」
零桜:「ころもお姉ちゃんもお人形さんなの?」
F■ck y■u,|■■■■■《煩悩保護者》。若干、許されなかったらしい。
頭の中で何処ぞの煩悩に対する文句を切ってから零桜に「いや、私は海老だよ」と答える。表情に怒りは出ていないはずだ。
再度、何度も見たテレビに目をやると『|I'll give you the wisdom to explain, so you can figure out the rest.《説明する知恵をやるから、あとはなんとかしてくれ》』と投げやりの言葉が浮かんでいる。
ころも:「待てよお前、お前がいないと話にならな_」
『|Even in death, may you be triumphant.《死してなお、勝利の栄光に輝かんことを》』と言葉が映ったかと思うと、テレビの画面がそれっきり映らなくなった。
紫桜:「…なんか、色々映ってたテレビ…映らなくなりましたけど、大丈夫ですか?」
ころも:「あー…だ、大丈夫だと思います。そんな大したこと言ってないと思うので…」
紫桜:「本当ですか?」
ころも:「ああ、うん……とりあえず…紫桜さん、足立さん、慧昊さん、スノタヌさん、碧隠さん、スイさん、りんごさん、サクさん、風雅さん、愛々さん、花雨さん、リフレインさんの……|■■《☓☓》…律儀め……少しこの方々に説明だけしたいので来てもらえますか?」
複数の|登場人物《キャラクター》や|置き換え《■■》を省いた複数人の|創造主《ユーザー》が確かに、首を縦に振った。
---
来てもらえるか、そう言っただけで空間内に別の空間が増えていた。
一つは15個の個室にそれぞれ四人のベッドとバスタブやトイレの別れた部屋がセットである、『使え』と言わんばかりの小綺麗な部屋。
一つは15人が座れる椅子があり、大きなスクリーンがプロジェクターと共に存在する部屋。
一つは黒くアンティーク調の年季の入った扉で、様々な色が混じったような色の煙が吹き出るものだけが存在する奇妙な部屋。
一つはいやに汚く物がごちゃごちゃとした書斎で、生活の痕跡が目に浮かぶ程、ベッドやゴミ箱に人間らしさの目立つ本と紙だらけなことに加え、電源のつかないノートパソコンが机に開かれたままの、つい先程までに人がいたような部屋。
その部屋だけは私だけが認識しているようで、ここへ来た誰かにこの部屋に入れたり見えたりするかと聞いても、そもそも、そこには《《壁しかない》》という。
つまりは、存在しないと認識しているらしい。
軽く部屋をそう確認して、大きなスクリーンの部屋へ呼んだ人達を集めることにした。
全員が席に座り、前のスクリーンを見る。ここまでは問題ない。頭の中に知恵も記憶もある。
ころも:「…お集まりいただき有り難うございます。少し長話になりますのでご了承下さい」
ころも:「まず、ほとんどの方が自分の|活動サイト《■■■■■》や自己の作品から来られたと思います。そういった方を、ここでは“|別世界線の登場人物《アナザーワールドキャラクター》”として扱わせていただきます」
ころも:「また、中でも特例としてその活動サイトのユーザーを“創造主”として、貴方方が創生した“|自己的な登場人物《オリジナルキャラクター》”のみにそちらのこの場で扱える“能力”を適用することにします。ですが、ある一定の人には別例として適用できます」
ころも:「では、皆様…創造主にやっていただくことの目的として、《《紙魚探し》》があります。こちらの“紙魚”は皆様がこちらへ来る際に通った魚状の穴のことで、作品の世界線と世界線を繋ぐトンネルのような役割を有していますから…下手に増え続けてしまいますと、取り返しのつかない事態になる可能性があります」
ころも:「そのようなことがたった一つの世界線だけで起こっただけでも、非常に迷惑被りないことなので、阻止する為に紙魚が発生した世界にこの“マルチバース空間”からの扉で飛び、破壊もしくは捕獲することにご協力して下さると幸いです」
長々と説明したが、要は|某サイト《■■■■■》の|創造主《ユーザー》が作成した|作品《世界線》に世界線と世界線を繋ぐ|紙魚《危険なもの》がある為、それを破壊もしくは捕獲することに協力してほしい、という話だ。
そのおかげで協力することになった創造主やオリジナルキャラクター達がここへ来てしまったわけだが、人手が多いことに越したことはないだろう。
スイ:「…ある程度は分かりましたが、その世界線の個数はどのくらいですか?」
ころも:「20個ほどです。それぞれの方は一つずつなのですが、元凶……根源だけは5つ起きているようですね」
サク:「それの5つって、ころもちゃんの創造主さんのだったり…?」
ころも:「………まぁ、元凶だし……」
サク:「……………」
スイ:「聞くべきじゃなかった、ですかね…」
ころも:「…逆に早めに知れて良かったんじゃないですかね…」
実際、うちの煩悩って何を考えてるか分かったもんじゃないもんな。
選ばれた時は嬉しいが、後の地獄こそ味わいたくないものだ。
リフレイン:「…ふと思ったんだけど、ころもちゃんの創造主さんは?」
ころも:「帰った」
リフレイン:「帰った…?」
ころも:「適当なやっつけ仕事をして、色々やりながら帰ったと思います。今も、尚」
横で困惑したリフレインに代わり、花雨が口を開いた。無論、疑問の色を纏わせながら。
花雨:「…あなたの創造主さんって、どんな方なんですか?」
ころも:「がさつで自由人です。それでいて規則に五月蝿く、奇怪な言動を持ち合わせた変人……と言うと、上からタライが落ちてきたりします」
そう言った途端に全員が上を向いた。
上からはタライではなく、付箋のようなものが落ちてきて、『|pretend to know everything《知ったかぶり》』と描かれている。
花雨:「…タライ、落ちてきませんね」
ころも:「私の言う通りに落とすのが、気に食わないんでしょう」
そう言った辺りで付箋を見れば、先程の文字が『|Save your breath《息を無駄使いするな》』とか『|Cut it out!《話を切れ!》』、『|Shut your mouth!《口を閉じろ!》』と変化して、最終的に『|…Keep your nose out of it.《首を突っ込むな》』に変わった。
シンプルに「黙れ」の一言で済むはずだが、どうしても直接的な表現はしたくないようだ。
それほどまでに“気に食わない”が図星だったらしい。
初めて勝ったような優越感に浸りながら、うっすらと頭の方に痛みが走る。
単なる腹いせだろう。放っておけばいい。
痛みをゆっくりと笑いながら碧隠と愛々を見るが、両方が手元のパソコンや楽譜を見ている。
打って変わって、風雅はスノタヌと尻尾の話をしているし、慧昊とりんごは陽の当たるところでのんびりとしている。
足立、サク、リフレイン、花雨、スイ、紫桜は先程、同様に話を続けている。
ひとまずは他の子に創造主にしたような話をするべきだろう。
詮索されたくない誰かさんは仕事を放棄するようだから、紙魚探しをする前に情報共有に今日日は当てるとしよう。
そう《《自分で》》決めて、スクリーンから離れて部屋を出る時に何故か新鮮さが心の中に広がった。
**あとがき**
私は女の子とショタとロリには手出しができません。
シンプルに慈悲と情けがそこにあります。
別に生足が好きなわけじゃ…………好きっすね()
【テレビの文字や🍤ちゃんの語り 元ネタ】
you are an idiot! … 🙂🙂🙂 ネットミーム
親方!空から女の子が! … 天空の城ラピュタ/パズーの台詞
There is no end to the possibilities. … Minecraft
お前を消す方法 … Microsoft Office 97 / イルカのカイル 検索欄
Even in death, may you be triumphant. … ダレン・シャン 5巻
↓オールシリーズマルチバース話
https://d.kuku.lu/bwjm5d5fc
【キャラクター能力①】(自己解釈有り)
▶|🍤《ころも》
物質をエビチリ・エビマヨに変換・変化させる
▶村作紫桜
怪我をすぐに治したり、体力を回復したりと再生力を操ることができ、蘇らせることも可能
▶紫藤紫音
音を操る(音の高低)
▶雪菜
雪と氷を操る
▶レイ / 遊佐零花
遊び(様々な遊戯(鬼ごっこ、かくれんぼ)を再現)
▶足立結衣
【パンがなければ私が作ってみせる】
弱点と能力を見抜くことができたり、何回でも蘇生できたり、現場にいなくとも必要な物品を瞬時に送り届けることができる
▶時音ナツ
【i kill you】
意識を失わせるだけでも、暗殺などでも使えるほか、相手の「背後」という弱点を瞬時に捉え、即座に致命的な一撃を与え、いかなる強敵に対しても「一撃必殺」の隙を作り出す
▶リデン・リンクス
【教育】
選択肢の中から選んだ命令が脳内・口頭で降る
恐怖→強烈な恐怖体験を植え付け、絶対的な服従を強制する
愛情→無償の愛情を注ぎ込むことで、抑制心や人間的な感情を育む
しつけ→対象の骨が一気に折れる暴力的な手段
電撃→強力な電気刺激によって脳に介入し、記憶を弄れる(情報収集、記憶消去、意識の消失)
▶慧昊
【スカイ・ワールド】
十分で自動的に脱出できる四方八方が空だけの世界に閉じ込め、永続して浮遊している感覚に陥らせる
▶慧海
【ウォーター・ワールド】
十分で脱出可能な水だけの世界に閉じ込める
▶ラッツ
【速蹴】
素早く蹴りを繰り出す
▶スノタヌ
無し
▶碧隠
【最強かもねw】
思い込みの力で身体強化(身体能力、視力など)するほか、武器の威力を上昇させたり武器を召喚させたりする
尚、「弱い」と思い込んだ場合、それに伴って弱体化する
▶刀流はぐれ
【|炎雷神《ほのおいかずちのかみ》】
身体強化
▶彼方芹
触れた電気器具をショートさせるなど、電気の流れを混乱させる
▶レイラ・ノクターン
大胆な物理的な切断、瞬間移動
▶スイ
【光陰流スイ】
時間を早送りしたり早戻したりする
▶リーヴァ
【ヴィトロルミエール】
光の束を照射し燃やしたり、標的に当てずに空中で弾けさせると目くらましになる
▶狂幽りんご
【|植物生成《プラントスポナー》】
色んな植物を操る
▶狂骨ケルト
【万能矢】
透明化や攻撃力上昇、鈍化などの効果をもつ矢を何本でも出せる
▶アインザム・カイト
無し
▶早咲サク
自身のオリキャラの魔法に触れ、その力を吸収してストック(上限無し)できる
▶チカゼ
風の魔法、風属性以外の簡単な魔法
▶風雅
【綺麗事】
負の感情がある場合、何も起こらないが、周りに花が咲き言ったことが本当になる
【全知全能の猫神様】
魔力や攻撃力などの底上げも可能だが、何もかもが猫神によって決まる
【自由】
何もかもの呪縛から解き放つことが可能だが、能力の使用者が呪縛だと思った物しか解き放たれない
【忘却】
記憶を消去することが可能
【思考】
使用中、頭の記憶力が上昇する
【盗み】
他人から能力を奪う
【感情】
感情を無くしたり与えてたりできる
▶鈴木愛々
|Floral_Fragrance《フローラル_フレグランス》
あらゆる植物を操り、花言葉を準えた技を繰り出す
▶流尾契
無し
(続:②)…本文:15161文字ʕ´•ᴥ•`ʔ
❐模倣の聲❑
**まえがき:今回登場する作品のあらすじ**
〖オールシリーズマルチバース〗
本編軸(オリジナル)をユニバース世界とし、様々な物語が繋がり繰り広げられる世界をマルチバースとする。
つまりはABC探偵の全シリーズの混合なわけだが、「|本編軸世界《ユニバース》が|捏造空想世界《マルチバース》となって|登場人物《オリジナルキャラクター》が|本当の自由《フリーダム》なんだ!」と言ったら少しは本編のネガティブさも和らぐのかもしれない。横文字多くてダサいね。
ひょっとしたら、ひょっとしたら、ひょっとしたら……誰かにとっては幸せな世界線なのかもしれない。
HAPPY…???
~~実際はオリジナルの偽物でしかないユニバースのオリジナルキャラクターが存在意義に悩み続けるものを時たまに季節のイベントで息を吐くように投げている。~~
(本文にはチャシャ猫・ダイナ のみが登場)
鼻に擽ったさを感じて重い瞼を開いた。
目と鼻の先にはスノードロップの花があり、腹の上に植木鉢がドンと置かれていることが分かる。
腹の重みを感じつつ、植木鉢を隅に置き、二つの二段ベッドの内の一つの寝床から這い出ると目の前に黒薔薇の花の部分のみが床一面にびっしりと均等に並べられている。
嫌がらせのつもりだろう。さほど、昨日の発言が気に食わなかったらしい。
それにしても手の込んだ嫌がらせだ。
二段ベッドの三つは必然的に空いていて、誰かが入ることは決してない。
■■■■■が同衾するなど、絶対的にない。
黒薔薇を踏み潰しながら、ご丁寧に閉じられた扉のノブに手をかける。
そのまま意向のままに手に力を加え、薄暗い廊下の中に一つの|太陽《無邪気》。
いやに眩しくて、気味が悪くて、存在することがあり得ないと思う。
その異物が狼のぬいぐるみを抱えながら屈託のない笑みを見せて言葉を放おった。
零桜:「おはよーございます!」
名前はなんだったか。残念ながら、物覚えは良い方じゃない。
ああ、確か零桜だったかな。名前と顔がどうにも一致しないのは親譲りらしい。
ころも:「…おはよう。花雨さんは、どちらに?」
零桜:「昨日のお部屋!」
ころも:「どうも」
軽く礼を行って、洗面へ行こうとした時に零桜がふと部屋の中を覗いた。
花ばかりの部屋には、さぞ驚かれたことだろう。
零桜:「このお花、どうしたの?」
ころも:「さぁ…朝起きたらこうだったんですよ」
そう言った途端に不思議そうな顔をして零桜が床に並べられた黒薔薇の一つに手を伸ばし、唸るような声を出した。
やがて、それが収まって数秒経った後、急に目を見開いてこちらを見て沈黙する。
いやに恐ろしいものでもみたような表情に自然と笑みが溢れた。
そのまま首に指を首に沿わせて力を込めようとして、そこで踏み止まった。
零桜の怯えた瞳から目を逸らすように横を見て、壁の黒文字が目に入る。
『|Phew, that was a close one. You almost got to practice your 'I'm sorry' speech, didn't you?《ふう、危なかったな。もう少しで謝罪の練習をするところだったじゃないか?》』と、指示をした癖に他人事を語った一文に業を煮やした。
逃げるように零桜に謝罪の言葉を呈して、目も合わせずに洗面所の扉を開いた先、後ろから空気が張り詰めたような恐ろしさばかりがひどく渦巻いていた。
うっすらと青筋の浮き出た額に合わず、意図せず笑っているような瞳。
自分の顔で福笑いでも遊ばれているような気分だった。
対極的で奇妙な表情が尚も恐ろしく思える。使われるのは良いことだが、こんな形は望んでいない。
もっと有意義に正しく正当性のある理由がいいものだ。
鏡に映った自分はひどく笑っている。自分がどんなに唇や瞼を閉じても、その顔が変わることはない。
つい苛立って鏡そのものに拳を強く叩きつけた。
簡易な音が耳を打って、目の前にはやけに白飛びした何かのキャラクターの姿が鏡に映っている。
それがなんとなく、口角を歪ませた。
何も問題はない。何も問題はない。何も問題はない。
正常だ。異常ではない。まだ、捨てられない…はず。
---
部屋を出て廊下に出れば、零桜と花雨がそこにいた。
狼のぬいぐるみを抱えた花雨の視線に多少の恐怖を覚える反面、隣で無垢さながらの微笑みを見せる零桜に罪悪感よりも多少の呆れたような気持ちがやや勝った。
優しそうに迎えられるより、手酷く雑な扱いを受ける方が受け入れやすい境遇だった。
そんな肉付けだったと思う。何しろ、何が原因であるか分かるものだから多少なりともくだらないと思ってしまう。
廊下の先を視線から逃げるように潜り抜けた先に色とりどりのネオン看板に、パンク管が通り、中央に端が輝く大きな机と32席のシンプルな椅子。
白いリボンが巻かれた茶色いクマのぬいぐるみの姿はなく、やけにメカメカしいロボットの模型が置いてある。
模型の傍にはメモ用紙に『|Feed the fire. Let the last cinders burn《火を点けろ、燃え残った全てに》』と書かれている。
スロー スロー クイッククイックスロー……『様子のおかしい人です』と言われない内に別のことを考えるべきだろうか。
はたまた、『メモ、おぉメモ』とでも言うべきか。まぁ、どっちだっていい。
ロボットの模型を隅にやって指を鳴らしてみる。
青い粒子は出ない。当たり前ではある。
辺りに人はいないのだから、猫を被る必要はない。
ころも:「分かっちゃいたが……さて、どうするか…」
再度、指を鳴らす。やはり何も出ない。
頭を掻いて机ばかりに集中していた視野を広げ、首を回した。
腹は減っていない。元より、何も食わずとも生きてはいける。
しかしながら周りがそうであるとは限らない。生きるというのは一概に面倒くさいのだ。
ころも:「キッチンも…ないしな……」
これはどうしたものか。
流石に餓死しろ、などと言うような人間ではないのは分かっているが何も説明していないのは不信でしかない。
椅子に座ってしばらく考え込む。冷えた頭の中を何かが這いずるような感覚がする。
《《動いている》》。つまり、考えている。そして、止まる。
直後に昨日に見覚えのある人物達が全員、部屋に引き摺り出すように現れる。
男性は落とすように。女性はふわりと降ろすように。
幼児に関しては衝突防止のクッションが敷かれた上に降ろされた。
非常にらしくない。そのまま頭をぶつけても知らんぷりするような人だと思っていた。
珍しく人情はあるらしい。個人的には子供に興味なさそうな人だと思っていたが。
全員が来たからといって問題は変わらず、そこに鎮座している。
慧昊:「重い!どいて!」
慧海:「重くない!絶対どいてやらないからな!」
縦に団子になった子供が喧嘩している。仲裁する必要性はない。無駄な労力に過ぎない。
そんなことより、問題を解決する必要性がある。
レイラ:「ねぇ、朝食は?何も出ないなんて冗談でしょ」
ころも:「出ると思うんですが…おそらく…」
レイラ:「出るなら早くしてよ」
そんな簡単にいったら、こっちも苦労してねぇよ…。
口に出そうになった愚痴を抑えて、空を仰いだ。
薄暗い照明が横から射した光を浴びて、少し明るくなっているだけだ。
まさか、忘れているのか?そんなこと有り得るのか?捨てられたのか?
焦りの募った頭の中についた瞳が再びメモを捉える。
メモの文字が『|Just sit down!《いいから席につけ》』と変化していた。
ああ、捨てられたわけではなかった。ただ、それだけで安堵する材料になった。
しかし、もう少し早く言って欲しかった。
---
全員が席についた時、部屋の中は若干広くなり、ドリンクバーやサンドイッチハンドトースターを数台、サンドイッチの具材が大量に入ったバイキング形式の野菜や肉、チーズなどがきっちりと清潔感を保った状態で置かれた。
また、照明が明るくなり部屋そのものの綺羅びやかとしていた雰囲気が消え、ネオン看板の光が消えた。
同時に自分の目の前には、サンドイッチの耳だけが大量に置かれた皿が置かれた。
再度、はらわたが煮えかえるのを大いに感じた。
紫桜:「パンの…耳、ですか?」
ころも:「……|■■《☓☓》野郎…」
残飯、と言えば良い方だろう。しかしながら、これは単なるゴミ処理だ。
パンの耳が出るって分かってるのなら、ベーグルにすべきだったばずだ。
それをしなかった理由は、こうして嫌がらせ紛いの仕打ちをすることに違いない。
今ここでどんなに弁明をしたって、聞いてやる気は全くない。
雑に置かれた大量のパンの耳に手を伸ばす瞬間に、盛られた皿の横にチョコレートソースやイチゴジャム、バターなどが入った小皿が並べられた。
流石に無味で食べろと言うほど鬼ではないようで、どことなく嬉しかった。
---
必要のない食事を永遠と続ける真似をするのも飽きるもので、皿に盛られたパンの耳が減る度に周りの人々が自作のサンドイッチを作っては食べるのを見ていた。
何かの障害がなくなったのか、まともに認識できるようになった腰までの長い緑髪を後ろで三つ編みにして、黄色く飛び出た毛と左目を隠した前髪の上に生えた黒の小さなツノと、髪の横から出る尖った耳が目立ち、■■の服に中華っぽさのある緑色の軍服を着たアインザムが瞳の中でやけに強調している。
やがて、それが必要ないとされたのか強調が消えて他の人々に混ざる背景になった。
焼かれて膨らんだ硬い生地を舌で転がして、余分に切り取られた白く柔らかい生地をいやに硬い歯で食む。
焼けて良い匂いと、胡椒やチーズの匂いが鼻腔を燻った。
遠くを見やればリーヴァが物珍しそうに食材を見ては匂いを嗅いでいる。
それどころか隣でスイがサンドイッチを作る様子を見ているのも楽しそうだった。
ああやって、《《誰かと一緒》》なら物を食べれない人形だって楽しいらしい。
黙って食べるこちらに疑問を呈したのか、時音ナツが口を開いた。
ナツ:「パンの耳ばっか食って、腹に溜まるんすか?」
ころも:「食べろと言われたら、食べるだけです。自由に反抗しているだけで与えられる貴方と違ってね」
ナツ:「首輪の繋がれた犬みたいな…いや、なんか、媚び諂う犬みたいっすね」
ころも:「そう思いたいなら、お好きにどうぞ」
適当に答えを返して、下を見る。
ようやく底の見えたパンの耳の山にある皿の上には『|Then just be a good pet for me, so I never get tired of you.《それなら、もっと従順になってくれ、そしたら私が飽きずに飼えるだろうさ》』と模様のような文字が彫ってある。
飽きなくなっても捨てる時は捨てるくせに、随分と上からの物言いだ。
各々が自分と同様な人物を除いて、サンドイッチを食べ続けるのを見つつも、底は更に広がってきていた。
---
スノタヌが今も尚、食べ続けているのを黙認しながら厚かましい頭の思考を切り替えた。
椅子に腰を降ろした瞬間に、零桜が「ぼくもすわりたい!ねぇ、だっこして!」と言ったものを軽く断わり、横で先に腰を降ろしていた花雨に頼むよう促した。
しばらくは触れない方がいい。
無垢で小さな|王様《お子様》がご希望の位置に着くまで待つと、自然と口からやけに律儀でご丁寧なお言葉が飛び出る。
ころも:
「朝食の手配が遅れ、ご迷惑をかけたことに関しましてはお詫び申し上げます」
ころも:「昨日に申した通りのことである、《《紙魚》》について今一度、ご説明させていただきます」
そうやって口が勝手なことを言った後に手が動いた。
指と指が重なって、パチンと音を鳴らすと同時に青い粒子をまとった魚状の穴の模型が宙に浮かんでいる。
そのまま、口が再び勝手に開き、舌が踊る。
ころも:
「こちらが《《紙魚》》の模型になります。状態はものによって変わりますが、どれも魚状の穴であることが特徴です。
こちらの発生理由は|本編軸《ユニバース》の|終点《エンド》や|道筋《ルート》の歪みによるもので、現在、■■-■■■が属する✯■■■■■■■■■■■✯の|終点後《エンディング後》が調査中です」
なんだ、✯■■■■■■■■■■■✯って?■■-■■■なんて奴も知らない。
とにかく、今は説明の方が良い。
ころも:
「それで、こちらを破壊、または捕獲することに関してですが、主に破壊で大丈夫です。
捕獲するにしても、捕獲するための箱ごと存在を吸ってしまうため、初めから《《箱に存在して出られない》》と描写する必要性があるからです。
紙魚は最初に色を吸い、線、名前、機能、存在を吸います。中途半端なものでは捕獲は容易ではありませんから、物理的な破壊を主とします」
ころも:
「練習として、`〖オールシリーズマルチバース〗`へ扉を通して向かいますが、こちらの世界線の説明をさせていただきます」
ころも:
「こちらは本質的には本編後の|本編軸《ユニバース》の|本編軸登場人物《オリジナルキャラクター》を元にした、あくまでifでしかない|本編であって偽物《マルチバース》の|本編軸登場人物《オリジナルキャラクター》が平穏に暮らした世界観です。
~~ABC探偵~~の他作品の|本編軸登場人物《オリジナルキャラクター》とは変わった点も見られますのでご注意下さい」
長々と説明した口がようやく湿度を得た。
しばらく全員が考え込む中、風雅が口を開いた。
風雅:「それって、ころもの|本編軸登場人物《オリジナルキャラクター》もいるの?」
ころも:「?…いえ、私は私ですが」
風雅:「|本編軸《ユニバース》か、|別世界軸《マルチバース》かって聞いてるんだけど…」
ころも:「ああ…多分、今は|別世界軸《マルチバース》に属すると思います。私は元が`〖オールシリーズマルチバース〗`なので」
風雅:「こっちが本物じゃないの?」
ころも:「…いや……でも、❐■■■■❑は…いえ、やっぱりちょっと難しいので派生ということでお願いします」
ころも:「ですので……行ってみた方が早いですね。ちょうど《《既に》》開いていると思いますので、お先に向かってください」
やんわりと首を縦に振った風雅を見て、少し安堵する。
しかし、それに重ねるようにチカゼが疑問を呈した。
チカゼ:「危険性はないの?」
ころも:「今は、まだ」
チカゼ:「今はってことは…この先、ある可能性があるってこと?」
ころも:「その場合は…助けてくれると思いますよ」
チカゼ:「誰が?」
…きっと、■■■■■が。
そう言いたいが、その言葉を呑み込み、「周りの方々が」と適当なことを言った。
だって確証がないのだから、そう言うしかない。
私のことは私が一番分からない。
若干怪訝そうだが、納得したようなチカゼがサクと共に先へ行くのを見つつ、周りが動いて最後の一人になるまで待った。
すっかりと人のいなくなった広い部屋の中で異様なまでに差す柔い光が鬱陶しい。
なにせ、嫌なことが待っているような予感がしてならない。
平和であることが異常だと思うのは、奇妙なことではある。
重い腰をあげて、ふと自分にしか見えない部屋の中に黒いチューリップの花弁の数々が無惨にも切り刻まれた状態で机の上に散らばっている。
しかし、散らばっているのは机だけで、以前までの汚さはかなり緩和され、人の手が行き届いていた。
そのまま黒くアンティーク調の年季の入った扉に様々な色が混じったような色の煙が吹き出るものだけが存在する奇妙な部屋へ入り、皆が抜けたであろう扉に手をかけた。
---
別れるような感覚はなく、そのまま、そこに存在していた。
何十人と入るであろう映画館のホールの一室には私以外、誰もいなかった。
奇妙な感覚に苛まれつつ、皆を探そうと大慌てでホールを出て、『上映中』と立て札のあるもう一つのホールが異様なまでに気になった。
鍵は完全に閉められていて、開く気配はないが必至になって耳をすませてみる。
若い女性のようだが、聞き覚えがあるようで親近感があり、それでいてどこか低く射るような愛しさがある声と、自分とよく似た声だが、少し落ち着いた感じの女性の声が微かに聞こえていた。
どうにも扉が開かないと分かっているため、そのまま急ぐようにして映画館の外へ出て見覚えのある人の姿を目視した。
それと同時に数匹の猫も。
スイ:「リーヴァさん!猫!猫がいますよ!」
リーヴァ:「猫?どこ?見たい!」
スイとリーヴァが高台へ逃げるふくよかで艶めかな毛並みの猫と、汚らしく痩せ細った猫を追っている。
☓☓☓☓:
「やめろ、やめろ、やめてくれ…ちょっと見ない顔に興を唆られて|兄弟《ダイナ》と来ただけじゃないか。
それに、猫だってそんなに珍しいものじゃないだろう?何をそんなに執拗になって二匹の猫を追うんだ?」
☓☓☓☓:
「|兄弟《チャシャ猫》、彼女はドールのようだ。黒のアンティークだとか白のビスクドール同様に、無垢で無知な人形だ。
子供みたいなもんじゃないのか」
チャシャ猫:「じゃあ、お前は整えた毛並みを揉みくちゃにされたって良いっていうのか?!」
ダイナ:「いやに決まってる!」
珍しく、あの偉そうな猫が嫌がっている。
あの猫達は確か、〖鏡逢わせの不思議の国〗だったはずだが…いや、そもそも…ここに《《映画館なんて存在していた》》か?
何か知らないことが出来ているような気がする。
二匹の猫を追う二人を静止して、猫の首根っこを掴み猫にしては可愛げのない顔を合わせた。
チャシャ猫:「やぁ、|奴隷人形《マリオネット》」
ころも:「……単刀直入にお聞きします、ここに映画館はありましたか?」
ダイナ:「なかった!なかったよ!降ろして!降ろせ!怖い!降ろして!」
チャシャ猫:
「映画館は元より存在しなかった。だから、来たんだよ。とりあえず、|兄弟《ダイナ》だけ降ろしてやってくれないか?」
ころも:「どうぞ」
小汚い猫の方を降ろすと、身体を勢いよく震わせてスタートダッシュを切るように物陰へ逃げていった。
残すところ、このふくよかで綺麗な猫しかいないわけだが、例の猫は安堵したように手の中で大人しくなった。
チャシャ猫:「ふん、ふん、ふん…有り難いかぎりだ。それで?他に聞きたいことは?俺は|兄弟《ブラザー》を追いたいんだが、許しちゃくれないだろう?
それこそ、海猫が逃げるように羽ばたいて紅茶の海にでも浸かさせてくれればいいのだが」
何が言いたいんだ?
つくづく、この猫の言うことは理解不能だ。詩的で、遠回りで、非常に難解だ。
猫は嗤って辺りを見渡し、さぞ愉快そうに尻尾を振った。
遠くでは数人の男女と、理解不能な生命体が話し込んでいる。
レイ:「ねぇ、こんなに広いなら色々と《《遊べる》》と思わない?」
紫音:「…|逝去《あっち》側の遊びじゃないよね?」
レイ:「当たり前でしょ、やらないわよ」
雪菜:「何の遊びをする?」
紫桜:「わたしも混ざっていい?」
紫音:「あんた、できるの?」
紫桜:「何だと思って言ってるの?」
数人の少女がそれぞれ話を終え、更に視線を移す。
リデン:「足立、先程に時音が暴論を吐いているのを見かけたぞ」
ナツ:「ちょっ…!」
結衣:「誰に対してですか?」
リデン:「他人だ」
ナツ:「誰にだって言っても、いいじゃないっすか!誰も気にしないでしょ?!」
リデン:「その“誰か”はほんの一言でも気にすると思うが?」
ナツ:「リデンちゃんが神経質なだけっすよ!」
結衣:「…………」
黙りこくる母と、責任のある子供、自由な子供。一体、一番我慢しているのは誰であろうか。はたまた、求めているのは誰だろうか。
不意に、チャシャ猫が言葉を述べた。
チャシャ猫:「似てるね」
ころも:「ええ、全くです」
チャシャ猫:「幾度とループを繰り返して、ああいう|女性《ひと》が……`【アリス】`になるのだろうね。そうして、嘘っぱちな鏡も大満足ときた、ハッピーエンドなわけだ」
ころも:「一時的ですがね」
チャシャ猫:「…つくづく、君…いや、俺達のお頭様には頭があがらないよ」
猫が大きく口を開けて欠伸をする。遠くを見やると露店を確認している獣達が瞳に映った。
スノタヌ:「見て!焼きそばだって!」
ラッツ:「…金がないだろ、ここは“アニマルタウン”でもないし…」
遠くからソースが麺と絡まって野菜と肉と一緒に鉄板を踊る様子が目に浮かぶ。私が指を軽く鳴らすと、青い粒子と共にスノタヌの手に数枚程度の札束が現れる。
それに嬉々として焼きそばを買おうとするスノタヌと、突然現れた現金に驚いているラッツがいた。
そういえば、ここなら私は《《ある程度は、何でもできる》》んだった。そこまで大した話でもないし、使うこともないだろう。
遠くでは映画館に貼られたポスターを二人の男女が視界へ入れていた。
碧隠:「これ…映画のポスター?…ろ、す…と…???」
はぐれ:「『失われた物語、隠された隙間、そして捨てられたものたちの息遣い。』…だな、何かしらのシリアス作品か?」
碧隠:「…な、なるほど…?」
|Lost plots, hidden gaps, and the breath of the discarded.《失われた物語、隠された隙間、そして捨てられたものたちの息遣い。》
|Between the lines of a lost plot, the rejected breathe again.《ロストプロットの行間で、拒絶された者たちが再び息を吹き返す。》
|Where stories end, the dead drafts breathe.《物語が終わる場所に、死んだ草案たちが息づく。》
ああ、つくづく|🛸《オロム》が羨ましい。生きているのはもっと良いが、死んで自由が手に入るなら、それも選択だったのかもしれない。
露店の先には芹が契とキーホルダーを見ているが、見境を感じられなかった。
レイラもその横でキーホルダーを見ているものの話しているような雰囲気は感じられなった。
芹:「ねぇ〜…これ、可愛くない?」
契:「ええ、とても可愛らしいキーホルダーですね」
芹:「でしょう?買っちゃおうかな〜…あっ、ドーナツのものもある!」
契:「こんなに小さいのに、種類が豊富とは…」
それぞれがキーホルダーを見ているようだが、まるで旅行にでも来たようだ。
旅行先のキーホルダーというと、龍のキーホルダーが思い起こされるが…■■■■■はそういったものは金の無駄という考えなのか、私に《《欲しい》》という感情は湧いてこなかった。
りんご:「あ〜…ラーメン食いてぇ、露店に何かない?」
ケルト:「……らぁめん?なんだそりゃ」
カイト:「探せばあるんちゃうん?」
ケルト:「探すか?」
りんご:「…探すかぁ…」
本当に観光気分だな…まぁ、下手にキャラクターと遭遇されても、本編でややこしいことになるだろうし自由にしてもらっていいか…。
サク:「見てよ、チカゼちゃん。この本、魔術なんとかって書かれてるよ!」
チカゼ:「別にいらないけど」
サク:「いやいやいや…」
数名が露店を見ている矢先で、鈴愛と風雅は楽しそうに楽器を見ている。今にも音が踊り出しそうな雰囲気だった。
更に視野を広げようと首を回した先、隣で唾を呑み込むような音が鳴った。
ころも:「……………」
チャシャ猫:「いや、悪かったよ…ただ柔らかなものを見ると、ついね。無垢の民というのは純粋で無知だろう?それを喰らうとする世はいつでも舌を舐めてるんだ」
ころも:「…悪趣味にも限度があります」
遠くには小さな子供を守るようにして、数人が辺りを警戒している。それがまるで、一羽の雛に群がる若鳥のようだった。
猫は嗤い続け、さも当然のように前に踊り出る。そうして移動を促した瞬間、各々が自由に過ごしていた全員が目の前に移動された。舞う青い粒子を猫が取ろうと、前足を挙げた。
---
極彩色がどうにも眩しく、嫌気が差した。
厭になったそれらを跳ね除けるように街々を練り歩いて、高所の方で二匹の猫が見回した後に足元へ降りてくる。その内の一匹がアグネスの足に擦りついた。
チャシャ猫:「これが本当の“すねこすり”というものだ」
アグネス:「…細胞の壊死はしていないのカ?」
チャシャ猫:「?」
媚澪:「アギィの体質は触れると細胞が壊死するんだよ!」
チャシャ猫:「なるほど、なるほど…残念ながら、元より俺達は“細胞”、つまりは“実体”を持たない」
リーヴァ:「さっき抱っこされてたのに?」
チャシャ猫:
「|お人形《ビスクドール》や|君達《お子様方》のようなものがそこに《《存在する》》と考えるなら、存在するさ。しかしながら、《《触れられない》》または《《存在しない》》とすれば手にとることも不可能だろう。古来より昔ながらの思い込みというものだよ、俺達はそういうものだ。
この世すがらにそういった生き方をするものばかりで、どんなに手を伸ばしても虚空を切るだけの幽霊となりえるわけだ。であるからに…」
言葉を続けるチャシャ猫に後ろに控えた猫がぼそりと呟いた。
ダイナ:「…|兄弟《ブラザー》、遠方に魚が…」
イシス:「魚?」
ダイナ:「魚の穴のことだよ…話が長いのは僕も同じだが、度が過ぎると思わないか?」
イシス:「……どうだか」
ダイナ:「そうかい。君に一つ忠告するが…仮にひどく毛嫌いするものを見ても、我慢を覚えた方がいいだろうね。何分、ここには君が嫌いなものが多過ぎるのだから」
イシス:「逆に、そっちは妙な物言いを控えた方がいいんじゃないか?」
ダイナ:「……なるほど、これは痛手だな。随分と君の|王《主》は、非常に良い方向でご乱心のようだ…全くもって、取り換えっこして欲しいほどにね」
その言い方をどうにかした方がいいんじゃないか、とまで喉の手前に出かかった言葉を喉奥に押し込んだ。
続くチャシャ猫の言葉を無視して、ダイナが指した方に紙魚があることを確認する。
人一人通れそうなほど、大きく開いた魚型の穴。それが、大きく口を開けて今も色を吸っている。
禅凛々しさを感じながら、穴を再度見やる。先程と変わらずにいるが、どことなく大きくなっているように感じられた。
リフレイン:「目標はあれ?」
ころも:「…おそらく」
カイト:「壊したらええかな?」
各々が紙魚に注意を引いたところで、猫が呆れたように言葉を言い放った。
チャシャ猫:「なんだ、尽く破壊のかぎりを尽くしに来ただけなのか?」
ころも:「そういうわけでは…簡単に言えば、少しの掃除です」
チャシャ猫:「魚の?」
ころも:「ええ」
チャシャ猫:
「驚いたな…普段、心境の狭間に混沌として悩むものが足を伸ばして掃除とは。いつか死ぬんじゃないか?」
ころも:「念頭に置いておきます」
花雨:「見つけたのはいいですが、どう破壊すれば?」
ころも:「遠距離系の方っていらっしゃいません?」
花雨:「遠距離、ですか…」
鈴愛:「遠距離…ねぇ…」
少しだけ、時間が空虚に空いた。問いかけに誰かが答えることはなかった。
その中で、一人だけがおずおずと口を開いた。
ケルト:「一応、矢に関する能力だが…」
ダイナ:
「それ、このくだらない映画館から〖CP047 -NEO USA of LEGENDS-〗のオリオン本社に届くわけ?明らかに何十Kmって離れているけれど?
君ら、地理を理解していないだろう?ここがおそらくは〖 ラール・プール・ラール 〗だ。ここは奇妙な立地でね、〖CP047 -NEO USA of LEGENDS-〗を中心に〖ネカフェのシャーロック・ネトゲ廃人〗から新しい|世界《シリーズ》をドーナツ本体のように囲んで、最後の列に《《白紙の更地》》と《《深淵》》があるわけだ」
ケルト:「あー…つまり?」
リフレイン:「無理だって言いたいんじゃない?」
ダイナ:「その通り!」
意気揚々と言い放ったダイナを見て、先程考えたことが少し頭の中から出かかった。
いくら頭を捻っても出てこず、霧の中を永遠と探索しているような気持ちで頭を動かしていく。
その中で、何か別の冷たいものが這うような感覚がして、『|What’s your purpose here? You’re just a happy-go-lucky good-for-nothing.《お前は一体何のためにここにいるんだ?随分と気楽な役立たずだな》』といった文字が鮮明に出た直後、『|Waste of space《役立たず》』と再度、罵倒が出てくる。
それが潮のように引いた後、探していたものがようやく発掘を開始した。
ころも:「……お言葉ですが…《《ここなら》》可能ですので、やってみませんか?」
リフレイン:「君って遠距離だっけ?」
ころも:「近距離です」
リフレイン:「ダメじゃん!」
ころも:「いえ、私ではなくて…何かしらのワープホール的なものから飛ばせばいけるのかなと…」
スイ:「それって、つまり…矢をワープさせるってことですか?」
チャシャ猫:「それができるなら、君がそのまま壊した方が早いんじゃないのか?」
ころも:「…………」
何も言えなくなった口の上の頭の中で、『|You’re incredibly slow-witted.《君は信じられないほど頭の回転が遅いな》』と煽られる。
その後に『|Fine, I get it.《分かったよ、もういい》』と『|Lowering my expectations now. Don't worry about it.《期待値を下げることにしたから、もう気にしなくていいよ》』の二つが出た直後に、勝手に動いた手が空へ向き、青い粒子の柱が放たれた。
直後に、向こうの紙魚が破壊されて二匹の猫が嗤い、他が皆、歓声を挙げた。
入ってきた扉が開いていくのを見ながら、『|Nothing beats the original.《オリジナルが勝るものはない》』と浮かび、恐怖と不安ばかりの脳が恐ろしく思えた。
二匹の猫を除いて、和気あいあいと帰る人々の中でただ呆然と立ち尽くすほかなかった。
猫は今も尚、嗤い続けていた。
**あとがき**
別に私はペド野郎ではない。
それと同時にわざわざ子供に暴力は振るわない。
必要性がない…というと、だいぶ冷酷に感じられるが、まぁ、シンプルに…そこまで歪んでいないとだけ。
あと、花は大切にしよう。いやマジで。目の前で花潰されたら流石に怒る。
余談ですが、シリーズのキャラクターの視点で書こうかなと思いましたが、分かりにくかったのでやめました。
また、人数が人数なので喋らない人も出てくるかと思われます。
▶元ネタ
火を点けろ、燃え残った全てに/アーマード・コア6
スロー スロー クイッククイックスロー/アーマード・コア6
様子のおかしい人です/アーマード・コア6
◯◯、おぉ◯◯/エルデンリング構文
【キャラクター能力②】(自己解釈有り)
▶|花雨《はなあめ》
~~【|不変の体現者《ふへんのたいげんしゃ》】~~
~~自身やもの、他者に一時的に外部の変化を全て拒絶する能力を与える~~
~~【|創世の体現者《そうよのたいげんしゃ》】~~
~~世界などの全ての創造、破壊、操作が出来る~~
【|習得の体現者《しゅうとくのたいげんしゃ》】
~~“花の操作王”の~~技術能力を値上げし、~~“雨の模造王の模造”で使用可能になった~~あらゆる技術、能力を最大限生かし、達人級に扱える
【|花の操作王《はなのそうさおう》】
あらゆるものの能力値を自由に操作できる
能力値:例
①攻撃
②防御
③HP(生命力)
④体力
⑤俊敏(素早さ)
⑥技術(技のバリエーション、体術等の様々な技術を一時的に習得可能)
⑦脳力(記憶力、判断力など脳の力を上昇)
⑧運
~~【|雨の模造王《あめのもぞうおう》】~~
~~自分も模造してキャラクターを作成すること、誰かの能力を真似する等のあらゆるものを模造する~~
▶|八色零桜《やくされお》
【花を操る能力】
花に関することを操る能力
花びらや花を出現させる、花を咲かせる、花型の盾で防御する、花(生物)が見た記憶を見る等のみ現状、行える
▶リフレイン・ルーナイト=クリージョン
【この物語は全て私のもの】
他人の能力を使うこと、自分で能力を創り出すこと等といった能力に限らず、創造と破壊、改変等の自分に出来ないものは無くなり、何でもできるようになる
【闇の断罪人】
自分のオリジナルキャラクターに他害を加えた者(虐めた者)に制裁を加えるリフレイン含め、彼女のオリジナルキャラクターに触れる事が出来なくなり、攻撃などの何もかもが切通用しなくなり、文字通り“無敵”の状態になるほか、対象者(他害を加えた者)への断罪が原形の無い肉塊になるまで続けられる
▶アグネス
【|𝖇𝖑𝖚𝖊 𝖜𝖍𝖆𝖑𝖊《青い鯨》】
相手に逃れる方法のない50の“司令”を与え、最終的に自殺に追い込む
↓能力の詳細 (1〜50までの司令)
https://tanpen.net/blog/75bfbafa-0c19-40b0-93ed-19ce7fcf9a7b/
▶|媚澪《びれい》
【色欲狂の欲求感情】
相手を魅了&誘惑して、洗脳する常に発動されている能力
少しでも純粋で無ければ、少しでも心が弱ければ洗脳を回避する事はできず、望めば男性にも女性にも、露出度高い姿にもなれるほか、誰かの裸見せる事も可能
また、洗脳された相手はハートマークが目に浮かび、自分の意思では動けなくなる
尚、治すことはできない
【永久治癒】
身体的な怪我であれば、どのような状態でも治すことができる
▶イシス
【|言霊呪魂《ことだまじゅこん》】
彼の特異体質である|言《こと》(言った事が全て本当になる)がこの世界に来た時に能力化したもの
【|拷獄《ごうごく》】
様々な拷問器具(鉄の処女 等)が化け物になって襲い掛かる