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目次
カエルを潰した今日この頃
足元を見ると何かを尻から出している緑のカエルがいた。男は罪悪感に潰されながら生活をしていくのか。
私は、「ああ。潰してしまった。」そう思った。
時間は11時50分。外の仕事をしていた時だった。足元から「げご。」そんな音がした。
私は気になって足元を見た。
すると、足元には尻から何かを出してぺしゃんこになっている、緑の何かがいた。
いや。すぐにわかった。カエルだと。
11時51分、私はその場から動けなかった。
だが、仕方の無いことだ。
足元を常に見ている人間なんていない。
人間だって自分より弱いやつを殺すし、
カエルだって自分より弱いやつを殺す。
仕方の無いことだ。そう思っておこう。
私は素早く足を動かして家に帰った。
私はカエルが好きだ。特に緑のカエルが好きだ。
すぐ近くにいて、クリクリの目がなんとも可愛らしくて好きだ。
だが、そのカエルはもういない。
私が潰したからだ。
「きっと。今日起こったことは、きっと、記憶の引き出しの奥底に行くのだから大丈夫。」そう言って私は夜をこした。
朝、私はすぐにカエルのことを思い出した。
カエルはまだ、記憶の真ん中にいたのだ。
私はカエルの事が気になってしょうがなかった。
私が潰したカエルは今、どうなっているのだろうか。
小学生が遊びに使っているのだろうか。
それとも、追い討ちで引かれているのではないのかと。
私は、仕事終わりにカエルを潰した場所に行った。
キョロ。キョロ。
周りを見渡してもカエルはいなかった。
10分経った頃だろうか。
男の高齢者が私の背後から現れた。
「あんた。そこのあんた。」
私はハッとした。
「紳士の格好をしたあんた。」
私はクルリと後ろを振り返った。
「やっと見たか。最近の若い子は。」
「あなたは誰ですか。」
私はこう言った。
「おお。そうだったな。あんた、ここでは見ないが、どうしたんだ。」
「カエルが潰れてたのを見て。」
「ああ。あのカエルか。あんたの足元の所で死んでたカエルか。土に埋めたよ。」
続く。
カエルを潰した今日この頃
私は安心した。
しかし、それと同時に「潰して、殺してしまった本人ではなく、見ず知らずの人が土に埋めた。責任をその人に負わせている。」そんな罪悪感が私の背中をさらに押し潰した。
「おや。どうしたかね。顔色が悪くなってきているが。」
高齢者は言う。
「いえ。お構いなく。走ってきたもので。」私は罪悪感と謎の安心で板挟みになりながら家に帰った。
21時37分。
家にやっと着いた。
外はもう暗く肌寒い。
私はこの前に調理した肉じゃがを食べ、風呂に入った。
罪悪感でいっぱいになりながらも布団に入った。
2時13分。
少しばかり夢を見た。
目の前には潰したであろう緑のカエルがいた。
「お前に潰された。私には家族がいた。狩りは私しかできない。そしてもうあっちにはいないで私と同じここにいるだろう。」
私はカエルが喋ったことに驚いた。
「お前は私と私の2人の家族を殺したのだ。お前は海の渦と一緒になるが良い。」
私は息ができなかった。
ヒュー。ヒュー。
音を立てて微かな息しかできなかった。
2時15分。
目を覚ました私は深く息を吸う。
「この夢はなんだったのだろうか。」
私はそう言い、もう一度寝た。
6時30分。
朝にやることをやり、スーツを着る。
「相変わらずひどい顔だ。」
目には薄くクマがあり、頬に子供の頃に着いた傷が消えずにある。
私は愛用の、カエルを踏んだ愛用の靴を履く。
私の今日の仕事は、いろんな家をまわって契約をとる事だ。
最近はドアに「契約お断り。」そう書いた紙が貼られる家をよく見る。
後輩はその貼り紙関係なく、営業に吹っ掛ける。
その都度、追い出される。
「いや。最近の家はどれもこれも、営業お断りって。」
後輩は言う。
「はは。しょうがないだろ。」
私は返事をする。
後輩は何かを感じたようにこう言った。
「先輩。なにか悩みがあるんじゃないですか。」
「君は私についての事はすぐにわかるな。そうだな。最近カエルを踏み潰してな。
それも特に好きな緑のカエルを殺したんだ。」
私はそう言葉をこぼした。
「おお。よくあるやつですね。やっぱり、罪悪感がのしかかってる感じですか。」
「ああ。そうなんだ。」
「よくありますよね。そういうの。でも考えすぎたら、それはそれで、先輩の首を絞めるだけです。」
私はその言葉に返事ができなかった。
「ま。なんでもいいでは無いですか。さ。帰りましょうか。」
私と後輩は会社に戻った。
私の考えてるこの話の最後は多分、後味悪いです。
カエルを潰した今日この頃
会社に戻っても、私は帰るのことばかり考えていた。
寝ても覚めてもカエル。カエル。
すっかり気が滅入ってしまった私は仕事を前よりできなくなっていた。
後輩にも業績は抜かされ、上司にも呆れられる始末。
というか、心配されていた。
短くてすいません。
来週の休日に書きます。