生まれた時から高校に入る年の今までずーっと一緒の幼馴染み、佐藤莉奈と工藤莉久。
「いつか大人になったら結婚しよう」
幼稚園の時にそう誓った二人だけど今もなお付き合っていない。
中学の卒業式、莉奈に告白しようと気持ちを伝えかけた莉久のめに飛び込んできた光景はとても信じられないもので-?
一冊のノートが繋ぐ、幼馴染みの切ない恋の話
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
第一話 絶対なんてないんだ
新シリーズです。
切ない系に挑戦することにしました。
「いつか大人になったら、結婚しようね」
なんて、誓い合った5歳のとき。
ーーーーー小さい頃はよかったよね。
こんなこと、何ともなく言えてさ。
絶対、自分の考えが通って。
絶対、自分と相手は同じ気持ちで。
絶対、ほしいものはほしくて。
絶対、責任なんて考えなくてよくて。
絶妙、大人は守ってくれて。
絶対、約束は守るもので。
絶対、病気は治って。
絶対、大人になれて。
そんなことばっかりで。
ーーー絶対、なんてこの世にはないのにね。
---
空は澄んでいて青く、満開目前の桜が舞い降りる春のある日。
俺、いや俺たちは中学の卒業式を迎えた。
俺たち、と言ったのは俺のとなりに一人の女子生徒がいたからだ。
「莉久、やっと卒業式だねっ!!」
そういってはにかんで笑う彼女は佐藤莉奈。
生まれたときからずっと一緒の幼馴染みで、
ーー好きな人。
150cmぐらいの身長で彼女自身は気にしているようだが、小柄で小動物のような可愛さがある。
『いつか大人になったら、結婚しようね。』
幼稚園の頃にそう、約束はしたもののその時はそう言う類いのものは結婚しか知らなくて今も付き合っていない。
彼女も俺を好いていてくれて、俺の気持ちもきっと知ってるんだろうけど、ずっと勇気がでなかった。
だから、中学の卒業式である今日、伝えるって決めてたんだ。
「りーくーはやっ……っ!!」
俺の少し前を歩いていた莉奈のからだが傾く。
俺はとっさに莉奈の腕と腰をつかんだ。
「っ……あっぶなかった……ありがと、莉久!」
姿勢をただしてもう一度歩き出す莉奈。
いつも、おてんばな彼女は時々ああやってつまずきそうになることがある。
「まったく……そろそろ勘弁してくれよ。」
「本当に昔っからあぶなっかしいよなお前……」
半分あきれ気味に言うと頬をふくらませた莉奈。
「もー、いいじゃん莉久が助けてくれるんだからさ!!」
「よくないの。俺頼みはね。」
「もーう、いっつも隣にいるくせにっ!!」
「お前がついてきてんだろ?」
「ついてきてませーん!」
そんなことを笑って話ながら学校に向かった。
---
式が終わり、家に帰る途中。
俺はふぅ……と息をつく。
……よし、言うか……
「なあ、莉奈。」
そう声をかけると振り向く莉奈。
「なあに?莉久?」
見慣れたえくぼ。見慣れた笑顔。
俺はずっとこの笑顔をみていたいって思った。
「莉奈。……俺ずっと前から……っ!!!」
その時だった。
俺は目を見開く。
そこには……
目をうつろにして倒れる直前の莉奈がいた。
いろいろ考えぬいた言葉が消えて頭が真っ白になる。
反射的に手を伸ばして、
「……っ!!!莉奈っ……!!」
なんとか、ぎりぎりで受け止める。
彼女の小柄な体を強くゆする。
「莉奈っ……!!莉奈っ……!!」
何度呼んでも返事はない。
ーーーいつもの笑顔は返ってこない。
「莉奈っ……!!莉奈っ……!!」
本当にそれしか口からでてこない。
通りかかった人に気づかれて救急車が到着するまで俺は莉奈の名前を呼び続けた。
生まれて始めて俺の太陽が沈んだ出来事だった。
ここまで呼んでくださり、ありがとうございました。
このシリーズは「切ない恋」をイメージして書くことにしました。
主人公を男の子にしたので書いていて新鮮でたのしかったです。
次回も読んでいただけると嬉しいです!!
第二話 どうして君が、
「未来へのノート」第二話です。
莉奈が倒れて2日がたった。
莉奈はあのあとすぐ目を覚ましたが念のため検査をすることになり入院している。
検査の結果がなにもなければ今日、退院できるそうだ。
そして、俺は生まれて初めて2日間も莉奈と会っていない。
学校の日は毎日一緒に登下校していたし、休日や長期休みもどちらかの家で毎日、遊んでいた。どちらかが風邪を引いたときだってお見舞いに行き合っていたから本当に初めての出来事だった。
莉奈は暇だと寝る性格だから、きっと俺が送ったLINEも見ずに寝ているのだろう。丸一日前に送ったのに永遠に既読がつかない。
莉奈に関することが全くなかったこの2日間は2ヶ月ほどの時間があったように思える。
俺にとってこの2日間は地獄のような時間で俺はどうしようもないほど莉奈が好きなんだと改めて自覚した。
今は午後2時。莉奈が退院するのは午後3時らしいからあと一時間ほど。
俺は遠足前日の小学生かのように落ち着きなく部屋の中をぐるぐると歩き回っていた。
---
ーーピンポーン
うちのインターホンが鳴る。
きっと、退院した莉奈と莉奈の両親がお知らせに来たのだろう。
俺は一刻も早く莉奈に会いたくて、ドアを開けようと玄関に向かう母さんを追い抜いて玄関のドアを開けた。
え……?
玄関の先に莉奈は立っていなかった。
立っているのは呆然とした顔の莉奈のお父さんと、目元が真っ赤に腫れ上がった莉奈のお母さんだけだった。
は?なんでいないんだよ。莉奈のやつ。
こっちはどんだけ待ってたと思ってんだ。
想像力がない俺は莉奈は家で寝てるものだと思い込み聞いてしまった。
「莉奈はどこに?また家で寝てるんですか?」
すると、十秒間ぐらい沈黙が流れる。
その沈黙のなか口を開いたのは莉奈のお父さんだった。
「莉奈は今はいないよ。……ちょっと話しておきたいことがあるんだ。うちに来てください。」
するとうちの母さんが被せ気味に
「いや、うちにあがってくださいな。少し汚いですが早くお話を聞きたいので。」
そう言って莉奈のお父さんたちをうちに上がらせた。
---
しーん……
静まり返ったうちのリビングはなんだか異空間のようだった。
それぐらい、初めての重い空気が流れている。
「……それで、莉奈ちゃんは?」
重い雰囲気のなか口を開いたのはうちの母さん。
同時にこの場にいる全員の視線が母さんに向く。
「……実は……」
莉奈の母さんが口を開くと今度は莉奈の母さんに全員の視線が向く。
言葉を濁す莉奈の母さん。
その雰囲気だけで何かあったことはすぐに感じ取れた。
俺は、その続きに発される言葉を予想した。
嫌な予感が頭をよぎる。
絶対に外れていて欲しいけど。
「……莉奈、まだ入院しているんです。」
「……検査で、異常が見つかってしまって……」
重かった空気がさらに重く、分厚くなる。
……嘘だ……なんで、異常……?なにが……?
あんなに屈託のない笑顔で笑った姿を少し前までずっと見ていた俺は「異常」という事実が受けいられなかった。
……受け入れたくなかった。
また、口を開くのは莉奈の母さん。
「……莉奈、今のところ、病名がつかないそうなの。原因不明の重病じゃないかって……」
また、受け入れたくない、決して信じたくない事実が俺を襲う。
……いや、ここにいる全員を襲った。
違うな。
莉奈を、襲ったんだ。
何でなんで何でなんで何でなんで何でなんで何でなんで何でなんで何でなんで何でなんで何……
狂ったようにそれしかでてこない。
不治の病が君を襲い、その事実が俺を襲った、最悪の日だった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございますっ!!
切ない恋、本当に心が痛いです……
次回はもっと、心が締め付けられるような切ない設定なのでその感じをだせるように頑張ります。
次回も読んでくれると嬉しいです!