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目次
読み切り異世界転生「毒殺したら毒属性になりました」
いじめを受けていたコク。彼は毒殺をすることを決めた。
とある闇サイトで買った毒薬。コクはそれを手にした。夕焼け色に染まる自室。今日でサヨナラの自室。生まれてから17年間、高校3年生になるまでお世話になった自室。コクの居場所は、ここだけだった。父は出ていき、母は毎日のように遊びに行き、深夜に帰ってくる。学校ではそんな家庭環境でからかわれ、いじめになっていった。
「今日で・・・何もかもが・・・」
終わる。
ゴクッ
「・・・っ!」
全身に気分の悪い何かが駆け巡る。息ができない。
「ごえっ・・・カハッ!」
口に手を当てる。その手には、赤黒い液体。コクはそのまま吐血した。
「ん”ん”!!!オエ”・・・!」
毒の前に、出血多量で死ぬんじゃないかと思うほど、口から血が出てくる。
「はあっはあっ・・・んあ!!」
苦しい。けど、これで楽になる。こんな苦しみ、今までの苦しさと比べたら可愛いものだ。コクは耐えた。
「あ・・・うぅ・・・」
そしてとうとう・・・
「・・・・あ・・・・」
コクは息絶えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あらあら、この子は毒が好きみたい」
「というより、毒に好かれてるな」
2人の男女がクスクスと笑う。
「じゃあ、属性は毒ね」
「そうだな。それじゃ、あの世界に送ってあげよう」
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「ん・・・」
目が覚めると、視界には青空がいっぱいに広がっていた。
「あれ・・・俺死んだはず・・・」
「うん。死んだよ」
横で少女の声がした。
「じゃぁ、天国?」
「うーん・・・ちょっと違うけど、そんな感じ?」
コクは動じなかった。死んだなら、不思議な事があってもおかしくないと感じたからだ。
「異世界転生でもしたかな・・・」
「そうだよ」
「ん?まじで?」
「うん。私も自殺したの。そしたらここに」
「君も!?」
突然仲間だと知らさされ、コクは少し気が動転した。
「あはは。うん。そうだよ。突然声大きくなるじゃん!」
少女は可愛らしく笑った。コクは、やっと声の主の顔を見た。
水色の髪、ポニーテールにしている。大きな青いリボンをつけているのが特徴的だ。
「お、君中々にカッコイイ顔つきしてるね」
「は?」
「あ、ごめん、ずうずうしかった?」
慌てて謝る彼女に、コクは少しドキッとした。
「いや、びっくりして」
「そっか、ところで君、毒殺したんでしょ?」
「?何で分かったんだ?」
予想が命中した彼女は、にいっと笑って説明した。
「ここにくる人はね、皆自殺者なの。で、自殺方法に伴ったタイプになるんだちなみに、私は溺死したから水タイプ」
「で、俺は毒タイプだったから毒殺したって分かったわけか・・・」
「そ!」
彼女は「そうだ!」と何かを閃いた。
「ここにいると魔物がくるから、私たちの拠点に行こう!あと2人拠点にいるから」
そう言うと、少女はコクを連れて走り出した。
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「お帰り、ハク!」
「お帰り~美味しいシチュー出来てるよ~お昼にしよう」
「ただいま!あのね、新入りさんだよ!」
拠点は木製の、落ち着いた家だった。正面には壁がなく、綺麗な海を見る事ができる。
「お!毒かな?あれは。私は炎タイプのセキ!よろしく!」
「はわわ・・・新人さんだぁ・・・えっとね、雪タイプのセイだよ。よろしくね~」
「あ、よろしく・・・」
そこには、赤色長髪の元気そうな少女と、白髪ツインテールのおっとりした少女がいた。
「取り合えず、シチュー冷めちゃうから、皆で食べよう?」
「そうだね!えっと・・・」
「あ、俺コクって言います」
名前を言い忘れていたのを思い出し、さっと紹介した。
「コク君!一緒に食べよう?」
「はい!」
そのまま、色々談笑し、コクが分かったのは次のことだった。
ハク
17歳
自殺理由
親による虐待があり、嫌気がさし風呂にて溺死。
セキ
18歳
自殺理由
学校の教師による性暴力。後に学校に火を灯し、教師と共に焼死。
セイ
15歳
自殺理由
生きる意味が分からなくなり、家出。雪に埋もれて凍死。
この世界について
魔物という危険な生き物がいる。他にも敵対しない動物が数種類いたりする。
魔法の概念があり、ここの住民(今のところ4人しかいない)は皆タイプにちなんだ魔法が使える。
それ以外は普通の世界。
談笑した後、ハクが「散歩に行こう」と誘ってきた。
2人で少し歩くと、ハクが唐突に魔法を使った。
ザバァァァァァ!!!!!!!
「わぁぁぁぁぁ!?!??!?!」
目の前に、大きな波が出現した。水は下に落ち、コクたちは水浸しになった。
「うええ・・・びしょびしょ・・・」
「えへへ~どう?凄くない?」
「・・・凄いね」
ハクはご満悦だった。
「コクの魔法もみたいな!」
「え、でも、どうやったら・・・」
「出したい魔法をイメージして、出ろ!って思ってみて」
「イメージ・・・」
コクはあるものをイメージした。
「そりゃぁ!!」
ジャキン!!!!!!!
「ほえ・・・・凄い・・・」
「できた・・・!?」
地面には、毒々しい針のようなものが数本出ていた。
「君強いよ!!!凄ーい!!!!!」
「そ、そう?」
コクは褒められたのは初めてだった。自分には甘く、他人には厳しい親、息苦しい学校。こんなに幸せなのは、初めてだった。
「よし!そろそろ帰ろう!今回の散歩は私がコクの魔法を見たかったからだから。私に付き合ってくれてありがと!」
「ううん。全然。俺こそありがとう」
コクの口から、初めて感謝の言葉がでた。
「?私は何も・・・まぁいいや!帰ろう!」
「うん!」
そうして、ハク達は、これからも幸せに暮らした。
長ーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!!!
今までの小説で一番長い!!!!!!!!!
疲れた!!!!でも、リクエストしてくれたかたありがとうございます!
これからもリクエストにそって小説を書く、みたいなのしていこうと思っておりますので、皆さんご協力お願いいたします!
雨の響く世界
選んだものは「檻」と「雨」です 地下一階、私は閉じ込められていた。
「はぁ・・・」
小さなため息を漏らす。何度ついたか分からない、重たくて冷たいため息。
自分は、親から虐待を受けていた。小さなころからずっと。でも、たまに、優しい。だから、諦めきれない。実は親は操られていて、自分を虐待するのは本望ではないのではないか。そんなあり得ないことを、ずっと考える。地下に設置された檻。それが自分の居場所。地下にあるものの、外の音もまぁまぁ聞こえる。ずっとここから出ていないから、明確には分からないが、最近ずっと雨の音が聞こえるので、たぶん梅雨。サァァァァァ・・・と、綺麗な雨音が、自分の檻に響く。ここは自分の世界であり、全てであった。
自分の世界に、雨が響く。
虐待ですさんだ心が、落ち着いていく。
サァァァァァ・・・
今日は小雨なので、雨音が軽快に響いている。
カァカァと、カラスの鳴き声が聞こえてきた。
あぁ、今日も、この時間が来た。
カン、カン、カンと、鉄で出来た階段を下りる音がする。親が来た。
「あぁ、まだ生きてたの?」
「ごめんなさい」
「汚らしい・・・とっとと消えてよ」
「ごめんなさい・・・」
「邪魔なのよ!!」
ゲシッ!
みぞおちを蹴られる。痛い。痛い。
「うっ・・・」
「あんたが死ねば!私は!この・・・!!」
「ごめんなさい・・・!」
親が動き回ったせいで、辺りに濃い香水の匂いが漂う。自分が世界で一番嫌いな匂い。
「さっさと飯食べてくたばって!こんな娘産まなきゃよかった!!」
ベチッ!
食べ物を投げつけて、親は消えた。食べ物を与えてくれるのは、優しさからではない。自分が死んだとき、痩せていると、虐待がばれる可能性があるからだ。だが、毎日蹴って、殴ってした痣が、身体中にまとわりついているから、意味はない気がする。そんなところが、親は本当に馬鹿なんだな、と改めて実感できる。
苦しいけど、いつかは終わる。
そう思って、今日をしのいで、眠りについた。
---
朝が来た。来てしまった。
ザァァァァァ・・・
今日は大雨のようだ。小雨の軽快な音と比べて、重たくて、ずっしりした雰囲気。どちらも自分の好きな音。
晴れより雨が好きだった。だって、晴れていても檻の中では何も分からないから。それに比べて雨は、檻の中にいても雨だって分かる。
それに、
雨の音は、
大嫌いな今日を、紛らわしてくれるから。
今日も昨日と同じ。明日も今日と同じ。自分の人生は、同じことを繰り返して、いつか朽ちていく。
これまでも、今からも。ずっと。
でも、それ以外道はないから、それでいい。
自分の人生はこうなのだ。小さい頃は、何で、とか、愛してほしいとか思っていた。でももう、そんな望みは、想いはない。もう諦めた。
自分は、自分の人生と共に歩いていく。
雨が、降っている間は、生きていける。
そんな気がした。
明日も、雨が降るといいな。
自分の世界に、
明日も、雨が降るといいな。
なんかふわっとした感じで終わりました。まぁ、この後の展開は皆さんのご想像にお任せします、みたいな感じです。今回の小説は、みはなださん、ぺんぎんさんの企画の小説です!楽しんでいただけたでしょうか?少しでも面白いと思ってくれたら幸いです!それではまた別の小説で~!
紅い花
さよならの時、紅い花が咲いた。
ヒュゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・
風の音が、いつもより大きく聞こえる。
冷たい風が、頬を伝う。
あ、違う、風じゃない。
涙だ。まだ、流せる涙があったのか。少し自分に驚いた。
フェンスの外。風に揺らされたフェンスが、キシキシと音を立てる。その音も、心地よい。そりゃあそうだ。今から、
解放されるのだから。
---
「クスクス・・・」
「ねぇねぇ・・・」
ああ、うるさいなぁ。
「キャハハハ!」
「なに突っ立ってんの~?」
こっちも、うるさい。
馬鹿みたいに騒いで、自分の馬鹿さを世にまき散らして。
何がしたいの?
「アハハ!早く座れば?」
うるさい。言われなくても座るし。
でも、きっと彼女達が言いたいのはそうじゃない。
きっと、僕の机の落書きになにか反応して欲しいんだ。彼女達は、他人の不幸を糧にして、生活しているから。人が悲しむのを見て、楽しむ人種だから。
「はい、おはよう」
先生が入ってきた。でも、先生はまるで見えてないかのように机の落書きを無視する。きっと、関わりたくないんだ。いじめなんて、めんどくさいだろうから。それとも、本当に見えていないのかな?
「クスクス・・・」
「はい静かに。えー今日は・・・」
あぁ、辛い。いや、辛いのか?なんだか、分からなくなってくる。
その日の授業は、よく分からなかった。
昔、小学校の道徳の時間で、いじめの話があった。
「皆さんは、人が嫌がることをしてはいけません」
先生はそう言った。
「はいせんせー!」
「どうしました?」
「嫌な事されてる人がいたらどうするんですか?」
先生は微笑んだ。
「その時は、その子に優しく話しかけてあげてくださいね」
その時は真面目に、話を聞いて、そうしようと思った。でも、大人になるにつれて、そんなことをする奴は、優しい馬鹿か、英雄になりたい馬鹿のどちらかなのを知る。
---
放課後。彼女達に呼ばれた。
「あ、来た」
「アハハ、いつもだけど、気持ち悪い顔~!」
あぁ、うるさいなぁ。
そんなことを考えていたら、みぞおちを蹴られた。
「睨むなよ。何様のつもり?」
また蹴られる。僕は地面に倒れた。
「ねぇ、まだ学校に来るの?醜いからさ、不登校にでもなってくれない?」
「ほんとだよ。邪魔」
頭も、顔も、腕も、腹も、足も、何もかも、泥だらけの靴で、蹴られ、踏みにじられる。
「・・・」
「何で黙ってんのー?まぁ、喋ってもキモイけどw」
「あーもー、早く死なないかなー」
「アハハ。言うじゃんw」
会話を聞くのも拷問だ。自分とは全く思考回路が違う、この会話。頭の悪い、知性なんて全く感じないこの会話。
もう、やだな。
---
「ただいま」
「あら、ゆずる、帰ってたの・・・あのね、お母さん、話したい事があるの」
「ゆずるなら、聞いてくれるよね?」
「・・・うん」
家に帰ると、母が薄暗いリビングで、虚ろな目をしていた。
今日もまた、これか。
「ねぇ、何でお父さんは私と結婚したのかな。何でかな」
「・・・」
「答えてよ。ねぇ!」
バチンッ!
・・・痛い。頬がヒリヒリする。
「分かりません・・・」
「はぁ?」
母の顔が歪む。リビングのテーブルに対になって座っていた母は、少しずつ僕ににじり寄ってきた。
「何で分からないの」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
「何で」
繰り返し、そう言う。
バチンッ!
また、叩かれる。
「私は、あんたをそんな馬鹿な子に育てた覚えないわよ!!!」
髪を掴まれた。痛い。引っ張らないで。お願い。
「やっぱり、あんたもあの人と同じなのね。馬鹿な男。最低な男。そりゃそうよ。あの人と同じ血が入ってるんだもの・・・」
母が包丁を持った。カシャリ、と音を立てる。
「何で・・・」
母は泣き出した。
「何で私を捨てたの・・・!?」
「ねぇ!!!!!」
母が怒鳴る。耳が痛い。そんなの、僕は父じゃないから知らないよ・・・
「あんたなんて・・・」
母が壊れた。いや、前から壊れてるか。
「どっか行け!!!!」
母は包丁を振り回す。僕は、家から逃げ出した。
学校に入る。部活などがあるので、学校は開いている。
屋上に駆け上がる。
屋上のドアを開ける。
そこには・・・
「え・・・?」
少女がいた。名前も、顔も知らない・・・あれ、でも、どこかで・・・
「|草薙《くさなぎ》さん・・・?」
「え、あ、えっと・・・」
名前を知られてる・・・?
「あ、ごめんね、私、同じクラスの田所です・・・」
「あー、そういえば、いたような・・・後ろで、見てた人?」
その時、彼女の顔が少し青ざめた。
「ご、ごめんなさい!その、助けられなくて・・・」
そんなつもりで言った訳ではないが、彼女にとっては、僕が恨んでるように聞こえたらしい。少し申し訳ない。
「ううん。それより、何で屋上にいるの?」
「あ、それは・・・」
彼女は少しうつむいた。
「死のうと思って・・・」
「!!」
同じだ。そう思った。
「僕もだよ」
「え!?」
これ以上は言わなかった。言わなくても、きっと伝わる。
「・・・そっか」
「うん」
「じゃあ、もう私、死ぬね!もう、あんな息苦しいクラス、いたくないし!」
彼女は笑って、フェンスをくぐった。そして、
「・・・あ」
彼女の姿は、見えなくなった。
---
僕は、フェンスをくぐった。
浅く深呼吸をする。
さぁ、今、解放されよう。
ヤナギです。今回なんとなく書きました。てきとーに自殺といじめの話作りたいなーって思って書きました~。読んでくれると幸いです~!ちなみに明日農泊~(現在6月13日)
夏の夜
今夜出ていく事を決めた、少年と少女のひと夏の話。 前川 一夏(まえかわ いちか)ー少女 相葉 一夜(あいば いちや)ー少年
プルルルル・・・
電話をかける。何度かけただろう。今夜のうちに、これほど連続でかけることなどなかった。
早く、早くでてよ・・・
「もしもし?」
あ!
「もしもし一夜!?お願い、聞いて」
「一夏?ど、どうした?」
「その・・・」
「今日、出ていかない?」
「へ?」
「家出したいの」
一夏は、か弱い声でそう伝えた。
「今日、また親に叩かれた。このままこの家に居たら・・・私・・・いつか死ぬ」
一夏は自室のクローゼットの中で、うずくまっていた。
「一夏はそれでいいの・・・?」
「うん。早く出ないと・・・まだ親が私を探してる・・・『殺す』って聞こえた・・・!」
一夏は泣きながら一夜に現状を伝えた。
「・・・分かった。今夜中に家を出よう」
2人は、蛙の鳴く夜、家を出る事を決めた。
---
親のいる一階に降りるのは危険なので、二階の窓から家を出た。家の前には、一夜がいた。
「一夏!無事でよかった・・・」
「うん、なんとかね」
一夜は一夏と手を繋ぐと、走り出した。何処へでもない。はるか遠い何処かへ。
「あ!一夜!」
一夏が声を上げた。一夜は立ち止って一夏の方を見る。
「どうした?」
「あれ・・・花火?」
2人の見上げる空には、いくつもの花火が上がっていた。大きな音が鳴り響いていたのに、今の今まで気づかなかった。それほど必死に走っていたのだ。
全てを飲み込みそうな闇の空に、色鮮やかな花火が打ちあがる。2人は立ち尽くして、それを見つめていた。
「私・・・花火になりたかったなぁ」
「・・・どうして?」
一夏は笑って答えた。
「あんなに綺麗に散っていくんだもの!」
それは、一夏の願いでもあった。
「最後くらい、あんな風に綺麗でいたいなぁ」
「・・・そろそろ行こうか」
「だね」
2人は、花火の灯りに照らされて、夜道を歩いた。
---
2人が行きついた先は、小さな砂浜だった。小さくとも、昼間は海水浴をしに来た人々で賑わう。
「海、綺麗だね」
「うん・・・、2人で、ここで遊んだの、覚えてる?」
「覚えてる。一夜、溺れそうになったもんね~」
「っ!!・・・それは忘れてよ・・・」
2人は笑い合った。幸せを、噛み締めるように。
「そういえば、あれ以降、まともに2人で遊んでないね」
「そうだったね・・・。最近は・・・家から出る事さえ難しかったから」
「ほんと、親なんていなければいいのに」
一夏は唇を噛んだ。親への憎しみ、怒りを込めて。
「でも、それも今日叶うよ。親は、僕らから離れる」
「そう、だよね!やっと今日・・・解放されるんだ!」
2人は海に向かって歩き出した。
少しずつ、波打ち際へ
少しずつ、海へ
少しずつ、足の付かない所へ
少しずつ、海の底へ
ゴポッ
2人は沈んでいく。
真っ暗な海へ
幸せの海へ
2人だけの世界へ
死は、時に幸せにもなりうる。
七夕祭りと願い事
星田 奈那華・・・願い事を抱える高校生。人生に価値を見出せない。
--- ねぇ、あなたは幸せ・・・? ---
そんな声が聞こえて来た。
「今日は七夕祭りか・・・」
7月7日の朝、そんな独り言を呟いた。
大きな背伸びをして、部屋のカーテンを開ける。眩しい朝日が顔に当たる。
段々と、眠気が去っていった。
---
学校。いつもと変わらない風景。
誰とも目が合わない。
ただ一人、目が合ったのは、いつものあの子。
「あは、今日も来たんだ。星田サン?」
「・・・」
金色の、束ねた髪を揺らしながらほほ笑む彼女は、山田さん。スクールカースト最上位のギャル。
「はぁ?無視~?」
うるさいなぁ・・・。
「そんなんなら、机に暴言書いてもいいけど?」
こんなの、いじめだ。
「まぁ、しないけど」
でも、誰も認めてはくれない。
だって、彼女は賢いんだもん。
こうやって、証拠の残らないいじめを淡々と続けるだけ。直接的ないじめはしてこない。
いっそ、身体中に傷をつけてくれればいいのに・・・。
---
それからも、見えないところで何度も何度も、腐った言葉を吐き捨てられて。
まるで私は、ゴミ箱だ。そうなんだろ?前世ゴミ箱だったのかな。
そんな面白くもない冗談を言って、今日を笑い飛ばす。
あぁもう、私ってなんなんだろう。
でも、悲劇のヒロインみたいに、最悪な環境ってわけじゃないんだよね。だから、それが余計に辛い。
「そういえば、今日は七夕祭り・・・」
祭りは一人で行くものじゃないよね。そう思いながらも、夜出かける為に、課題を急いで終わらせようとしている自分がいた。
---
ドン、ドン、ドコドン・・・
ガヤガヤ ザワザワ・・・
太鼓のビートに、人の声、屋台の客引きの大声。
祭りには、たくさんの音で溢れていた。
夜空に、いろんな色の灯りがきらめいて。
「すごい・・・」
最近見たものは全部、白黒のようだった。色は識別できるけど。
でも、祭りの色は、鮮やかで、美しくて。
「久しぶりに、《《色》》が分かる。綺麗って、分かる!」
あぁ、楽しい。ずっと、この場所で、この時間でいたい。
何も考えず、ずっとこのままでいたい。
日常に、戻りたくないな。
この時間が続くなら、なにを代償にしてでも、欲しい。
魂でも、なんでもあげる。
そんな叶わない夢をほざきながら、大きな竹の下へ向かった。
---
竹の下には、たくさんの子供、色とりどりの短冊があった。
「わ・・・、綺麗」
竹の葉の隙間から垣間見える月明かりは、毎日の辛さを忘れさせるように、優しく奈那華を照らした。
「短冊・・・、書こうかな」
奈那華は手元にあった、自由に使用できる短冊を手に取った。
「紫・・・」
なんとなく、紫を選び、願い事を考えた。
「私の、願い事・・・」
「・・・これ、かな」
そっと短冊を竹の葉に付ける。下の方は、子供がたくさん付けていたので、背伸びして、なるべく高い位置に結んだ。
「お願いなににしたー?」
「新しいお人形!」
「いいね!私はゲーム!」
「あーっ!それも欲しい!」
子供が2人、笑い合って駆けていく。その先には大人たち。皆笑っている。
「楽しそう」
そう呟き、奈那華は家に帰った。
---
次の日。
「う・・・ん」
奈那華は大きく背伸びした。
「今日は・・・いや、今日も・・・」
--- 7月7日 ---
「えへへ。ちゃんと願い事が叶った」
その日、辛い学校をしのんだ奈那華は、出かける準備をした。
---
ドン、ドコドン
太鼓の音。奈那華は真っ先に竹へ向かった。
「あった」
竹の、少し高い場所。
「私の、短冊」
紫の、綺麗な短冊。
「叶った!」
奈那華は笑った。
「毎日、ここに遊びにこれる!」
奈那華はもっと笑った。
奈那華は、幸せになった。
奈那華の短冊には、
「7月7日に、ずっといたい 星田奈那華」
そう書かれていた。
というわけで、7月7日にちなんだお話でした!太陽さん達は、願い事ありますか?心の底から思っているもの、これが欲しい!みたいなもの、なんでもいいのでファンレターにでも書いてみてください! 奈那華ちゃんは、これで幸せなのかな? なんて。それではまたにぇ~!
大好きな君
私の昔のネッ友、蓮君へ
蓮君。今はどうしてるかな。楽しくやってる?
私はもうあの日の事から立ち直ったよ。
蓮君がいなくなったあの日、私は静かに泣きました。
それくらい、私は蓮君の事大好きだった。
私はギルドマスターとして上手くやれてたかな?
今もギルドは賑やかです。まぁ、私が少し低浮上になっちゃったけど・・・。
最近小説を頑張って書いてるんだよ。
蓮君も、何か趣味とかあったのかな。
蓮君のガン、手術すれば治ったのかな。
治ったかもしれないのに、その前に死んじゃうなんて、蓮君は少しお馬鹿さんだね。
まぁ、蓮君が死んだのは、それだけじゃなかったけど。
性同一性障害。
私はその苦しさ、分かってるつもりだよ。
どれだけでも、力になるのに。あんなギリギリで言って。いうだけ言って行っちゃうなんて、自分勝手だね。
でも、怒ってないよ。私に打ち明けてくれたこと、凄く嬉しい。
あの時は、上手く言えなかったけど、
私は、君の事、大事に思っているよ。
私は、君の力になりたいと、本気で思っていたよ。
さようなら。蓮君に幸せあれ。👩❤️👩
友達交換
あぁ、何度も何度も変えて。
私にはやんちゃな友達がいた。
《《いる》》じゃなくて《《いた》》。
そう、今はいない。
殺されたから。
いや、消された、の方が正しいか。
この事実を知っているのは、私と、あの人だけ。
---
やんちゃな友達、|穂香《ほのか》。
最初は人生で一番の友達だと思ってた。
だけど、
「|早紀《さき》ってさぁ~、結構頭悪いよね~」
「え?」
「だって、普通の人が分かるようなこと、分かってないじゃん?」
きっと彼女は、無邪気に言ったんだろう。でもそれは、ただの演技だった。
本当はテストの点だって穂香よりよかった。なのに馬鹿にされた。
放課後、重たいモヤモヤを持って帰っていた。
その時だった。
住宅地の中に、風変りなお洒落な店があった。
西洋風の小窓や飾り。早紀はそれにとても惹かれた。
それには、見た目の他にもう一つ、理由があった。
その店には大きな看板が付いていた。そこには、
『友達交換屋~友達、交換します~』
「友達を、交換・・・?」
丁度いい、早紀はそう思ってしまった。
「入ってみよう・・・」
その時お金は持っていなかったが、取り合えず入ってみる事にした。
「おや、いらっしゃいませ、お客様」
そこには、少し胡散臭い喋り方をする青年がいた。
薄茶色の髪を下の方で短く結んでいる青年の顔は整っており、親しみやすい印象を与えた。
「ここに来たということは、交換したい友達がいるという事ですね?」
青年は微笑んだ。
「は、はい。でも、お金を持ってなくて・・・」
「あぁ、大丈夫ですよ。ここはお金はいりませんから」
早紀は驚いた。
「いらない!?じゃあどうやってお店を経営してるんですか?」
「あ、そうですね、一度ここについてお話しておきましょう」
ここは「友達交換屋」。
苦手なお友達を交換出来るところです。
嫌いなお友達を交換したい場合、当店のメニューの中から新しいお友達の性格を選んでください。
そうすると、頼んだ直後に、お友達が変わります。
あなたと当店スタッフ以外の記憶や出来事は改変されます。
次に、お代についてです。
当店は通貨を全く必要としません。
その代わり、前のお友達を受け取ります。
そう、新しいお友達と前のお友達を《《交換》》するのです。
以上で説明を終わります。
「なるほど・・・お金の代わりに友達を・・・」
「ええ。当店はそれで運営しております。お金については別の方法で稼いでいるので」
「メニューから選ぶんですね」
そう言うと、青年は「こちらでございます」と言いながらメニューを早紀に渡した。
早紀は数ページあるメニューをペラペラとめくった。
その中に、一つ気になるものがあった。
・川本 メイ(オタク気質の12歳女)
「オタク・・・?」
早紀もだいぶオタクだった。これなら気が合うんじゃないか。そう思い、それを指名した。
「じゃあ、これで・・・」
「かしこまりました。もう交換いたしましたので、これからは友達のように接してくださいね」
青年は薄く笑った。
「もう、変わったんですね・・・」
「はい。もう一度メニューをご覧ください」
早紀は言われるがままにメニューを見た。すると。
・三萩野 穂香(やんちゃな12歳女)
「穂香だ・・・!」
そこには、しっかりと穂香と書かれていた。
「変わっているでしょう?これで交換が終わったんです」
「なるほど・・・」
その後、早紀は青年に見送られながら帰った。帰り際、
「またお友達が悪かったら、当店に来てくださいね」
と言われた。
---
あれから数週間後。早紀は新しい友達、メイと話していた。
「そーそー、早紀が教えてくれた〇〇くん?あれねー私もハマったの!」
「ほんと!?いいよね~」
「うん。でもさ、私結構同担拒否でさ~、目の前で語らないでくれる?」
「へっ?」
「確かに推してる歴は少ないけど~、一番愛してるのは私だと思うんだ~。キーボードもイメージカラーに変えたし?早紀はそんな事してないよね?」
「え・・・」
これにはだいぶカチンときたが、早紀は気にしないことにした。
次の日。
「ねぇねぇ、この子なんだけどさ~、凄い好きなんだよね!」
「えっマジで!?私も好きなんだけど!」
「えっ、ほんと!?歴どのくらい!?」
早紀は共通の推しが見つかり、大興奮で質問した。
「どのくらいだっけ。早紀は?」
「私は3年!結構初期から推してるの!」
「へぇ~あ、でも、私4年半くらいだった気がするよ~」
最初はただ単に尊敬した。自分でさえ古参なのに、4年半というと、デビュー直後なのだ。
「あ!っていうか、そろそろ例のイベントじゃん!」
「え?イベントって何?」
「え?ほら、活動から2年のアニバーサリーライブで今年の夏イベントするって・・・」
「あ、あー!それね!ちょっと、忘れてて~あはは」
早紀は違和感を覚えた。4年以上も推しているのなら、当たり前に分かるはずなのだ。
そして早紀は気づいた。
歴盛りに
「・・・ねぇメイ。今日の放課後先に帰っていい?」
「え?いいけど・・・用事?」
早紀は企んだ。
--- 「うん」 ---
「おや、また来たんですね。いえいえ、大歓迎ですよ」
懐かしい声が店内に響いた。
2回目は優しい子。でもダメだった。
3回目はかっこいい子。それもダメ。
4回目は強い子。全然ダメ。
・
・
・
・
23回目は、勇気のある子。
いじめを注意したせいでいじめを悪化させました。
24回目は馬鹿な子。
一緒にいるのが苦痛でした。
「もう、やだ・・・」
早紀は苦痛に溺れた。
「何で・・・」
周りから見ると、自業自得。でも早紀は気づけなかった。
そのまま、早紀はずっと友達を交換し続けた。
その回数は100回を超えた。
中学生になった。
別の小学校の出身の友達が出来た。
その子も交換した。
その回数は150回を超えた。
高校生になった。
全く無縁だった人が友達になった。
その子も交換した。
その回数は300回を超えた。
大人になった。
職場で友達が出来た。
その人も交換した。
その回数は500を超えた。
一生交換した。
青年は、
静かに見守った。
理想の友達を追い求めた結果です。
マホロアのその後
カービィに倒された後のマホロアの話(リクエストだったんですが、ルルちゃんをあんまり知らなかったので、マホロアだけとなりました。すみません・・・)
「う・・・」
ここは何処だろう。
あの時、カービィに倒されて・・・、
王冠は消えて・・・?
そうか、自分は、
「ボク、負けタんダ・・・」
これからどうしようか。
「あレ?遠クにイエが・・・」
空き家かもしれない。とにかく、倒れていた草原を、歩くことにした。
遠くにあった家は、空き家だった。
だいぶ廃れていて、ボロボロだったが、なにか懐かしいものを感じた。
「昔、住ンでタ家に似てルナ・・・」
マホロアがローアを入手する前は、貧乏で、こんな風なボロボロの家に住んでいた。
「懐かしイ・・・」
マホロアは過去の記憶に思いをはせた。
目を閉じて、過去の事を思い出す。
最初はただの憧れだった。
ハルカンドラの王冠。
ランディアの王冠。
だが、それは徐々に欲望へと変わっていった。
どうしても、どうしてもあれが欲しい。
--- あれがないと ---
そうして、それを行動に移した。
朝から晩まで働いて、ローアを作り上げた。
己を鍛えた。
そして、ランディアに挑んだ。
ただ、ランディアの強さは以上だった。
そこで、カービィを利用することを考えた。
ただ、
カービィは最強であり、勝てるものはいなかった。
「もウ、挑むのハ・・・」
マホロアはその強さを目の当たりにして、流石に諦めがついた。自分の強さは、底辺だったのだ。
「これカラ、どうしようカ・・・」
古い空き家の中で、マホロアは今後を考えた。
その時だった。
「マホロア?」
「エッ・・・?」
「あーっ!やっぱりマホロアだ!」
「キミハ・・・マルク!?」
そこには、昔の友達、マルクがいた。
「えへへ!久しぶりなのサ!」
「わァ・・・!ホント!久しぶリ!」
2人は笑い合った。
「キミのしたこと、カービィから聞いたのサ!凄いことしたの!」
「ウン・・・流石ニ反省したヨ・・・」
その後も、2人で多くの事を語り合った。
「ア・・・もウ夜だネ・・・」
「そうだ、僕の家に泊まればいいのサ!」
「エ?いいノ?」
マルクは大きな目を輝かせて笑った。
「どうせ家ないんでしょ?なら2人で暮らすのサ!」
「・・・ウン!」
---
それから数日後。
「マホロア~晩御飯なのサ!」
「わァ!ジェムリンゴのパイだ!ボクこレ大好キ!」
それからも、2人は毎日健やかに過ごしていった。
マホロアも、王冠の事、自分の敗北の事を段々と忘れていった。
マホロアは幸せだった。
なんかふわっと終わってしまいすみません・・・。ただ、マルクをどうしても出したかったんです・・・。楽しんでいただけたら嬉しいです。
生きる
世界が嫌いだ。
生きるって辛いな。
そう思いだしたのは中学3年生の頃だった。
「高校はどうするの!?」
「勉強しなさい!」
そんな親の言葉。
「優華、絶対一緒の高校にしようね!」
「優華~!愚痴聞いて~?」
そんな友達の言葉。
全てに嫌気がさした。生きるのに息苦しさを感じた。世界なんて、終わりを迎えれば、何もなくなればいいのに。そんな事を思った。
SNSのアカウントで、他の人の呟きを読んだ。
長文で世界の詰まらなさを綴っている人、短く親の愚痴を言っている人。大勢の人が世界に不満を持っていた。
その中には(というよりほぼ全員が)可哀想な環境だったり、酷い人間関係だったりした。
---
自分は、人間関係も良好。親も私の事を思って厳しくも優しく接してくれる。
それなのに、私はすぐに辛いとか、嫌だとか、そういう事ばっかり言って、ネガティブ思考になって、泣いたり、苦しんだりしている。
私は人並みには幸せなのだ。
なのに、世界が終われば、とか、死にたい、とかとほざく。
自分は、我儘だ。傲慢だ。そう思って、さらにネガティブになって。
負のループ。
その言葉が、私にはお似合いだった。
なぜこんなに辛いのか、2時間も3時間も考えた。でも、それと言った物はなく、諦める。
ちょっとでもネガティブ思考から離れようと、自分は幸せだと、そう思うことにした。
でも、そう思い込もうとすればするほど、心が締め付けられ、辛くなった。
何度も何度も、解決しようと頑張った。
でも、それは上手くいかなかった。
残る対処法はただ一つだった。
この手で、苦しみを終わらせる事。
それ以外に、もう手はなかった。怖かった。ずっと、死ぬのが怖くて、だから、これを後回しにした。最後の砦だった。
でも、これには欠点があった。
私に勇気がない事。
実行できないのだ。
何度も、この手を考えた。でも、中々実行は出来なくて。
それがまた苦しかった。
打開策はないか、何度も調べた。
そして見つけた。
『死にたいけど、勇気がない人、いませんか』
そう書いているサイト。私は様子見がてらそっと開いた。
そこは、たくさんの人が書き込んだ、死ぬのが怖い人に向けての、アドバイスで溢れていた。
私は、それを一つずつ読んでいった。
それはランキングになっていて、2位から読んでいった。
次は3位、次に4位。
20位くらいまで読んだ辺りで、1位を読むことにした。
1位のタイトルは、こうだった。
『何もないけど、死にたい人へ』
私にぴったりだと思った。
特に悩み事もない。ただ、少しだけ、受験で悩んでるだけの、一般中学生。
普通の人と変わりないのに、死にたいとか言ってる、メンタル豆腐な、ダメ人間。
それを読んだ。その人は、私より恵まれていた。
その人は、友達にも愛されていた。
親にも、愛されていた。
先生からの評判も良くて、頭もよかった。その人には大学受験があったが、それも難なく合格できると、親からも先生からも言われた。
もちろん、本人もそう思っていた。ただ、一つ思ったのだ。
自分の人生って、なんなんだろう、と。
それを見た私は、なにかを感じた。
そうだ、自分も同じなのだ。
自分が、なぜこんなに苦しいのか、ようやく分かった気がした。
そう思うと、急に死ぬのが怖くなくなった気がした。
逆に、この世界に恐怖を覚えた。
死は、怖くないんだ。
そう思った時には、自室のベランダにいた。
家はマンションで、自分の家は7階にあった。マンションの最上階である自分の家。これだ。ここが、この場所が、ずっと追い求めていた所なのだ、そう思った。
柵に足を掛けた。
思いっきり、柵を蹴った。
私は、幸せになれる。
水みたいに
水のように生きていたい
私の人生は、散々だった。
父の転勤が多く、学校を転々とした。
その中のどの学校でもなじめなくて。
いじめられた。
頭もさほど良くなかった。
親の愛情も、妹に注がれた。
私の人生は、土みたいだ。
人の足場になるだけ。
そして、土が、私がいないと生きていけないくせして、服に着いたら「汚い」と洗われて。
利用するだけ利用して。
あぁ、水に、なりたかった。
水は土と同じで人生に必要不可欠で、それでもって、土みたいに利用されない。
そりゃあ、雨が嫌いな人はいるだろう。
でも、考えてもみれば、水と土、どちらが好きかと聞かれて、土と答える人はそうそういないだろう。
それだけ水は皆に愛されている。
水は何にでもなれる。
固体にも、
液体にも、
気体にも、なれる。
水はどこにでも行ける。
海にも、
陸にも、
空にも、行ける。
私と、真逆で、憧れの、存在。
---
ある日、近くの、綺麗な川に行った。
数人の人が、遊んでいる。
気持ちよさそうに、泳いでいる。
もう少し奥の、誰もいない、深い所へ行った。
靴を脱いで、足を水に付けた。ヒヤリとしていて、気持ちいい。
少しずつ、奥へ、奥へ。
数歩進んだ時、足が陸につかなくなった。
水に潜った。
このまま、水と一体化できればな・・・
そんな事を考えていたら、息が苦しくなった。
でも、上がりたくなかった。
このまま水と一緒にいられたら、水になれる気がした。
翌日、私は川の底にいた。
・・・あとがきに書くことないわ!
何となく、水っていーなーって感じで書いたからふわふわしてるわ。
世界の歌姫、初音ミク
ミクちゃん。今までたくさんの楽しい歌をありがとう。
そしてこれからも、いっぱい歌って、いっぱい笑って生きてください!
8月31日、発売14周年より・・・💙Ⓜ💠
3️⃣9️⃣チャンすし!!!!
♪・・・
♪♫・・・
美しいメロディーが音楽室に響く。
「やっぱり、初音さん、あなたの歌は素敵ね」
「あれ?先生」
ミクが音楽室で歌っていると、音楽の先生がやってきた。
「あなた、きっと有名な歌手になれるわよ?目指したら?」
「歌手・・・」
「ええ。似合っていると思うわ」
そう言われたミクは、嬉しそうに笑った。
---
それから数年。
ネット世界で一つの商品が話題を呼んでいた。
ボーカロイド・初音ミク
世界的に大ヒットした歌姫、初音ミク。
彼女の声は、若い年代の人々の心の支えになった。
たくさんの人の心の支えになり、本人も幸せになった。
人に自分の声が届くたび、彼女は幸せに満たされ、もっと声を響かせた。
これからも何十年、何百年と、「初音ミク」は愛された。
短いですし、なんか変な終わり方ですね・・・😅
ごめんなさい!!!!ネタがないんですよ!しょうがないんです!
そして・・・ミクちゃん14周年おめでとう!
これからも素敵なお声を聞かせてね!^^
マスターと仲良くね!
紅い月の下、紅い思い
リクエストありがとうございます!!!!!!
現世よりもっと深い、誰も知らない世界があった。
--- 吸血鬼の国・ヴァイパー。 ---
「ねぇ、ヴァルン」
「何ですか、お嬢様」
「・・・もう。その呼び方嫌っていったでしょ!名前で呼んでよ。ヌヴァルって」
「・・・じゃあ、ヌヴァルお嬢様は?」
「お嬢様は嫌!」
「だけど、僕は執事。貴方はこの町のお姫様だ。執事が雇い主の身内を名前だけでは呼べません」
執事であるヴァルンは、困り果てた。
「私堅苦しいのは嫌いなの!ねぇ、もしお父様に怒られたら私が弁明するから!」
ヴァイパーにある、この町の持ち主、良家のお嬢様であるヌヴァルは、不服そうに頬を膨らませた。
「弁明する前に、僕が首を切られますよ。物理的に」
「・・・血は好きだけど、血まみれのヴァルンは見たくない・・・」
「でしょう?なら、我慢してください」
「はぁい・・・」
---
ある日2人は、屋上にいた。
通常は、ヌヴァルは危ない所に行ってはいけない決まりなのだが、2人は父親の目をかいくぐり、よく屋根に登っていた。
今日は9月の15夜。日本でいう月見の日だった。
地下の月は現世の月とリンクしており、地下の月もいつも以上に輝いていた。
「ねぇ、ヴァルン。なんで私達の世界の月は黄色じゃなくて紅いと思う?」
「・・・僕らが住む世界の月は、偽物だから。地理の勉強で習ったでしょう」
「もう!ロマンがないわね!」
昔は、吸血鬼も地上で暮らしていた。しかし、人間との闘いに敗れ、吸血鬼は地下に追いやられたのだ。しかし、吸血鬼は月をとても愛していた。
なので、《《地下に偽の月を作った》》。
「確かにそうだけど・・・でも、もしかしたらあの中にはとっても美味しい血がいっぱいあるとしたら?」
「・・・ファンタジーな思考回路ですね。それでよくテストで満点とれますね」
「うるさい!ファンタジーでいいじゃない!テストの点に影響はないのだから!」
ヌヴァルはそっぽを向いたが、ヴァルンは知らんぷりしていた。
「・・・ヴァルン」
「なんです?」
「月が綺麗ですね」
「・・・突然なに言い出すんですか」
「・・・あんたは夏目漱石知らないのね」
「・・・知ってますよ。ニホンって所の作家でしょ?」
ヌヴァルは呆れた。でも、ヌヴァルの心には熱い決意が生まれた。
この恋に、いつか絶対気づかせてやる。と。
というわけで、リクエストいただいたので書きました!これ実は私が小学生の時に思いついた奴をリメイクした奴なんですよ!
最初お題を見た時、「あ、あの子たちを使おう!」って思って。それで今回このようなお話になりました!
楽しんでくれたら嬉しいです!
そしてリクエストありがとうございます!
殺し屋ハクの人生
リクエストありがとう!
カツ、カツ、カツ・・・
薄暗い裏路地に、革靴の足音が響く。
男の手には、小型のナイフ。
男が進む先には、スーツ姿の怯える人間がいた。
「た、頼む!見逃してくれ!」
そう言う人間だったが、男は動じない。
「そ、そうだ!金・・・金ならある!どうだ?好きなだけやるよ!」
「・・・・・しが」
男がなにかを呟いた。
「へ・・・?」
「汚い虫が」
「あ・・・ぁあ・・・」
グシャ。
「・・・依頼完了」
そう独り言を言う男のナイフは、赤い液体がべっとりと付いていた。
---
「あら、ハクちゃん!もうお仕事終わり?」
「はい。無事依頼完了しました」
「流石ぁ♡カッコイイ~!」
男・・・ハクに話しかけたのは、この裏社会の《《仕事人グループ》》のリーダー、アンナだった。
「じゃあ、依頼人からお駄賃貰ってね!そしたらもう休みなさい♡」
「はい。お疲れ様です」
「お疲れ~」
アンナと別れると、ハクはこのビルの中にある自室へ向かった。
「ふぅ・・・」
ハクの人生は、殺しだけだった。
特に趣味もなく、特技も殺しだけ。好きな物、嫌いな物など存在しない。
ただ、殺した。殺していた。ずっとずっとずっと。
生きるために。
別に死んでもいい。だけど、なんとなく、生きられるのなら生きておこう、そう思った。
親の顔は知らない。捨てられた。捨てられてからは、裏社会にある孤児院にいた。他の子供たちは、泣いていたり、笑っていたりして。
でも、ハクには何もない。なんの感情もない。褒められても、「ウレシイ」という感情はなく、嫌悪もなく、何も感じなかった。
「ウレシイって、なんだろ」
ハクはそう呟いて眠った。
眠くはない。でも、寝ないと明日の仕事に響くからだ。
---
ハクの働く会社には、ランキングがあった。殺した人数でランキングが決まる。一位には、多めに収入が入る。だが、ハクには寝床もある。会社の無料の食堂もあるので、買うものは服程度。服は普通の収入で十分買えるので、別に一位でいる理由はなかった。だけど、仕事をしているうちに、気づいたら毎月一位になっていた。ハクには、必要の無い金があまり余った。
そんな時、ハクが仕事を始めてから初めて二位になった。一位になったのは、ずっと二位だった、レオ。いつも明るく話しかけてくれていた。何の感情も湧かないのを知っていながら。
「やっとお前を越せたよ。あーあ、大変だったなぁ」
「抜かせないって思ってたけど、案外頑張れば抜かせるんだな。聞いてる?二位の人♪」
レオはハクに付きまといながらそう煽った。
その時、ハクは体に謎の不快感を覚えた。
「・・・・・?」
「・・・どうしたんだ?」
「・・・なんでもない」
ハクは素っ気なく答えた。
次の月、レオはまた仕事を大量にこなし、ハクを越そうとした。ハクはなんとなく、レオより仕事を請け負った。
今月は、ハクが一位だった。
ハクは、知らない感情を覚えた。
振り向くと、レオが笑っていた。
「お前、そんな顔するんだな」
ハクの心は、少しずつ変わっていった。
うわあああああああああ!!!!!!!ごめんなさい!早めにリクエストの出そうと思ってたんですけど、どうしようかと考えてたり、他の小説考えてる間に時間がどんどん過ぎていきました!
しかも途中でテスト2週間前になるしさぁ・・・・もうやだ!テストなんか燃えちまえ!