モノクロシキサイ
編集者:しゅー
モノクロシキサイ。それは色がないのに色鮮やかな世界。色々な生物が色々な物語を日々作る世界。これはその中でもお気に入りの物語。モノクロシキサイの説明は以上にして、物語その物の説明をしようか。この物語はそうだね、言うなれば『幸せを追い求めた者たちの全てを映す鏡』かな。登場人物はみんな幸せを求めている。それにただひたすら一生をかけた者たちの物語。
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目次
モノクロシキサイProlog『出会い』
「……――――っ…」
そう呟いた直後、僕は倒れた。何を言ったかなんて覚えてない。ただ呟いた事だけ覚えてる。クロには生きてて欲しかったかな。多分、というか絶対僕死んだもん。
「…きて…おきて……ロ…お…て…」
誰かが何か言ってる。この声は…この不器用でも可愛い空気をたくさん含んだ声は…クロだ…!クロが僕を呼んでる、起きなきゃ!早く起きて安心させなきゃ…!!でも、身体が上手く動いてくれない…瞼が重くて上がってくれない……
「執拗に呼びかけても、早く起きない事だってあるんだ。君も無駄な体力は使いたくないだろう?それに、気がついても目はそうそう開けられないだろうね。君の話を聞くに、大分体力を使ったそうじゃないか。」
…?クロじゃない声がする。誰だ。クロに近づくな、クロが危ない!そう思ったら重かった瞼が急に軽くなった。そうなったらもう起きるのは簡単だ。バサッと音を鳴らして起き上がった。
「お、起きたか。大丈夫か?水あるが飲むか?」
クロの横には見知らぬ人がいた。発言から察するに害は無さそうだ。飛びかかりそうになるのを必死に抑えて僕はそいつに尋ねた。
「お前は誰だ?それに、ここどこ?クロも僕もなんで無事なわけ?!それに、それに…!」
質問が口から溢れる。相手は困る様子もなくあいずちを打っていた。そして、そいつが言う。
「とりあえず落ち着こうか。俺は君らに何をする気もない。証拠として荒野から君らを助けた。」
言われてみればそうだ。敵なら助ける意味が無い。それに、僕だけならまだしもクロまで助けたとなると僕とクロが居た村の周辺の人物でも無さそうだ。
「あ、はい。ごめんなさい、少し取り乱してしまって。この状況も気になりますが先に自己紹介します。」
敵ではないなら敬語を使わねば。助けてもらった相手だ、敬うのは当然だ。僕が自己紹介しようとしたらその人が遮った。
「君の自己紹介は必要ないよ。クロからもう聞いた。クロには外傷もほとんど無かったからね。シロ、君が庇ったんだろう?」
「僕らの名前…なんで知って…あ、クロから…」
「そうだよシロ。助けてもらったから自己紹介した。僕らの素性は言ってない。名前と村から抜け出したってところくらい。」
とクロが言って僕に手を差し出す。僕はそれをすんなり受け取る。
「自己紹介といこうか、俺はムラ。エルフだよ。人間じゃあない。」
人間ではないと聞いた瞬間、僕の身体に稲妻が走ったように感じた。…人間ではない?!なんという事だ、この世界には人間以外の知的生命体がいたのか…
「まぁ、ビックリだよな。アホズラしてる。この世界は不思議なもんで、人間以外の者もたくさんいるからな。エルフなんて当たり前……いや、今嘘言った。エルフはこの世界でも珍しい。」
「エルフが珍しい?僕的には人外が珍しいんですけど。」
思わず尋ねてしまった。どんどん話題が逸れていく。
「その話はおいおいするさ。話題がズレるからな。」
あ、気づいたんだ。
「そういえばムラさん。あと1人居るって言ってましたけど、どういう事ですか?」
あと1人?他にも僕らを助けてくれた人が…十中八九人ではないか。と、扉がガチャりと開いた音がした。
「ムラは元気やなぁ~そんなに元気なんねやら新しい傘買うてもらおうかなぁ~」
と言いながら糸目で肩より少し長いくらいの銀色の髪をもみ上げを残してポニーテールにしている人(?)が言った。そういえばムラさんの容姿はよく見てなかったな。綺麗な紫色のツリ目で髪色は銀色。前髪はコメカミが長い。後ろ髪は肩に付かないくらいか。あとは頭にバンダナを巻いてる。
「おいミド、傘はもうあるだろ?それに日焼け止めだって…」
「せやったな~ちょっとからかっただけやって~それにしてもこの子らがシロとクロ?可愛ええ顔しとるなぁ。シロはそのままで似合っとるけど、クロは髪切った方がええんちゃう?あとは双子やし前髪同じにしてもええなぁ~」
とミドという人(?)は僕らの髪を弄りながら言う。髪をいじるのが飽きたのか、わざとらしく咳払いして言った
「私はミド。吸血鬼や。身構えんでもシロらの血は飲まへんで。そういうとこはしっかりしとるからなぁ~頼ってもらって構わへんで。これから仲良くしよな~」
僕は人外が2人もいるこの状況に混乱しつつも頷いた。これからこのメンバーで過ごすのか…クロは凄くにこやかで、今までで1番の笑顔だ。嬉しいけど悔しい気がする。複雑だ。と、とりあえず、これからは今までよりは楽しくなりそう…かな?
あとがき(見てる人いるか分からないけど)
作者の黒亜音ろにつです。初心者でも頑張って書いてま。シロたちの容姿についての記載が無さすぎなので書く。いやこの時はまだ髪初期だけども。主に服装とか身体についての記載だね。
シロ
身長:165cm
体重:53kg
特徴:毛先が青がかった黒髪で他は白髪。切っても毛先は黒くなるぞ。目はぱっちり青眼
クロ
身長:142cm
体重:29kg
特徴:毛先が白髪で他は赤がかった黒髪。切っても毛先は白くなるぞ
目はきりっと赤眼
シロクロ共通
年齢:13
誕生日:2/2
ムラ
身長:172cm
体重:60kg
特徴:耳が尖ってる。その他は本文内
年齢:200程度
誕生日:11/11
ミド
身長:167cm
体重:50kg
特徴:耳が尖ってる。その他は本文内
年齢:200程度
誕生日:1/1
(いや本文内で話せやって)
身体情報をどうやって本文内に入れろと。
とりあえずろにつは楽しんで書いてる。よかったら今後も見てって!
モノクロシキサイ以外にもシリーズは2個くらい考えてる。モノクロシキサイはラストどうしようか考えてる。
モノクロシキサイpart1『決意』
「とりあえず、自己紹介が済んだところで、俺らの素性について話そうか。」
とムラさんがいい、ミドさんと目を合わせる。そして何かを覚悟したかのような表情をし、口を開いた。
「俺らエルフと吸血鬼は近年、絶滅危惧種として認定されたんだ。絶滅危惧種は捕獲すると報奨金が出る。それがかなりの高額なんだ。幸いな事にハンター以外には俺らの顔は割れてない。」
と、ここで何かが引っかかったのかクロが口を挟む。
「ムラさん、ハンターって何ですか?」
クロのその問いにミドさんが答える。
「ハンターっちゅうんはな、私たちみたいな珍しい生き物や食料になる生き物を捕まえて売る人らの事や。位とかジョブとかは決まっとらん。まずまずハンターそのものが位やジョブの象徴みたいなもんやしな。普通の人らは魔法なんかは使えへんからハンターは有能な奴しかなれへんの、せやから貴重で金がたくさんでるんやな。」
そうだったのかとクロが納得する。確かに僕もそこは気になっていたし、納得だ。では僕らのいた村の住人たちは…?みんな、能力の個人差はあるものの魔法が使えていた。
「ハンター以外に顔が割れてないお陰で物を買ったりできる。だが定住はできない。ハンターが追ってきてるからな。2ヶ月に1回くらいはハンターが攻めてくる。それに対抗して俺らは戦ってるわけだが…」
急に困ったような顔をするムラさんを不思議に思う。ミドさんの方も見てみたが、少し悲しそうな顔をしていた。
…気まずい沈黙だ。少し気になったので僕は尋ねてみた。
「あの、どうしたんですか?ムラさんたちには助けてもらったので、できる限りなら恩返しします。なんでも言ってください。どうせ僕らは帰る場所なんて無いんですから。」
そう口に出したとき、ムラさんはなにかハッとしたようだった。クロは無言でムラさんが続きを話すのを待っている。
「ムラはお人好しやなぁ~私たち人外が人の気持ちを考慮するなんて珍しい。私たちは互いに互いを利用するんちゃうんか?何でもする言うとるし、利用するのが1番やと私は思うけど。」
ミドさんは真剣な表情でムラさんに尋ねた。そしてムラさんは……
「わかった。まぁ、シロ、クロ。お前らにはこれから、俺らと一緒にハンターたちと戦ってもらう。戦いはそんな簡単じゃないし、生きて居られる保証もない。それでもお前らは俺らと一緒に来てくれるか…?」
悲しそうで、心配そうで、苦しそう。けど、僕は答えはもう出てる。クロもきっと同じだ。僕らは声を揃えて言った。
「「もちろんです。」」
迷いなんてない。助けてもらったんだ。恩を、返さなくては。
「ありがとう、シロ、クロ。」
安心したような、今にも泣きそうな声でムラさんは言った。それが凄く嬉しくて、僕らの為に泣きそうになってくれた事が凄く嬉しくてたまらなかった。
「よかったなムラ。それじゃあ早速素質を見るとするで。」
「素質?」
ミドさんが言った後、クロが尋ねた。
「そう、素質や。魔法には素質っちゅうもんがあってな。過去の経験に基づいて魔法の素質は変わるんや。あとは固有能力っちゅうもんもあるなぁ。」
頭にはてなマークを並べる僕とクロに対してミドさんは察したのか答えてくれる。
「1つ1つ説明してくとちょっと長くなりそうやから大事なとこだけ話すな。魔法の素質についてはさっき言った通りや。私らの素質としてはムラは風と雷、私は闇と土やな。とりあえず固有能力の前に2人の素質見るわ。」
そう言ったミドさんは、だんだんと僕らに近づいてくる。そして近くに来た後、頭を撫でてきた。
「はえっ?ミドさん…?何してるんですか?」
びっくりしたクロが素っ頓狂な声を上げてミドさんに尋ねる。
「素質を見とるんや。魔法を使える奴が頭を撫でると魔法の素質がわかるんや。素質がわからんやつは素質が無いって事になるねんけど、シロたちは魔法の素質があるみたいやな。」
素質があると言われ、嬉しくて頬が緩んでしまう。そして僕は尋ねる
「それでどんな魔法の素質があったんですか?」
興味津々で聞く僕にミドさんは答える
「せやね、シロは氷と毒。クロは炎と引き寄せ魔法やな。」
「それっていい方何ですか?あと僕の魔法の引き寄せ魔法って、どういう事ですか?」
とクロが聞く。その問にミドさんではなくムラさんが答える
「魔法は属性魔法だけじゃなくて特殊な事ができる魔法がある。それを特殊魔法って呼ぶやつもいるな。だいたいの特殊魔法は弱いって言われるが、引き寄せ魔法は使い方次第じゃ属性魔法なんかとは比べ物にならないくらい強いぞ。」
それを聞くとクロはとても嬉しそうに綺麗な赤い目を輝かせた。
とっても可愛い。
「それじゃあ早速魔法の練習始めよか~」
と楽しそうにミドさんが言う。
「魔法の練習?」
どういうことかと僕が声を上げると、どうやら魔法を使うにはそれなりの練習が必要らしい。
「というわけでこれから練習や~私はシロに教えるから、ムラはクロを頼んだで。」
というわけで今日から魔法の練習が始まった!
モノクロシキサイpart1~完~
あとがき
作者の黒亜音ろにつです。
Prologでは出会いについて書いたのでpart1は魔法について書いてみました。ちょっとずつ世界観わかってきたかな?シロクロの過去についてやムラミドの過去についてはまだまだ書かないよ。もっと4人が仲良くなったら書く。完結パート幾つだ。part14くらいか。短いな。いやでも1パートだいたい2500文字くらいやしエピローグ入れてあと13個書いたら終わりか。長いような短いような…いやあとがき長杉田智和なんだが。もっと長くしたいよ本編!頑張って考えてpart20で終わらせたい。
モノクロシキサイpart2『魔法』
シロside
………魔法の練習を始めてからだいたい2ヶ月か。あれ?おかしい…そういえば、2ヶ月に1回ハンターが………
うーん、考えるの辞めよう。
「ん~?シロどないしたん?シロはいい魔法持っとるんやから、使わんと損やで。まぁ、今のシロやと魔法を混合させるとかも無理そうやしなぁ…」
「魔法を混合させる?なんですか?それ。」
魔法を混合という部分が引っかかり尋ねた。その尋ねに少々ビックリした様子のミドさんだったが答えてくれた。
「魔法を混合っちゅうんはな、私の場合やと闇魔法と土魔法を合わせて底無し沼を作り出したり。ムラの場合やと雷を自らの風にのせて閃光作ったりやな。魔法を混合させるんは便利やけどかなり難しいんや。それだけの具体的イメージが必要やし、シロやと単体で魔法使うだけで精一杯やろ?」
痛いところを突かれて目を逸らしてしまう。と、とりあえずは魔法の練習に集中しなきゃ…僕は的に向かって叫んだ。
「イセ・カレアテ!」
的の真ん中に氷塊が命中した。
「ええ軌道やな。氷の大きさもええ感じや。もっとできるようになれば、もっと大きい氷が出せるようになる。あと氷の形も調整できるんちゃう?私なんかは土のお城、簡単に作れるで。」
うぅ、言ってる次元が違う…僕ももっと頑張らねば……
「そういえば僕の場合は魔法を混合させるとどうなるんですか?」
「それは私にはわからん。シロの使い方次第やからな。まぁでも…氷魔法で霧を作って、そこに毒を混ぜて毒霧とかやねんか?」
「氷で霧ですか?」
ミドさんはなぜかビックリして言った。
「いやぁ何でもあらへん、ただ毒霧が使えるかもってだけや!はよ練習!な?」
まぁそのうちわかるだろう!
練習がんばるぞ!
クロside
魔法を練習してから多分2ヶ月。魔法の扱いにもちょっとずつ慣れてきた。炎の方はあんまり問題ないけど、引き寄せ魔法はちょっと難しい。
「炎は結構様になったな。まぁ、特殊魔法は扱い難しいよな。んー…イメージ的には体の表面に意識を集中させて磁石みたいに引き寄せる感じって言ったらわかるかな?」
ジシャク?ジシャクとはなんだろうか。そんなもの知らない。シロも教えてくれなかった。ポカンとしてる僕にムラさんは言う。
「あー…分かりづらかった?……どうしよ…」
と、ムラさんは考え込んでしまった。悪いことをしてしまったか。とりあえず、引き寄せ魔法は自分の中心に向かって物がくるイメージでやればいいのか。やってみよう。手を伸ばし、缶に向かって叫んだ。
「オトジェン・アショテン!」
そう叫ぶと、僕の手にはしっかりと缶が握られていた。
「…!できましたよ!ムラさん!」
嬉しくてたまらなかった。ムラさんはそれを見るなり、ビックリした表情になった後すぐに笑顔になった。
「凄い!クロ、よくできたな!シロ達に自慢しに行くか?!」
「自慢はしなくていいかな。」
ちょっと笑い混じりで答えた。何はともあれ、成功して良かった。満足している僕にムラさんは提案してきた。
「なぁクロ。その特殊魔法を最大限生かすために、こんなの使うのはどうだ?」
僕の目の前に2本の短剣があった。シンプルな作りで扱いやすそうだ。
「そうだな…これを投げて引き寄せたり、炎をまとわせたり。応用力が強くなると思うがどうだ?」
僕は、即答した。
「使います。」
答えると、ムラさんは笑顔で言った。
「よかった、それじゃあはい。」
僕は短剣を手に取った。凄く軽くて手に馴染む。これからは短剣の練習しよう。
「あぁあと。」
ムラさんが追加で、と言わんばかりに言った。
その直後、とあるものが僕の視界に入った。
「これなんかもどうだ?クナイって言うんだが、腰巻に取り付けて投げて魔法で引き寄せるんだ。」
それも強そうだな。できることは多い方がいい。
「それもお願いします。」
「了解、じゃあ練習再開しようか。」
モノクロシキサイpart2~完~
あとがき
本編ちょっと短め。
魔法一覧
炎:ファル・ホノヤ
水:ウォール・スイタ
土:アータ・ツース
風:ウィンカ・フウト
雷:ライサ・トンナ
毒:ホイン・スアト
光:サント・ランナ
闇:タート・ランナ
特殊魔法:オトジェン・(特有の言葉)
本編で出てくるのはおそらくこれくらい。また出てくることがあったらそれはその時に。ではでは~
モノクロシキサイpart3『ハンター』
何とか魔法は様になってきた……
とりあえずはクロとムラさんに見せよう!うん!そうしよう!
と、言うわけでクロの所に行った。
「クロ~!魔法どんな感じ?僕はね~って、え?!」
僕の目に入ったのは的に向かって短剣を振り回してるクロの姿だった…
「あ、シロ。どうしたの?そんなビックリして。」
僕の驚きとは裏腹に、クロはとても冷静で落ち着いていた。僕はとりあえずクロに説明を求めた。クロはアッサリと答えてくれた。
「あぁ、短剣のこと?僕の魔法は、魔法単体で戦うにはちょっと弱いらしいから、短剣使ったら?ってムラさんに言われたんだ。だから練習してるの。」
僕はすぐにそういう事かと納得した。はぁ…何かあったのかと思ってすっごく心配したよ……
「それでシロ、何の用?」
クロの短剣に夢中で本来の要件を忘れていた。
「あぁそうそう。僕の魔法が結構いい感じになったから見せに来たんだ。」
そう僕が言ったら、クロは可愛い顔をにへらっとさせて嬉しそうにしてた。ムラさんは……なんとも言えない表情?
後ろから付いてきてたミドさんが
「シロはええ魔法持っとるんに、細かい調整やらなんやらはまだまだなんよなぁ。でも、軌道と魔法発動速度はええ感じやったよ。」
と言った。
なるほど、ミドさんは落としてから上げるタイプらしい。
そんな感じで雑談をして、互いに魔法を見せあったりもした。
バーン
と何かが爆発したような音が聞こえた。なんだなんだと僕とクロはあたふたした。ムラさんとミドさんは構えてから僕らにこう言った
「ハンターだな、居場所がバレた。シロとクロは早く逃げろ。俺らよりお前らが捕まった方がヤバい。」
「2人の服には私の魔法をつけとるからすぐに場所わかるで。私らの事は気にせんと、はよ逃げや。」
突然の事に僕は頭が追いつかなかった。
「え?ちょっとミドさん?!ムラさん?!どういうこと?!」
もうめちゃくちゃパニック。クロは状況を理解してそうだった。
「シロ、逃げるんだよ。ハンターが来たっぽい。ほら、早く!」
僕の手を引いてクロが言った。頷く事しか出来ずに僕らは走った。
さっきまでいた所を、僕らの出会いの場所を離れて無我夢中で走った。
2ヶ月ほど前に似ている。いや、そのときはクロの手を僕が引っ張ったんだったな。今は逆だ。
――おい!あっちに誰かいるぞ!
知らない声が聞こえた。多分ハンターだ。
「クロ!バレちゃったよ、僕らのこと!」
バレてしまった。もうどうすればいいかわからない。僕が、僕がどうにかしなきゃいけないのに。
「シロ、もっと速く走れる?」
……無理…
と言いかけたがその言葉を飲み込んだ。コクリと頷いたらクロが僕の手を引きながらさっきよりもっと速く走り始めた。なんだ、僕なんかよりよっぽど速いじゃないか。チラっと後ろを見てみた。ムラさんとミドさんが懸命に闘ってるのが見えた。視界から消えかけていたけどわかる。あれはムラさんとミドさんだ。
そのとき、足がもつれた。
「あぁっ…!」
バタッ
「うっ…コケちゃった…」
後ろにはハンターがいる。
せめて…せめてクロだけでも逃げて…
言いたいのに口が動いてくれない、派手に転んだみたいだ。痛みは無いのに力が入らない。
ーーやっと追いついたぞ。手こずらせやがって。
後ろから声がする。ハンターだ。気配だけでわかる。10や20じゃない、60、70以上いる…
どうしよう……そうだ、振り返った瞬間に魔法を使えば…?
この2ヶ月、ずっと魔法の練習をしていた。僕ならできる!
僕はそう心に決め、振り返ると同時に手を出して叫んだ。
「ホイン・スアト!」
ーームラsideー
クロとシロをとりあえず逃がしたが…これで本当によかったのか…?
あの2人の魔法なら俺らの援護くらいにならなったはずだ、クソっ…!
判断をミスった…
悔やんでも仕方がないから頭を切り替えようとした。
「ムラ!後ろ!」
えっ…?後ろ?
「やっとここまで来たか。手こずらせやがって。やぁ。エルフくん。」
コイツはっ…!
「久しぶりだな。トウ。」
トウ。このハンターの名はトウだ。およそ30年ほど追いかけて来ているハンターだ。
「久しぶり、と言っても精々2ヶ月ほどだろう。あの白髪と黒髪のガキ共は、俺の部下が追っている。
― 今頃追いつかれて捕まっているだろうな。」
…っ!
【END】
モノクロシキサイpart4『大丈夫』
ーームラside
捕まった…?あの2人が?
手が震える。トウが発したその言葉に反応して手が震える。
「ムラ?大丈夫?手がすっごい震えとるけど…」
大丈夫じゃない、こんなの受け入れられるわけがない。
「利用することしか考えていないお前が、人間の心配をするのか?はっ、笑わせてくれる。」
そんな事をトウが言った途端、トウの肩に着いている通信機から通信が来た。
「ーートウ、聞こえているか?応答せよ、応答せよ!」
「こちら、トウ。どうした?」
俺はシロとクロが捕まった事が受け入れられず、ミドに慰められていた。そのせいで、通信中に攻撃ということはできなかった。
「ーーそれが、あの双子に反撃を喰らって隊が壊滅寸前なんだ!あのエルフだなんてどうでもいい、隊が壊滅するほうが大変だ!」
…え?シロとクロは捕まっていない…?
もし本当に捕まっていないなら、今頃もっと遠くに逃げているはず…!
「ミド!シロとクロは今どこだ!」
「― ここに居ますよ。ムラさん。」
ーーシロside
「ホイン・スアト!」
僕は思いっきり叫んだ。毒の魔法だ。でも、ただの毒を思い描いた訳ではない。
「うっ、なんだこれ!毒霧か?!」
そう、毒霧。ずっと練習していた。魔法を混合、凄く難しいが強いのは確かだ。
僕は確かに変化している!いい方向に!
「クロ!行こう!ムラさん達のところに戻ろう!」
今度は逆に、僕がクロの手を引いて走る。あの時みたいに。いや、あの時とは違う。自分達のためじゃない。今度は、ムラさん達のために走ってる。
「シロ、後ろから来てるよ!」
後ろから追手が来てる足音が聞こえる。
毒霧を発生させるので僕の集中力は結構限界が近い…氷で少し援護する程度しかできない。
「…ファル・ホノヤ!」
クロが僕の手を離して叫んだ。
それに驚いて僕が後ろを振り返ると、クロが短剣を手にして炎をまとわせていた。
「シロ、どうにか切り抜けよう。戦いながらムラさん達のところに向かうんだ…!」
僕は頷いてからクロと一緒にハンターを凌ぎながら進んだ。
そして…
ムラさん達のところについた。
「ーーここに居ますよ。ムラさん。」
「シロ!クロ!よくここまで戻ってこれたな。」
ムラさんは心底安心したようだった。ミドさんは…どうやら分かっていたようだ。
「なっ…お前らはまさか…」
そこにいたハンターは凄く驚いた顔をしていた。もしかして、僕らの事を知っているのだろうか。
「と、とりあえず…今回はもう帰還するとしよう。想定外の邪魔が入ったからな。また会おうじゃないか。」
と言うと、ソイツはそれ以上攻撃する気は無さそうだった。そして、普通に歩いて帰った。
ーーー1週間後ーーー
住処を移動させた。前いた所は僕らがいた村から2キロほどの所にあり、僕らの顔が割れていた。だからムラさん達は僕らの服などを変える余裕が無かったらしい。ここは村から17キロほど離れているから僕らの顔は割れていない。という訳で、服や髪を整えに店に行った。
「お客さん、これで良いかい?」
「ええ、これで構わへんよ。」
「じゃあ会計するよ。えーっと8着だから…3980Gだよ。」
「4000Gからお願いね。」
「はい、お釣りの20Gだよ。いつもありがとよ。これからもこの店をひいきになー」
と、店の人とミドさんがやり取りをする。このお店の物を良く買うらしい。
「さ、シロ。帰ってクロとこの服着よか。」
「はい、ミドさん。」
帰り道に雑談をしながら、ムラさんとクロのところに帰った。
前の場所と違って顔が割れてないから過ごしやすい!
part4~END~
モノクロシキサイpart5『"みんな"か"2人"か』
モノクロシキサイのpart5です。
更新遅くてすみません!
ファンレターは読んでます!
狂喜乱舞…
ミドさんと雑談しながらクロとムラさんのところに帰った。
「あ、シロおかえり。」
「おかえり、ご飯はできてる。」
クロとムラさんが笑顔で迎えてくれた。
「ただいま。クロ、ムラさん。」
「服買ってきたから、手洗ったら着てみーや。」
そういって洗面所にミドさんが向かう。それに僕もついて行く。
そして手を洗って、手を拭いて、そして袋から服を取り出す。
「シロ気が早いなぁ。あ、それはクロのや。分けるから待っといてな。」
ミドさんが丁寧に分けてくれる。8着しか買ってないのに16着くらいある…?
そんな僕の心を読んだかのようにミドさんが言った。
「折角服変えるなら同じタイミングがええからな。前に買ったやつの袋にそのまま入れただけや。」
そういえばお店で袋、貰わなかったな…
「まぁ、とりあえず全員服分けられたから着替えるか。」
僕らとミドさんたちで部屋を分かれて着替えた。
秘密バレたらやばいし…
―――――――――
というわけで着替えてミドさんたちのところに行った。
「うん。似合っとるね。」
ミドさんがサラッと褒めてくれる。
「2人も似合ってますよ。この服も僕らに似合うようにしてくれたんでしょう?」
なんか、僕らの服デザインは一緒だけど正反対だな…
唯一一緒なのがインナーって…
「僕らの服はどうでもよくて、ミドさんはそれ暑くないんですか?長袖長ズボンに羽織ものにマフラーって…」
「マフラーはムラと同じやろ?それに羽織ものもムラと同じや。いくら闇魔法で軽減できても日光がキツいから露出0は当たり前や。」
なんとなく苦笑いを返しておこう。
でも、本人からしたら本当に死活問題なんだろうな。
そういえばムラさんは…
「ん、どうした?何か変か?」
「あいや、変って訳じゃあ無くて、その頭のバンダナいつも付けてるなぁって。」
そう、ムラさんは常に、大きさの違う♢(だいや)の マークの飾りがついたバンダナを身につけている。
「これは…まぁ、思い出深いからつけてるだけだ。特に意味はない。」
と、悲しそうな顔をして言う。こんなにも感情を表に出しているムラさんは珍しくてちょっとびっくりした。それほどの物ってことか…
「そういえばムラさん、あの"トウ"ってやつ誰なんですか?顔見知りみたいでしたけど。」
クロが気を利かせて話題を変えた。
その質問にミドかすぐに答えてくれた。
「あぁ、アイツはただ昔から(※30年前)私らを追ってるハンターってだけやで。それ以上でもなければそれ以下の関係でもない。」
気まずい沈黙。答えるのがあまりにも速くてびっくりした。その口調は何かを隠しているようにもとれたけど、僕らも隠してるしお互い様かな…
---
もし、この事を教えても…2人なら、ミドさんとムラさんなら、僕らと変わらずにいてくれるのかな…
トウは気づいてたっぽいけど、ハンターの人達も気づいてなかったし、隠し通す事もできるかもしれない。でも、でもそれだと、クロが可哀想だ。僕はまだしも、クロにはずっと幸せでいて欲しい。それが僕の幸せだから。
「…っあの!」
急に真面目な顔でこの沈黙を破った僕にみんなびっくりしてる。
「僕らの、村に来ませんか?」
「ちょ、ちょっとシロ!何言ってるの?!今更あの村に帰るなんて…!」
「シロ、それは本気なんか?君らが村を出た理由は私らは知らんけど、家出したんやろ?それにわざわざ戻るなんて…それに見つけた時すごいボロボロやったんやで?ほぼ自殺行為や!」
案の定だ、否定すると思ってた。ムラさんは驚いた顔をしてたけど否定する様子はなかった。
「それにシロ、村に行くって事は…それって…っ!」
今にも泣きそうな顔でクロに見られた。
……僕だって、僕だってクロにこんな顔させたくなかった…
「僕だって嫌さ!でも、でも…!このまま"みんな"で過ごすなら、いずれは絶対…!」
そこから先は言えなかった。最悪な2択だ。
このまま"みんな"で過ごすなら秘密をバラさなきゃいけない。
これから秘密をバラさず"2人"で過ごすなら"みんな"と別れなきゃいけない。
そうしてしばらくの沈黙の後、ムラさんが口を開いた。
「いいんじゃないか。行ったって。それが、その決断が2人には重すぎる。ミド、お前だって嫌だろう?」
「まぁ、せやな。でもその前に、服替えたんはええが髪型もどうにかせんとな。」
と、ミドさんが僕らの頭を指さす。
無理やり明るい話題にした感…
いやいや髪確かに伸びっぱなしだけど…
「わかったら美容院行こか?」
笑顔が怖いですミドさん!
書き方ちょっと変えました。
セリフとそれ以外で改行するようにしました、ちょっとは見やすくなったかな?
あとがき追加されたんで次回予告します(?)
次回「再開」
モノクロシキサイpart6『再開』
改名しました。中身は変わらないので内容は変わりません。
モノクロシキサイのpart6です
「やっぱり違和感、切らなくて良かったのに…」
クロが髪をいじりながら愚痴る。
「クロにはできるだけ好きにさせたいから。クロもそっちの方がいいでしょ?かっこいいよ。」
僕はクロを撫でながら言った。肩につかないくらいのショートカットにしているから前みたいに結んであげたりできないなぁ、残念。
でも、今の方がクロっぽくてかっこいいからいいよね!
「シロ良かったんか?髪切らんくて。三つ編みなんて毎回大変やろ?」
「いいんです、ミドさん。今までクロに何もできなかった|戒《いまし》めですから。今までも一応三つ編みでしたし大丈夫です。」
「13歳がそんなこと気にすんな。」
そうムラさんが言うと、直後に小突かれた。
「それはそうと、準備できたので出発しましょう?」
これ以上僕らについて詮索されると何かと困るし……
「せやな。早めに出発せぇへんと、またトウと会うかもしれへんし。」
そういえばハンターのトウのこと、完全に忘れてたな…
ちょっと罪悪感。まぁないけどね。
僕らの"シアワセ"を邪魔する方が悪いもん!
「さぁ行きましょう!僕らの故郷へ!」
ーー3時間後
「疲れたー!」
3時間歩き続けても全然見えてこないし…
トウに襲撃される前の拠点も、僕が倒れたとこからそこまで離れてないし…
「シロどんだけ集中して走っとんたん?」
「知らないですよ。というか、むしろ僕が聞きたいレベルなんですけど?」
ちょっとムッとした。
前の拠点は村から2キロしか離れてないのに!
一応今回の拠点は前の拠点から僕が全力で走って酸欠になるくらい疲れたところだけど…
大体出発してから12キロほどだろうか。
「ミド、奥の手。今俺が向いてる方向に5キロくらいな。そうすれば多分元いた拠点があるはずだ。」
「はぁ、わかったよ。さすがにシロとクロも疲れとるやろしね。ただトウに遭遇したら私はなんも出来へんから。」
そう言って、ミドさんは呪文の詠唱を始めた。
「我が想いが大地を動かし、闇を動かし、望む姿へと変貌させよ!アータ・ツース・タート・ランナ!」
途端、地面に穴が空いた。一見すると沼にしか見えないが、よくよく見るとワープゲートのようになっている。
これが奥の手だろうか?
「さ、お前これにさっさと入れ。」
「これがミドさんが言っていた、魔法を混合させるってことですか?」
「せやせや、普通に魔法を使うのよりちょっと特殊な詠唱が必要なんねやな。そんなことより早う入れや、集中力持たへんから。」
ハッとしてクロと手を繋いでワープゲートに入る。
抜けるとそこはーー
「ここ、もしかして前の…」
酷い有様だった。屋根は崩れ、壁にも穴が開き、お世辞にも『家』とは言えなかった。分かってはいたんだ。トウがこの家をボロボロにしていたことくらい。
「改めて見ると、結構酷い有様…」
クロが呟いた後、ムラさん達も来た。
「すまん、魔法の跡を残さない様にしてたらちょっと遅れた。どうした?」
ムラさんが淡々と言葉を連ねた。
…そんな言い方、まるで慣れているみたいじゃないか……
改めて酷いと思った。約2ヶ月毎に襲われ、拠点を転々とする。襲撃される度に元いた拠点はこんなことになっているなんて…
「ムラさんは嫌じゃないんですか?自分達が過ごしてた場所を、こんなボロボロにされて…」
「…正直なところ、慣れたっていうのが本音だ。ただ、この拠点は違う。お前らとの思い出が詰まってる。」
「ムラはな、あの時シロたちが来とったん、凄く嬉しそうやったんやで。」
その言葉が、どれほど嬉しいかは例えられない。それほど嬉しかったんだ。僕は多分泣いていた。
ムラさんは、感情表現が薄いだけで、感情豊かじゃないか…
途端、ガサッと音がした。
「誰だ!」
ムラさんが武器を構えながら叫んだ。音の主は意外にもすぐに声を返してくれた。
「俺だよ。久しぶりだなぁ。エルフくん。」
「トウ!なんでここにおるんや?!」
ミドさんがすごく動揺している。僕だって動揺している。もしかしてまた僕らの邪魔をしに…
「今回は戦う気はないんだ。俺にも事情というものがあってだなぁ。」
「嘘つけ!僕らの事知ってるんだろ?っ、やめてくれよ!!」
半分涙目だ。下手したら僕らの口以外から知られてしまう。
そんなの、絶対嫌だ!
「おいおい嬢ちゃん、そんなにカッカすんなよ。知ってるって言っても常識程度だぜ?あと、戦わないことの証明として…おい吸血鬼。俺を縛れ。」
先程のトウの発言で確信した。コイツは僕らの事を知らない!
そのことにひとまず安心する。
「あらぁ?トウ?人に物を頼むときはちゃんと名前で呼ぼうや?あと、ドMやったんか?ちょっと引くんやけど…」
「ドMじゃねぇよ!!攻撃できないように縛れって言ってんの!」
トウが弁解した後、ミドさんが指を鳴らしてトウを縛った。腕は動かせなさそうだ。
「その縛っとる闇魔法は魔法発動妨害もあるから魔法は使えへんで。」
さすがミドさん、抜かりない。
「さっさと歩くぞ。あと2キロくらいな。」
ムラさんが先導して歩く。
というか戦う気があるなら部下を連れて来るのでは?
これは本当に戦う気はないっぽいな。
とりあえず、これで安心して村に行ける。
さぁ、村に向けて再出発!!
前のやつ見てきたけど書き方ちょっと下手(((
あとムラミドの口調変わった気がするけど自分の脳内再生的には一緒なんだよなぁ、もっと頑張らねば
1話分をちょっとづつ長くしていく。
自己紹介を更新しますた。
次回『家』
モノクロシキサイpart7『家』
俺自身の進化を感じる今日この頃。
モノクロシキサイのpart7
ーートウside
何故かは分からないが、居ても立ってもいられず、あの双子と出会った場所に戻ってきてしまった。
「はぁ…」
あの嬢ちゃん、並の魔力じゃないな。
魔法耐性が特に高い部隊だった。
それを魔法で?
話を聞くところによると、魔法を混合させたようじゃないか。
2ヶ月であそこまで成長するなんて、成長速度が異常だ。
ただの人間じゃない。何か、特別な…
「シロ・シキサイ、か…」
本名を調べてわかった。
そりゃ並の魔力じゃないな。
…?この声、ムラとミドか…
なるべく音を立てないようにここから去ろう……
ガサッ
ーーシロside
やっぱり、落ち着かない。
トウに顔隠しの仮面を貰ったけど、前が見づらい…
「こら、嬢ちゃん。仮面ズラすな。バレたらヤバいだろ。」
声を出すのも危ないから、無言で謝る。僕が先導して家を目指す。
「いてっ」
ミドさんと町の男の人との肩がぶつかった。
「ごめんなさいね~」
「チッ、ちゃんと前見ろよな!」
その男の人にムラさんが前に出て謝る。
「ごめんなさい、俺の連れです。」
「だったら尚更気をつけろ!って、ん?」
男の人が、僕とクロの方を見た。
もしかして、バレ…
「お前珍しい髪してんな!シキサイ家のご子息様みたいだな!というかこの村をよく黒髪で歩けるよな、よそ者か?気をつけるんだな。」
よ、よかった、バレてなかったっぽい……
それよりクロの髪色は別にいいだろ!そこそこ黒髪に近い人もいるし!
「まぁ、これからちゃんと前見て気をつけろよな。それじゃ。」
男の人が手を振りながら歩いていく。
難癖付けられなくてよかった……
とりあえず、家に向かおう!
ー数分後ー
「着きました!ここが僕らの家です!」
見慣れた家だ。一見すると何の変哲もない家だが、嫌なオーラが漂っている。
やっぱり、思い出しちゃうな……
「普通だな。何でここから抜け出したんだい?嬢ちゃんよ。」
すっっっごい煽り顔!!ムカつく!!
「とりあえず、入りましょ…」
バンッ!
「…う」
仮面を外し、ドアノブに触れた瞬間、そのドアが勢いよく開いた。
「やっぱり…!シロ様!シロ様ではありませんか!」
"ソイツ"は僕を見て、凄く嬉しそうに頬を触ってきた。
…気持ち悪い。
そんなこと口には出せない。いくらゴミクズでも、育ての親だ。一応感謝していることもある。
恨んでることの方が多いけど。
「何だい、メイ。」
「シロ様!メイはこの数ヶ月間、貴方様を心待ちにいていましてよ!一体なぜ家出などという下劣な行為を?!」
こちらのことも知らず、ペラペラと動く口に嫌気がさす。
「そんなことよりメイ、客人だ。メッシュなのがトウ、ポニーテールなのがミドさん、バンダナ付けてるのがムラさんだ。3人とも"丁重に"もてなすように。」
淡々と言葉を連ねた。あえて、クロのことは伝えずに。
「シロ様、アイツはどこにいまして?まさかあのまま逃がしましたの?まぁ、1人では今頃、餓死しているとは思いますけれど。それで、そちらの仮面のお方は?」
「あぁ、この子はクロだよ。まだ毛先が白くなっていないね。だから分からなかったのかい?イロとソクに会いたいのだけれど。」
クロは無言で仮面を外した。
ムラさん達は僕の態度に心底驚いているようだった。
そりゃそうだ。普段笑ってる僕が真顔で高慢な態度を取っているのだから。
「さっさと中に入れてくれよ。暇じゃないんだから。クロも僕の大切な"物"だ。傷つけたら容赦しないよ?」
「…っ失礼いたしました。こちらです。」
メイが先導して歩く。みんなもそれについてくる。
やがて席について、メイが茶を持ってくる。もちろんクロにも。
「メイ、下がって。おかわりもいらない、早急にイロとソクに会う許可を貰ってきて。話が終わったら連絡するから。それまで戻ってこないで。」
「はい。了解しましたわシロ様。」
メイが去ったことを確認してから、僕は口を開いた。
「どういうことかって、思っていることでしょう。」
「せや!言われへんと納得できひん!」
「ちゃんと教えてくれ、シロ。」
「あの態度はなんやねん?!」
「『クロも』ってどういうこと。」
「イロとソクって誰やねん?!」
「なんで様付けで呼ばれてる。」
ミドさんとムラさんが僕とクロを質問責めにする中で、トウだけが何も言ってないことに違和感を覚える。
「1つずつ、答えます。」
ごめんなさいちょっと短い。
次回『シロクロカコ』
モノクロシキサイpart8『シロクロカコ』
シロクロの過去のお話です。
昔のシロの目線と現在のシロの目線がややごっちゃになるかと思いますが、なるべくわかりやすく書くよう尽力します
僕らが産まれたのはとある小さな一国の王族の男女の双子。
僕って実は男なんだよね。クロは女の子。
僕らは国の端っこにある小さな村で育てられた。
「綺麗な白髪ね~それに目も澄んだ青色で。」
「あぁ、そうだな。それに比べてこっちは…」
白髪青眼主義の国だった。髪は白ければ白いほど、瞳は青ければ青いほど優遇された。そんな中で僕は、特殊な対応をされた。毛先が真っ黒だったからだ。
「黒髪赤眼。オマケに毛先だけが白いだなんて、なんの呪いなのかしら?」
「きっとこの子は、こちらの子から毛先だけ色を交換してしまったんだ。」
毛先だけ色が逆だった僕らは、全く違う対応をされた。
僕は毛先を呪われた被害者として、クロは毛先を呪った加害者として、明確な差別があった。
「さぁシロ様、お勉強の時間ですよ。」
「…クロは?」
「あんな呪いの事なんて気にしてはいけませんよ。シロ様は自身のことのみ気にしていればいいのです。そうして幸せになってください。」
「…僕の幸せなんて、気にしてないじゃん……」
「何か、おっしゃりました?」
「なんでもない、お腹すいた。」
ご飯も水も雨風を凌ぐ場所も与えられなかったクロに、僕は自分のご飯と水を与えて生かしていた。
「クロ、今日もご飯とお水、持ってきたよ。」
「……あ、ありが…とう…」
話すのも、行動も、僕が全部教えた。
「ねぇクロ、この本はね!王子様が、お姫様を迎えに来てハッピーエンドなんだよ!」
「じゃあ僕は、シロの王子様になれる…かな?」
「なれるよ!絶対!約束ね!」
「…うん…!」
僕の心は、凍って、毒で蝕まれていくようだった。
「黒髪だからって、赤眼だからってなんなんだよ!同じ人間なんじゃないのか!」
「黒とは闇の色。黒髪とはすなわち闇の申し子の象徴なのです。赤眼も同様。赤とは地獄の業火の色。赤眼とはすなわち地獄の番人の象徴なのです。」
家出する日、火事があった。
いや、火事ではなかった。
「クロ!クロ!おいメイ!クロはどこなんだよ!!」
「あぁ、呪いの事ですか。呪いならば、ほらあそこに。」
「…っ!」
メイが指さした先には、張り付けにされ、燃やされていたクロがいた。
僕は大粒の涙を流していた。そして…
「僕の…僕のクロを返せよ…僕の幸せのクロを…」
「返せよ!!!」
途端、クロの頭上から滝のような水か現れたんだ。
クロを燃やしていた火はそれで消えたが、クロは死にかけだった。
切り傷もあったが火傷が酷かった。
なんとか傷を直そうとした。けどダメだったんだ。
ここに居てはダメだ。
直感的に思ったんだ。
だから走った、動けないクロを抱えて。
村の人達が追いかけてきていた。
そりゃそうだ。国の後継者が逃走しているんだ。
僕は第1王子、シロ・シキサイとして。
クロは僕専属メイド、クロ・シキサイとして。
白髪だったら、そうなるはずだった。
走って走って走って走って走って走って走って走って走って走って
走り続けて
「…っ!」
追いつかれそうにもなった。
「もう、絶対!離れない!離れたく、ない!!」
バンッ
銃声が響いて、僕はその場に倒れた。
死ぬ感覚は無い、麻酔銃だ。
意識が薄れていく。そんな薄れていく意識の中で、僕は何を言ったのか。まだ思い出せないけど、その内絶対思い出すから。
まーじーでー
村人を1発ぶん殴りたい(自分で書いてるけどな!)
次回『一緒』
モノクロシキサイpart9『一緒』
今回は現在の話です。
前回の昔話ちゃんと理解できるようになってるかな……
色々教えてくれたら嬉しいです!(まずまず見てもらってるかわからん)
感動回(個人的主観)になる予定だからあとがきは次回予告だけになるます。
話してしまった。
僕らのこと、僕らの境遇のこと。
これからも、ずっと一緒なんて。
無理かもしれない、離れていってしまうかもしれない。
沈黙の後、意外にもトウが口を開いた。
「すまんな嬢ちゃん。実は初めて会って髪色を見た時、そんな予感がしてたんだ。だから、個人的に調べさせてもらった。」
「いえ、この髪色の運命です。トウが調べるんじゃないかと、薄々思ってはいましたから。」
「もしかして、メイドさんに言ってた口調が素やったりするん?」
あくまでもさっきまでの話は、基本情報みたいなものだ。
これからは、質問の時間。
「質問は1つずつしか答えられないですよ。まず口調にについてですが、違います。メイと話しているときの僕は僕じゃない。」
「それじゃあ、どうしてあんな口調になったんだ?」
ムラさんが聞いてくる。それに僕はスラスラと答える。クロは喋ってくれない。せっかくかっこいい声をしているのに、かわいい声をしているのに。
「僕は男でいなければならないんです。その事実を突きつけられる度に、僕の胸は苦しく、締めつけられるんです…」
「厳格な王にならんといけへんから、強気な、男らしい口調にせんとあかんってこと?」
ミドさんの"男らしい"という言葉で、より胸が締め付けられる。
僕は…僕は…っ!
「そういうことです。だから、みんなと一緒にいるときの僕が、普通の、素の僕なんです。可愛く、女の子らしくありたい僕。」
「女になりたいのか?」
トウが聞いてきた。僕は違うと否定した。
僕は女になりたいんじゃない、可愛くありたいだけなんだ。
そんな、言葉ひとつで縛り付けられたくない。
「そういえば、イロとソクって誰だ?」
「あぁムラさん、それは僕の両親の名前です。イロは母でソクは父です。」
「ハンターじゃないのか。そうか、なら、いい。」
お母さん、お父さん。
そんな言い方じゃなくて名前だから、ハンターかと思ったのかな。
「他に知りたい事、ありますか?」
「特に。」
「あれへんなぁ。」
沈黙。これは気まずい沈黙。
そりゃそうだ。僕はもうみんなと一緒にいられない気持ちで話しているんだから。
そんな沈黙も破るようにクロが喋る。
「シロは、みんなと一緒にいられなくなっちゃうかもって思って、ずっと話してなかったの。でも、僕らがいると迷惑だから、村に戻ってきて、秘密を話した。それで嫌になって、別れられないかなって…思って…!」
クロが泣き出す。
泣かないでよっ!僕まで、泣きたくなるからっ…!!
「秘密を知っても離れるわけあれへんやろ?こっちにもこっちの事情があるんや。そもそも人外ちゅうんは、自分の利益が第1なんや。」
「それってどういうことですか…?!」
「つまり、お前らが何者だろうと、利用価値がある限りは見放したりしない。」
利用価値。他の人らからしたらそれはマイナスな言葉だろう。けど、今の僕からすれば凄く嬉しかった。
「っ……!あ、あり…ありがとう…ござ…いっ…ますっ…!!」
大泣きした。黒髪赤眼だからって差別されたクロにも価値があるって、そう僕は受け取った。
「わかったら、さっさと行くぞ。こんなところにいると腐る。」
涙を拭いて僕はいつもの調子で話した。
「ムラさん!腐ってても地元なんですー!今すぐにでも洪水にして滅ぼしてやりたいけど生誕の地なんですー!」
「本調子、戻ってきてきたんちゃう?そっちの方が、シロらしいで。」
僕らしい。すごく嬉しい、僕が大好きな言葉。
「クロ。」
「うん。」
「「ムラさん、ミドさん。これからも、ずっと一緒?」」
簡単な問い。すごく簡単な、大事な問い。気づいたら、トウはいなくなっていた。僕らに気を使ったのだろう。
「当たり前だ」「当たり前やで」
僕とクロは、これまでにない満面の笑みで、きっと泣いていたんだろう。
そんな僕らを、ムラさんとミドさんは優しく包んでくれた。
次回『固有能力』
モノクロシキサイpart10『固有能力』
ルビと傍点と区切りはこれからめっちゃ活用すると思われます。マジ書いてて楽しい……
見てもらえてなくとも書いてて楽しければよい!!
よいのだ!!
昨日は散々泣いた……
結局メイに何も言わず、親にも会わずに拠点に帰った。
---
帰宅後
「今日は色々あって疲れた…」
ふぇ~、と布団に倒れ込む。
肉体的にも精神的にもキツい…
「今日は色々ありすぎたからしゃーないな。ゆっくり休んで元気だしーや。」
ミドさんが、優しく背中を叩きながら子守唄を歌ってくれる。
やば、寝そう……
「ぐー…」
「はは、おやすみ。シロ。」
---
次の日
みんなに迷惑かけちゃったかな……
「あ、シロ。おはよう。」
「クロ、おはよう。って、包丁?!」
クロが台所に包丁を持って立っていた。
僕は心底ビックリした。
クロが料理なんて……
「どうしたの?シロ。あ、僕が料理してるから驚いてる?」
「お、シロ起きたか。俺がクロに料理教えてる。コイツ凄いぞ。」
確かに凄い手際だ…
僕はずっとメイに料理は任せっきりだったから全然できないや…
「髪色と才能は比例しないからな。クロは器用だ。」
「確かにクロは器用ですよ。あ、ねぇムラさん。そういえばムラさんとミドさんの過去ってどんななの?」
興味本位で聞いちゃったけど…
大丈夫かな?
「それはまた私らの気が向いたらやな~」
「うわあぁ!」
ビックリした…
「きゅ、急に上から逆さ吊りで出てこないでくださいよミドさん!!コウモリかと思って攻撃するところでした!!」
「あっはは、ごめんねシロ。というか私ら吸血鬼はコウモリに変身できるから実質コウモリみたいなもんやな。」
そんな冷静に解説されても!
本当に、本当にビックリしたよ…
---
その日の夜
はぁ…
僕はやっぱりダメだな…
魔法を混合させてからずっとダメだ。
クロはずっと変わり続けてる。
昔の僕に頼りきりだったころとは違う、僕から独立していってる。
そんなクロに比べて、僕は…
バァン!
「っ?!」
凄い銃声…こっちに向かってくる足音…?ってかさっきの銃声、この音は前に聞いた事ある…!!
「お、いたいた。やぁ、嬢ちゃん。」
「トウ!一体何の用だ!」
トウがこっちに来てる…!
「よ、よるな!わわっ、ちょ、やめろー!!担ぐなー!!」
「嬢ちゃん軽すぎ。ちゃんと食ってるか?黒い坊ちゃんも心配だか嬢ちゃんも心配だ。ま、少し黙っててくれ。」
く、口塞がれた!これじゃあムラさん達に…ってさっき十分叫んだし、なんなら銃声も…
「はいはい、さっさと撤収ー」
トウが言うと周りが見えなくなって、途端に別の場所に移動した。
---
???
ここどこ?!
「あ、嬢ちゃん起きたか。ここは俺の家。他に誰もいないぞ。ほい、これあったかいココア。」
「え、あ、うん…ありがとう…」
変なの、入ってないよね…
でも変な匂いはしないし多分大丈夫か…
ゴクッ
あ、普通に美味しい…
「んで嬢ちゃん?過去話は途中まで聞いてたけど、水がたくさんってどういうこと?」
「どこまで聞いてた…」
「イロとソクが両親ってところまで。」
割と、ってかほぼ全部聞かれてるし!
まぁあの場にいたししょうがないか…
「で、水はどういうこと?」
「そんなの、僕にもわかってないよ…ただ、クロを助けたいって強く願ったら水が…」
「そうか、わからないなら」
そういってトウが席を立ち、銃を突きつけてきた。
「始末するしか無いな。」
短くてごめんなさい!
そして固有能力についてなんも言ってない!!
次回の方が固有能力について触れてるかも……
次回「変化」
モノクロシキサイpart11『変化』
ラストの展開決めたけど、締め方どうしよおおおお
ゆっくり更新しすぎて全然進んでない…
完全にこれは第2期始まりますね。
見てくれたら歓喜して天井に頭ぶつける。
---
トウの家
は?今、始末って言った?
始末?え?殺すってこと?
「ま、俺もそんな鬼じゃない。2分やるから、じっくり考えろ。」
考えるって何を?!
これからのこと?水のこと?
とりあえずトウが聞きたいのは水の事だ、そっちについて考えろ。
前にムラさんやミドさんが言ったこと、メイが言ってたことを思い出せ。
『黒とは闇の色。黒髪とはすなわち闇の申し子の象徴なのです。赤眼も同様。赤とは地獄の業火の色。赤眼とはすなわち地獄の番人の象徴なのです。』
『そう、素質や。魔法には素質っちゅうもんがあってな。過去の経験に基づいて魔法の素質は変わるんや。あとは固有能力っちゅうもんもあるなぁ。』
ん?
『1つ1つ説明してくとちょっと長くなりそうやから大事なとこだけ話すね。魔法の素質についてはさっき言った通りや。私らの素質としてはムラは風と雷、私は闇と土やな。とりあえず固有能力の前に2人の素質見るわ。』
固有能力…?
そういえば魔法については説明受けたし、素質も見てもらったけど…
固有能力についてなんにも言われてない…?!
「わかった!!」
「急に大声出すな!ビックリしたわ。」
「わかったよトウ!僕の水について!」
「そうか、じゃあ答えを聞かせてくれ。」
そういって、トウが僕のコメカミに銃を当ててくる。
「滝のような勢いで出てきた水の正体…」
「ああ。それは、なんだ?」
トウが引き金に指をかける。カチャっと音がする。引き金を引けばいつでも僕を殺せる状態だ。そんな状況の中、僕は告げた。
あの水の正体…それは……
「僕の固有能力、です。」
「ほう?その能力の詳細は?」
「…わからない。対象の頭上から大量の水を発生させる、もしくは対象を助ける、のどちらかだとは思ってる。」
「そうか、それが聞けたら、満足だ。」
満面の笑み。そういうとトウは…
自分の頭に銃を当てた?!
「ちょちょ!何してんの?!」
「助けられるかもしれないんだろ?助けてみてくれよ。クロだけじゃなく、俺のことも。」
引き金に指をかけた。
「変わるために、やれ。」
バンッ
あたりに真っ赤な鮮血が流れる。
濃い鉄の匂いに吐き気がする。
は?!コイツマジで殺りやがった!
バッカじゃないの?!
もし僕の固有能力が対象を助けるものじゃなかったらどうするんだよ!
「っ…やら、なきゃ…」
助けなきゃと、そうわかってはいる。それなのに、能力が発動してくれない。何度も何度も何度もやった。
「なんで…!なんで助けられないの…?僕の固有能力って、水を出すだけなの?」
トウの手が冷たくなっていく。
ダメだった。僕は変われなかった。クロは変われた。僕から独立していって、変わったんだ。
じゃあ、僕は?
結局、固有能力についてわかったのに、トウを助けられなかった。
変わってない。クロと逃げた時から全く変わってない。
自然と涙が溢れてくる。
「うぅっ、だめ…だめだったよ…殺しちゃった、トウを、助けられなかった…!」
助けたい。僕が殺してしまった、やってしまったことの後始末をしたい。償いたい。責任を取りたい。
「どんだけギャン泣きしてんだよ。」
後ろから、さっきまで聞いてた声が聞こえた。
この声…トウ?
「嘘だ、だってトウは…」
「あぁ、確かに死んだよ。でもあれは俺の分身だ。」
「分…身?」
分身できる魔法なんて無かったはず。それに特殊魔法の独特の詠唱もなかった。命を増やすなんて難しい魔法、特殊な詠唱があると思う。
「固有能力。俺の固有能力は自分を増やすこと。分身は戦闘はできないが、話したりできるからな。人を惑わすにはちょうどいい。」
「でも、ごめんなさい。僕がトウの期待に応えられなかったから…」
「は?お前何言ってんだ。元々期待なんてしてない。自惚れるな。」
確かに最初から期待してる、なんて言ってなかったけど…
僕はむしゃくしゃしてトウに向かって叫んだ
「自惚れてなんか無い!大体、そっちから僕を攫ったんじゃないか!今頃クロが僕を心配してる!早く帰らせてくれ!」
トウは大きくため息をついた
こ、こいつ…!むかつく!
「とりあえず、この銃の中に水を出せ。」
「は?無理だよ。僕は水魔法なんて使えない。」
「お前にはこっちの方が効くか。」
トウが指パッチンをした
パッチン
そうすると、トウの横にクロが現れた。
「クロ?!」
「さぁクロ、その銃を手に持ち、そして頭に当てるんだ」
トウが命ずると、クロはそれにしたがった。
やばいやばいクロ死んじゃう!!
そう焦った僕は、銃の弾の中の火薬に向けて、手を出しイメージした。
そして、頭に浮かんだ言葉を口に出した。
「水の精霊ウンディーネの名において
その碧に染まりし純真なる|水《すい》の力
危機に|瀕《ひん》するかの者を救たまえ!」
「|救いの水《スィーリング・ウォーター》」
次回『置いていかれても』
モノクロシキサイpart12『置いていかれても』
モノクロシキサイ第1章完結です。
まだまだ第1章なんだよなぁ
第3章くらいまでは展開考えてあるが、キリが悪い。
第5章まではなんとか繋げたいが…
マンネリ化しそう。
作者のアイデアが尽きるまでは続ける。
「|救いの水《スィーリング・ウォーター》」
カチッ
僕が叫んだ直後、クロが銃の引き金を引いた音がした。
「お前…っ!」
トウがすごく驚いていたが、僕はそんなことどうでもいい。銃は、発射されていなかった。
よ、よかったぁ……
「やっぱりシロなら助けてくれるって信じてたよ。でもね…」
「クロ!無事?大丈夫?ごめんね、心配かけちゃって…」
クロが何か言いかけていたがそんなことは気にせず僕はクロに声をかける。
するとトウが口を開いた。
「お前っ、その固有能力…まさか、いや、そんなわけない…!」
「一体何が?僕の固有能力が何か悪い?!」
「その固有能力、知らないのか?『四大精霊能力』っ!」
パッチン
トウが指パッチンすると、クロがドロドロになって溶けた。
「くっ、クロ?!クロ!!」
「そいつは俺の分身、俺の固有能力なら見た目を変更することだって…!」
その口調はただ怒っているようにも、嫉妬しているようにも聞こえた。
「もういい、お前は用済みだ。」
「そっちから呼び出しておいてなんなんだよ!」
「帰れ。」
パッチン
指パッチンの後、僕はムラさん達のいる拠点に戻ってきていた。
僕はただ、呆然としていた。
「「「シロ!」」」
みんなが笑顔で迎えてくれる。
それだけで、僕も笑顔になれるはずだった。
『俺の固有能力なら見た目を変更することだって…!』
その言葉が、その言い方が、僕の心に留まり続けていた。
「シロ!大丈夫やったんか?顔をよう見してくれや。」
「シロ…よかった…帰ってきてくれたんだね。」
「ホントにな。全く心配かけやがって…」
みんなが口々に僕を心配してくれている。
はやく、はやく心配させたことを謝らなければ。
でもなんでだろう?口が、体が自由に動いてくれない。
「ホンマにシロは心配させてくれるわ、勝手に私らについてくるわでもうコリゴリや。」
「あぁ、あの時助けなければこんな困っていないのかもな。」
「シロに助けられずにあのまま炎に焼かれてたらよかったのに。勝手に助けて勝手にどこか行って。」
「本当、自分勝手。」
バサッ
「っはぁ、はぁ、はぁ…」
い、今のは一体……
「シロ!よかった…よかったよ…」
クロが泣きながら僕に抱きついてくる。
「うっ…っ!っ、はぁ、はぁ…」
「やめてやれ、執拗に心配しても結果は変わらない。」
「シロ、大丈夫やったんか?すっごい魘されとったけど……」
頭が割れるように痛い。
さっきまでの悪夢は本当に悪夢だったのか…?
現実じゃなくて、夢だったのか?
うっ、気持ち悪い…吐きそ……
「シロ、大丈夫か?体調悪そうだが。」
「だ、大丈夫デス…」
ムラさんが背中をさすってくれる。
少し、良くなってきた…
---
数十分後
「ご心配をおかけしマシタ……」
「なんで段々声小さくなるん?不意をつかれたんやししょうがないやろ。」
「あぁ、俺の注意不足だ。スマン。」
「そんな!ムラさんが謝ることなんかじゃ!」
「シロ、ちょっといい?」
「え、あ、うん。クロ、いいよ。」
クロがいつになく神妙な顔だった。
「ミドさん、ムラさん、しばらく2人にしてくれませんか?」
「ええよ。さ、ムラいこ~」
ムラさんとミドさんが退出して、僕ら2人だけになる。
「シロはさ、ずっと悩んでたんだよね。僕は変わってるのに、自分が変われてないって。」
「うん、やっぱりクロにはお見通しなんだね。」
「当たり前でしょ?双子なんだから。」
「僕はずっと、クロに置いていかれるんじゃないかなって怖かったんだ。料理をやって、弱い魔法でも僕より強くて。ずっと、ずっと怖かった。」
少し、泣きそうだ。
「シロは強いよ。僕なんかよりも。その白髪は、天使の色なんじゃないの?その青眼は、澄んだ水の色じゃないの?」
クロが僕の髪と眼を指さして言う。
確かにそうだ、そうやって言われた。
でも髪の色なんて…眼の色なんて…
「僕はね、シロが変わってくれなくても、ずっと傍にいられるだけで嬉しいんだよ。だから、ずっと、ずっとずっと、傍にいてほしいんだ。」
「シロは…嫌?」
嫌なんかじゃない。僕だってずっと傍にいてあげたい。
そうだ、ずっと変われないのを気にしてたのは僕だけじゃないか。
置いていかれるのが嫌なのは僕だけじゃないか。
だったら、クロのために僕が今、どうすべきか。
もうわかっている。
「ううん、嫌じゃない。」
僕はクロの目を、真っ赤な真紅に染まるクロの目を真っ直ぐに見つめて言った。
「僕もクロと一緒にいたい。」
ずっとずっとずっと傍にいてほしいし、いてあげたい。
たとえ
『置いていかれても』
モノクロシキサイ第1章完結です!
第2章も作ります。
タイトルは変わりません。
part表記は13からです。
では!また第2章でお会いしましょう!
モノクロシキサイpart番外編
進捗や今後の展開等々について書いていきます
ー進捗ー
リア友とアイビスで漫画投稿しよってなった
第2章制作中
キャラデザを本格的に考えてる
ー第2章についてー
クロの固有能力について
新キャラ出す予定
短いけどただの報告だからいいかな。2章終わったらまた更新する
モノクロシキサイpart13『新しく』
ここから第2章。
2章はどんな
イロナノカナ?
---
1ヶ月後
未だにムラさん達には固有能力を使えるようになった事を言っていない。
そろそろ言わなきゃなぁ…
などと考えながらクロと料理をする。
. . …
できた!
「それじゃあクロ、僕はムラさんたちを呼んだり机片付けたりするね。盛り付けよろしく。」
「うん。わかったよ、シロ。」
コツコツコツ…
「ムラさん、ミドさん、ご飯できましたよ。」
「おっ、今日はどんな料理なんねやろなぁ~」
「シロたちが作ったんだ。美味しいのは間違いない。」
ムラさんのその言葉で、僕は耳が熱くなった。
もう!ムラさんってば…
「よし、準備できた。シロたちも座ってね。」
「「「「いただきます。」」」」
パクッ
「ん、おいしい。あったかくてこの味噌汁落ち着くね。」
「うん。ありがとうねシロ。ムラさんたちはどう?おいしい?」
僕がクロの顔を覗き込んで伝えると、にへらあっと顔を崩してクロが笑ってくれる。
ミドさんが1人顔をしかめている。
どうしたのかな?
「ミドさん、食べないんですか?とっても美味しいですよ。」
「確かにこの味噌汁も肉じゃがも白米もとっても美味しいんやけど…」
一体どうしたのかな?
「イワシの頭がダメで、食べれへんのよね…」
「それって苦手ってこと?なら避けて食べれば…」
「いやぁ、味ってよりも、弱点なんよなぁ…」
「えっ?!」
僕は目を丸くして驚いた。
そうするとミドさんは凄く笑って
「あはは、嘘や嘘。」
「な、なんだぁ…ビックリした…」
「私は太陽と流水しか弱点やないねん。その代わり、日光を浴びると直ぐに灰になって消えてまうがなぁ~」
さらっと弱点言ってるけど…
いいのかな?
まぁ、本人が言ってるならいいのか…
パキッバキッ
なんだ?この音…トウが来た時とはまた違う、嫌な予感が…
「あら、お食事中?ごめんなさいねタイミング悪くて。」
「おいおい、仲良しごっこも大概にするのだな。」
なんだ、こいつら…
朱色の髪に茶色のメッシュ、茶色の髪に朱色のメッシュ…
誰だかわからないけど多分敵だ!
「お初にお目にかかります、わたくし"シュシュ"と言う者ですの。以後お見知りおきを。」
そう言ってシュシュというやつは丁寧にお辞儀をする。
敵なのにやけに礼儀正しいな…
「ウチの名前は"チャチャ"。死にたくなかったら名前を覚えるのだな。」
こっちは生意気…なんか正反対だ…
「新手のハンターなん?まぁ双子の魔法戦士ってとこやな。」
「双子ってこと以外はトウメイの二番煎じじゃないか。」
トウメイ?透明?一体誰だ?
「あんなジジババとウチらを一緒にしないでもらえるか?」
「そうよ、いくらわたくしと言っても、怒る時は怒りますもの。」
と、不服そうにしているシュシュとチャチャ。
ハンターなのに攻撃するき無さすぎない?
隙だらけだから僕とクロは裏口から外に出た。
そこからどうなったかは知らないけど…
---
数十分後
すっごいボロボロのムラさんが出てきた…?!
「だ、大丈夫ですか?!」
僕が心配して駆け寄ると、ムラさんが答えた。
「大丈夫。アイツらもしびれを切らして帰ったぞ。」
「まぁそこそこ危なかったんやけどねぇ?」
と、そこに無傷のミドさんが来た。
いや無傷?!
「シュシュちゃんが気絶したから採血して吸わしてもろたんよ。」
あー、そういうことか…
「とりあえずこれからは、あの2人にも気をつけないとですね。」
これからのことをクロが簡潔に述べてくれる。
「あぁ、あと、個人的にトウの過去を調べたい。」
なんでトウの過去について調べたいんだろう?
僕がムラさんに聞くと、ただ気になるだけだ。と答えられた。
ちょっと煮え切らないけど…
まぁ新しくハンターがくるようになっちゃったから、今まで以上に魔法に力をいれないとな…
頑張るぞ!
次回『伝える』
モノクロシキサイpart14『伝える』
更新おっそ
圧倒的説明回
ふわぁ~
眠い…昨日全然寝れなかった!
布団がいつもと違うのもあったけど……
2人の緊急時に、僕は固有能力を使えなかった、それが心残り。
でも、言えないよ…
僕が悩んでいると、ミドさんが声をかけてきた。
「シロ、どないしたん?暗い顔しとん、心配やねんけど…」
「ああっ、別に何でもないです。ほら、今日もニコニコ笑顔ですよ!」
そんな調子で、いつもの笑顔を作る。
「そう?大丈夫ならええんやけど…なんかあったら、すぐに相談するんよ?」
「わかってますよ。」
ミドさんは、どうやら用事があるらしい。
外に行ったのか…大丈夫かな?
まぁ、多分大丈夫だろう。
それにしても…
誰かには固有能力のこと伝えなきゃな。いつかは全員に言わなきゃいけない、だからこれはそのための第一歩なんだ。
僕はしばらく考えた後、その人のところに行った。
「ムラさん、お話があります。」
ムラさんは僕のいつもと違う声色に気づいて、やっていたことを止めた。
止めちゃったけど大丈夫だったかな…?
「で、シロ。話って何だ?」
「えっと、質問なんですけど…」
思っていた話じゃなかったのか、ムラさんは目を丸くした。
「質問?何だ?」
「ムラさんとミドさんは、固有能力ってありますか?」
「固有能力、か。確かにその話はしてなかったな。クロを呼んでこい。ミドは…まぁ用事だしいいか。」
僕は頷いて、言われるがままにクロを連れてくる。
「よし、それじゃあ固有能力についての話を始めよう。」
---
「魔法はもうわかってるよな。
お前らも使い方をわかってきている。
それで固有能力っていうのはな…
『そいつが生まれ持った才能』
この一言に限る。」
才能…
「魔法は鍛えれば十分使えるようになるし、最初からできなくても努力次第でどうにかなる。」
だから僕らは最初全然できなかったけど、今は結構ものになってきてるのか…
トウの魔法も、シュシュもチャチャも凄かったし…もともとできていたのにさらに努力を重ねたから凄かったのかな?
「だがな、固有能力だけはどれだけ努力しても変わらない。能力の限界とかではない。発現した最初から最期まで、ずっと能力の上限は変わらない。まぁでも、特例はあるがな。」
特例?どういうことかわからず尋ねた。
「特例…まぁ例えば、トウとかか。トウの固有能力は自分と同じ姿の分身を作りだすものだ。だが、いつ特訓したんだが知らんが…
『自分の分身の姿を自由に変える』
ことができるようになったんだ。」
あれって特訓してたの?!
もともとじゃなかったんだ…
「そんな感じで、所持している固有能力に関連していることならそいつ次第で可能性はある。まぁ限りなく0に近いがな。」
トウはかなり努力家なんだなぁ…
ちょっとそこは感心する。
「ま、固有能力の説明はこのくらい……あ、まだあったか。」
一体なんなんだろう?
僕が質問しようとしたら、クロが質問した。
「それはな『四大精霊能力』というものだ。」
それ、トウも言ってた…!
「この四大精霊能力は、世界で4人しかいない。もちろん伝説と言われた能力だ。後にも先にも4人しかいない。いくら人間でも、そんな能力がバレたら超高額の賞金がかかる。」
四大精霊能力という能力の詳細が聞きたくて、僕は質問した。
「四大精霊能力はな、その名の通り四大精霊の能力だ。四大精霊の力をそのまま使えると言った方がいいか。
炎の精霊サラマンダー
水の精霊ウンディーネ
風の精霊シルフ
地の精霊ノーム
この4つだな。」
水の精霊ウンディーネ…?!
僕の固有能力の詠唱に入ってる…
もしかして僕のって四大精霊能力?!
いや、でもトウも僕の能力のこと四大精霊能力って言ってたからそんなに驚くことでもないか…
でも世界に4人って…!
「あぁ、あと。その四大精霊能力が発現したら、対応する精霊が見えるようになったり、ついてきたり、話したりできる。」
ん?なんで確定してるかのように話すんだ?
ってかウンディーネさんの姿見たことないんだけど…
「ま、そんなこんな話したけど固有能力はそういうことだ。」
あっ、そういえば…
となって僕はムラさんとミドさんの固有能力について質問する。
「俺とミドの固有能力、な。そういえば最初の話題はそれだったな。俺の固有能力は
『地の精霊ノームの力を借り、地を操る』
と、いうものだ。」
え、ムラさんも四大精霊能力…?!
「ミドの固有能力は
『風の精霊シルフの力を借り、風を操る』
だな。俺らが四大精霊能力、保持者のうちの2人だ。」
それじゃあ、僕も含めて四大精霊能力の保持者3人?!
この時代やばいよ…クロの固有能力はなんなんだろう…?
「これが、固有能力。わかったか?」
僕とクロは首を縦に振った。
クロは呼ばれる前の場所に戻り、魔法の練習を再開した。
それを確認してから、ムラさんは口を開いた。
「それで、シロ。お前、固有能力が発現したんだろ?」
う、やっぱりバレてた…
「そうなんです、それでその固有能力が……」
「四大精霊能力だったと、そういうわけか。」
なんでそこまで見透かしてるの!?
「まぁ、地を伝ってノームが教えてくれる。精霊が現れる話したろ?お前がさらわれた時、ノームに頼んだんだ。」
「なるほど、だから知ってたのか!」
「それで、サラマンダーとウンディーネのどっちだ?」
「ウンディーネです。」
僕は今までにない真剣な顔で伝えた。ムラさんはやっぱりか、というような顔をしていた。
「そうか、ならこれまで以上に魔法頑張らなきゃな。トウの他にもシュシュやチャチャがいる。四大精霊能力を使えるのがトウに知れているならおそらく、あの2人にも知れている可能性が高い。頑張れよ。」
そういってムラさんは僕の肩トントン叩いてもといた場所に戻った。
それが僕にはどうしようもなく置いていかれるように見えてしまった。
次回『どうしたの?』
モノクロシキサイpart15『どうしたの?』
今回はクロ目線です
夜、布団に入った僕は、独りすすり泣いていた。
「サラマンダー…」
そう呟いて、炎を出す。
僕には、炎の精霊サラマンダーの力を借りて炎を出すという固有能力がある。いや、この場合は四大精霊能力と言った方がいいか。
ずっとずっと前に発現していた。
……ちょっとウトウトしてきた、もう寝よう…
---
次の日 朝
「おはようございます…」
太陽眩しい、僕朝弱いんだよなぁ…
「クロ!おはよ!」
そう言ってシロが僕に抱きついてきた。
シロは朝強すぎね…太陽も眩しいけどシロも眩しいや…
いつか、シロにこの能力について言わなきゃいけないのか…
僕は自然と暗い顔になる。それがシロにもわかったのか、僕から離れて話しかけてきた。
「クロ?なんかうかない顔してるけど…どうしたの?」
言っても、いいのだろうか。
そんな疑問が僕の中に浮かび上がる
でも、最愛の家族に言わないのは如何なものか。
でも、まだシロに固有能力が無かった場合…
それは僕がまた、シロを追い詰めてしまうんじゃないか…?
口は開いているのに、言葉が出ない。
「クロ…?ホントに大丈夫?」
大丈夫、早く言わなくては。
「だ…だい…じょ…ぶ……」
やっと声が出た。
声が出て、シロを安心させられたと思ったのに。
余計に心配そうな顔をされた。
「…ホントに?何か、僕に隠し事とかあるんじゃ…」
『隠し事』かぁ…それはシロも同じなんじゃないだろうか。
なぜか感情が溢れてくる。
「隠し事…あるのはシロの方じゃないの?」
「え…っ?…僕の話は今はどうでも…」
「…どうでもよくなんかない!」
止められない。口から言葉が溢れてくる。さっきまで出てこなかったのに。
「だいたい、ウンディーネだってなんだって、シロは僕よりずっと後ろだったじゃないか!」
その瞬間、シロが涙目になったのがわかった。
そのまま僕は叫んでしまった。
「家事でも、魔法でも、戦いでも、固有能力でも、ずっとずっと僕の方が優秀でシロはずっとずっと僕より後ろだった!」
僕はハッとなってシロの顔を見た。
シロは涙を流しながら、僕の目を見つめていた。
やめて、目を見ないで。
僕の赤い眼を見ないで!!
しばらくの沈黙のあと、シロが口を開いた。
「そう…だよね、僕は髪色と眼の色が認められただけで他はダメダメだ。僕、見えないんだ。」
見え…ない?
一体何が?
僕が聞く前に、シロが答えた。
「赤色が見えないんだ。赤色が黒みたく見えちゃうんだ。」
「それじゃあ、僕の目も、僕の髪と同じ色に見えてるの?」
それが、シロがダメなことに何か関係があるのだろうか?
「クロの目も、髪も、ミドさんの片目も、全部黒く見えちゃうんだ。」
「それを、なんで今言ったの?」
「クロが炎に包まれて全身やけどしたことあったでしょ?それが炎だって認識するのに、時間かかっちゃって。苦しい思い、させちゃった。」
僕がシロを視認してから、大体5秒ほどで水を浴びた。その前にも7秒ほど炎に包まれてた。
かなり速かったとは思ったけど…
「シロは、お世辞みたいにずっと褒められてたから、謙虚になり過ぎてたんだよ。もちろん僕も言いすぎたけど、もっと自信持っていいと思うよ。」
「そう…かな。この固有能力も、正直使い方わからない。」
シロのことだから、てっきり使い方わかってると思ってた…
「使い続ければ、いつかできるようになるよ…!僕だって、最初から全部できたわけじゃないし…シロは僕なんかより要領いいし…」
僕は必死にフォローする。
シロならできるって、信じてるから!
僕が必死に言っているとき、シロが不意に口を抑えた。
「うっ………ゲホッゲホッ……はぁ、はぁ…」
シロが咳き込む。どうしたんだろう?体調が悪いのかな…?
シロはまだ咳き込んでいる
「ゲホッゲホッ……カハッ…!…はぁ、はぁ」
最後だけ何か音がおかしかった…
シロの口元を見ると、血があった。
え、え血?!
「シロ…?!大丈夫…?」
声が震える。
と、とりあえず部屋で寝かせよう…
シロを部屋に連れていく。
10分くらいでシロが落ち着いた。
話を、聞いてみよう。
「シロ、大丈夫?」
「う、うん。急に吐血なんかしちゃって、ごめんね。」
「謝ることじゃないよ。でも、どうしたの?」
短いです許して。
次回『お久しぶりです。』
モノクロシキサイpart16『お久しぶりです。』
シロ吐血後。シロ視点
とうとうやっちゃったなぁ…
あんまり僕の弱いところとか見せたくないんだけど…
「ケホっ…」
なんで、呪われちゃったかな。
僕は天井を眺める。
ドゴン!!
鈍い音がした、この音はトウの銃の音でも、シュシュチャチャ姉妹の長篠の音でもない…!
僕は危機を察知して、ムラさん達の所へ向かった。
音が聞こえたのムラさん達の方だったけど、大丈夫かな…
僕がムラさん達の所へ行った時、クロももうそこにいた。
クロとムラさんとミドさんと…あと1人。見たことあるような無いような人(?)がいた。
「あらあら。もうみなさんお揃いで?まぁ、こちらから向かう手間が省けて助かりました。」
…なんか聞き慣れた声なんですけど。
嫌な予感しかしないんですけど。
ムラさんとその人が会話する。
「へぇ、まさかお前が1人で来るとはな。」
「失礼ね。私はまだ1人でも十分なハンターよ。」
「ははっ。俺はてっきり、アイツに見限られたのかと思ったんだが、なぁ?」
その瞬間、ムラさんと話していた相手がキレたのがわかった。
「私をバカにしているの?確かに最近あの人は1人で活動をしているけど、元々ソロハンターだったのよ?大体あなた達は……」
ソイツが話している隙にクロは背後に回っていた。
いいぞ、そのまま不意打ちを……
「こんな長話しても隙を晒すだけね。」
クロが短剣で攻撃した瞬間、ソイツは手に持っていた斧でクロを派手に吹っ飛ばした。
「そんな小賢しい手は効きませんよ。呪いの子の攻撃なんて、私には効きません。」
ダメージを受けたクロはそいつに話しかけた。
「っ…お前は、誰なんだ…?」
「あら、私ったら。自己紹介もしていませんでしたね。」
ソイツは礼儀正しく一礼をして、遂に正体を明かした。
「私は最上位ハンターの『メイ・エール』。また、シキサイ家の王位第一継承者シロ様専属メイドの『メイ』。お久しぶりです。」
メイ…ハンターだったのか…
髪も服装もメイドの時と全然違う、服はまだメイドっぽさがあるけど……
でも胸の辺りに奇妙な模様がある。
「まぁそんなことは置いておきまして。シロ様がお戻りになられた時、ムラとミドまで連れてくるものですから。その場で殺してやりたくなりました。」
「お前…やっぱりあの時のメイドもかよ。妙な殺気があるとは思ってたが、てっきりシロのものとばかり…」
「私を殺そうだなんてええ度胸やないか。」
メイがそんなこと考えてたなんて…
僕は、全部知った気でいただけなんだ…
ムラさんもミドさんもメイも、クロも。
でも、みんながみんな他の人に言えないような秘密がある。
もちろん、僕にだって。クロにも言ってない秘密がある。
そんな事を考えていると、メイがニヤリと笑って口を開いた。
「シロ様もクロも、私の敵ではありません。警戒すべきはムラとミド。まぁ、優先するのはムラだけど。」
「やっぱりお前は俺から狙うのな…」
ムラさんが呆れ半分で答える。
「事実ムラは、地の壁を作ることができるから厄介なのよね。というか四大精霊能力保持者が全員揃ってるのおかしいと思わない?運命のいたずらにも程があります。」
「諦めるんやな。過去は変えられへん。」
「はぁ、そうよね。まぁいいわ。ーーさっさと始めましょう?」
そう言った途端、メイは素早くムラさんの目の前まで行って、その手に持った大きな斧を振り上げた。
「あぶなっ…!」
間一髪、ムラさんはそれを避けて距離をとった。そしてやられっぱなしではないと言わんばかりに風の弓を構えた。
「あら、そんな悠長に構えてていいのかしら?」
ムラさんが矢を放つよりも少し速く、メイの攻撃はムラさんに届いた。
「がはっ…!!」
「ムラさん!!」
僕らは……ただ見てるしかできないのか…?
悔しくて、手をギュッとキツく握る。
「ムラ、アンタは1人やないで。私らの事忘れたとは言わせへんよ?」
「わかってる。ていうか、まだ一撃しかもらってないんだが。」
意外と余裕そう…?
「トウのいないコイツはただ能力が強いだけの雑魚だからな。」
「まぁ、私らなら余裕なんよな。」
「そんな舐めてると痛い目見るわよ。4対1でも練度は私の方が上なのよ?」
「「「絶対勝ってやる」」」
次回『戦』
モノクロシキサイpart17『戦』
とても珍しいアクション回
流血表現注意
この空気…僕でもわかる、『本気の殺し合い』の空気だ……
僕らが関わっていいレベルを遥かに超えている…!
「クロ!!逃げよう!!」
反射的にクロに叫んで、手を引いた。
ヒュン
風を切る静かな音の後、僕は腕に痛みを感じた。
足を止めて腕を見ると、そこから血が流れていた。
しかも大量に
「っ…!!」
怖い。後ろを振り向くと、メイが笑っていた。
「あーあ、外しちゃった。首を狙ったのにぃ……」
メイも、腕に矢が刺さっていた。
矢ということは……
僕はムラさんの方を見た。
そこには、見たこともないほどに怖い顔をしたムラさんと
片目が赤く染まっているミドさんがいた。
「ヒッ……」
喉から声が漏れる。
ここにいては邪魔になる、傷はウンディーネで治せる。
とりあえず早く遠くへ!
僕は何をそれほど急いでいたのか
《《クロを置いて1人走った》》
「待て!!シロ!!」
そうやって僕を呼び止めるムラさんの声も耳に入らず、ただただ走った。
---
ムラside
シロは一体どうしたんだ?
どれほど取り乱しても、クロだけは大事にしていた…
メイがこちらに斧の先を突きつける
そんなことを考えている暇はないか…
「炎の精霊だけでも殺させてもらうわ。本当は回復持ちのアイツから殺りたかったのだけれど…まぁ、アイツは戦力的にはそこそこって感じだったし。後でゆっくり、ね?」
水の精霊は回復能力があるのか……
ふむふむと脳に刻む。
いやこんなことしてる場合じゃない!
はっとしてメイの言葉を思い返す。
さっきはシロが先に狙われるだろうと思っていたからすぐにメイの腕を撃つことができた。
炎の精霊……サラマンダーは確か…
ん?誰のものでもないぞ…?
わからない、次は誰を守るべきなのかわからない。
俺が思考を巡らせていると、またメイが動いた。
まずいっ、間に合わない!
俺が周りを見渡すと、そこには信じられない光景があった。
「ク……ロ…?」
そこには、真っ赤に染まり倒れていたクロの姿があった。
「クロ…?クロ!クロ!!」
クロに近づくと、そのよう赤の正体がわかった。
「ほ…のお…?」
クロの身体から炎が上がっていた。
真っ赤で、ゆらゆらと揺らめいている。
クロの身体が焦げている様子は無い、それに流血も無い…
「……っ!小癪な!」
メイもクロの様子に気がついたのか、手に持っているいつもの斧を振り上げクロめがけて落とそうとした。
シュン
一筋の風。鋭く、静かな風の音。
「私のこと、忘れたら許さへんで?」
年齢制限は念の為です。
短いのはなんかキリがよくなっちゃったからです。
次回『一面の』