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目次
音色 第1話
【登場人物】
成澤 美浪(なりさわ みなみ)
恵川 玲央(えがわ れお)
幸寺 紫央(こうでら しお)
美澤 駿(みさわ しゅん)
和太利 碧音(わたり あおと)
私の名前は|成澤 美浪《なりさわ みなみ》、新中学1年生。
今、学校の門の前にいる。
横には私の幼馴染の親友・|恵川 玲央《えがわ れお》がいる。
今日から中学1年生、楽しみだぁ~♪
私は、中学受験をして|私立景浜中学校《ここ》に入った。
元々は景浜中出身の親に勧められて受験勉強し始めたけど、オープンスクールや学校のホームページで入りたい部活・【軽音楽部】を見つけたんだ!
---
「おいおい…美浪、早すぎたんじゃないか?来るの」
玲央が苦笑いで私を見る。
「いいじゃん、いつかの誰かさんのせいの遅刻より」
「まだ根に持ってたのか」
玲央とは小学校に入学する前から仲が良くて、小学校の入学式も一緒だった。
その時は玲央が寝坊して私も遅れたけどね。
逆に今日は早すぎた。
門が開くのは午前9時なのに…今はっと…8時過ぎだね☆
まぁ、遅いよりはマシ。
周りには、ランニングをする人やわんころ(犬)の散歩をする人がちらほら。
「えいっ」
私が学校に目を向けると…玲央が門に足をかけていた。
「ちょちょちょちょちょ、待てーいっ!」
「あ?」
「あ?じゃないんだよ!それ侵入だよ?」
「うん」
「うん、でもないんだって!」
玲央はひょいっと門の向こうに無事着地。
「美浪も来いよー」
「行くか!」
「じゃあもう行っちゃう~」
「勝手にして!」
……ってもういないし!
私は急に周りの視線が気になり始めた。
「仕方ないな…」
私も門に足をかけた。
音色 第2話
【登場人物】
成澤 美浪(なりさわ みなみ)
恵川 玲央(えがわ れお)
幸寺 紫央(こうでら しお)
美澤 駿(みさわ しゅん)
和太利 碧音(わたり あおと)
「よいしょっと…」
結局小学校の時とは変わってないなぁ。
でも、それでも良いよね。
|玲央《れお》は花壇の花を見ている。
花好きなんだよなぁ、家がお花屋さんだからかな?
「これはね、パンジーって言うんだよ」
「知ってるよ」
それくらいは私も小さい頃から玲央に教えられてるし…。
「サクラミナミはないね」
サクラミナミ…それは私と玲央の思い出の花。
遡ること8年前……。
---
「近所に引っ越してきた成澤です、お花、綺麗ですね」
私は5歳の時、今の地域に引っ越してきた。
家の近所をお母さんと散歩をしていたら、お母さんが玲央のご両親がやってるお花屋さんに寄って。
「あら、可愛いお嬢さん。お名前は何て言うの?」
「みっ…みなみですっ!」
玲央のお母さんはそう言って私に綺麗なカーネーションをくれた。
「母さん、こっちは?」
その時に玲央が出てきて。
綺麗な花を持ってて…
「あ…サクラミナミ。今日入ったんだっけ。まだあるから、|美浪《みなみ》ちゃんにあげたら?」
サクラミナミって花らしい。
「これ」
「ぁりがと…」
恥ずかしくなって家に走って帰っちゃったっけ。
音色 第3話
【登場人物】
成澤 美浪(なりさわ みなみ)
恵川 玲央(えがわ れお)
幸寺 紫央(こうでら しお)
美澤 駿(みさわ しゅん)
和太利 碧音(わたり あおと)
「さーて、どうすっかなぁ」
まだ始業時間じゃないのに…入学式前に…学校入ってしまった(侵入)私・|美浪《みなみ》と幼馴染の|玲央《れお》。
学校の門の内に入ったとしても、教室には入れない(メンタル的に)。
「と、とりあえずあそこに貼ってあるクラス分け表見よ!」
昇降口の前に大きな紙が貼ってあるのを見つけた。
「え~っと俺は…1組か」
「あぁ~私3組だ!階まで違うね」
「一人で行けるかな?」
「私もう中学生だあーい!」
私と玲央がわいわいわいしていると…。
「一年生…?」
靴箱からひょこっと顔を出したのは、背の高い女の子。
「あっ…今日入学式でっ…」
「一年の|恵川《えがわ》です!同じく、こっちは|成澤《なりさわ》です」
「初めまして、私は2年生の|幸寺《こうでら》」
どうしよ…先輩来ちゃったよ。
ん?でも始業時間じゃないから先輩も侵入?
「えっと…まだ学校入っちゃダメですよね」
「あはは、言える立場じゃないって君たち。私は生徒会員だから入れるんだよ~門の鍵渡されてるし」
なるほど…腕に『生徒会』って文字が書かれた輪っか付けてる。
……ということは、私達は追い出され…るよね!
「外なんか暑くない?生徒会室来なよ」
「えっ…」
「あざすっ」
玲央…あざす、じゃないでしょ…。
私達は幸寺先輩に付いていった。
---
生徒会室は、エアコン付きの綺麗な部屋だった。
「たっだいま~」
「お?誰連れてきたん?」
「|紫央《しお》、職員室にコピー取りに行ったんじゃなかったの?」
私と玲央が幸寺先輩と生徒会室に入ると、一気に注目が集まった。
「新しく学校に入る一年生だよ」
「んあ?まだ早くね」
飴を舐めている…いいのかな、生徒会員だから許されるのかなぁ?
でもかっこよ…。
「いいじゃん入っても」
「りょ」
「ま、可愛い|New《ニュー》後輩って事で入学式まで居なよ、ジュースあるし!」
こうして生徒会室にお邪魔することになった。
音色 第4話
【登場人物】
成澤 美浪(なりさわ みなみ)
恵川 玲央(えがわ れお)
幸寺 紫央(こうでら しお)
美澤 駿(みさわ しゅん)
和太利 碧音(わたり あおと)
「はい、|恵川《えがわ》くんコーラとサイダーどっちがいい?」
「えーじゃあ、サイダーで」
「|成澤《なりさわ》ちゃんは?」
「わっ、私は良いですっ!!」
「遠慮しないでー」
私と|玲央《れお》は、今生徒会室にお邪魔中です。
でも何故冷蔵庫があるのだか…。
「ねぇ、今何時ー?」
「午前8時28分です。門が開いて新1年生が入るまで32分あります」
「ありがとー!もっとくつろいでね♪」
「|紫央《しお》コピーは?」
「これっ!」
「コピーミスは…ないわね」
「コピー機の調子最近良いよね~」
生徒会って大変だなぁ、こんな朝早くに仕事って……。
「|美浪《みなみ》、今日って筆箱いるっけ…」
玲央がサイダーの缶を片手に持って言う。
「え…いるでしょ、新しい教科書に名前とか書くだろうし」
「えマジかぁ、忘れたわ」
私は筆箱の中からシャーペンを出して渡す。
「はい、消しゴム使っていいよ。油性ペンは後で貸す」
「ありがと!帰りなんか奢るわー」
「じゃあ高いものにしようかなぁ」
「おいおいー」
わいわい賑やかな生徒会室……。
コンコン…
ノックの音がした。
「紫央さーん?職員室にペン忘れて…」
先生だっ!私達がいるの、バレたらまずいかも…。
焦って|幸寺《こうでら》先輩を見ると、机の下に隠れるようハンドサインで指示された。
ガチャッ…
「ほら…すぐ物を失くすんだから…」
「えへへっ、ありがとうございます」
「コピー機使うなら今のうちよ~」
「了解です!」
ガチャ。
先生は出て行ったようだ。
「成澤ちゃん、恵川くん、出てきて良いよ」
「あざす☆」
「ありがとうございます…」
「あ、もうそろそろ9時だね…門の近く行っとこうか」
「ん?それじゃ見つかるくね?」
「そっかぁ…じゃあ《《裏ルート》》通っちゃおっかー」
裏ルート…?
「ふふっ、私に付いてきて!」
私と玲央はお茶目に笑う幸寺先輩の後を追った。
音色 第5話
【登場人物】
成澤 美浪(なりさわ みなみ)
恵川 玲央(えがわ れお)
幸寺 紫央(こうでら しお)
美澤 駿(みさわ しゅん)
和太利 碧音(わたり あおと)
裏ルートを通って外に出るという|幸寺《こうでら》先輩に付いていく私と|玲央《れお》。
今居るのは…はしご。
生徒会室を出て右に曲がると、倉庫みたいな部屋があって…入って先輩が段ボールを動かすと下に繋がるはしごがあった。
「汚ね…」
「玲央」
「ハイハイッ」
はしごを降りると…そこは、玄関の前だった。
先輩はジャンプして開いた天井を閉めた。
「行ってらっしゃい!」
先輩は笑顔で送り出してくれた。
「「行ってきますっ!!」」
---
ザワザワ…
玄関からひょこっと顔を出すと正門は新1年生と保護者様で溢れかえっていた。
「あれ、玲央のご両親来ないの?」
「花屋あるし?|美浪《みなみ》は?」
「私も仕事だから来れないって」
「じゃ一緒に帰るかぁ~」
「そーだね」
そんな会話をしながらそれぞれの教室に向かった。
「頑張れよー」
「そっちもね」
---
はぁあ…玲央とは話せるけど、一人だなぁ…。
同小さんはいるけどあんまり話したことないし…。
私は自分の出席番号を思い出して、誰とも話すことなく着席した。
漫画のように隣の席にイケメンが座って挨拶してくれた……訳もなく。
隣は全く知らない、おとなしそうなハーフアップの女の子だった。
もちろん私から話しかけることもなく。
左隣はお休みみたいです。
「はーい、新1年生の皆さん初めまして、担任の|水森《みずもり》です」
担任の先生は、ロングヘアをポニーテールにして…ハキハキと喋るアクティブな感じの人らしい。
「んー…まだ入学式まで時間あるな、じゃあ自己紹介しましょーかっ!」
えっ…じじじ自己紹介だって!?
私結構前の席だから早めに順番来るのでは!?
「私の名前は…」
わわわっ、始まっちゃったよーっ!
音色 第6話
【登場人物】
成澤 美浪(なりさわ みなみ)
恵川 玲央(えがわ れお)
幸寺 紫央(こうでら しお)
美澤 駿(みさわ しゅん)
和太利 碧音(わたり あおと)
・ ・ ・
西羅 綾(にしあみ あや)
「んー…まだ入学式まで時間あるな、じゃあ自己紹介しましょーかっ!」
えっ…じじじ自己紹介だって!?
私結構前の席だから早めに順番来るのでは!?
「私の名前は…」
わわわっ、始まっちゃったよーっ!
---
ガタッ…
前の席の人が座る。
次は私…緊張によろけながら立ち上がる。
「|成澤 美浪《なりさわ みなみ》…です!よろしくお願いしますっ」
「げっ…元気ですね!そのパワフルさを大事に一年頑張りましょう!」
ガタンッ…!
あぁ~、大きな音立てちゃったよ…。
先生も苦笑で早くも悪目立ち。
私が落ち込んでいると、順番は隣のハーフアップの子に回って来ていた。
おとなしそうな子だよねぇ…名前何て言うんだろ。
「|西羅 綾《にしあみ あや》です。生徒会長を目指してます、よろしくお願いします」
「目標があるのはとても良いことです!」
生徒会長…か。
さっき生徒会室に行ったけど誰が生徒会長か分かんなかったなぁ。
でも…西羅さんなんで生徒会長目指してるんだろ。
私はますます西羅さんが気になりだした。
音色 第7話
【登場人物】
成澤 美浪(なりさわ みなみ)
恵川 玲央(えがわ れお)
幸寺 紫央(こうでら しお)
美澤 駿(みさわ しゅん)
和太利 碧音(わたり あおと)
・ ・ ・
西羅 綾(にしあみ あや)
入学式が終わって靴箱の前で|玲央《れお》を待つ。
「|美浪《みなみ》ー、こっちこっち~」
「あ、れ…」
私が玲央の名前を呼ぼうとしたその時…後ろに何十人もの女子が!
「れ…玲央?大丈夫?早速なんかやらかしたん?」
「違う違う!なーんにもやってないしっ!」
「……こっち来てっ!」
私は女子に囲まれて動けない玲央の腕をつかんで走り出した。
「おっ…と!危なかったけどありがと、暑かったわ」
「さ~帰りますかぁ」
「うん」
私達は並んで歩きだした…はずが。
私のリュックを誰かが後ろから掴んだ。
「お待ちください」
振り返るとそこには…生徒会長志望の|西羅《にしあみ》さん。
「美浪…この人は?」
玲央が私に訊く。
「同じクラスで隣の席の…西羅さん!」
「よろしくね~僕は|恵川 玲央《えがわ れお》だよ」
…玲央、そうじゃなくて!
「に、西羅さん…どうしたの?」
私がそう言うと西羅さんはリュックをつかむ力を弱めた。
「《《美浪》》さんに御用があるのです、恵川さんは先にお帰りください」
「え…美浪?」
玲央はこっちを見た。
「あっ…そうなんだ!じゃあ玲央は先帰っといて!」
「う、うん…じゃバイバーイ」
私は玲央に手を振った後、学校とは逆方向に歩き出した西羅さんに付いて行った。