読み方
1話ずつ表示します。
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
普通の魔法使いですが、歩く天災と相棒になります。
この世界において、魔力とは誰もが生まれ持つ普遍的なエネルギーであり、魔法は学問であり技術だ。 人々の生活には当然のように魔法が溶け込んでおり、中でも優れた才能を持つ若者たちは、国家を守るエリートとなるべく『王立マギウス魔法学校』へと集められる。広大な敷地にそびえ立つ古風な白亜の校舎、飛び交う箒、そして日々響く呪文の詠唱――それが、私の通う学校の日常だ。
「――以上の理由から、今年度より本学園では二人一組の『固定ペア制』を導入する。今から発表する相棒は、卒業まで生死を共にする運命の相手だ。……では、次。浅野リノ」
担任の適当そうな声が、教室に響く。 私は、後ろで一本に結んだ三つ編みをきゅっと握りしめた。どうか、真面目で常識的な、普通に話し合える女の子が相棒になりますように。そう神に祈った瞬間だった。
「ペアは、如月アル」
その名前が呼ばれた瞬間、教室の空気がまたたく間に凍りついた。 周囲の生徒たちが、一斉に怯えと哀れみの混ざった視線を私に突き刺してくる。
(き、如月アル……!?)
頭が真っ白になる。 如月アル。入学試験をトップで通過し、一世代に一人現れるかどうかの規格外の魔力を持つと言われる、学園一の高嶺の花にして『歩く天災』。いつも無表情で、人を寄せ付けない冷徹な天才エリートだ。(ひ、ひぃぃっ、終わった……! 怒らせたら一瞬で消し飛ばされる!私の青春終わったぁ⋯⋯!)
私はガチガチに緊張しながら、教室の隅で、サラサラの黒髪を揺らして窓の外をぼんやり見つめている彼を、恐る恐る盗み見た。
挨拶をする間もないまま、最初の授業として、私たちはさっそく学園の『演習用地下ダンジョン』へと放り込まれた。 ここは古代の遺跡を模した魔導空間で、実戦さながらの魔獣が現れる危険な場所だ。学校側はペアの連携を見たいのだろうが、私の心臓は破裂寸前だった。隣を歩くアルは、相変わらず何を考えているか分からない完璧な無表情。
その時、通路の奥から地響きが轟いた。 現れたのは、並の魔法使いが数人がかりで挑むレベルの巨大な魔獣『オーク・ジェネラル』。猛烈な咆哮とともに、鋭い爪が私たちを目がけて振り下ろされる。
「如月くん、危な――」
私が叫びかけた、その時だった。 アルが、着ていたベージュの上着のフードを、バサァッと深く被った。
(え……?)
次の瞬間、アルの全身から、空気が自重で歪むほどの圧倒的な魔力が噴き出した。暴風のようなプレッシャーが肌を刺す。 彼は無表情のまま、杖も使わず、ただ一言、短く呪文を紡いだ。
「――『灰塵』」
彼が指先を向けた瞬間、ダンジョンの天井を焦がすほどの、見たこともない巨大な烈火の渦が放たれた。熱波が空間を支配し、凶悪な魔獣は反撃する暇さえ与えられず、一瞬にして文字通り『消し炭』へと変えられてしまったのだ。 あまりの次元の違う強さに、呆然とする一同。 しかし、その圧倒的な背中を見つめていた私の脳内では、恐怖が一瞬で消し飛び、別の思考が猛スピードで回転を始めていた。(……待って。こやつ……意外と頼りになるのでは!?)
私の顔が、一瞬で現金な輝きを帯びる。
(私みたいな普通の魔法使いが、こんな規格外の盾を手に入れちゃったわけ? 才能ある人とつるんでて損することなんてないし……あれ? 私、めちゃくちゃラッキーかも!!!)
演習が一段落した後。 アルの戦闘力に味を占め、すっかり恐怖の消し飛んだ私は、職員室のドアを勢いよく開けた。担任の先生への、殴り込み(という名の質問)である。
「先生!! なんで私が如月くんとペアなんですか!?」
机に両手をついて詰め寄る私。当の担任は、お茶をズズッとすすりながら、軽いノリで平然と言い放った。
「あ〜、なんか君たちの魔力とか得意な魔法、性格。全部ピッタリっぽかったからペアにしときました〜」
あまりの適当さに、顔が引きつる。
「な、なんて適当そうな理由なんですか……!!」
「いやいや、リノさんの精密な防御魔法なら、彼の暴走気味な火力をいい感じにカバーできるでしょ。あ、そうだ。明日の課題の打ち合わせ、彼の部屋でやってね。アルくんに鍵渡しといたから」
翌日の放課後。 私は指示された通り、男子寮にあるアルの部屋の前に立っていた。 強いと分かったものの、あの無表情で威圧的な彼とはまだ全然打ち解けられていない。心臓をバクバクさせながら、ドアをノックする。
「如月くん? 浅野です。入るよ?」
返事がないため、恐る恐るドアノブを回し、ガチャリと扉を開けた。 そして――私は、そのまま石のように固まった。
「…………は?」
部屋の中は、破滅していた。 脱ぎ散らかされた服、山積みの魔導書、いつのものか分からないお菓子の袋。足の踏み場もない、完全なるゴミ屋敷。 その中央で、あの完璧な美少年・如月アルが、ぽつんと座っていた。
「あ……」
私と目が合ったアルは、いつものクールな無表情のまま、少しだけ気まずそうに視線を泳がせ、ぼそりと言った。
「あー、ごめん。俺片付け苦手だから……」
(苦手とかいうレベルじゃない……! なんだコイツ……!)
まだ彼が怖いはずだった。粗相をして怒らせたら消し飛ばされるかもしれない。そう思っているのに――あまりの惨状を前に、私の『しっかり者』としての本能が、恐怖を完全に凌駕してしまった。
「なんて片付けがいのある部屋なんですか⋯」
私は無言のまま腕をまくり、爆速で部屋の片付けを開始した。 ゴミをまとめ、服を畳み、本を棚に押し込む。目にも留まらぬスピードで部屋が綺麗になっていく。 数分後。すっかり見違えるほどピカピカになった部屋の中心で、私はようやく我に返った。
(はっ……!?)
血の気が引く。私、あの『歩く天災』の部屋を勝手に、しかもキレ気味に片付けてしまった。 私はガタガタと震えながら爆速で部屋の隅へと後退し、壁に背中を押し付けながら悲鳴気味に叫んだ。
「ご、ごめんなさい! 勝手に片付けしちゃって……!」
終わった。消し飛ばされる。そう覚悟して目を瞑った私に、アルは相変わらず完璧な無表情のまま、淡々と言った。
「……別に大丈夫。それで要件は?」
全く気にしていない様子で、そのまま平然と課題の書類を開くアル。
(き、気にしないんだ……っていうか、要件進めるんだ……!?)
学園の超天才エリートの裏の顔は、私生活がダメダメで、かつ色んな意味で規格外にマイペースな男の子だった。私たちの前途多難なペア生活は、こうして幕を開けたのだった。
普通の魔法使いですが、歩く天災と相棒になります。【第二話】
王立マギウス魔法学校の二日目。
放課後の実習室で、私は早くも頭を抱えていた。
「如月くん、ちょっと待って。なんで制服のボタンが一個余るの? 鏡見なかったの?」
「……ボタン、穴に対して多すぎる気がする」
「そんなわけないでしょ! この歳になってボタンとめれないのは普通にやばいよ!」
完璧な無表情のままおかしな供述をするアル。学園一の天才エリートの正体が生活能力ゼロのポンコツだと知ったのは昨日のこと。周囲からは誤解の目を向けられているが、私はただ、常識人としての本能で動いているだけだ。 その時、実習室の重い木製の扉がバンッ! と激しい音を立てて跳ね上がった。
「そこをどけ、一般人の底辺魔法使い」
響き渡る、低く傲慢な声。 現れたのは、艶やかな黒髪ロングをなびかせた、いかにも名門貴族といった佇まいの男子先輩――二年の御剣レオだった。成績優秀だがプライドが高く、特待生のアルを激しくライバル視している男だ。その後ろから、毛先を少し遊ばせた金髪ショートの小柄な女の子――雛森スズ先輩が、暖色系のベストの袖をきゅっと握りしめてオドオドとついてくる。
「おい、お前が噂の浅野リノだな。アルの固定ペアに選ばれたなんて何かの間違いだ。奴の隣に立つのにふさわしいのは、成績優秀なこの俺だ! 今すぐその席を俺に譲れ!」
「あ、あの……レオくん、もうやめようよぅ……。一年の実習室に乗り込むなんてだめだよぉ……」
スズ先輩が涙目で御剣先輩の服の裾を引っ張るが、先輩は止まらない。フンスと鼻を鳴らして私を指差す。凄まじい剣幕で捲し立てられ、周囲の生徒たちが息を呑む中、私の脳内は全く別の方向へと爆走していた。
(えっ、何これ。ペア代わってくれるの!? 代われるもんなら今すぐこいつを差し上げたい……! アルがどれだけ私生活破滅型ポンコツか分かってないな!? しかも後ろのスズ先輩、小動物みたいでめちゃくちゃ優しそうだし落ち着いてるじゃん! あっちの先輩と組んだ方が私の精神衛生上、絶対に良い!!!)
チャンス到来とばかりに、私の表情がパァァッと明るくなる。
「あの、御剣先輩! 私としては本当に異議なしというか、むしろ大歓迎ですので、今から一緒に職員室に行って先生に直談判を――」
私が目を輝かせて御剣先輩の手を握ろうとした、その時だった。横から、アルがいつも通りの完璧な無表情のまま、トドメのド正論を平然とぶちまけた。
「……そもそも君、誰? ペアとか誰でもいいけど、変えるのもめんどくさいし。君たちの権力じゃ学校の決定は簡単には変えられないのでは?」
「……え?」
御剣先輩の動きがピタッと止まる。
「だ、誰って……俺は二年の御剣レオだぞ!? 学年次席の……!」
「覚えてないです。変える手続きをする時間が無駄」
「な、何だと……!? この俺を覚えていない上に、めんどくさい扱いだと……っ!?」
ショックを受けてよろめく御剣先輩。
「(ひぃっ! 相変わらず正論だけど言い方!先輩のプライドを少しでも気にしないのか!)」
アルの容赦ないバッサリ感により、実習室の空気は一瞬で一触即発の地獄と化したのだった。
翌日。たまたま予定が重なり、私たちは二年ペアと合同で『演習用第3ダンジョン』へと入ることになってしまった。 御剣先輩は道中もずっと私を忌々しげに睨みつけていたが、通路が狭くなったエリアに差し掛かったその時、先輩の目が妖しく光った。
「――『バーストプロミネンス』!」
先輩が杖を振り、前方ではなく、わざと通路の天井に向けて過剰な威力の爆炎を放ったのだ。
「ひゃぅっ!? レオくん、このエリアは衝撃に弱いから派手な魔法はだめって言ったのにぃー!」
スズ先輩の悲鳴が響く。だが、御剣先輩の狙いは最初からこれだった。 ガラガラガラ! と激しい音を立てて、大量の土砂と巨大な岩石が崩落する。
狙い通り、崩落した岩によって通路は完全に二つに分断された。前方にはアルと御剣先輩。そして後方――崩落に巻き込まれそうな位置に取り残されたのは、私とスズ先輩だった。御剣先輩は岩の向こうで「フン、自力で這い上がって来るんだな」と冷酷に吐き捨てる。 さらに最悪なことに、振動に刺激された害虫型魔獣が数十匹、私を目がけて一斉に飛びかかってきた。
「くっ――『円環の盾!」
私は咄嗟に得意の結界魔法を展開する。だが、全方位から群がる蜘蛛たちの質量にじりじりと結界が削られ、表面にピキッとヒビが出始めた。岩の向こう側から、アルがベージュの上着のフードをバサッと深く被り、壁を破壊して引き返そうとしている魔力の高まりを感じる。けれど、彼の広範囲大火力魔法をこの狭い空間で使われたら、壁が完全に崩壊して私が下敷きになってしまう。御剣先輩のせいで、完全に詰んだ――!
(まずい、防ぎきれない――!)
いよいよ結界が砕け散ろうとした、その瞬間だった。
「――『ステラバースト』っ!!」
いつもオドオドしていたはずの、あのスズ先輩の声が、驚くほど鋭く通路に響き渡った。 直後、私の結界をすり抜けるようにして、眩い光の弾丸が数十発、超高速で降り注いだ。その光の弾は、私の体には掠りもしない完璧な軌道を描き、結界に群がっていた蜘蛛たちの急所だけを正確無比に撃ち抜いていく。魔獣たちが次々と消滅してき、一瞬にしてあれだけいた魔獣が全滅した。 唖然として立ち尽くす私に、パタパタと小さな影が駆け寄ってくる。
「ふぇぇ……間に合ってよかったぁ……。浅野さん、大丈夫? さっきはうちのペアがひどいことしてごめんね。これ、そのお詫び……!」
さっきの凛々しい詠唱はどこへやら、両手を合わせて涙目でオドオドと謝るスズ先輩。実は彼女、普段はあんなに弱気なのに、特定の狙撃・支援魔法に関しては学年トップクラスの隠れた実力者だったのだ。
(えっ、カッコよすぎる……!!)
私はスズ先輩の手をがしっと両手で握りしめ、コロコロと表情を変えながら感動の声を上げた。
「スズ先輩……! 助けてくれてありがとうございます! 私、先輩のこと一生推します!」
「ひゃぅっ!? お、推されるほどのことじゃ……! 私なんて全然だしぃ……!」
その後、アルが反対側から呆れるほどの力技で岩盤を消し飛ばし、無事に合流。御剣先輩はアルの無言の威圧感に青ざめていた。
演習が終わる頃には、私とスズ先輩は「お互い我が強い相棒を持つと大変だよね……」とすっかり意気投合し、魔導通信の連絡先をがっちり交換する仲になっていた。
そんな私とスズ先輩の仲睦まじい様子を、アルはベージュのフードを被ったまま、心なしか呆れたように見つめているのだった。
普通の魔法使いですが、歩く天災と相棒になります。【第三話】
ぽかぽかと温かい太陽が照らす、お昼休みの学園の中庭。私は、前回の演習をきっかけにすっかり仲良くなったスズ先輩と、お互いにお弁当を持ち寄って芝生の上で食べていた。
「リノちゃん、あんな強い子と一緒になって大変じゃないの?」
卵焼きをモグモグと食べながら、スズ先輩が心配そうに首を傾げる。金髪ショートの毛先がふわふわと揺れて、まるで小動物のようだ。学園一の『歩く天災』如月アル。周囲から見れば、彼とペアを組むのはさぞかし心労が多いと思われているのだろう。
「大変ですけど……ラッキーじゃないですか!?」
私が即答すると、スズ先輩は箸を止めてぱちくりと目を丸くした。
「えっ? じゃあリノちゃんは如月君のことをそういう目d――」
先輩が「これって恋バナかな?」と頬を染めかけた、その瞬間。私はお弁当の唐揚げを指差しながら、食い気味に本音をぶちまけた。
「だって!! 私普通の魔法使いなのに強ーい盾ができたんですよ!? 私生活はヤバいですけど、あんな規格外の火力を持った人と仲良くしといて損なんてないじゃないですか〜!」
「あ……そ、そっかぁ」
あまりにもビジネスライクで現金な回答に、スズ先輩は引き気味に苦笑いした。そんなお弁当タイムから数時間後。
放課後の私たちは、ペア専用の個別課題として『演習用第5ダンジョン』の前に立っていた。今回の任務は合同ではなく、私とアルの2人きり。しかも、四方を同じような岩壁で囲まれた、複雑に入り組んだ『迷路の洞窟』の突破だ。 一歩、薄暗い洞窟に足を踏み入れた、その時だった。隣を歩くアルの様子が、明らかにおかしくなった。相変わらず顔は完璧な無表情なのだが、なぜか生まれたての小鹿のように、足元がガタガタと激しく震えているのだ。
「き、如月くん……? どうしたの?」
私が嫌な予感を嗅ぎつけ顔を覗き込んだ瞬間。アルは急に細い肩をビクッと震わせ、見たこともないほど涙目で
「……俺から離れるな……」
と、私の服の袖をぎゅぅぅっと力一杯掴んできた。「うおっ!?」
あまりの破壊力に心臓が跳ね上がる。だが、彼の口から紡がれたのは、天才のイメージを木っ端微塵に打ち砕く衝撃の事実だった。
「こんな洞窟絶対無理だから。」
(……は? 待って。もしかして……壊滅的な方向音痴をこじらせた、迷路恐怖症的なやつ!?)
戦う時はあんなに無敵のくせに、まさかの『迷路の中では誰かがいないと迷子赤ちゃん』と化していた。しかし、極度の鈍感である私は、その神シチュエーションを前にしても、真顔で冷徹に言い放つ。
「ペアなんだから離れませんよ。とりあえず手は離してください」
「……いや、ガチで無理。離せって言うんなら俺帰るから。」
無表情のまま涙目で縋り付いてくる美少年。(いや、顔が良いからって許されると思うなよ! セリフの糖度が高そうに見えて、ただ迷子が怖いだけじゃん!でも居なくなるのは困るんだよなー⋯)
結局、アルに袖をがっちりホールドされたまま、探索がスタートした。 私はため息をつきながら、得意の魔力計算を使って迷路の正しいルートを分析し、彼を引率していく。途中で不意打ちの魔獣が現れた時も、アルはベージュの上着のフードをバサッと深く被り、私の袖を掴んだまま、空いた方の片手だけで巨大な雷撃を放って魔獣を瞬殺した。
(腕焦げそう⋯⋯)
相変わらずの戦闘時のカッコよさと、私生活・精神面のヤバさ。そんな凸凹な連携(?)を繰り返しながら、私たちはなんとか複雑な迷路を解き明かし、ついに眩しい光が差し込む洞窟の出口へと這い出た。
「ふはぁー! やっと出た!」
開けた外の空気を吸って、私は伸びをする。 ふと横を見ると、安全な場所に出たというのに、アルはまだ私の袖をきゅっと掴んだまま、ぼんやりと佇んでいた。
ダンジョンを無事に突破して完全に心の余裕を取り戻した私は、ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべ、少し身を乗り出して生意気に言い放った。
「如月くん、迷路出たんだから手離したらどうです? 変人だと思われますよ〜!?」
その瞬間、アルはハッと我に返ったように、パッと私の袖から手を離した。そして、いつもの完璧な無表情に戻り、どこか解せないといった様子で私をじっと見つめながら、ぼそりと呟いた。
「……君、そんなキャラだったっけ」
「ぎゃ、逆にどんなキャラだと思ってたんですか?ほら、早く資料提出するよ!」
私は三つ編みを揺らしながら、逃げるように寮へ帰る。アルは少し困惑したようにベージュのフードを脱いで、私の後ろを静かについてくるのだった。