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目次
1 まあ、そうなるよね
静かな部屋に一人きり。
考えることはたくさんあるけど、あなたのこと思い出せない。
体育座りで疼くまる。
「兄ちゃん…」
あの日、僕が遊びに行ってなければ。
あの日、僕が彼のそばにいたならば。
あの日、僕が死のうとしなかったら。
「ごめんなさいごめんなさい」
「許して許して助けて」
---
3日たった。
食事もまともにしていない、学校にも行っていない。
「|京《ケイ》!」
僕の代わりに、兄ちゃんが死んだ。
電車が止まり、周りがざわつく。
いじめられてる僕は、奴らに呼び出された。
そしてそのまま…。
「にいちゃあああああああああん」
泣き叫んだって意味はない。
彼は帰ってこない。
こんな自分に笑いかけて、悩みを聞こうとしてくれて、勉強もスポーツも。完璧な兄。
かっこいい、憧れが、
羨ましい、妬ましい。
そう、変わった日のこと思い出す。
---
「兄ちゃんはすごいなあ…。」
母親の袖を掴んで見た表彰式。
兄ちゃんは金賞、僕は努力賞だった。
いやまあ、努力賞だってすごい事だ。
「にいちゃ、」
兄の元へ駆け寄ろうとした時。
「すっげーな」
兄ちゃんには友達がいた。
僕には兄ちゃんしかいない。
羨ましいな。
「兄ちゃんは金賞だって、表彰台、すごいね〜」
父親の発言。心に何か…
妬ましい…。
だから、彼にあんな事を言ったんだ。
「お兄ちゃんにはわからないよ。わかったとしても、変わらない!」
兄は驚いていた。自分を捕まえようとしていたっぽいが、するりとかわして逃げた。
一直線に。駅に。
まあ、そうなるよね。
兄殺した同然の僕。
親に見捨てられたのだろう。
こんな部屋に閉じ込められて。