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目次
【東方単発二次創作小説】市のあと
登場キャラクター
天弓千亦
十六夜咲夜
飯綱丸龍
菅牧典
姫虫百々世
夢を、視た。
いずれ正夢になる夢を。
その部屋には誰もいなかった。
私は薄暗い部屋を歩きながら探し人の名前を呼ぶ。そして気づいた。自分が今探している人達は、もうこの世にはいないことを。
体が宙に浮くような感覚を覚え、目を覚ます。いつもの朝。
私はゆっくり体を起こす。
(またあの夢か…最近よく見るなぁ)
時計を見る。朝4時。
寝るにも起きるにも中途半端な時間。
ふと隣を見ると、飯綱丸達が静かな寝息を立てていた。
共に新たな市場を立ち上げ、この山の経済を動かしてきた、私の大事な共同経営者たち。
起きている時は互いに譲らない彼女たちが、今はただ静かに眠っている。
私は彼女たちの布団を動かさないよう、そっと布団を出た。
朝の人里は、思いの外寒かった。
いつもの虹色の服にしておけばよかった、とマフラーの裾を引き上げながら、私は少しだけ後悔していた。
人里の外れへと続く道を、あてもなく歩く。
行き着いたのは、早朝の冷気に白い霧を立たせる川辺だった。ごうごうと音を立てて流れる水面を見つめながら、私は先ほど見た夢の、あのガランとした部屋の静寂を思い出していた。
ふいに、後方から声がかかる。
「おはようございます」
私は思わず振り向く。
そこには見覚えのあるメイド服の少女が立っていた。
「あなたは……確か、アビリティカードのとき、市場に来た」
「ええ、そうです。十六夜咲夜です。
いつもの服ではなかったのでためらいましたが、やはり天弓様でしたね」
と言って、彼女は私の隣に移動する。
さっき買い物をしてきたばかりなのだろう。肩にはいっぱいに野菜の入ったバッグがかかっている。
「朝から買い物、か。貴方も熱心ねぇ」
「お嬢様方のお食事の準備がありますので。
それにしてもこんな朝から一人でどうされたのですか。もしかして同居の方々と喧嘩を……?」
「そんな訳ないでしょ……それより、ねぇ、少し話を聞いてもらってもいいかしら」
咲夜は首を傾げる。
私は空を仰ぎ、ゆっくりと白い息を吐いた。
「人間って、せっかく色んな経験や知識を買い揃えても、たった数十年で全部手放して店じまいしちゃうでしょう。どんなに価値あるものも、最後は手元に残らない。……ねえ、十六夜咲夜。あなたもいつか、あのお嬢様方を置いて、そうやって勝手に取引を終了しちゃうわけ?」
咲夜は驚きも動揺もしなかった。ただ、見据えるような目でこちらを見ている。私が何を言わんとしているのか、彼女は即座に理解したようだった。
「……私は人間です。いつかはきっと、お嬢様を置いて旅立つ日が来ます」
咲夜の声に悲壮感はなかった。
「ですが、終わるからといって、今ここにある忠誠や、共に過ごす時間が偽物になるわけではありません。私は私の時間を、ただここで全うするだけです」
「……全うする、ね」
ええ、と咲夜は目を閉じる。
「前にお嬢様に、永遠の命を持ちかけられたことがありました。ですが、私は一生死ぬ人間。きっと時間を持て余してしまうはずです」
悲しさは感じなかった。寂しい、可哀想というのも少し違う。人間はこういう考え方をするのかと思った。
遠くの山から眩い朝日が顔を出す。
眩しさに目を細めた私に、咲夜は言った。
「私はそろそろ行かなければ。お嬢様方のお食事は朝早くから作らないと間に合いませんからね」
そう言って彼女は頭を下げ、迷いのない足取りで人里の道を戻っていった。その背中を見送りながら、私はもう一度、マフラーの裾をぎゅっと握り直す。
家に帰ると、部屋の電気がついていた。多分みんなもう起きているのだろう。
「……あ、千亦。朝っぱらからどこ行ってたんだよ」
飯綱丸が湯呑みを置いて振り向く。
「あ、飯綱丸おはよう。…うーんと、まぁちょっと人里の見回り?」
「千亦殿、おはようございます。いつもの虹色の服が居間に置いてあったので、家出でもしたのかと思いましたよ。」
典が隣の部屋から湯呑みを持って来る。
「んな訳ないでしょ……」
「んで?人里警備の成果はどうだったんだよ?」
百々世が炬燵から身を乗り出す。
「んまー……ぼちぼち、かな」
「なんだよ、その曖昧な返事」
「っていうか百々世殿、服着替えて来てくださいよ。」
「うるせーな典。あとでやるからいーの。」
「今日も採掘の仕事あるんだろ?頼むぞ……」
いつも通りの会話を聞き流しながら、私は今日見た夢を思い出していた。
命の取引に『永遠』なんて商品は存在しない以上、あの静寂はいつか必ず、この部屋にやってくる。神である私を置いて、彼女たちは一方的に取引を終了させる。それは決定された未来だ。
だが、世界とはそういう仕組みで、命とはいつか手放すからこそ、今ここにある時間が狂おしいほどの価値を持つのだ。あのメイドの言う通りに。
「千亦? なんだよ、お茶持ったままぼんやりして」
飯綱丸が私の顔を覗き込む。
「ん?あー、いや今日寒いなって。」
「じゃあなんで外出たんですか……」
「まぁいいでしょ、とにかく朝ごはんにしましょうよ」
窓の外からは、すっかり昇った朝の光が静かに差し込み、部屋の隅の影を淡く照らし始めていた。
こいつらがいなくなったら、私はまた新しい市場を開くだけよ。そう、それでいい。
私は席を立ち、いつも通りの日常に溶け込んでいく。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。まだ納得がいっていない作品ですが、今作を通して東方プロジェクトや登場キャラクターに関心を持っていただけたら幸いです。
…あとこれ、絶対黒歴史になるやつですよね。
【東方単発二次創作小説】幻想郷金欠異変!?
いただいたリクエストの小説です。
コメディ寄りです。
ある晴れた日の朝。今日ものどかな幻想郷の空に、白黒の服を着た魔法使いが飛んでいる。
魔理沙「あー暇だぜ。何か起きないかなぁ」
その時。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
と静寂を裂くような悲鳴が響いた。どうやら博麗神社の方から聞こえてきたようだ。
魔理沙「なんだなんだ!?と、とりあえず、行ってみるか!!」
魔理沙「おい霊夢!大丈夫か!?」
魔理沙が神社の境内に箒でスライディングをすると、賽銭箱の前にがっくりと項垂れる霊夢が見えた。
霊夢「大丈夫も何もないわよ……私の、私の全財産が……」
魔理沙「全財産が?」
霊夢「消えちゃったのぉぉぉ!!!」
そういうやいなや、霊夢は座った体勢のままショックで気を失ってしまった。
「あやや、霊夢さん相当ショックなご様子ですね」
突如上から降ってきた声に、私は思わず上を見上げる。そこには、炭のような黒色の翼を持った新聞記者がこちらを見下ろすように浮いていた。
魔理沙「文、お前まさかヤジを飛ばすためだけにここにきたのか?」
文「いつもならね。今日はちょっとばかし特殊です」
文は帽子を被り直す。
文「私は貴方に異変の情報を伝えにきたのです」
魔理沙「異変……?」
文が言うに、今幻想郷では金が皆無、つまり金欠状態らしい。全くと言っていいほどのお金がなくなり、食べ物はおろかうまい棒(?)すらも買えない状態だという。
魔理沙「なるほどな……」
私は柱に立てかけた箒を取る。
魔理沙「でも、お前は異変解決に行かないんだろ?」
文「ええ。私はこの騒動を新聞にしなければいけないので。」
魔理沙「霊夢もこの状態じゃあ異変解決できそうにない。……ってことは!」
魔理沙「私が出るしかないよな!!!(キリッ)」
文「ワーマリササンスゴーイガンバレー(棒)」
魔理沙「おい(((」
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「私、メリーさん!今貴方の……」
魔理沙「なんだよこいし。」
こいし「むー。少しくらい驚いてもいいのに。」
魔理沙「まぁ、魔法使いの勘ってやつだな。」
昼下がり。お昼ご飯のサンドイッチを頬張っていたら後ろから抱きつかれた。
抱きついたまま、彼女はこう言った。
こいし「異変調査ー?じゃ、地底にいこうよ!ぜーったい楽しいからー!」
魔理沙「うーん。地底か。久しぶりだし、行ってみようかな」←のんき
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「それで、ここに来たと。」
魔理沙「相変わらず喋らせてくれないのな、お前は。」
地霊殿のエントランスにて。私はここの主である古明地さとりと対面していた。
さとり「貴方の声は筒抜けですから。わざわざ質問する必要がないなんて、素敵な能力でしょう?」
魔理沙「さぁな。んで、お前は何か知らないか?」
さとり「私が関わっているわけではありませんが、この異変が起きてから、お燐の猫友達が急激に力を持って強くなっていると聞きました」
魔理沙「猫……?ってことは紫んとこの橙か?」
さとり「そうではないようです。まぁこれに関してはお燐に直接聞いた方が早いでしょう。お燐、ちょっと来てちょうだい。」
と、部屋のドアが開き、張本人が姿を現した。
魔理沙「お、おでましだな。」
お燐「さとり様、どうされました?」
さとり「貴方が言っていた猫友達について教えてあげて。」
お燐「承知しました。……ええと、最近」
どうやら、この異変で強力化しているのは豪徳寺ミケというらしい。……うーん、会ったような、会ってないような。会ってたとしたら多分アビリティカードのときだよなぁ……。
魔理沙「わかった。じゃあそいつに会ってくる。どこにいるかわかるか?」
さとり「お燐、そのミケちゃんという子のところまでこの子を案内して差し上げなさい。」
お燐「承知しましたー!」
魔理沙「お、助かるぜ!」
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ミケのいるらしい人里には人だかりができていた。
「ミケ様!私の財産をお戻し頂けますか!?」
「お願いしますミケ様!」
魔理沙(なんだ……?人里にミケがいるのはわかるが、なぜあんなに……?)
お燐「やぁ、ミケちゃん!」
ミケ「あ、お燐!おはよー!」
魔理沙「突然だが質問いいか?」
ミケ「ん?あぁ、構わないけど今忙しいから、手短にね!」
魔理沙「ああ。ミケ、まず、お前は今何をやっているんだ?」
ミケ「ふふ、知りたい……?知りたいよね!」
ミケはドヤ顔を決めてこちらを見る。
ミケ「実は私が能力を使うと、お金が増えるのだーーー!!」
魔理沙・お燐「……は?」
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どうやら、この騒動の中でミケが能力を使うと、お金が増えるらしい。だからミケは信仰(?)を集めて強力化していたようだ。
ミケ「そ。それで、私が人里で一目置かれる存在になったわけ!」
魔理沙「お、おう……。じゃお前は異変の主犯ってわけじゃないんだな?」
ミケ「そうだよー!でもこの異変のおかげで私も儲かった訳だし、主犯には感謝しないとね!」
じゃあまたね、と言ってミケは路地裏の方に消えていった。
後を追うように、人々が路地裏に続いていく。
お燐「……私は役目を終えたから帰るけど、捜査は振り出しに戻ってしまったみたいだね。」
魔理沙「うーん……。いや待て。冷静に考えたらこんなことするやつってあいつらくらいしかいないぜ」
お燐(最初から冷静に考えれば良かったんじゃ…?)
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魔理沙「……ってことで、お前達が犯人だろ!依神姉妹!!!」
依神姉妹「な、なぜバレたー!?」
お燐「いや図星なんかい」
人里の裏通り。魔理沙とお燐は怪しげにお金を数える姉妹を捕まえて退治しようとしていた。
女苑「仕方ない……姉さん、逃げるわよ!」
紫苑「うわ、ちょっと待ってー!」
魔理沙「逃す訳ねーだろっ……と」
魔理沙に服の裾を掴まれ、逃げられなくなった二人。
その後依神姉妹は、魔理沙にマスタースパーク直撃の刑(?)か紫&映姫様のお説教5時間コースの刑の選択を突きつけられ、あっさり降伏したという。
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魔理沙「よし、これで異変も解決だな!……でも今回の異変は派手に弾幕勝負ができなかったから、少し物足りないぜ」
と、その時、霧雨魔法店の扉が勢いよく開いた。
霊夢「魔理沙!私の財産隠しの主犯がわかったわ!!退治しにいくわよ!場所を教えなさい!」
魔理沙「お、霊夢。久しぶり。起きてたんだな」
霊夢「当たり前よ。それより、ミケはどこ!?」
魔理沙「ミケなら人里にいると思うが……なに、どうしたんだよ」
霊夢「私の貯金が異変解決後も戻ってこないのよ。んで、理由を考えたら、前にミケの能力を賽銭箱に使って、お金を増やそうとしたことがあったな、って!」
魔理沙(強引すぎるだろ……)
霊夢「でね、後から知ったんだけど、あいつ左手あげてたの!!」
知らない人のために説明しておこう。豪徳寺ミケの能力は金運か人、どちらかを招く能力。一方を引きつけると同時に、もう一方を遠ざけてしまうらしい。左手だと人、右手だと金運。
つまり……
魔理沙「つまり、ミケが人を引きつけて金運を遠ざけたってことか。あれ、でも人が来たらお賽銭も貯まって全くお金が無いってことにはならなくないか?」
霊夢「馬鹿ね。妖怪の蔓延るこの神社に急に参拝者が増えるなんてことないのよ。」
魔理沙「あぁ……まぁ、たしかに?」
霊夢「納得するな」
魔理沙「理不尽だぜ」
霊夢「いや、人は来たっちゃ来たのよ。ただ……」
魔理沙「ただ?」
霊夢「……来たのがお賽銭泥棒だったって訳」
全く不運なものだ。貧乏神にでも取り憑かれたんじゃ無いのかって言おうとしたけどはっ倒されそうだからやめといた。
魔理沙「それは……ご愁傷様」
霊夢「ご愁傷様、じゃないのよ!今から人里に行って異変の主犯(ミケ)と実行犯を捕まえに行くわよ!弾幕勝負で強引にでもいいから!」
魔理沙「お、弾幕勝負!?行くぜ!今すぐ行くぜ!」
霊夢「そう言うと思ったわ。そうと決めたら早く行くわよ!」
度重なる不運によって理性が完全に砕け散った霊夢と、弾幕勝負の誘惑に負けた魔理沙は、そろって人里に繰り出したのだった。
前作とテイストが大分違いますが、前作が異質なだけであり、多分大体こんな小説を書くと思います。気に入っていただけたら幸いです。