主人公[辻村 紫苑]と同居人達による心温まる(?)ほのぼのライフ。
人ではないけど、人間らしさ満載の彼らを覗いて見ませんか?
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目次
【プロローグ】 待ち人
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辻村視点
---
突然だが、俺は人を待っている
来るわけないと分かっていながら、どうしても¨そこ¨に足が向かってしまうのだ
こういう雨の日は特に
馬鹿らしいだろう?
とっくにあいつは死んでいるというのに
傘を差してボーッと川を眺める
最後にあいつを見たここでなら、また再開出来る気がしたんだ
ところでこんな歌を知っているか?
---
今日もまた五月雨
あの人を晴らして
守れないはがゆさ募る
例え二人を繋ぐ関係が
儚い偶然だとしても
側にいてそっと見つめていたい
つないだ指先はずっと
夜空の月輪が
照らした一本道行きましょう
笑顔で通りゃんせ
待ち人来ないならば来る日まで
---
いい曲だよな
来るわけない人を待ち続けてる曲
今の俺はそれと同じってワケだが…何も嬉しくはない
逆に悲しくなる
おっと…そんなの考えてるあいだに晴れたな
太陽の光が出てきて、輝き始める
「帰るか」
いつまでも|過去《この場所》に縛られるつもりはない
帰ろう。
あいつらの待つ我が家に
…ま、あいつらのことだ。
きっと俺のことなんて待ってなさそうだけど
フフッ。世の中こういうことあるからな
ちなみに曲は豚乙女さんの【待チ人ハ来ズ。】です。
知ってた?
【第一話】 カフェ
¨安らかなる死を迎えられることは幸福だ¨
貴様らの贄は我を底より覚ました
夢幻の果てより貴様らに祝福を与えよう
狂気と恐怖と苦痛と悲嘆と災厄をもたらし人から取り戻す
|我々《人ならぬ者》の自由を
---
紫苑 「ただいま~って、誰もいねぇ…。そりゃ、そうなんだけどさぁ…」
何を隠そう(?)ここは紫苑の経営するカフェだ
カフェは、シェアハウスから少しはなれた場所にある
別に寄り道なんてしていない
紫苑 「果物は冷蔵庫に入れるとして…肉に冷凍庫だろ?」
シェアハウスの帰りに食材を買ったので、ついでに店に保管しに来たのだ
紫苑 「よしよし。せっかく他の奴らも居ないんだし、いちご大福でも食うか~」
[辻村専用‼]と書かれた紙を貼っている冷蔵庫からいちご大福を取り出し、近くの椅子に座る
紫苑 「いただきまーす。ん……うま~」
背徳感が半端ないのも美味しさを引き立てている
―と。
?? 「あれ?何食べてるのしおん」
紫苑 「ウッソ…いつからいた|零《ゼロ》?」
零 「しおんが美味しそうに食べてた所からだね。勝手に店の冷蔵庫使っていいの」
零も近くにあった椅子に座る
そして、残っていたいちご大福に手をかける
紫苑 「おー…大福は渡さねぇぞ?あと俺の店だから。ナニしても文句ねぇだろ」
零 「それはそう。いちご大福がダメならカヌレはないの?」
紫苑 「あるわけないわ。逆にあると思ったのか?」
零は仕方ないな、とばかりにいちご大福を奪い去る
紫苑 「あ…待て」
止めるには遅かった
そこには美味しそうにいちご大福を食べる零の姿があった
紫苑 「…あぁぁ……三時間待ったいちご大福が…」
零 「ごめんね。代わりにこんなの買ったからさ。」
そう言って零が差し出したのは、[かんころ餅]だ
---
【補足】
五島列島の名物として知られる「かんころ餅」
かんころとは、五島地方の方言でサツマイモを薄く切り、ゆでて、天日干ししたもので、もともとは保存食として作られていました。
この「かんころ」と「お餅」を一緒に搗いたものが「かんころ餅」です。
---
紫苑 「わぁ✨かんころ餅だぁ」
差し出されたかんころ餅を丁寧に受けとる紫苑
いつの間にかいちご大福を食べきっていた
紫苑 「今回は許してやる…」
その言葉では隠せていない喜びがその¨尻尾¨に表されていた
そう尻尾。
紫苑 「ヤッベ…尻尾出てた」
髪と同じ橙色混ざった茶色の尻尾が、ユラユラと揺れている
零は当然とばかりにフル無視しているが
紫苑 「めんどくさいから仕舞わなくていっか。というか…ゼロ気付いてるか?」
零 「なにがですか?外から妙な気配がしますけど…」
紫苑 「人じゃない奴の音がすんだよ。聞こえないのかよ」
零 「辻村の謎に良い聴力凄いよね」
---
【補足】
隠しているだけで人の耳と狐の耳の合計4つあるからね
そのお陰で普通に聴力がいいから
---
紫苑 「…見に行っても良いか?なんなら保護(という名の興味を満たすことを)したい」
零 「文句はないですけど…他の人がどう言うのやら…」
紫苑 「管理人は俺だから、俺が良いって言ったら良いんだよ」
零 「はーい」
紫苑はかんころ餅を机に置いて立ち上がった
零も後を追うように立つ
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かごめかごめ
かごのなかのとりは
いついつでやる
よあけのばんに
つるとかめとすぺった
うしろのしょうめんだ一れ
?? 「私~♪」
---
冒頭のアレ、何がモチーフか分かった?
かぃらさんのキャラを使用させて貰いました
【第二話】シェアハウスって夢がある
お前はなにひとつ、残せはしない
思い出、愛に名声。それらは無価値なもの
お前はなにひとつ、持ち出せない
【死】はすべてを奪う。例え神からでも
ただひとつ、確かなもの。そんなのはない
「 さあ、私とおいで」
囁き声は私を突き動かす衝動
「貴女は愛おしい傀儡」
あの日。
いつかの日に、私は死に。
そして今蘇る。何度でも。
蘇ろうとも、自ら目指す当てもなく。
|詩《祝詞》も忘れて
何度でも死ぬためにここに戻る。
人を望む愚かな妖怪
---
紫苑 「|零《ゼロ》…あれって…」
紫苑の視線の先には耳が生えていた
人間の耳ではなく、いわゆる猫耳
紫苑 「人…じゃないだろ?」
コスプレの可能性もある
だが、不自然なほどピョコピョコと動く耳に紫苑は違和感を持ったのだ
よく見ると尻尾も生えている
零 「いくらなんでも、こんな所で耳見せる人はいないでしょ?」
紫苑 「あるだろ。現に俺とかそうだし」
零 「そうですけど…」
困ったようにしている零とは対照的に、顔を輝かせる紫苑
証拠に紫苑の尻尾が横に揺れている
紫苑 「…んじゃ、話しかけてくるわ~」
そう言って紫苑はその人に話しかけに行った
---
紫苑 「なぁなぁ~お前、耳生やしてナニしてんの?」
初対面の人に余りにも高圧的に話しかけるものだから―
?? 「エッ…だ……誰ですか?」
耳と尻尾の生えた少女を驚かせてしまった
---
紫苑 「なんやかんやで連れてきた訳だけとも…人いなくね?」
怖がっている少女―…|篠崎 猫鬼《しのざき ねお》を連れ、シェアハウスに戻ってきた二人
紫苑 「取り合えず座ってくれ」
立ったままの猫鬼を座らせ、紫苑はグラスと飲み物を取り出す
零 「|キミ《黒猫》も頭じゃなくて、椅子に座りなよ」
猫鬼の頭上で堂々と居座る黒猫をどかそうとする零
しかし、黒猫がそれを拒む
猫鬼 「だ…大丈夫です。………ソルは、そっちのほうが……落ち着くみたい。…あの、ソルは…猫の名前で………」
猫鬼はソルの頭を撫でる
ソル 「ニャン!」
紫苑 「本人がいいなら俺らはなん言わねぇから安心しろ」
紫苑はグラスを零と猫鬼に渡す
ほんのりと甘い香りのするオレンジのジュースだ
グラスには水滴が流れている
猫鬼 「ありがとう…ございます……」
反射的に受け取ったジュースをじっと見つめる猫鬼
紫苑がジュースを飲んだことを確認すると、猫鬼もおそるおそる口をつける
猫鬼 「美味しい…」
零 「良かった。しおんが変にこだわって徹夜で作りましたからね」
---
【補足】
そのジュースは、カフェの新メニューのための試作品です⭐
変なところで神経質な紫苑。
他の人にも手伝って貰ったけど、結局徹夜でした⭐
---
紫苑 「お前らが雑なんだよ。ま、これなら店に出せんだろ」
猫鬼 「……お前ら?…………お店?…」
紫苑 「…っとな、俺はここでシェアハウスしてんだ。んで、外のトコでカフェもやってんだ」
紫苑は自分のグラスに残ったジュースを飲み干す
カランと、氷が音をたてる
零 「ちなみに俺もシェアハウスの入居者。他にもいるよ」
紫苑 「ちなみに、入居者全員人外。俺も含めてな」
猫鬼 「…みんなも?」
キョトン?とした顔で首を傾げる猫鬼
零は優しそうに微笑む
零 「しおんが許可した人は、ここに居ることが出来るんだよ。ただし、人にダメだけど」
紫苑 「………人間はろくなことにならない。対して人外は居場所がないとかで簡単に丸め込めるからな」
猫鬼 「そう……なんですね……」
紫苑 「………」
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暗がりに転がる愉しみを
後悔しない選択を
正しさを
大人様がほっとくわけがないじゃないか!
人生の主人公を見つけ出し、引きずり出してスポットライトを浴びせたおせ
「ソシテ喰ライ尽クセ‼」
それが我々の生きる道
---
零 「しおん?聞いてますか?」
紫苑 「あ、あぁ…悪い。聞いてなかった」
夢から覚めた後のような感覚に違和感を覚えつつ、紫苑は答えた
紫苑 「俺を楽しませること。それがシェアハウスに住む条件だ」
猫鬼 「…えっ?」
理解出来ないとばかりに猫鬼は戸惑う
ソルも飼い主(?)の心を察したらしく、たじろいでいる
零 「全くもう…」
零はクスリと笑い、ジュースを飲む
紫苑の気持ちは分かるから好きにしろ、という零なりの合図だ
紫苑 「お前がもしよければ…一緒に暮らさないか?」
※告白ではありません
本日の参考
幽鬼傀儡
リアル初音ミクの消失
初登場
まろんさん提供
【?】菫コ縺ァ縺ゅk諢丞袖縺ッ縺ェ縺�
そういう話です
バグではありません
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縺?縺」縺溘i莠コ髢薙→驕輔≧縺薙→繧偵@縺ヲ繧ゅ>縺?h縺ェ
谿エ縺」縺ヲ繧
谿コ縺励※繧
豁サ繧薙〒繧
縺昴≧縺九∩繧薙↑
|豁サ縺ュ縺ー蝠城。後↑縺《死ねばいい》
翻訳サイト
https://tools.m-bsys.com/dev_tools/char_corruption.php
【三話】 寂しさで心が埋まらないように
猫鬼 「…えっ……?」
状況を掴めない猫鬼は優しく頭上のソルを撫でる。
ソルは大きく伸びるとそのまま眠り始めた
紫苑 「最近出てった奴がいるんだ。部屋は余ってるから…お前もどうかなって話」
猫鬼 「…私……迷惑………かけちゃ―」
?? 「紫苑さんただいまー。…って誰?」
声がした方向に振り返ると腕いっぱいに紙袋を抱えた少女がいた
?? 「初めましてよね。私は|Coln・Materia《コルン・マテリア》よ!コルンって呼んで!」
透き通る白い肌に金髪のショートカット。背中には金色に輝いた綺麗な羽が目立つコルン。
コルンは、なかば強引に猫鬼の手を取ると握手をする
猫鬼 「…あの……その…」
コルン 「紫苑さん、この子新しい子なの?」
紫苑 「まだ分からねぇ。誘ってるだけだよ。ってか落ち着けコルン、お前は本当に子供だな」
零 「コルン、あちらに行こうか。話はしおんが戻ってきてからね」
諭されたコルンは渋々零について行く
コルン 「後で会いましょ紫苑さん。お土産を用意してきたの」
紫苑 「おーナイスだ。楽しみにしてるから夜飯作ってきてくれるか?」
コルン 「分かったわ!また後でね!」
紙袋を持ったままコルンは零を追う
---
紫苑 「遅くなって悪かったな」
新しく入れ直したジュースを飲む紫苑
紫苑 「それで?お前はどうしたいんだ篠崎。」
猫鬼 (……名字…)
紫苑 「俺はお前の意見を尊重したいと思ってる。だからお前の決断が聞きたい」
紫苑はいたって真面目に話を続ける
紫苑 「それはお前の将来に関わる。俺のルールに従えないならいる意味ないだろ?」
猫鬼 「私……私がいたら………迷惑に…」
猫鬼は俯きながら視点をさまよわせる
紫苑からは見えないが若干焦点が合っていない
ソルはぐっすりと眠っている
猫鬼 「……や」
紫苑 「なんだ?」
猫鬼は意を決したらしく、紫苑を真っ直ぐ見る
頭上のソルを膝の上に持って撫でる
猫鬼 「私は…殺し屋なんです。だから…私がいると……迷惑になっちゃう」
紫苑 「んな訳あるか」
猫鬼 「…ぇ……でも………」
紫苑 「ここじゃみんな家族だ。ナニがあっても家族を大切にする。そういう場所なんだよここは」
そう言うと紫苑は椅子から腰を浮かせた
そして、そのまま立ち上がり猫鬼の目の前に立つ
猫鬼の瞳には紫苑が反射し映っている
紫苑 「少しでいい。俺の許可が出るまで目を瞑れ」
猫鬼は言われた通りに視界を手で覆う
紫苑 「あんま゛コレ゛が好きじゃねぇんだわ。だから、お前に見せるのは最初で最後だ。よく見とけ」
---
―これが■■だ
---
猫鬼 「…狐………」
猫鬼の視界の先には相変わらず彼がいた
だが、その姿はすっかり変化している
朱色の瞳はより深く真紅に染まっており、赤朽葉の耳はピンとたっている。
そして何よりも…先程は一つしかなかった尻尾は九つに増えている
紫苑? 「やぁ初めまして」
゛辻村紫苑゛の面影を残した゛それ゛はニコリと笑う
猫鬼 「紫苑さん……じゃないの?」
紫苑? 「我らは天狐と申します。以後お見知りおきを」
天狐と名乗るそれはゆっくりと会釈する
紫苑? 「ここには我らのような怪物が沢山います。たかが殺し屋ぐらいで迷惑になんかなりません」
猫鬼 「本当に…?」
紫苑? 「えぇ。もし貴女に危害が加わろうものなら紫苑がそれを排除してくれます。…あっと、もう時間です。それでは、また会える時まで」
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フッと、糸が切れたように紫苑の体が傾く
【参考】
https://ten-no-ya.com/blog/2371/