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目次
異世界プリンセス!
私はいたって普通の女子中学生・麗兎(れいと)。
今までもこれからも良くも悪くも目立つことなくこの世界の端っこで地味に生きるつもり……だった。
「|麗兎《れいと》~今日塾あるの?」
「今日は…ない」
「じゃ、カフェでも行こ~」
「良いよ!」
こちらは私のたった一人の親友・|吟《ぎん》。
明るくてポジティブで私を引っ張ってくれる良い友達。
「私並ぶからレイトは席確保よろしく!」
「了解っ!」
私は吟の荷物を預かって席を探して座った。
「お待たせっ!こっちが麗兎のいちごミルクね」
「ありがと!」
私は紙ストローを入れた。
「ん~っ♪やっぱ来てよかった~」
早くも飲み始めた吟…抹茶ラテを頼んだらしい。
私も飲もうと、いちごミルクのストローに口を付けたその時―――…。
意識が
飛んだ。
異世界プリンセス! ②
いちごミルクのストローに口を付けたその時―――…。
意識が
飛んだ。
「う…ん…?」
目を覚まして周りを見ると、そこはどこまでも広がる草原だった。
鮮やかな色の蝶が飛び、可憐な花が優しい風に揺れている。
小さい頃に読んだ絵本の世界みたい…。
私が体育座りでぼーっとしていると、草を踏むような音がした。
振り返ると、そこには雪のように白い狐がいた。
「綺麗…」
私が頭を撫でようとすると、狐は二本の足で立った…。
「姫君、何をするのですか…|私《わたくし》の事をお忘れにでも?」
いや、まず知らんし…って何でききき狐が話してるのっ!?
あ…これは夢かっ!ナルホドナルホド。
「姫君って私の事?」
↑夢だと信じてノってみる
「何を言います…とにかく城に戻りますよ」
「は~い」
---
狐についていくと、水色と白色の綺麗なお城が見えてきた。
歩いている途中に、人っ子ひとり出会わなかった。
私疲れてるのかな…こんな夢見て。
「ライト姫、帰ったらまず仕事ですよ」
え…私の名前は|麗兎《れいと》…まぁ、聞き間違えか。
夢だから良いや。
私は狐をじっくり見た。
今…普通に二足歩行してるんだけど…耳に飾りが付いている。
綺麗な…真っ赤ないちごの耳飾り。
ん…?
苺?
あ~、私いちごミルク飲もうとして…なんでだろ?
不味くて気絶……!?
まぁ、いいか♪生きてるし。
「え…っ!?」
ギギギー…
大きな門が大きな音を立てて開いた。
「おかえりなさいませ…メオン様もお疲れ様です」
そう言ったのは…執事のような格好をした人間。
私が人間に出会えたことに感動している間にも、勝手に話は進んでいた。
「ライト姫を着替えさせたら仕事に取り掛からせてください、私は着替えてディナーの準備をします」
「かしこまりました、ライト姫、行きましょう」
「はっ…はい」
私はそう言って優しく微笑む人間に付いて行った。
「ライト姫…急に外に出てはいけませんよ、危険ですから」
「は…はい?」
私がきょとんとしていると、服を持って人間は近づいて来た。
「さっきから様子がおかしいですよ…具合でも悪いのですか?メオン様は厳しい方ですから…無理しないでくださいね」
優しい…い……イケメンッ!
かっけぇぇぇぇぇ☆
「これ、着替えです、|私《わたくし》は外で待っておりますので」
そう言って渡されたのは…予想通り、ドレス。
青色で、フリルが付いた…可愛らしい…ドレス。
私…地味だからこーゆーの…似合わないと思うんだけどなぁ。
とりあえず着てみたけど…
可愛い、ドレスが。
私じゃなくて…ね。
「終わりましたかー?」
私は部屋のドアを開けた。
異世界プリンセス! ③
私…地味だからこーゆーの…似合わないと思うんだけどなぁ。
とりあえず着てみたけど…
可愛い、ドレスが。
私じゃなくて…ね。
「終わりましたかー?」
私は部屋のドアを開けた。
「新しいドレスですが…サイズは大丈夫そうですね、よ~くお似合いです」
イケメン執事(仮)さんが褒めてくれた。
「ありがとうございます」
私は礼をして顔を上げる時にイケメン執事(仮)さんが左胸に付けている名札を見た。
『執事・|皇《すめらぎ》』
へぇ…初めて聞く名字だな…。
すめ…すめらぎ、か。
私漢字弱いから分かんないやぁ…。
「皇…さん、仕事って…」
「あー…大丈夫です、また私がしておきました。ライト姫様は最近お疲れだと思いますので、しっかりお休みくださいませ」
うぅ…よく分かんないけどこの人天使っ!
「メオン様には内緒にしておくので、裏口から出かけましょう」
「は…はいっ!」
私は皇さんに付いて行った。
---
「このコートでドレスを隠しましょう、町の人混みに入ればお城から見ても目立たなくなるでしょう」
私は皇さんから渡された紺色のコートを着て、一歩踏み出した。
異世界プリンセス! ④
イケメン執事の|皇《すめらぎ》さんと町に出た私…ライト姫(本名・|麗兎《れいと》)。
さっきまで人がいなかった町は、今にぎわっている。
「何か食べたいものや、欲しいものがあったらなんなりと」
皇さんもいつの間にか執事服から町の人と同じような無地の服を着ている。
「なんか…パンの匂いするっ!」
「町で有名な菓子パンの香りでしょうか…おやつ代わりに食べましょうか」
「はい!」
---
「ん~っ!美味しっ!」
私は皇さんにチョココロネを買ってもらった。
ちなみに皇さんはあんぱん。
「あんぱんも一口どうぞ」
皇さんは自分のあんぱんを一口サイズにちぎって私にくれた。
「小豆甘~いっ!」
「す~め~ら~ぎぃ~~~!?」
ドタドタッ…!
あっ…さっきのイラつき執事っ!
名前は確か…メオンだっけ。
「メオン様…ライト姫様はお疲れです。お休みさせてください」
「はぁん?皇は甘すぎるんだよ!」
「そんなことはありませんっ…心配をしているだけです」
二人の執事が揉め始めた。
私はオドオドして見てたけど…もう!
どうにでもなっちゃえ———!!
私はメオンの口に自分のチョココロネを突っ込んだ。
「皇はホントにもg…っ!?」
「ライト姫様っ!?」
チョココロネは意外にもメオンの口へ消えていった。
「ライト姫様…さすがです!メオン様がチョコオタなことを覚えていらっしゃるとはっ!」
皇さんは拍手をしている。
そ…そうなんだ…チョコオタ、意外。
「…姫様、戻りますよ」
メオンは私の腕を今度は優しくつかんで歩き出した。
「ライト姫様、すみません。また今度出かけましょう」
「聞こえてっぞ」
二人は軽くケンカをしながら帰った。
もちろん私も一緒にね…。